名称未設定さんのレビュー一覧
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素晴らしいが
まず、めちゃくちゃ面白いです。
それだけは確かです。
ただ個人的な好みとして不満なのは、
決して悪い点というわけではなく、
女性の作家さんの傾向かもしれませんが、
ラストに絶頂感はありませんね。
盛り上げて、なだらかに下がっていくというか。
絶頂を求めるなら、主人公に最後演奏して、
思い切り震えるほど感動を追い求めてしめますよね。
ただ、それができなかった。
作品的に失敗しても作家としては挑戦して欲しかったな、と思いますが、
これがいいと作者としては思ったのかもしれませんね。
これって、のだめのラストにも通じるんですよね。
思いきり盛り上げて終わるなら千秋のオケで演奏...続きを読む -
悲哀を拒否している
アプローチが違えば、もう少し掘り下げられる気がする、
と読後に最初は考えた。
あまり異常な人の、突飛な行動で脚色して読者が面白がる作り方(構造)は、
これみよがしで共感も得がたく嫌だな、と思ったが、
深く考えてみると、演出や脚色が大袈裟なだけで、
こんな人はいくらでもいるのではないか、とも後で思った。
私の身近な職場にもずっとフリーターで生きている40歳オーバーが何人かいるわけで。
ただ、作者はそういう人を描きたいわけでなくて、
どちらかというと描きたかったのは、
主人公(多分作者の内面の一部)のある種の純粋さ(短絡的傾向)だと思う。
つまり、何がいけないの? と。
『主...続きを読む -
スケールが足りない
話の組み立てはさすがにキャリアを感じる。キャラクターもうまく書き分けて立っているし、役割もこなしている。
しかしながら、いかんせん筋と無関係の自衛隊機の暴走は、作者が作品のスケールが足りないことを本能的に察知して、取り繕った結果だと思う。
教祖も大して悪でなく、ただの歪んだ性癖を持つ連続殺人犯でしかない思う。
ならば、むしろ目いっぱい矮小に、教祖の最後を火の海で壮絶に死なせるのでなく、実は国際手配されていて、警察に両側から捕まれて、小便漏らしながら命乞いして、それを信者が目撃する中、だだをこねる幼児のように連行されていくとか、そういう方がいいと思う。こんな奴に我々は踊らされて...続きを読む