あらすじ
「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
累計92万部突破&20カ国語に翻訳決定。
世界各国でベストセラーの話題の書。
解説・中村文則
コンビニのアルバイトとして18年働く、独身女性の古倉恵子36歳。
週5でシフトに入り、勤務態度はマニュアル通りの”正しい”対応。
店長から重宝され、同僚ともうまくやっている、はずでした。
新入りのアルバイトが入ってくるまでは…。
かく言う私もコンビニ店員として4年間働いていました。
正社員、歳の近い学生アルバイト、日中に働く40代の主婦、未婚(恐らく)の30歳以上の謎の人。
日本社会の縮図かと思えるほど様々な人がいますが、それぞれ自分の価値観で相手をみていて、
「自分こそが主人公」だと思っているはず。
本作は、「コンビニ店員である自分こそが、普通で正しい主人公」と考える恵子の主観が鮮明に描かれています。
「なぜコンビニ店員なのか」。これが神髄だと思います。
目まぐるしく変わる衝撃展開に魅了されたいあなたも、
世の中の“普通”について考えを深めたいあなたも、
1~2時間でサクッと本を読みたいあなたも。
世界各国で読まれていることからも、作品の魅力は語るに及ばずですが、
皆様に1度は読んでいただきたい名作です。
感情タグBEST3
共感しかない
冒頭から難しい描写が一切なく、
全ての言葉、文章が読みこめ、コンビニで働く自分を見ているようでした。
幼少期から周りと同じでなければいけないという
呪縛、皆と違うと変わった人と思われ、削除される「村社会」をストレートに描かれています。自分の思いを発言し皆に驚かれる描写は、私自身がいつも感じている違和感を具現化してくれました。ストーリーもこちら側の人間には「わかるわかる」と頷ける事ばかりで、普通に生きている人には衝撃かもしれません。賞を取るにふさわしい作品でした。1時間で完読しました。
すごい!
普段読書などはしませんが、何かでおすすめされていて気になって読んでみました。
そんな自分にもスラスラと読めて、とても楽しめる作品でした。
そしてたまには読書もいいなと思えさせてくれました!
Posted by ブクログ
かなり良かった。
日常的にコンビニを利用するので景色は容易に想像することができた。また、接客業でのアルバイトの経験から、“店員“と勤務時間外の自分との乖離もうまく言語化がなされていると思った。主人公のパーソナリティもあって、普通だったらイラついてしまうような場面や人物にも余計な不快感を持つことなく読むことができた。
特にこの文庫版の解説が大変良かった。こんなふうに読書がしたいとしみじみと思った。
ハズレの読書をしたくないという人に間違いのない作品だと思う。
絶対に解説を読んでほしいです。
Posted by ブクログ
『普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ』
主人公は幼少期から「普通」とは少し違う。死んでいる鳥を「せっかくだから食べよう」と言ったり、面倒を避けるために恋人契約をしたり、行きすぎた合理的判断をする傾向がある。おそらく自分が現実世界で出会ったら気味の悪さを感じるのは主人公の方だが、この作品では「普通」ではない方から見た「普通」の人の気味の悪さや不快感を味わえる。「普通」とは何かを考えさせられる作品。
Posted by ブクログ
普通というのは何をもって定義されるのか、というのは私の人生できっと永遠のテーマになるであろう事柄で、そのくせ答えなんてなくたっていいじゃないかと思っている。それぞれの自分のスタンダードで生きればいいじゃない。と思いつつ、そうなったらきっと世界には色んなひずみが生まれてしまうだろうな、とも思う。
そしてそのひずみを埋めるのは大体がマジョリティに属する側の人達なのが、世界の嫌いなところだ。かといって、いわゆるマイノリティに属している(あるいはそう自称している)人たちが、必要以上に自分たちをラベリングしているように見えたり、過度に権利を主張したりしているように感じたりすることもあって、なんだかそんな構図にうんざりする。
ひとつだけ私が持っている答えがあって、それは「押し付けないことがいちばん大切だ」ということ。自分のものさしで人をはかるまではいいと思うのだけれど、そこに絶対的な正しさや優しさや誠実さは無いと思っている。
誰もが自分らしくいたいと願っているはずで、でも周囲と足並みが揃わないとやっぱり不安になって、今の状況は自分が求めているものだったかも分からなくなる。そして結局一度は、押し付けられる普遍的な幸せを掴みにいきたくなってしまうのかもしれない。というのは、最近自分がよく感じること。
その点、この主人公は最終的には自分を貫くパワーがあって、逞しくて好きだなと思った。
とか言って、今の私が(そんなつもりはなくてもきっと)ムラの異物ではないという前提でこの文章を書いてしまっていることそのものが、この小説が示す問題そのものなのかもしれないけれど。
2026/6/14
Posted by ブクログ
普通とは何か。自分自身が現在直面している壁でもある。そんなタイムリーな一冊であった。小学生から普通を求められてきてる。出る杭は打たれる世の中。学生時代は学歴や運動が、大学では就職活動、社会に出れば、お給料や役職、家族や子ども。そんな肩書を持つことが普通とされ幸せとされている。でも、よく考えたら、誰がその幸せを決めたのだろうか。お給料が低くても、自分がやりたいことをやっていたり、向いている仕事をやっていることが幸せな人間だっているはず。でも、人間は目に見える形でしか幸せを得られない人もいるし、比較すること、優勢であることを実感することで幸せを得る人間が多いように感じる。
本書からは、異端であること、周りとは違うこと、それでも自分が自分としていられることの方が大切であるというメッセージを受け取ったような気がする。結局幸せなんて主観でしかないし、その匙加減に他者を介在させること自体間違っていると自分は思う。その意味で、SNSの利用などは使い方を考えないといけないと思う(もちろん、承認欲求や自慢、地位や肩書などを完全に否定してるわけではないし、それを求めたい人間は求めればいいと思う)。あとは、周囲の人間に対していちいち反応しすぎなのも感じた。誰が誰とどんな生活を送っていようがどうでもいい。でも、普通であること、集団からはじかれないように生きていることに対してもっと無関心になること、干渉しないことがある意味での多様性なのかもしれない(この意見を押し付けていると捉えられてしまってはそれもまた多様性ではないが)
結局、人間の多様性とかなんだとか言われて、オンリーワンとか言われるけど、価値観の部分における多様性はまだまだだと感じる。みんなそれぞれ違う種を持つのかもしれない。でも、アサガオもいれば、桜もいるだろうし、蓮だっている。結局同じ環境、同じ条件だからといって咲く花もあれば咲かない花もある。みんなが同じ場所や環境、価値観で咲くことが良しとされる、それ以外は間違いのような価値観が広がっていること自体が間違いなのだと思う。だからこそ、自分が咲ける環境を探すこと、外野の声に良くも悪くも左右されすぎないことが大事なのかと。誰がどの環境、条件があっているかなんて誰にも分らないから、あとは後悔のない選択を自分で選んでいくしかない。その意味で人生はギャンブルであると思う。
Posted by ブクログ
✶印象に残った言葉✶
「普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ。」
「皆、変なものには土足で踏み入って、その原因を解明する権利があると思っている。私にはそれが迷惑だったし、傲慢で鬱陶しかった。」
Posted by ブクログ
再読。世にも奇妙な物語みたいな感じで面白い!
奇妙だけど、古倉さんのいちばん生きやすい生き方が見つかってよかった。普通って難しいよね、私もよく変わってるねって言われるから気持ちが分かるところもあった。普通じゃなくても、自分が生きやすいように生きるのがいちばんだと思う。だれより完璧なコンビニ人間だから、アルバイトじゃなくて店長とかに昇格したらいいのに、それはダメだったのかな。
小説を全く読まない自分が、知り合いにおすすめされて読みました。とても読みやすく三日坊主の自分でも最後まで読み切れましたが、読了後は言葉にできない衝撃や喪失感を感じました。普通とはなんなんですか
Posted by ブクログ
読書初心者の私には短くてとにかく読みやすかった。普段から、普通とはなにか?普通ではいなくてはいけないのか?など考えるのが好きな私には考えさせられる本だった。主人公の視点がとても面白かった。
Posted by ブクログ
これは…読後感がなんとも なにか自分の軸が
ぐんにゃり曲がってしまったような 小説。
この世界観は衝撃的でした。主人公がまだ幼い少女だった時 きれいな鳥の死骸を母親に見せ
焼き鳥にしようと話す場面から ページを止めることが出来なかった。
Posted by ブクログ
超合理的であり感情を排した思考をする人間の日常を描いた異色作。合理を突き詰めた論理を軸に、他者の異質性の排除傾向を浮き彫りにし、最後はそれでも前向きなエンディングを迎える。これだけ合理を突き詰めた考え方を周囲にはしておきながら、自己の生には特に突き詰めた考えがないところに若干違和感はあるが、物語として成立させるためには致し方ない部分もあるかと感じ、それを以てつまらなくは全くなっていない。確かに自分にもそんな考え方はあるなと認識させられるとともに、物事の見方を揺さぶる名作。
Posted by ブクログ
普通とは何か?を考えさせられる小説だった。世の中偏見の塊だが(それが小説の記載からよく読み取れる)、コンビニで普通にまともに働く人間に何も言えないのではと思った。人それぞれの人生があると思った。
Posted by ブクログ
子供の頃から生き辛さを感じていた主人公の古倉恵子は、世界の正常な部品になりたかった。
初めて「コンビニ店員」になった時は「治った」気がして嬉しかった。
「普通」を圧力と感じて毛嫌いした白羽とは違い、古倉恵子は「普通」に心から憧れていたのだろう。
古倉恵子は周りをひとつも否定しない。
最後、強い意志で「コンビニ店員」に戻る事ができて良かった。
引用ですが、
「私の遺伝子はうっかりどこかに残さないように気をつけて、寿命まで運んでちゃんと死ぬ時に処分しよう。」
淡々と思う古倉恵子に、少しの可笑しさと切なさを感じる…。
Posted by ブクログ
私も学生時代に2年ほどコンビニでアルバイトをしていたので、コンビニで働いたことのある人なら「分かる分かる!」となる描写がたくさん散りばめられていて、とても懐かしい気持ちになりました。
古倉さんは冒頭の幼少期のエピソードから、世間一般でいう「普通」とはかけ離れた人物として描かれています。
小鳥の死骸を見つけては、悲しむ周囲の子どもたちをよそに持ち帰って食べようとしたり、喧嘩をしている男子を止めるためにスコップで殴りかかったりと、その価値観は周囲と大きく異なっています。
月日が流れ、大学生になった古倉さんは通り道に新しくオープンするコンビニを見つけ、強く惹きつけられます。
求人に応募し採用されたことで、“コンビニ人間”としての人生が始まります。
そのとき古倉さんは、初めて世界の正常な部品としての自分が誕生したのだと感じます。
そしてその後18年にわたって勤務を続け、コンビニは古倉さんにとってかけがえのない居場所となっていきました。
しかし、作中に白羽というどうしようもないクズ人間が登場したことで、かえって古倉さんの異質さや魅力がより際立っていきます。
(特に白羽に対する古倉さんの応答には思わずスカッとしました笑)
そんな中、妹や友人たちは結婚や出産を経験し、古倉さんにも世間一般の「普通」を求めるようになります。
そうした価値観に違和感を抱きながらも、古倉さんは白羽との共同生活を始め、コンビニを退職し、新たな仕事を探すことで「普通の人間」になろうとします。
読んでいて苦しかったのは、古倉さん自身が望んでいないにもかかわらず、周囲が善意の顔をして「普通」を押し付けてくる場面でした。
最終的に古倉さんは「普通の人間」として生きることをやめ、自分は「コンビニ店員」という生き物なのだと受け入れます。
コンビニの窓ガラスが、妹の生まれたばかりの赤ちゃんを見た病院のガラスと重なって映り、その中で“コンビニ人間・古倉恵子”が誕生する場面で物語は幕を閉じます。
世間の価値観に合わせて生きるのではなく、自分の居場所を見つけて受け入れた古倉さんにとって、コンビニ店員こそが天職だったのだと思います。
だからこそ私は、この結末をハッピーエンドとして受け取りました。
「普通」とは何なのか。
そしてその基準は誰のために存在するのか。
読み終えた後にそんなことを考えさせられる一冊でした。
匿名
難しい言葉はひとつもなく、とても読みやすい本でした。読み終わるのも一瞬で、そこまで長い話ではないが、この短い話の中でとても考えさせられるものが多くありました。人生のうちに一度でいいから読んでみてほしい本のひとつだと感じます。
「普通」とは?
普通とは何なんでしょうか
普通に学校に行く?普通に友達を作る?普通に就職する?普通に結婚する?普通に子供を産む?私も様々なことに違和感を感じながら生きてきた人間なのでこの本は非常に面白かったです。
なぜ他人の人生にそこまで関心を持てる人が多いのか、いつも不思議に思います。
私は普通がつまらないです。変なやつでいたい。
きっとまた読み返します。そのくらい好きな本でした。
読みやすいが考えさせられる
読みやすい文章で、忙しい時でもサクッと読めました。
周りと同じでなければいけないという小さいころからの空気に疑問をもつ主人公、
彼女自身の考え方を見て、こういう人もいるのかと、改めて勉強になったと思います。
オンリーワンの大肯定
現代日本の同調圧力による生き辛さを一蹴する好著である。
評価の分かれるラストシーンについては、コンビニバイトの行かず後家である主人公古倉恵子が、他人の目を気にし過ぎず、自分の納得できる生き方に進むことを示唆したもので、オンリーワンの生を大肯定するハッピーエンドと捉えたい。
また、本書はラノベのようにエッジの効いた会話やコンビニを水槽に見立てるなど文芸作品らしい表現技巧に優れ、ぐいぐい惹き込まれつつ読んだ。
一気に読んだ
面白くて夢中になって読んでしまいました。偏った思考だし、共感できるような事はなかったのですが、何故かこちらが救われるような気がしました。
おもしろい
読後の最初の感想は、「今っぽい話だなぁ」でした。
私は小説を頭の中でしっかりと映像化する癖があり、俳優さんや女優さんを当てて読みます。そうすることでより入り込めます。
今回の主人公は黒木華さん、店長は長谷川博己さん、など。
主人公は周りとは少し"違う"という幼少期をすごし、極力自分から何かを発さないように過ごします。
ゆくゆく自分が"違う"部分を治すのではなく、周りの"普通"な人を真似てあたかも同じかのように振る舞い生きていく。
それが非常にスムーズでやりやすいと感じたのが、コンビニ。
"古倉さん"という店員として存在し、幼少期がどうだとか考え方がどうだとか、主人公の感情や生き方など誰も気にしない。
品出し・レジ・掃除など必要とされていることを必要な分こなすという生活を35歳まで、アルバイトのまま、未婚で、続けます。
そもそも、この「誰も気にしない」というのは"普通"の人なら寂しく感じることだろうと思うけれど、主人公はその環境が心地よく感じています。
今まで"違う"ということを押し付けられていたがために、コンビニの一部になれていることに幸福を感じている。
正直、今は社会でもプライベートにまったく介入しないというのがむしろ良しとされる風潮がありますよね。
若者に多いのが
有給を取る理由を言う必要があるか?
恋人の有無を教える必要があるか?
オンライン会議では部屋を映さない とか。
何かとハラスメントでネーミングされます。
主人公のと訳が違うのは大前提ですが、
「迷惑をかけているわけではないのだから放っておいてくれ」というのは、今っぽいですよね。
白羽は迷惑かけまくってましたけど。
といった感じで、そのリアルな社会の感じが気分を暗くさせます。
それだけ入り込めるということだと思います。
いくらでも書けそうなので強引に締めました。
あと書いておきたかったのは途中で一瞬出てきた"主人公の成れの果て"の男性です。
お客の癖に商品を整理したり客の列を正したり。
白羽に促されるまま就職してしまったら、ああなっていた。
だから主人公の判断は正解で、ハッピーエンドだと思います。
読みやすくて
一気に読みました。発達障害者と思われる人物がコンビニで有能なバイトとして働く様子、ラストの決断に、ロッカーや正社員のふりなどは非常識な行為ではありますが、社会に大きな迷惑をかけるでもなく、この主人公がいきいきと輝ける場所があることを嬉しく思いました。
面白かった
面白かったです。
ただ、この話をどうとらえたら良いのかは難しいですね。
読んだひとそれぞれに思うところがあるでしょう。
良いとか悪いとかの話ではないでし。
ともかく、できるだけ多くのひとが下記のことに気づいて欲しいものです。
絶対的な善悪は存在しないこと。
生きることに意味は存在しないこと。
人間の行動はすべて自分のためであること。
(人のためにしていることであっても、
その人が心のそこから相手のためだと思っていたとしても)
世界中の人間はすべて別の生き物だということ。
悲哀を拒否している
アプローチが違えば、もう少し掘り下げられる気がする、
と読後に最初は考えた。
あまり異常な人の、突飛な行動で脚色して読者が面白がる作り方(構造)は、
これみよがしで共感も得がたく嫌だな、と思ったが、
深く考えてみると、演出や脚色が大袈裟なだけで、
こんな人はいくらでもいるのではないか、とも後で思った。
私の身近な職場にもずっとフリーターで生きている40歳オーバーが何人かいるわけで。
ただ、作者はそういう人を描きたいわけでなくて、
どちらかというと描きたかったのは、
主人公(多分作者の内面の一部)のある種の純粋さ(短絡的傾向)だと思う。
つまり、何がいけないの? と。
『主人公は』普通でありたいだけなのに、と。
間違ったことは何も言っていないと。
言ってしまえば、主人公はただすごく真面目に働いていて、
すごく真面目に質素な生活をしているだけの人ですよね。
ずるさもなく、欲もない。誰も傷付けない。周りが理解できないだけ。
肉親が哀しめば、合わせようとさえする。
独り身が悪いわけがないわけで。
それが、パブリックとプライベートの切り分けをして生きている世間の人たちからすると、
残念ながら受け容れられず浮いてしまう。
ただし、そのへんを悲哀に持っていかないのは、
作家としてそういった視点をもしかしたら
拒否しているのかもしれない。
言い換えれば、それは怒りではないかな。
やっぱり間違ったことは何もしていないわけですよ。
結婚なんて、したい人がすればいいわけで(私は妻子がいますが)。
それらを考えると、作者が主人公をかなりの変人のように描いたのは、
ある種の皮肉かもしれませんね。
そこまで考えると、大変良作だと思います。
私も作者と同じく、個性と言いながら異質なものを平均化しようとする世間は嫌いですね。
人間らしさってなんだろうと思う
人間らしさってなんだろうと考えさせられる作品。人の目をつい気にしてしまう人にはとても刺さると思います。題材は結構重いが、結構サクサク読めます。おススメです。
まさか、こんな内容とは
芥川賞を受賞した作品として知ってはいましたが、題名からライトな内容だと思い込んでいました。
誰かの普通は誰かの普通じゃない、そんなの当たり前だと思っていたけど、それこそ普通じゃないのだと思い知らされた感じです。
2人以上人が群れると、時として怖くなる。
普通圧力か…
深呼吸ができる場所で暮らしたいし、一緒にいる人には深呼吸させてあげられる人になりたいです。
Posted by ブクログ
世間が求める「普通」の状態を目指す主人公
「普通」の立ち振る舞い、年相応の「普通」の家庭環境
この周りが求める「普通の人間」になろうとする気持ちが共感でき、これを小説として表現するのは凄いなと思いました。
主人公は泣く赤ん坊をあやす母親を見て
「大変だあな。静かにさせるだけならこの包丁一本で十分なのに」みたい感覚の持ち主なので少し行き過ぎてる感はありますが。。。
以下自分自身の話ですが、
自分は社会人5年目で仕事をある程度こなせるようになり、
その他検定試験や筋トレ等をコツコツ真面目に取り組む事は得意としていますが、祐逸、飲み会は少し苦手と感じています。
飲み会では普段の真面目な姿勢ではなく、少しはめを外して馬鹿な発言をしたり、面白い事をやる事が求められる。また自分はお酒が苦手ですが、「ビールは美味しいもの」という皆の「普通」の感覚に同調する為、頑張ってグラスを開けて、「ありがとうございます!」と嬉しそうに笑顔で注いでもらうようにしている。
正直無理して飲むのはしんどいし、仕事をしている方が楽だと思う事もあるが、「普通の立ち振る舞い」を目指す為頑張っている自分がいる。
自分の場合は「飲み会」だが、他にも
週5勤務はしんどいが「普通」の社会人になる為に頑張っている人、「普通」の幸せを手にする為結婚する人、皆色々な面で「普通」を手にする為に頑張る、または少し無理をしているのではないかと思った。
Posted by ブクログ
同窓会とかでの「変わらないね〜」をテセウスの船的な解釈をしていたのは新しい見方だった。
マイノリティ側から見るとマジョリティが異様に見える描写は上手かった。
ちょっと分かる部分もあり、分からない部分もありその辺もグラデーションがあるなぁと考えさせられた。
Posted by ブクログ
誰しもが持ってる、普通から逃れる恐怖
逸脱してるんではないかと自分が周りと波長があってるか、確認する不安
そんな社会から圧がかかる、自分を生きづらく
しんどく思う同棲男の『白羽』
彼は30代中年にして、就職もせず、アルバイトで食いつないでいたが、婚活目的でコンビニでバイトし
辞めさせられる。種族を残さないといけない、現代は縄文時代と変わらないと極端な思考であったが
俯瞰で理解できる自分もいた。
主人公の古倉(女性)は、自分がコンビニ人間だということを受け入れて生きる選択をした。
Posted by ブクログ
自分の中のASD的な部分が、わかるわかる!と反応して居心地悪さと奇妙な共感でゾワゾワしながらめくる勢い止まらずノンストップで読んだ。
周りの人とうまく噛み合わない自分。
世界の部品になれない自分。
世界から見て異質な自分。
なにか不文律で存在しているらしき世界のマニュアルがインストールされていない自分。
世間という場で違和感なく生きるために、擬態する技術や溶け込みやすい設定を仮面のようにまとう自分。
恵子のなかにはそれだからといって「生きづらさ」にはなっていないのかもしれない。
自分自身の属性を感情で解釈しない恵子の世界は、シンプルだ。
自分が世界の部品として、いきいきと生きられる方法を知っている。
いったん手放しかけたコンビニ人間という生き方を、誰にも似てなくていい自分自身の生き方を、神の啓示にも似た直感で受信した。
ほとんど本能といってもいい。
さまざまなテクニックや仮面やマニュアルを身にまとって人間に擬態しなくては社会になじめない、そんな私のような人間は、恵子がコンビニをよりどころに生きる悟りを得たように、迷わず割り切って生きるのが幸せの道なのかもしれない。
Posted by ブクログ
読んでまず感じたのは、主人公の古倉恵子の心の綺麗さだった。
古倉は、幼い頃から自分が社会の中でどこかずれていることを周囲に気づかされながら生きてきた人物である。
だからこそ彼女は、自分の感覚をそのまま出すのではなく、社会の枠組みに収まるために「普通の人」の言葉遣いや表情、行動を学び、コンビニ店員という役割に徹して生きている。
普通であることを自然にできないからこそ、彼女は「普通」を演じることで社会とつながろうとしていたのだと思う。
しかし、私が心を奪われそうになったのは、古倉が自分自身を社会から外れた存在だと感じているからといって、同じように「普通」から外れている人を簡単に否定しないところである。
多くの人は、自分と考え方が違う人や、常識から外れているように見える人を無意識に裁いてしまう。
たとえその人が誰かを傷つけているわけではなくても、「普通ではない」というだけで距離を置いたり、正そうとしたりすることがある。
けれど古倉は、自分が「変わっている側」として扱われてきたからこそ、他人の違和感や異質さをすぐに否定しない。
その姿に、私は彼女の純粋さや心の綺麗さを感じた。
この作品を読みながら、
私は「なぜ人は、自分と違う人を裁きたがるのだろう」と考えた。
白羽が語るように、それは人間の種としての生存本能や、集団を守るための本能と関係しているのかもしれない。
昔の社会では、村や共同体のまとまりを保つために、異質な存在を警戒したり排除したりすることが必要だったのだろう。
皆と同じ価値観を持ち、同じ行動をすることが、集団の安全や秩序につながっていたのかもしれない。
けれど、現代においてもその感覚は残っているように思う。特に今はSNSが発達し、たくさんの人の意見をすぐに見ることができる時代である。
一見、多様な価値観に触れられるように見えるが、実際には「これは普通」「これはおかしい」という判断が以前よりも速く、強く広がっているようにも感じる。
誰かの少し変わった考え方や生き方が、すぐに批判の対象になり、多くの人が同じ方向を向くことで、社会全体がかえって均一化しているのではないかと思った。
『コンビニ人間』には、分かりやすい救いや感動的な結末があるわけではない。ただ、古倉という一人の人間の視点を通して、彼女がどのように世界を見て、どのように生きているのかが淡々と描かれている。
だからこそ、読者は「普通とは何か」「常識とは誰が決めているのか」を考えずにはいられない。
この作品を読んで、私は「普通」から外れている人をすぐに否定するのではなく、その人にとっての世界の見え方を想像できる人でありたいと思った。
社会に合わせることは必要な場面もあるが、その枠組みから少し外れているというだけで、人の価値が決まるわけではない。古倉の生き方は、決して簡単に理解できるものではないが、私たちが当たり前だと思っている常識を静かに揺さぶるものだった。
Posted by ブクログ
「何か言うと周りの人が勝手にストーリーを作って共感したり批判したりする。」「異物は排除されて常に正常が作られていく。」共感と後ろめたさを感じた。
Posted by ブクログ
今年21作目。
社会でいう「普通」とは何なのか。
診断を受ければ病名がつくであろう古倉さんを通して、「普通」の暴力を浴びることができる。
男なら働いて、結婚して家庭を築き、家族を守る
女なら結婚して、子供生んで、家族を支える
皆がそうしているから、これが「普通」。この路線から外れたら終わり。
怖い話は全く出てこないのに、どちらかというと古倉さんの考えが怖いのに
「普通」という枠に恐怖を覚える。
Posted by ブクログ
普通の人間たちが集まる普通の世界は本当に生きづらい。偽りの言葉と笑顔で日々をやり過ごし、何とか脱線しないように走り続けるけれど、走るだけでこちらは精一杯。周りは何故前に進まない?未来のことを何故考えない?と問うけれど、仮面を被ること以外は考えられないほどに、普通に生きるのは難しい。
彼女がコンビニとして生まれた物語は、最後に本当の意味で生まれて幕を開ける。
泣きそうになるほど共感するとこが多くて、、、世界の部品になる難しさや、偽りの笑顔を向ける様、何にもなれない苦しみ。多様性の言葉の裏には淘汰される世界の肯定がある。地球の部品としてはそうかもしれない、でも生きるってそういうことなのかな?
むちゃくちゃ面白かったし、全員嫌なやつなのが作者の意地悪さ全開で笑ってしまう。
Posted by ブクログ
読みやすくて1-2時間で読み終えた!
普通とはなにか、どう生まれて今存在するのかを考えさせられた。
コンビニの部品として生きていくぞという気持ちは全くないけど、自分もマイノリティ側に立つことも少なくないから、平気で土足で踏み込んでくる人たちに対して自分事のように嫌な気持ちになった。
喋り方は周りに影響されるってこの本で読んでからすごく意識してると、確かにそうだと思えて面白かった。
Posted by ブクログ
読んでいて少し苦しかったです。社会に静かに流れる、結婚し、子供を産み育て、周囲が納得する社会的身分に納まり、周囲が納得するコミュニケーションを取りながらトラブルを起こさず生活を送るという主流。この流れる主流から外れていくと徐々に周囲から排除され生きづらくなっていく恐ろしさ。これは結局、全ての人が多かれ少なかれ抱えて生きているのではないだろうか。
主人公は少し極端で周囲とはズレているのかもしれないけど何も悪いことはしていない。自身を取り巻く同調圧力に対応出来ずこぼれ落ちて行く様子は読んでいて辛かった。読後、心にズンと重い石が乗っかったような感覚です。
Posted by ブクログ
ヒロインはおかしい、フツウでない、変だ
と、感じるわたし(たち)の方がおかしいのかもしれない… ある意味では。
まっとうで真っ直ぐでブレない恵子。コンビニ業務に就いている間は。彼女こそ誰よりも進化した生命体とも言えよう。
彼女がコンビニに居た頃よりも、コンビニはさらに進化を遂げており、留まるところを知らず。
彼女は何処に向かうのか?呼吸をするAIロボットと化していくのか。
考えさせられた
普段全く読まない小説、純文学でしたが、とても読みやすかったです。社会、普通、異質、圧力…すっと全身に入ってきて理解が広がっていくようでした。主人公に今の自分が重なって、胸が苦しくなりました。
匿名
社会が求める「普通」という名のコードとの距離感の問題はある人にとっては問題とも認識されず、またある人は完全にそれに同化してそのコードを拡大再生産する尖兵ともなり得るが、本作の主人公にとってはそれは対象として認識は出来つつもそのようには振る舞えない。一方で「コンビニ店員」としてのコードは完璧に振る舞うことができる。対して白羽にとってそのコードは自身を攻撃してくるのもでしかなく、と同時にそのコードを使って他者を攻撃してもいる。矛盾しているようでいて実際にはこのような人は多く見かける。
コンビニの他の従業員や地元の旧友、そして主人公の妹などは、彼らの価値体系(と言ってもそれは彼ら自身の頭で作り出されたものではなく社会が求める普通という規範であるが)からすると理解不能な主人公を、自身の理解可能な地平に持ってきてジャッジしようとする。そして「叱って」異物を排除して、内部の、「こちら側」の結束を固めようとする。
理解不可能なものを理解不可能なものとして理解する知性は多くの人には無いのだ。
普通って何?
個性が強すぎると敬遠され普通じゃないと言われ淘汰されていく。主人公は妹に助言を求め普通の人間に近づこうと外見や話し方を変えていく。そうしないと生きていけない。ただただコンビニの仕事に24時間精神も縛られてないと崩れてしまう。
毎回縄文時代を語る白羽さんとの出合いは彼女にとって普通になれる事だったのか?社会不適合者だったかも知れない彼女がコンビニ店員に身を置くことで社会の歯車に成れたと感じられればこれからも頑張れるのだろう。普通とは?と考えさせる一冊でした。
想像の斜め上をいく展開
友達に薦められ、書評を読んでから購入しました。
ありきたりの人間の苦渋を描いたストーリーかと思いきや、想像の斜め上をいく展開に驚きながら一気読みしてしまいました。
色々な人の生き方。これからの社会の多様性のあり方を考えさせられました。
普通という脅迫
知らずのうちに普通を演じ普通を強要している社会で主人公はコンビニというパッケージされた社会の歯車の中で生きていて、
主人公は結局、普通を消化してしまったのかしら。
それとも選び取った選択だったのかしら。
最後に賛否が分かれるけども、その意味を考えてしまうわねー。
せつない
コンビニ人間って何?
と思い興味本意で読んでみました。
現代の若者の象徴である就職難民からのコンビニバイト。
自分の娘や孫もそうなる可能性はゼロではないと思うと切なく、この様な社会にしてしまった大人達に是非読んで欲しいと思いました。
Posted by ブクログ
世にも奇妙な物語みたいだった。全員なんかちょっと不思議な感じ。
自分が生きやすい環境で生きるのが良いとは思うので、未婚だろうとバイトだろうとなんでも良いだろうと思う。
あと、そういう話じゃないとは思うが、コンビニの店長になれば良いのでは?
Posted by ブクログ
話の展開として衝撃はないが、読者の「普通」とは何かを考える作品。
同調圧力は確かに世の中に多く存在するが、少しずつ個性を尊重する世の中に変わってきているとも実感。私は人の価値観を批判するような人にはなりたくないなっと思った。
ストーリーが気になってどんどん読みたい作品が好きな人には向かない。
登場人物も多くなく、コンビニの題材も身近で分かりやすい。話の複雑さもないため、オーディオでも理解しやすかった。
Posted by ブクログ
あっという間に読み終えたが、読後自分では消化しきれないモヤモヤが残った感じ。
常に登場人物の言動に対して、自分が思う正しさや普通とはを問われ続けたような感覚で読んだ。
「普通の人間という架空の生き物を演じれば排除されない」「皆が不思議がる部分を、自分の人生から消去していく」ここまでの意思を認知したことはないが、無意識に周りと違う考えは避けようとかそう思いながら生きている時もあるよな〜と思った。多様化、個性という言葉にわりと馴染みあるギリZ世代なのに。
Posted by ブクログ
手に取った時、本があまりにも薄くて、話題作なのにこんなに短いんだ…!とびっくりしたけど内容がしっかり作り込まれているから読み応えはそれなりにあった。
バイトを辞めた途端に生活や身だしなみが一気に堕落していく様子がリアルだった。自分も今、社会人一年目で働きたくないなーと思う毎日だけど、辞めたら辞めたで生きる活力みたいなものが全てなくなりそうな気がするし、嫌でも生活リズムが整うし、これでいいのかもなと思えた。
そしてちょうど、正社員という責任の重さ、業務の複雑さに嫌気がさしてバイトに戻りたいな〜と悩んだりしていたところだったので、「いい歳してバイト=異端」と見なされる世間の冷ややかな描写にも、ハッとさせられた。正社員でいることは、理不尽な世間の目から自分を守る「盾」でもあるんだなと痛感した。
単なる「真面目に働きましょう」という説教本ではないからこそ、素直に心に響いた。
Posted by ブクログ
星3ではあるが、良作。
所謂「純文学」に括られる作品って自分の感性がそれ用に磨かれていないからか、評価が難しい。
この本も「面白い」とか「楽しかった」では無く、「興味深い」という感想が適している。
テーマとしてはネット等を見る限り「普通とは何か?」。
確かに、個人的な視点で端的に言うと、この作品の主人公は普通ではない。
泣いている姪の姿を見た後に、ケーキ用のナイフを見て、「静かにさせるだけなら簡単」と感じたり、妹が主人公の生き方に嘆いているときに、手持ち無沙汰だからプリンを食べ始める等の行為は、少し人間離れした、そこはかとない恐怖を感じた。
しかし、本作はその主人公目線の一人称で書かれる為、「普通」とされている主人公に関わる人物達の狂気性がかなり目立つように描かれている。
主人公に交際相手がいると分かった瞬間は「気持ち悪い」という生理的嫌悪感すら感じた。
交際相手となる白羽も主人公やそれ以外の人物達とは異なる「ヤバいやつ」という立ち位置で出てくる。
この主人公、白羽、それ以外という、それぞれ「普通」が違う人間が、読者目線だと全員狂っているように感じた。
文学作品のレビューとしては綺麗ではないが、この作品のテーマ「普通とは何か?」だが、個人的には「そもそも、『普通』と『それ以外』二分化って正しいのか?」というテーマの方がしっくりくる。
そう言う意味で、この本は本当に興味深い一冊だった。
ちなみに、解説ページに書かれていた、「主人公の唐揚げに対する扱いと時系列」はマジでビビった。
Posted by ブクログ
マニュアルがある方が生きやすい、社会の歯車でいられた方が迷いなく毎日の連続に入っていける。そんな感覚、自分の中にもある気がする、、
職場の人間関係って本当に思うところがたくさんあって、そもそも話題をずっと提供する質問者が話さなくてよくて聞かれる側はプライベートなことを話さなくちゃいけない雰囲気になるのが嫌なのすごく共感した(わたしはあんまり周りに興味がないからそもそもあんまり質問者にもならない)
わたしが答えたって周りが納得する答えじゃないとそういう顔するし、結果人のネタを笑ったりいじったりしてその場の雰囲気をやり過ごすだけのくせに。
最後の展開は個人的にハッピーエンド。あのまま白羽と好きでもない体裁の仕事に就いて生きる人生にならなくてよかった。
シュールすぎる
コンビニ人間って比喩でも何でもなくてそのまんまコンビニの為に生きる人間だった。でも自分も周りの話し方を真似したり影響されたりしてるから共感。
SF?それともサスペンス?読後感がとても後味が悪く、それが良い意味で面白かったです。
のほほんとしたコンビニでの日常小説かな?と、気軽な気持ちで読み始めたことを後悔しつつ、最後まで一気に読み終えてしまいました。
まず読み始めて、主人公は発達障害の傾向が強いなと思いました。
私自身ASDの診断を受けており、主人公には共感する部分が多い、というよりも、私が書いた日記を読んでいるかのような感覚でした。
作中で、主人公が妹に「いつになったら治るのか」「どうすれば普通になるのか」というように責められる場面があります。それに対する「指示をくれれば私はどうだっていい。ちゃんと的確に教えてよ」という主人公の言葉は、まさに私の主張そのものでした。主人公や私のような人間は、周りの要望に応えるためにわざわざ行動しようとしているというのに、一体どうして具体的な改善案を出してくれないのでしょうか。こちらが歩み寄ろうとしているのに、一方的に糾弾してくるなんて、どう考えても非があるのはあちらではないのでしょうか。
自分自身のモヤモヤが物語になった、というような作品で、共感は得られましたが、感動や新たな発見はありませんでした。
主人公がアスペルガー だとは書いていませんが、読み手によってはアスペルガーであるだろうと想像させて読ませてしまうところが、実際アスペルガーの人がいる中で生活している、もしくは家族や自分自身がアスペルガーである場合、評価というか読んだ感想や気持ちが大きく変わってくる作品だと思います。
小説というのはあくまで一人の人間、個人の思想を文字にするというものであるからこそ、それが全てではないということも含めて読むのでしょうが。
ここで描かれる普通や、主人公が紛れようとする普通や、登場する全ての人が目指す普通は日本独特の普通である部分も多く、人間世界に共通していえる普通もあり、日本の普通はどこかの国では普通ではない、アスペルガー だろうがなんだろうがここで書かれている皆が目指す普通のことは、ある人にとっては普通であっても、普通どころか君達は何に洗脳されてるのだと異様に感じる人もいるのも事実なので、普通を押し付けようとするシーンでのやりとりなどは、小さな世界感で独特で読んでいて気味が悪かった。カルト集団の小さな世界にも感じる。
この世界は広くて、どこかの空間では普通で当たり前になっているけど、どこかの空間では普通ではなく、当たり前じゃないことがある、人間は視野が狭くなると怖いなと感じ、気味悪さや生きづらさが伝わる作品です。
しかしながら、貧困という問題は個人の責任ではなく国をあげて取り組むべきことだと考えさせられます。こんなに真面目に一生懸命、天職を見付けて輝いて働いているにもかかわらず、人生の一生を保証されないなんて悔しいばかり。
コンビニのマニュアルは、軍隊の規律の中にいるようでさえあり、厳しいですね、怖いですね。
こんなに厳しい毎日なのに、一生懸命働いても保証されないのですね。料金支払い、荷物の受け渡し、毎日の食事まで。街の人々の為に、24時間手厚くおもてなしをしているのに、街の人のために動いてくれるはずの役所の窓口は態度が悪くても許されて、コンビニ店員は態度が悪いと社会の悪になってしまうのですね。