あらすじ
「杉森くんを殺すことにしたの」
高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。
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Posted by ブクログ
以前からタイトルが気になっていて、たびたび話題にもなっていたので購入。
プロローグから漂う不穏な雰囲気から物語に引き込まれ、ページをめくるたびに見える世界が変わっていくような読書体験ができた。
「杉森くんを殺す」という言葉の意味が変わっていくというストーリー面の読み応えはもちろんだが、それに加えて児童書ながらとても考えさせられる内容だった。
自分の中に「リトル○○」がいるというのは非常に共感できる感覚で、それをめぐって主人公が悩むのとともにいろんなことを考えながら読んでいました。
Posted by ブクログ
こども新聞におすすめで載っていたので読んでみました。40代の主婦ですが子供もいるのでためになりました。
リストカットに気付いたときは、冷静にケガの処置をしてどうしてこんなことしたの?と聞くこと。
依存先は複数持って相談すること(自立)が大事だということ。
大好きな杉森君が杉森君を殺したのが受け止められなくて自分が殺したことにしたこと、なんとなく分かるような気がします。
Posted by ブクログ
児童書としてはぎょっとするタイトルですが、ホントに「杉森くんを殺すには」という内容でした!
中盤に主人公が爆発した後、新しくできた友達が離れていったら辛かった……でも、そこは救いあげてくれてよかった…。ちゃんと児童文学や地方演劇系にみられる類型だった……。
周囲の人が、いい人ばっかり!
一緒に墓参りまで行ってくれて!
杉森くんが既に死んでいることは予想できましたが、実は女の子で、ただ、中身男の子とかじゃなくて『性別が決めつけられることに違和感を感じる』というのは、そこまで掬いあげてくるようになったんですね~と膝を打つ感じです。令和!
心が落ち切っている最初の方から、だんだん回復してくるにつれて、杉森くんの良かった面、大切な思い出、親友だった気持ちを思い出していくのが良かったです。
解説のカウンセラーさんの『ヒロは、誕生日のろうそくを一本ずつ吹き消していくかのように、「殺す理由」をまとめていきます。』という表現が素敵。ちょうど15歳のヒロの年齢と同じ数というのも、気付かなかった着眼点。
自分の中の『他者』を殺さず、生きていくという結末はとてもよかったです。
殺さないと、罪の意識で潰れちゃいそうになったところから、悲しみと経験を自分の一部として受け止められるようになったということだと解釈しました。