あらすじ
日本史上、もっとも巧みに人の心を捉えた“人蕩し”の天才、豊臣秀吉。生れながらの猿面を人間的魅力に転じ、見事な演出力で次々に名将たちを統合し、ついに日本六十余州を制覇した英雄の生涯を描く歴史長編。古来、幾多の人々に読みつがれ、日本人の夢とロマンを育んできた物語を、冷徹な史眼と新鮮な感覚によって今日の社会に甦らせたもっとも現代的な太閤記である。
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豊臣秀吉の物語
新史太閤記
NHKの豊臣兄弟に触発され、読んでみることに。
ドラマ「豊臣兄弟」では、物語を面白くする為、史実に無い作り話が多いが、司馬遼太郎の著書は史実に基づいて書いているため、真実味が有り、興味深く面白い。
著者は秀吉を一人称視点で「猿」と称して、全編を通している。史実では信長が秀吉を「猿」と言った証拠は乏しいそうだが、これも面白い。
主な登場人物
小僧(猿)…… 寺の喝食(かつしき)後の稚児。尾張の萱津(かやつ)村に住む。高野聖に「ひよし」と呼ばれる。後の豊臣秀吉。
寺の喝食 仁王 …… 小僧をいじめる。
小僧の実父 …… 萱津から小一厘の中村出身。木下弥右衛門。貧農の出。小僧が八歳のとき病死。
小僧の実母 …… 尾張の御器所村出身。
継父 …… 竹阿弥(ちくあみ)。若い頃、織田家の茶坊主。入り婿。
高野聖 …… 百阿弥陀仏(ひゃくあみだぶつ)。高野聖(10人)の頭。後に、部下の8人と共に本願寺の門徒に殺害される。
薬王子(やこうじ) …… 三河矢作の宿の有名な遊女。秀吉の初めての女。
蜂須賀小六 …… 尾張海東郡(かいとうぐん)蜂須賀村の蜂須賀屋敷の当主。蜂須賀党の党首。
猿は武士になるべく、蜂須賀小六のもとで働いたが、もっと上を目指し、小六の元を出る。
後に小六は織田家で出世した秀吉の配下につく。織田家直臣。木下藤吉郎与力となる。
松下嘉兵衛之綱(まつしたかへいゆきつな) …… 今川家の被官。馬込川を渡った頭陀寺(ずだじ)村の土豪。猿は嘉兵衛の草履取りになる。
お菊 …… 井伊家足軽の娘。 猿は嫁に迎えるが、春に頭陀寺村に来て夏には居なくなっていた。これを機会に猿は、馴染めない遠州の松下屋敷から尾張に戻った。
織田信長 …… 織田信秀の亡き後を継いだ信長の評判は悪かった。狂童の評判がつよく、異風の風体を好み、元服してからも城下の街路を人の肩に寄りかかって歩き、大口を開けて餅や柿を食べるという有様だった。
戦さの時は城を空にして、美濃の斎藤道三に空き城の守備を任せた。
武田信玄 …… 信長の動静を探る。信玄は京に登る進撃を開始したが、途中病没する。子の勝頼が後を継ぐ。
一若、がんまく …… 織田家の足軽。
浅野又右衛門 …… 織田家足軽組頭。
坪内玄蕃(げんば) …… 織田家足軽組頭。
斎藤道三 …… 一介の油売りから身を起こし、喧嘩と奸謀の限りを尽くし、美濃一国を掻き取った男。
寧々 …… 秀吉の妻。浅野又右衛門の養女。婚姻時の猿は25歳。寧々は14歳。
柴田勝家 …… 先代からの織田家 家老。大名となった藤吉郎を嫌っている。北国の二〜三カ国を管轄する北国管領。
佐久間信盛(のぶもり) …… 織田家 家老。後に信長により追放される。
林通勝(みちかつ) …… 織田家家臣。
一門衆 …… 織田家家臣。
大沢次郎左衛門 …… 鵜沼の地侍。強欲な男。信長に嫌われる。着の身着のまま逃げる。NHKの豊臣兄弟の逸話とは大違い。
竹中半兵衛 …… 西美濃の村落貴族のひとり。戦略家。半兵衛は信長が嫌い。秀吉が気に入り、自分の配下に置くことに成功する。
木下小一郎秀長 …… 異父弟。猿の母が義父 竹阿弥によって生んだ子。温厚で聡く、猿の補助者。後の大和大納言豊臣秀長。
浅野弥兵衛(やへい) …… 秀吉の妻の兄。
稲葉山城攻略決死隊 …… 秀吉の生涯の冒険。道案内役 堀尾茂助(後の出雲二十四万石、堀尾帯刀先生吉晴(たてわきせんじょうよしはる))。
野武士あがりの水破(すっぱ)・乱破(らっぱ)の六人(蜂須賀小六、蜂須賀又十郎、稲田大炊助(おおいのすけ)、加治田隼人家信(岩登りの名人)、青山小助、日比野六太夫(ろくだゆう))
前田又左衛門利家(まえだまたざえもんとしいえ) …… 犬千代の通り名で、織田家譜代の名族の次男坊。武辺者。猿の家の隣家。猿よりも二つ年若。後の加賀前田家の家祖。藤吉郎とウマがあった。
お松 …… 前田利家の妻。 聡明な婦人。後の加賀の芳春院。隣家の藤吉郎の妻、寧々と良く垣根越しに話をした。
足利義昭 …… 実兄の義輝将軍が京の三好・松永に殺された。僧を捨て将軍に成る決意をし、信長に助けを求めた。
足利義昭の幕臣 …… 細川藤孝(幽斎)、甲賀の大郷士 和田惟政(わだこれまさ)、明智光秀(越前朝倉家客分の浪人上がり)
浅井長政 …… 信長の妹、お市を嫁がせた。越前朝倉家とは古くからの有効関係が有り、朝倉を攻めた信長を裏切った。
越前朝倉攻め …… 信長は駿河平野へ進軍した。浅井の裏切りにより越前攻めは失敗に終わった。
越前金ケ崎からの退却の殿(しんがり)を猿は申し出た。
徳川家康の助けを得て、京への長距離の退却行軍を行った。
命からがら京に戻った猿と家康は、先に戻った信長から、労をねぎらわれた。
姉川の戦い …… 浅井・朝倉連合軍と織田・徳川連合軍の壮絶な戦いに勝利を収めた信長は後に浅井の小谷城を攻め落とし、朝倉を滅ぼした。
羽柴藤吉郎秀吉 …… 信長の命により、琵琶湖東岸に築城し、城持ちの大名と成った秀吉は改名した。成り上がりとの家中の思惑に配慮し、家老の柴田勝家、丹羽長秀から一文字づつ取った。
築城と同時に地名を今浜から長浜へ、改名した。
京極高吉、京極髙藤 …… 貴族との縁が欲しかった藤吉郎は落ちぶれた初老の男、京極髙藤の娘(おちょぶ)、を側室として迎えることにした。
上杉謙信 …… 長らく戦っていた武田家と信玄亡き後、子の勝頼と和睦した。上杉は関東の北条氏と戦っては引く事を繰り返した。
柴田勝家率いる織田軍は北陸で戦うが、柴田勝家は謙信に負ける。
松永弾正少弼久秀 …… 織田方が謙信に負けたのを機に信長へ反旗を翻す。
黒田官兵衛孝高(後の如水) …… 播州の土豪 小寺政職(こでらまさもと)に仕えていた。毛利につくか織田につくか、家中では毛利に付く意見が多かったが、官兵衛は織田に付くと決め、藤吉郎と会った。
藤吉郎は官兵衛を気に入り、即時に信長に引き合わせた。
信長も、その器量を見抜き、即座に「藤吉郎を助けよ」と言った。
後に、主家の小寺氏が毛利方についたとの知らせを受け、小寺氏の毛利側への寝返りを辞めるように説得に行くが、捉えられ牢獄に入れられる。
牢獄生活は救出されるまで、一年に及んだ。その為、足が腐り、救出された時には立てなく成っていた。
安国寺恵瓊 …… 毛利家の外交僧。官兵衛の調略により、一旦は織田方へ付いた者を、信長の恐ろしさを説いて、次々と毛利方へ寝返らせた。
信長の死の十年以上も前にその死を予言し、藤吉郎の世に成ると言っていた。
毛利氏 …… 中国地方、北九州の覇者。信長に追われて自家を頼って亡命して来た足利義昭を備後鞆で奉じ、信長討伐の大義名分とした。
荒木村重 …… 信長が目をかけた新参者。主家の摂津の豪族池田氏の家老であったが、池田氏と手を切り、信長に投じて家臣と成った。
後に毛利氏へ寝返る。
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猿みたいなアホな顔して、知恵がある。
信長のお気に入り。
竹中半兵衛で上巻終了!
はんべぇーー(泣)
あっという間に上巻読み終えた。
司馬遼太郎先生の演出力に感嘆。
Posted by ブクログ
たぶん3度目の再読。今まで読んできたいくつかの本とつながる。司馬遼太郎史観はその時のひとになって描かれているように思う。また、暫くしたら読もう。
Posted by ブクログ
戦国時代の庶民なんて、虫ケラに過ぎない。どこへ行こうが、どこで死のうが、誰も気に留めない。そんな境遇に生まれた猿顔の醜男は愛嬌と思い切りの良さだけで、自らの人生を切り開こうとする。
そして、彼はカネの力を知る。
武力、腕力がもてはやされる時代で「猿」と呼ばれる男は、マネーゲームの信者となり、そのルールを使って成り上がっていく。彼に言わせれば、武力も、腕力も、人材も、女もカネでどうにでもなる。
そんな作者独特の秀吉像が確立された上巻。絶対的権力者の織田信長の配下として台頭し、理想的家臣の黒田官兵衛を配下に組み入れたところで、下巻へ。
Posted by ブクログ
上巻は秀吉の幼い頃からはじまり、「猿、猿」と呼ばれながら、どんどん頭角をあらわしていく様子が描かれています。
信長と秀吉のやりとりの面白さ(お互いの腹の探り合い)が際立っていました。秀吉が信長に仕え始めたころなんて、かなり激しいコントのよう!自分の出自や容姿へのコンプレックスも、生きる強さに変えてしまう秀吉に圧倒されてしまいます。親ガチャという言葉がありますが、秀吉が知ったら一喝されそうです。苦労人ゆえの人間味ある人物像が、これでもかというほど描かれていました。
秀吉は、出会う人々の良さを見抜き、しかも良いものを盗みとることの才能が卓越していると思いました。信長は、やはり怖いなあという感じです。司馬遼太郎さんの『秀吉愛』を感じました。
Posted by ブクログ
泣かぬなら泣かせてみせようというのは本当によく言えているなと思う。秀吉の性格や人間性、商人気質や企画力がありありと描かれている。これほど卑賤から身を興していたとは知らなかった。
Posted by ブクログ
司馬遼太郎の本は初めて読んだ。
秀吉の行ったさまざまなエピソードの裏で、恐ろしいほどに自分を蔑み、気を遣ってきたことなどが描かれていて、人物像がより深く見えた気がします。
下巻も楽しみ。
Posted by ブクログ
太閤秀吉さんは明智光秀を討つまでが大好きな私にはこの上巻はたまらない展開でした。さて晩節が多少辛い展開になるかと思いますが、司馬さんはどう書くんだろう?と期待しつつ下巻に向かいます。
Posted by ブクログ
出版当時は「新史」太閤記、今や「真史」太閤記。秀吉像を作り上げた一冊。
まるで見ていたかのような人物描写、圧倒的な筆力。最後まで一気に読ませます。
上巻は荒木村重の反乱まで。
Posted by ブクログ
秀吉の放浪少年時代〜42歳毛利氏との戦いまで。最後で竹中半兵衛が死んでしまった…ショック。
秀吉が人たらしの能力を発揮して実績を残し、少しずつ信長の信頼を得ていく。その賢さに舌を巻くのと、信長の烈しいパワハラにハラハラする。
頭の中でドラマ信長協奏曲の配役に置き換えて読んだけど、秀吉の顔の描写がひどすぎて(特に物語前半、ひたすら猿顔についてディスる司馬遼太郎…)、山田孝之と合致しなかった。笑
Posted by ブクログ
秀吉が鰻登りに出世する様子を見てかなりの勇気をもらいました。自分のコンプレックスを強みに変えていく様が何とも言いようがないくらい素晴らしかったです。普通に考えれば落ち込む所ですが、良いように考え人生が好転していく、これは自分の生活にも十分役に立てると感じました。
Posted by ブクログ
NHK大河ドラマをよりよく鑑賞するために買いました。
秀吉は、低い身分からどのようにして天下人になったかに感心をおきながら読み進めました。
自分の今の生活に置き換えて参考になる箇所には付箋をつけました。
また、2回目に読む時はその箇所を味わって読もうと思います。
Posted by ブクログ
この本を手に取って読もうと思ったきっかけは大河ドラマだ。
「豊臣兄弟」というドラマが最近放送されたことで少し興味が湧き、個人的に司馬遼太郎作品を読んでみたいという思いもあり購入した。何気に司馬遼太郎の作品を読むのはこれが初めてだ。
日本人であれば、戦国時代三英傑の1人である秀吉に対して、ある程度の人物像を持っていると思う。私もその1人だった。
秀吉といえば「人たらし」で有名だが、そのイメージに付随して、私はどこかズル賢い人物という認識しか持っていなかった。
この本を読んで一番良かったと思ったのは、彼の人生を通して、1人の人間の生き方を追体験できたことだ。
貧しい生まれから天下人へと上り詰めるまでの過程を、まるで自分がその場にいるかのように体験できる。そんな類稀な人生に触れられること自体が、この作品の大きな魅力だと思う。
そして読後には、秀吉に対するイメージが大きく変わるはずだ。
秀吉の幼少期はかなり貧しく、ほとんど奴隷のような時期もあったという。
そんな彼だからこそ、「商人」という存在に憧れを抱いたのは、自由な生き方への強い渇望があったからなのかもしれない。
そんな彼が、信長と出会う。
それは彼にとって、これまでの人生を一変させるような出会いであり、自分の運命を掴み取る最初の瞬間でもあった。
私が秀吉に対して見落としていた点の一つに、「チャンスを掴み取る力」がある。
人間には平等とまではいかないが、少なくとも人生の中で何度かチャンスが巡ってくる瞬間があると思う。
秀吉はその機会を見抜き、迷わず手を伸ばし、自分のものにしていった。
この力こそが秀吉という人間の核心なのかもしれないと、私は感じた。
秀吉は、人間が何を求め、何に怒り、何に感動するのかを見抜くことに長けている。
その上で、自分を地の底から拾い上げてくれた織田信長が求める人材──「最強の道具」として振る舞うことで、織田家の中で頭角を現していく。
これはあくまで私の主観だが、秀吉は信長に触れ、信長もまた秀吉に触れることで、お互いに影響を与え合い、視野を広げていったように感じた。
そして、私の中での秀吉のピークが訪れる。
それが、金ヶ崎の戦いで殿を務めた場面だ。
誰もが死を覚悟する状況の中で、秀吉は確かに死を受け入れていた。
しかし同時に、どこかで「自分は死なない」と信じているようにも見えた。
この、死を受け入れる覚悟と、生き延びようとする強い意思の両立。
ここに、野心だけで動く人間とは決定的に違うものを感じた。
そしてこの在り方は、自分にはない。
だからこそ、あの瞬間の秀吉は、常識の範疇を越えた存在として強く印象に残っている。
その後の秀吉は、少しずつこの本を読む前に自分が抱いていたイメージに近づいていく。
自分を神に近い存在だと感じ始め、緩やかに自分自身を客観視できなくなっていく。
ただ、これはある意味では正しいのかもしれない。
信長の死後、怒涛の勢いで敵を退け、ついには天下統一を成し遂げる。
これほどの功績を残した人間であれば、自らを特別な存在だと認識することも、ある種の必然だったのかもしれない。
この『太閤記』ではその後の姿は多く描かれていないが、だからこそ、その先の秀吉の姿は容易に想像できてしまう。
この物語を通して、私の中の秀吉像は大きく変化した。
ただの「人たらし」ではなく、人間の本質を理解し、人を動かすことに長けた存在──いわば「人間理解者」としての秀吉である。
それだけでも、この本を読んだ価値は十分にあったと思う。
そして同時に、「人を理解するとは何か」という問を理解した上で、今後の人生に向き合う一つの知識として心にしまっておこうと思った。
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成り上がりの物語としての面白さはもちろんのこと、秀吉(藤吉郎)に限らず織田信長、竹中半兵衛、黒田官兵衛など周りの人間もとても魅力的に書かれているのでそれだけで読んでいて楽しい。上巻は竹中半兵衛が亡くなるところまでで下巻に続く。
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ご存知太閤記様。秀吉の物語。成り上がり物語でもあり。信長が、道具と人を扱うが秀吉だけは特別視する。信長と秀吉の絡みがメインで構成されていて信長が秀吉と思考が似ている部分があった気がする。活劇です。
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秀吉の明るさに救われる思い。
以下のフレーズが好きだ。
・猿の最大の美点はあくまでも陽気だったことだ。
・猿は「昔の飢えに戻るよりもましだ。叩かれてようと今の境遇がどれだけいいかわからない。」
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上巻は、秀吉が幼少の頃から、42歳頃の本能寺の変の数年前までの物語です。
信長に気に入られるように奮闘しますが、根本には誠実さがあったようです。
秀吉がとても魅力ある人物として描かれています。
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歴史小説の大家による太閤記。多分当時で地頭が1番良い人。徒手空拳から大成功を収めた人となると北条早雲、斎藤道三辺りが有名だが早雲は良い家柄の人で道三は親子2代の話なので本当の無名から成り上がったのはこの人のみとなる。
商人の発想で武士の世界に入り信長に殴られながらも真意を読み取りその時に出せる最善の行動を取るという小説とはいえ恐るべき人物である。ただ陽気なだけでなく心の暗部も描写されているのは良かった。山田風太郎先生の『妖説太閤記』と異なり王道的な雰囲気だが単なる礼賛記にしていないのは共通しているように思う。
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木下藤吉郎秀吉時代の豊臣秀吉を描いた作品。幼少期の賎民時代から織田信長に仕えて中国地方征伐を担当する前までを描いている。秀吉の人たらしさを発揮して成り上がっていく様は痛快でどんどん読み進めてしまった。
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豊臣秀吉の逸話と言えば色々あるが、それを凝縮して描かれている。国盗り物語などとを読むと、順番はどちらでもよいが、知識や内容が繋がり初めて余計に面白い。
農民の出など色々とあるが、このように分かりやすく、読みやすい物語となると歴史がより一層面白く感じるのではないか。
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実際の人物はどうか分からないが(だからこそ小説でいかようにも書けるのだが)、この上巻では、司馬は豊臣秀吉を人たらしの天才のみならず、相手の人物を瞬時に見抜く洞察力を持ち、また時には命を顧みず突撃する実行力が極めて高い人物として描いている。また所々で天下人としての器があることを示唆している。
この上巻は荒木村重の謀反までであるため(しかも黒田官兵衛が救出されたところまでで戦後処理については書かれていない)、まだ純粋で忠実な信長の家来としての秀吉でしかない(しかし着実に天下人への歩みを進めている)が、下巻で天下を取った後、司馬が人物像をどのように描写するか興味深い。
Posted by ブクログ
藤吉郎(羽柴秀吉)を主人公に物乞いから信長に使える大将へと成り上がっていく戦国物語。
出てくる登場人物が本当に濃いキャラクターばかりで戦国時代をリアルに描かれている。
猿と呼ばれた秀吉がどんな人物であったか、
信長の事をどれほど思っていたか、
竹中半兵衛、黒田官兵衛、才覚ある武将を登用し、人の心を掴む人たらしという才能を思う存分発揮し、朝鮮攻略という大志を抱いて激しい時代を生き抜く様をありありと描いた大作。
下巻への期待も込めて星4つにします。
Posted by ブクログ
秀吉の前半生に持っていたであろう天性の明るさを十二分にまで描き、その出世していく姿に対して、小説の力で見事なまでに面白さを加味しているところに、加速度的にのめり込ませられた。
当時としては、現代よりも当然として自身の能力よりも重要視されている家柄などのことに加えて、自身のコンプレックス(猿顔、血筋、身体能力等)をいかに単純に逆転していくかといったものでなく、あまり描き過ぎていないところがいいのかも知れない。
それ故に人たらしは何処か納得はするものの、真似のできない、捉えどころのない秀吉自身しか有せない、個性(とでもいいのか)と浮かび上がる。
下巻に秀吉の影がどの様に濃くなるか、気になるところではある。
Posted by ブクログ
昔々の某N局の大河ドラマ、若かりし頃の緒形拳が猿を、高橋某(うる覚え)という役者が織田信長を演じたのを観たのが、最初の太閤記との出会い。草鞋取りの猿が、信長の草鞋を胸に抱いて温めておいたのを信長に認められ、信長に可愛がられるようになり、出世して天下統一する筋書きで、その草鞋のエピソードがとても印象的だったのに、この小説にはそのシーンは無い、ということを初めて知った。名シーンだった、と昔の記憶で思うけれど、人蕩しの天才と、人間であれ道具であれ、性能重視、その性能を気の済むまで試したい信長のエピソードとしては、小説のほうが流石だ。でも、テレビでは放送出来ないよなぁ、あんなシーン…。
『毛利家の秘宝』展に行った時に、秀吉の直筆の手紙があった。学問でも美術でも才を極めている毛利家の人々の筆と違い、秀吉の文字は平仮名ばかり、文章も拙く、基礎学力の有無というのはちょっとしたことで表に出てしまうので怖い、と思う反面、それを補ってなお人の心を掴む文章の典型でもあると思った。
司馬遼太郎は、そういった資料や実際に足を使って調べ、感じた事柄から歴史上の人物に肉付けをしていき、生き生きとした人間像を作り上げ、まるでそれが史実のように再現していくのだから、改めて凄いと思った。
下巻に続く。
Posted by ブクログ
上巻では秀吉の出世が中心で、秀長の登場はごくわずかですが、秀吉の人物像が多く描かれていました。特に、「猿のやり方」を見て信長が驚く場面、最初から最後まで調略と謀略で動き、合戦はその一部に過ぎない、の描写が印象に残ります。秀吉のずる賢さと人の心をつかむ巧みさ、普通の武将とは違う魅力があるようです。竹中半兵衛とのシーンも多く、ドラマもあわせて楽しみたい。