小説・文芸の高評価レビュー
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黒岩重吾さんによる古代史解説。歴史好きは読むべし! 邪馬台国のことから神武東征、出雲の話、実在がほぼ確かな継体以降の天皇や、蘇我氏、藤原氏とのかかわりなど、捏造・創作が多いとされる記紀の記載をおさえつつ、その他の史料を読み込んで独自の解釈を行っている。それがまた素人の自分には極めて信憑性が高いものとして入ってくる。学会などでは否定される説もある様だが、それも本当のところはわからない状況での推論なので、案外黒岩氏が正しいこともあったりするかもしれない。いずれにせよ、学校の歴史教科書の無機質な項目の羅列ではさっぱり理解できなかった歴史の流れが、黒岩氏によって血を吹き込まれて目の前に現れてくると、生
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社会弱者の視点に気付かされる 予備知識なしに読み始め、まず児童小説であることを知り、プロレタリア文学に分類されるものであると分かった。社会的弱者について知った風な顔をしている自分たちが、まったく実際を理解していないことに気付かされる。裕福な家の娘であった小谷先生が、純粋な性格から様々な経験を通して子供達に分かり合えるようになっていく過程が描かれている。夫は一般社会ではごく普通とされる人物だが、弱者の視点からいえば何もわかっていない、下らない人間だという見方になり、読者の側も大いに恥じ入ることになる。タイトルの兎の眼は物語のストーリーとは一見直接の関連はないが、写真で善財童子の顔を見ると、そこに
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古代史と日本古来の信仰に翻弄される運命を描いた恋愛ホラーの傑作 天孫降臨からの系統で大和政権を築いた人たちは、天照大御神をはじめとする天津神を信奉していた。日本古来、土着の神である国津神を退散させるために崇神天皇が鏡作職人に作らせた鏡(八咫鏡)が、伊勢神宮と賢所にある。
その更に複製が鏡作神社のご神体となっているが、盗まれていた。蛇神の妻として生贄となる女性たちが鏡によって惑わされ心に潜む情を表出させられ死を選ぶ。
多黄子、綾、玲、霧菜と、それぞれ女性たちを取り巻く事情から情念に惑わされ死を選ぶに至る心の動きが、日本古来の信仰と共に進行する様子が描写され、スリリングで引き込まれるストーリーとな -
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読み終わりました。イクサガミ!
ドラマ化されたこともあって4巻揃ったところから一気読みされた方も多いみたいですが、最初からジリジリと待たされた組としては、待たされたぶんラストどうなるか、あれやこれや想像してただけに感慨深かったです。
他の方も書かれてましたが、ラスボスは刀弥でよかったのか?幻刀斎の方がよかったような。。バックグラウンドが薄いキャラだったけど、でも敵役なだけに、余計な感情移入しなくてよいからこれでいいのかな。。
京八流の個性が今回ネックになるので各秘技の名前と説明が巻頭にちゃんとついてました。さすが今村先生。先生お察しのように禄存とか破軍とか印象に残るのしか覚えてなかったので -
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ネタバレ読み終わった後に、もう一度序盤のページを開いて読み直した。
p22の雄介のセリフ
「小さなころからずっとずっと一緒で、二人でいろんなことを助け合ってきたのに、あの瞬間だけ、助けることができなかったんです。二十年間の中で、あの一瞬だけ、俺はどうすることもできなかったんです。そのことがずっとずっと許せなくて…こいつの人生が止まった瞬間に何もできなかったから、せめて、こいつの人生がもう一度始まる瞬間には、絶対に立ち会いたいって、そう思ったんです」
この言葉の背景を知ってしまった今、もちろん素直には受け止められない。
自分本位過ぎるほどの裏面を知ってしまった今、
ここに純粋な友情は見えない。
オンリ