あらすじ
「杉森くんを殺すことにしたの」
高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。
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Posted by ブクログ
帯が翻訳家の金原瑞人さんで「読み終えた瞬間、自分はこんな本を読みたかったのだと確信する本がたまにある。これは間違いなく、そういう作品だ」って書かれてて、そして表紙のポップさとタイトルの物騒さのギャップが気になってた作品。
あっという間に読み終わっちゃったけど、めちゃくちゃよかった…。
高1の子が主人公の児童文学だけど、児童書って本当に子供のための本じゃなくて子供でも楽しめる・あらゆる人のための本だなあ〜と改めて実感しました。
色んな人間関係の中で日々を進んでいく主人公の姿がよかったし、周りの友達とか大人とかに色んな形の誠実さが見えるのもとてもよかった。
そしてシンプルに構成が上手くて先を読みたくさせる面白い小説で、この本は本当にネタバレありで感想書きたかった!
杉森くんに関して書かれる殺さなきゃいけない理由が、前半と、事実が判明して折り返した後半で、同じことなのにまったく違う視点で書かれる反転の鮮やかさ。
人間って多面的で、それは自分の中にも多面性があるし、誰かを見るときも多面的に捉えた方がいいっていうか、実は多面的に捉えてることもあるし、そしてそれって、時間の流れがあるから、同時には発生しない多面的な部分が時間の経過の流れの中で見えたり、時間が経って見え方が変わったりするもので…。
でも時間の流れは一方通行だから、取り返しがつかないことも絶対に起きて、そういう取り返しのつかなさとどう向き合うかという話でもあったなと思うし、時間が前に進むからこそ新しい人間関係が構築されたりして、、、
やっぱり児童書によく描かれる、そういう誤魔化しがきかない前向きさ・誠実さが好きかも。
本当に読んでよかった本でした。
Posted by ブクログ
児童書だけどそう思わせないぐらい面白い展開。最初に殺したいと言った時はギョッとしたけど、まさか自殺やグリーフケアの話に繋がるとは。すごく良くできているし、読ませる。最初ん?って思ったことがどんどん見え方が変わっていって明らかになるという展開で面白い。さらに学びもある。最初はくん付けだからクラスにいるわがままで嫌な男の子だと思っていたけど、女の子だったし、わがままなんじゃなくてヒロにしか心のうちを開かせなかったのか。大人にも子どもにも読んでほしい。素晴らしい本。ミトさんも大人として、対応しなかったのは悪かったと思ってるところまであるのがすごいなと思った(語彙力)。一つのことに頼っているのは依存だけど、依存先が複数あればそれは自立。覚えておきたい言葉。
Posted by ブクログ
児童書好き仲間の紹介で読みました。ドキッとする刺激的なタイトルと、それに逆らうようなかわいいイラストの表紙絵。
ページを開くと「もしあなたが悩みや不安をかかえてこまっているときには、相談できる場所があります。」と書いてあって巻末に相談先が掲載されている。
う~ん、なんかモヤモヤするな~。
読んでみると、よく考えられた構成の物語だと思いました。
主人公ヒロは複雑な家庭環境の中で生活している高一の女子。以前からの友人杉森君に不満があり、殺したいと思い、その理由を15個考えながら物語が進みます。
その中で徐々に家族のことも杉森君にしてあげられなかったことの後悔も整理されていきます。
結末には納得するけれど、なんかモヤモヤするな~。
モヤモヤの理由その1
これって児童文学なの?それともYA向けの心の問題予防啓発のための実用書なの?
あとがきの解説が心理士の人だったり、最初に書いたけれど
相談先リストを巻末に載せていたりして、誘導?。
文体が若い人の口語体なのに反して、心理士の解説が生真面目な分析調なのもとても違和感ありました。
もしかして、この本を読んだせいで自殺やリストカットする人が増えたり、出版社に苦情が来ると困るから相談先を書いたのだろうか、なんて勘ぐったりもしました。
モヤモヤの理由その2
この物語には素敵な大人もひどい悪人もでてこない。ちょっと天然な感じの主人公が15回もかけて、まわりくどく杉森君を殺す理由を考えてる。それは何故なんだろうとモヤモヤしながら考えました。
物語の後半に
「けんさくすればすぐにわかることだった。なんで私はすぐに調べなかったんだろう。今みたいに指ひとつ動かせばすぐにわかることだった。手に取るように簡単に」
と主人公のヒロに言わせています。
そうか、ここが著者が言いたかったところなのかもと思いました。
今の世の中は検索すればすぐに答えが出てくるから、
だからこそ早わかりせず15回かけて
「なぜ杉森君を殺したいのか」(なぜ杉森君は死んでしまったのか、なぜ止められなかったのか)
考える必要があったのかも知れません。
読んだ私もモヤモヤしながらいろいろ考えることができた物語でした。
小学校高学年から大人まで向け。第62回 野間児童文芸賞を受賞。映画化されるそうです。
Posted by ブクログ
題名のインパクトで手に取って、びっくり。
てっきり、超大作の殺人計画が記されているのかと思っていたのに、杉森くんは実は…
読み進めるにつれて杉森くんの正実体が現れ、
ヒロの本音が見え隠れ。
気持ち分かるよ!なんて軽く言えないけど、誰かが傷ついた時に自分を攻めずにはいられない感覚、きっと覚えがある。
思考の矢印が自分の方ばかりに向いてどうしようもない時、思い出したい一冊。
Posted by ブクログ
金原瑞人さん推薦の児童文学!ってところで読みたくなった。
タイトルはそういう事かってすぐに分かるようになっていて、もしこれを思春期の子達、登場人物と同い年くらいの子が読んだらどうなるか怖くなった。
主人公のような発想になるのか、周囲に居る人達がどんな人かでも結末がコロッと変わるような題材なので、姪っ子に渡す前に読んでみたけど渡すのはやめようかな。
Posted by ブクログ
児童書でこの書名とは!でも、杉森くんは、結愛の親友だった。でも、中学校になり一緒にいるのが嫌になり連絡もとらなくなった。その杉森くんが自ら命をたってしまう。結愛のせい?心に傷を負った女の子のはなし。
Posted by ブクログ
高校1年生のヒロが杉森くんを殺そうと血の繋がってない兄であるミトさんとの電話から始まり、ミトさんからのアドバイスで杉森くんをなんで殺そうとしているのか理由を付けていく。何故仲が良く幼なじみだった杉森くんを殺そうとしているのか。
今風の文章の書き方で読みやすさはあった。
杉森くん(さん)は身体は女の子だけど心は男の子?ヒロは杉森くんを実際に殺そうとしていた訳ではなかった(もう既に杉森くんは自殺していた)。杉森くんは親や先生などには優等生のいい子として振舞っていたが、本当は不満だらけでそれをヒロに聞いてもらっていたがヒロもそれに付き合いきれなくなってしまっていた。杉森くんが不満を言ってもいい逃げ道のような存在であるヒロから距離を置かれるのは辛いことだし、ヒロも杉森くんの心情を知らずに不満ばっか聞かされめんどくさく、嫌になってしまった気持ちはよく分かる。
杉森くんの周りにもっと話を聞いてくれる存在が多ければヒロ1人にかかる負担が少なくなり杉森くんは自殺しなくても良かったかもしれない。
Posted by ブクログ
児童書なので読みやすいが内容はなかなかヘビー。
これを理解できる子どもはどれだけいるか…
私自身が抱えている過去の傷や、思春期の苦しさを思い出させて時に共感し、時に追体験して苦しくもなった。
中2の我が子が先に読んだのだが『全く意味がわからなかった』とのこと。これを読んでわからないと言えるのは幸せだということか…?分かりすぎても親としては不安になるが…
以下本文要約
★人って1箇所だけに執着してたら依存なんだって。わりとよくないことだって。でもいっぱい依存先をもってあちこちに相談できてたら、それは自立っていうんだって。
Posted by ブクログ
我、くもん出版という会社の本を初めて読む。あまりの清らかさに蒸発せし、ことばもなく、ただ呆然と本を置くなり。まさか杉森くんが自殺してしまっていたとは、可能性として思ってはいたけれど、脳みそが震えた。「言うて、殺さんだろう」と思っていた我の予想は当たっていたが、さして嬉しくもなく、我が身の汚さを直視した。ミトさんのヒロへの告白が、誰しも覚えのある内容で、身につまされる思いであった。これは依存についての物語であり、杉森くんは永遠に死ぬことはないのであろう。大人でも一読すべし、書物である。
杉森くんがなぜ杉森「くん」を望んだのか、きっと性別で判断してもらいたくなかったのだろうと推察される。けれど、ピンクとフリフリが好きでありながら、決めつけを嫌っていた。杉森くんとはとても厄介で、めんどくさく、愛おしい生き物なのであった。
Posted by ブクログ
高校一年生の主人公ヒロの親友「杉森くん(女の子)」が自殺した。それを、どう受け止め、乗り越えていけば良いのか。
ヒロは表面的には冷静のようだが、深く傷ついているのは確かで、家族やクラスメート、新しい趣味を見つけたりしながら、乗り越えていく。
杉森くんが、実際には何が一番つらかったのか、明確にはわからなかったが、子どもに限らず、現代のストレスの中で生きていくと、積もった疲れも含めて「落ちて」しまうことは多い。誰もが、どこかに「逃げ道」や「捌け口」を持っておくべきだが、それは誰か一人に縋りつくことではなく、相談場所を多く持つこと。
この本流にいうと、それが「依存」ではなく、「自立」することなのだ、と。
巻末、スクールカウンセラーが解説しているように、大人としては、その声に、どれだけフラットに批判や評価をせずに聞けるかにかかっているのかも、と感じた。