あらすじ
古き良きエドワード朝時代の面影を今なお残すバートラム・ホテル。ミス・マープルも淡い過去の思い出を求めて訪れた客のひとりだった。だが、その優雅な雰囲気の陰に彼女が見たのは、巧妙にしくまれた大陰謀……はたして巻き起こった驚愕すべき犯罪とは? 香り高き本格ミステリの逸品!
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Posted by ブクログ
マープルシリーズ10冊目?甥のレイモンドから旅行をプレゼントされたっマープル、ロンドンのバートラムホテルに滞在中。そこで牧師失踪事件が勃発、しかしマープルは牧師が失踪した日の深夜に牧師の後ろ姿を見かけていた!ロンドンでは銀行強盗など悪組織による犯罪が多発していたが、警察の捜査が難航。そこで起きた牧師の失踪事件だった。登場人物の冒険家・ベス、彼女の娘・エルヴィラ、レーサー・マリノスキーが中心に話しは進むが真相はわからない。珍しく犯人は当たったが動機などはハズレ。でも久しぶりに楽しいクリスティ作品だった。⑤
Posted by ブクログ
【マープル】
冒頭のシーンが魅力的。
舞台は都会ロンドン、古き良きエドワード王朝時代そのままの佇まいを保つバートラム・ホテル。
高級で優雅でゆったりとした時間が流れるホテルに完璧なサービス。
ピカピカの銀製ティーポットで飲む最高級のインド茶葉の紅茶の味は最高だろうなぁ。
その描写がまるで映像のように鮮明に浮かぶ。
「ほんもののシード・ケーキでしょうね?」
出た出たー!!この名セリフ!料理の本で気になってたやつだ。
「だって彼は殺されたんでしょ?」
「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」
など、クリスティー作品はセリフも魅力的で、1度目にすると忘れられない。
由緒正しいイギリスのシードケーキはミントのようなスースーするケーキらしい。
ちなみに先日読んだ『ミステリーの生まれたところ』によると、このホテルのモデルとなったホテルでも、シードケーキはもう食べられないそうだ。
アメリカのマフィンはおやつみたいで本物じゃないと言ったり、アメリカの朝食と英国の朝食の違いも面白い。
マープルが頼んだホテルの朝食がものすごく美味しそうに描かれていて、読んでいてお腹が空いてくる。
明日の朝は英国式の朝食が食べたくなる。
もうこのホテルの紹介だけで楽しい!
ミステリーとしてはいつまで経っても具体的なものは起こらない。でもホテルという非日常の空間で起きている出来事があるので退屈することはない。
セント・メアリ・ミードが時代と共に現代的になることに「世の中の移り変わりは、やはり受け入れなければいけませんね」と悲しむマープル。
『カリブ海の秘密』のホテルは甥の招待で、今回の高級ホテルは画家である姪が招待してくれた。羨ましいほど叔母想いの甥と姪がいるマープル。
マープルが14歳の時に泊まった思い出のホテル。奇跡的にそっくり昔のまま。
嘘みたいに何もかもが完璧すぎる。
マープルが感じるこの違和感は何なのか?
「例の髪を長くしたビートルズとか何とかいった連中」
なんとビートルズが作中に出てきた!英国だもんね。
私はQueenが大大大好きなんだけど、Queenは1971年からの活動だし、何となくQueenはクリスティーなら顔をしかめそうなので、さすがに出てこないよね…本と全く関係なくてすいません。
登場人物は、大西洋単独横断飛行などをしている女流冒険家とその娘。
今までにない職業と豪快な女性。
そして物忘れが激しい牧師。
私の親も同じような感じなので他人事ではなく心配しながら読んだ。
おやじさんと呼ばれる味のあるデイビー主任警部が今回は事件を解いていく。
マープルはこの作品ではロンドンで買い物を楽しんだりしているのがメインで、いつのものカッコ良さはない。
でもお芝居をして聞き耳を立てて情報を仕入れる探偵みたいなことはやってる笑
ラストは今までになく後味の悪さがあるけど、余韻の残る感じは好きだった。
このホテルが観たくてドラマ版を観たけど、ホテルの雰囲気と女優さん達が本当に素敵で最高だった!
マープル長編の未読は残り『復讐の女神』と『スリーピング・マーダー』の2作品のみ。
どちらを最後に読むかがとても悩む〜!
というのも、『スリーピング〜』はポアロ『カーテン』と同じく、戦争中に自分の身もどうなるかわからない時に書いている。
公開されたのは亡くなった年の1976年だけど、執筆したのは1943年37歳の時。
最終話としては『スリーピング〜』なんだけど、この頃はまだマープル作品を書いたばかりの頃なんだよな。
だから事実最後に書いたマープル作品は、1971年81歳で出版した『復讐の女神』。
『復讐の女神』はクリスティーも愛したマープル作品の本当の最後だと思って執筆したと思うから、どっちから読んだら良いか迷ってしまう…。
そして読んでマープルが終わってしまうのが怖い(╥﹏╥)
Posted by ブクログ
反則級の真相かもしれないが、それを予想させた上で上回ってくるからこそ成立する話。序盤から何かホテルに秘密がある(従業員は悪人?)ことを匂わせておいて、その真相は従業員はおろか宿泊客、その他大勢が皆強盗団というどこのオーシャンズ11やというお話。そんなんあり!?と言いたくなるけど、結末が予想外過ぎるから面白い!!そして、ドアマン殺しの真相は、ホテルとは別に二転三転するから楽しい。全く異なる思惑が入り込み、事件を起こし、最後には黒幕の人生すら左右してしまう。一人の女の金への妄執から一つの特大の強盗団が潰れることになるなんて。
事件の内容とは別に、何だかノスタルジーを感じさせてくれるお話。シードケーキとかマフィンとかもそうだけど、ノスタルジーを感じさせるホテル。何も懐かしき良き思い出と変わってないように見えて、裏では全く変わったものとなっている。これは人に対してもそう言えるんだろうな。変わらないものなんてない。ノスタルジーってのは、やっぱりただの幻想なんだ。
Posted by ブクログ
マープル
ホテルが好きなのでとても面白かった。マープルがロンドンでのお買い物で「たいそうごきげんな時間を過ごして」(p110)いるのもこちらまで楽しくなってくる。
モデルになったホテルはブラウンズらしいが、「イギリスのお菓子とごちそう」にはブラウンズとフレミングス・ホテルを合成して描いたという説が紹介されていた。ブラウンズのアフタヌーンティー、味わってみたいものだ。
メープルの長編の未読は2冊になってしまって寂しい。
Posted by ブクログ
憧れのイギリス!いつかは行ってみたい国になった理由の1つはこの本。古きよくエドワード朝時代を残すバートラムホテル。バターたっぷりのマフィンやシードケーキ、燻製にしん、キドニーパイ、ベーコン、グラウスの冷肉、ヨークハム、オックスフォード・マーマレード。どんだけうまそうな料理出てくんねん(笑)田舎の村のどこにでもいるおばあさまにして、鋭い観察眼をもつ名探偵、ミス・マープル。ホテルの滞在客の謎、愛憎渦巻く親子の謎を解き明かしていきます。この本読んだら本当にイギリスに行きたくなるよぉ。
Posted by ブクログ
旧時代の雰囲気漂うホテルの常連客が失踪した。
なるほど今回は失踪事件がメインかと思いきや、組織犯罪の影や謎めいた少女の行動も気になる。
そのうえ殺人事件まで発生してしまう。
正直、全体的に地味だなと思って読んでいた。
だけど第二十章から一気に面白くなる。
いろいろ詰め込まれすぎて、前半の地味さはどこへやら。
本作の面白さって遅効性だわ。
Posted by ブクログ
再読。
ミスマープルもの。
バートラムホテルの古き良き時代のロンドンのホテルの雰囲気がとても良く描かれていて、クリスティーの作品の中でもお気に入りの一冊。
バートラムホテルはその雰囲気とは正反対の裏の顔を持ったホテル。ホテルの登場人物もそれぞれ裏の顔を持つ。そこが面白いところ。
事件自体は派手なものではないが、味のある作品。
Posted by ブクログ
再読。ミス・マープルもの。
ロンドン、エドワード王朝時代そのままの佇まいを保つバートラム・ホテルを舞台にしたミステリ。
事件そのものより、なぜ昔の佇まいのままに営業できるのかという謎の方が興味深かった。
今回は、ミス・マープルもあまり活躍せず、事件も謎解きも散漫とした感じ。
古き良き時代のホテルの雰囲気やお茶の時間を楽しむ本だった。
Posted by ブクログ
ロンドンのバートラムホテルに滞在するミス・マープル。スイスでの会議に出席する為にホテルに泊まるペニファザー牧師。忘れっぽくなり会議の日程を間違えて夜中にホテルに引き返してきたペニファザー牧師。何者かの襲撃。多額の遺産を相続しているエルヴァイラ。彼女の後見人ラスコム大佐。エルヴァイラに近づくレーサーのマリノスキー。記憶を失い田舎で発見されたペニファザー牧師。ホテルの支配人ハンフリーズ。エルヴァイラの産みの母親セジウィック。アイルランドへ出掛けたエルヴァイラの目的。霧の朝、何者かに銃撃されたエルヴァイラ。盾になって撃たれたドアマンのゴーマン。捜査を担当するデイビー警部。
Posted by ブクログ
前半は舞台となるバートラムホテルについての話で、後半になってたたみかけるように話が展開する。
ぶっちゃけ後味の良い感じのラストではないけれども、出てくる登場人物がそれぞれに魅力的なのと、ところどころで丁寧に描写される食事や当時のロンドンの様子などがとても面白い。
悪に対する矜持なんかも見え隠れてしていて、長く愛される作品の根っこみたいなものを感じる。あと、ポーチドエッグが食べたくなるねえ……
Posted by ブクログ
ポアロばっかり読んでたからか、舞台装置が出来上がってて警察も有能で、壮大でありながらもホテル内で完結し、割とあっさりしていた。
ポアロの、論理的ってよりも人間関係にスポットを当てて詰めていく展開が好きだから、今作はイマイチ響かなかったかも。オチも独特
Posted by ブクログ
このところ私生活がバタバタしていて、なかなか腰を据えて本を読む時間が取れなかったのですが、そんな状況でも没頭できるのがクリスティー。
ミス・マープルシリーズも9冊目となり、ポアロさんと共に終わりが見えてきました……さみしい(´・ω・`)
さて今作は、「バートラム・ホテル」というなんとも素敵なホテルが舞台です。
”まるでほんもの”の給仕頭やメイドがいて、バターたっぷりのマフィンやドーナツを暖炉が据えられたラウンジで食べられる……なんて素敵!
ネタバレを踏むのが怖くて詳しく調べられてはないのですが、クリスティーがお気に入りだったホテルがモデルなんだとか。いいなぁいつか行ってみたいなぁ……と夢を膨らませていたら、おやおや?なんだかきな臭くなってきて……?
素敵なホテルにうっとりしていて気づかなかったのですが、物語も半分を過ぎるあたりまで事件らしい事件も起きず。ただ、裏で壮大な計画が進んでいるらしいことはたしか。
うーむこれはもしかして、今まで敬遠していた『ビッグ4』のような”大陸を股にかけた国際もの”なのでしょうか。いつもと違う雰囲気に戸惑いはしたものの、これはこれで楽しむことができました。
どちらかというと、犯人が少し小物っぽく見えてしまったことの方が残念かもしれません。狂気じみた犯人は大好物なのですが、ちょっと物足りないかなぁ。
ただ、結末に関して「見逃しちゃうの……?」とハラハラしていたので、その部分には安堵しました。悪を見逃してはならぬ、は揺るぎないテーマなんだろうな(だからこそオリエント急行が素晴らしいわけですね)。
解説にもありましたが、文中でビートルズに触れている部分もあり、クリスティーがどれだけ長く活躍していたかを改めて実感した今作。
マープル&ポアロシリーズを完走してしまうのはなんとも寂しい限りですが、一冊一冊じっくりと味わっていきたいと思います!
Posted by ブクログ
なぜ私が、このアガサ・クリスティーをこよなく愛する私が、☆3評価にしたか。それは簡単な話である。
マープルさんがほとんど出てこないんだもの!!
マープルシリーズでなければ良いんですよ、気にならないし寧ろ面白いと思う。でもマープルさん出てきてるじゃん! マープルさんの活躍見たかったんだけど!!
というファン心理である。
とはいえ話自体はそれなりに面白かった。
犯人を考えながら読み進め、バートラム・ホテルの意外な素顔に「なるほど?」となり、まぁ途中で女流冒険家ベス・セジウィックとエルヴァイラが母娘であることはすぐにわかったのだけれども。
元軍人のドアマン、マイケル・ゴーマンとエルヴァイラの関係も結構最初の方で勘付いてたかな。ゴーマンはエルヴァイラのことを知ってたから最後、彼女を守ったんだと思ったんだけど、まさかの犯人そっち? ってなったのである。
これは予想外。
斜め読みしちゃったので私の理解が間違っている可能性もあるのだが、エルヴァイラ、耳を怪我したんじゃなかった? 怪我してたなら自分で撃つの無理ではないの、むしろレーサーのラジスロース・マリノスキーの方が、エルヴァイラをベスと見誤って撃った、つまりエルヴァイラとの結婚の障壁となりそうな人を消す(遺産金目当ての)ための犯行ってなもんで納得しやすいんだが、などと思ったんだが、最後の方を確認したら、弾はエルヴァイラが「掠った」と言っているだけで怪我の描写はなかった。さすがに警察も掠ったかどうか、分かると思うんだがな…。
ストーリーとしては面白い方ではあるが、クリスティ作品にしてはちょっとツッコミどころ、というか何となく釈然としない気持ちが残った作品ではあった。
Posted by ブクログ
イギリスの作家アガサ・クリスティの長篇ミステリ作品『バートラム・ホテルにて(原題:At Bertram's Hotel)』を読みました。
『愛の探偵たち』、『フランクフルトへの乗客』に続き、アガサ・クリスティの作品です。
-----story-------------
姪のジョーンが、気分転換に旅行をすすめてくれたとき、ミス・マープルはロンドンのバートラム・ホテルを選んだ。
14のとき、叔父と叔母が一度連れていってくれたことがある。
落着いた雰囲気のうちに、目立たぬぜいたくがあるホテルだった。
が、なにしろはるか昔のことである。
どんなに変ってしまったか、心配でもあった。
ところが、バートラム・ホテルはかわっていなかった。
そっくり昔のままだった。
奇蹟的に、もはや消滅したはずの古き良き英国が、そこには生き残っていた。
エドワード王朝時代の家具・調度・風習、それに地方在住の、爵位をもった未亡人や聖職者、退役軍人といった、時代から忘れられた宿泊人。
懐しい過去がいまも暖かなマユに包まれて、保護されているのだ。
もっとも、ときたま現代が吹きつけてくることもある。
ここ数年、ロンドン警視庁管内で続出している大胆振りない強奪事件 ――銀行強盗、給料強奪、郵便託送中の宝石類の盗難の噂が話されたり、大西洋横断飛行から原子力潜水艦の便乗までやってのけ、大衆のアイドルになったべス・セジウィック夫人といった風変りな人間がとまりに来たりする。
ともあれ、楽しいホテルだわと、ミス・マーブルは満足していた。
そして、犯罪などとはまったく無縁な場所に思われたのだが……。
詮索好きな老嬢ジェーン・マーブル、久々の登場!
(解説 佳多山大地 「ライバルは『ラバー・ソウル』」)
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1966年(昭和41年)に刊行された、ミス・マープルシリーズの長篇10作目となる作品です。
ロンドンのバートラム・ホテルに行きたいわ……姪から気分転換の旅行を勧められたミス・マープルは、こう答えた、、、
そこは、古き良きエドワード王朝の面影を今なお残す、格調高いホテル……ここ数年ロンドンを荒し回っていた強盗団の脅威とも無縁であるかのごとく、優雅な雰囲気を醸し出していた。
マープルにとっては、まさに恰好の休養の場のはずであった……だが、徐々に露見する、ホテル内の錯綜した人間関係、、、
そして、客の一人の突然の失踪……果たして彼女を待ち受けていた驚愕すべき犯罪とは? 流麗なタッチで描く香り高い本格篇!
大都会ロンドンの一画にエドワード王朝時代そのままのたたずまいを保つバートラム・ホテルは、ここ数年ロンドンを荒し回っていた強盗団の脅威とも無縁であるかのごとく、優雅な雰囲気を醸し出していた……休養のためバートラム・ホテルに滞在したミス・マープルは、徐々に露見するホテル内の錯綜した人間関係に気付き、宿泊客であったのペニファザー牧師の突然の失踪、その後、濃霧の夜に発生した宿泊客エルヴァイラ・ブレイクの射殺未遂事件、結果的にホテルのドアマン・マイケル(ミッキー)・ゴーマンが銃殺された事件の捜査に協力することに、、、
あくまでも捜査の中心はフレッド・デイビー主任警部を中心としたロンドン警視庁なのですが……ミス・マープルの推理や助言により、真相が判明するという展開でした。
ミス・マープルの出番は少ないものの、二転三転するエルヴァイラ・ブレイクの射殺未遂事件(マイケル・ゴーマン射殺事件)の意外な真相と、狙撃犯のあまりにも独善的な動機が印象的な作品でした……アガサ・クリスティの作品としては、まずまずだったかな、、、
相続……お金……そして恋って、人を狂わせてしまいますねー 怖いな!
以下、主な登場人物です。
ジェーン・マープル
探偵好きな独身の老婦人
エルヴァイラ・ブレイク
ホテルに滞在中の若い娘
デレク・ラスコム
大佐。エルヴァイラの後見人
ペニファザー牧師
クロース大聖堂評議員
ベス・セジウィック
女流冒険家
ラジスロース・マリノスキー
レーサー
ハンフリーズ
ホテルの支配人
ゴーリンジ女史
ホテルの受付
マイケル(ミッキー)・ゴーマン
ホテルのドアマン
ヘンリー
ホテルの給仕頭
ローズ・シェルドン
ホテルのメイド
リチャード・エジャトン
エジャトン・フォーブズ&ウィルバロー事務所弁護士
フレッド・デイビー
ロンドン警視庁主任警部
キャンブル
ロンドン警視庁警部
ロナルド・グレイブズ卿
警視庁副総監
アリス
バートラム・ホテル従業員
ブリジット
エルヴァイラ・ブレイク友人
セリナ・ヘイジー
ミス・マープル知人。レスターシャ在住
キャボット夫人
エルマーの妻
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犯人がそこそこカスな上に捕まっていないので、読後感がスッキリしない。ホテルの対応にホクホクしながらも、裏にある邪悪さを感じ取って少しづつテンションが下がっているマープルが可愛い。牧師さん生きてて良かった。
Posted by ブクログ
バートラム・ホテルという魅力的な場所で、様々な人物が錯綜する。そこにミス・マープルも絡んで。これまでのマープルものと比べて後味が悪い感じがした。それも今作の魅力だろう。
Posted by ブクログ
推理小説としてのプロットはかなり緩いし、犯罪シンジゲートの描き方はかなり雑で現実味がない。しかし、ビートルズが登場し、古き時代の英国が失なわれていく中で、何とかしてかつての「雰囲気」を描こうとしたのか。全てに古色蒼然とした魅力をたたえるバートラムホテルと個性豊かな登場人物たちは健在。
Posted by ブクログ
クリスティの長編ミステリー。探偵役は(一応)マープル。
推理小説の探偵物でよくある光景が警察官が無能であり、探偵の足を引っ張る構図だ。探偵を邪険に扱い(場合が場合なので仕方ない部分もあるが)、的外れな推理をしてんで真実に辿り着けない様な人物や事柄を重宝し、しまいには探偵が解き明かした真実を受け入れ犯人を我が物顔で逮捕し、探偵に笑顔を振り撒いて一件落着する。ある種のお約束だ。さて、では、もし探偵がいる中で警察官がとても優秀だったらどうなるのか。答えは「面白味に欠ける」だった。
今作に出てくるオヤジさんこと主任警部のフレッドは優秀であり、完全にマープルが脇役になっている。読者は当然、探偵の活躍を見たい訳で、勿論、今まで上記の様な不平不満を言ってきた訳だがあくまで探偵役、真実を解き明かすのはマープルであり、警察官は彼女の推理に感嘆するというのが大好きだった事に気付いた。今回はバトル警視の様な形が良かったのではと感じてしまう。マープルの存在感が余りにも小さかった。
事件発生までバックボーンにある強盗事件などが取り上げられ、どうやら登場人物達に関係がありそうだという事がわかる。更には昔の様式を現代に受け継いでいるバートラムホテルが舞台となり、マープルは子供の頃訪れたこのホテルを姪からのプレゼントで訪れる事になる。
美しい秩序あるホテルが舞台であり楽しい印象を得る。荘厳ではありながらも何処か現実的ではない何かを感じるホテル。従業員達は一流であり、滞在客は昔の時代からやってきた様な年寄りと外国人達。そこで始まっていく事件。序盤中々何事もおきず、中盤からようやく物語が進行していく。
今作の母娘は印象的で、娘についてはリドルストーリー的な雰囲気で幕を閉じる。後見人など、彼女の幸せん願っている事に間違いはないが、最後は何とも悲劇的な幕切れだった。改めてマープルの関わり方が不明。
作中でマープルがロンドンを満喫している様子は滅多に見られない描写で嬉しく思った。しかし彼女は何処に行っても殺人と巡り遭う運命なのだろう。
余りにも広範囲の事件になる為、やはりノンタイトルで整理されたら一級品だった様に思う。ドンデン返しの犯人は想像を超え、最終章だけならクリスティ作品の上位に挙げても良いくらいだ。
Posted by ブクログ
これまで読んだアガサクリスティーの小説とは少し違った。人が死ぬのもかなり後半の方だし、牧師さんは生きてたし。でも比較的人物関係も整理しやすくはあったから理解はしやすかった。強盗事件が物語の軸ならもっとそこを深く掘り下げて書いて欲しかったかも。
Posted by ブクログ
他の巻と比べたら、なかなか死体が転がらないし、事件というより奇妙な状況が二つ三つと重なるだけ……と思っていたのに、ラスト二十ページくらいから怒涛の急展開過ぎて、さすがにびっくりした。とりわけ、エルヴォイラにまつわる真相のあれこれがあまりにも想定外で、色々と無慈悲に思えて、呆然とせずにはいられなかった。
Posted by ブクログ
アガサクリスティー。ミスマープルシリーズ。
古き良きバートラムホテルにて神父の失踪事件がおこり
ついでドアマンが殺され事件が起こる。
ミスマープルはあくまで宿泊客のひとりという立ち位置で
物語はデイビー刑事が引っ張っていく
マープルの出番が少なく、いつものセントメアリ・リードの推理方法が見受けられないのでマープル好きには物足りないと思った
Posted by ブクログ
ミスマープルシリーズ、初めて読みました。
マープルさんが謎解きすると思いきや、違うことにびっくり(笑)
そして終わり方がいささか唐突に感じたのもびっくり。
話の展開としては「春に君を」を彷彿とさせるような淡々とした進み方なのに、それでもぐいぐいと読者を引き込むのはさすが。
シリーズの他の作品も読みたい。
Posted by ブクログ
ミス・マープルもの。
舞台はロンドンにある、クラシックな佇まいを保つバートラム・ホテル。
この古き良き英国を彷彿させる高級ホテルに滞在中のマープルさん。ロンドンでのお買い物などを楽しみつつ、ホテル内外での人間観察も怠りません。
一方、ロンドン警視庁では、最近頻発している大掛かりな列車強盗等の犯行グループを追っているのですが、これらの犯行とバートラム・ホテルとの関わりは・・?
滞在客の牧師の失踪、霧の夜に起こった狙撃事件・・数々の点が終盤に見事に集約され、驚きの大仕掛けが明らかになるさまは圧巻です。
今回、真相解明するのはデイビー主任警部で、マープルさんはその協力者のようなポジションでした。勿論マープルさんも真相にたどりついていましたし、彼女の観察力あってこその証言により捜査が大きく進展したのですけどね。
狙撃事件の真犯人の処遇について、結局どうするのか曖昧なままだったのですが、それが却って余韻が残る終わり方だなと思いました。
Posted by ブクログ
英国式の古式ゆかしいホテルであえるバートラムホテルという舞台設定が魅力的です。
表面上は昔のままに見えていたホテルの裏側が明かされていき
後味のよい物語ではありません。
明らかになった真相がかなり大きくリアリティに欠けるようにも感じます。
ミス・マープルの活躍も本作ではそこまで大きなものではなかったのは残念でした。
Posted by ブクログ
事件に関してはいまいちで、マープルさんはたまたま情報をゲットした感じが多く、解決編も警察がやっていてつまらなかった。本書には、本物のシードケーキやマフィン等々気のなる食べ物が出てきます。そしてバートラムホテル。一度行ってみたいなと感じるところがいっぱいありました。
Posted by ブクログ
古き良きエドワード王朝の面影を残すバートラム・ホテル。そのホテルでの偶然の再会が契機となって起きる殺人事件。殺人事件が起きるのは、小説の3分の2以上が過ぎてからであり、それまでは周辺で頻発する強盗事件、牧師の失踪事件、列車強盗事件の調査が中心となって、物語は展開される。
本事件でのマープルの役割は探偵ではなく、事件の重要な証言者。強盗事件の謎を追うデイビー主任警部らの警察の調査が中心の話。最後まで読むと、マープルの役割が何とも皮肉なのが印象的。
バートラム・ホテルという舞台やセジウィックという冒険好きの女性の人物造形は良くできているし、エルヴァイラが一時姿を隠して自分に関する謎を調査しようとした理由にも説得力がある。
殺人事件の真相には二重のひねりがあるが、強盗事件の背景にある真相は大掛かりすぎて、リアリティーに欠け、全体の印象を損なっている。
Posted by ブクログ
ミス・マープル第十作。
もしかしたら訳のせいなのかもしれないが、
これまでのシリーズとは少し雰囲気が違う。
タイトルのバートラム・ホテルを中心に話が進む。
マープルが推理するという立場ではないのが、
異色に思えるポイントなのかもしれない。
過去に想いを馳せるマープルがどこか切なく感じる。
Posted by ブクログ
これは、ミス・マープルシリーズの最後、もしくはそれの一つ前、と呼ばれるものらしい。
本当のところは知らない。
最初の頃より随分とお年を召されたミス・マープルは、既に自分が意欲的に犯罪解決に乗り出すのではなく、解決される過程を傍から見ている、というスタンスでこの事件に関わっている。
こう……元来の主役とは違った形でのかかわり方。
どちらかというと、刑事が主流に話を進め、ミス・マープルはそれに思考的に寄り添う程度。
だからか、多少話がもったりしているところもあり。
だが、なんだろうなぁ……この話、ちょっと話があっちこっち飛びすぎて、構成的にとっちらかっているようにも見える。
話の進め方がそうだから仕方ないのだろうけれども……。
ついでに、出ているキャラの人間性も、これまで以上に最悪だった。
こういうところが、アガサ・クリスティ作品なのかもしれない。結構あからさまに、人間の劣悪さを押し出してくるよなぁ。
あらすじ。
若い頃に訪れたホテルに、甥夫婦の好意によってまた滞在することになったミス・マープルは、そこで二つの事件に遭遇する。
古きよき時代を、そのまま残したホテルに隠された、様々な事情。