あらすじ
「スプリットタンって知ってる?」そう言って、男は蛇のように二つに割れた舌を出した―。その男アマと同棲しながらサディストの彫り師シバとも関係をもつルイ。彼女は自らも舌にピアスを入れ、刺青を彫り、「身体改造」にはまっていく。痛みと快楽、暴力と死、激しい愛と絶望。今を生きる者たちの生の本質を鮮烈に描き、すばる文学賞と芥川賞を受賞した、金原ひとみの衝撃のデビュー作。
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Posted by ブクログ
もっと早くに読んでおけば良かった。
時々びっくりするぐらい胸を刺す文章が出てきて、生きるってこういうことなのかもな、と思う一冊だった。
ミーツザワールドを読んだ時、きっとこの人の作品はどれも好きだろうなと思い、金原ひとみといえば蛇にピアスだよなと今さらながら手に取ってみたら大正解。鋭い切れ味の文章で私はとても好き。
映画も見たことがなく、有名作品という印象しかなかったけど、あまりの衝撃に良い意味で印象がひっくり返された。
Posted by ブクログ
11/29夜更かしの読み明かしの影響で再読。こんな話だったけってなった。芥川賞を取っただけあって読みやすくあっという間に読んでしまった。シバさん…、感情の移り変わりが全然わからん。が、そこがいい。
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こんな小説が19歳に書けるのか!こんなやばい小説が芥川受賞するのか!という驚きがすごい。身体改造を通して今を生きる者たちの生の本質について読める。アマのルイ以外必要ない。ルイが全て。自分の身を全く顧みずに自分の愛したものに全力になれる。それは素晴らしいとこのように見えて、歪んでいる。シバさん「殺したい」や「結婚したい」とかも矛盾を孕んでそうで、どちらも愛ゆえのこの歪な感情。こういう人間の矛盾や歪んだ感情について描かれている小説が好き。ルイの「所有」に対しての考え方も共感できた。
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「これを読めば痛みを通じて自分が見つかるらしい。」
と言って隣の席の友人がこの本を勧めてきました。
初っ端から痛々しい表現に度肝をぬかれながらも、読む手が止まらず放課後になる前に読み終わってしまいました。おかげで授業の内容はパーです。
僕はこの本は青春小説だと思います。「きっと私の未来にも、刺青にも、スプリットタンにもなんの意味もない」と言い切った主人公。
「青春は、意味もないものに思い切り熱中できる時代。しかし大人は意味があるものにそこそこしか熱中できない。」というのを聞いたことがあります。
部活だって、友達と遊ぶことだって、心から恋愛することだってなんの意味も無いかもしれない。それでも突き進める時代。
物事をやるのに理由とか意味はいらない。すべては運と縁。それでも意味が必要なら、意味なんて自分で作り上げて捏造してしまえばいいのではないか。
この本を勧めた友人は、それまで部活で厳しい練習を強いられていて、なんのためにこんなことをしているのか分からなくなっていたそうです。これを読んだ後は、早朝から夜まで授業の間と放課後でみっちり練習をして、先日全国大会に出場しました。
置かれている状況も性格も、主人公と僕の友人ではまるで違うのに、こんなに影響を与えるなんて、やっぱり読書って素晴らしいなあと思います。
(涼しい部屋で本だけ読んでる自分に焦りもね)
Posted by ブクログ
古本屋で見つけて、なんか聞いた事あった気がしたから買ってみたけど、おもしろかった!寝る前にちょっと読もうとしたら全部読んじゃった、2時間弱で読めた
主人公がすごいギャルで周りもそんな感じだから読み終わって作者調べたら主人公のイメージそのまんまのギャルだった
うーんなんだろ、感想とか難しいけど、ルイは極端に愛に飢えてる印象。両親に愛されて育たなかったのかな
最初はアマに依存してる様子は無くて好かれてるから一緒に居るって感じだったけど、記事見つけてからは必死に変えよう隠そうとしたり、死んでからは意気消沈したり。
その後もずっとルイのことを思い出してたにも関わらずシバが殺したって思い始めてからはシバにも髪型変えるように言ったり喜んでくれたからってご飯食べれるようになったり。
とにかくずっと愛してって感じがした
人間社会で生きてく上で刺青や過度なピアスって不利になる事多いのに、どういう気持ちで入れてるのかなって考えた事あったから、子供や陽の光が当たらない暗闇で過ごしたいってのをみて、こういう考えもあるのかと腑に落ちた
Posted by ブクログ
何度か目や耳にしていたのだが初めて最後まで読んだ。面白いというか、なんというか?人生楽しそうだなと思った。今のご時世タトゥーを入れるなだのピアスを開けるなだの色々と縛られているが気にせずに堂々としているのはかっこよくは無いが尊敬でもないし、こうゆう人々が新しい道を作るんだなと感じた。類は友を呼ぶ、普通になれなかった彼らは集まり傷を舐め合う。孤独で切なくて暖かい。
すきです
この作品を読んでどんな感情を抱くのが正しいのかはわからないけれど、多分正解はなあと思っていて。ただ心は揺さぶられて、私の語彙では表現できない嫌な気持ちを残していきます。それでもこの作品は好きで、何故か好きで。小説を読んでは映画を観て、映画を観ては小説を読み。繰り返してしまいます。
ただひとつ言えるのは、人によってはかなり苦手な作品かもしれない
Posted by ブクログ
小説なのにその痛々しさと生々しさに、実際に本から目を背けてしまった場面も多くあったけど、それほどまでに物語の臨場感がリアルに伝わってくる文章だったのだと思う。
危うさと美しさの世界観に浸れる一冊。
私的に、シバの「俺、残酷な言葉には詳しいの」という一言が印象的だった。
どこかサイコパスなのに、賢さからくる色気というか、ルイがシバに惹きつけられるその気持ちがわかるような、わたしもシバと目が合ったまま言われてるような、そんな気持ちにさせられた一文だった。
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面白くて、それほど長くないのでサクッと読めました。目を背けなくなる描写もありますが、この世で生きることがどうでもよくなってピアスをあけたくなるような気持ちになったことはある。だから、主人公の気持ちもわからなくもないなぁと思いました。
サディスティックでエロティックなので人を選ぶ小説でしたが、ミステリー要素もあり、楽しく読めました。
Posted by ブクログ
満足感ある読書体験だった。
するする読めた。
内容は過激なところもあり、万人向けでは無いと思う。自分と生き方が全く違う人を通したそうした世界に浸る時間を味わった。
芥川賞の本の中でもストーリー性も感じられておもしろく感じた。
今まで読んだ同賞の作品だとむらさきのスカート、コンビニ人間に次いで蛇とピアスがおもしろい。
雰囲気は透明に近いブルーに似てる、と思ったら解説に村上龍出てきて、しっくりきた。
「大丈夫」しか思い浮かばないシーンの解説読むとより本書読めた満足感が得られる。
Posted by ブクログ
嫌悪感。冒頭から感じたのは、まず何とも言えない気持ちの悪さだったと思う。自分は何にゾワゾワしているのか分からないでいたが、だんだんと“痛み”を選択する(した)姿だと気づいた。身体改造という「何故わざわざ痛い事を選択するのか?」という、自分の理解を超えた存在に対する畏れ。理解の範疇にないから、自分の“相手ならこう思うのでは?”が通用しないことが怖いのだと思った。
しかし、自分の理解の範疇にいる人間なんてそもそもいない、ということにも気付かされる。
文体は非常に読みやすく、スルスルと引き込まれていく。最初は作品のテーマにオドオドしながら読んでいたが、次第にアマとルイの“脆さ”や“危うさ”と怖いくらいの純粋に捉えられていく。毒気十分なのに、寧ろ神聖ささえ感じてしまうのは何故だろう。
大好きとは言えない作品だが、題材や人物、全てを描きらない絶妙なセンスに痺れを覚え、読めてよかったと心から思った!
Posted by ブクログ
剥き出しの痛みに思わず目を背けたくなる。
その痛々しさの前で、自分の心がいかに健康であるかを確かめることができた。けれど同時に、普段触れることのないアングラな世界に心を揺さぶられ、どこか湧き立つ自分もいる。
ルイは、出会う人が少しでも違えば、どちら側の人間にもなり得たのではないかな。しかし実際には―酒の量、食べるもの、足を運ぶ場所、性交の相手。その一つひとつがわずかに不健康であり、その不健康を積み重ねていくうちに、ついには引き返せない地点にまでたどり着いてしまったかのよう。
元来の性癖が、その歩む道をさらに厄介にしているのかもしれない。ルイの性癖が不健康を呼んだのか。それとも、不健康な日常が性癖を育てたのか。―鶏が先か、卵が先か。
Posted by ブクログ
すごかった。
超有名作品だけど、スプリットタンや刺青、アブノーマルセックスという程度のことしか知らなかった。だからキワモノ的なイメージを持ってた。
読んでみたら、そんなこと全然ない。もちろん特殊な人たちの話っていう印象から入るけど、読めば読むほど、人間同士の関わりとそこからの感情が読みやすく描かれていて、惹きつけられる。
芥川賞作品は170ページくらいの短いのが多いけど、本作は114ページとさらに短い。サクッと読めるのに、読後感はずっしりしっかり。
10代にしか書けない作品ですね。
村上龍の解説も読む価値あり。芥川賞の選考から小説での表現に至るまで、とても良かった。
Posted by ブクログ
ページ数もそんなになくて読みやすかった
ぁ…そういう展開なんですねぇ……
主人公の考え?行動にとても共感できる部分もあって
タトゥースタジオのイメージから、登場人物を漫画東京喰種の雰囲気と重ねて読んで勝手にワクワクした!
Posted by ブクログ
大学の講義で「痛みだけが私の存在を確認できる」という様なフレーズを聞いて、買った本
20代の時は「なんて破廉恥な本だろう!」と恥ずかしくて読めなかったが、30代の今自分が読むと「若いなぁ…うふふ…」という気持ちになった。
「若者」という守るべき大切な存在があるという価値観が世の中にあるからこそ、現代流ならではの自我の確立の方法なのかなって思いました。
現代らしさが詰まっている面白い話だと思いました。
Posted by ブクログ
金原ひとみさんの「情熱大陸」を観て気になり読んでみた。
初めはこういう感じのよくある物語かと思ってたけど、ラストは好きな終わり方だった。
絶望の先の希望という感じ。
金原ひとみさんのイメージは「何でもいいよ! 小説書けたら送ってみて!」の人だったけど、10代でこの作品を書いたことはすごい。
他の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
映画はみたことがあったので、頭の中に井浦新と吉高由里子を思い浮かべながら読む。
あっという間に読めてしまうページ数だけど、あとに残る余韻はなかなか。
Posted by ブクログ
作品の名前はずっと前から知ってた。
若者の恋愛模様がリアルに書かれてる小説が読みたくなって、ふと思い出したのが読んだきっかけだった。
こういう本が読みたかった、という意味では思った通りの作品だった。恋愛をテーマにした作品は、どうしても「恋愛」が美化されがちだが、蛇にピアスは現実を疑似体験できるような描写ばかりで、私は好きだと思った。
とはいっても、ルイたちの日常は自分のものとはかなり遠く、ところどころグロテスクなシーンも多かった。
出会い方から結婚まで、色んな恋愛があるのだなぁということに安心を得てみたり、人の性癖をこんなに身近に感じられるのも面白かった。
また、他の人の感想を読んでいると、世の中の性癖への理解って薄いんだなと感じさせられた。
キレると人を殺してしまうほど衝動が抑えられない人の性癖がノーマルで、
一見まともな感覚を持ってそうな人の性癖は、、。
最後の衝撃が大きかったせいか読み終わって2日ぐらい色んな感覚が頭から離れず、やっと今この感想を書くに至ってます。
金原さんの他の作品も読んでみたいなと思いました。
Posted by ブクログ
文章は読みやすいし、訳を説明できないが心に刺さる小説だった。間違いなく読んでよかった作品。
ただ最後の描写がなんとなくしか理解できず(そのラインも絶妙だが)、他の方の解釈を読んでようやく理解できた。まだタイトルの意味がしっくり来ていない。
Posted by ブクログ
10年前に読んでラストの意味が分からず、スプリットタンだけは印象に残ってあとは忘れていた。
この前読んだ金原ひとみさんの『ミーツ・ザ・ワールド』がとてもよかったので、10年ぶりにこちらもまた読んでみたがやっぱり分からなかった。
このまま自分の中で流れてしまうのは嫌だったので他の人の感想や考察を読みあさってからもう一度考えて、自分なりに言葉にまとめておく。
解釈は自由なのでここに書くことが「答え」だとは思わないが、一つの考え方だと思ってほしい。
①シバはなぜアマを殺したのか
作中でははっきり明らかになってはいないが、シバが「男も抱ける」と言ったこと、ルイとはノーマルなプレイしかしないアマがdesireで鞭を見ていたことなど伏線はあった。もしアマを惨殺したのが本当にシバだったとして、それはなぜだったのか。
それは「所有したいから」、言い換えればシバがアマを愛していたから。
アマが人を殺したことで警察に追われる身となり、警察に取られるくらいなら殺して自分のものにしようと思った。
いたぶってから殺したのはシバの性癖であり、シバなりの愛だったのではないか。
この「所有」というテーマは作中に何度か出てくる。
②ルイはアマを殺したシバに対してどう思っていたか
ルイはアマが死んだことで相当取り乱しているから、心の痛みを感じていたことは間違いない。
普通なら犯人のシバを恨みそうなものだが、最後は謎の「大丈夫」で突然ポジティブになりシバと暮らすことを選ぶ。ここが本当に意味不明だったのだが、ルイは(理由はよく分からないが)倒錯しており、痛みを感じている時だけ生きていることを感じられる。そこから考えると、シバはルイに今まで感じたことがないほどの「大切な人を失う心の痛み」を与えてくれた。
舌に穴を開け、背中に刺青を彫り、激しいSMプレイをすることで身体的な痛みを与えただけでなく、心の痛みも与えてくれた存在。だからルイにとってはある種神様のような、自分を光ある生へと導いてくれる存在に映ったのではないか。そう考えると最後のまぶしい光の描写とも符合する。
③最後のシーンでルイが生きる希望を持った理由
ルイは痛みによって生きていると感じる、そして多分痛みの程度が強いほど生きている感じも強くなる。だから体だけでなく心にまで激しい痛みを体験したことで、今までにないほど強く生を意識したのではないか。
シバは拒食のルイにご飯を食べさせようとしたり、施術箇所を気遣ったり、本名を教えたりして大切にしていた。つまり、生へと導く行動を取っていた。とはいえ、シバもルイに対して殺意を持っており(シバは倒錯した性癖の持ち主なので、彼にとて殺すことは愛情表現の一つなのだが)一緒にいたらルイも殺してしまうかもしれない。
ルイがラストで見せた生への希望(私の中に川ができた、大丈夫という言葉)は、希望というより「シバに殺されるまでは生きる」とか「シバに殺されるために生きる」という非常に危ういものだ。
④所有というテーマについて
ルイは画竜点睛にちなんで刺青の龍と麒麟に目を入れないでほしいと言う。また「取った魚に餌はやらない」で付き合ったら相手をおざなりに扱う、所有欲のためにシバがアマを殺すなど「所有」というテーマが作品全体を貫いている。
これも理解が難しかったのだが、欲しかったものを所有してしまうことで執着を捨て、次のステップに進むという意味ではないかと思った。
最後は刺青に目を入れたのは、痛みで生の実感を得る段階は自分の中で一区切り付け、生へ向かって小さな一歩を踏み出すという意味だったのではないか。
これで合っているかは分からないが、ここまで考えたらすっきりした。
『ミーツ・ザ・ワールド』では生への希望が地に足のついた形で描かれていたので、デビュー作から20年小説を書き続ける中で他者の存在や人生への希望が大きくなったのかもしれないと思い、少し感慨深くなった。
Posted by ブクログ
ルイはアマが死ぬことを予測していたのかもしれない。死ぬまではいかなくても離れ離れになることは予期していたかもしれない。
ルイがなぜ舌ピアスを早く拡張したがっているのか分からなかった。ゆっくり決められたスピードで拡張していけばよかったんじゃないかと思う。
だけど、ルイは生き急いでいた。なぜだかその生き急ぐという感覚に共感してしまった。急がないと間に合わないという感覚。ルイはアマに褒めてもらうために、アマと繋がってる実感が欲しくて舌ピアスをあけてスプリットタンにしたかったんだなあと思った。
最後にスプリットタンにならなかったのは、画竜点睛のように完成させるとアマとの繋がりの痕跡が消えていくと思ったからかもしれない。
結果、ルイは麒麟の刺青を完成させた一方で、スプリットタンは完成させずに穴の空いたまま放置している。そこにルイらしさが出ていて、自分らしさってこういうことなのかなあと思った。
Posted by ブクログ
難しいな。
なんと感想を書けば良いのかわからない。
アマ、ルイ、シバさんの3人しかほぼ出てこないし、文章も読みやすい。
結局、アマは誰に殺されたのか?
シバさんが殺したのか?ルイとシバさんはどうなるのか?分からないまま終わった。
Posted by ブクログ
とにかく色んな描写が上手くて、痛そうだった。
スプリットタンも刺青もやりたくは無いけど、個性を人が忌避するものに求めるのは何となくわかる。俺はこんなことまで出来るんだぜ!っていうのはいつになってもあるよね。
Posted by ブクログ
2003年9月、第27回すばる文学賞受賞。
2004年1月、第130回芥川賞受賞。
綿矢りささんと同時受賞というニュースはもちろん知っていた。
知っていて、あえて読まなかった。
きっと、才能を少し疑っていたのだと思う。
それでもこれから金原ひとみさんを読んでいくなら、やはりデビュー作は押さえておこうと。
若さそのものが文章の中で脈打っていて、刃物のように鋭いようで、どこか弱い。
正直、私には若すぎる世界。
読後の印象は『限りなく透明に近いブルー』や『つぐみ』を初めて読んだときの感覚に近い。
「ほお」と知らない世界を垣間見る感じはあるけれど、胸を打つような感動とは少し違う。
村上龍さんが解説を書かれていて、確かに二人の感性は似ていると感じた。
このデビュー作を芥川賞に推して発掘した龍さんは、やはり慧眼だったと思う。
Posted by ブクログ
少し金原ひとみという人に興味を持って。
芥川賞流行りの一環でもある。
若い。
こういった空気感は、多分若い人にしか出せない。年齢を重ねるとなんだか恥ずかしくなるからだ。イタイ、ともいうかもしれない。
選考者に村上龍がいて、それもむべなるかな、村上龍もこういうタイプの作家だ(あまり読んだことがないので違うかもしれない)。刹那的で暴力的、どうしようもない絶望感。
完成度は高いな、と思う。読んである時に変な自意識もぎこちなさも感じず、素直に読めた。故に星の数が特に高得点ではないのは、私の嗜好によるものが大きい。
ルイはきれいで良かったよね。
私がこの物語にケチをつけるとすればそこだ。きれいな子はそうでない子に比べ庇護者が現れやすい。悲惨な環境でも物語が成立しやすい。
逆の言い方をすれば、容姿が恵まれていない子は物語にするにはややハードな結末を迎えるのかもしれない。そう考えると、物語の主人公がきれいなのは必然なのかも。
今の私はこの作品を絶賛するには歳をとり過ぎているが、今の金原ひとみの作品はどうかな。
今のところ予定はないけれど、いつか。
Posted by ブクログ
まだ小学生だったけど、綿谷りささんとともに芥川賞の最年少記録を塗り替えたと話題になったことからずっと頭の片隅にある小説。綿谷りささんの蹴りたい背中は小中学校の時に読んだけど、こちらの作品はようやく読んだ。なんとなく自分の価値観にはない話のようで怖く感じて手がつけられなかった。吉高ちゃんは好きだが、映画も観れてない。
やっと読んだ感想は、やっぱり私とは全く住む世界が違う話だな、と。でも自分の知らない世界を知る怖さよりもそれを上回る好奇心があった。
主人公の揺れ動く心が繊細で、人間らしさが見えて、よかった。一見どんなに理解し得ない価値観だと思っていても、私たちは同じ言葉を使う、心を持つ、人間なんだよな。難しいけど、できる限り理解したいとも思う。
私たちは理屈ではなく、心に動かされている。
Posted by ブクログ
今になってやっと読んだ作品です。
読書スランプになって読みやすいページ数のをよもうと思って手に取りました。
何回も読むタイミングあっただろうと思うけど、実際問題ずっと避けて通ってきた道でした。
純文学をそもそも通るのが遅くなって、今なら読めるかなぁと思い読んでみたら、割とスルスルと入ってきました。
自分とは交わって来なかったアングラだったからある意味受け入れるのが早かったなと思います。
Posted by ブクログ
何度目かわからない再読。読む度に泣いてしまう箇所が増えている。初期作品、というか、最初の作品だが、金原ひとみ作品に今も通ずる、アンコントローラブルな世界をなんとか掌握したいという欲望が強く現れているように思う。