あらすじ
塚原(つかはら)マチは本好きで気弱な中学一年生。ある日、図書館で本をめくっていると一枚の便せんが落ちた。そこには『サクラチル』という文字が。一体誰がこれを? やがて始まった顔の見えない相手との便せん越しの交流は、二人の距離を近付けていく。(「サクラ咲く」)輝きに満ちた喜びや、声にならない叫びが織りなす青春のシーンをみずみずしく描き出す。表題作含む3編の傑作集。
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青春✕ミステリー。3編で構成される。進研ゼミ、小説宝石で連載されてたのでそれぞれ独立していると思ったが連作短編集っぽい。主人公は中学生や高校生、少年、少女のちょっと陰にいるような子たち。悩んだり友達に気を遣ったりぶつかったり。10代らしい人と人とのコミュケーション。羨ましい。 なりたい自分と向き合って勇気を胸に変わった人を私は嫉妬の感情で叩きたくない。残念だけど小説でも現実でもネットでも大人でも学生でもある。例え落ちぶれてしまっても自分自身は変わった自分を見てるから心配しないで欲しい。なんだか脱線したな。
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青春ってやっぱり最高って思った!
なにも目立つ部活や活動してる人のためだけに学校があるんやないって実感したし、
うち自身、インキャ体質やからこそ感情移入しやすかったし、なにより〝本を介しての文通“って素敵すぎる!!
3編からなる本やけどどの物語も登場人物がリンクしてて成長したって気づいた時むちゃくちゃ感動した!
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久しぶりに一気読みしてしまった。
暗くない黒くない、そしてティーンエイジャー向け仕様な読みやすさ。
「こんな風でいて欲しい」と思える物語でした。
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久しぶりに小説を読んで泣きそうになった。職場のデスクだったから、すんでのところで押し堪えたけど。タイムスリップしてきた未来の友達を病気から救うために、一念発起するって素敵だな。辻村さんのお話は死に関わるものも多いけれど、こういう方が好き。私も中学では地味な子で、学級委員をやっていたり、頼まれたら断れなかったり、高校デビューを果たそうとした(実際には叶わなかった‥)クチなので、登場人物たちには共感してしまった。
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3つの物語が詰め込まれた本。
10代の若者向けの本なんだろうけど、逆にそういう本の方がメッセージが刺さるような気がする。
あぁ中高生のなんと眩しい事か…!若者特有の悦びや悩みが懐かしくさえ思えてくる。読んでいてほくほくした気持ちにさせてくれたなぁ
どのストーリーも主人公達へエールを送りたくなる。素晴らしい作品!
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めちゃくちゃサクッとよめるし、読み終わって、こういうのでイイんだよなあってめっちゃ思った。ほぼ暗い展開がなくて、読後感がめちゃくちゃいい。短編3作で主人公は変わるけど、それぞれの主人公の成長がしっかりみてとれて、底抜けに温かい展開。辻村さんの作品は心が暖かくなる作品が多いですけど、この作品は暖かさしかないような感じ。
短編集だけど、微妙に繋がりもあるタイプでもある。
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しおりで繋がるとか青春ですよね。最近また読み返しましたが図書室へ行きたくなりました。小1の頃に初めて読んだ青春モノだった気がします。最近読み返そうと棚から出したときにひらりと小1の頃に自分で作った桜の押し花が入ったしおりが落ちてきてエモかったです。
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3本立てで構成されている短編集。
もう自分は大人になってしまったけど、10代の頃に出会っていたかった作品です。
きっとこの物語と同年代の感想とその年代を乗り越えた人の感想とでは違ったものがあるんだろうけど、この本を読んで小さくても何か一歩を踏み出したい、挑戦したいと思わせてくれるところは皆感じることができるのではないだろうか。
また解説が良い!解説まで読んでみてほしい。
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3つの短編集。表題作の「サクラ咲く」が大好き。自分の意見を言うのが苦手なマチが、少しずつ自分と他人を理解し変わっていって、自己肯定できるようになっていく成長が、自分と重ね合わされて響く。本に挟む便箋でのやり取りも温かみがあって、とっても瑞々しい作品。
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短編3集
なんだろ先生が大好きすぎて毎回称賛から始まる
といっても解説あさのあつこ氏が全ての感想を書かれてるので割愛
辻村氏の作品は長編が多く普段本を読まない人でもこの作品なら辻村ワールドもありおすすめしやすそう
本人視点より何故か他の視点から この本人はどういう心境なのかを模索し繊細に描くのがやはり抜群にトップ
好きなフレーズ引用
こんなのあんたの偏った主観に基づいた ただの詮索趣味じゃないか
ものづくりが徒労に終わるかもしれないなんて 決めるのは結局誰かの主観でしかない
そっぽを向かれたのかと思ってあわてて立ち上がりかけたそのとき 先輩の顔の前に 涙の粒がまるで朝露のように光って飛んだ
快哉を叫びたい気持ちで図書室の天井を振り仰ぐ
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辻村作品を順番に読むチャレンジ実施中。
今までで最も黒さ控えめ。
その分、するする読める。
短編をまたいで登場する人物が、初期作品を思い出す。
ただ登場するだけではなく、ちゃんと愛おしくなるのは何でだろう。
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辻村作品デビュー
著名なこの作者の作品を読んだ事がないのは多分映画「ツナグ」の予告編を見て自分には合わないのかなと思ったからだと思う。
今回書店で文庫になっているこの作品のカバー装丁のタイトル文字が気に入って手にした。
中編3作のうち2番目に収録されているタイトル作「サクラ咲く」を最初に読んだ。
「ツナグ」の予告編で感じたものがあれば残り2作は読まなくても良いと思って。
結果3作とも少年から青年に移る若者の純な心が素直に美しく描かれていると感じた。
ただ、老年期に入った自分が読むには少し純粋すぎるというような感覚。中学生の頃に当時の学習月刊誌「〜時代」や「〜コース」の付録になってついてきた小説が思い出されるようだった。
ただ自分の心をその当時のように置き換えながら読むとまるで青春真っ只中に戻ってのめり込むように味わえた。
高校一年生になる孫に読ませようかなと思えるのだ。
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普段スポットライトの当たらない、目立たない、普通の学生たち。時には思い通りにならない気持ちを抱えながら、不器用に生きている。でもそれは時間とともに変わるもの。生徒の数だけ心があり、人生がある。どれも青春なのだ。
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3つのお話が少しずつつながって、ひとつになる。
学校は、だれのもの?
本当の、私って?
そんな誰もが思春期に悩み苦しんだ気持ちに、
そっと寄り添ってくれる本。
ぜひぜひ中高生に読んでほしいなあ◯°
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3つの短編のお話。
それぞれに繋がっている、でも全然別のお話でもある。
特に、最後の映画の主役の女性をスカウトするお話がよかった。
3つの短編の主人公は、見た目は内向的、消極的に見えてても、芯があって、迷いながらも思ったことをやり通すその真っすぐな行動力に心が揺り動かされた。
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中学生と高校生。善人と悪人のような単純な物語ではなく、日々の中で悪が善に変わったり、善と思いきや悪だったり、各物語に主人公が成長して変化していくところに感動がある。
Posted by ブクログ
再読。学生たちの甘酸っぱい青春物語。
学生向けの本なのか、ものすごく読みやすく内容もストレート。
特に好きだったのは、やっぱり2作目のサクラ咲く。文通相手だからこそら相談できることってあるんだろなぁ。また本の趣味が合うってのもより親密になったポイントかな。
みなさんの感想で初知りなのは、実は繋がったエピソードだということ。1作目の陸上部メンバー2作目の先輩。2作目の主人公たちが3作目の図書室の先生。1作目の2人が3作目の両親。苗字を見ると、あぁみんないい青春送ったのねと読後もほっこりしました。
特に3作目の両親は、2人しか知らない未来の親友のために人生を捧げて研究した内容が、本当に未来変えちゃってるところ。繋がった話だと気づいてから、何回も往復して読み直しました。
Posted by ブクログ
3つの短編集。
どの話も青春を感じれる本だな〜と思った。
特に私が1番好きな話は、「サクラ咲く」
塚原マチは、中学一年生で自分の意見をはっきり主張する事が出来ない。そんなマチは実は小学校の頃から本が好き。そんなある日、図書室で本をめくっていると便せんが落ちてきます。
その便せんには「サクラチル」と文字が書かれていた。そしてマチは顔が見えない相手のとの文通が始まっていくと言う話だった。他にも色々経験していくうちにマチが成長していくと言う様子も描かれていた。
私も中学生で本が好きなのでマチに共感出来ることが多かった。読み進めると話が繋がっている所もあったので読むのが楽しかったです。特に学生の皆さんや青春系が好きな人にオススメしたいです。
Posted by ブクログ
SFかつ スポットライトが当たる いわゆる青春を描いた一作目に それほど感情移入できなくて、二作目、三作目の彼女たちの コンプレックスに抗いながらも一挙手一投足に付随する小さな悩みや決意を積み重ねた青春の方が個人的には刺さった。
でも この一作目が三作目のテーマとうまく対比になっていて、しかもその主人公同士の関係性に驚く。
すごいなあと思った。
最終的にあまり刺さらなかった一作目もまんまと愛おしくなり 見事に術中にハマってしまった。
個人的には「サクラ咲く」が一番好き。
マチのまっすぐな気持ちと少しずつ成長していく様子が読んでいて気持ちよくて 素直に応援したくなる。
けど もしかしたら一番 感情移入できたのは 紙音のお母さんかもしれない。
自分の子を思って こんなにまっすぐな気持ちを投げかけてくれる友達がいてくれたら、どんなに頼もしくて 誇らしいか。
家で読んで ちゃんと泣きたかった。
読み終えた時の 爽やかで ささやかな 幸福感。
いつか必ず子どもに読ませてあげたいと思える一冊。
図書室のドアを開けて 気持ちがはしゃぐマチが
かわいくて 同時に羨ましく思えた。
そんな青春も 過ごしてみたかったな。
Posted by ブクログ
積読本のなかからようやく。
表題作含む、さりげなく繋がっている3作。
中高生の独特な環境、中高生時代の不思議な?感じ方捉え方、中高生ならではの素直さ、思い悩む恋……。
あの頃が浮かぶようでした。
私自身は学校と自宅の往復しかしておらず(親が厳しくて……)本作を読むと、なんて勿体ないことをしたのだろうと悔やまれてしまう。
恥ずかしげなく夢を語れることの素晴らしさ。
友人のための薬、がさりげなく描かれていて、グッときてしまった。
学校は団体行動のため、どうしても目立つ子、意見を言える子が優位になってしまうけれど、ヲタクだろうと、何が得意で何が好きだろうと、好きなことがあることに自信を持ってほしいと思う。
中高生におすすめしたい作品。
Posted by ブクログ
3つの物語が入っている、読みやすい。
すごく良かった。透き通るような青春ってこういう事かと納得した。どれも友情に泣けるし、展開が止まらない面白さ。
主人公たちの気持ちがこれだけ伝わってきて共感できるのは、辻村深月だけだなと感じる。
Posted by ブクログ
三作の短編を収めた連作集。
まず、最初の『約束の場所、約束の時間』ですが、
初挑戦の辻村さんの小説の文体は穏やかで、
それでいてストーリーテラーだなあと思いました。
饒舌にならずに、でもちゃんと表現していて。
中学生くらい向けのせいか縦より横に重点を置いた作品。
縦、横というのはこないだ読んだ文学講義の本に書いてあった捉え方で、
横はストーリーの流れのことで、
縦はひとつのセンテンスなどから立ち上がる表現の奥行きやそれ自体の面白さなど。
『約束の場所、約束の時間』は、
それこそドラえもんを読んでいるみたいに
すーっと流れて行きながらも残る感覚でしょうか。
続いて、表題作の『サクラ咲く』。
中学生の女の子が主人公なのですが、
その性格の弱いところからはじまり、
仲間内の人間関係をを通じてどうなっていくかがひとつの読みどころでした。
ストーリーはストーリーでしっかりと流れていくのだけれど---
それも興味を十分にそそられながらなんだけれど---、
その物語のなかで生きている少年少女たちがそこに息づいている感覚で、
苦しみ、悩み、考え、喜び、笑い、楽しみ、心を成長させていくんですよね。
そういう一人ひとりの個性や変化や過去なんかの設定が
細かくされているのかな、と思いましたが、
それが功を奏しているのか、
物語の中の人間模様が、穏やかに波打つ水面のように、
シームレスに変化しながらきらめくように出来ているかのようでした。
そして、心理面だとか、人との関係性の繊細な面がさりげなく表現されています、
それも、書き込みでではなく、空白でかんじさせるようなところもありますね。
そして、最後の『世界で一番美しい宝石』。
ヒロインの美しい女生徒の描写を読むと、
すぐに彼女に対する僕の個人的なイメージは、
漫画『恋は雨上がりのように』の主人公、橘あきらにピタッと決まってしまいました。
今作のヒロインの名前も立花亜麻里といって、ちょっと似ていたりする。
今作では、前二作に比べてテーマが深いというか、
より考えさせられる内容にもなっていました。
未開の地に作者が分け入っていくような感じで、
哲学して書いたような面白さ。
これは以前、20数年前ですが、
「ソリトンSIDE-B」というEテレの番組で、
「哲学を勉強する」と「哲学する」は別だよね、
と出演者の方々が語っていて、
僕も見ていてそうだよなぁと思い、
哲学を勉強するよりか哲学するほうが本当のように感じたものでしたが、
作者の辻村さんがここでも腰を据えてきちんと哲学して書いているなあと、
すばらしさを感じると同時に、
自分も次に書くときには彼女の姿勢を忘れないようにしようと
見習う気持ちで背筋を伸ばしました。
物語は、レイヤーをはぎとって、
下の絵をみせるかのような流れの構造になっています。
さらに、だからといって、下部構造のほうが本当だよ、なんていわずに、
上部の表層構造だって同じくらいの力はあるものだとして扱っているように読みました。
下部構造になると、弱みとか妬みや汚さなんかがでてきて、
人によっては、そういう見えない部分こそが真実なんだ、と語りますけれど、
表層でみることのできる、爽やかで美しく、
楽しく笑っていられるような部分だって真実なんだ、という意識で
書かれているように思えましたねぇ。
全体を通してもおもしろいギミックというか、
細いのだけれど物語を貫く軸があって、
そういうところで、「あっ」と思う感覚で物語の重層性に気持ちよくなります。
辻村さんはもう直木賞を獲ってらっしゃって有名な書き手さんですが、
僕にとっては遅い、初めての出会いでした。
しかし、こういう書き手さんがいたのだなあと嬉しくなりましたし、
刺激にもなりましたし、プロットをしっかり書いてそうだというヒントもあり、
また違う作品を手に取ることになると思います。
すでにこの作品を読んでいる方は多いかもしれないですが、
まだの方にはぜひ、おススメします。
Posted by ブクログ
学生時代に読んでいた時の方が好きだった気がしますが
大人になってから読むのもすごく良かったです。
とくに3つ目の世界で一番美しい宝石が好きでした。
Posted by ブクログ
みずみずしくて3話とも素敵な話だった!
井の中の蛙だった中学生の時に読みたかったなぁ
でもこの良さは大人になって俯瞰してみれるようになったからわかるのかな?
子どもたちがこの年代になったときにそっと渡したいな
Posted by ブクログ
これぞ辻村作品っていう感じで、青春時代ならではの悩みとか辛さとかがうまく表現されてた。
大人になるとすごい狭い世界の悩みだなぁと思うけど、子供にとっては本当に学校が世界の全てだからなぁ。自分もどっちかというと学校で目立たない側の人間だったから、当時の悩みとか憂鬱な気持ちとか思い出しながら読めて楽しかった。
Posted by ブクログ
サービスアパートの図書室で借りた。
中学1年生の塚原マチが図書室で本をめくっていると、一枚の紙が滑り落ちた。そこには丁寧な文字で「サクラチル」と書かれていて…。中高生が抱える胸の痛みや素直な想いを、みずみずしく描く。表題作ほか全3編。
めちゃくちゃYA向けだな~と思ってたら、三編中二編は進研ゼミで連載されていたものでした!
「約束の場所、約束の時間」
未来からのタイムスリップ。
裏山とか、なんかドラえもんぽくて良かった。
「サクラ咲く」
貸出カードっていいよね。
いや~甘酸っぱい!
「世界で一番美しい宝石」
司書の海野先生は、「サクラ咲く」の海野奏人と結婚したマチだよね?
一平の父は「約束の場所、約束の時間」の朋彦?
中学の時、未来から来た悠と友達になった朋彦!
ずっと悠の病気のための薬の研究を続けてたんだね。
3作品が別の時代で繋がってるなんて!
こういうのに弱いです。
Posted by ブクログ
部活や合唱などそれぞれのイベントに本気になったりなれなかったりする中学生たちが、ふとした出会いをきっかけに日常を変えていく青春短編集。
中学生向けの作品と言われるだけあって展開はわかりやすいが、登場人物が微妙にリンクして主人公たちを助ける正の連鎖には心動かされる。子供向けと思っていると、ものづくりとは、研究とは何か?のようなエンジニアの本質に触れる話題が出てきたりして油断ならない。研究とは、誰かに託してつないでいくもの。心に刻みたい。
Posted by ブクログ
現実ではありえない話から始まった1章。タイムマシーンで未来や過去に行ける世界が来るのかもしれないと思いました。2章は誰か分からない人との文通。なんの繋がりもないように見えて1章との繋がりがあり凄くワクワクでした。3章は映画同好会の女優探しの奮闘劇。ここで1章と繋がるの?2章とも!など凄く興奮しながら読み進めました。面白かったです。
Posted by ブクログ
この本に含まれる下記3作品のうち、最初の2点は中学生の進研ゼミの教材として含まれていたもののよううです。よって他の辻村深月作品とは趣きを異にしています。
「約束の場所、約束の時間」
未来から喘息治療のため、タイムスリップしてきた悠と朋彦の友情の話し。2人はゲームを縁にして、仲良しになる。悠は雨の日、裏山で崩れた廃墟に潰されそうになった朋彦と美晴を助け、その代わりに未来に戻ることになってしまう。朋彦は、未来の悠の喘息治療のため今からやれることをやろうと決意する。
「サクラ咲く」
中1のマチは引っ込み思案の女の子。本が大好きで、図書室に毎日通っている。ある日図書室の本から誰かの「サクラチル」というメッセージを発見し、本を媒介にしてやり取りをはじめる。やりとりの相手は、非登校となっている高坂紙音であった。マチは紙音を誘い、学校の3年生を送る会で共に歌うことにする。校庭ではすでにサクラが咲いている。(この逸話の中で、朋彦と美晴は先輩としと登場する。)
「世界で一番美しい宝石」
映画同好会で映画を撮り、映画コンクールに参加するために主演女優を探している一平、リュウ、拓史は、ある日美しい生徒、立花亜麻里に出会う。
主演女優を引き受けてくれるように何度も頼む一平。そんな一平に立花先輩は、条件を出す。
世界で1番美しい宝石を作る宝石師の絵本を探してくれと。必死に絵本を探す3人。見つけられない3人は絵本を作って立花先輩に届ける。3人の熱意に打たれ、立花先輩は映画に出ることを承諾する。4人は、映画部を作り、撮影をはじめる。
また、探していた絵本も実在することが判明する。(このエピソードの中で、登場する一平の両親が朋彦と美晴であることが判明する。)
登場する少年少女たちは、みんなまっすぐな心を持っています。困難にきちんと立ち向かい、自分たちの力で破っていくような、透き通った生き方をしています。もはや私たち大人に思い出せないような感性をもっています。
『鍵のない夢を見る』や『盲目的な恋と友情』を読んだあとだと、辻村深月の描いたその作品のギャップに驚きます。
とても美しいジュブナイル文学です。