あらすじ
「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
累計92万部突破&20カ国語に翻訳決定。
世界各国でベストセラーの話題の書。
解説・中村文則
コンビニのアルバイトとして18年働く、独身女性の古倉恵子36歳。
週5でシフトに入り、勤務態度はマニュアル通りの”正しい”対応。
店長から重宝され、同僚ともうまくやっている、はずでした。
新入りのアルバイトが入ってくるまでは…。
かく言う私もコンビニ店員として4年間働いていました。
正社員、歳の近い学生アルバイト、日中に働く40代の主婦、未婚(恐らく)の30歳以上の謎の人。
日本社会の縮図かと思えるほど様々な人がいますが、それぞれ自分の価値観で相手をみていて、
「自分こそが主人公」だと思っているはず。
本作は、「コンビニ店員である自分こそが、普通で正しい主人公」と考える恵子の主観が鮮明に描かれています。
「なぜコンビニ店員なのか」。これが神髄だと思います。
目まぐるしく変わる衝撃展開に魅了されたいあなたも、
世の中の“普通”について考えを深めたいあなたも、
1~2時間でサクッと本を読みたいあなたも。
世界各国で読まれていることからも、作品の魅力は語るに及ばずですが、
皆様に1度は読んでいただきたい名作です。
感情タグBEST3
共感しかない
冒頭から難しい描写が一切なく、
全ての言葉、文章が読みこめ、コンビニで働く自分を見ているようでした。
幼少期から周りと同じでなければいけないという
呪縛、皆と違うと変わった人と思われ、削除される「村社会」をストレートに描かれています。自分の思いを発言し皆に驚かれる描写は、私自身がいつも感じている違和感を具現化してくれました。ストーリーもこちら側の人間には「わかるわかる」と頷ける事ばかりで、普通に生きている人には衝撃かもしれません。賞を取るにふさわしい作品でした。1時間で完読しました。
すごい!
普段読書などはしませんが、何かでおすすめされていて気になって読んでみました。
そんな自分にもスラスラと読めて、とても楽しめる作品でした。
そしてたまには読書もいいなと思えさせてくれました!
Posted by ブクログ
常識という名の村の掟と、自分はどう向き合っていったら良いのか、深く考えさせられました。体に染み付いた考えを揺さぶってしまうという点で危ない本でした。マトリックスの赤い薬を飲んでしまった感さえあります。
Posted by ブクログ
白羽という男。現実で対面したら、私は絶対発狂する。すぐに距離を追いて、一生遭遇しないようにする。そんな強烈な男の言動にも、客観的な視点で解釈し淡々と対応する主人公。面白い。
Posted by ブクログ
Audibleにて。
サイコパスの嫌いがある主人公が、社会に溶け込むためにコンビニバイトをしていた。
年齢を重ねるにしたがって、コンビニバイトも社会の叱責の対象となっていく。
社会の圧力に負け、コンビニバイトをやめて就職するための面接に向かう主人公。
道中でコンビニに立ち寄り、自らがコンビニの声を聞くための生物であると自覚する。。。
読み始めたときは人間味がないと見えていた主人公が、むしろ個として自らの欲望に忠実な、もっとも人間味のある存在であることに気付かされる。
Posted by ブクログ
とても面白かったです。
主人公の普通とその他が思う普通が違う。
そもそもみんなが思う普通とはなにかを、考えさせられました。
結婚、妊娠、就職することが普通なのか。
コンビニのアルバイトでも働いているし、ちゃんと生活もできているのに。とは思いました。
多数派に押しつぶさらそうになっても、自分らしく生きることは簡単なようで難しい。
短期離職が多い私からしたら、主人公は何十年も同じ場所で働き続けていてすごいなと思いました。
天職がみつかって良かったと思います。
匿名
難しい言葉はひとつもなく、とても読みやすい本でした。読み終わるのも一瞬で、そこまで長い話ではないが、この短い話の中でとても考えさせられるものが多くありました。人生のうちに一度でいいから読んでみてほしい本のひとつだと感じます。
Posted by ブクログ
人間である前にコンビニ店員、その揺らぎない哲学に、自分もコンビニ人間側に味方している巧みさ
【フレーズメモ帳】
早くコンビニに行きたいな、と思った。コンビニでは、働くメンバーの一員であることが何よりも大切にされていて、こんなに複雑ではない。性別も年齢も国籍も関係なく、同じ制服を身に付ければ全員が「店員」という均等な存在だ。
このセミの脱け殻の中を歩いているような世界のどこがで、私の「お客様」が眠っているのだとぼんやり思う。
自分自身が針金みたいなのに、銀色の針金が顔に絡みついたようの眼鏡をかけている。
皆、変なものには土足では踏み入って、その原因を解明する権利があると思っている。私にはそれが迷惑だったし、傲慢で鬱陶しかった。あんまり邪魔だと思うと、小学校のときのように、相手をスコップで殴って止めてしまいたくなるときがある。
コンビニで働いていると、そこで働いているということを見下されることが、よくある。興味深いので私は見下している人の顔を見るのが、わりと好きだった。あ、人間だという感じがするのだ。
「普通」とは?
普通とは何なんでしょうか
普通に学校に行く?普通に友達を作る?普通に就職する?普通に結婚する?普通に子供を産む?私も様々なことに違和感を感じながら生きてきた人間なのでこの本は非常に面白かったです。
なぜ他人の人生にそこまで関心を持てる人が多いのか、いつも不思議に思います。
私は普通がつまらないです。変なやつでいたい。
きっとまた読み返します。そのくらい好きな本でした。
読みやすいが考えさせられる
読みやすい文章で、忙しい時でもサクッと読めました。
周りと同じでなければいけないという小さいころからの空気に疑問をもつ主人公、
彼女自身の考え方を見て、こういう人もいるのかと、改めて勉強になったと思います。
オンリーワンの大肯定
現代日本の同調圧力による生き辛さを一蹴する好著である。
評価の分かれるラストシーンについては、コンビニバイトの行かず後家である主人公古倉恵子が、他人の目を気にし過ぎず、自分の納得できる生き方に進むことを示唆したもので、オンリーワンの生を大肯定するハッピーエンドと捉えたい。
また、本書はラノベのようにエッジの効いた会話やコンビニを水槽に見立てるなど文芸作品らしい表現技巧に優れ、ぐいぐい惹き込まれつつ読んだ。
一気に読んだ
面白くて夢中になって読んでしまいました。偏った思考だし、共感できるような事はなかったのですが、何故かこちらが救われるような気がしました。
おもしろい
読後の最初の感想は、「今っぽい話だなぁ」でした。
私は小説を頭の中でしっかりと映像化する癖があり、俳優さんや女優さんを当てて読みます。そうすることでより入り込めます。
今回の主人公は黒木華さん、店長は長谷川博己さん、など。
主人公は周りとは少し"違う"という幼少期をすごし、極力自分から何かを発さないように過ごします。
ゆくゆく自分が"違う"部分を治すのではなく、周りの"普通"な人を真似てあたかも同じかのように振る舞い生きていく。
それが非常にスムーズでやりやすいと感じたのが、コンビニ。
"古倉さん"という店員として存在し、幼少期がどうだとか考え方がどうだとか、主人公の感情や生き方など誰も気にしない。
品出し・レジ・掃除など必要とされていることを必要な分こなすという生活を35歳まで、アルバイトのまま、未婚で、続けます。
そもそも、この「誰も気にしない」というのは"普通"の人なら寂しく感じることだろうと思うけれど、主人公はその環境が心地よく感じています。
今まで"違う"ということを押し付けられていたがために、コンビニの一部になれていることに幸福を感じている。
正直、今は社会でもプライベートにまったく介入しないというのがむしろ良しとされる風潮がありますよね。
若者に多いのが
有給を取る理由を言う必要があるか?
恋人の有無を教える必要があるか?
オンライン会議では部屋を映さない とか。
何かとハラスメントでネーミングされます。
主人公のと訳が違うのは大前提ですが、
「迷惑をかけているわけではないのだから放っておいてくれ」というのは、今っぽいですよね。
白羽は迷惑かけまくってましたけど。
といった感じで、そのリアルな社会の感じが気分を暗くさせます。
それだけ入り込めるということだと思います。
いくらでも書けそうなので強引に締めました。
あと書いておきたかったのは途中で一瞬出てきた"主人公の成れの果て"の男性です。
お客の癖に商品を整理したり客の列を正したり。
白羽に促されるまま就職してしまったら、ああなっていた。
だから主人公の判断は正解で、ハッピーエンドだと思います。
読みやすくて
一気に読みました。発達障害者と思われる人物がコンビニで有能なバイトとして働く様子、ラストの決断に、ロッカーや正社員のふりなどは非常識な行為ではありますが、社会に大きな迷惑をかけるでもなく、この主人公がいきいきと輝ける場所があることを嬉しく思いました。
面白かった
面白かったです。
ただ、この話をどうとらえたら良いのかは難しいですね。
読んだひとそれぞれに思うところがあるでしょう。
良いとか悪いとかの話ではないでし。
ともかく、できるだけ多くのひとが下記のことに気づいて欲しいものです。
絶対的な善悪は存在しないこと。
生きることに意味は存在しないこと。
人間の行動はすべて自分のためであること。
(人のためにしていることであっても、
その人が心のそこから相手のためだと思っていたとしても)
世界中の人間はすべて別の生き物だということ。
悲哀を拒否している
アプローチが違えば、もう少し掘り下げられる気がする、
と読後に最初は考えた。
あまり異常な人の、突飛な行動で脚色して読者が面白がる作り方(構造)は、
これみよがしで共感も得がたく嫌だな、と思ったが、
深く考えてみると、演出や脚色が大袈裟なだけで、
こんな人はいくらでもいるのではないか、とも後で思った。
私の身近な職場にもずっとフリーターで生きている40歳オーバーが何人かいるわけで。
ただ、作者はそういう人を描きたいわけでなくて、
どちらかというと描きたかったのは、
主人公(多分作者の内面の一部)のある種の純粋さ(短絡的傾向)だと思う。
つまり、何がいけないの? と。
『主人公は』普通でありたいだけなのに、と。
間違ったことは何も言っていないと。
言ってしまえば、主人公はただすごく真面目に働いていて、
すごく真面目に質素な生活をしているだけの人ですよね。
ずるさもなく、欲もない。誰も傷付けない。周りが理解できないだけ。
肉親が哀しめば、合わせようとさえする。
独り身が悪いわけがないわけで。
それが、パブリックとプライベートの切り分けをして生きている世間の人たちからすると、
残念ながら受け容れられず浮いてしまう。
ただし、そのへんを悲哀に持っていかないのは、
作家としてそういった視点をもしかしたら
拒否しているのかもしれない。
言い換えれば、それは怒りではないかな。
やっぱり間違ったことは何もしていないわけですよ。
結婚なんて、したい人がすればいいわけで(私は妻子がいますが)。
それらを考えると、作者が主人公をかなりの変人のように描いたのは、
ある種の皮肉かもしれませんね。
そこまで考えると、大変良作だと思います。
私も作者と同じく、個性と言いながら異質なものを平均化しようとする世間は嫌いですね。
人間らしさってなんだろうと思う
人間らしさってなんだろうと考えさせられる作品。人の目をつい気にしてしまう人にはとても刺さると思います。題材は結構重いが、結構サクサク読めます。おススメです。
まさか、こんな内容とは
芥川賞を受賞した作品として知ってはいましたが、題名からライトな内容だと思い込んでいました。
誰かの普通は誰かの普通じゃない、そんなの当たり前だと思っていたけど、それこそ普通じゃないのだと思い知らされた感じです。
2人以上人が群れると、時として怖くなる。
普通圧力か…
深呼吸ができる場所で暮らしたいし、一緒にいる人には深呼吸させてあげられる人になりたいです。
Posted by ブクログ
独特の世界観で描かれている人間模様。当たり前、普通など一般化して考えることがよくあると思うが、この本を読んだら、「本当にそれって普通なのか」と考えさせられる。
ただ独特すぎて、理解ができない場面も。でもこれが筆者の生み出した世界観なのだから、これもまた面白い一面でもある。
芥川賞をとった時以来に読んで、また物語に引き込まれてしまった。
Posted by ブクログ
たしかに企業側の視点からするとコンビニ人間程ありがたい人はいない。
他スタッフがコンビニ人間から人間に戻る描写は生々しいし、企業側からしたらその人間部分との戦いの為、コンビニ人間に仕上げたい。
普通ってなんだろうと考えさせられる一冊。
Posted by ブクログ
どんどん読めた でもちょっと怖かった
一人ひとりの考え方がある中で、誰かに自分の『普通』を押し付けることがいかに馬鹿らしいか 考えることができた。
白羽は最悪だと思った。が、彼のような生き方に口を出すことも、他人の私がすべきではないのだと思った。
周りに主人公や白羽のような人物がいたら、私は彼らにとって疎ましい押しつけをせずにいられるだろうか、いられる自分であればいいと思う。
Posted by ブクログ
ストーリー、登場人物がユニークで楽しく読めた反面、現代社会の歪や差別、偏見といったテーマが扱われている点で、重みもありました。
縄文時代から集団の中で生きるための男女の役割は変わっていないという言葉もありましたが、それもなかなか的を射ているなと思いました。
心に深く根付いている差別意識や集団における役割、その中でうまく生きていく術を冷静に認識したうえで、自分の生き方を貫いている主人公は強い人なのだなと感じました。
集団のメインストリームから漏れたら、ここまで毅然と自分を保てるだろうかと、考えさせられました。
Posted by ブクログ
読んでいて白羽に不快感を覚えるということは、自分は無意識のうちに人のことを型に当てはめてムラから排除しようとしているのかと、読んでいて思っていることを見透かされている気持ちになった。
Posted by ブクログ
私たちは、無意識に自分と異なる人間を仲間外れにする。そしてそれと同時に「自分は間違ってない。ちゃんと社会の一員だ」と安心しているのかな。
人間の冷たさと弱さを感じた作品だった。
Posted by ブクログ
私もアルバイトをしていて身近な同級生はみんな正社員で働いているので周りの人に変わり者と思われているんじゃないかと読み進めて心配になるくらい世界観に引き込まれた。
生活リズム、業務、他の従業員の影響、全てコンビニで完結していてとてもシンプルな人生だ。誰にも迷惑をかけていないのに可哀想だと哀れに思われたり、お節介をやかれたりしてとても生きにくいなと感じた。
Posted by ブクログ
主人公の行動が理解できてない時点で私はムラに順応な人間であるのだなと認識したし、理解しようとしてることこそ主人公からすると的外れな行為なのだろうなと思った
Posted by ブクログ
「普通」=社会がその時々で決めた役割をちゃんと演じられてるか、みたいな怖さをひしひし感じた。
古倉さん自身に“異常”があるというより、
周囲が安心するための型から外れたらアウト、って世界。
それを**ホモ・サピエンス全史**の後に読むと、人間って結局
・集団で生きる
・役に立つかどうかで評価される
・物語(神話・制度・常識)」を共有して安心するこれ、狩猟採集時代からほぼ変わってない…
コンビニ=
・役割が明確
・期待される行動が決まってる
・余計な「自分らしさ」いらん
これ、部族社会の役割分担そのままだと思う。
縄文の「獲る人・作る人・見張る人」が、
現代では「レジ・品出し・発注」になっただけ。
だから今も縄文時代と変わらないって感覚、めっちゃ的確なんじゃないか。
しかも怖いのは
・普通でありたい」って感情自体が
・集団から弾かれたら死ぬ、って本能の名残ってことよな。
だから「普通ってなんだろ?」って悩む古倉の方が実はめちゃくちゃ人間らしい
逆に、何も疑問持たずに「これが普通です」って言い切れる方がホモ・サピエンス的には物語にどっぷり浸かってる状態だと思う。
Posted by ブクログ
もうずっと長いこと読みたかった本。
少し苦しくなるとこもあったけど、数日で読めた。読み終わったあと、コンビニに行くと、店員さんを気にしてしまう自分になってた。
Posted by ブクログ
思っていた内容と違った。
読み進めて数ページ目でぎょっとした。
得体の知れないものに興味が湧いて、不気味に感じながら一気読みした。
自分もムラにいる人間と一緒だなと思った。
Posted by ブクログ
【書名と著者】
コンビニ人間
村田沙耶香
【目的】
村田沙耶香がすごいと勧められたため、手軽に読めそうな厚さの書籍を読みどんな作風なのか知ろうとした。
【読後感】
わたしは何人間なのだろう、人は何人間なら幸せなのだろうと思った。
自覚的に◯ ◯人間になって、健康で生活に困らないのなら、他人が何を言おうが幸せではないか。
※犯罪者は除く
才能を見つけ、好きで苦もなく努力できるなら、これはこれで幸せの形なのかもしれない。
とはいえ、そんなに豊かな生活は送れなさそうなので逆イノベーションオブライフ的な寓話と言えるやも?
【印象に残ったポイント】
・ムラの同調圧力
わたしは職場は仕事の仲間、友人は人生の仲間という考え方なので、ムラのオスとメスの話で盛り上がりたくない。楽しめる人と距離を置きたい程度だが、これを極端に描くとこうなるのかと一部共感できる気持ち悪さ。
・◯ ◯人間、何ならよいのか
金とステータスで自分を騙して生活コストが高く、嫁ブロックで仕事と仕事仲間から逃げられないキーエンス人間は幸せか?
会社で偉ぶれることにアイデンティティがあり、離婚歴あり家族なし友人なしの会社人間は幸せか?
コンビニバイトの天才は?とまれ、仏教的な見方をすれば認識の問題なので、自分がどう認識し、幸せか不幸か納得できるかなのだと思った。
・結局、幸せなのか?
幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。と昔の文豪ドストエフスキーは何かの本に書いていた。
幸せな結末だとしたら、幸せの形も様々と言えそう。だが、不幸と気づいていないだけなのかも。
Posted by ブクログ
自分の決めた道を周囲に反対されたり、自分の生き方に自信が持てない方におすすめの本です。
*あらすじ*
昔から自分は周りとどうも「違う」ようなのだけれど、じゃあどうしたら「普通」に生きられるのか分からない36歳の女性が主人公。大学一年生のときからバイトを続けているコンビニには、自分がどう動いたら「正常」になれるかを教えてくれるマニュアルがあり、主人公にとっては「世界の歯車」になれる場所だった。
しかし、コンビニの外の世界では、「異質」な存在として扱いを受ける。例えば、友人の集まりでは「結婚か就職をしていないとまともな人間じゃない」と言われ、そのものさしに当てはまらない主人公のことを、周囲は「変な人」、もっというと「やべえやつ」と捉える。そして、主人公には、この尺度がやっぱり分からない。どうしてそういう考えるになるのか分からない。そこへ、同じように世界のものさしに虐げられている男性が登場して、主人公の生活が変わっていくのだが…というお話。
*あらすじ終わり*
本書の中では「結婚」と「就職」という2つのものさしで、人を「普通」か「異常」か判断しているが、物事の基準を判断するものさしはこの世にはいくらでもある。例えば、一昔前までは昇進したいと思うのが「普通」で、昇進したいと思わないのは「異常」だったが、今では家庭を優先して昇進したくない人も増えてきているという。また、一昔前までは子供を持つのは「当たり前」という価値観があったが、今ではそうではない(中には持ちたくても持てない人もいる)考えがあることにも人々は気づき始めている。
本書の主人公は、自分は周りとどうやら違うと思っているが、本当にそうだろうかと私は読んでいて思った。だって、この人18年も同じ職場で働いてるんですよ。すごくないですか?終身雇用制が崩れた今、肩書がバイトであれなんであれ、今の時代、一か所で働き続ける方が「異質」に見えてならない。もちろん主人公は、ずっと働き続けることで「世界の部品」になり続けようとしているのだろうけれど、視点を変えれば、彼女は一昔前の基準でいえば「普通」なのだ。本人はどうもこのことに気づいていないようで、誰か教えてあげて欲しい。
ものさしは流動的だ。誰もが人より「異質」だと思っていても、実は自分が気づいていない「普通」の部分を持っていたりする。と、この小説で気づいた。
最後のシーンをハッピーエンドと感じるかどうかは、読者により異なるだろうが、自分の生き方がとなりの人と違っても、1人1人の道はあるんだと私は勇気が湧いた。
1043字
Posted by ブクログ
人間の生きにくさ、普通のありかた。
コンビニ人間として生きることを生き甲斐にする姿。
普通というレールを敷き、そうあるべきという思い込みが生きにくさをも感じさせる
考えさせられた
普段全く読まない小説、純文学でしたが、とても読みやすかったです。社会、普通、異質、圧力…すっと全身に入ってきて理解が広がっていくようでした。主人公に今の自分が重なって、胸が苦しくなりました。
Posted by ブクログ
感想 主人公の見ている世界観が独特で面白くサクサク読めた。
当たり前だが価値観が違うと発言や行動が違う。それらがずれていると世間から気持ち悪がられる。周囲の価値観に合わすことに悩んでいた主人公が最後は自分なりの価値観を大事にその道を進んでいった。ただ、個人的にはコンビニ本社とか関わる会社に就職して欲しかった。
匿名
社会が求める「普通」という名のコードとの距離感の問題はある人にとっては問題とも認識されず、またある人は完全にそれに同化してそのコードを拡大再生産する尖兵ともなり得るが、本作の主人公にとってはそれは対象として認識は出来つつもそのようには振る舞えない。一方で「コンビニ店員」としてのコードは完璧に振る舞うことができる。対して白羽にとってそのコードは自身を攻撃してくるのもでしかなく、と同時にそのコードを使って他者を攻撃してもいる。矛盾しているようでいて実際にはこのような人は多く見かける。
コンビニの他の従業員や地元の旧友、そして主人公の妹などは、彼らの価値体系(と言ってもそれは彼ら自身の頭で作り出されたものではなく社会が求める普通という規範であるが)からすると理解不能な主人公を、自身の理解可能な地平に持ってきてジャッジしようとする。そして「叱って」異物を排除して、内部の、「こちら側」の結束を固めようとする。
理解不可能なものを理解不可能なものとして理解する知性は多くの人には無いのだ。
普通って何?
個性が強すぎると敬遠され普通じゃないと言われ淘汰されていく。主人公は妹に助言を求め普通の人間に近づこうと外見や話し方を変えていく。そうしないと生きていけない。ただただコンビニの仕事に24時間精神も縛られてないと崩れてしまう。
毎回縄文時代を語る白羽さんとの出合いは彼女にとって普通になれる事だったのか?社会不適合者だったかも知れない彼女がコンビニ店員に身を置くことで社会の歯車に成れたと感じられればこれからも頑張れるのだろう。普通とは?と考えさせる一冊でした。
想像の斜め上をいく展開
友達に薦められ、書評を読んでから購入しました。
ありきたりの人間の苦渋を描いたストーリーかと思いきや、想像の斜め上をいく展開に驚きながら一気読みしてしまいました。
色々な人の生き方。これからの社会の多様性のあり方を考えさせられました。
普通という脅迫
知らずのうちに普通を演じ普通を強要している社会で主人公はコンビニというパッケージされた社会の歯車の中で生きていて、
主人公は結局、普通を消化してしまったのかしら。
それとも選び取った選択だったのかしら。
最後に賛否が分かれるけども、その意味を考えてしまうわねー。
せつない
コンビニ人間って何?
と思い興味本意で読んでみました。
現代の若者の象徴である就職難民からのコンビニバイト。
自分の娘や孫もそうなる可能性はゼロではないと思うと切なく、この様な社会にしてしまった大人達に是非読んで欲しいと思いました。
Posted by ブクログ
人は「変だ」と感じたものに対して、驚くほど無遠慮に踏み込んでしまうのだと感じた。皆、変なものには土足で踏み入って、その原因を解明する権利があると思っているという発言があるが、それは本当に正しいことなのだろうか。
またこの作品では、人は一人では人間でいられないという感覚も描かれている。主人公は周囲の言動を取り込みながら生きており、伝染し合いながら私たちは人間であることを保ち続けているという発言はには確かにと思わされた。
普通とは何か、それは人によって変わるしみんなの中の平均値のようなものを汲み取って生きていかなければならないのは窮屈であり、正しくもあると感じた。
Posted by ブクログ
なんとも不気味?居心地の悪さを感じて、無意識に駆け足で読んでしまった1冊。
多様性を理解したり受け入れたりするのって熱量が必要で、普通という共通言語があるほど気楽だからな…と読みながら感じる。
仕事中の方がプライベートより簡単という感覚も誇張して描かれていておもしろい。
変半身と世界99も楽しみ。ただ、読むのにこちらの勇気がいる作家さんなのだと学んだ。
Posted by ブクログ
この本を読んで、少し恐ろしさや、気持ち悪さを感じている自分も「こちら側」何だと思う。
「普通」を突き詰めると、こんな物語になるのかと感心してしまう。
Posted by ブクログ
初、村田沙耶香
評価は3だけどこの人の作品の世界観好きすぎる、
衝撃でした。好き嫌いは別れそうだけど個人的には大好き
もっと読みたかったなーの3です
Posted by ブクログ
想像していた内容と全然違ったので面白かった
普通とはなんだろうと考えさせられるものは多いけどその中でもかなりページ数も少ないので、読書初心者でも読みやすいかも
Posted by ブクログ
やっとタイミングがきて既読。
この角度から人をみている話が衝撃で面白かった。なるほどー。
私たちの無意識を俯瞰、そして人を型にはめようとしてる自分にゾクっとする。
どこに着地するのか気になり一気に読み。
そういえばよく行くコンビニにも長く働いてる女性がいるなと思ったり。
Posted by ブクログ
初めは、主人公のことを変わっていると思っていたが、読み進めるにつれて「これは昔の私かもしれない」と思った。
転校すると、「今までの学校での普通」が攻撃の対象になることがある。
だから、「この地域での普通」になろうと、小学生の私は周りを真似した。
そして、社会人なりたての私は白羽さんなのかもしれない。
まだ社会人の「普通」に不満がある。
でも、主人公が「コンビニ店員」であり、小学生の私が「その地域の小学生」になったように、そろそろ「社会人」にならなくてはいけないのかもしれない。
Posted by ブクログ
グロさはなかったけど、ずっと「やばっ」って思いながら読んだ(笑)
恵子の価値観も、まわりの人の「普通」の押し付けも、全部がちょっと怖くて笑っちゃう。
恵子の幼稚園、小学生の頃の奇行が面白くて笑ってしまった。周りにそういう人いたらドン引くだろうな……
「地球星人」とはまた違って、日常の中の違和感がじわじわ刺さってくる感じ。普通って何だろう?
シュールすぎる
コンビニ人間って比喩でも何でもなくてそのまんまコンビニの為に生きる人間だった。でも自分も周りの話し方を真似したり影響されたりしてるから共感。
Posted by ブクログ
生きづらい いかにも「リ・ボーン」の喜びに満ちたラストだった。
自分勝手すぎる彼氏? にこれ以上関わることがなく、良かったというのが感想。
だが、他人に関心をむけられたくない、こちらからも特に向かないところは共感するも、
コンビニという小さな箱庭みたいなところに閉じ籠もるラストでもあり、
コミュ障が18年かけて仕事も生活もマニュアル化して、
その世界への安住はいつまでもできないだろうという不安は付きまとった。
・コンビニの仕事もどんどん人でなくなるようになるだろう
そんな時、変化を受け入れられない主人公は一体どうなるのだろうか。
変化を拒んだ物語でもあり、先には不安しか感じない。
正直読後感は悪い。
SF?それともサスペンス?読後感がとても後味が悪く、それが良い意味で面白かったです。
のほほんとしたコンビニでの日常小説かな?と、気軽な気持ちで読み始めたことを後悔しつつ、最後まで一気に読み終えてしまいました。
まず読み始めて、主人公は発達障害の傾向が強いなと思いました。
私自身ASDの診断を受けており、主人公には共感する部分が多い、というよりも、私が書いた日記を読んでいるかのような感覚でした。
作中で、主人公が妹に「いつになったら治るのか」「どうすれば普通になるのか」というように責められる場面があります。それに対する「指示をくれれば私はどうだっていい。ちゃんと的確に教えてよ」という主人公の言葉は、まさに私の主張そのものでした。主人公や私のような人間は、周りの要望に応えるためにわざわざ行動しようとしているというのに、一体どうして具体的な改善案を出してくれないのでしょうか。こちらが歩み寄ろうとしているのに、一方的に糾弾してくるなんて、どう考えても非があるのはあちらではないのでしょうか。
自分自身のモヤモヤが物語になった、というような作品で、共感は得られましたが、感動や新たな発見はありませんでした。
主人公がアスペルガー だとは書いていませんが、読み手によってはアスペルガーであるだろうと想像させて読ませてしまうところが、実際アスペルガーの人がいる中で生活している、もしくは家族や自分自身がアスペルガーである場合、評価というか読んだ感想や気持ちが大きく変わってくる作品だと思います。
小説というのはあくまで一人の人間、個人の思想を文字にするというものであるからこそ、それが全てではないということも含めて読むのでしょうが。
ここで描かれる普通や、主人公が紛れようとする普通や、登場する全ての人が目指す普通は日本独特の普通である部分も多く、人間世界に共通していえる普通もあり、日本の普通はどこかの国では普通ではない、アスペルガー だろうがなんだろうがここで書かれている皆が目指す普通のことは、ある人にとっては普通であっても、普通どころか君達は何に洗脳されてるのだと異様に感じる人もいるのも事実なので、普通を押し付けようとするシーンでのやりとりなどは、小さな世界感で独特で読んでいて気味が悪かった。カルト集団の小さな世界にも感じる。
この世界は広くて、どこかの空間では普通で当たり前になっているけど、どこかの空間では普通ではなく、当たり前じゃないことがある、人間は視野が狭くなると怖いなと感じ、気味悪さや生きづらさが伝わる作品です。
しかしながら、貧困という問題は個人の責任ではなく国をあげて取り組むべきことだと考えさせられます。こんなに真面目に一生懸命、天職を見付けて輝いて働いているにもかかわらず、人生の一生を保証されないなんて悔しいばかり。
コンビニのマニュアルは、軍隊の規律の中にいるようでさえあり、厳しいですね、怖いですね。
こんなに厳しい毎日なのに、一生懸命働いても保証されないのですね。料金支払い、荷物の受け渡し、毎日の食事まで。街の人々の為に、24時間手厚くおもてなしをしているのに、街の人のために動いてくれるはずの役所の窓口は態度が悪くても許されて、コンビニ店員は態度が悪いと社会の悪になってしまうのですね。