あらすじ
鳴りやまぬ拍手と眩しいほどの光、人生の境地がここにある──。芝居だけに生きてきた男たち。その命を賭してなお、見果てぬ夢を追い求めていく。芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をダブル受賞、『悪人』『怒り』につづくエンターテイメント超大作!
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映画より面白い
映画が面白かったので、原作を読んでみた。
大筋は原作通りだけど...やっぱり映画は別物。
なんと言っても徳ちゃん、漢前です。かっこいい。
結局喜久雄は『ぼんぼん』なので徳ちゃんが居なくなると叱ってくれる人も居なくて、喜久雄の孤高感が加速したのかとも思うし、その分芸に磨きが掛かった気もする。最後は社長になっても喜久雄の国宝受賞に飛んでくる所は徳次の義理堅さが出てて良かったです。
あっと言う間に読み終え、何故か脳内で柄本時生さん版徳次が躍動しておりました。
柄本時生さんの徳次.....観たっかなぁ。
《歌舞伎》への底しれぬ愛情。
2025年7月読了。
話題に成っている映画の方を先に観て、映画は映画でとても素晴らしかったのだが、3時間の尺でも『何かのダイジェスト版を見されられている』様な気がして、速攻で原作を読んだ。
映画を先に観ていたお陰で、名前と顔が直ぐに浮かび、劇場で「喰い足りない感」が有ったのを、原作を読むことで本当に心から堪能した。
ただ、劇場版が笑いなしのシリアスタッチだったのに対し、原作は笑い有り涙ありの波瀾万丈な物語だった事が一番意外に感じた事だ。まぁこれだけの作品を映画化するには、ストーリーを相当にカットしなければ3時間どころでは済まないことに成ったのであろうから、致し方無かったのかもしれないが…。
本当に、吉田修一が此処まで《歌舞伎の素晴らしさ》を描き出せるとは思っていなかったので、その事も意外で有り、こうした伝統芸能について《がっぷり四つ》でぶつかった文芸作品は早々出会えないので最大の賛辞を送りたい。
又、映画の方も原作とは異なる解釈では有ったが大変素晴らしかったので、原作と映画、両方とも違う味合いで魅了された事が何よりの喜びだった。
映画はスゴい興収に成っているそうだが、原作ももっともっと多くの人に読んでいただきたい《大傑作》である。
映画を観て、原作を読んで、今また『映画』が観たいな…と思っている。つくづく《歌舞伎の世界》は素晴らしい…。
Posted by ブクログ
これはものすごい大作です。私は歌舞伎に関する知識がほとんどなかったのですがそれでも楽しんで読むことができました!独特な語り口が世界観を作っているしなにより文章を読むだけで映像が頭に流れ込んでくるような感じがします。また、50年というながいながい物語だったのでこの物語の最後の文を読み終わった時は1人の人生をずっと見守っていたような感覚になりました。
Posted by ブクログ
ここまで極端じゃなくても、寝ても覚めても頭から離れない、打ち込めることがあるって羨ましい。
それもひとつの才能なんだろうな。
天才と狂人は紙一重、なんて言葉が浮かびました。
Posted by ブクログ
映画では徳ちゃんの人生に触れている場面があまりなかったが、徳ちゃん、、この物語でどれだけ孤高となる主人公、喜久ちゃんにとって大事な守護神になったか。また、喜久ちゃんの国宝となるまでの壮大な人生を楽しめました。深い!
Posted by ブクログ
上巻は概ね映画と内容がリンクしていたが、下巻は映画には無かったエピソードが沢山あり読み応えがあった。自分ではどうにもならない理不尽な環境に直面したり、挫折や偶然的な成功等、様々な経験を通しても一貫しているのは、喜久雄の歌舞伎に対する執念に近い熱量だと感じた。ただただ歌舞伎がしたい、舞台に立ちたい、もっと上手くなりたいと願った行動のせいで、周りの人を不幸にすると言われることがのは、少し同情してしまうが、その経験ですら歌舞伎への執念をより一層強くする糧になっていた。
印象的だったのは藤娘の演目で観客が舞台上に上がってきた場面。映画では喜久雄が狂気に満ちて踊るシーンに繋げる為の場面だと感じたが、小説ではここで喜久雄の舞台と外の世界の膜が破られる大事な場面。ここから喜久雄は舞台と外の世界の境が曖昧になり、更に狂気の淵へと落ちていく。喜久雄が歌舞伎を通して観た景色が他の役者、観客の目にも映し出される。喜久雄が14歳の時から心の奥で望んでいた「きれいな景色」を観る境地にどんどん近づいている。語り部のような文体のため小説の世界に没入してしまう感覚とは異なるが、まるで舞台を観ているような感覚で最後の阿古屋の場面を読み切ってしまった。最後の場面は、映画よりも良かったので、ここを読むために小説を読む価値がある。
Posted by ブクログ
素晴らしい作品だった。
映画もよかったけど、それでも原作の3割出来。
すべての背景まで作りこまれた深い作品。
歌舞伎を知らない私でもこんなに楽しむことができた。
シーンが頭に浮かぶのは
映画を先に観たせいだけではないはず。
最後は徳次と会ってほしかったなぁ。
Posted by ブクログ
上巻で人々の波乱万丈な人生にハラハラしっぱなしで、「こんな勢いのまま下巻はどうなるのだろう」と思っていた。若いころの勢いを失って少し感傷的にでもなるのではないかと危惧したからだ。ところが下巻では物語のスピードがまた一段上がって、読み始めたら一気に読んでしまった。上巻はまだ余裕がある話だったな、と思うくらい。目まぐるしくて、桜吹雪に巻かれていたかのようだった。
子供の頃と大人になってからというものは、時間の経ち方にはかなりの違いを感じるのだけれど、その感覚がそのままこの下巻に詰まっているように感じた。上巻の青春期には芸を磨くことに急いでいた日々だったけれど、年を重ねれば今度は「時間」そのものが背を追い立てて来る。
「いつまで、これを」というように幾度となく繰り返される「舞台」という世界。「ここまでは、ここまではやりたい」と「死」というリミットと競争する芸人たちの姿。
有名人の自分を晒すような生き方は自己主張や自己表現とは全く違う形をとり、社会に紛れて生き残るための手段となるのだと思った。特に喜久雄が社会から綺麗に溶けていくような様は震えるほどだった。公人が世間に見せているのは意図的に選んだ一面だけなのかもしれない。さらに言えば、誰でも、たとえ無名の人間であっても、社会で生きるために演じている部分は持っているのだろうと気づかされた。
歌舞伎のシーンを映像で見れるのだから「国宝」を映画で観るのは凄く良いな、と思ったけれど、「歌舞伎」を取り巻く群像劇のストーリーは小説だからこそ追えるものかも……と思った。これだけ多くの登場人物たちが現れてもテーマの一貫性を保ち、ご都合主義とも感じさせない著者の手腕は見事で、気がつけば夢中で読んでしまった作品。
Posted by ブクログ
歌舞伎というなじみのない世界を生きてゆく男の物語。非常に重厚な小説だった。語り口は古典劇の口上を聞くような感じであり、また一般の人にはあまりなじみがなくて退屈しそうな歌舞伎の舞台の場面の描写も非常に臨場感にあふれていて、実際に歌舞伎を観るよりも迫力があるのではないかと思ってしまう。主人公の喜久雄は芸の道を究めてゆくのだが、最初は多くの仲間に囲まれていたのが、年を取ってゆくこともあり、また自分がどんどんと芸の高みに登ってゆくこともあり、それにつれてだんだんと孤独になってゆく。その姿が非常に寂しそうで印象的だった。その姿はこの小説を原作にした映画でも描かれるのだが、映画ではあまり描かれることがなかったのが、主人公喜久雄を少年のころからずっと支え続けてきた徳次だった。主人公の不良仲間のような人物だが、それでも非常に男気があり、また主人公に対する忠義は強く、またチャンスをものにするための思い切りにも富む人物。いずれも私にはないもので、かっこよくもうらやましくも思えた。映画も非常に良かった、原作と映画とどちらがいいかといわれると、甲乙つけがたい感じ。映画を観た人には原作も読んでほしいと思う。
Posted by ブクログ
圧巻だった。それぞれの人物の描写が丁寧でものすご〜く濃い!!奥行きが深い!!!
「ですます」調の独特の文体で読みにくいかと思ったが、すぐに慣れてあっという間に読み終えた。歌舞伎のことはさっぱりだけど、「歌舞伎役者」として生きる者の宿命というか業というかをまざまざと見せてもらった。徳次、春江、彰子、幸子と脇を固める登場人物も良き。
映画を観ていなかったらこの原作は読んでいなかったと思うが、もし逆だったら物足りなく感じたかもしれない。映画には映画の良さがあり、原作を読んでまた改めて映画を観たくなった。
Posted by ブクログ
私は今、凄まじいものを読んだ。最終ページ、そこにははっきりと稀代の女形花井半二郎がいた。読後、熱いものが胸に込み上げるような感覚があった。
歌舞伎を愛し、歌舞伎に生きた天才半二郎の一生を圧倒的な熱量で描き切った本作。
一つの道を究めるために、すべてを懸け、命を燃やす。その真摯な生き様は、読む者の胸を強く打つ。
普段あまり人間ドラマを描いた作品を読まない私だが、本書には大変満足できた。正直、ドラマやアニメ、バラエティのような分かりやすい楽しさや面白さのある作品とはいえないかもしれない。しかし、彼の人生を密着したまるで2時間の上質なドキュメンタリーを見ているようで、読後には理由を超えた大きな感動が残る。
読む人を選ぶことなく、多くの人にお勧めしたい傑作である。
Posted by ブクログ
「白河集団公司」!!!(嗚咽)
徳ちゃんって最後の最後まで本っっ当に義理堅くてなんていい奴なの!!!
私は映画が先、原作が後になったけど、結果的に正解だったと思う!
歌舞伎の繊細な大胆な美しさとか、俳優陣の演技の上手さを堪能するために映画がすごく良かったんだけど、映画化で省かれたたくさんの部分があまりにも良すぎるため、「映画に反映されてなくて残念」の気持ちの方が上回ってしまうと思う。
映画では、俊ぼんが逃げて、喜久雄の元カノと子供作って、結構ぬるっと実家と歌舞伎界に帰ってきたようなイメージだったんだけど、原作では戻ることを決めてから父親に許可もらうために踊るシーンもあったし、腕の中で第一子が突然死したショックで廃人になってそこからの復活で糖尿病で結果両足を切断したし、相当苦しみもがいていたのが分かって、すごく感情移入した。つらかったね、がんばったね、俊ぼん。泣
息子の一豊がひき逃げしてしまう俊ぼん譲りな一時の心の弱さも描かれてた。
喜久雄の娘の綾音が、自宅の家事で娘が火傷を負って集中治療室とはいえ、病院に駆けつけた喜久雄に思いっきり”お父さんが成功するたびに私が不幸になる”ってぶつける場面もかなり良かった!映画は「悪魔と取り引きする」っていうシーンはあったけど、原作ではかなりはっきりと喜久雄に対する憎しみの感情が現れてた。(そこの印象がかなり強く残ってるけど、綾乃が付き合ってる関取と結婚を決めたり、孫が産まれたりして喜んでる喜久ちゃんかわいかったな)
狂人となってしまった喜久雄だけど、美しい世界の中で最後まで生きられて幸せだったんだろうなぁ。。
Posted by ブクログ
素敵なお話でした。
読み応えある!
映画とは違うけど、このラストもいいなぁ。
これを書くのは資料集めとか大変だったんだろうなぁ、と最後の「参考資料」を観ながら感じました。
そして、これを映画をするのも苦労したろうなぁ、と感じるのでした。
どちらも素晴らしい!
歌舞伎のことをもっと知ってたらもっと楽しめたのかなーとそこだけが残念です。
Posted by ブクログ
後半。映画では描かれなかった場面、登場しなかった人々が多く登場し物語の奥行きを広げます。映画では妖艶な歌舞伎のビジュアルを、小説では登場人物の内面や背景を、それぞれの媒体の長所が互いに補完し合い、作品そのものの輪郭がくっきり立ち上がってくる感じがありました。ラスト喜久雄が観た景色とは?映画とはまた違った描写、表現でただただ圧倒されました。
Posted by ブクログ
任侠の世界から始まる。
主人公の喜久雄は、複雑な家庭で育ち、ヤンチャな少年時代を過ごし、芸能の道へ。
マツや徳次は、派手な存在ではないけれど、喜久雄の最も核になる人物だなと思う。
感情がないわけじゃないけれど、何処か人情の薄さを
感じてしまう喜久雄。そんな喜久雄を熱く支えてくれる2人。そういう人に恵まれて、あぁ、うらやましいなと思う。
妻、彰子は不憫で仕方がなかったけれど、長い年月を経て、変わることってあるんだね。
1番不便なのは「悪魔と取引」を聞かされた綾乃だね。子供にそんな事言うのって、大馬鹿なんじゃないのって思ってしまう。
終わりにかけての喜久雄の変容。
「国宝」って「幸せ」とトレードなんかな。
闇を抱えた多様な人間模様を描きながらも、品のある文章がこの小説の魅力。
Posted by ブクログ
読後、深い余韻に満たされる。
上巻の感想で、主人公のプロ意識と云う表現をしたが、そんな生やさしいものかとでは無い!特に二人の登場人物の「芸」(歌舞伎)に向き合う情熱?執念?そんなものでは無い、鬼気迫る魂!を味わう。
物語も青年期からの何処か危なっかしい、ガラスに触れる様な感情や出来事!これは登場人物全てに当てはまる!人生の栄枯盛衰、最悪の状態から好転すれば、また悪い事が起こるのではないか?危なかしくて観ていられない!という感情が湧いてくる、反面先が気になって仕方がない!一気に読んでしまう。
重厚な大河ドラマを観た想い!
深い感動と余韻、多くの言葉や感想を残そうと思ったが、言葉が見つからない、読むか読まないか?迷っている方がいらっしゃったら是非読んで頂きたい。また、自分の人生を振り返らずにはいられなくなる、
素晴らしい物語に出会えた満足感に包まれる。
Posted by ブクログ
圧巻でございました。
読み終えた直後は、歌舞伎なのかそうでないのか定かではないのですが、まるで目の前の舞台で、今の今までこの「国宝」という物語が演じられていたような、そんな感覚でした。舞台が終わった後、ふーっと座席の背もたれにもたれかかりたいようなそんな気分でした。
下巻途中までは、「徳ちゃーん!」と心の中で叫ぶことが多く、それほどまでに徳ちゃんの存在が大きかったように思います。登場人物の誰を欠いてもこの喜久雄の人生がこのようではなかったと言えますが、それにしてもこの徳ちゃんの存在は大きすぎました。喜久雄だけでなく、喜久雄の周りを陰ひなたで支え、どうにも自分のことを二の次としているように見えた徳ちゃんが、遂に喜久雄から離れるところは、もちろん淋しかったですが、当然のことのようにも思えました。
それにしても波乱万丈な人生でございました。喜久雄はもちろん、俊ぼんも、春江も。長崎から喜久雄を追って大阪に出てきた春江を思い返してみても、物語的に言って、まさかこんなにも活躍するとは・・・というところです。根性がそんじょそこらの根性とは違うという感じです。それは喜久雄も同じでした。これでもかというほどの苦難続きにも耐える、乗り越える・・・。読んでいるこちらとしては、「え、また・・・」「今度は何・・・?」と胸が痛くなることが多かったのですが、彼らがどうにかこうにか前を向く姿に、それもこれも「歌舞伎」が彼らの人生の中心にあるからか、と腑に落ちるところがありました。
歌舞伎については、もう20年近く前に国立劇場で一度観劇したことがあるだけで、演目も演者も覚えていないくらい、興味もなければ知識もなかったのですが、この物語では随所に歌舞伎の演目と喜久雄たち登場人物の人生がシンクロするように歌舞伎の演目についての説明があって、その構成が素晴らしかったです。この構成がゆえに、私のような歌舞伎を全く知らない者にとっても、歌舞伎というものがどういうものかがおぼろげにわかるようになっていたと思います。歌舞伎はよくわからないから、と本書を読むことを躊躇している方がいたら本当にもったいない、わかりやすいよ、と声を大にして言いたいです。
それにしても、どの世界もそうなのでしょうが、歌舞伎の世界も深くて濃い世界ですね。舞台だけでなく、その外に広がっている、歌舞伎役者の奥さん、お弟子さん、代々続く伝統の家系だとか、その屋号を支えるパトロンのような人たちだとかが、舞台を支えるためにどんなことをしているかという点に目をやると、オペラなどの他の舞台芸術とは一線を画す「濃さ」があるように感じました。これこそ、読書の醍醐味。本書を読まなければ知らなかった世界を疑似体験できました。
物語が終わりに近づくにつれ、喜久雄の芸は高みを目指して、凡人にはわからないようなところまでいってしまいます。芸を極めようと突き詰めていくほどに、常人ならざるところにいってしまう喜久雄はどんどんと孤高の人となっていきますが、「そうでなくては」という思いと、竹野のように「もう解放してあげたい」という思いとがないまぜになってきました。そんなとき、語り手は、そんな喜久雄の中にも、新年会で徳治と歌舞伎のまねごとのように踊った喜久雄や、父親の仇を討とうとした喜久雄、劇場の屋上で俊ぼんとキャッチボールをする喜久雄が確かに見えるというのです。
喜久雄は舞台の上を見上げて、そこにいる「何か」を見ます。あぁ、語り手は歌舞伎の神様だったのかな、喜久雄にはずっとその存在がわかっていたのかな。そんなことを思いながら読んだ最後は、自然と涙が溢れてきました。
この本を読めてよかったと心から思いました。
上下巻とも夢中に読みました。
既に映画は公開されていますが、上巻を読み、どこを切り取って映画化したのか、上巻だけでも色々切り取っても迫力ある映画になりそうで、下巻に進むと更に、幾らでも映画として切り取れるストーリーが幾つも展開していく本です。一体映画は何処を切り取り作ったのか、そう考えながら読んできました。そして思うのは主人公は、歌舞伎役者それとも歌舞伎役者を取り巻く多くの女性達どっちなのか、複雑にからみあう女性達の、なんたる不思議な信頼関係というか線引き潔さよさ、それを許しあう主人公を取り巻く歌舞伎の世界、この微妙な関係や繋がり、寄りかかり助け合う世界を表現する作家の本の構成の妙が素敵な本です。締めに向けては、女形、歌舞伎役者の目に見えぬ心、本人も理解していない境地の世界を表現していき、夢中にさせてくれる素晴らしい本でした。ありがとう。
匿名
最高の小説だった
とにかく余韻がすごかった。
全てを語らず読者に考えさせる隙を与えていて読み終わった後も繰り返し同じ文章を往復していた。
文章がまるで詞のようで流れるように頭にスッと入ってくる。
個人的にはこれを超える作品にはなかなか巡り会えない気がする。
Posted by ブクログ
映画にすごく見応えがあり、見終わった直後に小説も読みたい、いつか歌舞伎も見てみたいと思ったのに、半年経ってしまい、すっかり感動を忘れていました。小説で映画と同じシーンが出てくると、映像が鮮やかに蘇って楽しめました。映画には描かれていない登場人物との深い関わり、数多の苦難と犠牲によって到達した境地としての国宝。そこが映画ではあっさりしていて全然違うように感じました。
Posted by ブクログ
難しい部分もあったけど、映画を観たあとに読んだから歌舞伎の場面も頭に入ってきやすかった。
あと、映画では語られていない人物たちの人生を描いていて、より面白さがあった。
喜久雄の人生が壮絶すぎて言葉が出ない。極道の世界から歌舞伎の世界に移り、歌舞伎に人生と自分自身を捧げた最後の喜久雄には言葉が出ない。稲荷神社で悪魔との取り引きで言った「歌舞伎を上手うならしてください。日本一の歌舞伎役者にならして下さい。その代わり、他のもんは何もいりませんから。」という言葉の通り、歌舞伎役者としての芸は日本一になったが、喜久雄は幸せだったのか。喜久雄のように没頭できる何かがあることは幸せなことだと思うが、その果てまで行った喜久雄は何も感じ、何を思ったのか。
また月日が経った時に再読したいと思う。
Posted by ブクログ
中弛みを感じる場面はあるものの、それ以上に一人の人間の壮大な人生を最後まで見届ける満足感が勝る。
芸に人生を捧げる覚悟と、その代償として背負う孤独や喪失が静かに積み重なり、後半に向かって重みを増していく。
華やかな舞台の裏側にある執念と諦観が読み手にも否応なく向き合いを迫ってくる。そして何よりラストが美しい。
個人的な解釈にすぎないが、全篇においての語り口調、語り手は著者ではなく、喜久雄に取り憑いた悪魔だったのではないだろうかと最後の文「拍手を送ってくださいまし」でふと、そう思った。
Posted by ブクログ
映画では端折られていて違和感ありまくりだった彰子、綾乃とのくだりが丁寧に描かれていてとてもとても納得。歌舞伎と向き合うたびに孤独になっていく喜久雄の凄まじさも原作を読むことで凄味をましたように思う。徳次と弁天の生き様をみるにつけ、人はあきらめずにもがき続けることで得られるものもあるのだろう。ラストも怖いぐらいに芸事に取り憑かれた喜久雄らしさだったのかな。俊介が生きていたらまた違ったお話なのだろうけど。
Posted by ブクログ
長かった……
あと漢字難しいし内容も本気で集中しないと
難しすぎて頭に入らないので
静かな個室とかじゃないとちゃんと読めないです(私は)
映画からみて
本を読みましたが
内容がとても濃く本も試してよかったです。
また数年後に読みたいなと思います。
読んだ感想としては歌舞伎の世界が思った以上にドロドロだということと、
この本に出会わなければわたしは歌舞伎に興味を持つことはないまま死んでると思います笑
なによりも
歌舞伎一家?(読んだくせに曖昧ですいません)に嫁ぐお嫁さんがめちゃくちゃ大変だと感じました。
もちろん
血筋で将来をきめられている役者も
血筋がない喜久雄のような立場もとても辛く…
もっと報われてほしい…とおもってしまいました。
人生を捧げて歌舞伎に向き合う役者の生き様には圧倒されました。
小学生のような感想文……
語彙力ほしいです…。
難しいですけど本の読む習慣のある方にはおすすめです!
歌舞伎に興味ないひとほどおすすめです!
Posted by ブクログ
残念ながら歌舞伎の知識はほぼありません。
映画も観ていません。
ただ、読み始めると登場人物達の人生の変転が目まぐるしく、一気に読んでしまいました。「禍福は糾える縄の如し」の“禍”の効かせ方が絶妙過ぎます。
そして、作中に漂う“美しさ”やら“役者の業”が映画で表現されているのだとしたら、是非観てみたいと思いました。
Posted by ブクログ
こんなにも人情が報われないことがあるのか。
喜久雄の人生はなんだったのか。
死ぬほど努力して、どんな扱いにも耐え、他人に搾取されても必死に踏ん張ってきた結果がこれなのか。
結局喜久雄を無償の愛で揺るがない愛で愛してくれた人はいたのか。
最後は徳次が間に合っていたら、壊れてしまった喜久雄を止めてくれたのか。
辛くて悲しくて切なくて…映画は大衆向けにしてくれていたのだと実感。
Posted by ブクログ
映画を見て原作ではどのように描かれているのか気になって読み始めた。映画「国宝」の原作。下巻。
どうしても映画と比べてしまうのだけれど、上巻は大筋、映画と変わらない。けど下巻は結構違った。
映画では「血統」というものに大きく焦点が当てられていたように思う。寺島しのぶさん演じる幸子が夫・半次郎や喜久雄に疑問や不満をぶつけるシーンは印象的だった。けど、原作ではそこまで激しい場面としては描かれていない。
喜久雄と彰子、綾乃との関係も映画とは違う。
映画はかなり刺激的に描かれていたことがわかる。
俊介の姿は横浜流星さんの姿が浮かんで泣ける。
芸に取り憑かれ、ただ一人、どこまでも芸を極めようとする喜久雄の姿が神々しくもさみしい。
映画は映画で良かったけど、原作は原作で、読み終わったあとも余韻がいつまでも離れない。
Posted by ブクログ
歌舞伎役者がさまざまな紆余曲折を経て人間国宝に成り上がっていく所をわかりやすく描いていて面白かったです。2025年流行語にノミネートされたほどの人気とは聞いていたんですが、読み終えて、まさにその通りだと思いました。「国宝」効果によって歌舞伎が人気になっているそうで、これ、歌舞伎だけでなく古典芸能全ての人気が上がると思ってます。読んで良かったと思えた作品でした。
Posted by ブクログ
映画がヒットしているから読んでみた。波乱万丈の人生が描かれている。歌舞伎に興味があると面白さも増すが、残念ながらそれはなかった。でもまた読みたくなる本です
Posted by ブクログ
映画を先に観てから読んだけど、この順番で良かったと思う。
語り口調なせいか?本を読むというよりは、お芝居を観ているような感覚だった。
映像美が圧巻だった映画も良かったが、やはり原作は、本は面白い!と思う作品。
歌舞伎という伝統芸に、複雑な感情が入る血筋という現実が絡み…やっぱり歌舞伎は国宝なんだなぁと思わせられた。
あ〜ちゃんと歌舞伎を観てみたい!