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第171回直木賞受賞作『ツミデミック』の著者、一穂ミチの描く感動の長編小説!
「できること、やりたいこと」何もない――。大阪の一流企業の受付で契約社員として働く柳生美雨は、29歳になると同時に「退職まであと1年」のタイムリミットを迎えた。その記念すべき誕生日、雨の夜に出会ったのは売れないお笑い芸人の矢沢亨。掴みどころのない亨、その相方の弓彦、そして仲間の芸人たちとの交流を通して、退屈だった美雨の人生は、雨上がりの世界のように輝きはじめる。美雨と亨と弓彦の3人は、変てこな恋と友情を育てながら季節は巡り、やがてひとつの嵐が訪れ……。
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会話のテンポが心地よくて、くすっと笑ってしまう一冊。
一穂ミチさんの描く人物達は、みんな現実を懸命に生きていて、その懸命さに救われる。
"男女の間だけじゃなく、仕事でも友人関係でも、時には家族の間でさえ、自分の値打ちを絶えず示し続けていなければ酸素を摂取する権利さえ分不相応であるような、世の中の空気が苦手だった。"
"そのいちいちに店員さんは「はい喜んで ー!」と声を張り上げていた。たまに「はい仕方なく ー!」と本音を混ぜても誰も気づかないのに、忠実に繰り返す。"
"「それでも、自分で噓やと思って言うことって人にも届かへんのよ」"
"舞台は生き物だから。音楽でも演劇でもきっとそう。客席とステージ、この空間の誰ひとり何ひとつ欠けてもきょうの空気は生まれていないという熱。"
"そうだ、パラシュートって落下傘。落ちていく傘。帽子の行方を追わず宙に踏み出していった軽やかな一歩。叩きつけられるその瞬間まで上昇を信じるのは愚かだろうか、幸せだろうか。"
Posted by ブクログ
30手前の受付嬢とお笑い芸人のあれこれ
柳井美雨はアーティストのライブ中に、自分な好きな曲を口ずさんでいる警備員を見かける
口の動きで「ふんすい」と言われたため、ライブ終了後に近くの噴水で待っていたらその男 矢沢亨が現れ、自宅にタクシーで連れて行かれ、靴擦れの手当をしてもらう
美雨は亨からライブのチケットを貰うが、それはお笑いライブ
偶然の縁から始まる名状し難い関係
登場人物が他にも色々
斉藤千冬:美雨と同じ受付嬢
亨のシェアハウスの住人達
ピン芸人の郁子
ボケ担当のじゃがいも頭の浜島誠 通称マコ
ツッコミ担当マッシュルーム頭の宇佐美無限 通称ネバー
亨の相方「安全ピン」の弓彦
安全ピンのコントは亨が女装し、夏子というキャラクターになってコントを演じるというもの
如何にもな芸人の女装ではなく、誰かをモデルにしたかのようなディテールの夏子
コントのオチも悲しかったり切ない終わりを迎える事が多い
作中で松本人志の弓彦評
「俺だけがわかる」と思わせるところ
松本人志の著作「遺書」でも、お笑いは野球のホームランのように万人が疑いようのないホームランがあるという感じの記述があった
まぁ、所詮なお笑いは突き詰めると好みだからなぁ
それこそ、狭い範囲を対象にしてる程面白いという笑いもある
それの、皆面白いと思っているけど、本当にその凄さをわかってるのは自分だけという勘違いをさせるところがすごいという事なのだろうな
ただまぁ、松本は今となってはアンタッチャブルな存在になってしまったなぁ……
全体的に、やはり一穂ミチさんはBL作家の印象をうっすら感じる
弓彦が夏子に抱いている感情は違うのだろうけど、そこはかとなく感じられるBL感
それにしても、葉月さんさぁ……
それまでの答え合わせのような登場の仕方ではあるのだけど、インパクトが強い
本当は弱い存在ではないけど、田舎や本人の生い立ち故に、自分の強さを過小評価してる
亨に相続放棄をいきなり求めるあたりはしたたかだよな
それにしても、亨どっちに署名捺印したのでしょうね?
どちらの可能性もあるけれども、多分放棄したのだろうな
「スモールワールズ」でも一般的ではない歪な家族関係を描いていたけど
今作も継母という存在に恋してしまった関係が描かれている
一穂ミチさんはこんな物語を書くのが上手い
総じて、この作品は映像が脳内に浮かぶ
特に小気味いいコントのシーンとか
なので、映画化しやすいのでは?と思う
読んでいてコントや漫才が容易に想像できる
一穂ミチさんはお笑いのネタも書けるんじゃなかろうか?
芸人を描いた物語だと
又吉さんの「火花」を思い出す
あれは芥川賞なので純文学というくくりになるわけだけど
大衆文学のエンタメとしても読めると思う
今作はさらに一般向けのお笑い芸人小説になっている
あと、芸人が主人公の物語だろ
菅田将暉主演の「コントが始まる」を思い出す
お笑いトリオ「マクベス」の3人がマンションの一室をシェアしてる話。
あっちは売れない芸人で、実際にコントもそんなに面白くない
あともうちょっと何かを変えたら面白くなりそうな要素はあるのに面白くないという絶妙なコントだった
物語に登場する漫才やコントの質も作品のリアリティに大きな影響を与えてるなぁと思う
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29歳、流されるままの人生の中で、売れないお笑い芸人と出会った。
なんてことない毎日がきらめきだす、ちょっとへんてこな恋愛小説。
結婚には興味がないし、仕事も食べていけるだけの収入があれば十分。受付嬢として働く柳生美雨が三十歳の契約終了を前に出会ったのは、売れないお笑い芸人の矢崎亨だった。亨や相方の弓彦、シェアハウスの芸人たちと遊んで過ごす中で訪れる「嵐」。周りに合わせて生きてきた美雨が見つける、初めての希望とは?
掌編「夜間降下」を特別収録!
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Posted by ブクログ
芸人さんの話。なぜか「花火」の悲哀な感じが似通っている。芸人さんは確かに最終目的像のわかりにくい職業だ。テレビに出るより舞台で漫才やコントする方が好きな人もいるだろうし、番組持ちたいとか、俳優さんになりたいとかでもアリな気もする。
美雨は29歳で受付嬢。30歳になったら退職しなければならない職場で働いている。誕生日プレゼントにもらった音楽ライブ先で靴擦れになってめちゃめちゃ痛かったのだが、変な男についてくるように言われてついていってしまう。男は手当してくれて、チケットをくれた。お笑いライブだった。
お笑いライブの打ち上げに誘われて、ついて行ってみる。彼らはシェアハウスで住んでいるらしく、また遊びにおいでと誘われた。お邪魔することになる。シェアハウスは事故物件なのだった。入れる人と体調が悪くなってダメな人がいるらしい。
ネバーくんが芸人をやめた。故郷奈良に帰るという。美雨がシェアハウスに入ることが決まった。
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