あらすじ
銀座鮨店に10年通ったバブル期OL物語。
80年代。都内で働いていた青子は、25歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰る決意をする。その日、彼女は送別会をかね、上司に連れられて銀座の高級鮨店のカウンターに座っていた。彼女は、そのお店で衝撃を受ける。そこでは、職人が握った鮨を掌から貰い受けて食べるのだ。青子は、その味にのめり込み、決して安くはないお店に自分が稼いだお金で通い続けたい、
と一念発起。東京に残ることに決めた。
お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱きながら、転職先を不動産会社に決めた青子だったが、到来したバブルの時代の波に翻弄されていく。
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Posted by ブクログ
初めての読後感。とにかくリアルな本だった。
バブルを経験してないが、バブル期に激動する不動産業界の生々しさが鮮明に伝わってきた。
就職先に不動産業界やめとこう笑笑
一ノ瀬さんと青子が不倫関係になるのではなく、最後はけじめをつけて終わるのが一ノ瀬さんの生涯の堅実さをしっかりと表していてリアルだった。
まあ、なんといってもただ手を繋ぐだけ、ただ目を合わせるだけその一つ一つのちょっとした関係性の変化を官能的に描写できる著者の腕がすごい…
読んでいるこっちまでドキドキする本だった。
好きな人を心に秘めながら他の人と結婚する感じがめちゃくちゃリアルすぎた…広瀬、同僚の男、一ノ瀬、
全員一番好きな人と結婚せず、妥協しながらどこかで心にけじめをつけて結婚をしていく姿に諦念した。
青子はこれから先かんぴょう農家としてどう生きていくのだろう。1人で生きていくのかな。私としてはやっぱり1人でたくましく生きて欲しい。1人でバリバリ働き、たくましく生きる青子に非常に憧れた。
自分が嫌なことを忘れて没頭できるお店がある青子が心底羨ましい。私もそんな心の拠り所を見つけたい。
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まず、柚木さん、だいすきです……
この前まですこしアカデミックな本を読んだからエンタメに戻ろうと、文庫の柚木さんの本だからって理由で手に取った。最高だった。最後の激エロ展開になり得る部分で、どエロに走ったりすることはもうやめてただただ今繋がっているこの時間を引き延ばすことに徹する青子を見てて、落ち着くってこういうことなのかなとか思ったりした。
こんなに色々を経たのに33の青子はまだまだすごく若いように思う。
青子から贅沢をした記憶が無くなりませんように。自分1人のために自分で稼いだお金で幸せを感じられた自分のこと。私もそういう私のこと忘れないでいようと思う。
大好きな話だった、柚木さんありがとうございます。
62 最後
主導権のところ、とてもよい。フェミ最高。俺の人生の主導権は俺に!
89
ジュンコシマダのスカートを翻し、ヒールを鳴らして歩けば自分が無敵に思えてきた。
→この感覚超わたし…すき。わたしが本に柚木さんにされたきもち。
187
ミキ、すごい。
「(…)商売なんて所詮、全部芝居なんだよ。確かなものなんか人の中にしかないの」
188
「私は東京の人間じゃないの。青子もそうでしょ。不思議だね、躍起になってこの街を作り替えようとする人間は決まって地方からやってくる。なんだかみんなで幻を求めているみたい」
「本当の豊かさってなんなんだろうね。いくら贅沢してもよくわからない」
→やっぱり高級寿司を自分の稼ぎで自分1人の分継続して払えるようになったって、本当の豊かさなんてわからないんだよな。私は今の自分の生活が、高級寿司を食べられなくても豊かだと思えている。その幸せを忘れないでいたい。
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バブル全盛期の働く女性、青子。
上司に連れられて訪れた高級寿司店に魅了されて常連になる。
男女雇用機会均等法が制定された頃で女性はお茶くみが当たり前の時代描写の中で、一人で寿司屋のカウンターに向かう青子が凛々しい。
青子とすし清の10年間を通して、働く女性のキャリア、家族、友達、恋愛、、、アラサー女子に刺さりまくることばかりでした。
色々なつらい出来事も自分の力で乗り越えていく青子がとてもたくましく同世代の女性として憧れます
何よりもお寿司の描写がおいしそうすぎて、お寿司を食べたくなりました
Posted by ブクログ
時代こそ違えど、バリバリ働いている女性ならばささるポイントが結構あるなーと思いながら読んだ。
私は主人公の青子ほどキャリアウーマンではなかったけど。
働いていた会社を退職し東京を離れるつもりだったのに、退職日に上司に連れていってもらった高級寿司屋で寿司を食べるなり、「ここに通えるほどの収入を自力で得る」と決めて、地元へ戻ることをあっさりやめて、転職してその通りに進んでいくストーリーは読んでいて小気味が良かった。
自分で働いたお金なのだから、好きに使うという考え方、実は私もそういうタイプなので深く共感した。
ところで、著者の「BUTTER」を読んだときにも思ったのだけど、柚木さん、食事するシーンとか食べ物の表現がとてもリアル!文字からシズル感を醸成させるとこの作家さんはずば抜けている気がする。
ああ。とにかく今は、高級じゃなくていいから
お寿司が食べたい。
Posted by ブクログ
バブルOL物語かぁとライトに手に取って読んだ。
全く想像してなかった話の展開で、面白くて一気に読んでしまった。名作で、心に残る作品でした。主人公の青子の生き方がバブルにまみれてるのに芯はピュアな心がずっとあって、それが信じられて、胸を響いた。読後感が気持ち良く、また読みたいなと思いました。
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選書していただいた本。
少しずつ読もうと思っていたのに、一気に読んでしまった。バブル期のお話で、あまり共感できないかも…って思っていたのですが、恋愛・友情・仕事・経済と要素が多くて、ぐんぐん読み進めてしまった。
そして読後感が晴れ晴れとしているところも良かった。
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バブル期の東京で、鮨に心奪われた女性の十年弱を描いた物語。主人公が自分の人生の軸を見つけ、掴みとり、ときに揺れ、もがきながら、バブル絶頂期の東京の海を泳いでいくさまは力強く、陳腐な表現だけど、勇気づけられる。「ついでにジェントルマン」を先に読んでいたので、柚月さんの鮨描写がやけに具体的で、読み手の食欲をそそると思ったけど、こちらが先行作品だったのね。とびきり美味しいお鮨を食べたくなる一冊。
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一ノ瀬さん好きすぎる
島本理生さんの『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』に出てくる椎名さんが大好きなんだけれど それに匹敵するレベルで好き
ラストは期待したものではなかったけど
確かにそこ回収しておかないとなぁと思ったので これはこれで納得している。
Posted by ブクログ
2025/7/7追加 19-25 第一章から引き込まれた。自分に置き換えつつも、青子と同年代の身近な人たちを重ねた。1人はバブル期から総合職で頑張り先輩と起業後、今は社長になっている前職の。もう1人は一般職で、適齢期で結婚して子供たちが小学生中学年までは専業主婦していた従姉。そして、今の職場の独身のお姉さま方。あの年代は仕事バリバリと家庭を持つことはまだ両立できなかった世代だと思う。今でも女性だからというバイアスを感じない訳ではない。青子が困難にぶつかると、自分も辛い気持ちになった。青子が自分の力で自由にすし静に通えることに喜びを見いだし、傷つきながら確かなものを掴もうと成長していく様には共感を覚えた。私自身、働くようになってから、外で食べるラーメンなどの味を覚えたので、誰かにご馳走してもらうのとは違った喜びがあるのはわかる。
しかしながら、この本を読んでいる間中、握り寿司が食べたくてしょうがなかった。我慢できず回転寿司に走って、あっさりしたネタから食べてみたり。一度すし静みたいな高級なカウンターのお寿司やさんに行ってみたくなる。
そして、青子が出会っていく男性がどの人も魅力的。そして澤見さんの言う、結婚や恋愛ではない、切磋琢磨してきた一ノ瀬と青子の男女の関係が切ない。こういうのが理解できる歳になってきたかもしれない。
Posted by ブクログ
青子と一ノ瀬さんはとてもいい関係
1番好きな人とは結婚出来ないし、しない方が幸せになれるってこの事か。
1番好きな人と結婚したら不安になるし好きすぎて次分を見失うんだよね。だからちょうどいい人と結婚するし、恋愛と結婚ってやっぱり違う。
Posted by ブクログ
NHK FM 新日曜名作座で放送中で最終回直前で読み終えることが出来た。バブルの始まりから終焉の時期を描いており主人公青子が銀座「すし静」を知りそこの板前一ノ瀬を惚れてしまった事から物語は始まる、青子は「すし静」に通うため不動産業界に勤めバブル絶頂期を生き、セックスライフも奔放だ、しかしバブルは崩壊し青子も田舎に帰ることに、東京最後の日一ノ瀬にやっと思いを告げられたが。ここで物語は終わっている、しかし青子の年齢はまだ33歳だこれから人生は永遠と続く、人生の最後まで描いてくれないとだめだろう。最近東京はバブル期に似てきたが日本銀行及び財務省はまた経済政策を失敗しそうだし、地方はバブルなんて関係ない、またデフレ経済に逆戻りだ。
Posted by ブクログ
矜持を持って、時に女を武器にして駆け抜けた青子の姿を誰も笑い飛ばすことはできない。
登場する女性がそれぞれの幸せに向かって走る姿がたくましくて、彼女たちなら大丈夫、とある意味安心して読めました。
好敵手との友情もすてき。
浦和くんの
「どんな時でもちゃんと食事をする。
ささいなことに見えるけど、いつも自分の足場を確保し、満足するチャンスを見逃さないってことなんだろうな。」
という言葉が印象的でした。土井善晴先生みたい。
Posted by ブクログ
シニカルなZ世代なのでバブルなんてと思うけど
その時代全盛期の人なら貯蓄なんかせず浪費しまくっただろうな
そんな世界で女性がバリバリ働く、しかもそれは寿司のため
めっちゃ日本人ぽいなーと思った
ご飯にめちゃくちゃこだわる人あんまり好きじゃ無いから
ラストに青子の姉が1人で贅沢しても意味ないと言って腑に落ちた
Posted by ブクログ
よい、よい……!!!(笑)
最後、ワンナイトしちゃいなよ!ってファン心が出ましたけども、しちゃわないところがまた絶妙にもどかしい。
一ノ瀬さんの奥手具合にもドギマギした〜。
個人的に、最後安全に着地したのがもどかしくて星5つに出来なかっただけ(笑)
やっぱり柚木麻子さんの作品好きみたい。
Butterも読むぞ〜
Posted by ブクログ
鮨と恋と仕事
すごく読み応えあり
疾走感あり おもしろかった〜
1983年から1年ごと
1992年まで
バブル突入して はじけるまで
銀座鮨店『すし静』
カウンターで 手から手に渡されるにぎり
食べた瞬間の文章 高級で美味しそうで
極上の一品
私も味わってみたい
とにかく お鮨が食べたくなる、そんな1冊
そして、バブル時期の不動産業界の状況
土地の株価の高騰
バブルがはじけ
株価の下落
金融機関の破綻…
臨場感がすごくて
青子と一緒に バブルを駆け抜けたような気分
装丁の丸シールアートの
東京タワーも印象的
Posted by ブクログ
絶食日に読む本じゃない。
全然あらすじ読まずに開いてしまって、でも辞められなくて一気読みしてしまった。
来週末、お誕生日で高い寿司屋行くの楽しみ。すし静の1/10位の予算かな。笑
どうして…と思うところもたくさんあるけど。自分で決めて自分で戦っている女って格好良いなぁ。私は青子みたいになれないけど、芯の通った価値観で生きていきたい。
Posted by ブクログ
いやぁ、なかなかよかった。このタイトルからどんな話なのか想像つかなかったけど、こんな展開だとは。またバブル期という縁遠い時代設定も主人公の毀誉褒貶あってよかった!
Posted by ブクログ
この本昔読んですごく好きなんですよね
butterで注目を集めた柚木さんですが、この小説もとってもとってもおすすめです。
鮨を通じて恋愛するストーリー
造形がすごく浮かぶんですよね。
食にも人にものめり込んでいく…
butterと少し似た要素もあると思います。
ぜひ読んでみて欲しいです
Posted by ブクログ
寿司を通じて男女の心が触れ合う情景はとても美しかったです。その他の描写もとても分かりやすく、バブルを体験していない私にもすんなり物語が入ってきました。
しかしながら、一ノ瀬さんには「こっち側」に来てほしくなかったなとも。
Posted by ブクログ
結構好きなお話でした!
いいお店のお鮨って高いけど、すごく満たされるもんね〜
流石に高級外車分まで通う事はできないけど、ご褒美に年に何回か行けるように、仕事頑張ろうと思います。
一ノ瀬さんと青子…そんな関係もありなのね…
里子からしたら嫌な関係だろうな〜
浦和と上手く行くのかと思ったけど笑笑
まぁ全体的には上手くおさまった感じですかね!
Posted by ブクログ
プラトニックだからこそ漂う官能。
鮨を受けとる瞬間にだけ手がふれ合うって、なんという設定!
二人が築いてきた関係の尊さと、青子が切り開いてきた道の険しさも無理なくストーリーに溶け込んでいて、ページ数はさほど多くないわりに、読みごたえのある作品だった。
読者も「すし静」の常連として、二人とバブル期の日本の趨勢を見守るのだ。
Posted by ブクログ
おいしい料理の表現を学びたくて再読。お寿司が食べたくなる。こんなふうに誰かをじんわりと好きになるような恋がしたかったね。青子の「母は未来を選び取ったんだ」っていう台詞がすごい良かった。
Posted by ブクログ
久しぶりに小説を、一気に止まることなく読んだ。時代は違えど、自分で生きていくことを選んだ女性の生き様をとてつもなくリアルに描写していて、共感する場面も。孤独感みたいなものも、一つのテーマに感じられて、まさに結婚がそう多くない今のご時世に通ずるところも。
Posted by ブクログ
バブル真っ只中、高級なお鮨屋さんに通うために
仕事に恋に頑張る主人公
とても面白くてスラスラ読めた
でも最後がちょっと複雑…
私が妻だったら嫌だなぁ
Posted by ブクログ
一気読みしてしまった。
正直青子みたいな女性は合わないかもなって思っていましたが、就活生の時に、まさに青子みたいなバリキャリ女子に憧れていた事を思い出しました。
ここまで一心不乱に打ち込むっていうのはかっこいい。
一ノ瀬さんとの関係も片想いしながらも、
10年間振り返った時に、切磋琢磨しあえた仲で素敵だなって思いました。
(正直初めはちょっとゾワッとした部分がありました。)
他の作品も読んで見ようと思います。
Posted by ブクログ
BUTTERで魅了された柚木麻子さんが描く鮨屋×バブルを舞台とした小説とのことで手をとってみた。
まさに親から聞いてた通りのみんなが浮かれていてギラギラしてたバブル全盛期
ユーミンや尾崎豊にひょうきん族、資産や税金対策のために買うマンションやラッセンの絵、肩パッドたっぷりの服を着たスナックのママ、ジュンコシマダやアニエスベーの服を着る主人公
眩しくてどこが切ないバブル期を終始ありったけの固有名詞で表していて、その時代を生きていた気持ちになれて楽しかった。
なんと言ってもお鮨の表現が美味しそうで美味しそうで…
おぼろとかタコの桜煮とか知らない料理を検索しては幸せな気持ちになった。
はじめての銀座の鮨をきっかけに地元の栃木に戻る事を辞め、東京に居座ることを決め
まだ男尊女卑も強く残る中バリバリとキャリアを積みデベロッパーの課長にまでなった主人公の青子。
彼氏やセフレがいた時期もあったが、常に心にいたのは鮨屋の若大将。
当初の友達とは価値観なども変わり、銀座のママと親友になっていく。
なりたいとは思わないけど、自分の確固たる大切なものを見つけ東京という忙しない街で輝き続け、居場所を求め続けた彼女の生き様は刹那主義的でカッコよかった。
Posted by ブクログ
バブルの時代、男尊女卑があからさまだった時代。
ディズニーランドが開園して3年…という文面に、えっ!と驚いてしまった。この時代を社会で懸命に働いて生きる女性の力強さと、粋な寿司のノウハウが散りばめられてい手興味深く読んだ。
Posted by ブクログ
audible58冊目。
柚木さんの作品はほっこりした雰囲気の印象が強かったのだけど、今作は「バブル期のバリキャリOLが高級寿司店に通う」お話ゆえ、ギラギラした感じでした。
それもまた良かったです。
高級寿司店を通しての人間模様(男女の駆け引きも含めて)も面白かったです。
いろいろな人と関わるし気を引いておくしキープもしておくけど、想い人は別のただ1人…って、実は結構切ない。
その人は手の届く目の前にいるのに、自分とは別の、しかも知っている女といつのまにか結婚することになっていたという…
ラストの2人の場面のやりとりは、意味深だなあと思います。
相手に惹かれていても、自分の人生に寄り添ってくれるかどうか、自分の人生に合うかどうか…は別物ってことかなあ。
なんか、それもそれで切ない。
あの後2人はどうなったのだろう、いろいろな解釈ができそうです。