あらすじ
銀座鮨店に10年通ったバブル期OL物語。
80年代。都内で働いていた青子は、25歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰る決意をする。その日、彼女は送別会をかね、上司に連れられて銀座の高級鮨店のカウンターに座っていた。彼女は、そのお店で衝撃を受ける。そこでは、職人が握った鮨を掌から貰い受けて食べるのだ。青子は、その味にのめり込み、決して安くはないお店に自分が稼いだお金で通い続けたい、
と一念発起。東京に残ることに決めた。
お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱きながら、転職先を不動産会社に決めた青子だったが、到来したバブルの時代の波に翻弄されていく。
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Posted by ブクログ
私も就職で上京して3年。
物質的には恵まれた何でもある東京で、良いも悪いも全てを受け止めて、揉まれて、それでも1人の力で生きていくには、自分の全てをかけられる絶対的な何かが必要だと感じた。
食、人、住まい、金、若さ、永遠ではないにせよ、そのときの自分にとって間違いのないもの、信じられるものを何かひとつでも見つけられるのが大切なのかな。
Posted by ブクログ
p101 以下の文章からは、主人公・青子が、昇進してお金も手に入れて恋愛を楽しむ余裕が出てきていることがうかがえる。
「カウンターの下で、広瀬の手がそっと、自分のそれに伸びてくる。彼が満足するなら、指先ぐらい好きにさせてやろうと思った。なぜなら、青子の心と体は自由だからだ。誰のものでもない。一ノ瀬さんの手をとることが出来ないのと引き換えに、青子は無限の自由を手に入れたのだ。」
Posted by ブクログ
とても良かった。
柚木麻子さんの小説は初めて。
『BUTTER』で話題になっていて、気になった。
とりあえず、どんな作品があるのか、確認して、この本が読みたくなった。
氷河期の私より少し上のバブル世代の女性の10年。
寿司屋の一ノ瀬に会いにいく青子。
自分の安心できる場所。
自分が自分らしくなれて好きになれる場所。
そういう場所があるって本当に大切だ。
とても共感できた。
男女の仲にならない方が、いいのかなって思う。
最後にお互いの気持ちがわかったし、青子の手をにぎりたいという願いも叶った。
だけど、一ノ瀬が言うように、男女になって結婚となるとうまくいかない気がするというのは当たっていると思う。
そこに踏み込まない間柄の方が、より一層深い関係に繋がっている気がする。
良い思い出はそのままにして、心の糧に生きていく方が幸せだと思う。
Posted by ブクログ
素敵な関係だった。結ばれないほうがいつまでも心に残るような気がする。高級鮨食べたいし、常連になりたい。私もたくさん稼いで自分のお金で自由に好きなものを食べる人生を送りたい。
Posted by ブクログ
主人公がお店に通うために、キャリアアップしたり食の知識を増やしていく向上心が良かった。客と板前という立場を弁え、自分本位にならず約10年も通い続けたのは本当にストイックだと思う。表紙の雰囲気からもっと男女の関係に動いていくのかと思ってたけど、良い意味で裏切られた。どちらかというと推し活寄りの恋愛小説かも。
青子自身が時代の荒波に揉まれていくから、最後までどうなるんだろう?と予想がつかなくて楽しめた。仕事関係の描写や世界情勢の話題も多いから、いわゆる恋愛!というような甘ったるい雰囲気が苦手な人でも読みやすいと思う。
ラストにようやく一ノ瀬さんがこちら側に来てくれて、初めて横並びで本音を話すシーンが美しかった。きっと今後の青子の中でこのお店に通った日々はいつまでも褪せない宝物のような思い出になるんだろうな、と思う。
月が綺麗な夜のような、余韻がありながらもモヤモヤが残らないスッとした終わり方だった。
鮨の味の描写や比喩を使った情景描写も巧みで、柚月さんの他の作品も読んでみたくなった。
Posted by ブクログ
やっぱり東京って良くも悪くも魔性の街なんだなと思った。読み進めるごとに青子の性格が荒んでいって、面白くもあったが恐ろしくもあった。一ノ瀬と恋愛関係にならないことは薄々気づいていたが、最後までプラトニックで終わったのは意外だった。お寿司が食べたくなった。