あらすじ
マコトが行くところ、今日も池袋に事件がにおう。風俗スカウト事務所の罠にはまったサンシャイン60階通りのウエイトレス。伝説のスターが設立を夢見るロックミュージアムの真実。「わたしの姉はおもちゃの人形をつくるために死んだ」と、巨大企業と闘うため中国からひとりでやってきた娘。集団自殺をプロデュースするインターネットの“クモ男”──。ストリートの「今」を鮮やかに描くIWGPシリーズ、切れ味がさらに増した第5弾!
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高校生の時に、新幹線に乗るのに本を買おうと駅のお土産も売ってるような売店でネーミングにつられてふと手に取った1冊。
ここから石田衣良さんのファンになった大事な1冊
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本作はGボーイズがあまり目立たなかった。
「スカウトマン・ブルース」、「伝説の星」、「死に至る玩具」この3章でタカシ、Gボーイズたちはしっかりと関わるのに存在感が薄い。
「スカウトマン・ブルース」ではマコトとメインキャラクターのタイチの価値観が似ていてサルくんとタカシの世話にはなるんだけど、マコトとタイチがカッコよかった。もちろん出世頭のサルくんもカッコよかったよ。
「伝説の星」は後味が肩透かしでマコトの味が薄味だった。マコトが大人になり始めているのを感じた。
「死に至る玩具」はボーイズじゃなくガールズを初めて活躍させたお話で良かった。
マコトにはまだまだガキでいてほしいのにとても魅力的な男になっちゃてる。
このシリーズは最高だ。
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最後の短編は刺さった。多分IWGPシリーズで一番印象に残った話。ちょっと泣きそうになった。自殺する人間について外側からかかわる人間視点の話だけど、やっぱり残された人間の心情描写が素晴らしい作品はいいよね。たぶん自殺する人間に寄り添った語りの話もたくさんあるんだろうけど、夏目漱石の「こころ」にせよ小説ってのは消えていく人間のすべてを描写することではなくて、それは謎に包みながらも、残された人間のやるせなさとかが描かれるべきなんだなと思った。
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本作も例によって一冊に4篇を収めた体裁である。
“スカウト”という仕事に携わる若者が巻き込まれたトラブルをどうにかしようとする物語…往年の大人気シンガーが関わってしまった一件を巡る物語…大人気の玩具の製造工程の裏に在る問題を告発しようとする物語…ネットの掲示板で人を募って集団自殺をすることを仕掛けている謎の人物の正体を暴いて阻止しようとする若者達の物語…そういう4篇である。
本作は、発表された時代の新しい風俗、新奇に見える事象を採り入れるようにしている。そういう意味で、年月を経てから作品に触れると、発表当時に新奇であったモノが古い感じに視える場合がないでもない。が、発表年次と無関係に、このシリーズの新旧作品をドンドン読んでいるが、そういう辺りは然程気にならない。劇中人物達が使うモノに言及が在った際に、「XX年頃だな…」と気付くというだけのことだ。
本作は、発表された時代毎の新奇に見える事象等を巧みに採り入れてはいるのだが、「時代を超える魅力」を有していると思う。市井の、特別な地位や立場という程でもない若者が、何やらのトラブルをどうにかすべく奔走してみるという様子を介して、「どうしてこういう時代になった?」、「本当にこういう感じで人々は幸せか?」、「こういう様子が“正しい”のか?“正しくない”でも構わないかもしれないが、納得し悪い?」というような、「人生を見詰める材料」というのか「“材料”になり得るかもしれない何か」を供してくれるような気もするという辺り、「面倒な時代かもしれない。それでも生きる俺達…」という「人生の価値」を問うような感じが魅力のように思う。
この第5作の中、秀逸だったのは4つ目の篇である、表題作ともなっている『反自殺クラブ』だった。
少し前、何時であったか読んだ週刊誌に在った、何方かのエッセイ、またはインタビューの口述筆記に在ったのだが「感染症で命を落とす人よりも、自殺者の方が余程多いのでは?」という事実が間違いなく在ると思う。それはこの小説が発表された頃の前も後も、そして極最近も残念ながら余り変わっていないのかもしれない。だから、この作品が少し考えさせられたのだ。
主人公のマコトを訪ねて若者達が現れた。マコトは彼らの活動への協力を依頼された。
その活動というのは…ネットの掲示板で人を募って集団自殺をすることを仕掛けている謎の人物の正体を暴いて阻止しようということであった。そして若者達は、親が自殺してしまった経過が在る“自殺遺児”という共通項を持っていた。
若者達は、自分達のグループのことを“反自殺クラブ”と称していて、それが物語の題名にもなっている。この若者達とマコトの行動、事態がどういう具合になるのかに関しては、是非とも本作を紐解いて頂きたい。意外な展開にも少し驚く。
それにしても…命は命を有する者自身のモノであるが、同時に周辺の多くの人達が、殊に身近な家族のモノでもある。そんな「命?その価値?」というようなことを深く強く考えさせられた。
何れにしても広く御勧めしたいシリーズだ!
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ちょうどいい話の長さで、読み応えもありました。ドラマが凄く好きで、小説があったことに驚き読み始めましたが、ドラマではおちゃらけ具合が怖さを引き立ててるキングも、小説では氷のような冷たい言葉で端的に話クールな男。まこっちゃんなんてクラシック聴いてコラムニスト!と最初は驚きながらも、これはこれで凄く楽しかったです。キングとタッグを組んでいろいろな事件を解決していく様はかっこよかった。
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今回は立ち向かう相手もマコトやGボーイズより格下が多く、比較的平和な1冊だった。『死に至る玩具』と表題作が印象的。中国工場の過酷な労働環境の実態を、発注元の日本企業に訴える少女の戦い。今でこそSDGsからエシカル消費が浸透してきているように感じるが、発刊当時はまだまだ下火だったように思う。消費者側から見えない部分をどう選択していくかは難しい。現実ではこうはいかないだろう企業の対応も良かった。表題作は軽く書かれているが、クラブの面々はもちろん、マコトも精神的ダメージは大きかっただろう。やり切れない展開。マコトはトラブルシューターの能力が高すぎる。本業にした方がいい。
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IWGP5作目。
安定安心の面白さ。マコトくんがかっこよすぎ。
石田衣良さんが大好きですが、その贔屓目を差し引いても、この方は旬のネタをいち早く見つけて小説にする能力に長けてる。でも、20年前の小説なのに、古さを感じず、むしろ今年の流行語にもなった地面師トラブルの題材も。
そして言葉の言い回しがイチイチ上手い。
キャラ設定も魅力的。
ワンパターンと言ってしまえばそれまでかもしれないけど、名探偵コナンとかドラマの相棒とか(よく知らないけど)、そんな領域かと。
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【2024年68冊目】
今作も真島誠が池袋を駆け抜ける――歩くだけで視線を奪うスカウトマン、往年のロックスターの大博打、人形に姉を殺された中国人女性、自殺を止めるため東奔西走する反自殺クラブとスパイダー。池袋ウエストゲートパークシリーズ第五弾。
シリーズを追うごとにどんどんとキャラクターにも深みがでて、面白くて仕方がない本作。誠が向き合う事件は面白いと表現しては不謹慎なものも多いのですが、物語の構成と魅力的なキャラクターを前にすると、やっぱり「面白い」というのが最初に口をついて出てしまいます。
五作目を読んで思ったのが、ちゃんと登場人物たちが日常を生きていることが丁寧に書かれているなということ。特に探偵業をしてもお金をもらうことはほとんどない主人公ですから、その他の部分がわからなければ、どうやって食ってんだろう?となって、途端に虚構感が強くなる。
けれど、誠の日常として、フルーツ屋という地に足つけた商売をちゃんとしているとこがきっちり描写されているので、本当に彼が送る池袋での日常の延長線上として、そして同じ世界に住む人間として物語に入っていけているのではないかなと思います。
きっと石田衣良さんの仕掛けてるポイントはそこだけではないんでしょうけれど。読む手を止められないシリーズです。
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スカウトマンズ・ブルース
IWGPだなあって話
伝説の星
いつもと形成逆転の話
死に至る玩具
ニッキー人形の話
今の日本でも聞いた覚えがあるなあ
反自殺クラブ
うーん重い。人が死ぬ話は好きじゃない
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自殺とか、裏切りとか、地面師とか、普段の日常ではもうあまり目にしない光景をこの小説を読んでると想像できる。
ストーリーは毎回似ている部分もあるけど、僕はこの石田衣良さんの言葉が好きです。比喩とか例えが用いられているのですが、そのセンスが抜群にいい。
そして結構、いろんなことを考えさせられる小説でもある。面白くてすぐ読んでしまいました。
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IWGPの5巻。
おれはいつも長瀬を被せながら、IWGPを読んでいる。
マコトは長瀬、キングは窪塚だ。
マコト口調になってしまったが、5巻目も変わらない作風で楽しませてもらいました。若者の価値観、東京での流行をきちんと作品におさめ、なおかつ、真島誠のトラブルシューター力を奇想天外に描くこの作品はいつも楽しませてくれます。4つのストーリーが収録されてるが、『反自殺クラブ』と『スカウトマンズブルース』が実際にありそうな話で、内容に引き込まれた。
Posted by ブクログ
「どれほど苦しんでも悩んでもいい。その最低の姿を見せてくれ。その姿に勇気づけられるやつがきっといる。俺たちはそうやってなんとか生き延びてきたんじゃないか」
に感動。
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かれこれ何年振りか、シリーズの続きを会社の方に貸して頂き久々この世界へ。
40代のおばちゃんには、この本の世界は若々しく、初々しく元気があってとても楽しく感じられた。
以前読んでいた頃は20~30代で、割と等身大で読んでいた気がするのだが、今はもうマコトのお母さん目線(笑)
マコトのお母さんの振る舞いが実に清々しい(^^)
テンポも良くてサクサク読めてしまう。
中高生にも楽しく読める作品なのではないかな。
Posted by ブクログ
中国の労働環境、今で言うコンプライアンスに関わる問題、集団自殺など奥深い社会問題にメスを入れながら、ストーリーとして進んで行く。考えさせられる小説だね。
Posted by ブクログ
「スカウトマン・ブルース」よい。こんな男の子に会ってみたいものであるw
「伝説の星」は、おおっと!w こんなこともあるのねww
そうか、衣良さんはやっぱりマコトみたいなひとなのか♪
Posted by ブクログ
『スカウトマン・ブルース』スカウトのプロ・タイチに焦がれて風俗スカウトの罠にはまるしのぶ。本部長代行のサル、偉い人だったんだ。。吉岡刑事との信頼関係もますますあったかい。キングとボーイズたちは相変わらずスマートに暴力的ですてき。結構えぐい裏社会の事件だけど、春先の景色とマコトの友情が印象的。軽めで結構すき。
『伝説の星』過去のスター歌手・タカを不動産詐欺の罪から救ったつもりがちゃっかりだまされていたはなし。数十年後の自分に思いを馳せてタカの新曲に心動かされるマコト、ちょっとセンチメンタルである。いろんな人種が入れ替り立ち替り事件を持ち込むこのシリーズだけど、破天荒の先輩、という立ち位置は初めてだったんだな。今を生きるマコトが、未来を不安に思うところに生きている物語を感じる。
『死に至る玩具』人形大流行の影で過剰労働を強いられ命を落とした姉、正義を求め来日した妹とともに大手玩具会社を相手取る。Gガールズ大活躍回。裏社会の風俗とかが多い中、国際社会的問題で難しいテーマだけど程よくまとめられてエンタメとしておもしろかった。
『反自殺クラブ』自殺遺児たちの組織と、集団自殺幇助常習者を追う話。クモの存在と行動理念にSYCHOPASSがよぎった。
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IWGP5冊目。
風俗スカウトだったり、ロックミュージアムだったり、自殺プロデュースだったりと様々な問題を解決するマコト。
何者なんだって、ただの果物屋の息子なんだけれど、読んでいて楽しい。
こんな風に人に頼られて、解決できる人になりたいなぁと。
Posted by ブクログ
このシリーズ積読5冊目。
スカウトマンズ・ブルース
感覚的にはドラマ版にありそうな内容の印象。
ヤクザ絡みの問題をトラブルシューターとしてマコトが一肌脱いで、ささっと解決してしまう感じです。
伝説の星
過去の栄光を糧にビッグドリームを叶え用とした結果、ヤクザに追われることになるスターを救う話。
マコトがこの先着るスーツはこの話で仕立てられたものなんでしょうか。
死に至る玩具
日本の玩具を作る工場の悲劇の真相を世に知らしめるため、メーカーという大企業と相対する。
十数年前の中国で起きてそうな労働問題を取り上げた話のようでした。
今は東南アジアからくる技能実習生に対象が変わっているだけで、日本の企業の闇は変わっていないように感じました。
反自殺クラブ
自殺に家族を奪われた3人と共闘して、自殺サイトの主を引き釣りだす。
この頃たしかに集団自殺とかが社会問題になっていたように思います。練炭とか、硫化水素とか・・・
積読していると改めて日本の闇が様変わりしているんだなと思いました。
Posted by ブクログ
「スカウトマンズブルース」は、風俗店のスカウトを務めるタイチという少年と、彼にあこがれるしのぶという少女をめぐる事件をあつかっています。けっしてつまらないというわけではないのですが、いつものようにタカシとサルの協力を得ながら、ストリートで起こる事件をマコトが解決にみちびくという内容で、正直なところ既視感もおぼえはじめています。
「死に至る玩具」は、中国の過酷な労働環境のもとで働かされ死んでしまった姉をもつ、紅小桃という中国人の女性に、マコトが協力する話。
「反自殺クラブ」は、ネットを通じた集団自殺を止める活動をしているミズカたちの依頼を受けて、マコトが自殺サイトの管理人を追う話。著者があつかおうとしているテーマそのものは理解できるのですが、テーマの多面性を結末で明かそうとする意図が露骨で、途中のマコトたちの熱意が無駄に空まわりさせられているように感じてしまいました。
Posted by ブクログ
IWGPシリーズ第5弾
「スカウトマン・ブルース」スカウトマンのトラブルの話
「伝説の星」大スターの土地の詐欺事件の話
「死に至る玩具」中国の工場で待遇改善を目指す話
「反自殺クラブ」集団自殺を止めるためのクラブの話
自殺、死に関する重い話だが、今回も安定のマコトの活躍である
Posted by ブクログ
スカウトマンズブルース
この仕事をしてると、なぜかそうじゃない周りの女の子も風俗嬢になっていく
関係が近ければ近いほど
そんなことを思い出した一話でした。
Posted by ブクログ
既刊に比べて社会問題色が強い作品が多いように思う。ちょっと重いし、マコトのいい意味でのバカさ加減が若干弱いかな。相変わらずの題名のセンスが最高!
Posted by ブクログ
今日も池袋には事件が香る。
風俗スカウト事務所の罠にはまったサンシャイン60階通りのウエイトレス。
伝説のスターが設立を夢見るロックミュージアムの真実。
集団自殺をプロデュースするインターネットの“クモ男”―。
ストリートの「今」を鮮やかに描くIWGPシリーズ、切れ味がさらに増した第5弾。
Posted by ブクログ
今までは短編3本と中編1本という配分でしたが、今回はほぼ同じ長さの短編が4本。
マコトと池袋に住む人たちの心の触れ合いがあってこその物語だとずっと思ってきたし、今も思っている。
今回はそう意味では面白くなってしかるべきはずなんだけど、あんまり面白くなかったな。
マコトが「自分はたいしたことがない」という度に、事件をうまく解決するマコトの姿とマコトの自己認識が乖離していってしまう。
高卒で、学生時代は落ちこぼれで、そこそこケンカに強くて、クラシックや現代建築に造詣が深くて、女の子にもてないと言いながら近寄ってくる女の子には「自分を大事にしろよ」と諭して追い返す。
鼻持ちならないよね、マコト。
その彼が、短編で、事件に関わった人たちと接触しても、どうも上っ面だけにしか感じられない。
「俺は、自分では何もできないやつなんだ!」と言いながら、海賊王を目指しているやつと、いったい何が違うんだろう。
グロテスクなシーンがなかったのはよかったけれど、全体的に薄っぺらい話だったような気がした。
時代を切り取るって難しい。
切り取っただけではだめなんだ。
切り取ったものになにがしかの視点や思想を加えなければ、それはただの情報の垂れ流しになってしまう。
そんなことを思った。
Posted by ブクログ
今回は比較的血を見ない展開でしたので、読みやすかったです。とは言うものの、時事問題に切り込んでいく(巻き込まれていく?)マコトがトラブルを解決しても、一過性であり、根は深いものが残されているなぁと思いました。これを書かれたのはだいぶ前になるのでしょうけれど、今でも問題が残されている気がします。
Posted by ブクログ
BURN TO SHINE(輝くためには燃えなくっちゃ!)
IWGP池袋ウエストゲートパークシリーズって何だべな?と思いながら読み始めたこの作品です。4TEENのような清々しい楽しい内容は期待どおりでした。
この前読み終えた「ピエタ」のようなジワッとくる作品とは比べようもありませんが、これはこれで読者が求める需要のある作品だと思います。
「反自殺クラブ」彼女自身、心にキズを持ちながら精神科の開業女医として暮らす辛さや、巻き込まれ役の主人公・その友人たち、生きることと死んでいくことのとらえかたをうまく描いていると感じました。