あらすじ
甘い笑顔を持つ美しい妹が心を病み、死んだ。姉の私は頭を打ち28年間の記憶を失ってしまう。さらに弟が未来の一部を予知できるようになって……。“半分死んだ”ようになった私と“チャネリング小僧”になった弟は、高知やサイパンへの旅の中で、生命の輝きを取り戻していく。無力感にとらわれ、心が闇に近づく時、支えてくれる日常の確かな手触りと輝きを描ききった。人類を救う永遠の傑作。
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Posted by ブクログ
好きな情景描写や言葉が多くあった。「何もかもに触ってから確かめたい」という言葉が好きだった。
とにかく触って確かめる。そういう心の持ちようみたいなものがいいなあと思った。
また朔美が弟にたいして、何かしてやりたいと思ってしまう感情に共感した。なにもしてやれないのに。何もできないことを知った上でも、してやりたいという感情に。
特に印象深い情景は、「夜は油のように重く、静かに町並みを満たしていた。あらゆる路地、街角が意味を持って暗く黙っているようだった。」街そのものが二人の行末、二人自身を見守っているような描写。
物語の間に挟まれる情景描写がとてもよくて、空気感を味わえるのが好きだった。
Posted by ブクログ
各章ごとに伝えたいメッセージ性みたいなものがあるような気がしていて、人生の教科書かよ!とつっこみたくなる。すごい良い。
良かった文章を引用。
今の自分が好きなのだ、いつも。
私の孤独は私の宇宙の一部であって、取り除くべき病理じゃないような気がする。
本当に人を救う尊い仕事をしている男が、ある朝交差点で世にもHなお姉さんの後ろ姿に勃起し、さらにその日のうちに幼い娘に八つ当たりし、妻と話しあって高次の愛に接したら、それはみんなその人で、その混沌が最高なのにみんな物語が好きだから、本人もそうだから、統一されたいと願ったり、自分をいいと思ったり悪いと思ったり、大忙しだ。
変なの。
Posted by ブクログ
ちょっと心が弱っていたのでこの本の世界に持っていかれそうになった。
でも一言一言大事に言葉を発したり考えたりする登場人物ばかりでその人たちの紡ぎ出す言葉が私は好きだった。
『その時は死ぬかと思うくらい退屈なのに、後で思うと狂おしいくらい愛しいものだ。』p86
『その人がその人であることは、壊れていく自由も含めてこんなにも美しい、ひとにきめてもらえることなんて何一つ本当じゃないんだな、としみじみひかるように生きる彼女を見ていて私はよく思った。』p113
『何でもかんでも自分で潜って取ってくるのが一番生々しい獲物なのだから。』p208
「食べ物美味しい?食べ物の味をちゃんと感じてる?朝起きると楽しい?1日が楽しみ?夜寝るとき、気持ちいい?」
「友達が前から歩いてきます。楽しみ?面倒?目に映る景色がちゃんと心に入っていますか?音楽は?外国のこと考えてみて。行きたい?ワクワクする?それとも面倒?」
「明日が楽しみですか?三日後は?未来は?わくわくする?憂鬱?今は?今をうまくやってる?自分のこと気に入ってる?」p238〜239