あらすじ
「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
累計92万部突破&20カ国語に翻訳決定。
世界各国でベストセラーの話題の書。
解説・中村文則
コンビニのアルバイトとして18年働く、独身女性の古倉恵子36歳。
週5でシフトに入り、勤務態度はマニュアル通りの”正しい”対応。
店長から重宝され、同僚ともうまくやっている、はずでした。
新入りのアルバイトが入ってくるまでは…。
かく言う私もコンビニ店員として4年間働いていました。
正社員、歳の近い学生アルバイト、日中に働く40代の主婦、未婚(恐らく)の30歳以上の謎の人。
日本社会の縮図かと思えるほど様々な人がいますが、それぞれ自分の価値観で相手をみていて、
「自分こそが主人公」だと思っているはず。
本作は、「コンビニ店員である自分こそが、普通で正しい主人公」と考える恵子の主観が鮮明に描かれています。
「なぜコンビニ店員なのか」。これが神髄だと思います。
目まぐるしく変わる衝撃展開に魅了されたいあなたも、
世の中の“普通”について考えを深めたいあなたも、
1~2時間でサクッと本を読みたいあなたも。
世界各国で読まれていることからも、作品の魅力は語るに及ばずですが、
皆様に1度は読んでいただきたい名作です。
感情タグBEST3
共感しかない
冒頭から難しい描写が一切なく、
全ての言葉、文章が読みこめ、コンビニで働く自分を見ているようでした。
幼少期から周りと同じでなければいけないという
呪縛、皆と違うと変わった人と思われ、削除される「村社会」をストレートに描かれています。自分の思いを発言し皆に驚かれる描写は、私自身がいつも感じている違和感を具現化してくれました。ストーリーもこちら側の人間には「わかるわかる」と頷ける事ばかりで、普通に生きている人には衝撃かもしれません。賞を取るにふさわしい作品でした。1時間で完読しました。
すごい!
普段読書などはしませんが、何かでおすすめされていて気になって読んでみました。
そんな自分にもスラスラと読めて、とても楽しめる作品でした。
そしてたまには読書もいいなと思えさせてくれました!
Posted by ブクログ
私は初め、逆張りしたい人間であるが故に、主人公が社会から逸脱している点に共感した。
読み進めていくうちに、彼女の周囲の人間の動物的きもさに血の気が引くのを感じた。実に生々しくムラ社会の強姦にあった気がしてゾクゾクして面白かった。
誰かからの受け売りの言葉を使うんじゃなくて、自分の言葉で話すことを意識したい。
Posted by ブクログ
主人公ほどで無いにしろ、私も世間の言う普通が分からず、他人に合わせて生きてきた部分があったので共感できるところが多かったです。最後は意見は分かれるとは思いますし、きっと老後大変なのは分かるんですが、老後のために今を犠牲にするのなら……と考えた時、主人公が自らの手でハッピーエンドを掴み取ったラストに感じました。とても良かったです。
Posted by ブクログ
無機質で合理的なはずの主人公に、どこか既視感を覚えてしまうのは、きっと、あちら側は誰にとっても決して遠いものではないからだと思う。
あちら側に留まり続けるには、覚悟がいる。選択しているようで、どこかで強制されてもいる社会の中で、「変わる」ってどういうことか、と考えてしまった。
役割を離れて、一人の人間として見られた瞬間、周囲は急に彼女を理解しようとし始める。その動きは、優しさというより、不確かなものを確定させたい気持ちに近い。
理解できないものは、不安になる。だから距離を取るか、あるいは自分の物差しを当てようとする。それで少し安心してしまうのが、身勝手だけど人間らしいところなのかもしれない。
Posted by ブクログ
この小説を上手に評価することができない。
主人公の視点を多少なりとも自分と似たものとして共感してしまうからだ。世間の口に出さない同調圧力と社会から爪弾きにならない為の努力も、結局正常から逸脱して看破されてしまう構図。どれも他人事とは思えない事柄ばかりで胸に突き刺さるようだった。しかし、この本がよく売れているという事実が幾分か救いであるように思う。(それが「娯楽」ではないことを祈っている)
Posted by ブクログ
普通とは何か?
多様化、男女平等、新自由主義…
様々な時代の流れで、価値観の多様化という言葉とは裏腹に"普通"が押し付けられる世界。それは確かに現代を表している。
主人公のコンビニ人間は無機質で規則・ルールが明確なコンビニで中でのみ生を感じることが出来る。しかし、社会はそれを許さない。
社会の側は社会の側で、大多数の人達の価値観と文書化されていないルールに基づき生きている。本質的にはコンビニのルールに従う主人公と社会のルールに従う周りの人々は変わらない様に思う。
最後のエンドは、ハッピーエンドだったのか。
コンビニ人間として生きていこうとする主人公は前を向いているように思えた。
Posted by ブクログ
社会に合わない人間はどうにか居場所を見つけても辛い。私にも合致する部分があり、とても辛くなってきた。社会に迎合し一員になれることは幸せだが他人によっては、一員にすらなることが難しいのだと痛感した。
評価としてなら文章量に比し重い内容であった。とくに登場人物の白羽には一部分の共感と大部分の拒絶を感じる人間像だった。
Posted by ブクログ
人とは違う考え方は、社会から排除される残酷な社会のあり方を痛烈に描いた物語だと思う。自分自身がみている世界の普通とはを問い直すきっかけになった。
Posted by ブクログ
すごい話だった。
私は古倉さんは自由になったのだと思う。自分でコンビニを再び選び取ったのだから。
白羽は自分が合う場所を探したり適応する努力をすることを怠っているから、作中の世間からの評価も「嫌悪」一択なんだと思う。ChatGPTによると実際の世間、世界中でも嫌われているらしい。
白羽は古倉さんの求人は嬉々として探して、世の中はどういう人を承認するかも理解しているのに、自分は挑戦しないことで逃げているから嫌われるのだと思う。
匿名
難しい言葉はひとつもなく、とても読みやすい本でした。読み終わるのも一瞬で、そこまで長い話ではないが、この短い話の中でとても考えさせられるものが多くありました。人生のうちに一度でいいから読んでみてほしい本のひとつだと感じます。
Posted by ブクログ
コンビニの、あらゆる無駄を排除し尽くそうとするシステマティックさ(特にセルフレジとか電子マネーが普通になってからは加速してる気がする)と、ビカビカに明るい白色灯の店内があまり好きではないのだけど、合理的な「歯車」になるなら、これ以上にない良い環境なのだろうなあと思った。
「普通」への同調圧力は前よりは弱まってるような気がするけど、逆に今は、表面上は個々人を尊重しつつ、実のところは排他的な無関心です、みたいなのが蔓延している気がしていて、それが都会的で心地いいみたいな面もあるんだろうけど、その風潮が行き着く先は弱肉強食な世界でしかないんだろうなあと思いつつ、じゃあどうすればいいのかと問われれば全くわからないというこの頃です。
「普通」とは?
普通とは何なんでしょうか
普通に学校に行く?普通に友達を作る?普通に就職する?普通に結婚する?普通に子供を産む?私も様々なことに違和感を感じながら生きてきた人間なのでこの本は非常に面白かったです。
なぜ他人の人生にそこまで関心を持てる人が多いのか、いつも不思議に思います。
私は普通がつまらないです。変なやつでいたい。
きっとまた読み返します。そのくらい好きな本でした。
読みやすいが考えさせられる
読みやすい文章で、忙しい時でもサクッと読めました。
周りと同じでなければいけないという小さいころからの空気に疑問をもつ主人公、
彼女自身の考え方を見て、こういう人もいるのかと、改めて勉強になったと思います。
オンリーワンの大肯定
現代日本の同調圧力による生き辛さを一蹴する好著である。
評価の分かれるラストシーンについては、コンビニバイトの行かず後家である主人公古倉恵子が、他人の目を気にし過ぎず、自分の納得できる生き方に進むことを示唆したもので、オンリーワンの生を大肯定するハッピーエンドと捉えたい。
また、本書はラノベのようにエッジの効いた会話やコンビニを水槽に見立てるなど文芸作品らしい表現技巧に優れ、ぐいぐい惹き込まれつつ読んだ。
一気に読んだ
面白くて夢中になって読んでしまいました。偏った思考だし、共感できるような事はなかったのですが、何故かこちらが救われるような気がしました。
おもしろい
読後の最初の感想は、「今っぽい話だなぁ」でした。
私は小説を頭の中でしっかりと映像化する癖があり、俳優さんや女優さんを当てて読みます。そうすることでより入り込めます。
今回の主人公は黒木華さん、店長は長谷川博己さん、など。
主人公は周りとは少し"違う"という幼少期をすごし、極力自分から何かを発さないように過ごします。
ゆくゆく自分が"違う"部分を治すのではなく、周りの"普通"な人を真似てあたかも同じかのように振る舞い生きていく。
それが非常にスムーズでやりやすいと感じたのが、コンビニ。
"古倉さん"という店員として存在し、幼少期がどうだとか考え方がどうだとか、主人公の感情や生き方など誰も気にしない。
品出し・レジ・掃除など必要とされていることを必要な分こなすという生活を35歳まで、アルバイトのまま、未婚で、続けます。
そもそも、この「誰も気にしない」というのは"普通"の人なら寂しく感じることだろうと思うけれど、主人公はその環境が心地よく感じています。
今まで"違う"ということを押し付けられていたがために、コンビニの一部になれていることに幸福を感じている。
正直、今は社会でもプライベートにまったく介入しないというのがむしろ良しとされる風潮がありますよね。
若者に多いのが
有給を取る理由を言う必要があるか?
恋人の有無を教える必要があるか?
オンライン会議では部屋を映さない とか。
何かとハラスメントでネーミングされます。
主人公のと訳が違うのは大前提ですが、
「迷惑をかけているわけではないのだから放っておいてくれ」というのは、今っぽいですよね。
白羽は迷惑かけまくってましたけど。
といった感じで、そのリアルな社会の感じが気分を暗くさせます。
それだけ入り込めるということだと思います。
いくらでも書けそうなので強引に締めました。
あと書いておきたかったのは途中で一瞬出てきた"主人公の成れの果て"の男性です。
お客の癖に商品を整理したり客の列を正したり。
白羽に促されるまま就職してしまったら、ああなっていた。
だから主人公の判断は正解で、ハッピーエンドだと思います。
読みやすくて
一気に読みました。発達障害者と思われる人物がコンビニで有能なバイトとして働く様子、ラストの決断に、ロッカーや正社員のふりなどは非常識な行為ではありますが、社会に大きな迷惑をかけるでもなく、この主人公がいきいきと輝ける場所があることを嬉しく思いました。
面白かった
面白かったです。
ただ、この話をどうとらえたら良いのかは難しいですね。
読んだひとそれぞれに思うところがあるでしょう。
良いとか悪いとかの話ではないでし。
ともかく、できるだけ多くのひとが下記のことに気づいて欲しいものです。
絶対的な善悪は存在しないこと。
生きることに意味は存在しないこと。
人間の行動はすべて自分のためであること。
(人のためにしていることであっても、
その人が心のそこから相手のためだと思っていたとしても)
世界中の人間はすべて別の生き物だということ。
悲哀を拒否している
アプローチが違えば、もう少し掘り下げられる気がする、
と読後に最初は考えた。
あまり異常な人の、突飛な行動で脚色して読者が面白がる作り方(構造)は、
これみよがしで共感も得がたく嫌だな、と思ったが、
深く考えてみると、演出や脚色が大袈裟なだけで、
こんな人はいくらでもいるのではないか、とも後で思った。
私の身近な職場にもずっとフリーターで生きている40歳オーバーが何人かいるわけで。
ただ、作者はそういう人を描きたいわけでなくて、
どちらかというと描きたかったのは、
主人公(多分作者の内面の一部)のある種の純粋さ(短絡的傾向)だと思う。
つまり、何がいけないの? と。
『主人公は』普通でありたいだけなのに、と。
間違ったことは何も言っていないと。
言ってしまえば、主人公はただすごく真面目に働いていて、
すごく真面目に質素な生活をしているだけの人ですよね。
ずるさもなく、欲もない。誰も傷付けない。周りが理解できないだけ。
肉親が哀しめば、合わせようとさえする。
独り身が悪いわけがないわけで。
それが、パブリックとプライベートの切り分けをして生きている世間の人たちからすると、
残念ながら受け容れられず浮いてしまう。
ただし、そのへんを悲哀に持っていかないのは、
作家としてそういった視点をもしかしたら
拒否しているのかもしれない。
言い換えれば、それは怒りではないかな。
やっぱり間違ったことは何もしていないわけですよ。
結婚なんて、したい人がすればいいわけで(私は妻子がいますが)。
それらを考えると、作者が主人公をかなりの変人のように描いたのは、
ある種の皮肉かもしれませんね。
そこまで考えると、大変良作だと思います。
私も作者と同じく、個性と言いながら異質なものを平均化しようとする世間は嫌いですね。
人間らしさってなんだろうと思う
人間らしさってなんだろうと考えさせられる作品。人の目をつい気にしてしまう人にはとても刺さると思います。題材は結構重いが、結構サクサク読めます。おススメです。
まさか、こんな内容とは
芥川賞を受賞した作品として知ってはいましたが、題名からライトな内容だと思い込んでいました。
誰かの普通は誰かの普通じゃない、そんなの当たり前だと思っていたけど、それこそ普通じゃないのだと思い知らされた感じです。
2人以上人が群れると、時として怖くなる。
普通圧力か…
深呼吸ができる場所で暮らしたいし、一緒にいる人には深呼吸させてあげられる人になりたいです。
Posted by ブクログ
ページ数も少なく
とても読みやすい本でした。
主人公が世間からズレていて
それでも順応しようと周りの真似をし
それでも世間の普通にはやっぱりなれなくて
でも普通 ってほんとなんだろう、と
多数が通る道が普通 なんだろうか?と
当たり前とおもっていた"普通"に初めて疑問を
感じてしまった日だったかもしれない。
でも1週間後にはまた普通に溶け込んで
その疑問も忘れてしまうんだろうな〜
いい意味で、気味が悪い本でした。
Posted by ブクログ
読みやすい文体 一日で読み終えてしまった
主人公の狂気をコンビニが縛り付けたからなのかそこまでしんどい展開にはならなかった
地球星人の方がありありと狂気が描かれていて良かった
この作品を経て地球星人が描かれたから当たり前だけども
Posted by ブクログ
コンビニ人間★3.7
感覚や感情が大きく人とずれているいわゆるサイコパスな主人公の女性。周りから見ると変なやつにうつってしまうのは仕方ないが、一生懸命周りに溶け込もうと工夫をして生きる姿が描かれている。実際僕の周りにもこういう事思って生きてる人もいそう。うまくカモフラージュできてるだけで。
最後、主人公と居候くん結婚して欲しかったな〜笑利害関係だけの結婚がどんな経過を経るのかも気になった。
Posted by ブクログ
とても読みやすく面白かった。
普通ってなんだろうね。
当たり前ってなんだろうね。
多数の意見が当たり前だと思い込んで、それを相手に強要してることがないか、自分を見つめ直せる作品だと思います。
みんなが思う、普通に生きることは簡単な事じゃない。
Posted by ブクログ
"普通"とか"こうした方がいいよ!"を振りかざされることへのアンチとかじゃなく、もっと純粋に「なんで?」と問いかけているような作品。 沙耶香さんが描くクレイジー主人公、共鳴はできないけど、共感できる部分は多かった。
Posted by ブクログ
普通とは
仕事して、結婚して、子供を育てて、たまに友達と遊んで、親孝行をする
これが世間一般でいう普通の人生
これに少しでも適合しない人間は異常者だとみなされる
作中の表現を引用するなら、ムラの役に立たない人間
普通という物差しが絶対的正義でそれを振りかざすことで傷つく人間がいるという想像すらしていない
人類は進化している様で本質的には何も変わっていないのかもしれない
発達障害の脳内思考について、理屈はわかるが論理がわからない感じがリアルだった
一人称で語られるため、主人公は普通の人間になりきれているのだろうと思っていたが、同僚が白羽とお似合いだねとか言ってきてたところで横転
Posted by ブクログ
他人に対して、こうした方がいいのに、こうするべきだと思ってしまうこともあるけど、それはただの押し付けだなーと反省した。
そして、自分に合った仕事を見つけて、いきいきと働く主人公が羨ましくなった。私もそんな仕事がしたいな〜
Posted by ブクログ
コンビニでバイトしていた過去から、最近のコンビニはできることが増えて大変だなぁと密かに感じていました。
主人公のように根っからのコンビニ店員という設定が珍しく、かつ、お客さんでなく店員というものにフォーカスしていて不思議な感覚で読めました。
個人的に白羽さんがクズすぎて現実にいたら嫌いになりそう笑
Posted by ブクログ
普通とか常識は何が基準で決められているのだろう。明確な指標はないのに、異質と言われる人は明らかに排除されている。
そうなると多様性とはどこからどこまでが″多様性″に含まれて、排除されないラインになるのだろう。
多様性といわれてる現代社会でも結局は″普通″が求められている。登場人物がいうように、人間は本当に縄文時代から変わっていないのかもしれない。
自由を求めながらも普通の範囲に収まりたがるのが、ある意味では人間らしいのだろうか。わたしはコンビニ人間にはなりきれないかも。
Posted by ブクログ
正常な世界はとても強引だから、異物は静かに削除される。
まっとうでない人間は処理されていく。
正常とは。常識とは。普通とは。
労働とは。生き甲斐とは。世間体とは。
「多様性」を掲げるこの時代にこの作品が受賞されている理由、心が痛むほど納得できた。
Posted by ブクログ
この主人公は、コンビニという仕事を軸に自分の全ての人生が回っている。
以前、自己啓発本で「人間は完全に自由の中では生きていけない」ことを学んだ。ある程度の縛りがあるからこそ、目標に向けて行動ができるのだと。
普通から逸脱した主人公には共感できない部分も多いが、仕事(コンビニ)を中心に自分自身が造られていくことはとても共感できたし面白かった。
考えさせられた
普段全く読まない小説、純文学でしたが、とても読みやすかったです。社会、普通、異質、圧力…すっと全身に入ってきて理解が広がっていくようでした。主人公に今の自分が重なって、胸が苦しくなりました。
匿名
社会が求める「普通」という名のコードとの距離感の問題はある人にとっては問題とも認識されず、またある人は完全にそれに同化してそのコードを拡大再生産する尖兵ともなり得るが、本作の主人公にとってはそれは対象として認識は出来つつもそのようには振る舞えない。一方で「コンビニ店員」としてのコードは完璧に振る舞うことができる。対して白羽にとってそのコードは自身を攻撃してくるのもでしかなく、と同時にそのコードを使って他者を攻撃してもいる。矛盾しているようでいて実際にはこのような人は多く見かける。
コンビニの他の従業員や地元の旧友、そして主人公の妹などは、彼らの価値体系(と言ってもそれは彼ら自身の頭で作り出されたものではなく社会が求める普通という規範であるが)からすると理解不能な主人公を、自身の理解可能な地平に持ってきてジャッジしようとする。そして「叱って」異物を排除して、内部の、「こちら側」の結束を固めようとする。
理解不可能なものを理解不可能なものとして理解する知性は多くの人には無いのだ。
普通って何?
個性が強すぎると敬遠され普通じゃないと言われ淘汰されていく。主人公は妹に助言を求め普通の人間に近づこうと外見や話し方を変えていく。そうしないと生きていけない。ただただコンビニの仕事に24時間精神も縛られてないと崩れてしまう。
毎回縄文時代を語る白羽さんとの出合いは彼女にとって普通になれる事だったのか?社会不適合者だったかも知れない彼女がコンビニ店員に身を置くことで社会の歯車に成れたと感じられればこれからも頑張れるのだろう。普通とは?と考えさせる一冊でした。
想像の斜め上をいく展開
友達に薦められ、書評を読んでから購入しました。
ありきたりの人間の苦渋を描いたストーリーかと思いきや、想像の斜め上をいく展開に驚きながら一気読みしてしまいました。
色々な人の生き方。これからの社会の多様性のあり方を考えさせられました。
普通という脅迫
知らずのうちに普通を演じ普通を強要している社会で主人公はコンビニというパッケージされた社会の歯車の中で生きていて、
主人公は結局、普通を消化してしまったのかしら。
それとも選び取った選択だったのかしら。
最後に賛否が分かれるけども、その意味を考えてしまうわねー。
せつない
コンビニ人間って何?
と思い興味本意で読んでみました。
現代の若者の象徴である就職難民からのコンビニバイト。
自分の娘や孫もそうなる可能性はゼロではないと思うと切なく、この様な社会にしてしまった大人達に是非読んで欲しいと思いました。
Posted by ブクログ
コンビニ店員になったことがないので、少し感情移入がしにくかった。コンビニの消費者側としての目線もあまりなかったので、主人公の価値観や温度感と自分の物語への没入感があまりなく、終始1歩引いた観測者的な視点で読んでいたと思う。
Posted by ブクログ
人と違う考え方を持つ主人公が精一杯普通の人になろうとしているのも伝わってくるし、その苦悩や周囲の人にも苦悩があるのはわかる。僕も変わってるとよく言われるから。だけど共感はできなかった。単純に登場人物たちの考え方が合わなかったんだと思うし、読んでいてイラッとすることもあり心地よい読書ではなかった。
ただ、現代社会に通ずるものはある。多数派が普通だというのはまぁそうなんだろう。
迷惑をかける部分は改善するとして、皆んなが普通になる必要はないし僕自身変わろうとは思わない。どうしてこう生きづらい世の中なんだろう。
Posted by ブクログ
コンビニで働くために生きている三十代後半、恋愛経験のない人の話。
恵子のこと、共感なんて全くできないけど、なんかわかってしまう気もする。普通になるためには働いて、結婚することが恵子の年齢では当たり前である。恵子は働いているのに「アルバイト」で、しかも就職先が「コンビニ」だから、「あちら側」のおかしい存在として、異物として扱われてしまう。私も薬局で働いてたことがあるけど、なぜか人にそこで働いているよとは言いづらく。コンビニとか、スーパーとか、そこで働くことがどうして人生の通過点の様な扱いをされなきゃいけないんだろうなとは思う、会社で長く働くことが当たり前なら、長く働くと言う部分では変わりないのに。と、接客業をしていた身からすると思った。
恵子のこと、全く共感とかはできないけど、急に男女のことになるとズカズカ入り込んで、恋愛があることが当たり前であるように話する人たちの気持ち悪さ、わかるなーと思った。
なんて言い表したらいいかわからないし、白羽にもムカつくけど、すごく、言葉にできない、痛いところをつかれているような、働くことや結婚の本質を突かれてるような小説だった
Posted by ブクログ
作者はこっち側もあっち側もちゃんと書いている、というのがすごい。現実のどこかにもこういう人はいるのかもしれない。そういう人に会った時、私はどうすべきなんだろう。
Posted by ブクログ
18年間コンビニでしか働いたことがない女性の話し。社会や世間の普通を俯瞰的に見ていて、かつ論理的な視点もあるのが面白い。イロモノ扱いを受けながらも、変化を起こそうと行動する。コンビニ人間というより、コンビニ職人の仕事ぶりと熱量を感じた。
Posted by ブクログ
日常的に使われる普通と言う簡単で複雑な言葉を再認識させられるような本でした。
自分はそんなことはないだろうとは思いつつ他人事とは思えない内容で短い話なのに重みのある一冊でした。
Posted by ブクログ
第155回芥川賞作品。なんともずっとキモいなぁこいつらと思いながら読んだ。普通の人間が持ちうる考え方を持ちえない主人公。完全に拗らせた社不の白羽。普通の社会とはどういうことなのか。コンビニから現代社会や人体などにアクセスさせる筆致による読書体験がとても良かった。共感は全然できなかった。
Posted by ブクログ
ゾワゾワした。主人公が異質であることは否定しようもないのだけど、行動原理に共感してしまう部分もあり、普通ってなんだ?異常ってなんだ?境界線が失われそうになる1冊。第155回(2016年)芥川賞受賞作品。
Posted by ブクログ
周りのみんなの顔色を伺って、自分の世界が平和であることを好む人こそ、ある意味、「普通」であることに囚われているのかもしれない。周囲から、あるべき姿を押し付けられて悩んでいる白羽くん自身が、さらに主人公にその理想を押し付けるように。
自分の枠組みに当てはめて他人を判断しない、自分の都合の良いように解釈しない。
同調圧力、空気を読むこと、これが特に強い日本だからこそ、響くものがあるのではないか。
コンビニの情景が、五感を使って表現されることにより、また普段とは違った角度でコンビニを思い浮かべることができた。おもしろい。
Posted by ブクログ
おもしろかった。
普通とはなにか。
普通でないものに対する大多数からの反応がリアルであり、途中で出てくるおじさんも普通でないだけなのかなと思う。
難しいが、大なり小なり生活する上で普通に寄せる事はあるだろうし消えているという表現がとてもあっているなと思った。
シュールすぎる
コンビニ人間って比喩でも何でもなくてそのまんまコンビニの為に生きる人間だった。でも自分も周りの話し方を真似したり影響されたりしてるから共感。
SF?それともサスペンス?読後感がとても後味が悪く、それが良い意味で面白かったです。
のほほんとしたコンビニでの日常小説かな?と、気軽な気持ちで読み始めたことを後悔しつつ、最後まで一気に読み終えてしまいました。
まず読み始めて、主人公は発達障害の傾向が強いなと思いました。
私自身ASDの診断を受けており、主人公には共感する部分が多い、というよりも、私が書いた日記を読んでいるかのような感覚でした。
作中で、主人公が妹に「いつになったら治るのか」「どうすれば普通になるのか」というように責められる場面があります。それに対する「指示をくれれば私はどうだっていい。ちゃんと的確に教えてよ」という主人公の言葉は、まさに私の主張そのものでした。主人公や私のような人間は、周りの要望に応えるためにわざわざ行動しようとしているというのに、一体どうして具体的な改善案を出してくれないのでしょうか。こちらが歩み寄ろうとしているのに、一方的に糾弾してくるなんて、どう考えても非があるのはあちらではないのでしょうか。
自分自身のモヤモヤが物語になった、というような作品で、共感は得られましたが、感動や新たな発見はありませんでした。
主人公がアスペルガー だとは書いていませんが、読み手によってはアスペルガーであるだろうと想像させて読ませてしまうところが、実際アスペルガーの人がいる中で生活している、もしくは家族や自分自身がアスペルガーである場合、評価というか読んだ感想や気持ちが大きく変わってくる作品だと思います。
小説というのはあくまで一人の人間、個人の思想を文字にするというものであるからこそ、それが全てではないということも含めて読むのでしょうが。
ここで描かれる普通や、主人公が紛れようとする普通や、登場する全ての人が目指す普通は日本独特の普通である部分も多く、人間世界に共通していえる普通もあり、日本の普通はどこかの国では普通ではない、アスペルガー だろうがなんだろうがここで書かれている皆が目指す普通のことは、ある人にとっては普通であっても、普通どころか君達は何に洗脳されてるのだと異様に感じる人もいるのも事実なので、普通を押し付けようとするシーンでのやりとりなどは、小さな世界感で独特で読んでいて気味が悪かった。カルト集団の小さな世界にも感じる。
この世界は広くて、どこかの空間では普通で当たり前になっているけど、どこかの空間では普通ではなく、当たり前じゃないことがある、人間は視野が狭くなると怖いなと感じ、気味悪さや生きづらさが伝わる作品です。
しかしながら、貧困という問題は個人の責任ではなく国をあげて取り組むべきことだと考えさせられます。こんなに真面目に一生懸命、天職を見付けて輝いて働いているにもかかわらず、人生の一生を保証されないなんて悔しいばかり。
コンビニのマニュアルは、軍隊の規律の中にいるようでさえあり、厳しいですね、怖いですね。
こんなに厳しい毎日なのに、一生懸命働いても保証されないのですね。料金支払い、荷物の受け渡し、毎日の食事まで。街の人々の為に、24時間手厚くおもてなしをしているのに、街の人のために動いてくれるはずの役所の窓口は態度が悪くても許されて、コンビニ店員は態度が悪いと社会の悪になってしまうのですね。