感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2024年04月30日
10年間の兄妹物語
お互いの噛み合わない気持ちが、少しづつ歩み寄り
交差してゆく心温まる話でした。
文体も凄く読みやすく一気に読んでしまいました。
最近の世の中では、ちょっとした表現や行動が問題となる
難しい時代です。
歳を重ねるに連れ納得の出来ないこともありますが
相手の立場になって考え、無理に理...続きを読む解することなく相手に寄り添う事が大切であることを改めて考えさせられました。
Posted by ブクログ 2024年04月19日
十年以上に渡る兄妹の長い物語。
二人の噛み合わない会話が、時を経てだんだん歩み寄り、お互いを認め合うものに変化して行くのが何とも温かい。
終盤は掛け合いみたいな感じになり、関西弁も相まって面白かったです。
二人の生み出すガラスを想像しながら、とても美しいものなんだろうと感じました。
さらさらと読めて...続きを読む、でも感情の深いところにグッとくるような文章が良いなぁと感じました。
Posted by ブクログ 2024年04月09日
オーディオブックで聞きました。出だしからスルスルと耳に入りました。
障害のある兄と妹、それぞれの視点で心の機微が丁寧に表現されており、硝子を作る様子や硝子の美しさも目に浮かぶような描写でした。
聞いていて数回泣きました。
Posted by ブクログ 2024年03月26日
心に染み入るやりとりがたくさんあり、はっと気付かされたり、優しい気持ちになれる物語。
前を向かなければならないと言われても前を向けないというのなら、それはまだ前を向く時ではない。それを強いる人は受け止める体力のない弱い人です。
Posted by ブクログ 2024年03月26日
面白かった。
一気読み。
祖父からのガラス工房を営むそれ兄妹。
兄は自閉症?
家族のそれぞれの想い。
ガラス作品は大好きなので、サクサク読めた。
人はそれぞれ違う。
理解することも難しい。
でも それぞれ違って当たり前。
理解出来なくても、それを認める。
うん、大事なことだ。
とても良い作品...続きを読むだった。
多くの人に読んでもらいたい。
映画化なんてされないかしら?
Posted by ブクログ 2024年02月22日
羽衣子と兄の道
普通には行動できない兄、道はいつも特別扱い 小さい頃から何でも出来てあたりまえとされる羽衣子は兄が嫌い
一方ですぐに感情的に泣き喚く羽衣子を道は苦手だ
そんな二人が祖父の残したガラス工房を引き継ぐ中で少しずつ理解し合っていく 許容し合っていく、、
なぜか兄より羽衣子のでこぼこが次第に...続きを読むひどく感じられてくる
でこぼこは誰にでもある 特別なことではなく
対処する方法を理解し実践することで分かり合える場合があるんだろう 少しずつ成長していくのも人間
Posted by ブクログ 2024年02月11日
人と違っているという道の個性の話は、道の才能と羽衣子の努力であったり、まことくんと茂木くんは別人であることであったり、葉山さんの知人と道も別人であることだったりと、1人として同じ人はいないと色々な箇所で書かれている。羽衣子の悩みを道が勇気づけてくれたように、道の背中を羽衣子が押したのは素敵だった。
...続きを読む
わたしたちは広い海に浮かぶちっぽけな一艘の舟のように頼りない。それでもまずは漕ぎ出さねば、海を渡り切ることはできない。
Posted by ブクログ 2024年01月04日
面白くてあっという間に読んでしまった。
道と羽衣子、性格は全然違うのに、読んでいるとどちらの気持ちもよくわかるし寄り添える。
心の細やかなところまで伝わってくる
『ガラスの海を渡る舟』というタイトルも美しい。
Posted by ブクログ 2023年12月30日
寺地はるなさんは身内にASDの方がいるのでしょうか?もしくは、ものすごく丁寧に学ばれている様子。
私は、発達障害の方と関わる仕事をしていますが、表面的ではなく、本質を捉えた寺地先生の作品に心が温まります。川のほとりに立つものはでも思いました。
発達障害って何か特別な才能あるんでしょ?という、一見相手...続きを読むを尊重しているようでそれは薄っぺらい発言であるとか、診断されてるかどうかは関係ないとか、いちばん苦しいのは本人で、それは周りによって苦しめていることとか…
本当に理解してもらえなくて私が日々憤っている本質を、専門家でもわかっていないようなことを、寺地先生はしっかり深いところで理解されている。
すごく嬉しくなりました。
Posted by ブクログ 2023年12月22日
『ガラスの海を渡る舟』
<小説より>
「前を向かなければいけないと言われても前を向けないというのなら、それはまだ前を向く時ではないです。」
「手っ取り一人前になる方法なんかない。毎日同じ時間、同じ量の仕事をするんや。そうやって少しずつ身につけることしかでけへん」
――――――――
【主人公】
...続きを読む主人公は、ガラス工房を営む兄と妹です。祖父が亡くなったとき、彼の遺言に従って二人で事業を継ぎました。兄は骨壺を、妹はアクセサリーを作っています。
【兄と妹の距離】
兄には障害があります。空気を読むのが苦手で、周りとずれた言動をとることがあります。妹は、幼いころから兄に恥ずかしい思いをさせられてきました。兄を嫌っています。しかし、ガラス工房で一緒に働くことで、少しずつ兄に理解を示そうとします。
【骨壺の物語】
兄は、祖父の死がきっかけで骨壺を作り始めました。祖父の遺骨を近くに置くための入れ物を自分で作りたいと思ったのです。工房に骨壺を依頼するお客様は、それぞれに悲しみや思い出を抱えています。兄は、お客様の話に寄り添い、一つだけの骨壺を作ります。
【世界との距離】
小説では、兄と妹のガラス工房の外の出来事も描かれています。
・父の家出と新しいパートナーの暮らし。
・母の東京での仕事そしてパートナーの存在。
・資金で苦しんでいる叔父からの再三の遺産交渉。
・妹の恋人の浮気など。
兄と妹の意思とは関係なく、世界は勝手に回っています。それは、ときに孤独や悲しみややり場のない憤りを生み出してしまいます。
【読み終えて】
この小説は、生きるとは何か、死ぬとは何か、大切な人を失ったときにどうするか、というテーマについて考えさせてくれます。兄と妹のガラス工房は、ガラスの海の向こうにあるような、別の世界のようです。しかし、そこには、人間の温かさや優しさや希望もあります。もし、あなたが生きづらさや孤独感を感じているなら、この小説を手にしてみるのはいかがでしょうか?今とは趣きの違う景色に出会えるかもしれません。
Posted by ブクログ 2023年12月17日
装丁も綺麗で気になっていた本。
一気に読んでしまった。
みんなが出来る事が上手くできない道と普通に出来る羽衣子。
それぞれを理解できない。
私もそんな家族がいたらそう思ってしまうのかもしれない。
でも、人はみんな違うもの。
わかっているけど、みんなと同じ事が出来るのが当たり前と思ってしまっている。...続きを読む
この本の中には、たくさん心に刺さる言葉があった。
何か言葉をかけてあげたい人がいた時、かける言葉が見つからなかったら何も言わなくていいんだ。
無理に言葉をかけても、本当に思ってる事ではない言葉をかけてしまうから。
時間が経ったら、再度読みたいと思います。
Posted by ブクログ 2023年11月14日
溶鉱炉で作業する描写に熱気と気迫が伝わってきて息を呑み物語に引き込まれていきました。幼い頃からの軋轢がある中、祖父のガラス工房を継いだ兄妹の10年の歩み。
特別扱いされてきた兄は発達障害の気配があり、日頃から兄を庇う母に不満を抱きながら大きくなった妹と、なんでも普通にこなせる妹に気後れし、起伏のある...続きを読む感情をぶつけられ苦手意識を拭えないまま大人になった兄が一緒にガラス工房をはじめるとか、工房だけに熱い攻防が繰り広げらそうな予感。親戚、家族間にも遺恨を抱え解決できないまま進むストーリー。
骨壷作りには協力的でなかった妹だけど、祖父のための骨壷を作るうちに理解を示すようになり思い出たっぷりの容器で作るこれがユニークで笑えました。
記憶には形がないから壊れることはない。でも、薄れる。遠ざかる。だからとどめておくために物に託す。それをみたらいつでも思い出せるようにガラスの骨壷を作る。
やがて食事も一緒にするようになり、いろんなことがおこる。作中に輝く言葉がいくつもありそれを拾い集めるだけでもジワァーっとくるし、抑え気味に書かれているユーモアもさりげなく上品に響きました。看板に書かれた骨壷ありますの文字もそりゃないはって思えたし、祖父のために作った骨壷にそんな内緒話があったのかって嬉しくなりました。
大阪人が本気で怒ると巻き舌になり「クルゥアッ!」になるらしいし、すごい迫力に怯んでしまいそう。
妹の作ったガラスのアクセサリーも輝いて生き甲斐を見つけたり。それぞれ違う個性で共存する姿に魅せられました。
Posted by ブクログ 2023年08月16日
祖父のガラス工芸工房を引き継いだ兄妹の10年間を描く。3つの章と序章・終章の計5章からなる。
* * * * *
生きにくさ。グレーゾーンを含め発達障害の要素を持つ人には日常的に感じていることではないでしょうか。
幼い頃から自閉スペクトラムの特徴が濃く表れていた道もその1人だ...続きを読むと思います。
「みんな」と同じことが自分1人だけできずに、周囲からは疎まれ、侮られる日々。さぞかししんどかったことは想像に難くありません。
けれど、道は自分の特性をきちんと理解し、他人との違いを受け入れた上で羨望や嫉妬を感じることなく生きてきたのです。
自分にできることに注力し、求められる場所でその能力を発揮する。この愚直さこそ生き方として望ましいと思います。
道から発せられた印象深い言葉の1つ。
「前を向けと言われても向けないのなら、それはまだ向く時ではないということだ」
手垢の付いた慰めや綺麗事を口にしない道にとっての本心であり正論なのですが、なんと心が救われる言葉であることか。
生きる指針となる言葉を要所に挿みながらも決して押し付けがましくない。そんな寺地さんの作品にまたしても元気をもらいました。
Posted by ブクログ 2024年04月25日
寺地はるなさんの小説はいくつか読んでいるが、家族をめぐる物語が多い。
多様性という言葉をよく耳にするようになったが、家族の在り方や家族に帰する責任論などは、これだけ色々なことが急速に変化する時代にあっても、昔のまま、あまり変わっていないように思う。
そういったことから生じる人々の心のズレや、個々の...続きを読む生きづらさを、寺地さんは丁寧に掬い取って小説にされていると感じる。
この物語は、主人公の道と羽衣子の兄妹が、祖父のガラス工房を継ぎ、それぞれの人生に向き合う10年を辿るもの。
診断を受けていないものの発達障がいと思われる兄、道の「ふつう」の人たちの中で生きていく困難さや、そんな兄を持ち、小さい頃からいつも母に構ってもらえず愛情に飢えて大人になった羽衣子の心情を、交互に追うことで、それぞれの考えや見え方を読者も共有する。
それに加えて、吹きガラス職人の芸術性を追う姿と利益を出すための仕事に向き合わざるを得ない姿も描かれている。
家族は自分で選べない、究極の運命共同体だ。格差が広がる中、コロナ禍もあり、仲睦まじく支え合える家族ばかりではないだろう。
理想的な家族を描かないことこそが、今の私たちへのメッセージになっている。
最後まで読むと、このタイトルの意味がよく分かる。
2021.12.29
Posted by ブクログ 2024年04月27日
経営するガラス工房を経営する里中道、羽衣子の兄弟。それぞれの視点から話は書かれている。亡くなった祖父の工房を二人で受け継ぐことになる。
道が、骨壷にいれ、祖父の遺骨を手元に置くということから、オーダーで骨壷の作成を引き受けることにしていく。別れと向き合うためにガラス細工を必要とする人たちと接して、二...続きを読む人の間でも周囲とも関係を改善させていく。
Posted by ブクログ 2024年04月11日
受け入れたくない、受け入れる?受け入れたつもりだけど、受け入れられない。身内だからこその妹の心の葛藤。
才能のあるなし。周囲の関わりに対する恥ずかしさと嫉妬。
発達障害と付き合う兄の成長。
お互いの視点で10年を紡ぐ。
骨壷という死を強く感じる重たいものが、ガラスの儚い美しさと対比して、客に寄せる心...続きを読むも互いに違うのが面白い。
Posted by ブクログ 2024年04月06日
寺地さんは2冊目だが、最初に読んだ『水を縫う』の設定と非常に近い。前作が祖母と姉弟と離婚した母、今回の作品は祖父と兄妹と別居した母。このような家族構成が好きなのだろうか?
発達障害らしき兄は周囲と上手く行かないが、家族からは大事にされ、それが妹にとっては耐えられない反発心となっている。祖父がやってい...続きを読むたガラス工房を小さい頃から出入りしていた二人は、祖父が亡くなったことで伯父に処分されそうになった工房を勢いで継ぐ事になってしまった。反発しながらも工房を立ち上げた二人はすれ違いの日々。
才能ある兄に嫉妬する妹。両者の気持ちが痛いほど伝わってくる。徐々に歩み寄る妹と兄。優しい気持ちになれる本だった。
Posted by ブクログ 2024年03月21日
発達障害らしき兄(道)の考え方を明文化すると、こんなにも理解しやすいものかと驚いた。
街中で目にする彼らの不可解な行動。
何を考え、どのような思考からその言動に至るのか。
彼らは空気を読んだり、相手の気持ちを慮ることが苦手だ。それに反して自身の感情の動きにはとても敏感なのである。
そんな道に幼少期よ...続きを読むり嫌悪感を抱いていた妹(羽衣子)。2人が同じ場所で働く。
何とも非現実的な展開。
しかし綴られる文章からそれほど殺伐とした雰囲気は感じられない。
なぜなら物語が進むに従って、羽衣子が道を受け入れよう、認めようとする心の動きが見えるからだ。
相手を認めることは自分と向き合うことでもある。
冒頭から、どうして羽衣子はこれほどにまで道を嫌うのか引っかかっていた。
その要因は、子供の頃に母親から十分に愛されなかったこと。
自分に施されるはずだった母の愛を、(発達障害であるが故に)道に横取りされたと、寂しく感じていたからなのだ。
羽衣子は寂しいという感情と向き合うことから逃げない。
その寂しさは仕事への原動力にも繋がっている。
道の視点からみると、身内とはいえ自分を理解してくれる羽衣子という存在がいることはとても幸せなことだ。
道は対人関係において忖度せず、物怖じしない強さがある。
だからこそ周りは(気を遣わなくていい)と肯定的に捉えることができる。
羽衣子は向上心が高く、またその高すぎる自尊心のせいで自分の弱さとなかなか向き合えなかった。
だから周りからの否定的な意見に打ち負け、卑屈さも相まって道より自分が劣っていることを認めたくなかった。
ただ、中盤、ガラスの勉強に訪れた繁實さんから、「道と同じくらいええもんもってる」と言われたとき、自身の素直な感情に気付く。
「苦しかった。認めて欲しかった。」
いままで周りに求めてばかりだった承認の言葉。
自分がそれを認められればいいのだ。と。
そうやって心は成長していくのだろう。
羽衣子が大嫌いだった骨壷案内の看板が、
物語終盤では意外な装飾を加えてパワーアップしている。
Posted by ブクログ 2024年02月14日
表紙の綺麗さに引かれて
親の接し方に優越を感じ子供の頃から不仲の兄妹が祖父のガラス工房を継いだお話。
オーダーメイド骨壺を作製していく中で、お互いを認め合い、距離がだんだんと縮まっていくのが愛おしく感じました。
大切な人の死に対して、無理に前を向く必要がないと道が言ったことが印象深く、不器用で素直な...続きを読む意見と心に刺さった。
きっとその人の感情や故人を思った素敵な骨壺なんだろうなぁとホッコリする物語です。その後の兄妹が気になります。
他人への評価は所詮は主観。
いつまでも自分はまだまだと自覚できる心が大切。
Posted by ブクログ 2024年01月14日
兄の道と、妹の羽衣子。
特別になりたい羽衣子、普通がわからない道。
そんな2人がガラス工房を営み、そこに訪れるお客様からの要望に、それぞれの価値観を持つ。
はじめはお互いの考えこそ理解できずに反発してしまう様子も描かれている。
しかし、羽衣子と道の親戚、それぞれの友人、恋人など、本人を取り巻く関係性...続きを読むで生み出された絶望的な感情から、救いの手を差し伸べるのは、やっぱりお互いの兄妹だった。
作中で、“普通がわからない”道は、羽衣子の“含みのある”表現に対し、言葉通りに受け取る。多様な児童生徒がいる教育現場で起こりうるような噛み合わなさがしっかり表現されているような気もした。“特別”とは何かも考えさせられた。
個人的に、“世間の当たり前”に疑問符がつけられる道の発言に、羽衣子が憤ったり、呆れたり、またある場面で救われたりするたびに、お互いの立場が変化して行く様子を見取るのが楽しかった。
心地よく読み進める作品。
Posted by ブクログ 2023年12月25日
穏やかな優しく暖かな気持ちになれました。
兄妹の思いが丁寧に描写されており、どちらにも感情移入できました。羽で物語が始まり道で物語が終わる構成も良かったです。ラストの終わり方が特に良かった。
読後感はとても良いです。
Posted by ブクログ 2023年12月19日
すごく愛しく人間らしい兄弟の、10年間の軌跡。
今回の作品もやはりお薬みたいな話だったなぁ~!!
「ふつう」のことができない兄道にガラス作りの才能があると思い込み、自分も才能を開花させるべく葛藤する妹羽衣子。対して、「ふつう」のことができず、思ったことをそのまま言ってしまうような自由気ままな兄道。...続きを読む2人は祖父が生業としていたガラス工房を受け継ぎ、奮闘するも反りや考え方が合わず、何度もぶつかってしまう。そしてぶつかる度に羽衣子は道の本当の想いや優しさに気づいていく。やがて工房も軌道に乗るなかで、様々な人に出会い、2人は人の優しさに触れていく。
特に好きな場面は道の真っ直ぐなところ。人が躊躇って言えないようなことも彼は迷わず言う。私は彼の勇姿を見て、本当の優しさとは道みたいにしっかり真っ直ぐ思いを伝えることなのだと強く思った!!
また道に会うために、読み直したい1冊
p.88 前を向かなくてもいいです(第1章 骨)
「前を向かなければいけないと言われても前を向けないというのなら、それはまだ前を向く時ではないです。準備が整っていないのに前を向くのは間違っています。向きあうべきものに背を向ける行為です。」
p.92 簡単そうでできないこと(第1章 骨)
「他人の良いところを認めるより、批判したり揚げ足とったりするほうが、ずっと簡単やな。優位に立ったような気分になれるけど、実際はその場にとどまったまんまや。でも羽衣ちゃんは道を認めた。それができるやつは先に進める」
p.118 『ふつう』とは(第1章 骨)
「羽衣子にとっての『特別』とか『ふつう』は、ただひとりの特別な人間と、同じようなその他大勢の人ってことなんかもしれん。けどぼくにとってはひとりひとりが違う状態が『ふつう』なんや。羽衣子はこの世にひとりしかおらんのやから、どこにでもおるわけがない」
Posted by ブクログ 2023年11月29日
ガラス工房を継ぐ兄妹の話。
2人の視線で進んでいくんだけど、どちらかと言うと妹色が強いように感じた。
きょうだいってどうしても比べられる。
同じ親から生まれて、同じ環境で育ってきたから。
個性って人それぞれで
みんなと同じようにできないのも
人の目を惹く作品を作れるのも
なんでも、だいたいできる...続きを読むことも
負けず嫌いで頑張りすぎて無理してしまうことも
全部全部自分の個性。
隣の芝は青く見えるけど、
自分の芝だって案外捨てたもんじゃない。
入れ物って中の物を隠したり、守ったりしてくれるイメージがあるけど
ガラスの骨壷とか、ガラスのケースだと
中身を忘れずに、より大切にできるかもしれないって感じた。
Posted by ブクログ 2024年01月07日
今日のハチミツあしたの私 と同じ作者、寺地はるなさんの作品。ハチミツの方と同じく、これも優しくて力強いテイストの本で、とても気に入りました。ちょっと青山美智子さんの作品の雰囲気と似てるかもしれない。心がやさぐれがちなので、こういう温かみがあって励みになるような物語って好きだなあ。
Posted by ブクログ 2024年02月18日
終始心穏やかに読み進めることができた本。
特別辛い!とか感動した!はないけど、読んで良かったなと思う。
ちゃんと言わないと伝わらないこと。だけど、ちゃんと言うのは難しい。「ちゃんと」言うよりも感情とか見栄とか要らない添加物満載になって出てくる言葉と、受け取り側の環境と
やっぱり人って、言葉って難し...続きを読むい。感想も難しい!
Posted by ブクログ 2023年12月20日
なんかすごく沁みた本。
発達障害と思われる兄とその妹が2人で祖父のガラス工房を継いでからの10年間の物語。母は兄にかかりきりで放っておかれたと思って育った妹と、妹にできることができないと言われて育った兄。仲は決して良いとは言えない。ぶつかったり擦り合わせたり、そんな10年間。
「ひとりひとり違うとい...続きを読むう状態こそが『ふつう』なんや。『みんな同じ』のほうが不自然なんや」
印象に残った祖父の台詞。
祖父は兄にそう言ったけれど、妹にはうまく伝えられなかったのかなぁ。妹が認められたくて色々わだかまっているのがなんとも。なんにでもなれる、けれど何者もその者自身にしかなれないんだよなぁ。
Posted by ブクログ 2023年11月29日
この本を読み終えると、物事の受け入れ耐性がちょっと広くなる気がする。
みんなと同じように行動しなきゃ、生きなきゃって無意識に思っているところを、道にそんなことないよって自分自身が言われてる気持ちになる。
Posted by ブクログ 2023年11月11日
終わってみるとガラスのように透き通ったストーリー。
Audibleナレーターの方の力も加わっていると思う。アニメでもよく思うけれど、女性の方が演じる男性役の声は、どこか知性を醸し出す感がある。
主人公2人のうちの兄もそう。他人の感情を読み取れないアスペルガー傾向が描かれている。ただ彼は「はっきり言...続きを読むってもらわないと分からない」ということを分かっている。つまり自分のことをよく理解できている。それが知性的な印象になお拍車をかけているのだと思う。
そこに辿り着くために、いま苦しんでいる人も少なくないんじゃないかな、と思いを巡らす。
火傷の手から紡がれる工芸を通して、勇気が広がっていくといいな。
──新しいことは、いつだってとても静かに始まる
二度繰り返される美しいフレーズ。
少し前に、スタートするには強い線引きが必要だとかいう感想を書いた。このフレーズと整合させるには、と思い悩む。きっと、思い切ってスタートして、スタートしたことも忘れるくらい当たり前になった時に、新しいことは始まっているのだ。うんうん。今はそうしとこう。