あらすじ
「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
累計92万部突破&20カ国語に翻訳決定。
世界各国でベストセラーの話題の書。
解説・中村文則
コンビニのアルバイトとして18年働く、独身女性の古倉恵子36歳。
週5でシフトに入り、勤務態度はマニュアル通りの”正しい”対応。
店長から重宝され、同僚ともうまくやっている、はずでした。
新入りのアルバイトが入ってくるまでは…。
かく言う私もコンビニ店員として4年間働いていました。
正社員、歳の近い学生アルバイト、日中に働く40代の主婦、未婚(恐らく)の30歳以上の謎の人。
日本社会の縮図かと思えるほど様々な人がいますが、それぞれ自分の価値観で相手をみていて、
「自分こそが主人公」だと思っているはず。
本作は、「コンビニ店員である自分こそが、普通で正しい主人公」と考える恵子の主観が鮮明に描かれています。
「なぜコンビニ店員なのか」。これが神髄だと思います。
目まぐるしく変わる衝撃展開に魅了されたいあなたも、
世の中の“普通”について考えを深めたいあなたも、
1~2時間でサクッと本を読みたいあなたも。
世界各国で読まれていることからも、作品の魅力は語るに及ばずですが、
皆様に1度は読んでいただきたい名作です。
感情タグBEST3
共感しかない
冒頭から難しい描写が一切なく、
全ての言葉、文章が読みこめ、コンビニで働く自分を見ているようでした。
幼少期から周りと同じでなければいけないという
呪縛、皆と違うと変わった人と思われ、削除される「村社会」をストレートに描かれています。自分の思いを発言し皆に驚かれる描写は、私自身がいつも感じている違和感を具現化してくれました。ストーリーもこちら側の人間には「わかるわかる」と頷ける事ばかりで、普通に生きている人には衝撃かもしれません。賞を取るにふさわしい作品でした。1時間で完読しました。
すごい!
普段読書などはしませんが、何かでおすすめされていて気になって読んでみました。
そんな自分にもスラスラと読めて、とても楽しめる作品でした。
そしてたまには読書もいいなと思えさせてくれました!
Posted by ブクログ
白羽が繰り返す「縄文時代から変わらないムラ社会」という言葉は、人間という種が持つ排他的な本能を象徴している。役立たずを排除し、異分子を矯正しようとする人間の集団は、恵子のような「コンビニ人間」を許容しない。しかし、恵子が最終的に選んだのは、そのムラに戻ることではなく、24時間365日、一定の光と温度に保たれた「コンビニ」という人工の聖域に帰還することだった。これは古い生命原理と、現代のシステムが生み出した新しい生命原理の対立である。人間が「血」や「性」で繋がるのに対し、コンビニ人間は「機能」と「マニュアル」で繋がる。恵子の決断は、人間としての幸福を捨てた悲劇ではなく、新しい環境に適応した個体の勝利なのだ。読後、私たちは自問せざるを得ない。自分を縛っている「人間らしさ」という鎖は、果たして本当に自分を幸せにしているのか。別の生き物として生きる道の方が、よほど誠実なのではないかと。
Posted by ブクログ
今更ながら読んだが、これはかなり良かった。安部公房を読むときのような、周囲と比べて何かが欠落した人間は果たして都市で生きていけるのだろうか、生きていけないとしたら間違っているのは当人なのか都市なのか、という不可思議な切迫感とスリルがある。
Posted by ブクログ
仕事というルーティンに生かされている。みな少なからずそうなのでは?と極端で繊細な実例をもって問いかけてくる作品。自分は仕事によって人間らしさの維持を支えられている節が大いにある。歯車と化すことのラクさを実感しているからこそ、身につまされる。
Posted by ブクログ
ちょっと前に読んで朧げな記憶で書きます。
得意不得意、人間それぞれある中で咲ける場所で咲くことができたら人生良いよなって考えの中、この小説を読んで凄く主人公のことが好きになりました。
変に流されることなく、自分の決まりを他人に押し付けることはしない。読んでいて最後まで気持ちよかったです。
Posted by ブクログ
===ネタバレ注意===
コンビニ=神(宗教)
古倉=信者
なのでは?と感じた。盲信している間は、周囲の声は届かずにいた。しかしその信仰が少し揺らいだとき(白羽の登場=信仰への疑問・不満?)、周囲はここぞとばかりにこちらの世界に戻そうと説得し始め、声が届き始めた。
でもその声は自分の根底にある不安や悩みなんかを癒してくれはせず、最後には自分には信仰しかない、と戻っていったのではないか。
そんなことを想像してみたりもできました。
Posted by ブクログ
なんか久しぶりに純度の高い純文学を吸収できた
合理性を詰問し搾り取ったような視点のコンビニ人間と、作中で言うならば「こっち側」である我々読者も持っているはずの合理性のズレを対照させられ読み手を試しているかさえ感じた。鳥瞰すれば我々も共通して社会の歯車である。ただその延長線上にコンビニ人間が存在するだけ。なにより狂気じみてんのに納得させられるロジックに畏怖
Posted by ブクログ
150ページちょいの本。
主人公はコンビニでバイトをしている30歳を過ぎた古倉恵子。
恵子は周りと協調がとれない……記載はされてないけど発達障がいだよね。
幼少期、公園で死んでた小鳥を見つけて周りの子はかわいそうと泣く中、恵子は「お父さん焼き鳥好きだから食べよう」
小学校ではクラスの男の子のケンカを止めて!と叫ぶクラスメイトを見てスコップで頭を殴り付ける…
喜怒哀楽の感情が極端に乏しい。
でも家族を悲しませるのはよくないと思い普通になろうと周りを研究し吸収していく。
恵子にとってコンビニの仕事は自分を社会の歯車だと認識させてくれ、社会との繋がりをもたしてくれる場所。
そしてもう1人のサブ主人公とでも言おうか…同じように社会のルールに染まることのできない白羽。
白羽も発達障がいなのかな…恵子の方が重そうだけど…白羽はまだ周りの空気を読めるタイプ。読めたところで適応せずに超絶へ理屈をかますキモい男…
障がいってより、人間関係と童貞こじらせて人のせいと社会のせいにしかできない男に見えるけど…
白羽は恵子とちがい社会から逃げ隠れようとしている…
そんな2人が同棲することに。
たかが同棲で泣いて喜ぶ妹。
仕事をほっぽりだしてまで話題にする店長と同僚。
同い年なのに経験者になんでも聞けと言わんばかりの同級生たち
そしてしばらくすると、ちゃんと就職しないの?結婚しないの?子どもは?
もーーーあり得る話しすぎる。そんなんほっとけや!ってなる。
人間は知恵があるだけ生きにくい。
それだに恵子の最後の決断は気持ちよかったな。
匿名
難しい言葉はひとつもなく、とても読みやすい本でした。読み終わるのも一瞬で、そこまで長い話ではないが、この短い話の中でとても考えさせられるものが多くありました。人生のうちに一度でいいから読んでみてほしい本のひとつだと感じます。
「普通」とは?
普通とは何なんでしょうか
普通に学校に行く?普通に友達を作る?普通に就職する?普通に結婚する?普通に子供を産む?私も様々なことに違和感を感じながら生きてきた人間なのでこの本は非常に面白かったです。
なぜ他人の人生にそこまで関心を持てる人が多いのか、いつも不思議に思います。
私は普通がつまらないです。変なやつでいたい。
きっとまた読み返します。そのくらい好きな本でした。
読みやすいが考えさせられる
読みやすい文章で、忙しい時でもサクッと読めました。
周りと同じでなければいけないという小さいころからの空気に疑問をもつ主人公、
彼女自身の考え方を見て、こういう人もいるのかと、改めて勉強になったと思います。
オンリーワンの大肯定
現代日本の同調圧力による生き辛さを一蹴する好著である。
評価の分かれるラストシーンについては、コンビニバイトの行かず後家である主人公古倉恵子が、他人の目を気にし過ぎず、自分の納得できる生き方に進むことを示唆したもので、オンリーワンの生を大肯定するハッピーエンドと捉えたい。
また、本書はラノベのようにエッジの効いた会話やコンビニを水槽に見立てるなど文芸作品らしい表現技巧に優れ、ぐいぐい惹き込まれつつ読んだ。
一気に読んだ
面白くて夢中になって読んでしまいました。偏った思考だし、共感できるような事はなかったのですが、何故かこちらが救われるような気がしました。
おもしろい
読後の最初の感想は、「今っぽい話だなぁ」でした。
私は小説を頭の中でしっかりと映像化する癖があり、俳優さんや女優さんを当てて読みます。そうすることでより入り込めます。
今回の主人公は黒木華さん、店長は長谷川博己さん、など。
主人公は周りとは少し"違う"という幼少期をすごし、極力自分から何かを発さないように過ごします。
ゆくゆく自分が"違う"部分を治すのではなく、周りの"普通"な人を真似てあたかも同じかのように振る舞い生きていく。
それが非常にスムーズでやりやすいと感じたのが、コンビニ。
"古倉さん"という店員として存在し、幼少期がどうだとか考え方がどうだとか、主人公の感情や生き方など誰も気にしない。
品出し・レジ・掃除など必要とされていることを必要な分こなすという生活を35歳まで、アルバイトのまま、未婚で、続けます。
そもそも、この「誰も気にしない」というのは"普通"の人なら寂しく感じることだろうと思うけれど、主人公はその環境が心地よく感じています。
今まで"違う"ということを押し付けられていたがために、コンビニの一部になれていることに幸福を感じている。
正直、今は社会でもプライベートにまったく介入しないというのがむしろ良しとされる風潮がありますよね。
若者に多いのが
有給を取る理由を言う必要があるか?
恋人の有無を教える必要があるか?
オンライン会議では部屋を映さない とか。
何かとハラスメントでネーミングされます。
主人公のと訳が違うのは大前提ですが、
「迷惑をかけているわけではないのだから放っておいてくれ」というのは、今っぽいですよね。
白羽は迷惑かけまくってましたけど。
といった感じで、そのリアルな社会の感じが気分を暗くさせます。
それだけ入り込めるということだと思います。
いくらでも書けそうなので強引に締めました。
あと書いておきたかったのは途中で一瞬出てきた"主人公の成れの果て"の男性です。
お客の癖に商品を整理したり客の列を正したり。
白羽に促されるまま就職してしまったら、ああなっていた。
だから主人公の判断は正解で、ハッピーエンドだと思います。
読みやすくて
一気に読みました。発達障害者と思われる人物がコンビニで有能なバイトとして働く様子、ラストの決断に、ロッカーや正社員のふりなどは非常識な行為ではありますが、社会に大きな迷惑をかけるでもなく、この主人公がいきいきと輝ける場所があることを嬉しく思いました。
面白かった
面白かったです。
ただ、この話をどうとらえたら良いのかは難しいですね。
読んだひとそれぞれに思うところがあるでしょう。
良いとか悪いとかの話ではないでし。
ともかく、できるだけ多くのひとが下記のことに気づいて欲しいものです。
絶対的な善悪は存在しないこと。
生きることに意味は存在しないこと。
人間の行動はすべて自分のためであること。
(人のためにしていることであっても、
その人が心のそこから相手のためだと思っていたとしても)
世界中の人間はすべて別の生き物だということ。
悲哀を拒否している
アプローチが違えば、もう少し掘り下げられる気がする、
と読後に最初は考えた。
あまり異常な人の、突飛な行動で脚色して読者が面白がる作り方(構造)は、
これみよがしで共感も得がたく嫌だな、と思ったが、
深く考えてみると、演出や脚色が大袈裟なだけで、
こんな人はいくらでもいるのではないか、とも後で思った。
私の身近な職場にもずっとフリーターで生きている40歳オーバーが何人かいるわけで。
ただ、作者はそういう人を描きたいわけでなくて、
どちらかというと描きたかったのは、
主人公(多分作者の内面の一部)のある種の純粋さ(短絡的傾向)だと思う。
つまり、何がいけないの? と。
『主人公は』普通でありたいだけなのに、と。
間違ったことは何も言っていないと。
言ってしまえば、主人公はただすごく真面目に働いていて、
すごく真面目に質素な生活をしているだけの人ですよね。
ずるさもなく、欲もない。誰も傷付けない。周りが理解できないだけ。
肉親が哀しめば、合わせようとさえする。
独り身が悪いわけがないわけで。
それが、パブリックとプライベートの切り分けをして生きている世間の人たちからすると、
残念ながら受け容れられず浮いてしまう。
ただし、そのへんを悲哀に持っていかないのは、
作家としてそういった視点をもしかしたら
拒否しているのかもしれない。
言い換えれば、それは怒りではないかな。
やっぱり間違ったことは何もしていないわけですよ。
結婚なんて、したい人がすればいいわけで(私は妻子がいますが)。
それらを考えると、作者が主人公をかなりの変人のように描いたのは、
ある種の皮肉かもしれませんね。
そこまで考えると、大変良作だと思います。
私も作者と同じく、個性と言いながら異質なものを平均化しようとする世間は嫌いですね。
人間らしさってなんだろうと思う
人間らしさってなんだろうと考えさせられる作品。人の目をつい気にしてしまう人にはとても刺さると思います。題材は結構重いが、結構サクサク読めます。おススメです。
まさか、こんな内容とは
芥川賞を受賞した作品として知ってはいましたが、題名からライトな内容だと思い込んでいました。
誰かの普通は誰かの普通じゃない、そんなの当たり前だと思っていたけど、それこそ普通じゃないのだと思い知らされた感じです。
2人以上人が群れると、時として怖くなる。
普通圧力か…
深呼吸ができる場所で暮らしたいし、一緒にいる人には深呼吸させてあげられる人になりたいです。
Posted by ブクログ
マニュアルがない人生の正しい生き方が分からず、36歳でコンビニのアルバイトしか職歴がなく、彼氏もいない恵子。そんな彼女にとって、従うべきマニュアルが完備されたコンビニはこの生きづらい社会の中で唯一自分が「普通」として生きていける場所なのだろうと思います。異物を排除しようとする社会から弾き出されないようにコンビニ店員であろうとする恵子の姿に、普通であろうとする息苦しさを感じました。
Posted by ブクログ
すごいサクサクよめた以前呼んだ時はなにも話がわからなかったのに今ではすごく分かった
白羽さんだったり、部屋の様子の描写とかが結構リアルすぎて鳥肌もん
Posted by ブクログ
主人公の感性がおもしろい。コンビニの一部とか、話し方が周りに影響されているとか。恋愛に関しては全く理解できないし、本気で言ってるのがこわかった。
Posted by ブクログ
すごく面白くて一気に読んだ。
社会に適応できない主人公が、自分なりに「普通とは何か」を考えて生きていく話。
ただ、終り方としては結局救われなかった感がすごいから、バッドエンド寄りなのかなと思う。
Posted by ブクログ
なんとも独特な作品。
が、しかしそれほど変な感じもしない。
おそらく、主人公にとっての普通が世の中の普通でないってことは明白だけど、
私個人としては、ありな生き方だなって思えてしまう。
やりたいことがない、やれないと言ったほうが正しいかもしれないけれども、そのコミュニティの中で価値を出しながら、熱中し充実してると自分自身が思えるならいいんじゃないって思う。
ページ数もそんなに多くないし、とても読みやすい本でした。
Posted by ブクログ
『コンビニ人間』は、「社会」という枠組みの中で生きることの息苦しさや焦りを鋭く描いた作品だと感じた。私は普段から、社会の求める「普通」や「正解」に合わせて生きていくことに強い窮屈さを感じているため、物語の根底に流れる違和感に深く共感した。
作中に登場する主人公と白羽は、どちらも社会の枠組みから外れた「あちら側」の人間として描かれている。しかし、二人の生き方は対照的だと感じた。主人公は、人間社会そのものには適応できないものの、「コンビニ店員」という明確な役割に自分を当てはめることで、生きる理由と居場所を獲得している。一方、白羽は社会に対して強い理想や期待を持ち続け、その枠組みに適応しようとするがゆえに、かえって追い詰められていく。この対比が非常に印象的であり、「社会に適応する」とはどういうことなのかを考えさせられた。
読み始めた当初、主人公はどこか異質で「おかしな存在」に思えた。しかし読み進めるにつれて、共感できる部分が増え、次第にこれは自分自身の話なのではないかという感覚に陥った。もちろん、主人公の価値観や感受性すべてに共感できるわけではない。それでも、この社会で生きていく上で、誰しもが多少なりとも仮面を被り、上辺だけで人と接しながらやり過ごしている場面があるのではないかと感じた。
私自身も、外の世界では仮面を被って生きていると感じているし、時には家族の前でさえ仮面が必要だと思うことがある。『コンビニ人間』は、そうした生きづらさを「異常」と切り捨てるのではなく、社会そのものの在り方を問い返す作品だった。読み終えた後、主人公の生き方を肯定するか否かではなく、「自分はどの枠組みに、どの程度自分を合わせて生きているのか」を考えさせられた。
Posted by ブクログ
主人公は一般社会の中で見たら周りから変に見えるかもしれないが、このような人がいるのは理解できるし、型にハマるのがその人にとってやりやすいことがあるというような、共感できる部分も多々ありとても面白い本でした。
Posted by ブクログ
面白かった。社会から隔絶されている気持ちになる時もあるし、自分も社会だと感じる時もある。働くことをちょっと楽しめるかもしれない。読み終わるまで2時間くらいだったと思う。
Posted by ブクログ
この世が生きづらい人が、必要とされたいという思いから、役割に囚われ悪化していく話
わかってもらいたいだけなのに、周りと違うというだけで敬遠される悲しさ
Posted by ブクログ
これほど読後感が最悪な小説は初めて。
胸糞で救いはなく、正直嫌い。
ただこれほど感情を揺さぶられるのは良い本である証拠だと思う、、
いわゆる普通である人間などいるのか?
自分も異常だと思ってるとこあって、普通でありたい/いなきゃ みたいな強迫観念はある。人付き合いとかも普通であろうと無意識にしちゃうし。
それを痛烈に突かれた感じなのかも
Posted by ブクログ
わたしも普通じゃないってよく言われるけど、じゃあ普通ってなんだろうな〜と考えながら読んだ。それも主人公がコンビニだけでは「普通」でいられたように、わたしもどこかのコミュニティでは普通で、どこかのシチュエーションでは異物なんだろうな。だれが普通を決めて、異物を「受け入れる」ことを選んでるんだろうなー
Posted by ブクログ
読み終わると、ある種ヒーローのもののオリジンみたいに思えてきた。主人公は立派だと感じたし、共感する事も結構あった。
ホラーっぽく感じるも、主人公としては完全にハッピーエンドだ。甥っ子への心情を考えると、子どもを作らない選択は正解かな...(それでも、白羽の義妹は失礼過ぎるけど)
白羽がかなり不快なのに、出番多くてゲンナリ。一部言う事に理解は出来るけど、他人の見下し具合や女性蔑視はダメだ。でもリアルにいるんだよなこういう人...。
普通の登場人物は1人もいなかった様に思える。普通ってなんだろうね。
Posted by ブクログ
「普通」についての物語。自身は主人公に近いところがあるかもしれない。あちら側として。でも、「自身は違う」と心で叫びながら読んでいたかもしれない。物語だと思って距離を置いて読んでいが、たまたま主人公にとって「コンビニ」だっただけで、自身にとっては「勤めている会社」がある種の隠れ蓑的になってはないかと思ったらヒヤッとした。仕事で一時期ご一緒した文学関係の方々が、村田沙耶香作品を称賛していたような記憶があって手に取った。巻末の解説が中村文則さんというのも乙な感じ。
Posted by ブクログ
きっと多くの人が、自分の「コンビニ」の中で、誰かに合わせて愛想笑いをしたり、共感した(フリをした)り、その場にふさわしい「私」を演じたり、流行りの服を着て曖昧にやり過ごして生きている。この物語の主人公のように特別意識せずとも、それがこの世界を生き抜く術だと心得ている。改めてムズカシク考える必要なんてないのだ。そしてその大多数の人たちにとって「コンビニ」はひとつではない。「私」は一日の中でくるくると変化する。
作中説明はないので想像でしかないけれど、脳の発達過程での問題を抱え、そのために思考が大多数とはズレてしまうのだと思われる主人公。彼女の「コンビニ」はひとつだけ。失敗を重ねながら作られるマニュアルは彼女の生命線。家族相手にも、自分のことばで話すことを諦めている。
これってどちらがより生きづらいのだろう。
どちらも息苦しいよな。しんどい。
1時間で読み終えた本のことを、何日も何日も考えた。
ものすごく極端に描かれてはいるけれど、この世界のリアル。
作者の深い洞察力と、感覚的な描写の迫力。対して感情的な部分は全体的にぼんやりとぼやかしながらの、白羽の激しさと繊細さと矛盾。その不調和に飲みこまれてしまいそうな作品だった。
結末だけはどうもスッキリしない。せめて、一度抜け出してみてだめならまた戻ればいいんじゃない?と言ってしまいたくなるけれど、それも白羽の言う他人の人生への干渉(強姦)なのかしら。
ワタシもアノヒトもみーんな、別の誰かにとっては異物。
それなのに異物を排除する正義に陶酔する憐れなイキモノ。
「普通」というマヤカシは、安心感を得るためのお宝ツール。
生きるって修行。
"他を嘲るものは同時にまた他に嘲られることを恐れるものである" (芥川龍之介『侏儒の言葉』)
Posted by ブクログ
村田沙耶香さんの作品、初読みです!
2025年初作家、59人目です。
芥川賞を取った作品で、作品も作家さんも有名だけど、読んだことがなかったんですよね〜。
読みにくいのかなぁとか思っていましたが、めっちゃ読みやすかったですね!
普通とは何か?普通に生きられない人は疎外されなきゃならないのか?
主人公はアルバイトとはいえ、ちゃんと仕事をして一人暮らしもしてるんだし、いいんじゃないのって思っちゃいました。
白羽はシェアハウスの家賃は踏み倒すし、気に入った女性にストーカーするし、仕事はサボるし、真面目に働いている人をバカにするし、悪いと思うけど。
もっと深く読まないとダメなのかなぁ(^^;;
考えさせられた
普段全く読まない小説、純文学でしたが、とても読みやすかったです。社会、普通、異質、圧力…すっと全身に入ってきて理解が広がっていくようでした。主人公に今の自分が重なって、胸が苦しくなりました。
匿名
社会が求める「普通」という名のコードとの距離感の問題はある人にとっては問題とも認識されず、またある人は完全にそれに同化してそのコードを拡大再生産する尖兵ともなり得るが、本作の主人公にとってはそれは対象として認識は出来つつもそのようには振る舞えない。一方で「コンビニ店員」としてのコードは完璧に振る舞うことができる。対して白羽にとってそのコードは自身を攻撃してくるのもでしかなく、と同時にそのコードを使って他者を攻撃してもいる。矛盾しているようでいて実際にはこのような人は多く見かける。
コンビニの他の従業員や地元の旧友、そして主人公の妹などは、彼らの価値体系(と言ってもそれは彼ら自身の頭で作り出されたものではなく社会が求める普通という規範であるが)からすると理解不能な主人公を、自身の理解可能な地平に持ってきてジャッジしようとする。そして「叱って」異物を排除して、内部の、「こちら側」の結束を固めようとする。
理解不可能なものを理解不可能なものとして理解する知性は多くの人には無いのだ。
普通って何?
個性が強すぎると敬遠され普通じゃないと言われ淘汰されていく。主人公は妹に助言を求め普通の人間に近づこうと外見や話し方を変えていく。そうしないと生きていけない。ただただコンビニの仕事に24時間精神も縛られてないと崩れてしまう。
毎回縄文時代を語る白羽さんとの出合いは彼女にとって普通になれる事だったのか?社会不適合者だったかも知れない彼女がコンビニ店員に身を置くことで社会の歯車に成れたと感じられればこれからも頑張れるのだろう。普通とは?と考えさせる一冊でした。
想像の斜め上をいく展開
友達に薦められ、書評を読んでから購入しました。
ありきたりの人間の苦渋を描いたストーリーかと思いきや、想像の斜め上をいく展開に驚きながら一気読みしてしまいました。
色々な人の生き方。これからの社会の多様性のあり方を考えさせられました。
普通という脅迫
知らずのうちに普通を演じ普通を強要している社会で主人公はコンビニというパッケージされた社会の歯車の中で生きていて、
主人公は結局、普通を消化してしまったのかしら。
それとも選び取った選択だったのかしら。
最後に賛否が分かれるけども、その意味を考えてしまうわねー。
せつない
コンビニ人間って何?
と思い興味本意で読んでみました。
現代の若者の象徴である就職難民からのコンビニバイト。
自分の娘や孫もそうなる可能性はゼロではないと思うと切なく、この様な社会にしてしまった大人達に是非読んで欲しいと思いました。
Posted by ブクログ
気持ちが分かるような気もするが、なんだろう不思議な本。家事に合わせて、短めなこちらをオーディブル。大久保佳代子さんの朗読は聞きやすく、オーディブルだから最後まで聞けたけど、他の本でも良かったな、って感じ。最後、自分は人間ではなくコンビニ店員という生物である、ということにたどりついたのは、これからも生きていく上で良かったことだと思う。なんでもいい、人に分かってもらえなくてもいい、自分の生きる意味は大切にすべき。
Posted by ブクログ
コンビニ店員の女性が主人公。
主人公は、人間としての正しい生き方がわからない。コンビニ店員のアルバイトを通して、「人間らしい生き方」を模索する話。
Posted by ブクログ
社会に馴染めなくても、コンビニという狭い空間の中に、仮面をつけることで社会に適応する主人公。
理想が高く、社会に馴染めないのは自分のせいではなく社会のせいだという白羽。
2人の生き方が対照的に描かれている。
最初は狂気に満ちていると言っても過言ではない主人公の生き方に全く共感出来なかったが、人の生き方は人それぞれであり、何が幸福であるかも他人が決めることでは無いという考え方を持つようになった。
Posted by ブクログ
所謂「純文学」に括られる作品って自分の感性がそれ用に磨かれていないからか、評価が難しい。
この本も「面白い」とか「楽しかった」では無く、「興味深い」という感想が適している。
テーマとしてはネット等を見る限り「普通とは何か?」。
確かに、個人的な視点で端的に言うと、この作品の主人公は普通ではない。
泣いている姪の姿を見た後に、ケーキ用のナイフを見て、「静かにさせるだけなら簡単」と感じたり、妹が主人公の生き方に嘆いているときに、手持ち無沙汰だからプリンを食べ始める等の行為は、少し人間離れした、そこはかとない恐怖を感じた。
しかし、本作はその主人公目線の一人称で書かれる為、「普通」とされている主人公に関わる人物達の狂気性がかなり目立つように描かれている。
主人公に交際相手がいると分かった瞬間は「気持ち悪い」という生理的嫌悪感すら感じた。
交際相手となる白羽も主人公やそれ以外の人物達とは異なる「ヤバいやつ」という立ち位置で出てくる。
この主人公、白羽、それ以外という、それぞれ「普通」が違う人間が、読者目線だと全員狂っているように感じた。
文学作品のレビューとしては綺麗ではないが、この作品のテーマ「普通とは何か?」だが、個人的には「そもそも、『普通』と『それ以外』二分化って正しいのか?」というテーマの方がしっくりくる。
そう言う意味で、この本は本当に興味深い一冊だった。
ちなみに、解説ページに書かれていた、「主人公の唐揚げに対する扱いと時系列」はマジでビビった。
Posted by ブクログ
私が思っている普通とは違う考え方をする主人公。
マニュアルがしっかりある仕事を好むところとか少し共感した。主人公はコンビニ店員として優秀すぎるし。
白羽には一切共感とかしなかった。ただの怠け者にしか思えなかった。
Posted by ブクログ
感想を言葉にするのが難しい不思議な読後感。
こんな人本当にいるのかな?発達障害の人ってこんな感じの思考なのかな?と考えさせられる話。
短いので読みやすかった。butterもしかり、『社会ってこうだよね』系の小説はあまりピンとこないことが分かった。
Posted by ブクログ
現在では発達障害といわれるであろう主人公と、アルバイト先のコンビニの中での人間模様のお話。主人公より白羽のその後が不安。苦笑
10年近く前のお話だけど、今コンビニ人間のお話が生まれていたら、また違った価値観のお話が生まれそう。
個人的に続編読んでみたいなぁ。【再読】
シュールすぎる
コンビニ人間って比喩でも何でもなくてそのまんまコンビニの為に生きる人間だった。でも自分も周りの話し方を真似したり影響されたりしてるから共感。
SF?それともサスペンス?読後感がとても後味が悪く、それが良い意味で面白かったです。
のほほんとしたコンビニでの日常小説かな?と、気軽な気持ちで読み始めたことを後悔しつつ、最後まで一気に読み終えてしまいました。
まず読み始めて、主人公は発達障害の傾向が強いなと思いました。
私自身ASDの診断を受けており、主人公には共感する部分が多い、というよりも、私が書いた日記を読んでいるかのような感覚でした。
作中で、主人公が妹に「いつになったら治るのか」「どうすれば普通になるのか」というように責められる場面があります。それに対する「指示をくれれば私はどうだっていい。ちゃんと的確に教えてよ」という主人公の言葉は、まさに私の主張そのものでした。主人公や私のような人間は、周りの要望に応えるためにわざわざ行動しようとしているというのに、一体どうして具体的な改善案を出してくれないのでしょうか。こちらが歩み寄ろうとしているのに、一方的に糾弾してくるなんて、どう考えても非があるのはあちらではないのでしょうか。
自分自身のモヤモヤが物語になった、というような作品で、共感は得られましたが、感動や新たな発見はありませんでした。
主人公がアスペルガー だとは書いていませんが、読み手によってはアスペルガーであるだろうと想像させて読ませてしまうところが、実際アスペルガーの人がいる中で生活している、もしくは家族や自分自身がアスペルガーである場合、評価というか読んだ感想や気持ちが大きく変わってくる作品だと思います。
小説というのはあくまで一人の人間、個人の思想を文字にするというものであるからこそ、それが全てではないということも含めて読むのでしょうが。
ここで描かれる普通や、主人公が紛れようとする普通や、登場する全ての人が目指す普通は日本独特の普通である部分も多く、人間世界に共通していえる普通もあり、日本の普通はどこかの国では普通ではない、アスペルガー だろうがなんだろうがここで書かれている皆が目指す普通のことは、ある人にとっては普通であっても、普通どころか君達は何に洗脳されてるのだと異様に感じる人もいるのも事実なので、普通を押し付けようとするシーンでのやりとりなどは、小さな世界感で独特で読んでいて気味が悪かった。カルト集団の小さな世界にも感じる。
この世界は広くて、どこかの空間では普通で当たり前になっているけど、どこかの空間では普通ではなく、当たり前じゃないことがある、人間は視野が狭くなると怖いなと感じ、気味悪さや生きづらさが伝わる作品です。
しかしながら、貧困という問題は個人の責任ではなく国をあげて取り組むべきことだと考えさせられます。こんなに真面目に一生懸命、天職を見付けて輝いて働いているにもかかわらず、人生の一生を保証されないなんて悔しいばかり。
コンビニのマニュアルは、軍隊の規律の中にいるようでさえあり、厳しいですね、怖いですね。
こんなに厳しい毎日なのに、一生懸命働いても保証されないのですね。料金支払い、荷物の受け渡し、毎日の食事まで。街の人々の為に、24時間手厚くおもてなしをしているのに、街の人のために動いてくれるはずの役所の窓口は態度が悪くても許されて、コンビニ店員は態度が悪いと社会の悪になってしまうのですね。