【感想・ネタバレ】四畳半神話大系のレビュー

あらすじ

私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい! さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。

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そうだ森見登美彦の京都、行こう。

過去を振り返って、あの時ああしていればあるいは…。と考えることは誰しもよくあることだと思います。
この小説ではそんなもしものルートで一体何が起きていたか、いや何も起きていなかったか…。そんな様子を覗き見ることができます。
たらればの道を歩むのもまた自分なのだとすると、実は何をしていても大して現状は変わらないのかもしれない…。

森見作品の京都っていいですよね。先生の作品を読んでいると京都に行きたくなります。
地図にしるしをつけて、作品に登場した聖地の巡礼を行ったこともあります。
そうしてから読み返すと、さらに良い読書体験をすることができますよ。おすすめです。

本作に登場する樋口氏は、別の森見作品『夜は短し歩けよ乙女』にも登場します。
私は、『四畳半神話大系』と『夜は短し歩けよ乙女』のどちらから読むかによって、読者が想像する彼のビジュアルは変化する説を提唱したい…!
紙版の『夜は短し歩けよ乙女』のあとがきにマンガ家・羽海野チカ先生のイラストが寄せられていたので、羽海野先生は『夜は短し歩けよ乙女』から読んだのではないだろうか…と思いました。
どちらも未読で、樋口氏のイメージがどう変化するのか気になる方は、『夜は短し歩けよ乙女』から読んでみるとよいかもしれません。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

東に三四郎という青春小説の富士山が聳え立つとすれば、西にこの作品群が東山三十六峰のように並び立つといえようか。
あ、明石さんは、映画サークルの明石さんが私には一番魅力的でした

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2025年11月26日

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平行世界なのに主人公の境遇はあまり変わらない安定感
繰り返すこで奇っ怪な出来事の因果関係が見えて深みが増す
最終話は期待以上の展開

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2025年10月23日

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アニメから入った
京都に住んでいるからこそ情景も浮かんできて楽しい
キャラの面白さと古風な語り口がハマる

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2025年09月27日

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ネタバレ

★★★★★読みながら常にニヤニヤ。およそ小津のような顔をしていたであろう。森見登美彦の描く、半分腐りかけた大学生の主人公に感情移入しまくり、なんともほろ苦い青春ストーリーに満足。 僕なりの愛ですわい。そんな汚いもん、いらんわい。 蛾の大群の出どころが最終話で判明、ぎょえええええええ!! やっぱり猫ラーメン、下鴨幽水荘、樋口師匠、蛾眉書房、鴨川デルタは外せない。成就した恋ほど語るに値しないものはない。

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2025年08月30日

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バラ色のキャンパスライフという理想を夢見る、主人公のたられば思考に共感できました。独特な古風で仰々しい言い回しとユーモアも面白く、主人公の内面の葛藤や妄想を、やたらと格調高く、しかしどこか滑稽に描くことで、現実のしょぼさとのギャップがあり面白い作品だった。

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2025年06月16日

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森見登美彦独特の読み口で、集中するまで時間がかかってしまうこともありますが、入ってしまえばイッキで読めました!やっぱりこの世界観には惹かれますね

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2025年06月15日

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「夜は短し歩けよ乙女」を先に読んでいて、
表紙が少し似ている!と思って買った一冊。
夜は短し歩けよ乙女に出てくる人たちも出てきたり
町の描写が似ていたりしていて
あー!これこれとなりながら楽しく読めた。
四畳半神話体系の方が読みやすくて好きだった。
4話の中で繰り返される日々、小津との関係性、語り手が語る様子、最初は大混乱だったけど面白くて良かった。

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2025年06月14日

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ネタバレ

四つの世界が並行していて、それぞれに伏線が散りばめられていることが一番最後にわかる非常に凝った作品である。四回繰り返すため読みやすい。
大学生として、大学の無意味と思われるような時間の過ごし方は実は特別で高尚なものだと知ることができた。
京都での学生生活の様子が場所や空気感と共にわかり、なんだか懐かしいような気持ちになった。
何気ない日常に飽きた日に読み返したいような本だった。他の森見登美彦作品も読んでみようと思う。

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2025年05月17日

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「無意味で楽しい毎日じゃないですか、何がそんなに不満なんです?」アニメにどハマりし原作を手に取りました!やっぱり大好き、素晴らしかった。自分がまだこんなに感動できる心を持ち合わせていたことに感動しました。言葉選びに知性のある悪口はほんと面白い笑 独特の癖になる言い回しを真似したくなるのは言うまでもない。

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2025年05月02日

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記憶消してもう一回読みたい。大刺さり過ぎる。あまり慣れない単語なのに、テンポよくてするする入ってくるのがおもしろかった。凄い。京都のどうしても人を惹きつけちゃう独特の空気を感じられた。

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2025年08月07日

購入済み

実に楽しい学生たちの生きざま

森見先生好きにはバイブルであろう。私個人的にはアニメが初見だったのだが、アニメも原作も沼落ちするだろう。テンポがよく愛すべき登場人物たちも実に面白い。私も笑いを堪えて読んでいた。

#笑える #アツい #ハッピー

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2023年04月07日

ネタバレ 購入済み

ヒロイン明石さんが魅力的。

TVアニメ化もされた名作。文豪調の語り口がとにかく面白い。
平行世界のSFオムニバス集ともいえるが、全編でヒロイン明石さんのクールキャラと悪友小津のひょうきんさが光る。
続編?から先に読んだので、こちらのほうが倍くらい長くて驚いた。実質2巻分くらいあるかな。

#癒やされる

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2022年10月29日

tea

助演男優賞 小津

いろんな変わったキャラ総出演
特に小津が素晴らしい
森見登美彦さんのセンスのある言い回しが好きです。

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2022年05月03日

購入済み

森見登美彦ワールド

独特の言い回しがとても面白く、笑ってしまう。400ページあり少し長いと思う方もいるだろうが、非常に軽妙な語り口で物語が進んでゆき、テンポがよいので苦ではないと思う。アニメもあるのでそちらもおすすめ。

#笑える #エモい #深い

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2021年07月03日

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深夜京都の4畳半夢を見てた
灯りの灯らない蛍光灯
明日には消えてる世界線に

色々なことをしても大元の人生は変わらない
春を告げる物語なのだ

なんか、こんなアホな一人暮らしに戻りたい
カミサマーッ

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2025年11月19日

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「あのときの選択が間違っていた...」と悶々とする人間がひん曲がったような大学生『私』が どの選択肢を選んでも大きな流れ・運命は変わらない といった感じのお話。『私』を取り囲む奇人変人愉快痛快な友人達がみな魅了的で面白かった。特に2話の代理代理戦争の終わりがどこか爽やかな感じがして好き。
だが、『面白い!』『名作!』という周囲の評価に期待を膨らませすぎたせいか、少し物足りなさも感じた。最終話で他3話とは違う結末を迎えていたらなあ と個人的には思う。
それでも、やっぱり森見登美彦の文体は心地よくて好きだなあ。

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2025年11月08日

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なんだか夏目漱石を読んでいるような雰囲気。でも内容は圧倒的に馬鹿馬鹿しい(笑)こじらせ過ぎてて好きです。明石さんに「あ、ほ」って言われてみたい笑。

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2025年09月27日

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ネタバレ

再読です。

主人公の私はどの世界線にいても小津と言うおおよそ怪物の親友と出会うことが何よりの幸せであるとわかった。
何か華やかなものを求めるのではなく、目の前にある好機を掴むことが大事だと何度も教えられた。

特徴的な個性あふれる登場人物には、読めば読むほど惹かれてしまう。

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2025年09月01日

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自身が大学生活、最後の夏休み。
あろうことか、現在目の三宝を骨折する大怪我を負い、入院・手術をする羽目になり。
外出が出来ないから本を買い込み読んでいるのだが。この本を読んで自身の現況に腸が煮えくり返る思いをしている…。楽しそうだ、羨ましい。

追記
読み終わらず…。大分時間がかかってしまったので、
あらすじを読むと、どうやら平行世界のような感じ?
毎度ほぼ同じストーリーを辿っているのであまり楽しく読めなさそうだったので、途中リタイア…。

ただ、1周目2週目読んでる時は面白いなって思ったのでこの評価にしました。

追記(2回目)
グダグダ言いつつ読み切ってしまった。
第4章の80日間は、著者の森見登美彦さんが過ごした学生時代の感じをほのかに感じた。
最終でなんだかちょっと好きになった。
しかし、同じくだりを読むのは好きではない(笑)

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2025年10月12日

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恋愛小説というよりはパラレルワールドの話みたいで読んでいて同じ場面が前にもでてきたなぁと感じながらも前に進めてサクサク読めた印象。

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2025年08月13日

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「お前…小津に似てるところあるな?もしかして小津か?笑」と言われたことをきっかけに読みました。
結果から言えば、癖のあるキャラクターで嬉しいやら悲しいやらでしたが、この本に興味を持たせた時点で友人の勝利です。ありがとう。

物語の舞台である京都で学生時代を過ごしたこともあり、臨場感を強く感じられて楽しかった。
また京都の街を散歩したいなと思いながら運命の黒い糸を探して人生を送りたいと思います。

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2025年08月11日

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やはり小津の存在感よ(笑)
彼が居るのと居ないのでは作品のおもしろさが段違い。
これからも奴の活躍を読みたいな。

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2025年08月01日

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パラレルワールドが正面から書かれた小説。

誰しも人生の節目を振り返り、「あの時こうしていれば」と思うことはあるだろうが、まぁ、どの道を選んでも、そう変わらないのかもしれない。そんな話。

森見作品を読むのは「夜は短し~」に続いて2作目だが、森見節といわれる古風でチョケた文体が癖になる。

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2025年06月29日

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ネタバレ

あの時こうしてればなーって思う時があるけど、例えどんな選択をしていても良くも悪くも「自分自身の範疇」になっていくし、それが自分らしさに繋がっているんではないかと感じた。数年前に読もうとした時はどうしても主人公に自分のダメな一面を重ねてしまって、読むのを辞めてしまったけど、今読み直して、よかったと感じた。学生時代はどんな下らない事でも、何かをやっていくことに意味があると感じた。

 4つの話が並行世界のような構成で、共通してる部分と、違う部分、それぞれの繋がりをペンで書き込んでまとめてみたい。書き込むようの本を買おうと思った。

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2025年06月21日

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ネタバレ

森見登美彦2冊目。
独特な世界観、遊び心のある構成、魅力的なキャラクター達。

もしこのコミュニティに入っていたら…と並行世界での大学生活4編が描かれる。どの道を選んでも結局は同じ人達に囲まれて、同じような出来事が起きるっていう構成が面白かった。解説にも記載があった通り、過去のことを悔やんでもしもの世界を考えても仕方ないってことなのでしょうね。

まぁ実際は、違うサークルに入っていたら、違うバイトをしていたら、出会う人も自分の行動も変わるんじゃないかなって思っちゃうけどな〜。もしもを考えても仕方ないですが…。

2章を読んだ時の既視感は今思い出してもふふっと笑える。あれどこかで聞いたフレーズ…と何度1章を読み返したことか。3章4章と進んでいくと、さらにあっここも同じだ!と答え合わせてしていく感じ。遊び心のある構成で面白かった。

小津は憎めないな。どんな道を選んでも腐れ縁になる運命なんて素敵だわい。

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大学のゼミで取り扱うということで、読むのは二回目になったが、とにかく面白い。うちの先生は、「この本を読んで面白いと思った人は、本好き(別に面白くなかったからといって本嫌いというわけではない)」と言っていたけれど、どの辺がそうなのかは、今もってよく分からない。

四話はどれも、大学三回生の「私」が、明石さんと結ばれるまでのキャンパスライフを自虐的に回想する話である。この物語の仕掛けは、四話が同じ「私」の並行世界になっていることである。
大学三回生の「私」は、小津という同級生とサークルで出会ったことで、自分のキャンパスライフが極めて彼の考える理想の「薔薇色のキャンパスライフ」からかけ離れたものになってしまったとして、自分の見るに絶えないキャンパスライフを語る。そして、一回生の頃、サークル勧誘で賑わう大学の時計台の下で、別のサークルを選んでいれば、小津と出会わず、もっと違う可能性があったのではないかと後悔する。
しかし、四つの物語が教えてくれるのは、映画サークル「みそぎ」、奇想天外な弟子募集、ソフトボールサークル「ほんわか」、秘密機関<福猫飯店>という、一回生の頃の「私」が迷った四つのサークル、どれに入っても小津と出会っていたという事実である。小津は、この四つのサークルを掛け持ち、必要のない暗躍をし、八面六臂の活躍をして、阿呆なキャンパスライフを謳歌しているのであった。結果、「私」は、大学一回生のあの日、どのような選択をしていたとしても、似たようなキャンパスライフを送り、似たような結末=明石さんと結ばれるに至ることになる。
とは言いつつ、第四話「八十日間四畳半一周」の「私」だけは、やや違った結末を迎えることになる。四話の「私」だけは、無限に続くあり得たかもしれない並行世界の四畳半を目の当たりにすることになる。そして、そのどれも変わり映えしない似たような自分の部屋を見ることで、自分のこの大学二年間が、どのような選択をとっても変わり映えしなかったのであろうことを悟るのである。

それはそうと、並行世界は、並行していながら、少しずつ重なりあっている。明石さんが古本市で落とした「もちぐま」は、「私」が拾い、コインランドリーの洗濯機の中で消える(第四話)。コインランドリーの洗濯機で「私」が拾った「もちぐま」は、小津の手に渡り、樋口の闇鍋へと入れられる(第三話)。樋口の闇鍋へと入れられた「もちぐま」は、羽貫さんへと渡り、鴨大橋で鴨川に落とされる(第二話)。鴨川に落ちた「もちぐま」は、同じく鴨川に転落した小津が拾い、明石さんの手元に戻ってくる(第一話)。
この物語で唯一、同一性を持って四つの並行世界を渡り歩いたのは、「もちぐま」だけである。第四話の「私」の手元に二つの同じ下着が残ったように、並行世界は、何かと何かのトレードオフの関係で繋がっている。そう考えると、おそらく第二、三話では「もちぐま」を介して何かが二重になり、第一話では、「もちぐま」が二重になっている。
重要なのは、この「もちぐま」が、物語の進展において、何の意味もなさないことである。「私」が最終的に結ばれることになる明石さんの持ち物を拾うという展開は、二人の結びつきおいて、何かロマンチックな伏線にもなり得るのにも関わらず、何の伏線にもなっていない。
実際、物語の進展において、最も重要であるはずの蛾の大量発生については、コピペである。

私と明石さんの関係がその後いかなる展開を見せたか、それはこの稿の主旨から逸脱する。したがって、そのうれしはずかしな妙味を逐一書くことは差し控えたい。読者もそんな唾棄すべきものを読んで、貴重な時間を溝に捨てたくはないだろう。成就した恋ほど語るに値しないものはない。(p393)

なぜ、「成就した恋」は「語るに値しない」のだろうか。それは、蛾の大量発生がそうであったように、ドラマチックな物語において重要なターニングポイントは、コピペで済むものだからではないだろうか
逆に「語るに値する」とされ「私」が語るのは、徹頭徹尾、どのような選択をせよ、変わることがなかった結末に至るまでの間にある、選択によって変わった棒に振った時間である。このことが、物語において重要なポイントだけが、コピペ的なのだ。

そういった意味で、この物語は、どうでもいいことを、語りによって「語るに値する」物語にする物語なのだと思う。

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2025年06月03日

Posted by ブクログ

完全なる森見節。全四話ですがさっくり読めます。読めるのですが、???とやるところもあります。主人公も妖怪の小津も樋口さんも明石さんも羽貫さんも城ヶ崎さんも相島先輩も香織さんも占い師のばあさんもコロッセオも蛾の大群も、全てが愛すべきキャラクターであり、造形がしっかりしているのに、絶対に実在しないと思わせるのがすごく良い。大学ってモラトリアムですよねー。

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2025年05月01日

購入済み

摩訶不思議な恋物語?

古めかしい語り口で語られる、卑猥なる四畳半パラレル恋物語。
主人公は孤高なる生き様を貫く?自堕落な大学三回生。
それに付け入るは、パラレルワールドを行き来し悪事の限りを尽くす妖怪小津。
無茶な要求ばかりする、仙人のように達観した小津の師匠、樋口。
樋口師匠と激しい悪戯合戦を繰り広げる城ヶ崎先輩。
んな人々 (主に小津) の巻き起こす騒動に巻き込まれながらも、怠惰さを以て抵抗する主人公の前に現れた一輪の華、黒髪の乙女、明石さんとの四畳半での目眩く恋の物語。
なのでしょうか。

独特の語り口が印象的な作品です。
表紙は可憐で古風な乙女が幻想的なタッチで描かれていますが、内容は大正ロマンな乙女の恋愛ものではなく、孤独で卑猥な大学生(男性21歳)の、特に努力や甘酸っぱい思いをするわけでもなく、最後に何故か成就してしまう摩訶不思議な恋物語です。

非常に不思議な作品です。
他の作家には無い感性で描かれています。癖になるかも。

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2014年09月16日

Posted by 読むコレ

何とも不思議な物語に出会ったものです。

四つの短篇からなる一冊ですが、四篇とも同じ主人公、同じ時系列、同じ場所を中心に広げられる異なる物語。
いわば読者は四篇の並行異世界を体験する事になります。

予備知識ゼロで取り組むと、この辺の仕組みを正しく理解するのに半分、約二〇〇頁も要してしまいましたが、理解してからは楽しさ倍増。
最近氏の作品の世界観も理解し始めてきた所だったので、余計な気を回す事無く純粋に没頭する事ができました。

ただ、最後の一篇は解決編に見えて読者を混乱させるだけだった様な。
発想は凄く楽しかったけれど。

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2014年04月06日

Posted by 読むコレ

アニメ化もされ話題の四畳半神話体系、モリミーの
ブレイク作品。「夜は短し~」しか読んでいなかったですが
こちらの方が癖も少なく読みやすいですねー。
ややSFチックなパラレルワールドが展開され、それに
従ってまるでコピペの様な文章が中毒性あります。

アホな生活をしすぎて色んな事を悔い改め始めた
自分が迷い込んでしまった四畳半無間ループ。
些細なきっかけ一つで過ごす時間は当然違えど、
やはり諸悪の根源「小津」との出会いや、謎の師匠
「樋口」、そして麗しく孤高の君「明石」さんとの出会いは
あって自分の世界はそれほど激変なんかしないのだ。
選択した後の行動で少しは自分自身や環境なんか
変わるんだ。例え、魚肉ハンバーグとカステラしかなくってもw。

ちょっとしょっぱく少しだけ個性派のウジウジした
ほろ苦い青春SF小説なのだね。

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2013年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

パワレルワールドを描いた作品は映画やゲームでは触れたことあるけど小説では初めてだから新鮮だった。
あの時ああしていれば…って人間誰しも思うことだけど、どれを選んでも人生は大して変わらないのかもしれない。この小説の主人公もどのサークルに入っても小津と出会い明石さんと恋仲になるのだから。
あんまり期待せずに読んだけど前向きになれる本だった。

「可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である」は名言。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

京都を舞台に繰り広げられる青春コメディー。
大学1回生のときに他のサークルに入っていれば…という平行世界の連作短編。結局どのサークルを選んでも関わる人に変わりなくて、「私」のポジションや物語の結末がほとんど変わらないという展開。心当たりがありすぎて少し辛いけど面白い。最後に無限の四畳半という平行世界を巡ったときも、ほぼ同じ四畳半がずっと展開されていて、相当の平行世界で変わらないキャンパスライフを送っているんだと思うと悲しくて面白い。

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2025年09月19日

Posted by ブクログ

サークルの大学生活の平凡な話しかと思ったらボロアパート四畳半をループする不思議話。
伏線回収はするけど、めちゃおもろくなるわけでもなく回収に時間かかり過ぎ。
言い回しも変に癖を出してる感じでテクニックあるふうに魅せたいだけの平凡な作品。

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2025年09月07日

Posted by ブクログ

奇天烈奇妙な読み応えがあった
最終章にようやくタイトルの意味が腑に落ちる

大学生ならではの、しょうもない、どうしようもないけれど掛け替えがなく向上性のない充実した日々が人生の薬味のように感じる一冊です。

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2025年07月08日

Posted by ブクログ

小津に始まり、小津に終わる。
恋愛については「逐一書くことはさし控え」ても、「唾棄すべき親友」のことは語りまくりじゃないか。
「私」にとっての青春はこっちなんだろうな。
万城目学『鴨川ホルモー』でも感じたが、やはり京大には賢いあほうが大勢生息しているのかも。

加茂大橋から鴨川デルタを眺めてみたいなあ。
『四畳半タイムマシンブルース 』も読んでみたい。

――
樋口さんと羽貫さんは『夜は短し歩けよ乙女』にも登場。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

並行世界もの

何を読まされてるんだ となるもののバカ馬鹿しさが面白かった。久々の長編で達成感も
どんな道を選んでたとしても…というような流れではあったがほんの少しズレた視点で流れゆく世界が鮮やかに見えたりした
謎多き小津くん、彼みたいな存在が実は彩を与えてくれてたのを感じる主人公。自分もそんな友達が幼馴染からにいてニヤニヤしながら読んでた
何の涙か分からんが80日間後に出てきて自分で???謎な感情だった(たぶん感受性のせいだな)
途中で突然外人名が出てきてすぐに何のことかわかるんだけど、1番笑ったとこかもしれん
京都の賀茂大橋や猫ラーメンや下鴨神社やら行ってみたくなる

好きなフレーズ引用
腰の据わっていない秀才よりも腰の据わっていり阿呆のほうが結局は人生を有意義に過ごすものだよ
この桃色筆まめ野郎!

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

あの時ああしてれば、と思うことは誰でもあるけど、どの道を選んでも結局大して変わらないかもしれない。って本。
京都いいなあ

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2025年05月01日

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