あらすじ
2次予選での課題曲「春と修羅」。この現代曲をどう弾くかが3次予選に進めるか否かの分かれ道だった。マサルの演奏は素晴らしかった。が、明石は自分の「春と修羅」に自信を持ち、勝算を感じていた……。12人が残る3次(リサイタル形式)、6人しか選ばれない本選(オーケストラとの協奏曲)に勝ち進むのは誰か。そして優勝を手にするのは――。
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はあああああああ、、、めっちゃよかった…風間塵推しとしては3位がさみしいけど、彼はそんな次元にいる子じゃないだろうし、、
とにかく引き込まれる世界だった。
彼らの将来を読んでみたいなあ
ピアノということで、子どもの頃を思い出した。
それはとにかくつらい思い出で、レッスンの帰り道には弾けないことで親に怒られ、家での練習でもなんで弾けないのかと親に怒られ、ピアノのことでいつも怒られて泣いていた
怒られっぱなしじゃ萎縮して、どんどんできなくなるし嫌になるであろうことなんて考えなくてもわかるが、、当時のわたし、よく頑張ったよ
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聴覚で捉える音楽を文章でどのように表現するか。
この作品では、音楽を視覚的に描写している。
読むと音楽が聞こえてくるような作品です。
曲ひとつひとつに物語があり、捉え方は人それぞれ。特に演奏者はその捉え方で音が異なるという。それが本作でいう「同じピアノなのに音が違う」ということなのだろう。
4人のピアニストがそれぞれ奏でる物語がとても魅力的で、この4人がコンクールで出会って成長していく物語に心が温まりました。
素晴らしい作品です!
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音楽を題材とした小説やマンガに出会うと、「これが映像化されたら、果たしてどんな作品になるだろう」と期待半分・不安半分な気持ちになります。名作が名映像となればそれはもう結構な事で、「四月は君の嘘」のアニメ化なんて相当巧くいった事例だと思っていますが、さて本作はどうでしょう。
-チョットこれは厳しいかも知れません(実写映画は観てませんし、評判も存じ上げていません)。
音が出ない文学作品で音楽を扱う事の意味が、これでもかと示されていたと思います。音が出ないのはハンディキャップではありません。音が出ないからこそ紡げる物語がぎっしりと詰まっていました。音楽を音楽なしにここまで表現できる、読み手にメロディ以上の物を読み取らせる事が出来る。圧倒されました。ただただ、脱帽です。
登場人物がかなり多く、私は亜夜を基軸に読み進めましたが、読む人によって誰に感情移入するかは違ってくると思います。三枝子とか奏とか富樫とか、サブキャラの存在感も光っていて、コンテスタント達の演奏やキャラに影響を受けていく様も興味深い物でした。
マサルの三次予選で物語が紡がれるシーンですが、私も10代の頃にホールでクラシックを聴いていてストーリーが勝手に浮かんだ経験があります。何かが降りてくるって、本当にあるのですよね。
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下巻は、いよいよコンクールのクライマックスに突入します。上巻で築かれた人間関係やキャラクターの成長が、一気に花開いていく展開は圧巻。緊張感と熱量が最後まで途切れず、ページをめくる手が止まりませんでした。
特に演奏シーンは、言葉なのに「音楽」が聞こえるような不思議な感覚を味わえますし、それぞれの登場人物の生き方や信念が音を通して描かれるのがとても美しい。読後感は爽快で、まるでコンサートを聴き終わったあとの拍手の余韻のような満足感があります。
上巻で感じたワクワクが、下巻でしっかりと報われる構成で、「音楽小説の金字塔」と言われるのも納得の完成度でした。
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一次、二次、三次予選そして本選と、一緒に過ごしているかのようだった。
お互いがお互いの演奏について影響を受け、自分の音楽とはなにか?を見つけ出していく。それはほとんどが、マサル、亜夜、明石の目線で描かれている。審査員は審査員で、審査をする自分の実力を試されているかのような葛藤。一方で、最大のキーパーソンとなる風間塵自身の思いはそれほど描かれていない。彼は誰からも影響を受けたりしないのだろう(師匠以外に)。それによって読者の想像力を掻き立て、どんどん風間塵が特別な存在として際立つ展開。
ピアノコンクールという、知らない人は全く知らない事柄についての小説で、私も文字通りズブの素人であったが、見事にハマった。
作中にクラシック音楽の題名がたくさん出てきたので、プレイリストを作成した。
物語後の「解説」もとても面白く、電車の中で読んでいたが不覚にも「ニヤニヤ」してしまった。
ちなみに、直木賞を取ったとわかった後で映画化されたものは見るつもりは毛頭ない。
読んでよかったと心から思う。
最後に、印象に残った文章を記録しておく。
↓以下ネタバレです
「天才はおのれと同等と認めた存在にしか影響されない。天才どうしでなければ分かり得ないものがあるのだ」
「意気込んで「やってやる」という気負いでもなく、「そうなればいいな」という希望でもなく、ただ当たり前にそうなるという確信。なんという安らかな感覚だろう。なんという穏やかな心地だろう」
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表現が細かく、上巻以上に物語に引き込まれた。自分がこのコンクールの観客やスタッフにでもなったんじゃないかというくらい。3次予選の結果発表の時間になってもなかなか審査員が来ないというシーンは読んでいた自分もハラハラドキドキした。
本選が亜夜のこれから演奏するというシーンで描き終わっていて、審査員の2人の会話で結果と後日談みたいな感じで終わっていたのが良かった。これからの亜夜、マサル、塵、奏、明石たちの道がのびてるという感じがした。(もちろん審査員2人のこれからも)
コンクールで使われた曲が一覧になっているので、探して聴いてみようと思う。
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いやー面白かった。音楽ってこんなに深くて人に影響を与えるものだったっけ?音の描写、演奏者の物語が人生そのもの、万物の源みたいに描かれていてなんか壮大でした。聞いたことない曲はアップルミュージックで検索してその音楽、流しながら読んだりして、それも楽しかった。
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夜のピクニックから二冊目の恩田陸作品。
作中に事件を起こさないことを美徳としているとしか思えないくらい、ストーリー上ではただただコンテストが進み、コンテスタントと関係者が交流し、次の審査が行われるだけである。申し訳程度に"失格"のくだりが存在するが、まさに申し訳程度だ。
では何故これほどに"読めて"しまうのか。これは明らかに描写による力だ。
音楽の持つ影響力を過度に装飾するでもなく、ただ演奏家の心的な動きと、演奏と楽曲の描写のみでこの作品は成り立つ。
そしてその筆力のみで圧倒的な読者をつけてしまう恩田陸の小説自体が、この作品に登場する天才による業となんら遜色ない奇跡であることが、彼らの演奏のリアリティに寄り添う。
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風間塵が周囲に与える影響の大きさが印象に残った。彼は周囲をよい方向へと導く存在であった。現実においても、誰かから影響を受ける場面は少なくない。その影響には、良いものと悪いものとがある。
良い影響を与える者は、相手の可能性を信じ、その人本来の力を引き出そうとする。相手が輝けるような環境を生み出し、純粋な愛情や情熱から行動する。風間塵もまた音楽そのものへの深い愛から、人々を自然に高めていった。
一方、悪い影響を与える者は、相手を自分の思い通りにコントロールしようとする。依存心や弱さにつけ込み、自分に都合のよい関係を築こうとする。その態度は表面的には親切に見えても、結果的には相手の成長を妨げる。
この作品には「悪い者」が登場しない。そのため読後感は非常に清々しかった。まるで音楽を聴いているかのように。
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読後の清涼感!
四人の目指す音楽が、異なっているようで、シンクロしているのにも感動する。
クラシックは全く知識無い。音楽流しながら読めば良かったー。
表現だけで音楽を魅力的にあわらすのがすごい。
栄伝亜夜が風間塵の演奏で感じた感覚には涙。
高島明石と栄伝亜夜のやりとりも大好きでした。
二人の王子と栄伝亜夜。恋愛要素はほぼ無いと言ってもいほどのアッサリした書きぶりだけど、三角関係って王道な面白さ。
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側から見たら”天才”と呼ばれる人たちにも心の葛藤があり、相手には敵わないと思いながらもコンクールに挑み続ける姿がリアルな人の姿を映していた。
最後の順位にも納得したし、終わり方も個人的にはこれがベストだと思った。
恩田陸先生の作品、やはり非常に面白い。実際には音楽が鳴っていないのにピアノとオーケストラの音が聴こえるような感覚に陥った。映画も観ようと思う。
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天才同士にしかわからない感覚の描写が面白い。お互いがリスペクトし、それでも負けられらない、負けないという自信が克明に伝わる。高島明石の菱沼賞のシーン鳥肌だった。彼の未来も明るくあって欲しいので。
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高島明石の第二次予選と英伝亜夜の本選がとても好きだった。どちらも集合的無意識、普遍的無意識を彷彿とさせる音楽で、経験していないことに対して懐かしさを覚えた経験を思い出した。
上巻を読み終えたときにも感じたけど、物語の舞台はなるべくシンプルにして、広々としたスペースで音楽の美しさを語っているような物語。
ただの音楽小説ではない
音楽を通じて、成長していく登場人物、感動と愛情が伝わってきて、久々に小説を読んで涙が出ました。曲の情景が言葉で綺麗に綴られていて、おんがqの素晴らしさを感じました。
文章がきれいで、ぐんぐん引き込まれる本。
音楽をよくここまで文章化できるのって、すごいと思う。読んでいるだけで、コンクールのその場にいないのに音楽を感じてしまうような臨場感を感じました。
音楽やピアノに興味ない私でも楽しめる本。
素晴らしいが
まず、めちゃくちゃ面白いです。
それだけは確かです。
ただ個人的な好みとして不満なのは、
決して悪い点というわけではなく、
女性の作家さんの傾向かもしれませんが、
ラストに絶頂感はありませんね。
盛り上げて、なだらかに下がっていくというか。
絶頂を求めるなら、主人公に最後演奏して、
思い切り震えるほど感動を追い求めてしめますよね。
ただ、それができなかった。
作品的に失敗しても作家としては挑戦して欲しかったな、と思いますが、
これがいいと作者としては思ったのかもしれませんね。
これって、のだめのラストにも通じるんですよね。
思いきり盛り上げて終わるなら千秋のオケで演奏して終わるはずで(他の作品の話になっていますね)。
そういうわけで、女性の作家さんは、
あんまり激しい絶頂感を作品に求めない傾向が強いのかな、と思うと、
それが悪い点とは言い切れず、
やっぱり全体としてはめちゃくちゃ面白かったわけで、
★5付けざるを得ないわけです。
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4人の人生の中の大きな出来事を一緒に経験したと言えるくらいに気づけば入り込んでいました。
上に続き、ピアノの事に関しては本当に無知なので難しい部分も少しあったけど、それでもコンクールホールの中に一緒に居るような感覚になりました。
天才ってやっぱりいるよな~
生まれつき耳が良いとか、そういうのはもう天才の領域だよな~。と本当に実感したし感じました。
もう少しピアノだったり音楽の事勉強してから又読みたいと思います。
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感受性に訴えてくるような本。
自分も若い時から音楽に触れて生きたかったと思わずにはいられなかった。
音楽に詳しい人が読んだらどんな感想を持つのか気になった。
終盤にいくにつれて天才たちの行く末に興味が増した。
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◯上下巻併せてのレビュー
ピアノコンクールに熱を注ぎ、成長していく天才や本人たちの物語。
一つのピアノコンクールの話なのに盛りだくさんに話を膨らませられるのが凄い。
ついついクラシックを聴きながら読んでしまった笑
そしてピアノコンクールに行ってみたくなった!
あくまで個人的ではあるけど、自分は音楽の才能がゼロなので登場人物(特に天才たち)に感情移入はしにくかったかなー
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ピアノコンクールのお話。ピアノを触ったことがほぼない自分でも、文章の表現力のおかげでするする読めた。ピアノコンサートに行ったことはないけど、こんなに豊かに演奏者の意図や描いていることを受け取れるものなのだろうかと、少し行ってみたい気持ちになった。
登場人物たちが互いにリスペクトしあって、ライバルだけどその人の演奏が楽しみ、みたいな関係性が非常に素敵だなと思った。コンクールという戦いを楽しめるのがすごいなと思った。自分がこれまでバレーボールなどの相手と向かい合って勝ち負けを出すスポーツしかやってこなかったからかもしれない。
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25,10,13
それぞれの登場人物に迷いや目標、課題があり、それらが深く描写してあるため、この人はこういう人なのでは、という人に対する解像度が上がった気がした。
高島明石が報われて感動した。
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ピアニストって、絶対音感を超越したすごい才能でもって、音楽で会話したり映像が見えたり。私には理解できない音楽家の能力をすごく感じて、ただひたすら音楽家ってすごいすごい。
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音楽は弾くことも聴くことも得意ではないけれど、読書を通じて音を感じられたのは本書がはじめて。音楽は譜面通りに弾くだけでなく、世界を表現し気持ちを投影することができると知った。音符が跳ねるような読後感でした♪
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耳を澄ませば、こんなにも世界は音楽に満ちている。
・最後の結果発表の仕方が素敵だった。その後のことを多くは語らないで、すって終わる感じ。
・すごくきれいな小説だった。読めてよかった。
Posted by ブクログ
面白かった
読み進めていくうちに
内容に引き込まれた
風間塵の影響で周りが変わっていくように
最初は思えたが風間塵も周りに影響されて
変わっていると思えた。
音楽知識があればさらに楽しめたと思う
Posted by ブクログ
第二次予選の続きから本選まで一気に駆け巡る下巻。
何だろう、上巻の素晴らしさは引き続き下巻でも継続されていた。
だが、後半に失速を感じてしまった。
音楽を通しての会話が妙に多く、
小説という媒体で音楽を表現するにはもってこいの手法だが
それがどうにも物語の深い部分を削いでしまっていた気がした。
読み終え、読後感含めトータル素晴らしい作品であることは
変わりないのだが、だがどうにも腑に落ちない箇所もあるにはあった。
そこだけが何とも言えず、むず痒い。そんな感覚である。
Posted by ブクログ
ずっとコンクールの話。ピアノの話。クラシック音楽の話。個人的にはぜんぜん好きじゃないテーマだけど、面白かった。スラスラ読めた。
知らない世界の音楽の話。
人が魅力的で、よくわからないけど音楽の表現がすごい。稚拙な表現だけど、ピアノのなってる音が文字でわかりやすい。
Posted by ブクログ
コンクールが終盤に向かうにつれて、登場人物のピアノに対する感情の変化が感じられてよかった。
ピアノの演奏中の描写が素敵で、私が聞いた事のあるピアノでは感じたことの無い感覚が表現されていた。だがそれを読んでいて長く感じてしまうことがあった。
Posted by ブクログ
ひとつのコンクールの始まりから終わりまででこの分厚い上下巻、ピアノを愛する人たちの心理描写が溢れ出ていた。コンクールの観客になって文字で音楽を聴いているような感じで読み進めていくが時々自分の想像力の乏しさと知識の無さでついていかれない感じも…
登場人物はみんな魅力的で応援したくなる。ラストはさらっとしていてそれがかえって彼等の音楽家としての未来が続いていくんだなという感じがした。
Posted by ブクログ
ずっと「読みたい」で登録していた本
やっと読みました。
第一の感想としては
クラシックやピアノに知識があって読めたら
もっと面白かったんだろうなというのが正直なところです。知らない曲名がたくさん出てきて難しかった...。
ただ逆にこの本をきっかけに
どんな曲だろう?と思ってYouTubeで聞いてみて、確かに本の中で言われてる印象通りだなと思ったり、この曲を聴いてあんな風に文章におこせるのが作家さんは凄いなと思ったりもしました。
誰が優勝するんだろう?というのも、ドキドキしながら読んでました。(が、解説は何ページから始まるのか確認した際に結果一覧が見えてしまい優勝者が分かってしまいました。痛恨のミス)
ミステリー・サスペンスばかり読んでいるので
他のジャンルの本も読んでいきたい、行くべきだなと思いました。