Posted by ブクログ
2021年09月29日
ある日、異空間と思われる雪の校舎に閉じ込められる8人の高校生。共通点は自殺したクラスメートと関係があったこと。この空間の謎を解くために試行錯誤する高校生たちだったが、一人づつ消えていくのだった。
あらすじはこんな感じ。
上下巻あわせて1000ページを超える超大作。今まで読んだ小説の中で最も長い。...続きを読む
とにかく長い。
しかし無駄にページ数かせぎのための部分は無く、登場人物の背景を丁寧に描くことで伏線を敷くという高度な技を仕掛けている。伏線が繋がる後半のパートで、何度も脳のシナプスが繋がるような感覚を味わう。なぜこの伏線に気づかなかったか。そう思わせるほど堂々と目の前に置かれた伏線の数々。そして終盤にかけてリンクしていく記憶。
登場人物は全員が過去の罪悪感を抱えて生きている。その罪悪感が事態の解決に向かうモチベーションとなっている。
一人一人の罪悪感を丁寧に描く作者の筆力と言えばいいのだろうか、人間の弱さや矛盾、整合性にこだわる悲しさの描き方が残酷でありながら優しい。
ホラー要素が強いので、本格的なミステリーやサスペンスを期待していると楽しめないかもしてないが、作者の構築した世界観に入りこめる人は間違いなく楽しめる。他の作品でも感じたが、この作者は漫画というフォーマットの方が合っている気がする。