あらすじ
時給300円弱。茨城の“奴隷工場”から中国人少女が脱走した。彼女が戻らなければ、250人の研修生は全員が強制送還される。タイムリミットまで、あと1週間。捜索を頼まれたマコトは、池袋チャイナタウンの裏組織“東龍(トンロン)”に近づくが…万策つきた時、マコトの母が出した秘策とは? 悪徳エステの被害者同盟、ホームレスを食い物にする失業保険詐欺、彼女いない歴28年サラリーマンの頼みと、マコトは今日も忙しい。最強人気シリーズ第9巻!
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「キャッチー・オン・ザ・目白通り」この章では珍しくマコトがタカシと関わる時間が長かったように感じた。それもタカシの魅力を最大限に表現していてマコトが少し可哀想だったw
「家なき者のパレード」は敵の構造がとても複雑で興味深かった。 最下位の貧困ビジネスだろう。
「出会い系サンタクロース」、また古い友人のサルくんが活躍するそっちの世界のお話。 さらにサルくんを出世させるようなオチに向かうが、いつも良い思いはできない。 今回は残念だったねw
「ドラゴン・ティアーズー龍涙」、僕がこれを読んだ2024年ではもしかしたら、出版当時と感覚が少し違うだろうか。 面白い内容だったけれど、自分本位な国民性を強調しているように受け取ってしまった。 自分勝手な中国籍女性に救いのあるストーリーだっただけに、巻き込まれた人たちが可哀想とただただ思いました。 続編にも影響があるのかしら…
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表題作が面白い。
なんと言ってもマコトの母ちゃんがかっこいい。
キップが良くて肝心なところをビシッと一言で決める。流石、マコトの母ちゃん。
出てくる中華ギャングも含めて余り後味の悪い奴は出てこない。
最後の落とし所が素晴らしい。
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時給300円弱。
茨城の“奴隷工場”から19歳の中国人少女が脱走した。
彼女が戻らないと、250人の研修生は全員が強制送還される。
タイムリミットは1週間。
捜索を依頼されたマコトは、チャイナタウンの裏組織“東龍”に近づく。
彼女の事情を知り、板ばさみになり悩むマコト。
万策つきた時、マコトの母が考えた秘策とは。
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シリーズ9作目。段々と角が取れて丸くなっている感じです。平たく言えば私の苦手な暴力描写が少なくなっている気がします。それが良いのか悪いのかは人それぞれでしょうけれど、私は読みやすくて安心します。
さて、今回も社会問題満載でした。そしてその被害者はやはり弱者で、これらの話が書かれてから数年経っているけれど、未だ過去の話になっていない現実を思うと、やりきれなくなります・・。
どの話も考えさせられましたが一番は表題作『ドラゴン・ティアーズ』です。登場人物の言葉に自分が知らなかった現実を思い知らされました。
“フェアトレード”という言葉が頭の中でグルグルと回っていました。でも 同じものなら安いものを手に取ってしまうのだろうなぁ、その裏に沢山の涙があるかもしれないのに……。
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本棚からぱっと取って再読。
もう十数年前の話なのか!
ちょこちょこ今の時勢とは合わない描写が出て来て、ああ時は流れたんだなと思った。
この頃はデフレで300円の弁当でお腹いっぱいだったんだねえ…。
特にコロナ渦を経てリーマンショックの痛みは忘れてしまったように思う。
それでもこの頃と変わらない社会問題もあり、全く改善はされてない。
マコトは相変わらずで、こうやって久しぶりに再読して会いにいっても、いつだってほっとできるいい奴。
今年の夏休みはシリーズを一からまた順番に読み返してみようと思った。
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「家なき者のパレード」が印象的。
社会のボトムで弱者が、さらに弱者を喰らう。
声の届かない透明人間達が、表面下で搾取され続け、人間の尊厳などいとも容易く踏みにじられる有様が、なんともやるせない、、
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相変わらず池袋にある果物屋(実家)で働くマコトは危ない事件に巻き込まれる。今回は中国マフィアやらぶっちぎりにヤバい奴らと対峙する。もはや長瀬智也と窪塚洋介をあてこみながら読むわけだけど、何にしてもカラッとした文体と疾走感が最高にカッコイイ。ずっと続いてほしい。続くと思うけど。
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いつもいつも、日本のカルチャーホットな話題を池袋にトラブルとして落とし込んだストーリーに感心される。
派遣切り、浮浪者浄化、美容詐欺、個室デート。どのストーリーも現実問題。今回も面白かった。
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石田衣良さんの作品の中では未だにIWGPシリーズが一番しっくりくる。
石田衣良節というのか癖が、マコトの語りに一番合っているからか。
続巻が出ているとは知らず、未読だった分をまとめ読み。
美容系キャッチセールス、出会い喫茶、中国人の違法就労。
それにしてもキングがキャッチとはね…
私の中では未だに窪塚さんなんだけど…
中国人の違法就労、シビアで難しいな〜と思ったけど、マコトのおふくろさんがあっぱれすぎた。
なかなかできる決断じゃないよ。
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もう安定の、世相を切り取った風俗(フーゾクではない)小説と言っていいでしょう。
キャッチセールス、ホームレス、出会い系、そして研修制度を悪用した外国人の違法就労問題。
サルやキングも健在で、久しぶりにラジオも活躍。
盗撮及びデジタル加工者として。
しかし、タカシが炎天下ビラまきなどしてはダメだよ。
キングなのだから、そういうことは手下にやらせないと。
最近のタカシは妙に腰が軽くていかん。
今回の白眉は表題作。
途中までは「これは池袋だけではいかんともしがたいよなー」なんて、ちょっと冷めた目で読んでいたけど、マコトの母さんの肝っ玉の太さに脱帽。
それで世の中を変えることは出来ないよ。
でも、そんなことできる人なんて、そうそういない。
必要と思えば、やれることをする。
シンプルで強い人だ。
“生きていることは、人間の抱えるすべての問題に関係を持つことなのかもしれない。”
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『キャッチャー・オン・ザ・目白通り』
『家なき者のパレード』
『出会い系サンタクロース』
『龍涙──ドラゴン・ティアーズ』マコト妹ができる。
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2009年12月1日に単行本で読んでいたが、文庫版も結局最後まで読んでしまった。単行本は2009年8月に発行されている。「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」でタカシが抜いた携帯がプラダの高級品。そういえばPRADA phoneなんてあったっけ。
さて今回は、前巻の非正規労働者の更に下の集団、外国人労働者について。時給270円で3K仕事を1日12時間は流石に想像出来ない。相変わらずマコトのお母さんが太っ腹だったけど、ちょっと神格化されすぎな気がしてきた。
p16
タカシはジャケットのうちポケットから携帯電話を抜いた。プラダの高級品。
p39
王はいつもアルカイックな様子で冗談をいう。
p40
その夜は店先のCDラジカセでプロコフィエフの『ロメオとジュリエット』をかけた。シェークスピアの流麗なロマンスというより、現代の神経症的な恋人たちを描いたバレエ音楽だ。「騎士たちの踊り」という楽章が、携帯電話のコマーシャルにつかわれてるから、きっとあんたもきいたら、すぐにわかると思う。陰鬱で、皮肉なダンスミュージック。
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【人と人が出会うことが、こんなに困難な時代になぜなってしまったのだろう。豊かになれば幸福になれると、日本人は一丸になってがんばってきた。その豊かさの先に、ひとりぼっちで生きて死ぬほうがましだと考えるガキが大量発生する。世界はいつも逆ちしてるよな。】
久々にIWGPを読むというか小説自体久しぶり。
もう久しぶりすぎて飢えていたというかあっという間に読み終わる。
池袋のトラブルシューターの話だけれど、何か時代背景にあった問題を解決するのだけれど単純明快に解決するだけではなく、その背景が落とす闇を深彫りして一抹の問いかけがかならずある。
次の巻でいったん一部が終わりらしい。残念だけど、二部を楽しみにしている。
Posted by ブクログ
IMGP(池袋ウエストゲートパーク)シリーズ最新作です。
2008年代からの短編とあって、かなり現代社会の問題点を追求した作品になっていました。
美しくなりたいという女性心理につけ込む真の手『キャッチャー・オン・ザ・目白通り』
池袋界隈のホームレスたちを脅かすモノ『家なき者のパレード』
新手の「出会い系」で惚れた彼女を救うには。『出会い系サンタクロース』
中国から日本来る研修生たちの哀しい物語『ドラゴン・ティアーズ-龍涙-』
詳しいストーリーはもうすでに、hi2515さんが書かれていますので、ここではふれませんが、全体的にかなり深刻な社会問題が現実的に描かれており、「真島誠」の活躍に胸がすく思いでした。
いつものことながら、マコトを助ける友人の池袋の裏のドン「サル」や
いつもは口うるさいババアという印象のマコトのお母さんが
ここぞという時に重大な働きをして、事件の解決へ導いてくれたのが印象的な作品でした。
ホームレスの寂しさをなにげなく悟ってそれにつきあう優しさを持つマコト。
友に恵まれ、トラブルシューターの運にも恵まれている憎めないヤツ。
「池袋」の街には無くてはならない人物となりましたね。
架空の人物にしておくのはなんだかもったいない。
これだけの器量がある本物があらわれて、
時期都知事にぜひなってもらいたい、と思う私です。
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ウェストゲートパークシリーズ 9作目。
ドラマの影響で1作目を読んでから、なんとなく続けて買って読んでいる数少ないシリーズ。
現代のニュースが絡んだアンダーグラウンドな事件。東京のような大きな街の裏側だったら、こんなことがあるのかもしれないと毎回思う。
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【2024年78冊目】
オネエの化粧品詐欺師、ホームレスとあぶれ手帳、出会い系マンションでの純愛、技能実習生とエリート組合員。池袋ウエストゲートパーク第九弾。
今回も労働の話がキーワードでしたね。働くことは生きること。池袋にいる国籍年齢性別とさまざまな人達が、いろいろな仕事に従事していて、そこには何かとトラブルが起きているのを、誠が頭を悩ませながらトラブルをシュートしていきます。
キャラクターは変わらず、こんなにも次々といろんな話が綴られるのがすごい。もちろん、最後には誠が解決するところはお約束なのですが、それでも飽きさせずに、次の事件について読みたくなるのですから、うーん、やはりすごいシリーズですね。
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最初の頃のスピード感こそありませんが、いわゆる水戸黄門的な安定感のある作品に仕上がっていると思います☆重いテーマであるはずの各種時事ネタをサクサクっと読ませる点はさすが!
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再読。時代の問題を取り扱っているのは昔からなんだろうけれど、青春の色がだんだん薄くなってきた気がする。年をとったからだろうか。
2021/2/23
Posted by ブクログ
毎回読んでいるシリーズなので。
読みながら、前にも読んだことあるような….とも思いつつ、サクッと最後まで読めました。
今回のテーマは「貧困、格差社会」
借金や低賃金に苦しむ現代の若者の姿が4作にわたって描かれている。
マコトは池袋のトラブルシューター。日々池袋に潜む問題を自分の目で、脚で確かめ、頭で考えて解決していく。
この作品を読むといつも、マコトの世の中をみる目と人への寛容さにハッとさせられる。自分より偉い人や立場の弱い人、たとえばホームレスなどにも平等に接し、人間と人間として会話をする。前文にはいつもマコトが私たちに語りかけてるくる文があるのだが、それを読むといつも私は胸が痛くなり、切ないような気持ちになる。私が東京で生きるなかで徐々に失ってしまった感情がそこには語られていて、それが物語の中で起こる問題であり、現代の様々な社会問題に繋がっている。
マコトの視点や寛容さを忘れたくなくて、私はいつまでもこの作品を読み続けているのかもしれない。
Posted by ブクログ
IWGPシリーズ第9弾。お気に入りは表題作である「ドラゴン・ティアーズ 龍涙」かな。
番外編を含め順不同にシリーズを読み進めてきて、この巻が個人的に最後となった。我が青春時代を共に過ごしたシリーズ小説。またいつか読み返したいと思う。
Posted by ブクログ
3.5ぐらいなんだけど。以前読んでいたにも関わらず、
まだ読んでなかったと思って手にしてしまった。
キャッチ、ホームレス、出会い系、研修生&実習生。
Posted by ブクログ
「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」は、
キャッチにつかまり数百万も払わされたOLの話。
キングがキャッチをやってみるというのは痛快。
「家なき者のパレード」は、
文字通りホームレスを題材に、ホームレスからの搾取本題として扱った作品。
「出会い系サンタクロース」は、
いわゆる出会い系風俗で働かされる女性に惚れ込んだ男がマコトを頼りともに奮闘する話。
表題作「ドラゴン・ティアーズ―龍涙」は、
外国人研修制度が題材で、工場で研修生として働いていた中国人少女が逃げ出し、戻らなければ研修生すべて強制送還されるという事態に。
研修生アドバイザーのリンに依頼されてマコトも動き出す。
リンがとんだ食わせ者で、マコトが出し抜かれていくような様がいままでにない感じがしておもしろかった。