【感想・ネタバレ】反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパークVのレビュー

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Posted by ブクログ 2021年07月12日

最後の短編は刺さった。多分IWGPシリーズで一番印象に残った話。ちょっと泣きそうになった。自殺する人間について外側からかかわる人間視点の話だけど、やっぱり残された人間の心情描写が素晴らしい作品はいいよね。たぶん自殺する人間に寄り添った語りの話もたくさんあるんだろうけど、夏目漱石の「こころ」にせよ小説...続きを読むってのは消えていく人間のすべてを描写することではなくて、それは謎に包みながらも、残された人間のやるせなさとかが描かれるべきなんだなと思った。

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Posted by ブクログ 2020年11月13日

本作も例によって一冊に4篇を収めた体裁である。
“スカウト”という仕事に携わる若者が巻き込まれたトラブルをどうにかしようとする物語…往年の大人気シンガーが関わってしまった一件を巡る物語…大人気の玩具の製造工程の裏に在る問題を告発しようとする物語…ネットの掲示板で人を募って集団自殺をすることを仕掛けて...続きを読むいる謎の人物の正体を暴いて阻止しようとする若者達の物語…そういう4篇である。
本作は、発表された時代の新しい風俗、新奇に見える事象を採り入れるようにしている。そういう意味で、年月を経てから作品に触れると、発表当時に新奇であったモノが古い感じに視える場合がないでもない。が、発表年次と無関係に、このシリーズの新旧作品をドンドン読んでいるが、そういう辺りは然程気にならない。劇中人物達が使うモノに言及が在った際に、「XX年頃だな…」と気付くというだけのことだ。
本作は、発表された時代毎の新奇に見える事象等を巧みに採り入れてはいるのだが、「時代を超える魅力」を有していると思う。市井の、特別な地位や立場という程でもない若者が、何やらのトラブルをどうにかすべく奔走してみるという様子を介して、「どうしてこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」、「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」というような、「人生を見詰める材料」というのか「“材料”になり得るかもしれない何か」を供してくれるような気もするという辺り、「面倒な時代かもしれない。それでも生きる俺達…」という「人生の価値」を問うような感じが魅力のように思う。
この第5作の中、秀逸だったのは4つ目の篇である、表題作ともなっている『反自殺クラブ』だった。
少し前、何時であったか読んだ週刊誌に在った、何方かのエッセイ、またはインタビューの口述筆記に在ったのだが「感染症で命を落とす人よりも、自殺者の方が余程多いのでは?」という事実が間違いなく在ると思う。それはこの小説が発表された頃の前も後も、そして極最近も残念ながら余り変わっていないのかもしれない。だから、この作品が少し考えさせられたのだ。
主人公のマコトを訪ねて若者達が現れた。マコトは彼らの活動への協力を依頼された。
その活動というのは…ネットの掲示板で人を募って集団自殺をすることを仕掛けている謎の人物の正体を暴いて阻止しようということであった。そして若者達は、親が自殺してしまった経過が在る“自殺遺児”という共通項を持っていた。
若者達は、自分達のグループのことを“反自殺クラブ”と称していて、それが物語の題名にもなっている。この若者達とマコトの行動、事態がどういう具合になるのかに関しては、是非とも本作を紐解いて頂きたい。意外な展開にも少し驚く。
それにしても…命は命を有する者自身のモノであるが、同時に周辺の多くの人達が、殊に身近な家族のモノでもある。そんな「命?その価値?」というようなことを深く強く考えさせられた。
何れにしても広く御勧めしたいシリーズだ!

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Posted by ブクログ 2019年02月20日

ちょうどいい話の長さで、読み応えもありました。ドラマが凄く好きで、小説があったことに驚き読み始めましたが、ドラマではおちゃらけ具合が怖さを引き立ててるキングも、小説では氷のような冷たい言葉で端的に話クールな男。まこっちゃんなんてクラシック聴いてコラムニスト!と最初は驚きながらも、これはこれで凄く楽し...続きを読むかったです。キングとタッグを組んでいろいろな事件を解決していく様はかっこよかった。

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Posted by ブクログ 2024年03月31日

【2024年68冊目】
今作も真島誠が池袋を駆け抜ける――歩くだけで視線を奪うスカウトマン、往年のロックスターの大博打、人形に姉を殺された中国人女性、自殺を止めるため東奔西走する反自殺クラブとスパイダー。池袋ウエストゲートパークシリーズ第五弾。

シリーズを追うごとにどんどんとキャラクターにも深みが...続きを読むでて、面白くて仕方がない本作。誠が向き合う事件は面白いと表現しては不謹慎なものも多いのですが、物語の構成と魅力的なキャラクターを前にすると、やっぱり「面白い」というのが最初に口をついて出てしまいます。

五作目を読んで思ったのが、ちゃんと登場人物たちが日常を生きていることが丁寧に書かれているなということ。特に探偵業をしてもお金をもらうことはほとんどない主人公ですから、その他の部分がわからなければ、どうやって食ってんだろう?となって、途端に虚構感が強くなる。

けれど、誠の日常として、フルーツ屋という地に足つけた商売をちゃんとしているとこがきっちり描写されているので、本当に彼が送る池袋での日常の延長線上として、そして同じ世界に住む人間として物語に入っていけているのではないかなと思います。

きっと石田衣良さんの仕掛けてるポイントはそこだけではないんでしょうけれど。読む手を止められないシリーズです。

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Posted by ブクログ 2022年12月02日

スカウトマンズ・ブルース
IWGPだなあって話

伝説の星
いつもと形成逆転の話

死に至る玩具
ニッキー人形の話
今の日本でも聞いた覚えがあるなあ

反自殺クラブ
うーん重い。人が死ぬ話は好きじゃない

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Posted by ブクログ 2022年02月02日

自殺とか、裏切りとか、地面師とか、普段の日常ではもうあまり目にしない光景をこの小説を読んでると想像できる。

ストーリーは毎回似ている部分もあるけど、僕はこの石田衣良さんの言葉が好きです。比喩とか例えが用いられているのですが、そのセンスが抜群にいい。

そして結構、いろんなことを考えさせられる小説で...続きを読むもある。面白くてすぐ読んでしまいました。

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Posted by ブクログ 2021年01月13日

IWGPの5巻。
おれはいつも長瀬を被せながら、IWGPを読んでいる。
マコトは長瀬、キングは窪塚だ。
マコト口調になってしまったが、5巻目も変わらない作風で楽しませてもらいました。若者の価値観、東京での流行をきちんと作品におさめ、なおかつ、真島誠のトラブルシューター力を奇想天外に描くこの作品はいつ...続きを読むも楽しませてくれます。4つのストーリーが収録されてるが、『反自殺クラブ』と『スカウトマンズブルース』が実際にありそうな話で、内容に引き込まれた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年10月02日

「どれほど苦しんでも悩んでもいい。その最低の姿を見せてくれ。その姿に勇気づけられるやつがきっといる。俺たちはそうやってなんとか生き延びてきたんじゃないか」
に感動。

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Posted by ブクログ 2016年09月13日

かれこれ何年振りか、シリーズの続きを会社の方に貸して頂き久々この世界へ。

40代のおばちゃんには、この本の世界は若々しく、初々しく元気があってとても楽しく感じられた。

以前読んでいた頃は20~30代で、割と等身大で読んでいた気がするのだが、今はもうマコトのお母さん目線(笑)
マコトのお母さんの振...続きを読むる舞いが実に清々しい(^^)

テンポも良くてサクサク読めてしまう。
中高生にも楽しく読める作品なのではないかな。

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Posted by ブクログ 2015年10月17日

中国の労働環境、今で言うコンプライアンスに関わる問題、集団自殺など奥深い社会問題にメスを入れながら、ストーリーとして進んで行く。考えさせられる小説だね。

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Posted by ブクログ 2015年09月05日

「スカウトマン・ブルース」よい。こんな男の子に会ってみたいものであるw
「伝説の星」は、おおっと!w こんなこともあるのねww
そうか、衣良さんはやっぱりマコトみたいなひとなのか♪

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Posted by ブクログ 2015年04月22日

ここまでくるとマンネリ…なんだけど、それでも興味深く読める話もあり。ここまできたら最後まで読もうかな。

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Posted by ブクログ 2015年04月13日

週末を挟んで少し時間がかかりましたが、さっと読めました。表題作、なかなか読み応えあったなぁ。なかなか考えさせられました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年04月06日

『スカウトマン・ブルース』スカウトのプロ・タイチに焦がれて風俗スカウトの罠にはまるしのぶ。本部長代行のサル、偉い人だったんだ。。吉岡刑事との信頼関係もますますあったかい。キングとボーイズたちは相変わらずスマートに暴力的ですてき。結構えぐい裏社会の事件だけど、春先の景色とマコトの友情が印象的。軽めで結...続きを読む構すき。
『伝説の星』過去のスター歌手・タカを不動産詐欺の罪から救ったつもりがちゃっかりだまされていたはなし。数十年後の自分に思いを馳せてタカの新曲に心動かされるマコト、ちょっとセンチメンタルである。いろんな人種が入れ替り立ち替り事件を持ち込むこのシリーズだけど、破天荒の先輩、という立ち位置は初めてだったんだな。今を生きるマコトが、未来を不安に思うところに生きている物語を感じる。
『死に至る玩具』人形大流行の影で過剰労働を強いられ命を落とした姉、正義を求め来日した妹とともに大手玩具会社を相手取る。Gガールズ大活躍回。裏社会の風俗とかが多い中、国際社会的問題で難しいテーマだけど程よくまとめられてエンタメとしておもしろかった。
『反自殺クラブ』自殺遺児たちの組織と、集団自殺幇助常習者を追う話。クモの存在と行動理念にSYCHOPASSがよぎった。

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Posted by ブクログ 2014年10月18日

池袋シリーズ第5段。
スカウトマン・ブルース、伝説の星、死に至る玩具、反自殺クラブ。
こう各題目を並べてみるだけでも、センスあるなあと思います。
毎回表題作は本当に読み応えがあるのに、読みやすい(これ最高)で今回も反自殺クラブはわくわくしながら読みました。
でも一番考えさせられたのは死に至る玩具。
...続きを読む自分の身の回りのもので中国製なんて山ほどあって、なのに、それがどんな工場でできてるなんてわたしは考えたことがなかった。確かに海外だと人件費が安いなんていまじゃ常識になっているけど、その実情なんて知ってる人なんてほとんどいない。
何もできないかもしれないけど、知ってるのと知らないのでは全然違うと思いました。

読みやすくてついつい池袋シリーズに手がでますが、
ちょっと慣れてきたので、6読むのはちょっと間をあけようと思います。

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Posted by ブクログ 2014年10月01日

自殺を止めるために生きるのも自殺を助けるために生きるのも実際には死に捉われていることに変わりはないのかなと思ったりする.

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Posted by ブクログ 2013年03月16日

本当は五つ★でもよいくらい大好きになったシリーズだけれど、まだまだお楽しみは続くと思うので。

『「マコト、また金はいらないのか」
「ああ、おれ、ほんとうはすごくリッチなんだ」
そいつは誰にでも簡単なことのはずだ。欲望のおおきさに金の額をあわせるのではなく、手もちの額に欲をあわせればいい。それ...続きを読むに金のかからないお楽しみだって、この世界には嫌というほどたくさんあるしな。』

『おれたちは洗練された客であることにのぼせあがり、商品棚から奥のことはこれっぽっちも考えない。誰がどこで商品をつくったかなんて、どうでもいいことなのだ。』

このシリーズは希望や勇気、ほんの少しの道標を与えてくれるのだ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年08月01日

このシリーズ積読5冊目。

スカウトマンズ・ブルース
感覚的にはドラマ版にありそうな内容の印象。
ヤクザ絡みのトラブルシューターとしてマコトが一肌脱いで、ささっと解決してしまう感じです。

伝説の星
過去の栄光を糧にビッグドリームを叶え用とした結果、ヤクザに追われることになるスターを救う話。
マコト...続きを読むがこの先着るスーツはこの話で仕立てられたものなんでしょうか。

死に至る玩具
日本の玩具を作る工場の悲劇の真相を世に知らしめるため、メーカーという大企業と相対する。
十数年前の中国で起きてそうな労働問題を取り上げた話のようでした。
今は東南アジアからくる技能実習生に対象が変わっているだけで、日本の企業の闇は変わっていないように感じました。

反自殺クラブ
自殺に家族を奪われた3人と共闘して、自殺サイトの主を引き釣りだす。
この頃たしかに集団自殺とかが社会問題になっていたように思います。練炭とか、硫化水素とか・・・
積読していると改めて日本の闇が様変わりしているんだなと思いました。

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Posted by ブクログ 2022年04月23日

「スカウトマンズブルース」は、風俗店のスカウトを務めるタイチという少年と、彼にあこがれるしのぶという少女をめぐる事件をあつかっています。けっしてつまらないというわけではないのですが、いつものようにタカシとサルの協力を得ながら、ストリートで起こる事件をマコトが解決にみちびくという内容で、正直なところ既...続きを読む視感もおぼえはじめています。

「死に至る玩具」は、中国の過酷な労働環境のもとで働かされ死んでしまった姉をもつ、紅小桃という中国人の女性に、マコトが協力する話。

「反自殺クラブ」は、ネットを通じた集団自殺を止める活動をしているミズカたちの依頼を受けて、マコトが自殺サイトの管理人を追う話。著者があつかおうとしているテーマそのものは理解できるのですが、テーマの多面性を結末で明かそうとする意図が露骨で、途中のマコトたちの熱意が無駄に空まわりさせられているように感じてしまいました。

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Posted by ブクログ 2020年12月10日

IWGPシリーズの5作目。
4つからなる中編小説。
リアルな話ばかり。
人と人との繋がりって大切だな。

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Posted by ブクログ 2020年11月22日

IWGPシリーズ第5弾
「スカウトマン・ブルース」スカウトマンのトラブルの話
「伝説の星」大スターの土地の詐欺事件の話
「死に至る玩具」中国の工場で待遇改善を目指す話
「反自殺クラブ」集団自殺を止めるためのクラブの話
自殺、死に関する重い話だが、今回も安定のマコトの活躍である

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Posted by ブクログ 2020年09月22日

スカウトマンズブルース
この仕事をしてると、なぜかそうじゃない周りの女の子も風俗嬢になっていく
関係が近ければ近いほど

そんなことを思い出した一話でした。

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Posted by ブクログ 2017年03月23日

既刊に比べて社会問題色が強い作品が多いように思う。ちょっと重いし、マコトのいい意味でのバカさ加減が若干弱いかな。相変わらずの題名のセンスが最高!

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Posted by ブクログ 2016年09月16日

今日も池袋には事件が香る。
風俗スカウト事務所の罠にはまったサンシャイン60階通りのウエイトレス。
伝説のスターが設立を夢見るロックミュージアムの真実。
集団自殺をプロデュースするインターネットの“クモ男”―。
ストリートの「今」を鮮やかに描くIWGPシリーズ、切れ味がさらに増した第5弾。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年01月16日

今までは短編3本と中編1本という配分でしたが、今回はほぼ同じ長さの短編が4本。

マコトと池袋に住む人たちの心の触れ合いがあってこその物語だとずっと思ってきたし、今も思っている。
今回はそう意味では面白くなってしかるべきはずなんだけど、あんまり面白くなかったな。

マコトが「自分はたいしたことがない...続きを読む」という度に、事件をうまく解決するマコトの姿とマコトの自己認識が乖離していってしまう。

高卒で、学生時代は落ちこぼれで、そこそこケンカに強くて、クラシックや現代建築に造詣が深くて、女の子にもてないと言いながら近寄ってくる女の子には「自分を大事にしろよ」と諭して追い返す。
鼻持ちならないよね、マコト。

その彼が、短編で、事件に関わった人たちと接触しても、どうも上っ面だけにしか感じられない。

「俺は、自分では何もできないやつなんだ!」と言いながら、海賊王を目指しているやつと、いったい何が違うんだろう。
グロテスクなシーンがなかったのはよかったけれど、全体的に薄っぺらい話だったような気がした。

時代を切り取るって難しい。
切り取っただけではだめなんだ。
切り取ったものになにがしかの視点や思想を加えなければ、それはただの情報の垂れ流しになってしまう。
そんなことを思った。

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Posted by ブクログ 2015年01月03日

今回は比較的血を見ない展開でしたので、読みやすかったです。とは言うものの、時事問題に切り込んでいく(巻き込まれていく?)マコトがトラブルを解決しても、一過性であり、根は深いものが残されているなぁと思いました。これを書かれたのはだいぶ前になるのでしょうけれど、今でも問題が残されている気がします。

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Posted by ブクログ 2013年09月14日

2013/9/14
シリーズ第5冊目。気負って読まないでいいからさくっと自分のペースで読める。

主人公はかっこいいなあ。

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Posted by ブクログ 2013年09月07日

IWGPシリーズ、読み進めています。
「スカウトマン・ブルース」「伝説の星」「死に至る玩具」「反自殺クラブ」

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Posted by ブクログ 2015年03月18日

BURN TO SHINE(輝くためには燃えなくっちゃ!)
IWGP池袋ウエストゲートパークシリーズって何だべな?と思いながら読み始めたこの作品です。4TEENのような清々しい楽しい内容は期待どおりでした。
この前読み終えた「ピエタ」のようなジワッとくる作品とは比べようもありませんが、これはこれで読...続きを読む者が求める需要のある作品だと思います。
「反自殺クラブ」彼女自身、心にキズを持ちながら精神科の開業女医として暮らす辛さや、巻き込まれ役の主人公・その友人たち、生きることと死んでいくことのとらえかたをうまく描いていると感じました。

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Posted by ブクログ 2023年04月03日

お馴染みのIWGP第5弾。
中国に行った飛行機の中で読んでいたのだけど、質量ともに旅の友としては安心して持って行けるというところ。
今回は中国を扱った物語があったけど、持ち込まれる事件はその時代時代の風俗を切り取り、回りに描かれる細かな風景やファッションはそれを際立たせる。その辺はこの作家の真骨頂。...続きを読む
しかし、マコトは歳を取らんね。

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