あらすじ
「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
累計92万部突破&20カ国語に翻訳決定。
世界各国でベストセラーの話題の書。
解説・中村文則
コンビニのアルバイトとして18年働く、独身女性の古倉恵子36歳。
週5でシフトに入り、勤務態度はマニュアル通りの”正しい”対応。
店長から重宝され、同僚ともうまくやっている、はずでした。
新入りのアルバイトが入ってくるまでは…。
かく言う私もコンビニ店員として4年間働いていました。
正社員、歳の近い学生アルバイト、日中に働く40代の主婦、未婚(恐らく)の30歳以上の謎の人。
日本社会の縮図かと思えるほど様々な人がいますが、それぞれ自分の価値観で相手をみていて、
「自分こそが主人公」だと思っているはず。
本作は、「コンビニ店員である自分こそが、普通で正しい主人公」と考える恵子の主観が鮮明に描かれています。
「なぜコンビニ店員なのか」。これが神髄だと思います。
目まぐるしく変わる衝撃展開に魅了されたいあなたも、
世の中の“普通”について考えを深めたいあなたも、
1~2時間でサクッと本を読みたいあなたも。
世界各国で読まれていることからも、作品の魅力は語るに及ばずですが、
皆様に1度は読んでいただきたい名作です。
感情タグBEST3
共感しかない
冒頭から難しい描写が一切なく、
全ての言葉、文章が読みこめ、コンビニで働く自分を見ているようでした。
幼少期から周りと同じでなければいけないという
呪縛、皆と違うと変わった人と思われ、削除される「村社会」をストレートに描かれています。自分の思いを発言し皆に驚かれる描写は、私自身がいつも感じている違和感を具現化してくれました。ストーリーもこちら側の人間には「わかるわかる」と頷ける事ばかりで、普通に生きている人には衝撃かもしれません。賞を取るにふさわしい作品でした。1時間で完読しました。
すごい!
普段読書などはしませんが、何かでおすすめされていて気になって読んでみました。
そんな自分にもスラスラと読めて、とても楽しめる作品でした。
そしてたまには読書もいいなと思えさせてくれました!
Posted by ブクログ
芥川賞と言う事で少し先入観があったけど、蓋を開けてみればエンターテイメントとして最高に面白かった。
テーマについては比較的直球で語ってくるし、やるせない気持ちにもなったし考えさせられる事も多かったけど、終わり方も含めて大好きだ。
Posted by ブクログ
友人から勧められて手に取った1冊。
描写がとても上手く、コンビニエンスストアがあたかも呼吸をし息づく生き物であるかのように感じた。
テセウスの船のパラドックスというものがあるが、これはコンビニでも成り立つんだ、という新しい発見を得た。
短編でありながら、とても奥が深い1冊。
ぜひ他の方にも読んでいただきたい。
Posted by ブクログ
タイトルが気になり読んでみた。
「お姉ちゃんはどうしたら治るの?」
治るってなんだろう。普通って何?
「誰か止めてー!」と言われたからスコップで殴って止めた。それが一番早く止められると思ったから。やり方はさておき、確かにと納得してしてしまった。
自分を出さなければ周りに迷惑をかけないからと、自分を出さなくなる主人公。
周りに合わせ、コンビニ色に染まり、誰にも迷惑をかけずに(なんならとっても優秀な職業人!)なのに、就職か結婚しないのはおかしいと言われ。なぜしないのかと聞かれ続け。プライバシーを強姦。
人間は共感の生き物なのかな。異物は排除。怖い怖い。
Posted by ブクログ
2016年の芥川賞受賞作で、タイトルの不思議さと奇抜な装丁に惹かれた。
自分は変人(異物)ではなく『普通』で『正常』な人間として、社会や周囲と関わりたいと願う主人公が、なぜかひたすら奇妙でズレている言動ばかりするので、謎の中毒性があり面白い作品だった!!
Posted by ブクログ
生きている場面で「普通」を社会から求められる圧力はかなりあるし、それに伴って重責や不安を抱かされる場面も多い。主人公の古倉もこのような「普通圧力」を周囲から受けるのだが、ここで古倉が「普通でないと判断される要因を体裁だけでも排除したら問題無いのでは?」と気づき、周囲もその古倉の思惑通りに「普通」の一部となったと歓迎する。しかし、古倉が欲しかったのは「普通」になる事では無かった。
この小説を読んだ感想は恐らく二分されるのではないかと思う。主人公に共感できるかできないか。自分は物凄く共感出来たと同時に、ここまでドライに社会を、自分を俯瞰で見て生きることが出来るか?とも考えさせられた。表面上では適応出来ているだけ、古倉はまだマシなのだろうか?それとも、そこからいっそのこと零れ落ちた方が楽だったのか?
「普通」という論理を振り翳して安全圏から他者を裁く社会を描く名著。一生忘れることがないだろう。
Posted by ブクログ
「多様性」だなんだと言われる中で、結局は社会の「普通」が基準となり、あくまでも「普通」か「普通ではいか」に二分されているように思う。
それは「人間」の社会においては共通であり、だからこそたくさんの国で読まれているのだろう。
自分自身、今までどちらかというと変人だね、と言われてきたし、自分でも「普通」の生き方ができていないような気がしている真っ只中だ。
共感しながらこの作品を読めてしまったのがその証拠だと思う。
主人公は、「人間」の「普通」を目指すことどころか、「人間」であることを捨て、「コンビニ店員」として生きることを選んだ。
これはハッピーエンドでもあるが、やはり「人間」の「普通」を捨てきれない読み手としては不気味なエンドだとも思った。
Posted by ブクログ
普通とは何かについて考えさせられた。
結婚して子供を産んだり、ちゃんと就職しないと「異物」として見られる世界。
主人公は生まれながら変わった性格だが、真っ直ぐで好きだった⋆˙⟡
匿名
難しい言葉はひとつもなく、とても読みやすい本でした。読み終わるのも一瞬で、そこまで長い話ではないが、この短い話の中でとても考えさせられるものが多くありました。人生のうちに一度でいいから読んでみてほしい本のひとつだと感じます。
Posted by ブクログ
読後に胃のあたりが重くなる感じ、わかる。
『コンビニ人間』は、優しい物語というより
“社会の型”をぐっと押し当てられる感覚があるから、
タイミングによっては本当にしんどい。
自分がなんで胸糞悪いのかが、知りたい。
・物語の空気が合わなかった?
・登場人物の言動がきつかった?
・自分のどこかをえぐられた感じ?
きっとどれも、どれもちがう。迷いがなく生きてる姿に嫉妬したんだ
「普通」とは?
普通とは何なんでしょうか
普通に学校に行く?普通に友達を作る?普通に就職する?普通に結婚する?普通に子供を産む?私も様々なことに違和感を感じながら生きてきた人間なのでこの本は非常に面白かったです。
なぜ他人の人生にそこまで関心を持てる人が多いのか、いつも不思議に思います。
私は普通がつまらないです。変なやつでいたい。
きっとまた読み返します。そのくらい好きな本でした。
読みやすいが考えさせられる
読みやすい文章で、忙しい時でもサクッと読めました。
周りと同じでなければいけないという小さいころからの空気に疑問をもつ主人公、
彼女自身の考え方を見て、こういう人もいるのかと、改めて勉強になったと思います。
オンリーワンの大肯定
現代日本の同調圧力による生き辛さを一蹴する好著である。
評価の分かれるラストシーンについては、コンビニバイトの行かず後家である主人公古倉恵子が、他人の目を気にし過ぎず、自分の納得できる生き方に進むことを示唆したもので、オンリーワンの生を大肯定するハッピーエンドと捉えたい。
また、本書はラノベのようにエッジの効いた会話やコンビニを水槽に見立てるなど文芸作品らしい表現技巧に優れ、ぐいぐい惹き込まれつつ読んだ。
一気に読んだ
面白くて夢中になって読んでしまいました。偏った思考だし、共感できるような事はなかったのですが、何故かこちらが救われるような気がしました。
おもしろい
読後の最初の感想は、「今っぽい話だなぁ」でした。
私は小説を頭の中でしっかりと映像化する癖があり、俳優さんや女優さんを当てて読みます。そうすることでより入り込めます。
今回の主人公は黒木華さん、店長は長谷川博己さん、など。
主人公は周りとは少し"違う"という幼少期をすごし、極力自分から何かを発さないように過ごします。
ゆくゆく自分が"違う"部分を治すのではなく、周りの"普通"な人を真似てあたかも同じかのように振る舞い生きていく。
それが非常にスムーズでやりやすいと感じたのが、コンビニ。
"古倉さん"という店員として存在し、幼少期がどうだとか考え方がどうだとか、主人公の感情や生き方など誰も気にしない。
品出し・レジ・掃除など必要とされていることを必要な分こなすという生活を35歳まで、アルバイトのまま、未婚で、続けます。
そもそも、この「誰も気にしない」というのは"普通"の人なら寂しく感じることだろうと思うけれど、主人公はその環境が心地よく感じています。
今まで"違う"ということを押し付けられていたがために、コンビニの一部になれていることに幸福を感じている。
正直、今は社会でもプライベートにまったく介入しないというのがむしろ良しとされる風潮がありますよね。
若者に多いのが
有給を取る理由を言う必要があるか?
恋人の有無を教える必要があるか?
オンライン会議では部屋を映さない とか。
何かとハラスメントでネーミングされます。
主人公のと訳が違うのは大前提ですが、
「迷惑をかけているわけではないのだから放っておいてくれ」というのは、今っぽいですよね。
白羽は迷惑かけまくってましたけど。
といった感じで、そのリアルな社会の感じが気分を暗くさせます。
それだけ入り込めるということだと思います。
いくらでも書けそうなので強引に締めました。
あと書いておきたかったのは途中で一瞬出てきた"主人公の成れの果て"の男性です。
お客の癖に商品を整理したり客の列を正したり。
白羽に促されるまま就職してしまったら、ああなっていた。
だから主人公の判断は正解で、ハッピーエンドだと思います。
読みやすくて
一気に読みました。発達障害者と思われる人物がコンビニで有能なバイトとして働く様子、ラストの決断に、ロッカーや正社員のふりなどは非常識な行為ではありますが、社会に大きな迷惑をかけるでもなく、この主人公がいきいきと輝ける場所があることを嬉しく思いました。
面白かった
面白かったです。
ただ、この話をどうとらえたら良いのかは難しいですね。
読んだひとそれぞれに思うところがあるでしょう。
良いとか悪いとかの話ではないでし。
ともかく、できるだけ多くのひとが下記のことに気づいて欲しいものです。
絶対的な善悪は存在しないこと。
生きることに意味は存在しないこと。
人間の行動はすべて自分のためであること。
(人のためにしていることであっても、
その人が心のそこから相手のためだと思っていたとしても)
世界中の人間はすべて別の生き物だということ。
悲哀を拒否している
アプローチが違えば、もう少し掘り下げられる気がする、
と読後に最初は考えた。
あまり異常な人の、突飛な行動で脚色して読者が面白がる作り方(構造)は、
これみよがしで共感も得がたく嫌だな、と思ったが、
深く考えてみると、演出や脚色が大袈裟なだけで、
こんな人はいくらでもいるのではないか、とも後で思った。
私の身近な職場にもずっとフリーターで生きている40歳オーバーが何人かいるわけで。
ただ、作者はそういう人を描きたいわけでなくて、
どちらかというと描きたかったのは、
主人公(多分作者の内面の一部)のある種の純粋さ(短絡的傾向)だと思う。
つまり、何がいけないの? と。
『主人公は』普通でありたいだけなのに、と。
間違ったことは何も言っていないと。
言ってしまえば、主人公はただすごく真面目に働いていて、
すごく真面目に質素な生活をしているだけの人ですよね。
ずるさもなく、欲もない。誰も傷付けない。周りが理解できないだけ。
肉親が哀しめば、合わせようとさえする。
独り身が悪いわけがないわけで。
それが、パブリックとプライベートの切り分けをして生きている世間の人たちからすると、
残念ながら受け容れられず浮いてしまう。
ただし、そのへんを悲哀に持っていかないのは、
作家としてそういった視点をもしかしたら
拒否しているのかもしれない。
言い換えれば、それは怒りではないかな。
やっぱり間違ったことは何もしていないわけですよ。
結婚なんて、したい人がすればいいわけで(私は妻子がいますが)。
それらを考えると、作者が主人公をかなりの変人のように描いたのは、
ある種の皮肉かもしれませんね。
そこまで考えると、大変良作だと思います。
私も作者と同じく、個性と言いながら異質なものを平均化しようとする世間は嫌いですね。
人間らしさってなんだろうと思う
人間らしさってなんだろうと考えさせられる作品。人の目をつい気にしてしまう人にはとても刺さると思います。題材は結構重いが、結構サクサク読めます。おススメです。
まさか、こんな内容とは
芥川賞を受賞した作品として知ってはいましたが、題名からライトな内容だと思い込んでいました。
誰かの普通は誰かの普通じゃない、そんなの当たり前だと思っていたけど、それこそ普通じゃないのだと思い知らされた感じです。
2人以上人が群れると、時として怖くなる。
普通圧力か…
深呼吸ができる場所で暮らしたいし、一緒にいる人には深呼吸させてあげられる人になりたいです。
Posted by ブクログ
シリアスな問題をユーモラスに描いていて、面白かった。
一番笑ったのは、白羽さんのご飯を“エサ”と呼んでいるところ。笑
食事さえも「機能維持のための燃料」でしかない彼女の徹底ぶりが、最高にシュール。
物語の根底にあるのは、
資本主義という“村”の中に溶け込めない人間への、冷たい眼差し。
白羽さんの、ネットの悪いところを煮詰めたような思想。
キモいけれど、そういう思想だって実在する人間のリアルな本音なんだと感じる。
本人たちだって、ある意味でその“村”の論理に苦しんでいる。
主人公の恵子はASDなのかな、とも思った。
でも、彼女はマニュアルを通して世界と繋がり、最後に、誰かに決められた「普通」ではない自分だけの答えを見つけ出す。
彼女が下した決断の先には、歪な社会の中でも、案外幸せになれる道が続いている気がした。
Posted by ブクログ
著者:村田沙耶香
作品:コンビニ人間
内容を一言で表すなら、「マニュアル化される幸せ」だ。
この本を読み終えたとき、私は仕事のプレッシャーからふっと解放された気がした。
目標達成に向けて日々PDCAを回し、価値を出し続けなければならないという焦り。その中でこの作品に触れたことは、ある種のセラピーだった。
主人公にとって、マニュアルに沿って生きることは「唯一、生きていける方法」だ。
その姿は人間活動をどこか非人間化し、サイボーグのようにも見える。異様だと感じる人もいるだろう。
けれど私には、それがむしろとてもシンプルで合理的な生存戦略に思えた。
現代社会における成長至上主義への、静かなアンチテーゼのようにも感じられた。
村田沙耶香さんの魅力は、目の前の現実を冷静にすくい上げ、その事象に独自の解釈を差し込む視点にあると思う。
その視点は時に鋭すぎて、ページをめくる手が止まることもある。けれど同時に、日々感じている小さな違和感を肯定してくれる瞬間もある。
この作品は、今の私にとって必要な一冊だった。
Posted by ブクログ
同じ景色を違う角度からみているだけなのに、同じ景色が見えてない。それは相手の見てるものを見ようとしないから。
見ようとすれば見えるのに、見えたものが気に入らないから見ようとしない人と、見えるものなら見たいのに、どうしても見えないから見ようとしない人。
この2人が繋がれるのは、多くの人とは立ってる場所が違うという、虚しさの共有だけであって、ひとりぼっちじゃないってことの幸せでは、繋がれないと思う。
Posted by ブクログ
2026/02/24-2026/03/01
苦しくて、急いで読み切りたくなった本に出会ったのは、はじめてかもしれない。
読み出しは、本当に面白く、鮮やかさすら感じていた。その理由が、主人公の思考回路や感覚に私自身に共感できるところがたまにあったからだ。
人に対する感覚的な描写などが、好感が持てた。社会は蠢いていて、ちょっと変で厄介。もっと構造化すると、複雑さってたまに解決することがあるのにな、と思う。また、主人公自身がコンビニに感じている「安心感」が、すごく良いと思った。私にとってそれは、知識や社会学的なラベルだったりする。自分の生きづらさや不安感、なんか人と違うっぽいな、を「すでに社会に存在している言葉」でコーティングすると、とても安心するのだ。この安心は、「正解」を求めるのとは少し違っていて、私という人間の生き方は変えられるモノではないので、適応できそうなものを探す、に近い。主人公にとってのコンビニと、私にとってのすでに社会に存在している言葉は似ていると、そう思ったのだ。
しかし、読み進めていくうちに、適応の報告性や人間への興味関心、生や人生への執着度合いによって、同じような性質を持っているのに、こんなにも違うのか、と思ってしまった。これは、少し似ているところがあるかも、と思っていた主人公を私が「異常」だと見ていることの明確な表れだった。
彼女の人生や生への無機質さと、コンビニという無機質な場所への激しい祈りや信仰心は苦しい。そこに立った時の人生が動き出した鮮やかさや、彼女が「生」を感じる瞬間に読者として喜びを覚えるのに、光の箱の中を正常な世界だと言い切ることに寂しさを感じてしまう。彼女が生を取り上げられた時の息が詰まる絶望と、社会を正常とする「異常な人々」、そして異常になり切れず押しつぶされ自分は搾取する側に回る白羽など、心が軋んで脳が掻き回されるような感覚だった。
まだ、うまく言葉にまとめることは難しい本作品だが、私は、主人公が自分の手で自分の人生を選択し、光の箱に戻っていったことは、誰も否定できないし、否定させたくないと思った。彼女はもともとコンビニ人間だったのではなく、自分が呼吸しやすい形で社会と人生を適合させたら、コンビニ人間になったのだと思った。
コンビニの食品がはじめは美味しいのに、続けていると、3日目くらいから心身に悪いと思い始めてしまったり、どことなく体がだるくなったりする心地悪さに近い。世間に対してパッケージや商品ラベルのようになっている主人公の爽快さと、物語と向き合うことで起きる居心地の悪さがだんだんと蓄積していって体調が悪くなる作品だった。
Posted by ブクログ
古倉、コンビニを見つけて本当によかったね。
白羽はだいぶいくところまでいってるけど一歩間違えてああいう地獄を見る可能性は全然あると思ってる。強い者が生き永らえ、弱い者が淘汰されるのが生命の基本原理。淘汰される側に回らないように努力しないと…
自分の努力はだれかにとっての呼吸
Posted by ブクログ
この物語に出てくる主人公、コンビニ人間はとても奇妙だ。一人称で語られるその心情は、とても理解できない。ただ、これは世界の普通の枠組みの中で生きる人を皮肉にデフォルメしたものなのだろう。
自分というものが、世の中の普通であるために、何かに属して自分を演じている。そしていつしかその自分が自分そのものになる。昔、苦手だったものが得意に、好きだったものが嫌いに、本当の自分とは、を深く考えさせられる物語だった。
Posted by ブクログ
前情報なしで読み進めたが、数ページで分かる主人公のASD気質。普通になるために周囲の口調や服装を真似て、方程式のように会話をする。そこまで極端ではないけれど、私にも通じるところがあったのを思い出した。中学のときに発見したのは「相手の話を聞くときは頷いてアピールする」、嫌なことを角を立てずに伝えるために「ひどーい」という言葉を選ぶなど…。 白黒はっきりつけるのは良くないのかもしれないけれど、人間だれしもこういう側面を持っているんじゃないかな、と思わされる。 最終的に彼女は「コンビニ人間」に戻ったが、自分らしくいられる場所(天職)がこの世に存在すること自体、ひとつの救いのように感じた。
Posted by ブクログ
主人公は体調管理をしっかり行い、真面目に働き、自立した生活をしている。
その生活は主人公が選んだもので、居心地の良さを感じている。
主人公は立派な社会の一員だし、別に誰にも迷惑をかけていない。
だが周囲は長く独身でコンビニバイトをしていることを”普通”ではないと勝手に憐れみ、本人が望まない”普通”になるためのアドバイスをすることすらある。
そんなに主人公は変わらなければならないのか。”普通”はそんなに良いことなのか。
「普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ。」
この箇所を読んで自分を含めて人ってそういうところあるよな。”普通”がそうなのだとしたら、”普通”の人って気持ち悪いな。悪質だな。と思ってしまった。
私は普段、会社でもプライベートでも普通であるように気をつけているけれど、そんなもの意外と目指す価値のないものなのかも。と思った。
そういえば、最近読んだエッセイに就活においては「服装自由」と書かれていてもスーツで行くのが無難みたいな話について触れられていた。もし”普通”ではないラフな格好で来た人を冷ややかな目で見る面接官がいるなら、それは意地悪だなと思った。その時の普通に対する違和感を思い出した。
普通のことを普通にしているように見えるけど、実は普通になるために本当の欲求に逆らった選択や行動をすること、普通であろうと神経を使うことにストレスを感じている人は意外といるのでは。
だから、そういうストレスから離れていそうに見える普通じゃない人に苛立ちを感じるのでは。
自分は頑張って普通になっているんだから、あなたも頑張って普通になるべきだ!
そう思って普通じゃない人を裁判したがるのかもしれないなと思った。
Posted by ブクログ
かなり面白かった。軽度の発達障害は個性として称賛すらされる現代に鋭いメスを入れたような作品。ネットで散見されるようなファッションにできる明るい病気のわかりやすさはなくて、日常生活を送る中でのふとした違和感や異常性がひっそりとそこに潜んでいるのを感じる。
書評も「五感の話」が面白かった。タイトルが綺麗に回収される後半はゾクゾクする。
Posted by ブクログ
率直に気持ち悪いと思ってしまったと同時に、気持ち悪いと思うことも良くないのかなとも思った。主人公に感情が無さすぎて、ロボットみたいだったし、ふとした時に出る言葉や仕草がサイコパスすぎて、何度も目が飛び出そうになった。生きにくさで言ったら感情がある白羽さんの方が生きにくそうだったけど、周りの環境に恵まれていないと、ああやってひねくれてしまうのかな。コンビニ人間というより、コンビニロボットだと思ってしまった。でも、なんの生きがいもなく生きていた主人公が、最後に、自分はコンビニのために生きていく人間なんだと認識し、自己肯定感のようなものや、生きる指標を見つけられたことは、本人にとっては幸せな事なのだろうかとも思う。普通ってなんだろうとも思ったが、妹や、周りの人に共感することが多くて、物語の中だから面白く読めたが、実際にいたら、何だこの人と思ってしまう側だし、関わりたくないなと思ってしまった。
Posted by ブクログ
ーコンビニ店員として生まれる前のことは、どこかおぼろげで、鮮明には思い出せないー
はたして僕は何に生まれたんだろう?生まれていないんだろう?このまま生まれる前に終わるのかもしれない。
なんてことをふんわり思いながら読み終えた。
Posted by ブクログ
こころが痛いー
自分が分かり得ない存在なのに、ひしひしと伝わってくる。
白羽のこと嫌いだけど、気持ちがわからなくはない。
周りから全てを否定されたら、自分を守るために攻撃するしかなくなる。
ラストシーンは彼女にとって救いなのかなぁ。
しばらく考え続けてしまいそう。
Posted by ブクログ
朝井リョウが好きだと村田沙耶香も好きだと思うとお勧めされた1冊目。
社会の歯車になることによって自分が保たれている。といった表現が今日増えてきたように思うがそれがまさに凝縮された一冊。
このレベルをこのページ数で読みやすい物として提供できるのは素晴らしいの一言。
"普通"というものは各人が勝手に作り上げているものであって、理想の女性を探すことも、結婚して子供を授かるのも、恋愛もせずコンビニで18年働いていることもその人にとってはその人生しか経験していないのだから、それが"普通"という解釈で問題ないと思います。
Posted by ブクログ
確かにコンビニ人間の話だった。
共感する部分もかなり多く、苦しくなるシーンもたくさん、あったけれど読後スッキリ。
ページ数は少ないけど、読み応えのある面白い小説だった。
Posted by ブクログ
クレヨンしんちゃんを普通の家庭と思っていた子が大人になってあれは理想の家族の姿であり、簡単に手に入れられるものではなかったのだと気づき愕然としたという話をちらほら聞く。
普通や理想って何だろうかと考えた時、それは大多数に与することなのだろうと思う。
多様性が叫ばれるようになって、相手を理解する為にラベリングを行う。そうして「そうであるあなたとそうでない私」という境界線が引かれる。それは意図せず対立構造を生み、ラベリングはいつしかレッテル貼りになる。多様性の理解とはそれだけで矛盾を孕んでいる。
普通を望むというのは同じ枠の中にいたい、いてほしいということなのだろう。突き詰めるとそうして安心感を共有することが目的なのだと思う。だが多数に与する事が必ずしも当人にとって幸せとは限らない。
主人公は突飛なところがある。発達障害、それも大人の、なんて言葉が一般に知られるよりもずっと前に生まれ育ち、本人も周囲も苦悩があったことだろう。しかし主人公は成長する過程で察して振る舞いを変えた。そして誰に迷惑をかけるでもなくちゃんと働いて生きている。白羽のように借金したり待ち伏せしたり、ルールを守らなかったりと迷惑行為も行わない。だったらそれで良いではないか。
妹が涙した時、自身の行いに涙したのかと思った。普通が分からず普通になれず苦心する姉が周囲が望む普通に応えるべく体裁を整えようとしてろくでもない男を家に引き込んでいた、自身の願いがきっかけでとんでもない事態を引き起こしていた、なんて相当ショックだっただろうなと。けれど実際には普通になれない姉を責めて泣いていた。コンビニスタッフが喜んだ時には正気を疑った。本人の様子は無視し、あれだけ非難していた白羽が相手と知っても手放しで喜んでみせるだなんて、それもお似合いだなんて、本気で祝福しているのかと。妹は親身に姉の将来の不安を思った結果なのだろう。気持ちは分かる。だがコンビニスタッフも同級生も大きなお世話だ。その無神経さは「普通」なのか?
誰しも多数になれる訳では無い。そこにあってもある時不意に外れてしまうこともある。あるいは多面的に見れば誰しも一般的な基準から外れている部分を少なからず持っているだろう。例え人と違っていたとしても、問題がないところをわざわざ掘り返してさも問題があるかのように叫ぶ必要はない。
将来は誰にも分からない。願わくば主人公がコンビニで生き生きと働き続けられると良いなと思う。いっそ自身でオーナーになってはなんて思うのはそれこそ大きなお世話だろうか。
考えさせられた
普段全く読まない小説、純文学でしたが、とても読みやすかったです。社会、普通、異質、圧力…すっと全身に入ってきて理解が広がっていくようでした。主人公に今の自分が重なって、胸が苦しくなりました。
匿名
社会が求める「普通」という名のコードとの距離感の問題はある人にとっては問題とも認識されず、またある人は完全にそれに同化してそのコードを拡大再生産する尖兵ともなり得るが、本作の主人公にとってはそれは対象として認識は出来つつもそのようには振る舞えない。一方で「コンビニ店員」としてのコードは完璧に振る舞うことができる。対して白羽にとってそのコードは自身を攻撃してくるのもでしかなく、と同時にそのコードを使って他者を攻撃してもいる。矛盾しているようでいて実際にはこのような人は多く見かける。
コンビニの他の従業員や地元の旧友、そして主人公の妹などは、彼らの価値体系(と言ってもそれは彼ら自身の頭で作り出されたものではなく社会が求める普通という規範であるが)からすると理解不能な主人公を、自身の理解可能な地平に持ってきてジャッジしようとする。そして「叱って」異物を排除して、内部の、「こちら側」の結束を固めようとする。
理解不可能なものを理解不可能なものとして理解する知性は多くの人には無いのだ。
普通って何?
個性が強すぎると敬遠され普通じゃないと言われ淘汰されていく。主人公は妹に助言を求め普通の人間に近づこうと外見や話し方を変えていく。そうしないと生きていけない。ただただコンビニの仕事に24時間精神も縛られてないと崩れてしまう。
毎回縄文時代を語る白羽さんとの出合いは彼女にとって普通になれる事だったのか?社会不適合者だったかも知れない彼女がコンビニ店員に身を置くことで社会の歯車に成れたと感じられればこれからも頑張れるのだろう。普通とは?と考えさせる一冊でした。
想像の斜め上をいく展開
友達に薦められ、書評を読んでから購入しました。
ありきたりの人間の苦渋を描いたストーリーかと思いきや、想像の斜め上をいく展開に驚きながら一気読みしてしまいました。
色々な人の生き方。これからの社会の多様性のあり方を考えさせられました。
普通という脅迫
知らずのうちに普通を演じ普通を強要している社会で主人公はコンビニというパッケージされた社会の歯車の中で生きていて、
主人公は結局、普通を消化してしまったのかしら。
それとも選び取った選択だったのかしら。
最後に賛否が分かれるけども、その意味を考えてしまうわねー。
せつない
コンビニ人間って何?
と思い興味本意で読んでみました。
現代の若者の象徴である就職難民からのコンビニバイト。
自分の娘や孫もそうなる可能性はゼロではないと思うと切なく、この様な社会にしてしまった大人達に是非読んで欲しいと思いました。
Posted by ブクログ
気づいていないだけで、こういう考え方の人が、実は身近にもいるのかも。。とザワっとする話でした。登場人物が嫌な人が多くて、後味はちょっと良くなかったです。
Posted by ブクログ
この小説で言う普通とは何なのかを考えながら読める1冊。主人公は自分のことを普通では無いということを自覚し、その上で生きていくために必要な助けを得ながらここまでやってきたように書かれているが、何者かであろうとしている時点で十分に人間味に溢れていると思う。この何者かというところが結局のところ最後にタイトルに繋がるわけだが、自分も今更今の仕事をやめられる気がしないなぁと思いながら結末を迎えることになった。
Posted by ブクログ
「普通」とは何かわからなくなった。
自分も無意識に「普通」と「普通じゃない」と区別しているのかな。自分の構成物は誰かの「仕草」「話し方」「笑い方」で出来ている気がしました。
Posted by ブクログ
芥川賞受賞作で
多くの方が読んだことあるであろう作品。
ずっと気になっていたけど
ようやく読めました。
この薄さで、パンチ力すごい!
サラッと読めちゃうけど
読後感がなんとも言い難い。
主人公は「普通」がわからない。
ただこの主人公の場合
だからといって悩んだり傷ついたり
全くと言っていいほどしていない。
ただ自分の腹の中を素直に見せたら
この世の中では
やってはいけないことを知っている。
だから隠しながら
溶け込もうとしている。
共感できないし、
こういう感覚の人って存在するのかな
と疑問に思ってしまった。
そう思う私は普段から
無意識に
そして反射的に
「普通」と「普通じゃない」を
区別しているのだと思う。
そのことに気が付かされる一冊でした。
村田さんの作品は
なんというか
刀でバッサリ斬られてる感覚があるなぁ。
Posted by ブクログ
私の普通はいとも簡単に壊される。
なぜ多様性を歌う社会のはずなのに、普通という基準から逸脱すると断罪されるんだろう。
日常の中で感じていた違和感を、私が傷つくから考えないようにしてきたことをズバッと切り込んできた感じがした。
Posted by ブクログ
あらすじだけ読むと、婚活目的でバイトを初めた白羽との出会いが主人公にいい影響を与える話なのかなと想像した。
この時点でコンビニバイトに精を出す彼女のことを、私も好奇の対象として認識し正常は何かを固定していることがわかる。
白羽さんとの利害が一致した関係性は一見うまくいくように見えた。敵となる対象が同じ。"好き"より"嫌い"が重なるほうが価値観として一致したほうが良いという。
そこがどうとか関係なく、彼女は生物としてコンビニ人間なのだ。何も関係ないことだった
根本からムラのオスメスの規範は当てはまらない、白羽さんの話も妹含む周囲の人間の話も彼女に響かないのは当然だと納得できる。
コンビニのみが何故彼女をこんなにも魅了するのか
シュールすぎる
コンビニ人間って比喩でも何でもなくてそのまんまコンビニの為に生きる人間だった。でも自分も周りの話し方を真似したり影響されたりしてるから共感。
SF?それともサスペンス?読後感がとても後味が悪く、それが良い意味で面白かったです。
のほほんとしたコンビニでの日常小説かな?と、気軽な気持ちで読み始めたことを後悔しつつ、最後まで一気に読み終えてしまいました。
まず読み始めて、主人公は発達障害の傾向が強いなと思いました。
私自身ASDの診断を受けており、主人公には共感する部分が多い、というよりも、私が書いた日記を読んでいるかのような感覚でした。
作中で、主人公が妹に「いつになったら治るのか」「どうすれば普通になるのか」というように責められる場面があります。それに対する「指示をくれれば私はどうだっていい。ちゃんと的確に教えてよ」という主人公の言葉は、まさに私の主張そのものでした。主人公や私のような人間は、周りの要望に応えるためにわざわざ行動しようとしているというのに、一体どうして具体的な改善案を出してくれないのでしょうか。こちらが歩み寄ろうとしているのに、一方的に糾弾してくるなんて、どう考えても非があるのはあちらではないのでしょうか。
自分自身のモヤモヤが物語になった、というような作品で、共感は得られましたが、感動や新たな発見はありませんでした。
主人公がアスペルガー だとは書いていませんが、読み手によってはアスペルガーであるだろうと想像させて読ませてしまうところが、実際アスペルガーの人がいる中で生活している、もしくは家族や自分自身がアスペルガーである場合、評価というか読んだ感想や気持ちが大きく変わってくる作品だと思います。
小説というのはあくまで一人の人間、個人の思想を文字にするというものであるからこそ、それが全てではないということも含めて読むのでしょうが。
ここで描かれる普通や、主人公が紛れようとする普通や、登場する全ての人が目指す普通は日本独特の普通である部分も多く、人間世界に共通していえる普通もあり、日本の普通はどこかの国では普通ではない、アスペルガー だろうがなんだろうがここで書かれている皆が目指す普通のことは、ある人にとっては普通であっても、普通どころか君達は何に洗脳されてるのだと異様に感じる人もいるのも事実なので、普通を押し付けようとするシーンでのやりとりなどは、小さな世界感で独特で読んでいて気味が悪かった。カルト集団の小さな世界にも感じる。
この世界は広くて、どこかの空間では普通で当たり前になっているけど、どこかの空間では普通ではなく、当たり前じゃないことがある、人間は視野が狭くなると怖いなと感じ、気味悪さや生きづらさが伝わる作品です。
しかしながら、貧困という問題は個人の責任ではなく国をあげて取り組むべきことだと考えさせられます。こんなに真面目に一生懸命、天職を見付けて輝いて働いているにもかかわらず、人生の一生を保証されないなんて悔しいばかり。
コンビニのマニュアルは、軍隊の規律の中にいるようでさえあり、厳しいですね、怖いですね。
こんなに厳しい毎日なのに、一生懸命働いても保証されないのですね。料金支払い、荷物の受け渡し、毎日の食事まで。街の人々の為に、24時間手厚くおもてなしをしているのに、街の人のために動いてくれるはずの役所の窓口は態度が悪くても許されて、コンビニ店員は態度が悪いと社会の悪になってしまうのですね。