あらすじ
英国式ローストビーフとアジの干物の共通点は? 刺身もタコ酢もサラダである? アルジェリア式羊肉シチューからフランス料理を経て、豚肉のショウガ焼きに通ずる驚くべき調理法の秘密を解明する。火・水・空気・油の四要素から、全ての料理の基本を語り尽くした名著。
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Posted by ブクログ
今までに無い切り口で料理を解説している本。レシピ必須で家庭料理をしている人が、レシピを見ずに料理が出来るようになるための一歩を後押ししてくれるような内容です。
Posted by ブクログ
紙面の大部分を世界各地の料理の分析、共通点の探索に割いている。
そう聞くと、淡々とした文章で読み進めるのが苦のように思えるが、そこを筆者の軽い文体とジョークを交えることで気づいたら最終章に辿り着いていたという経験をさせてもらった。
最終章では、それまで紹介された内容が水、油、空気そして火という4要素に還元され、それらの関係性をひとつの図形で視覚的にわかりやすく説明される。
この図形のどこかに点を置くことで新しい料理ができると同時に、すべての料理が(底面変換を繰り返すことで)この図形に詰まっていると考えると、これから料理を食べるのが楽しみになって仕方がない。
Posted by ブクログ
火、空気、水、油の構成要素で世界中の料理が実は語れること、四面体の考えを使って無数のレパートリーで料理が作れること(ただし美味しいかは各自の腕前と味覚による)が語られる。適当な料理でも四面体のあの辺に位置するな…とかなるのでハードルが下がりそう。料理面白い、となる良い本だった。心平粥は家でだらだらしてる日に作ってみたい(米、ごま油、水を1:1:15の割合で混ぜて2時間煮る)
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料理の四面体という理論が出てくるのは最後の章だけ。
それまでは、その理論を演繹法で導いていくのだが、そこがとても面白い。知らなかった知識や、今までの固定概念を覆された。
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料理の事例と分析を行なって共通項を洗い出す。
その繰り返しで最終的には料理の根幹的要素である料理の4面体に辿り着く
明日役に立つようなものではないが、この4面体を念頭に置いておくと4、5年後くらいに何か、蒙が啓かれる体験が出来るかもしれないような気がする
面白かった
Posted by ブクログ
料理の理論を語る本は初めて読んだ
料理の四面体を知ってしまった以上食材に対して色々なアプローチを試したくなる
現在存在してるレシピなどは先人が考え美味い故に残ってる物だとは思うがそこから外れた所に新境地を探検したくなる
例えばきゅうりはあまり火を通す料理がない印象があるがこれを揚げたらどうなるかなどやってみたい
Posted by ブクログ
世界中のありとあらゆる料理は基本的に原理は同じであり、(1)火という中心要素の営みを受けてそれに対応する(2)空気(3)水(4)油という三要素を合わせた四要素から、食材や調理器具などの差異こそあれども、成り立つ調理法の組み合わせだと論じている本書。この抽象的で聞いただけでは理解しがたい概念を、著者が出会ってきた様々な料理の丁寧な説明と共に読み進めていくうち、結論ではっきりとその教えの理解に驚きと共に至ることとなる。料理に於ける哲学書のような一冊。しかもこの原理は過去に存在したであろう料理やこれから未だかつて誕生したことのない料理にも通用するから、魅力的である。必携の名著。
Posted by ブクログ
某Podcastの堀元さんがたびたび本質本として紹介していたので、料理には疎い私ですが興味を引き読んでみた。
肩肘張らないエッセイ本ということで、すらすらっと読み進めることができたし、異国の料理と身近な日本の家庭料理との共通点を、少し無理やり感はありますがユーモラスに論じていき、結局納得されられている私がいます。料理に対するメタ認知の極致であるように思うし、そこまで俯瞰して料理を捉えることができたら、確かに刺身も結局はドレッシングをかけたサラダなのだなーと共感。
火を頂点として、空気、水、油の三点を底辺と置いた四面体が料理の根本原理。ここまで達観した主張を出らための思い付きで述べてるのでなく、最終章に至る諸々の考察がこの論旨を支えている。料理に対する精緻な研究がそこにあるからこそ、一見単純な主張がまっすぐ受け取ることができるのだろう。
個人的にお米の炊き上がりには少しこだわりがありますが、そこは硬くなったり柔くなったりが違う料理への誘いなのかもと、視野が広がったかな。
Posted by ブクログ
料理の本質に注目すれば火、空気、水、油の4要素しかないよねという本。
調理へのハードルを下げつつ、無限の可能性を提示してくれる良質エッセイだった。
Posted by ブクログ
まず何より筆者の文章がとても読みやすく好みだった。ユーモラスでありながら、細かい論理展開しかり、最後に振り返ったときに全てが布石として繋がっている筋の作り方に脱帽。
一つひとつのエピソードが面白く、さながら世界を旅しているような感覚。さまざまな料理、文化と出会える。
そしてタイトルにもなっている四面体の理論をはじめとする、事物の整理の仕方に筆者の恐るべき知性を感じる。
文化人類学に興味がある方には是非手に取ってほしい一冊。
Posted by ブクログ
【感想】
アルジェリア式羊肉シチューとフィレンツェ風ビステッカ。もしくはヨークシャー・プディングとアジの干物。
一見共通点が無さそうなこれらの料理も、筆者に言わせれば、全て「同じ種類」の料理である。フランス料理だろうと、中華料理だろうと、イギリス料理だろうと日本料理だろうと、その土地で獲れる食材の種類が異なるだけで、その「調理法」は全く同じである。
そして、その「調理法」とは決して複雑なものではなく、火・空気・水・油のたった4つから構成される「四面体」の中に存在するのだ。
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筆者の玉村氏は旅と料理を愛するエッセイスト。世界をさまざまに歩いて口にした料理からインスピレーションを得て、グルメ本・料理本を数多く執筆している。本書に出てくる数々の料理は、筆者が世界を旅した中で口にしたものと、自宅でフライパン片手に創作したものでできている。
料理には無限のレパートリーがある、と普通は考えるだろう。
人間は太古の時代から料理をしてきたにも関わらず、毎年のように新しいレシピ本が発売されている。世界の国の数だけ「国民料理」が存在し、一国の中でも地方によってさまざまな「郷土料理」が作られている。
とすると、料理とはあたかも無限に変化する化学現象であり、ある食べ物を他の食べ物から類推してカテゴライズすることは不可能に思えるだろう。カレーとシチュー、うどんとそばのように、調理法も食べ方もほぼ同一な料理ならいざ知らず、サラダと刺身、目玉焼きと青椒肉絲、牛肉の赤ワイン煮込みとブフ・ブルギニョンのような食べ物は、到底「似ている」とは言えない。
しかし、これらの料理は「基本の部分で同じ」であり、「火、空気、水、油」の4種類からなる調理法と食材の組み合わせである、と論じたのが本書なのだ。
そんな馬鹿な、と思うかもしれないが、この結論に至るまでの過程が実に見事である。
例えば「ローストビーフ」の原理。牛肉を焼く際に、グリルを使って直火で焼けば「牛肉のステーキ」になり、オーブンを使って(少し火から離して)焼けば「ローストビーフ」になる。さらに火から遠ざかり、熱と煙で焼けば「スモークビーフ」になり、さらに火から遠ざかり、太陽と風で焼けば「ビーフジャーキー」になる。(本書ではもっと複雑な過程を辿るが、ここでは簡略している)
こう考えてみるとどうだろう、「ローストビーフ」と「アジの干物」が似た料理であるように思えてこないだろうか。一見共通点があるとは思えない他国の料理であっても、実は「調理法」という根っこの部分でつながっているのである。
しかし結局のところ、「調理法が似ている」とはどこまでのものを指すのだろうか。「ローストビーフ」と「アジの干物」は火熱によって食材の水分を飛ばす料理であるが、「肉まん」は逆に水分を使って食材に熱を加える料理だ。これが「ポトフ」であれば、周りは水だらけになり、到底似ているとは思えない。
そこで筆者は各国の料理を引き合いに出しながら、調理法を構成する4つの基本要素を導き出した。それが「火・空気・水・油」からなる四面体である。
四面体の頂点にあるのは「火」であり、底面の三角形はそれぞれ「油、空気、水」を頂点としている。火から各頂点に伸びる線は、それぞれ
「火に空気の働きが介在してできる料理」=焼き物ライン
「火に水の働きが介在してできる料理」=煮ものライン
「火に油の働きが介在してできる料理」=揚げものライン
である。
例えば、焼き物ラインで火の頂点に近いところは「直火焼き」となり、空気の頂点に近い所は「干物」になる。揚げものラインで火の頂点に近いところは「煎りもの」となり、油に近づくにつれて「炒めもの」「揚げもの」と変わっていく。そして、火の影響が全くなくなる底面上では「生もの」となる。油に近い生もの、空気に近い生ものとはなんぞやと思うかもしれないが、豆腐で考えればわかりやすい。前者が油豆腐で後者が発酵させた(空気で腐らせた)豆腐である。
このように、料理は千差万別と思われがちだが、実はみんな、はじめから四面体のどこかに隠れているのである。
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料理は科学(化学)だと言われている。
化学物質は基本単位である「元素」まで細かく分解でき、いくら複雑な化合物でも、それを構成するのは二百種類にも満たない微小の物質である。
筆者はなんと、この「元素」と同じものを「料理」で発見してしまったのだ。
各国の調理方法を比べながら共通点を見出し、料理の根底に潜む「最小単位」を「火、油、空気、水」の4種類まで落とし込んだ。無数に存在する「料理」を分解しきって、超シンプルな方程式に置き換えてしまった。
この方程式を使えば、羊肉シチューやフィレンツェ風ビステッカを食べたことが無くても、豚肉の生姜焼きのレシピを応用することで料理できる。しかも作り方の要点さえ押さえておけば、さらに新しい料理にジャンプできるのだ。
本当に凄い。まるで手品のようだ。
新しい世界をひらく可能性を秘めた、見事な一冊だった。
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【本書のまとめ】
1 どの国の料理も、根底は同じ
フランス料理の生命はソースである。ソースには何十種類も何百種類もバリエーションがあるが、全部覚える必要はない。
肉を炒めたあとのフライパンに汁を入れて油脂・肉汁をこそげ落とし混ぜ合わせる。これを仏語でデグラッセというが、デグラッセする汁はワインでも生クリームでとブイヨンでもなんでもいい。この汁を変えるだけで、さまざまな種類のソースができることになる。
また、汁をかけるものを牛肉、豚肉、鶏肉、魚、と変えていけば、倍々式にレパートリーが増えていくではないか。
ひどく複雑な調理法も、根幹はごく簡単ないくつかの要素から成り立っていて、それが順列組み合わせみたいな倍々ゲームになって無数の枝葉や末節を繁らせているのだとは考えられないだろうか。
料理の基本は一緒であり、あとは風土によって手に入る材料が違うだけなのだ。
バターやワインやシャンピニオン等が手に入るブルゴーニュ地方でなら「ブフ・ブルギニョン」ができるし、オリーブ油とニンニクとトマトが豊富に手に入るアルジェリアなら羊肉のトマトシチューができる。もちろん、日本で手に入る材料であれば日本風のオリジナル料理(豚肉と焼酎で薩摩名物とんこつ)ができてしまうのだ。
各国の料理の相違点ばかりを見つめていると、あくまでもそれらの料理は相互に関連のない全くの別物だということになるが、共通点を辿ってみれば、実はひとつの同じ料理であり、時と所に応じてさまざまに異なる姿を人に見せるだけのことなのである。
2 ローストビーフの原理
ローストもグリルも、直火にかざすという点では完全に一致している。
ローストは肉を遠くから炙る様に焼く。グリルは焼き網のことだが、広く、直接に火に近づけて焼く「直火焼き」の意味に使われる。つまりビーフ・ステーキは、牛肉のグリル(直火焼き)のことで、ローストとグリルの違いは「火からの距離の差」ということになる。
直火による料理法(途中に水や油を介在させない)には必然的に空気が働きかけてくる。
火と空気の度合いにより、
炎に触れるほど近づけて焼く→グリル
少し火から遠ざかる→ロースト
さらに火から遠ざかる→くんせい
太陽の日と風で干す→干物
になるのだ。
3 天ぷらの分類
空揚げと天ぷらの違いとはなにか。
空といいながら、粉をつけることは許される。しかし、衣――粉を液体に溶いて作った結果できるドロドロした流動体――をつければ天ぷらになる。天ぷらはほとんど全地球市民に共有の財産だ。
とは言っても、日本語の「天ぷら」と「カツ」と「フライ」はかなりいい加減な分類であるため、これを正しく構成し直そうとすれば、
①なにもつけずに揚げたもの
②粉をつけて揚げたもの
③粉を含む流動物質をつけて揚げたもの
④粉を含む流動物質にさらに別の固形物質をつけて揚げたもの
となり、それぞれ
①素揚げ
②粉揚げ
③衣揚げ
④変わり衣揚げ
という名前になる。
一方、英語では炒めるも揚げるも、両方ひっくるめて「フライする」という。
世界三大料理の一角であるフランス料理は、揚げもののレパートリーが少ない一方で、中国では、鍋を基本的万能調理器として料理のシステムを発達させたので、ロースト料理のレパートリーに乏しい。
中国には焼き魚などの直火焼き料理すらないのだ。これに対して、暖炉→オーブンを万能調理器として活用してきた西洋人は、ふつうの煮物までオーブンの中に鍋ごと入れてしまうようなクセがつき、火にかけた鍋で油を操るテクニックには習熟しなかったのかもしれない。
4 火を使うもの使わぬもの
フランスや中国には、火熱と手間を加えたものでなければ料理とはいえない、という伝統がある。事実、生野菜の盛り付けをコックではなくウエイターがやっているレストランがある。一方、日本はすし屋の板前のように、「切る」「飾り付ける」部分も「料理」の過程とみなしている。
火を通さない代表的な料理がサラダだ。ここで、酢のものに油を一滴加えれば「サラダ」になる、ということが正しいと同時に、油の入らない酢のものもまたサラダの一種である、と考えることにしよう。
西洋における油の使い方は、日本における醤油の使いかたと似ている。とにかくなんの料理にでもかけてしまうのだ。とすると、「マグロの刺身」もまた、ひとつの立派なサラダであると言えるのではないか。(信じられない人は、マグロとツマとミョウガとシソ葉を混合して、しょうゆをかけて混ぜ合わせてみるといい。見た目も中身も立派なシーフードサラダになる)
サラダは、つまるところ材料を調味料で混ぜ合わせた「和え物」なのだ。
火熱を加えて料理した後の材料を調味料で和えたものは、それも抵抗がなければサラダと呼んでも構わない。ステーキにワインソースをかけた一品でもサラダと呼べるだろう。
サラダという名称は、火熱を加えて材料を処理するという意味での「料理」の中心的工程の前後に接続する、調味料を和えるという作業の総合的な表現にかかわっているのだ。
5 煎る
油が十分に多量の場合には「揚げる」、それほど多くなくても物体と鍋のあいだに充分に油が介在していれば「炒める」、それがどんどん少なくなれば「煎る」、そこからさらに進んで物体の表面が黒くなり、煙を発し始めたら「焦がす」ことになる。同様に、「蒸す」と「煮る」も非常に近しい関係にあり、煮る工程において水のほかに空気が強く介在していれば「蒸す」になる。
6 料理の四面体
料理とは、
(1)火
という中心要素の営みを受けてそれに対応する、
(2)空気
(3)水
(4)油
の三要素が支えてできるものである。
一方で、「料理以前」に登場して、しかも火と同じく必要不可欠な、ナマものの世界がある。
火を一番上の頂点に置き、空気、水、油を底面の3頂点とした四面体を「料理の四面体」と呼ぶことにする。
空気、水、油の頂点と火を結ぶ稜線が、それぞれ
「火に空気の働きが介在してできる料理」=焼き物ライン
「火に水の働きが介在してできる料理」=煮ものライン
「火に油の働きが介在してできる料理」=揚げものライン
である。
それぞれのラインにおいて、火の頂点に近ければ近いほど、三要素の介在の度合いは少なくなり、逆に、それぞれのラインで、火の頂点から遠ざかって下に行くにつれ、それぞれの要素の介在度は増し、同時に火の直接的な影響はしだいに少なくなって、ついに底面に達すると同時に、火の影響は途絶え、「ナマもの」になる。
何か一つの材料を、この四面体のどこかの一点に置くと、ひとつの料理が出来上がる。そしてその点を移動させていくと、次々に新しい料理ができる。
実際の料理では、何種類もの食品を組み合わせて作ることが多いから、その成り立ちはなかなかに複雑である。しかし、手順のひとつひとつを見ていくと、結局は基本的プロセス――四面体の中に位置づけることを繰り返す――なのである。
世のなかの料理のすべては、四面体のどこかにあるのだ。
料理の本を読むときには、まずそこに書かれている作りかたの手順を、四面体の原理を頭に置きながら、ひとつひとつ基本的プロセスに分解してしまおう。そうしてその料理の根幹を掴んでおけば、好みに応じて不必要なプロセスを省略してみたり、自己流にアレンジしてみたり、主体的な料理ができるはずだ。
Posted by ブクログ
5年程前に読んだ名著。
目から鱗で、膝を打ちまくる。
物事を抽象化して、身の回りの世界を認識すると、
こんなにも楽しくなるものかと。
料理名を気にせず、適当な具材を組み合わせて、
「焼いたん」「蒸したん」「炒めたん」「炊いたん」くらいで呼んでることもしばしばあるけど、
世界共通の料理の本質だなーと考えさせられる。
料理が、楽しくなること、うけあい。
料理だけに止まらず、世界のあらゆる事象を見る目が変わる。
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ゆる言語学ラジオで堀本さんがおすすめしてた本質本ということで読んでみた。目次があんま意味ない、というか、内容とあんまりあってなくて読みにくかったけど、料理の四面体の概念は確かに面白い。
Posted by ブクログ
玉村さんの本を読んでいると料理がしたくなる。四面体理論のような構造としての料理の捉え方は新鮮だしレシピに縛られた料理概念から解放してくれるような気がする。
Posted by ブクログ
2021/10/17 読み終わった
ゆる言語学ラジオで紹介されていたので。堀元見のいう「本質本」を食らってみたかったので。本質本については当該YouTubeチャンネルの#36をご参照ください。
料理のプロセスを分解すると、火、水、空気、油、の4つの要素のパラメータバランスで全てが説明できるというもの。
確かに、という感じ。例外は無さそう?この知識が料理実践に活きかどうかはわからないけど、思考の整理にはかなり役立つと思う。
Posted by ブクログ
料理の四面体とは頂点に火、底面に水、油、空気からなる三角錐であり、どんな料理も三角錐にプロットすることができる。
序盤では世界中の色んな料理・調理法を紹介しながら、帰納法的に火、水、油、空気を用いていることが示され、終盤では演繹法的に左記4つの要素を組み合わせた蓋然性が述べられている。火が加わった食材を再度底面にプロット(底面変換)することで様々な調理方法を説明することができる。
ビジネスでも同様に底面変換を繰り返すことでUSPを云々…的な事は考えずに、中華ってすごいな!今日は青椒肉絲だ!とか思いながら読み進めるのが楽しかった
Posted by ブクログ
料理を創意工夫し楽しむときに役立ちそうな本。
料理の基本要素は(1)火(2)空気(3)水(4)油でこの組み合わせとのこと。フランス料理も怖くない。
Posted by ブクログ
全ての料理を火、水、油、空気の4大要素の配分量に落とし込んだ本。
特に「全ての料理がサラダである。」、「焼くというのは水と油の介在度を極限まで少なくした加熱法」と表現しているのが秀逸で面白かった。
Posted by ブクログ
ずいぶん前にゆる言語学ラジオで堀元さんが本質本として挙げていて、ずっと読みたいと思っていた本。
ようやくポチった。
料理することは、面倒くさいのでそんなに好きじゃないんだが、食べることは好きだ。
毎日なんだかんだ言いながらも食事の時間が楽しみなので、必要に迫られて料理をしている。
例えばサラダを作るとき。
調味料に加える油の種類によって、
中華っぽくも洋風っぽくもなるなー…あ、和食のサラダなら酢の物とか油入れなきゃいいか、その代わり麺つゆ投入!
とか、
汁物もお水に適当な野菜を入れて、出汁のもとや麺つゆにするか、鶏がらスープにするか、コンソメにするかで和洋中が変わるよなー…、
ぐらいのゆるーい認識はもともとあった。
料理の構造をここまでロジカルに説明してくれる本書は確かに本質的。
上記したわたしがふんわり感じていた味と料理カテゴリーの関係のみならず、調理段階で関わる4つの要素がどのように料理に影響し、完成に繋がるかを見事に構造化してみせる最終章は圧巻だった。
それまでの、焼く、揚げる、煮る、などの調理法に沿った各国のいろんな料理の紹介も面白い。
特に冒頭のアルジェリア式羊肉シチュー。アルジェリア南部で著者がご馳走になったそれを、現地の方が作っている描写が本当に美味しそうで、その他にも試してみたくなる料理のレシピが載っていたりして、
…あれ、もしかして私、料理好きなのかも…、と錯覚してしまいそう。
食べたい欲が、作るの面倒くさいを越えたらいつか挑戦するかもしれない。
しかしこれ、美味しそうだし、
そのくせめちゃくちゃ理屈っぽくて、
本当に好みの本だったな。
復刻バンザイ!
Posted by ブクログ
おいしさは、五感だけで感じるものじゃないかも。
このごろ「実用的でない料理本」というのが好きで。料理が自分のライフスタイルや思想に与える影響、原始から続く料理という運動が、どんな歴史をたどって、世界にどんな影響を与えたか等に興味があり、色々本を漁るうちに『料理の四面体』と出会いました。
この本を読んでも、包丁さばきがうまくなるわけでも、火加減の調整が適切になったり、盛り付けセンスが磨かれるわけでもありません。実用的な料理指南書やレシピ集ではないですが、「料理は単純な原理で成り立っていながら、無限の可能性がある」というメッセージを伝えてくれます。
他方で得た知見がまったく無関係の分野と結びついたりする、そんな瞬間こそが私の生きる喜びのひとつ。料理で得た経験がマラソンに活きることや、農業のノウハウが油絵に活きること、暗算がロッククライミングにいきることもあるかもしれないと思うだけで人生は楽しい。だから自分の生活に直接役に立ちそうにない本の方がワクワクします。
本書ではまず世界のあらゆる料理が紹介されます。フィレンツェのビステッカとか、コトゥレット・ド・ムトンとか、いかにも美食家が好みそう料理名が頻出する上にとても文学的な表現もあり、グルメ評論アレルギーがある人にとっては、著者がうっとり自己陶酔しつつ書いたように感じて鼻につくかもしれません。
最初こそ気取ったグルメエッセイのような印象でしたが、少しずつ確実に、私たちは著者が導き出したある一つの論理に一歩一歩と近づいていきます。高級フレンチも、アルジェリアの野外で野蛮に作られたシチューも並列に語り、目玉焼きもスクランブルエッグもオムレツも「卵の油いため」という点で同じ料理だとする大胆さをもって、紙上・世界グルメツアーは展開していきます。スープとシチュー、果てはサラダと刺身の境界線もぼやかせる力技にクラクラしながら読み進めていくと、最終章でついにモノリスにたどり着きます。
それがタイトルの「料理の四面体」です。
食材⇆媒介(水、空気、油)⇆火
という関係性を暴き出したのです。料理の工程を分解し、四面体(三角錐)の立体チャートにあらわす。頂点に火、底面の三点は空気、水、油。この世にある料理をその四面体チャート状の座標ですべてあらわすことで、調理の原理を解き明かしたものです。
逆に言えば火を使い、水、空気、油をどの程度か媒介させれば、それはもう「料理」と言いきれてしまうというコペルニクス的転回が起こるのです(生食は除く)。世界中に料理は数多あるけれど、調理の本質は基本的に変わらないということと同時に、そのチャート上にまだ誰も見つけてない一点の座標、つまりまったく新しいレシピが隠されているかもしれないといったロマンも感じます。
こういった本を読むたびに思うのは、おいしさというのは、五感からのみ感じるものではなくて、その調理の工程などに思いを馳せることからも感じるのかもしれないと思います。その食材の生産地の風土のことを想像したり、生産者の顔を思い浮かべたりすること(野菜コーナーに農家の名前と写真が添えられていますよね)、伝統を感じること、思い出と結びつけることなど、五感以外の「気持ちのおいしさ」があるのだろうと。
Posted by ブクログ
一言結論:料理の構造を解き明かした画期的な本。ここから何を学ぶかが問われると思います。
感想:世界中の色々な料理を実際に食べ、かつ知識を有しているからこそ辿り着く発想でしょう。料理のレシピとしての研究ではなく、料理という行為そのものの本質・構造を扱った本はなかなかないのではと思います。前フリはだいぶ長いですが結論の衝撃たるや!やられた感がすごいです。
復刻版にあたり著者のメモには「料理人からは否定的な意見も多かった」と書かれているように、この本が言いたいことを読者自身が考えなければただの戯言で終わってしまいます。ここから何を学びどう思考や行動に転換させていくのかが大事ではないでしょうか。料理に限らず、様々な分野はある基本法則・原理に基づいて成り立っており、それを理解しようと努めることがひいてはその分野そのものを理解することに役立ちます。物理学は良い例だと思いますが、物理学でなくても日常のあらゆる現象には大小の差こそあれ全て本質があるわけですから、それを構造化しようと努めるべきと個人的には思います。それは生活全体、人生そのものも然りです。
ですから、料理という一見基本原理など見えそうもないものが1枚の図で表されていることは衝撃的なことであり、私たちは自分の人生ひいては他の人の人生を良いものにしていくためにそれぞれの四面体を読み解いていくことを諦めてはいけません。この本は真理を突く点で大切なことを教えてくれています。必読です。
Posted by ブクログ
頭のいい人は、具体と抽象を行き来するのがうまいという。この本で述べられているのは、世界各国の料理から、調理を構成する基本要素を抽出して四面体に落とし込み、その要素の組み合わせによって様々な料理を生み出すということで、具体化と抽象化そのもの。この四面体を知れば、これまで別個のものとして捉えていた料理同士のつながりが見えてきたり、既存のレシピにアレンジを加える発想を得られたりすると思う。新しいアイデアも既存の要素の組み合わせというが、四面体に当てはめれば納得感がある。
Posted by ブクログ
著者のことは全く知りませんでした。
面白いタイトルだなぁと思い、手にとってみると著者の考え方もまあ面白い!
料理の表現がとても素敵でこれは食べてみたい!と思わせる文章が素晴らしいです!
内容も科学やコツとも異なっていて、法則や哲学(?)に近いものを感じます。
レシピを考えるときにはこの思想を取り入れて、作ってみようと思いました。
Posted by ブクログ
料理とは、火に、水、油、空気の3要素を加え、その調整によって料理素材を変化させるものである、ということ、世界各国にあらゆる料理があるが、調味料や調理器具などに違いはあるものの、料理の考え方は同じであること、それを理解すると料理のレパートリーも数多く考えることができること、という、料理の考え方はに新たな視点を加えさせてくれる本。考えたこともない視点で面白い。
また、日本食や中華料理、フランス料理の歴史や料理の考え方も学ぶことができ、その点も勉強になった本。
Posted by ブクログ
料理の本質本。
ゆる言語ラジオで紹介していたのがきっかけで読みました。
あちらこちらに話が飛んでいって、それが面白さではあるけど少し読みにくかった。
最後の四面体のまとめを読んでから再読すると理解が異なりそう。
Posted by ブクログ
刺身はサラダの仲間だ、日本人は焼くという概念を意識して細かく分類してない等興味深い考え方が散りばめられていた。
でもあまりテンポよく読めなかった。