小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
ネタバレ村田沙耶香の作品に共通するテーマは、セクシャル及びジェンダーの常識や定説に対する忌避感であると思う。女性が被る男性性からの抑圧や差別、性行為で直面する男性優位。著者はそのような状態からの脱却を試みる。
しかも、完全にないものにするのではなく、無味無臭で高尚な営みへと変換するのだ。登場人物や設定が提示する身体性からの脱却と再結合に読者は不信感を抱く。その不信感を持つこと自体、常識やイデオロギーに覆われているということを読者は自ずと認識し立場を危うくする。
そういった観点から「無性教室」をおすすめする。
舞台となる学校は「性別」が禁止される。真っ白な校舎はその中性的な空間の象徴であろう。
性 -
Posted by ブクログ
競馬の世界にいない河野氏によるノンフィクションルポ。HHHはヒンディー・ホッカイドウ・ホースマンの略称(造語)だが、登場人物はヒンディーに限られず、イスラム教徒もいるし、出身地もインドに限らずベトナム・南アメリカ・ジンバブエなど幅広い。また、取材地も北海道が中心だが、千葉に行った人を追いかけたりもしている。
北海道ではインド人が多数いることや、マレーシア人のエージェントがいることはなんとなく噂では聞いていたし、地方競馬場では日本人ぽくないルックスの方が馬を引いているのをよく見るようになった。
そのあたりの事情が非常によく分かる。
浦河町では2015年に13人のインド人が初めて住民登録をし、 -
Posted by ブクログ
越後塩沢の縮や質屋で生計をたてている鈴木儀三治は、父の跡をとって商業を生業としている。ある時江戸に滞在し、雪の話をしたが江戸者には何の話をしているか伝わらず、嘘をついているとさえ思われてしまう。越後のことを江戸の者に知ってほしいと越後の話を書き溜めた。
せっかく書いたものなので、出版までいかなくとも何かにして欲しいと人を介して山東京伝にお願いしたところ、手直しする形で出版できるかもという話になったが、出版元が見つからない。耕書堂も鶴屋さんも西村屋さんも二代目。板木代50両払うならという出版元を見つけたが、やはりそこまでの額は出せない。次に大阪の方での出版を試みるが、結局こちらもダメ。
山東京 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ硬派で古風な文体と語り手の知性的で捻くれた語り口調が、京都の風情と相まって、贅沢なモラトリアムと趣を感じられる。森見先生の独特な文体が本当に魅力的でした。
『脱出の可能性が見えないため、私の希望と絶望に影響されて、千円札の値打ちは乱高下した。』←四畳半から出られない絶望を表しただけの一文だけど、お気に入り
他キャラも独特かつ魅力的。
絶対的な自分軸をもつ樋口師匠
『可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である』
小津との掛け合いは捻くれの中にクスッと笑ってしまうような、いじらしさとあいらしさ
『我々は運命の黒 -
Posted by ブクログ
子供視点で話が進むので?読みやすかったです!
辛いシーンがいくつもあるんだけど、力強くて、素敵な仲間がいるってところで、自分は救われました。
乾燥描かなきゃと思って色々かんがえていたら、生きてく上では読んだ方が良い内容なんじゃないかと思ってきた。登場人物たちと比べると自分の悩み事は小さいことだけど、この先どうしたら良いかを考える上では必要なこと。
未来はわからないから、きっと大丈夫。って思わないと人は進んでいけない。
視野が狭くなると今あるところがこの世の全てだって思いがちだけどそんなことはなくて、一歩踏み出すことで変わる。
何かに近づくし何かに遠ざかる、遠かったら近づけば良い。当たり前 -
Posted by ブクログ
妊婦から出産、育児のあれこれを川上さんの言葉で等身大に綴ったエッセイ。
最近出産した身としては共感しかなくて終始にやけるか泣くかしながら読み進めた…
世の中の母親はみんな命懸けで覚悟があって、強くてみんな偉い!と改めて自分が母になって思う。
街で困ってるお母さんいたら迷惑かもだけどさらっと声かけれる人になりたいな。
夫に感じてるモヤモヤも川上さんが言語化してくれてて、(育児家事を超積極的にしてくれる夫でも感じてるモヤモヤという点ですごく川上さんの夫と重なる部分があった)特に夫に赤ちゃんが泣いた時の対応とかおむつ替えをしてもらってるときに「ごめん、ありがとう」ということが多くって、この「ごめん -
Posted by ブクログ
ネタバレ読んで良かった。
世間一般で使われている言葉に安易に寄りかかるのではなく、分からないことを分からないものとして伝えようとする書き方に、とても好感を抱きました。例えば次の言葉です。
わたしたちは親子ではなく、夫婦でもなく、恋人でもなく、友達というのもなんとなくちがう。わたしたちの間には、言葉にできるようなわかりやすいつながりはなく、なににも守られておらず、それぞれひとりで、けれどそれが互いをとても近く感じさせている。 わたしは、これを、なんと呼べばいいのかわからない
次の言葉にもはっとさせられました。
「自分がしてほしくないことは、他人にもしてはいけない」という道徳観は、「自分がされて嫌でな -
Posted by ブクログ
いやいやいや!いつの間に?って感じです
ほんともういつのつの間に
哲ちゃんいつの間にこんなん書けるようになったのよ(馴れ馴れしい)
作家生活も20年を超えて尚進化しております
さすがわいの大好きな哲ちゃんです(だから馴れ馴れしいって)
いわゆる連作短編という形をとっていて、語り手が次々と代わっていくんですな
で、その語り手が語るあるいは突き止める内容によって、事件の全体像が二転三転していくっていう見事な構成
誉田哲也さんとしてはかなり斬新な手法をとってるんだけど、なんていうか色はもちろん昔ながらの中華そばじゃなかった誉田哲也の安心感みたいな
まぁ、相変わらず右傾化もすごいんだけど、今作 -
Posted by ブクログ
編集後期で森見さんが「太宰治にも奇想天外で愉快な作品があるよ、ということを、とくに若い読者に知らせる本である」と書いている。私も中期の明るめ太宰が好きなので、森見さんと同意見!
『カチカチ山』『畜犬談』あたりは学生時代から好きなので殿堂入りとして、自分をさむらいに例えだす『佐渡』、黄村先生へのツッコミが冴え渡る『黄村先生言行録』が今回特に面白く感じた。
『新釈諸国噺』からの3編の、読点だけで続けて延々と書く独特のリズムとか、『走れメロス』の激情に任せて書き綴られたような熱い文章もいい。太宰の文章って、こっちを乗せて高揚していくような熱狂があると思う。
『人間失格』で太宰は好きじゃないわ、と思っ
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。