あらすじ
現実も真実も崩れ去る最後で最恐の大傑作。200万円で、ゲームブックの原作を謎の企業「イプシロン・プロジェクト」に売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。岡嶋二人の最終作かつ超名作。そのIT環境の先見性だけでも、刊行年1989年という事実に驚愕するはず。映画『トータル・リコール』の前に描かれた、恐るべきヴァーチャルワールド!(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
おそらく30年ぶりくらいの再読。前回は新潮文庫だった。内容はまったく覚えていない。サスペンスとしての盛り上げ方がうまい。ジェットコースターやお化け屋敷的な瞬発的な驚きや恐怖感ではなく、じわじわと噛み合っていない歯車が露呈してくる怖さ。ラストはやっぱりそうなるよなって展開だけれど、とても綺麗にまとまっていて美しい。
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このアイディアと構成で1989年に初めて単行本が出たとは信じられなかった。2025年現在のSF映画でも使えそうなものだと思う。ジャンルとしてはSFミステリ的な感じか。
最後の主人公の決断で、真実を突き詰めるよりも物事を考えずに受け入れることも解決策の一つなのかなと思った。
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読み終えるまでは眠れませんでした。ゲームが主軸になるという設定に惹かれ、次々に起こる不可解な事件、段々と解明される事実に引き込まれます。その事実すらも最後は疑わしく、今生きる世界が現実なのか非現実なのかわからない恐ろしさが書かれていました。とてもいい作品でした。さらに初出年を知って驚きます笑
Posted by ブクログ
1989年にこの内容って…どんだけ発想力があるんだ!と驚かされた。今でも発展途上のVR。当時でこんなにリアルな様が描写されようとは。まぁリアルに近くなるんだからある意味その様は生きてたら誰もが体感してる訳だが…あ、分かりにくいか。ラストなんかもう現実かゲーム内かの区別がつかない。クラインの壺って創作のタイトルかと思ってたら実際にあった。メビウスの輪的な、裏も表もない?どちらも裏と表?と言う代物だった。色々言葉足らずだが、とにかく面白かった。今ある自分の存在も本当なのか、それとも仮想現実なのか考えてしまう。
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VRが現実のものとなった近年ではなく、平成初期に書かれた作品とは思えない。
ミステリーとしては分かりやすすぎる部分もあるが、最初から最後までドキドキしながら読めた。
SF的な要素とミステリ的な要素があり面白い。
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コンビ作家・岡嶋二人の最終長編。1989年に書かれたバーチャルリアリティものの傑作。今だからこそ面白い。
仮想空間を扱った作品は古くから多数あり、物語のモチーフとしては珍しくはない。VRやAIといったテクノロジーの進化を目の当たりにしている2023年現在の私たちにとってさらに身近な存在にもなりつつある。そんな中で、今さらタイトルだけでオチが見えてしまいそうなバーチャルリアリティものは興ざめではないか?実際に読んでみて、そんな心配はまったく無用だった。今読んでも古くさくない。それにわかりやすい。SFとミステリーを混ぜ込んだストーリーの筋運びは見事。結末のあの感覚は、既視感はあるけど意外と他ではなかなか味わえないもので、この小説の上質さがあそこに極まっている。仮想空間の世界が間近に迫っている今だからこそ、あの感覚を再検討してみる時期なのだろう。使い古されている題材をあざやかにまとめ上げた、分厚いけど一気に読める傑作。
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☆4.5
ぐんぐん読み進めちゃう止まらなさ。
近未来的なゲームに関わるあれこれを楽しんでたら、おやおや不穏になってきたわねと展開にワクワクし、明かされる真相に胸がスッと寒くなる。
本読む楽しさってこれよ。
Posted by ブクログ
この作品は、傑作。ページをめくる手が止まらない。設定も、1989年に書かれたものとは思えない。『クラインの壺』のタイトル通り、現実とゲームの世界の境界が曖昧になる。ラストシーンは、現実か、ゲームの世界か。個人的には、百瀬の「コントロールできるうちに、逃げろ」というセリフが聞こえている(少なくとも上杉は声を認識している)ので、まだクラインの壺の中にいるのかもしれない。
匿名
全編を通して平易な文章で描かれる。途中から訳の分からない気持ち悪さに包まれて読み進めていくと段々とその正体がわかっていった。VRを題材にしていながらも1989年刊行の小説であり、内容は現代の人間が読んでもさほどおかしいとは思えない世界観を保っている。
Posted by ブクログ
読み終えて、公園のぐるぐる回る遊具の外に放り出された感じ。
少し気分が悪い。
この悪酔いのような余韻は傑作の証なんだろうな。
主人公、上杉彰彦と全く同一の視点で、最初から最後まで、見事に弄ばれた。
これが最終作か。
岡嶋二人さん、素晴らしい作家です。
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ヴァーチャルリアリティ(VR)を扱ったSFミステリー。作者の岡嶋二人は井上泉(現 井上夢人)と徳山諄一のコンビのペンネームで、徳山氏は昨年なくなっている。本作はコンビとしての最後の作品で、1989年に出版されている。岡嶋二人が一人になってしまったのを機によんでみた。実はこの作品、1996年にNHKでドラマ化されており、私はそれを見ていたので、大まかかなストーリーは知っていた。そのためか、スラスラと読むことができた。
本が出版された1989年は、パソコンをまだマイコンと呼ぶ人も多く、Windowsのヴァージョンも”2”の頃でMS-DOSが主流。FORTRANとかCOBOLとかあったな。作中で扱われているVRも夢のまた夢の技術だった。いまでもこれほどの技術は開発されていない。
今作では現実世界と仮想世界が曖昧となり、「クラインの壺」のように、表と裏が判然としなくなる様が描かれている。主人公は「戻れなくなった」のだ。読者もまた、現実なのか仮想なのかわからないままに置かれてしまう。
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やーばい。
これは面白い。一気読みしてしまった。
めっちゃ好み!
1989年の作品なのだが、現代SFミステリーと言っても遜色ない。
むしろ最近の方が話題になっても不思議はないのでは。
ゲームブックの原作を売却した主人公、上杉彰彦が、イプシロン・プロジェクトというVR企業の開発した新作ゲームの体験をする。
そのVR機器が通称「クラインの壺」という。
内容を知らないで読んだもん勝ちですので、これ以上は書きません笑
33年前、、、。
1999年頃マトリックスが賑わせ、MACやWindowsが出回りPCを個人で所有する世の中になっていきチャットルームや BSSが盛んになっていました。
そこからの進化が目まぐるしかったですが、1989年にこの作品のような想像ができたかと言うと、、、天才って思っちゃう。
井上夢人
ハマりました。他の作品も読みたい。
ブク友さんに感謝♡
Posted by ブクログ
30年前に書かれたVRのミステリー、次々展開される物語がスゴイ! 圧倒的に★5
新しいゲームのテストとしてVRを体験する主人公がトラブルに巻き込まてしまい、真相の究明と解決に奔走する新進気鋭のミステリー。
レビュー自体がネタバレになるので何も語れませんが、平成元年に既にこの設定、この真相ですか… すげーよ。内容もわかりやすく、どんどん話が展開されて、純粋に面白い! 現代の映像技術と演出で、もう一度連続ドラマを作ってほしい。
ミステリー好きは絶対読んどけって作品、こんな小説にであえて幸せです。
Posted by ブクログ
仮想現実(VR)を背景としたSF仕立てのミステリ。30年以上前の作品(映画「マトリックス」より更に10年前!)だが、設定は古びていない。というよりも、むしろ、VR技術が進んだ今のほうが、リアリティをもって受け入れやすい作品ではなかろうか。
「夢と現、どっちかな?」という、「胡蝶の夢」からある古典的な - VRという設定であれば必然的ともいえるテーマだが、ミステリらしく、その判断のためのヒントも適度に散りばめられており、謎解きとして普通に楽しめる。終盤は、そうした伏線が回収されつつ進んでいき、「うんうん、そうだよね」などと、心の中でつぶやきつつ、このまま事件解決にむかっていくものと思って読んでいると…。
YouTube チャンネル「ほんタメ」で、ヨビノリたくみ氏が「読書感想文にぴったりな本」に紹介していた1冊。学校の宿題に向いているかどうかはわからないが、確かに、読後は自分の解釈を誰かと話したくなる。
Posted by ブクログ
ポケベルとか言ってる時代に、VRの更に先を進んだ世界を描く先見性が凄い
仮想世界に対する空想を古今東西誰しもしてきた事だとしても
いずれこんな体験が出来るのかなと
途中までの展開はおおよそ予想はつくがそれ以降、読者もこの作品の中の人物も内と外どちらにいるのかわからない。評価の分かれそうな部分
現実と仮想世界の区別がつかなくなるのは恐ろしいし寂しいなと感じた
しかしいまこの感想を書いている自分が仮想世界の住人ではないという事を証明する事もまた、出来ない
はじめのところから始めて、終わりにきたらやめる事にする
Posted by ブクログ
むちゃむちゃ面白い!
ノンストップで読めてグイグイ引き込まれる!
今でこそあり得そうな話だが、これが書かれたのが30年前なんて信じられない!
文章も古くさくなく、最近の本って感じ。
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今でいうVRを扱った王道SFミステリー。まだその存在が開発されていない時代に物語の要素として活用しているのがすごい。ラストの虚構と現実の区別がつかなくなる描写が怖かった。
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クラインの壺。引き込まれる。仮想空間?夢?に入り込む最新ゲーム「クライン2」。これがドラクエⅢ、ファミコン時代に書かれた作品とは思えない。全く色褪せない作品。ネタは使い古されている感はあるけど、最後まで良くもって楽しませてくれた。
本当に1989年にかかれたとは思えない!
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今でこそありがちなバーチャルリアリティネタだけど、90年代以前にここまで題材として昇華してるのは流石。プロットも読み易くキレイにまとまっていてバシバシ読み進められる。解散前最後の作品で、殆ど井上夢人氏の手によるもらしい。
Posted by ブクログ
岡嶋二人の作品は『99%の誘拐』『チョコレートゲーム』を読んで、本書『クラインの壺』を読んだ。事前知識など何も入れず、どんなミステリなんだろうと思って読み進めていった。衝撃だった。なんという世界観。これが1989年に出版されたというのだから、さらに驚き。SFの最前線を突っ走っている。2023年の今読んでも色褪せることがない。小説の中のこんな世界が現実になる日も近いかもしれないと、携帯電話すらない当時からスマートフォンが当たり前の時代になった今は思える。まるで大作映画を観た気分にも近い。『マトリックス』を初めて観た衝撃にも近い。映像でなく、文字のみだからこそこの無限の創造力を引き出したのかもしれない。読んでいる最中は本当に脳がバグっている感覚になった。最後に自分に問いたい。今生きている現実は本物か?そこまで考えさせられた本作は傑作。
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十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。とはクラークの三原則。 「2001年宇宙の旅」は公開50周年、いつ見ても時代を感じさせない造りです。 そして本作もまた時代の先陣を切ったような作品、仮想現実という近未来の設定にミステリーを上手く重ねています。
SF作品の楽しさはそれを読む時期によって移り変わるものだと思う。 時代設定がはるか未来なら果てしないロマンを心に秘めるし、近未来であれば自分の存在と重ね合わせ想像する、過ぎ去った未来ならあれは違った当たってたと俯瞰して答え合わせが出来る。 本作は近未来、五感をコンピューターに支配されゲーム内の仮想世界に身を委ねた男のお話・・・。
Posted by ブクログ
1989年の作品で、携帯電話もネットで検索もない時代。しかし今日でも実現されていないであろうレベルの拡張現実がメインとなり、現実なのか虚構なのか、表と裏が混然として怖くなる。
胡蝶の夢、マトリックス、メビウスの輪の4次元化であるクラインの壺。
Posted by ブクログ
岡嶋二人は流石すぎる、安定している。
今でこそ良くありそうな話だけど、インセプションやらSAOやらは全てこれじゃん。
設定も細かいし、文章もテンポ良く読みやすいしで、岡嶋二人流石すぎる。
Posted by ブクログ
設定は今も使われているような感じ(マトリックス?)だが、結果は「どっちが現実なんだ…?」と疑心暗鬼な感じで終わるまでが丁寧にかかれてる。
Posted by ブクログ
20年くらい前にドラマを見た記憶があり、原作も勧められたので読んでみました。
映像化したものと同じくらい鮮明な文章で、自分もクラインの世界に入り込んだ様な奇妙な感覚を終始味わえる不思議なストーリーでした。
勧めて下さった方は読み終わった後に「で、どっちだと思う?」と聞いてこられましたが、正直、未だに良くわかりません。読む人によって意見が分かれるかもしれませんが、それを議論するのもこの作品の面白い所だと思いました。
Posted by ブクログ
それなりに先が読めて、それでもだんだんこんがらがって、終わったらふーって感じ。ずいぶん時代を先取りしてるので、15年後に読んで丁度いいくらいかも。
Posted by ブクログ
発表から約30年が経っているが色褪せず、というか今読んだ方が面白いのかもしれない。
結局イプシロンの正体とは?どこからが仮想世界なのか?など考えだすと深みにはまっていく。
頁数からいくとやや長めだと思うが、どんどん加速するストーリーと軽快な語り口であっという間に読める。
Posted by ブクログ
2000年以前で今読んでもほぼ違和感ないゲーム設定がすごい、スマホがねー描写とかで違和感はあったけどまさかこんな昔の話だったとは。
なんかもっと面白くなりそうだけどなー
Posted by ブクログ
岡嶋二人さん2作品目です。
岡嶋さんの作品はテンポが良くあっという間に読み終わってしまいました。
そしてとても面白い。
結局どこが現実でどこが仮想空間だったんだ?!笑
読み終わってからもそんなことを考察するのが楽しい作品です。