あらすじ
急成長する“ペットの総合商社”。しかし、その裏でマコトが目撃したのは、
動物たちの命を軽んじる残酷で非道な実態だった。
時代の一歩先を駆け抜ける切れ味抜群IWGPシリーズ第18弾。
窒息死させられた売れ残りのマルチーズ。
麻酔もかけずに帝王切開された繁殖犬。
揺りかごから墓場まで、「かわいい」のすべてを金に換える
悪質ペットチェーンの闇を、過激な動物愛護テロリストとともに、
マコトが徹底的に暴き立てる! 表題作のほか3篇を収録。
解説=吉田大助
【収録作品】
「常盤台ヤングケアラー」
祖母の介護で孤立する15歳が狙われた
「神様のポケット」
賽銭泥棒の疑いで逮捕されたアジア系外国人
「魂マッチング」
ゼロワンが出会った天真爛漫なアズサの抱える闇
「ペットショップ無惨」
急成長する企業グループのおぞましい実態
※この電子書籍は2022年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本作は思いもよらぬ角度からゼロワンの活躍や、吉岡に対する恩をマコトやタカシが返そうとするエモいお話だった。
表題作の「ペットショップ無惨」は最悪な話だった。犬をペットショップで買って飼っている自身が汚く思えた。 少し久しぶりのタイトが立派に成長していて嬉しかったよ。
Posted by ブクログ
毎年、秋の風物詩。IWGPの文庫本&新刊。
表題のペットショップ無惨は涙無しには読めないお話。
文庫本になって再読だけれど、最初に感想を書いた時と同じことを書いていた(笑)
Posted by ブクログ
IWGPシリーズ、18巻目。
いつもの通りに世相を切り取る話だが、3話までは、祖母を介護するヤングケアラー、技能実習生制度に翻弄される外国人労働者、マッチングアプリを利用した美人局、といった話題。
相変わらずとサクサク読めるが、これらの話ではタカシ&Gボーイズを頼んで事を収める場面がいつもより少なめ。その代わりに、ちょっとほっこりする場面がいつも以上に楽しめる。
高校生の頃におごってもらったラーメンの借りを返すという展開やその対価は手づくりコロッケという結末(神様のポケット)が微笑ましく、ヤングケアラーの女子高生のギリギリの心情(常盤台ヤングケアラー)やゼロワンが出会った少女の天真爛漫な反応(魂マッチング)にうろたえながらも寄り添うマコトの姿も気持ち良い。
四話目、少し長めの表題作がまた良かった。急成長するペットチェーンの極悪非道な実態を暴き叩き潰すお話。
近所にできたホームセンターの中にペットコーナーがあって、私は犬や猫が好きなわけではないのでなんとなくかわいいもんだ程度に思って眺めてはいるが、ケージの大きさが法律で決められていたり、そもそもああした店頭ディスプレイ販売する生体展示が多くの国で禁止されているなんてことは知らなんだ。言われてみれば確かに、あの子らにはなかなかストレスなことではあろう。
悪質ペットチェーンに抗う動物愛護NPOと同じ目的ながらそこから分派した動物愛護のテロリスト、それら両方からの依頼を受けて二股かけるマコトの動きにちょっとドキドキ。
裏の世界のオーディションというのもなかなかだが、それらを相手にしてもタカシはいつも通り。タッグを組んだレスリング馬鹿に花を持たせるところもまたかっこ良かった。
Posted by ブクログ
【2025年9冊目】
ヤングケアラーと売春アプリ、外国人アルバイトと賽銭泥棒、凄腕ハッカーとマッチングサイト、命を金と見るペットショップビジネス――池袋ウエストゲートパーク第18弾。
本屋さんに行ったら、18弾目が文庫化してたので、やったーと思いながら購入し、速攻読みました。解決が早くなってる気もしますが、トラブルシューターとしての腕が上がってるからなのかもしれません。それにしても、表題作といい、酷い話が多い。現実にはない話、ではないので池袋を舞台にしていながらもどこかで実際に起こっていることなんだと思うと、単純なエンタメとして楽しむには些か重い気もします。
そんな中でキャラクターの魅力には救われますね。相変わらずかっこいいキングに、ちょっと人間味を見せてくれたゼロワン。腐れ縁の吉岡刑事も好きですし、以前の話に出てきたキャラクターが再登場するのもいい。
しかし、人が人を、人が人以外を食い物にする、自分本位な人間性って、どうにかならないもんなんでしょうか。人は支えあっているだけじゃなくて、犠牲にし合ってる生き物でもあるんだなと思ったりもしつつ。
次作の文庫化も心待ちにしています。
Posted by ブクログ
一つ目の終わりのマコトがサチにかける言葉が本当に素敵。四つ目の冒頭の「かわいさや母性本能なんて、本来は値札がついて売られるようなものじゃない」が好き。「少なくとも俺はあんたからの“ありがとう”には値札が付いてない方が価値があると思うぜ。」みたいな繋げ方でもいいなと妄想してた。
Posted by ブクログ
私が小説を読むようになったキッカケであったIWGPシリーズの18冊目
こんなに長くシリーズが続くほど、街に潜む闇って多岐にわたっていてこわいよなぁと毎回思ってしまう。
個人的には、ゼロワンの恋バナが、ゼロワンも人間らしいところあるんだーと思って嬉しかったかな。
馴染みのある街が舞台で、もとはドラマが好きで読み始めたシリーズだったので、このシリーズを読むと未だに頭の中では、マコトは長瀬さん、キングは窪塚さんで映像として場面が浮かびながらストーリーを追っています。
Posted by ブクログ
常盤台ヤングケアラー/神様のポケット/
魂マッチング/ペットショップ無惨
高校生の少女が介護をする
認知症もある寝たきりの祖母を……
コンビニで真面目に働く留学生が逮捕される
賽銭泥棒で!?
ゼロワンが付き合う
マッチングサイトで出会った人と??
ペット業界で金の為に弄ばれるのは
命あるものたち
失くしたら二度と戻らないのに……
Posted by ブクログ
あいかわらず面白い
もうシリーズ18作目ですか。
単行本では19作目が刊行済みで、
次作もそのうち出るとのこと。
マコトはカツオやしんちゃんと同じように
歳を取らなくなったようなので、
ずっと続けて欲しい。
本編では、
まさかのゼロワンのロマンスが
描かれているが、
そろそろマコトのハッピーをみたいかな
Posted by ブクログ
IWGPシリーズでしか得られない栄養素、補給完了。
マコトにトラブル舞い込む→ゼロワンor Gボーイズが調査→張込みからのキング一網打尽エンド。
このテンプレから脱却した話もそろそろ欲しい。
Posted by ブクログ
「常盤台ヤングケアラー」
昔の大家族制が良かったとは言わないけれども、核家族化で実際問題手が足りないと起きる問題だよなぁなんて思いました。老いて人格が変わってしまうのは何よりもつらいだろうな。それにしても15歳の少女の逃げ道が夜の街にしかないのもつらい話。結局はおばあちゃんが亡くなるまで状況はほとんど改善されないというのも現実的でつらい話だなぁ。
「神様のポケット」
この頃は電子マネーが主流っぽいので、お賽銭とかもどうなってるんだろう。そういう話ではないのだろうけれども。根っこにある外国人差別とかの話もリアルだなぁと思いました。
「魂マッチング」
ゼロワンが恋?というお話。問題解決後は円満破局というのもなんからしいなぁという感じ。登場人物も時世で色々考えているんだなぁと思いました。
「ペットショップ無惨」
保健所で処分される犬の描写は心がえぐられる。つらいなぁ。ペットが飼いきれなくなったのなら、貰い手を探すか最後の手段としては、せめて安楽死ぐらいさせるぐらいの心構えを飼い主は持たないといけないのかもしれない。自分の都合で、生きている動物の命を奪うという。人に任せて知らん顔はいけないよな。つらい。在庫過多になった動物の処分とか考えただけでぞっとするし、ブリーダーというのもきちんとした制度で取り締まるべきなんだろうなって思う。本当に。
Posted by ブクログ
ペットショップ無惨
このタイトル
知りたくない事が書かれてる
でも知りたい
ペットと共に生きる私は知っておかなくてはならない事。
想像してたけど、
それを超える無惨。
小説だから事実でないかも知れないけど
現実もほぼ同じだろうと…。
私にできる事はなんだろう…。
動物に携わる人々は、
本当に動物が好きな人、
動物の立場になって行動できる人、
であってほしい。
池袋ウエストゲートパークのシリーズ初めて読みました。
池袋に住んでいるので知ってる地名が出てくるし場所もわかる。
身近な事件、本当にありそうな事件ばかりで、軽く楽しめました。
favorite sentence
・光源氏の昔から、日本人は未成熟を愛する文化をもっている。
・おれたちはあの頃、いつだって腹をすかせていたんだ。
Posted by ブクログ
シリーズ第18弾。
ついに北東京一のハッカーゼロワンに恋の予感が。
シリーズ第二期に入ってから、社会派要素が色濃く落ち着いた内容なだったが、本作では久しぶりに他グループのギャングが登場。
次作から抗争ものが再燃しないかと期待。
タイトルにもあるペットショップにまつわる回は、非常に考えるものがある。
動物を家族として大切に飼うものがいる。
しかし、飼うという行為そのものが善悪で述べられるものなのかどうか。
動物を食用以外で飼育する人間の歴史を知りたいと刺激された。
悪徳ブリーダーがSNSやニュースで取り上げられることがあるが、このペットショップ業界の闇は中々に深い物がある。