あらすじ
「杉森くんを殺すことにしたの」
高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。
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Posted by ブクログ
子供に勧めたい作品です!
最初は衝撃的なタイトルが気になって読み始めました。
ふんふん、杉森くんは嫌なやつなのね、だから殺したいのねと思っていたのに、読むにつれて様子が変わってきてあっという間に読んでしまいました。
とても大事なことを伝えてくれる本だと思います。
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最後の方、理由が明らかになって涙が出ました。杉森くんが男性ではなく女性で、既に亡くなっているというのが中盤で明らかになります。
主人公が杉森くんの事をずっと考えています。
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▼高校生女子・ヒロが主人公で。杉森君、というのはヒロの中学生までの親友(女子)。その杉森くんは、どうやら高校に入っていろいろとうまくいかず。ヒロとの間も、ぎくしゃくして親友ではなくなり。孤立した杉森くんは、自死してしまった。
▼・・・というここまでの段取りは、はじめは分からない。冒頭はいきなり、主人公ヒロが「杉森くんを殺すことにした」という決意から始まります。
追々とわかってくるんですが、この時点でもう、杉森くんの自死から暫くたってるんです。つまり、杉森くんはもう死んでいる。だけどヒロは、杉森くんを殺すことにした。
▼私は杉森くんを殺すことにした。となると私は殺人者、殺人罪にやがて問われる。だからふつーの?高校生活はもうどうせ送れない。だからやりたかったことをとにかくやることにする・・・。そうしてヒロの、ちょっと型破りな日々が始まる。
▼つまり、ちょっと風変わりな鋼のマイペースメンタルを持った女子高生の青春物語・・・かのように見せて、徐々に事情と経緯がわかってくる趣向。岡本喜八監督の「ああ爆弾」みたいな・・・?。の、ようにみせて、実は「かつての親友が自死してしまった。死ぬとは思っていなかった。私もその人を追い詰めた責任がある」という喪失感と心の傷から、若者が恐る恐る、がむしゃらに、あちこちにぶつかり転がりながら、結果的にそこから立ち直っていく・・・というか受け止めて生きていくというお話です。
▼もちろんものすごくデリケートな題材で、それそのような経験を実際にした人からしたらどう思われるのか分かりません。けれどそれに敬意を払いすぎると、「完全なる私小説しか価値がなくなってしまう」ことになる。ということを踏まえて、未成年の自死を社会問題としてどう解釈していくかということは棚に上げて、小説としてとても気が利いているし、読ませる素敵な本だと思いました。
▼もちろん、フィクションですから。主人公ヒロの周りの、半径5mを彩る高校生たちが、結果的にすごく素敵な人物が多い。素敵な人物であることが見えてくる。そのステップが読ませます。そこンところが<ぬるい> <興ざめ> という感想を持つ人もきっと多いと思います。自分もひょっとして20年前30年前だったらそう思ったのかもしれません。表現は渡す人と受け取る人の間で、その行為の数だけの成立をするものでしょうから。自分は好きでした。こういうのはニヒリズムの闇に落ちていくか、フィクションとしての救いを描くかの分かれ道に立っていますから。どちらでも、小説なら小説として良いとか悪いとかではなく、つぶあんが好きかこしあんが好きか、みたいなところもあります。
▼後半で、ヒロが、<自分と杉森くんの間の関係の変遷>を振り返るくだりがあります。そこでは、依存、共依存みたいな危険性が平易な言葉で語られます。そういう「見方」というか「視点」というか「ことば」が差し出されるだけでも、ひとつなにか、具体的なココロの格闘が描かれて、そこに直視する勇気と受け止める勇気と、わかったような言葉で、あるいは分かったような沈黙でやりすごさない勇気があると思いました。
▼なんにつけですが、下の世代の営みをネガティブにとらえることは、けっこう自己肯定の甘い香りです。それはそれでそういう安定剤が必要な局面もあるとは思いますが、もし本当にそうならば、一年一年、自分が加齢して生きていくこともつらいことになってしまいますね。いろいろと風情やツールは変わっても、10代は10代、20代は20代で、小学生でも幼児でも、難儀なことも多いでしょう。いつの世でも自覚的かどうかはともかくとして、未来に向かう人は「君だけで行け」なんでしょう。そのときに沿道で応援する人にはなりたいものです。きっと応援された人は、応援する人になると思いたいですね。しかし、適切に応援するのは難しいでしょうし、今あるいはこの先それができるという自信もありませんが。それができる知恵や力のあるオトナになりたいものです。素敵な本でした。
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愛があるからこその心の反応。いきすぎた友情って案外簡単に生まれてしまうものだとしみじみ感じている。あなたのことは大切に思っているから頼って欲しい。でも、わたしだって人間。わたしにも限界がある。そんなことをお互いがわかっていないといけない。
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号泣や〜
辛いことが起きた時の心の変遷が上手く物語に落とし込められていた。
タイトルしかり、最初は?と思っていたけれど、全貌が見えてくる中で登場人物全員がとても愛おしい気持ちになった。
頼る先が一人だけだと共倒れしてしまうというところと、お兄ちゃんの謝罪とトラウマ島の話が特に響いた。
教師やカウンセラー、悩んでる人はすべからく読んでほしい
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以前からタイトルが気になっていて、たびたび話題にもなっていたので購入。
プロローグから漂う不穏な雰囲気から物語に引き込まれ、ページをめくるたびに見える世界が変わっていくような読書体験ができた。
「杉森くんを殺す」という言葉の意味が変わっていくというストーリー面の読み応えはもちろんだが、それに加えて児童書ながらとても考えさせられる内容だった。
自分の中に「リトル○○」がいるというのは非常に共感できる感覚で、それをめぐって主人公が悩むのとともにいろんなことを考えながら読んでいました。
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こども新聞におすすめで載っていたので読んでみました。40代の主婦ですが子供もいるのでためになりました。
リストカットに気付いたときは、冷静にケガの処置をしてどうしてこんなことしたの?と聞くこと。
依存先は複数持って相談すること(自立)が大事だということ。
大好きな杉森君が杉森君を殺したのが受け止められなくて自分が殺したことにしたこと、なんとなく分かるような気がします。
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妻が本屋で見つけた本でした。
辛くて悲しいけれど最後に光が見えました。
面倒くさいことをやらなければ楽しいことも見えて来ないという主人公のセリフが印象的です。
とても素晴らしい作品でした。
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私は、杉森くんを殺すことに決めた。
高校生のヒロは、意地悪で嘘つきで、ヒロに依存しすぎる杉森くんを殺すことに決める。
喪失感からの再生の物語。
*
なんて悲しく、そして希望に満ちた物語だろう。
私自身もかつて杉森くんのような状態になったことがある。
自分だけが苦しいと思い込み、その苦しみから逃れたいと近くの人に過剰なまでに依存してしまった。
結果、その人は私から離れていった。
もし私が逆の立場であれば、同じように行動しただろうに。
人は決して一人ではないんだ。
繋がっていないようで繋がっている。
もし私が今ここにいなくなってしまったとしたら、誰かの生活にほんの少しでも影響を与えることは間違いない。
一人で苦しんでいる人、一人だと勘違いしているすべての人に、この物語を読んでほしい。
心のどこかに、何かが引っかかるはず。
素晴らしい児童文学だ。
Posted by ブクログ
主人公がミトさんとか良子ちゃんを頼るときに、自分が杉森さんと同じように負担を掛けてないか、杉森さんを助けられなかったのに自分は助けを求めて良いのか、自問してるところがよかった。リアルというか、確かに主人公みたいな状況に置かれたらそう思っちゃいそう。
あと良子ちゃんは本当に良い子。
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杉森くんは、躁鬱を持っている彼女のことを思い出す。少し重なるところがあり、杉森くんのようなことにはしてはいけないと感じた。
200ページくらいで読みやすく、子供にも読んで欲しいような本だと思う。「たくさんの依存先をもって、人に相談できていたら、それは自立」これは刺さった。
Posted by ブクログ
児童書としてはぎょっとするタイトルですが、ホントに「杉森くんを殺すには」という内容でした!
中盤に主人公が爆発した後、新しくできた友達が離れていったら辛かった……でも、そこは救いあげてくれてよかった…。ちゃんと児童文学や地方演劇系にみられる類型だった……。
周囲の人が、いい人ばっかり!
一緒に墓参りまで行ってくれて!
杉森くんが既に死んでいることは予想できましたが、実は女の子で、ただ、中身男の子とかじゃなくて『性別が決めつけられることに違和感を感じる』というのは、そこまで掬いあげてくるようになったんですね~と膝を打つ感じです。令和!
心が落ち切っている最初の方から、だんだん回復してくるにつれて、杉森くんの良かった面、大切な思い出、親友だった気持ちを思い出していくのが良かったです。
解説のカウンセラーさんの『ヒロは、誕生日のろうそくを一本ずつ吹き消していくかのように、「殺す理由」をまとめていきます。』という表現が素敵。ちょうど15歳のヒロの年齢と同じ数というのも、気付かなかった着眼点。
自分の中の『他者』を殺さず、生きていくという結末はとてもよかったです。
殺さないと、罪の意識で潰れちゃいそうになったところから、悲しみと経験を自分の一部として受け止められるようになったということだと解釈しました。
Posted by ブクログ
まさにエヴァンゲリオンの最終回
自分の中のAさん、他人の中のAさんは同じだけど違う、良子さんが「自分の中の相手のイメージと現実がどんどんかけ離れちゃって相手の一挙手一投足が目障りになっていく」自分の中の感情や声を聞けるか言語化できるかが重要だなと。
それができるように最近日記を始めてみた
最近身近に知ってる人が病気などで亡くなることがあったので死とは何か、生きるとは何かみたいなことを考える機会が増えた
コミュニティが多い人の方が幸福度は高いという話しを聞いたことがある、最近仕事しかしてないけどいろんなコミュニティに顔を出していろんな場所の「自分」を置いていければと思う
Posted by ブクログ
タイトル通り、杉森くんを殺すことにした女の子の物語
以下、公式のあらすじ
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――「杉森くんを殺すことにしたの」
高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。
傷ついた心を、取りもどす物語
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最初はヒロが自殺を考えているのかと思った
ミトさんの反応が、それ程慌てたり焦ったりしていなかったし、ちょっと違和感を覚えたので
あと、二重人格やイマジナリーフレンドの可能性も考えた
そのうち、お父さんの言葉により、杉森くん実在する人とわかったが、それと同時に「既に亡くなっているのは?」と察することもできた
序盤に、大きな音がしたからと言って義母が様子を見に来るのも、そのせいとわかるし
授業中に好き勝手やっても教師がそこまで踏み込んでこないのもそう
杉森くんは、べつにトランスジェンダーのような違和感ではなく、ただ単に息苦しさを感じてただけのように思える
そんな人から一方的に助けを求められる立場
うーん、とても大変だろうなぁ……
トラウマ島の例え話
島の外からは中の湖は見えない
湖の中にいる人はぶくぶくとあぶくを出している
山の上からは見えるが、助けようと思って湖側によりすぎるとすり鉢状になっているので、自分も湖に落ちてしまう
多分、私の場合は湖の存在に気づかない
気付いて頂上から見たとして、落ちる危険性を察知して島から出る気がする
依存先にされるしんどさは想像できるので……
自傷行為を見かけたときの行動
適切な姿勢としては外科医の反応
冷静に治療をする 感情的にならない
そして、自傷行為がエスカレートする前に精神的なケアを行う
それは知識としてはわかるけど、果たして実際にその場に居合わせたら冷静に対応できるだろうか?
そもそも、そんな状況に立ち会うからには、それなりに親しい人なわけで
もしかしたら感情的になってしまうかもしれないなぁ
ミトさんの後悔
義理の妹から杉森くんについての話を色々と聞いていたようだけど
立場的に、そんな相談をされても、ミトさんも決して大人という状況でもないしねぇという思いもある
もし自分が、娘からそんな友達がいるという話を聞いてたらどうしただろう?とも考えた
冷たいようだけど、その友達に深入りはしないように諭しただろうか?
それとも、娘の意思を慮って応援しただろうか?
まぁ、何にしても、それはもう「大人の対応する領域である」事は伝えただろうな
どんな立場であれ、関わった人は「自分にも何かできていたのでは?」という自省をする事になるだろうし
結果的にどうあれ、何が正解だったのかなんてわからないものだし
その時々で最適と思う行動をするしかないんだよね
いや、ホントに難しいなぁ……
帯の言葉が金原瑞人さん
娘さんは金原ひとみさんで
この方も生きにくさを感じていた人だし
その親としても感じるものがあったのだろうな
児童書に分類されているけど、大人も読んでおいたほうがいい
特に子を持つ親
あと、物語の枝葉末節として
杉森くんが自死したという情報だけど
ド田舎だとしたら、噂がすぐに広まるだろうし
容易に遊園地に行こうと思えば行けるという環境なので
舞台となっているのはそこそこ都会なのだろう
そんな環境も物語に関係しているような気がしないでもない
むしろ、ド田舎だったらこんな結末にならなかったかもね
Posted by ブクログ
タイトルで誤解しがちだけれど、一人で抱えるには重たい悩みを抱える人に、そっと寄り添ってくれるような、苦しくて切なくて優しい話だと思った。
もし自分に子どもがいたとして、泣き腫らして帰ってくる事があったら、いつでも手に取れる場所にそっとおいておきたい本だと思える。
Posted by ブクログ
サクッと読めるが感動させられる本でした
なんか何気ない一言の「ほんとどうするんだろうね」という文字でうるっと来てしまった
もう手がないけどやらないといけないし…自分で納得の落としどころはどこなのか…考えてしまうとダメですね〜涙腺が…
というわけでよかったです!
Posted by ブクログ
一文が短くてわかりやすい言葉が並んでるから、するするするすると読めた。
主人公はちょっと単純で周りの言葉に影響を受ける(言い換えれば素直)けど、一方で自分の信念を強く持ってて、その信念が強いが故に自分を縛り付けてた。
それが周りの温かい人の支えによって柔らかくなってく様に、私の心も温かくなった。
佐藤さんと塩野さんが離れた理由とか、大切なものを無くした悲しみに共感したり、高校生の心の動きにときめいたり、とても素敵な時間だったな、、。
生きるのが少ししんどくなった時に読みたい一冊。
Posted by ブクログ
テーマは重いものの、かわいい表紙、柔らかい文章、優しいキャラクター達のおかげで辛くなりすぎずに読むことができました。
学生時代の友達への依存について、どちらの立場も身に覚えがあったので今の子もそうなんだなと思いました。、
最後の精神科の先生のページが優しく、読者の子供たちへの配慮が感じられて良かったです。
Posted by ブクログ
大人だけどためになった。
ミステリーの形式をとったバウンダリーを学ぶ本。
当事者だけじゃなく、周囲の大人にも読んで欲しい本。
主題とは別で、細かく思春期の悩みごとが書かれていて、学生生活真っ只中の若者には、何かしら気づきがあるんじゃないかな?
学生独特の、夏休みを挟んで、クラスのグループ編成が変わる感じとか、
オタク友達が、高校デビューして付き合い悪くなる感じとか懐かしい〜と思いながら
おばさんは読んでました。
★明日の私に
公認心理士の監修が入っていたり、
巻末に参考文献が書かれていたり、
信頼できる本だと思われます。
★私的な関連本
「わたしはわたし、あなたじゃない」鴻巣麻里香
「モヤ対談」花田菜々子
「言葉を失ったあとで」信田さよ子、上間陽子
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夏休みに読書感想文の宿題が出されている子どもたちも多いと思う。
本屋さんに行くと、課題図書やおすすめの本がたくさん並んでいた。
その中にあった本書。
児童文学にしてはなんとも印象的なタイトルだ。
そして本を開くと、一文目は
「杉森くんを殺すことにしたわたしは、とりあえずミトさんに報告の電話を入れた」
え、いきなり殺人予告?
ミトさんって誰?
と疑問符いっぱいの始まりなのだ。
もうすでに引き込まれてしまっている。
でも次第にわかってくる。
杉森くんはどんな人なのか、ミトさんは「わたし」にとってどんな人なのか、「わたし」とそれぞれの人との関係性…
この話は物騒な物語ではなく、もっと深刻な話だ。
今まさに、「わたし」や杉森くんと同じようなことを感じながら生きている人には少し説教っぽく感じるかもしれないけど、そんな人たちにも、大人にも読んでほしい。
Posted by ブクログ
主人公の「ヒロ」は高校1年生の女子高生。
「ヒロ」には友人の「杉森くん」を殺す理由が15個も有り、今、そして過去を振り返りながら、来たるべき時に向けて、着々と準備を進めていく・・・。そう、これを児童文学作品とするには、あまりにも恐ろしい物語なのである。
・・というわけではないので、いま深い悩みを抱え、人生にもがいている方はもちろん、どちらかといえば、周りに気を使うことのできる余力のある方に読んで欲しいと思った。
推しの言葉「人は一か所に執着したら依存。いっぱい依存先もって、あちこちに相談できたら自立という。」 ★4.1
Posted by ブクログ
ちょっと本筋とはずれるかもだけど。友達と微妙な時にどう距離を空けるかって、思春期には難しい問題だったよなーと。私にも離れてしまった友人がいるけど、タイミングややり方が違えば今も友達だったんだろうな、とちょっと切なくなった。
Posted by ブクログ
杉森くんを殺したい理由が前半と後半で徐々に変わっていき心の機微が感じられた。主人公と杉森くんの関係はかけがえのないものだし本当に大切な存在なんだと読んでいて心を打たれた。家族や友人との触れ合いの中で心が解放されていく主人公、ラストにむけて改めて杉森くんの存在の大きさに気付かされました。とても良い本でした。
Posted by ブクログ
高校1年生のヒロは決意する。杉森くんを殺す、と。
義理の兄に相談し、後悔しないためにやりのこしたことをやっておくことと、なぜ殺さないといけなかったのか裁判で話せるように理由をちゃんとまとめておくことを杉森くんを殺すまでにやることとして、高校生活を始める。
衝撃的なタイトルながら、その決意を聞いた大人たちの反応に違和感を感じながら読み進め、だんだんと全容がわかってくると、思春期が蘇ってきた。
今の子たちはきっとわたしの時代よりも複雑化した人間関係の中で生きているんだろうなあ。
大人になってからも思うけど、居たくないところに留まる必要なんてなくて、逃げることは悪いことでもなくて、ここじゃないと思ったらどんどん自分で環境を変えてみたらいいんだよね。
Posted by ブクログ
児童書の棚に並ぶ本の中で、ショッキングな題名が目を引き手に取った。野間児童文芸賞受賞作品とは後で知った。
おそらく中学生から高校生を読者として想定しているのだと思うが、文章はやさしいようでいて、抜き身の刀のような張りつめた緊張感を感じた。
いじめや生きづらさを抱える生徒を主人公に据えた物語は少なくない。しかし本作は、その生徒のすぐそばにいる人たちに焦点をあて、「その後のフォロー」や「傍にいる人はどう受け止めればよいか」といった点を大きなテーマとして描いていて、独自の視点が強い印象を残した。
杉森くんを殺す理由は、再読すると全然印象が違ってくる。
読み手によって受け止め方が違うと思うが、臨床心理士・公認心理師の高橋恵一氏の解説も合わせて、中高生にとっては一読の価値が十分にある。大人も含め、人によっては胸に突き刺さるような内容だと感じた。
トラウマのドーナツ島と自分を傷つける人への声のかけ方は、この物語と併せて覚えていようと思った。
Posted by ブクログ
「自立とは依存先を増やすこと」
「自立」と「依存」は一見すると相反する言葉かと思うけど誰かに相談できる場所を複数持てるということは人と人との繋がりがあるということだから「自立」になるのかなと思った。
それにしても良子さん、男前でカッコいいね!