名称未設定さんのレビュー一覧
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素晴らしいが
まず、めちゃくちゃ面白いです。
それだけは確かです。
ただ個人的な好みとして不満なのは、
決して悪い点というわけではなく、
女性の作家さんの傾向かもしれませんが、
ラストに絶頂感はありませんね。
盛り上げて、なだらかに下がっていくというか。
絶頂を求めるなら、主人公に最後演奏して、
思い切り震えるほど感動を追い求めてしめますよね。
ただ、それができなかった。
作品的に失敗しても作家としては挑戦して欲しかったな、と思いますが、
これがいいと作者としては思ったのかもしれませんね。
これって、のだめのラストにも通じるんですよね。
思いきり盛り上げて終わるなら千秋のオケで演奏して終わるはずで(他の作品の話になっていますね)。
そういうわけで、女性の作家さんは、
あんまり激しい絶頂感を作品に求めない傾向が強いのかな、と思うと、
それが悪い点とは言い切れず、
やっぱり全体としてはめちゃくちゃ面白かったわけで、
★5付けざるを得ないわけです。 -
悲哀を拒否している
アプローチが違えば、もう少し掘り下げられる気がする、
と読後に最初は考えた。
あまり異常な人の、突飛な行動で脚色して読者が面白がる作り方(構造)は、
これみよがしで共感も得がたく嫌だな、と思ったが、
深く考えてみると、演出や脚色が大袈裟なだけで、
こんな人はいくらでもいるのではないか、とも後で思った。
私の身近な職場にもずっとフリーターで生きている40歳オーバーが何人かいるわけで。
ただ、作者はそういう人を描きたいわけでなくて、
どちらかというと描きたかったのは、
主人公(多分作者の内面の一部)のある種の純粋さ(短絡的傾向)だと思う。
つまり、何がいけないの? と。
『主人公は』普通でありたいだけなのに、と。
間違ったことは何も言っていないと。
言ってしまえば、主人公はただすごく真面目に働いていて、
すごく真面目に質素な生活をしているだけの人ですよね。
ずるさもなく、欲もない。誰も傷付けない。周りが理解できないだけ。
肉親が哀しめば、合わせようとさえする。
独り身が悪いわけがないわけで。
それが、パブリックとプライベートの切り分けをして生きている世間の人たちからすると、
残念ながら受け容れられず浮いてしまう。
ただし、そのへんを悲哀に持っていかないのは、
作家としてそういった視点をもしかしたら
拒否しているのかもしれない。
言い換えれば、それは怒りではないかな。
やっぱり間違ったことは何もしていないわけですよ。
結婚なんて、したい人がすればいいわけで(私は妻子がいますが)。
それらを考えると、作者が主人公をかなりの変人のように描いたのは、
ある種の皮肉かもしれませんね。
そこまで考えると、大変良作だと思います。
私も作者と同じく、個性と言いながら異質なものを平均化しようとする世間は嫌いですね。 -
ネタバレ 購入済み
スケールが足りない
話の組み立てはさすがにキャリアを感じる。キャラクターもうまく書き分けて立っているし、役割もこなしている。
しかしながら、いかんせん筋と無関係の自衛隊機の暴走は、作者が作品のスケールが足りないことを本能的に察知して、取り繕った結果だと思う。
教祖も大して悪でなく、ただの歪んだ性癖を持つ連続殺人犯でしかない思う。
ならば、むしろ目いっぱい矮小に、教祖の最後を火の海で壮絶に死なせるのでなく、実は国際手配されていて、警察に両側から捕まれて、小便漏らしながら命乞いして、それを信者が目撃する中、だだをこねる幼児のように連行されていくとか、そういう方がいいと思う。こんな奴に我々は踊らされていたのかと、神に懺悔したくなるくらいに。むしろそこでやっと神に遇えるのでは?
あと思想的にも、戦争の原因は武器メーカーが問題なのではなくて、そういった自国の都合で戦争するアメリカという国の野蛮さと、それを容認してしまっている国際社会の世論にあると思う。
最終的な判断はその国の政府なんだから、メーカーにルールだなんだは無意味。
あと個人的にはやはり性を前面に出すのは、作家として敗北だと思う。
どの登場人物にも覚悟というものが全然なくて、残念だった。
素粒子だなんだと、色々言うけど、それなら量子超越性とか不確定な世界に入っていって、人間の意識とリンクさせて考えていって、教祖がカタストロフィーを目指していて、未然に人知れずそれを防ぐような筋で、教祖の言うことにも一理あるような作りの方がよかったのでは?
それだとあまりに漫画的かもしれないが、そもそも舞台装置にそういう趣があるから、そのくらいでもいいのでは?