• ヘヴン

    醜さの扱いが難しいところ

    醜い子を、醜く書く、というアプローチが、個人的には嫌いだし、違和感を持ったし、疑問を感じた。
    主人公のお友達がみんなの前で裸になる時とかね。
    容姿が劣っている女の子が、ある瞬間にだけたまらなく美しく主人公には見える、という方が、僕は心を動かされます。
    ありません? 容姿の作りが悪くても美しい女性のある瞬間。
    そういう瞬間は世間的常識を超えてくると思うんだけどなあ。
    女性作家が同性を描く時、そうなってしまうのかな。
    性差がすごく嫌いな作家さんだし。

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  • 蜜蜂と遠雷(下)

    素晴らしいが

    まず、めちゃくちゃ面白いです。
    それだけは確かです。
    ただ個人的な好みとして不満なのは、
    決して悪い点というわけではなく、
    女性の作家さんの傾向かもしれませんが、
    ラストに絶頂感はありませんね。
    盛り上げて、なだらかに下がっていくというか。
    絶頂を求めるなら、主人公に最後演奏して、
    思い切り震えるほど感動を追い求めてしめますよね。
    ただ、それができなかった。
    作品的に失敗しても作家としては挑戦して欲しかったな、と思いますが、
    これがいいと作者としては思ったのかもしれませんね。
    これって、のだめのラストにも通じるんですよね。
    思いきり盛り上げて終わるなら千秋のオケで演奏...続きを読む

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  • コンビニ人間

    悲哀を拒否している

    アプローチが違えば、もう少し掘り下げられる気がする、
    と読後に最初は考えた。
    あまり異常な人の、突飛な行動で脚色して読者が面白がる作り方(構造)は、
    これみよがしで共感も得がたく嫌だな、と思ったが、
    深く考えてみると、演出や脚色が大袈裟なだけで、
    こんな人はいくらでもいるのではないか、とも後で思った。
    私の身近な職場にもずっとフリーターで生きている40歳オーバーが何人かいるわけで。
    ただ、作者はそういう人を描きたいわけでなくて、
    どちらかというと描きたかったのは、
    主人公(多分作者の内面の一部)のある種の純粋さ(短絡的傾向)だと思う。
    つまり、何がいけないの? と。
    『主...続きを読む

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  • 教団X

    スケールが足りない

    話の組み立てはさすがにキャリアを感じる。キャラクターもうまく書き分けて立っているし、役割もこなしている。

    しかしながら、いかんせん筋と無関係の自衛隊機の暴走は、作者が作品のスケールが足りないことを本能的に察知して、取り繕った結果だと思う。

    教祖も大して悪でなく、ただの歪んだ性癖を持つ連続殺人犯でしかない思う。

    ならば、むしろ目いっぱい矮小に、教祖の最後を火の海で壮絶に死なせるのでなく、実は国際手配されていて、警察に両側から捕まれて、小便漏らしながら命乞いして、それを信者が目撃する中、だだをこねる幼児のように連行されていくとか、そういう方がいいと思う。こんな奴に我々は踊らされて...続きを読む

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  • ゴーマニズム宣言SPECIAL 大東亜論第二部 愛国志士、決起ス 上巻

    道義

    失った道義を思い出すべきだ

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