あらすじ
甘い笑顔を持つ美しい妹が心を病み、死んだ。姉の私は頭を打ち28年間の記憶を失ってしまう。さらに弟が未来の一部を予知できるようになって……。“半分死んだ”ようになった私と“チャネリング小僧”になった弟は、高知やサイパンへの旅の中で、生命の輝きを取り戻していく。無力感にとらわれ、心が闇に近づく時、支えてくれる日常の確かな手触りと輝きを描ききった。人類を救う永遠の傑作。
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Posted by ブクログ
淡々と日常が描かれていると思いきや、生と死について考えさせらる部分も。。
冗長と感じる人もいるかも知れないけれどこういうお話私はとっても好きでした。
毎年秋に読みたくなると思う。
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よしもとばななさんは独特の世界観で読むと必ず絶望感が存在していて何度も立ち止まりそこに戻って気持ちを確かめて先に進むけど、やっぱりダメで繰り返す。マニュアルの1速がずーっと続く感じがする。どうしようもない現実を受け入れることなのかな。私には自殺のシステムがわかったとあるけれど、他人の心はわからないのも事実で、全てわかった中からこんな作品書けるのも魅力的だよ。妹の死に記憶を無くす、弟のサイコに家族の絆と別れと色々あった 必然だったのかな、全て受け入れる朔は実は1番の能力者かも
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言い方は柔らかいのに、強く、眩しく、読んでいるこちらの眼の中にハッキリと訴えかけてくる文章。
気持ちをえぐられるのと同時に、あたたかく包み込んでくれる表現、世界。
高知の夕焼けのシーンには本当にくらいました。
ちょうど1週間前に高知から帰ってきたばかりということもあって。風や波の匂いはもちろん、オレンジ色の光が圧倒的な強さで迫ってくるさまに、タイムスリップしたような気持ちに。
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ばなな先生の本を読んでいると、
なんて自分は乏しい感性の中でつまらなく生きているんだ・・・
と言う気分になります。
流れるままに生きて、人と触れ合うって素敵。
下巻も読もう。
Posted by ブクログ
メランコリアを読んで、やや重めだけれどばななさんの世界観に入り込みたくて読み始めた。しかしアムリタ本編に入ってから全く思い感じがしない。平和ではなくても、平凡な日常が流れていく。高知からのサイパン。下巻の展開も楽しみ。
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吉本バナナの世界観があって好きな一冊。下巻に行くにつれて面白さが出ている気がする。
いろんな人との関わりから学ぶことや成長などを感じれる一冊。
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ちょっと心が弱っていたのでこの本の世界に持っていかれそうになった。
でも一言一言大事に言葉を発したり考えたりする登場人物ばかりでその人たちの紡ぎ出す言葉が私は好きだった。
『その時は死ぬかと思うくらい退屈なのに、後で思うと狂おしいくらい愛しいものだ。』p86
『その人がその人であることは、壊れていく自由も含めてこんなにも美しい、ひとにきめてもらえることなんて何一つ本当じゃないんだな、としみじみひかるように生きる彼女を見ていて私はよく思った。』p113
『何でもかんでも自分で潜って取ってくるのが一番生々しい獲物なのだから。』p208
「食べ物美味しい?食べ物の味をちゃんと感じてる?朝起きると楽しい?1日が楽しみ?夜寝るとき、気持ちいい?」
「友達が前から歩いてきます。楽しみ?面倒?目に映る景色がちゃんと心に入っていますか?音楽は?外国のこと考えてみて。行きたい?ワクワクする?それとも面倒?」
「明日が楽しみですか?三日後は?未来は?わくわくする?憂鬱?今は?今をうまくやってる?自分のこと気に入ってる?」p238〜239
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ある種の異常を抱えた人達の、あくまでも延々と続く日常
がひたすら描かれている。
日常というものへの推察がとても面白くそれを描写するための語彙も驚く程に豊富で、読んでいてとにかく気持ちが良かった。
サイパンの天国的な描写の数々が印象的だったけれど、そこから出てくる必要性を自然に自覚する朔美がまたとても素敵です。
朔美が由男のことを「おまえ」と呼んで少しはすっぱな口調で話すシーンがある度、本当の親密さを感じてとてもいいなと思いました。
家族のささやかな日常の記憶がどれも愛おしくて悲しくていっぱいになりました。
Posted by ブクログ
フレーズひとつひとつが心のスポットにピタリと刺さっては沁みていくから、ばなな作品は止められない。
忘れてしまっていた、あるいはどこか幻想化してしまっていた美しい景色と感情を今ここに呼び起こして、ゆったりと浸ることほど癒しとなる瞬間はないと思う。
辛いことも苦いことも潜ってきたからこそ、お互いに向けることのできる優しい眼差し。希望と諦念のちょうど真ん中。どっち付かずの甘い空間。
人はそうやって、ほの明るい霧に包まれて、静かに回復しながら生きていくんだろう。
Posted by ブクログ
血が繋がっていない人と一つ屋根の下で暮らしているのに家族という温かみをすごく感じられる。お母さんの性格だったり、繊細な弟、半分死んでいる私、5人で話している風景がきらきら光って家族っていいなと思った。人の声が聞こえる事で感情的になる弟や、母の真っ直ぐな人柄が好き。生きていくという事は辛いこともあるが、周りとの出会いもあって成長して強くなっていくんだと感じられる作品。
登場人物が不思議な雰囲気の人ばかりでちょっと現実逃避したような気分になれるのが楽しい。
Posted by ブクログ
くるしくなったりさみしくなったりすることを、なんともない普通のこととして書いていてうれしかった。だめになることを特別なこととしてじゃなくて、生活を送っていくなかで当たり前に生じる心の作用として扱っていて、うれしかった。だめって思わなくてもいいし、たとえだめになってもだいじょうぶって、心の底から思っているのが伝わってきた。
文章に独特のリズムや呼吸みたいなものがある。たとえば、ミュージカルはお話が進行する途中で感情が高まった場面で突然歌ったり踊ったりするけれど、そんな感じ。場面がきちんと進んでいくなかで、きゅっと鮮やかな情景描写が入る。それは、風景だったり人の様子だったり心の動きだったりを、すごく具体的で印象的に伝えてくれる。場面の進行、詳細で詩的な数行、場面の進行…とサンドイッチみたいになってると思った。
言葉の表現がすごくて、特に言い切るような言葉の使い方がよかった。
Posted by ブクログ
一気には読めなくて少しづつ他の本と併読しながら読んだ。
なんとなく分かるような、分からないような、不思議なお話。
この人の本は初めて読んだけど、言葉の使い方が凄く好き。
Posted by ブクログ
短編集かと思いきや長編で続きもの。
吉本ばななさんは「死」をテーマにした作品が多いですが今回は死だけではなく第六感や霊などスピリチュアル的な要素が多め。
かといって暗くて不気味かというと全然そんなことはないです。ダイナミックで美しい空や海、しっかり自分を持った登場人物達がおりなす不思議な物語。現実離れしているようでしょっちゅう出てくる物の例え方が妙にリアルだったり。
最後は舞台をサイパンに移し更にエキゾチックで解放的、かつ不思議な雰囲気が漂います。
下に続くようですがいったいどんな終わり方をするのか予測がつきません。
Posted by ブクログ
主人公の若林朔美は28歳。
お母さんとお母さんの友達と父が違う弟といとこの女の子と住んでいる。
芸能人だった妹を無くし、自分は階段から落ちて頭を打って記憶がおかしなことになっている。
そんな朔美の毎日が、彼女の頭の中の様子と共に綴られているお話。
妹の元恋人と関係を持つなんて、
最低な女だなと思って読んでたけど、
人生何があるか分からない、
人生に起こることの受け取り方って、
もっと自由で良いのかもな、と
なんか不思議な気持ちになった。
時に弟の由男に共感し、
時に朔美に共感し、
でもなんか、竜一朗のことは嫌いかも。
Posted by ブクログ
日常のほんの少しのことが、あたたかくて、切なくて、大切なものだと感じることができるので、吉本ばななの本は好き。
アムリタでは由男がよい。
高知で夕焼けをみるところの描写がとても好き。
Posted by ブクログ
濃厚な比喩に少し慣れなかったが、ものにしてみたいと思いながら読んだ。
弟、亡くなった妹、その元恋人、母、友人を主人公の目線から表されているが、その言葉が美しい。特に弟とのシンクロ。言葉のセンスってとても大事。
生と死、美しさについて様々な方面から考えさせられる。作者にも想いを馳せた。
Posted by ブクログ
上巻の3分の1を過ぎた辺りからやたらとスピリチュアルな方に行くなあと思って読み進めていたのだけれど、思ったほど嫌悪感みたいなものは感じずに、そのままするっとばななワールドに引きこまれた。このあたりはさすが。
主人公である朔美のキャラクターの強さが効いてるんだろうなぁ。よしもとばななの世界観、とんでもないとっぴな状況で奇天烈でエキセントリックな登場人物が次々と登場するその舞台は本当にいとおしくて、読み終わって彼らに別れなければならないのが辛く寂しい気持ちになってしまう。
あとがきを読むとこの作品はばななさんのちょうど精神的にしんどい時期に書かれたものということだけれど、そのメンタリティが作品に強く強く影響を与えていて見事な名作になっていると感じる。
Posted by ブクログ
読んでて妙に気持ち良くて、どんどん読み進められた
スピリチュアルと一般的に言われている第六感的なものを信じているというかそういうのもあるんだろうなぁと思っているので興味をもって読めたのかも
Posted by ブクログ
2023.11再読
家族と死と恋愛について。
父と妹を亡くし、弟が不思議な力に悩む中、自らも頭を打って記憶を一時失う。母と同居人との生活の中、それぞれに困難な経験をした友人と過ごす中、妹の元彼との恋に気づき、旅に出る。
生死に関わる出来事もある中、飄々とした空気感の中で話が進む。会話の軽やかさを失わない。
◯海はいつも予想の20%くらい大きい。そうとうの大きさを予測して見に行くと、更にその20%大きい。もっと大きいと思って行っても、そのかくごの20%大きい。一面の波で心をいっぱいにしていっても、小さなビーチを想像していっても、やっぱり20%。
こういうのを無限っていうのかな。
・敗者にならない人生のやり方
事実や内心がどうあれ、態度として、表現として、優雅で、余裕を失わない
◯自分の限界を知る、ということは新しいレベルの真実の領域を見つけるということだ
◯体の言葉を聞いてやる
◯あんたは理屈っぽすぎるのよ。考えすぎなの。右往左往してタイミングを逃してはすり減るだけ。どーん、とそこにいて、美しく圧倒的にぴかーっと光ってればいいの。愛っていうのは、甘い言葉でもなくって、理想でもなくて、そういう野性のありかたを言うの。
◯何もかも触ってから確かめたい
◯人生のチェックポイント(目を見て、言葉だけでなく全体で)
食べ物おいしい?食べ物の味を、ちゃんと感じてる?
朝起きると楽しい?一日が楽しみ?夜寝るとき、気持ちいい?
友達が前から歩いてきます。楽しみ?面倒?
目に映る景色がちゃんと心に入ってきてますか?
音楽は?
外国のことを考えてみて。行きたい?わくわくする?それとも面倒?
明日が楽しみですか?三日後は?未来は?わくわくする?憂鬱?今は?今はうまくやってる?
自分のこと気に入ってる?
(再読)
◯愛ってね、形や言葉ではなく、ある一つの状態なの。発散する力のあり方なの。求める力じゃなくて、与えるほうの力を(家族)全員が出してないとだめ。
Posted by ブクログ
青くて甘酸っぱい時代に読んだ思い出の本です。
この本から私の吉本さん好きが始まりました。
内容を忘れた頃に読み直して、また違った気持ちになれる本でもあります。
何度読んだか分かりません。
Posted by ブクログ
血の繋がりのない人との暮らしの中で起こるやりとりに温かさを感じる場面もあるが、スピ要素が思いの外多かったように思う。吉本ばななさんの作品の中では好き嫌いが分かれそうな感じ。
Posted by ブクログ
「そういう時母はまるで天からの言葉みたいに、すがすがしい発音で、まっすぐな瞳で、言う。わずかな濁りすらない、確信に満ちた響きを発する。愛されて育った娘の持つ財産だ。傲慢というほどでもなく、弱くもない、許された心の持つ偉大な力だ。」
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亡くなった妹の元恋人との日々や、母と腹違いの弟、従兄弟と叔母さんとの温かくも壊れやすい関係について、繊細に表現されていた。主人公は周り人との関係の変化に順応して、まさに風のように生きる女性。勇気をもらえた。
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抽象的な比喩が多すぎて疲れてしまった。そこがまたよかったりもするけれど精神状態によって左右されそう。どっぷり漬かれたり、ちょっと読むだけでもおなかいっぱいになったり。
お話自体はとても面白く、オカルトな部分もスルッと入り込めるのがいい。下巻も楽しみ。
Posted by ブクログ
この人の本を読むといつもなんだか分からない気持ちになる。これって明確な理由とか言葉にするのがもったいないくらいな感覚になる。だけどなんかすごく今を大事にしたい気分になる。何気ない毎日の今がそれなりでもとても意味があるような気になる。私は朔の考え方生き方とてもすき。自分と全く違うとこが。
Posted by ブクログ
主人公の朔美は、家の近くのバーでウェイトレスのアルバイトをしている女性です。彼女は、母親と小学四年生の弟の由男、母の幼なじみの純子さんという女性と、いとこの幹子の四人とともに暮らしています。朔美は数年前に頭を打って病院に運ばれ、記憶に欠如があるものの、非日常的なものがどこかから舞い込んでくるような日常を送っています。
上巻では、弟の由男がスピリチュアルな出来事に見舞われ、さらに死んだ妹の真由の恋人だった竜一郎とともにサイパンへ出かける経緯がえがかれています。
弟の悩みに対しても、死んだ妹の恋人と交際することになる経緯に対しても、主人公である朔美は主体的に向き合うのでもなく、かといって傍観者的なスタンスに徹するのでもなく、自分自身の人生でありながら、よそから不意に送り届けられたものであるかのような態度をとっています。本書の冒頭で、竜一郎からの宅配便が届けられたときに彼女が示した態度が、作品の全体をつらぬいているという印象です。それは、自分自身の記憶が不完全なものであり、自分の過去の人生がどこか他のところからもたらされたものであるかのように感じる主人公の立ち位置に理由を求めることができるのかもしれませんが、それ以上に作品全体をつらぬくスピリチュアルな世界観と相まって、人生そのものに対するある種の諦観を含んだ著者自身のまなざしに由来するような気もします。