あらすじ
「杉森くんを殺すことにしたの」
高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。
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Posted by ブクログ
タイトルには驚かされた。
そうか、殺すってそういう意味か。
すごい話だ。
なかなか正面切って取り組める問題ではないが・・・
主人公は高校1年生か、文章的にはもっと小さい子でも大丈夫だが、中身はやっぱり高校生だなあ。
いい話だった。
モーニングワーク、グリーフケア
ぎりぎりのところで生きている人たちの助けになればと思う。
Posted by ブクログ
主人公の「ヒロ」は高校1年生の女子高生。
一文目は杉森くんを殺すことにしたから始まる。そのことをミトさんに話したところ、やり残したことをやること、殺さなければならない理由をまとめるよう言われ、やりたかったことリスト化し行動に移す。
各章ではミトさんに言われたもう一つの杉森くんを殺さなければならない理由がひとつづず書かれている。
最初は杉森くんに問題があったのではとなり、読み進めるといや、ヒロのほうがとなった後で、二人とも普通の子供でただの友達同士だったとわかる。
それと同時に杉森くんは自殺しまっていて、何とか折り合いをつけようとしていることがわかり、そこからヒロが前に進んでいくまでのが描かれる。
この本の感想を書くのは難しいと思う。
単に自殺はよくないとか、友達とは仲良くしたほうがいいとかいうのは簡単。でもいろんな悩みとかを抱えていて、そんな単純なものじゃないしなぁと。
作中でも色々悩んで、何とか答えを出したり折り合いをつけているのをみるとホントにそう思う。
作中で書かれている「人って、一か所だけに執着してたら依存になるけど、いっぱい依存先をもって、あちこちに相談できたら、それは自立になる」この一文はすごいいい言葉だし、年代問わずこの言葉は刺さると思う。
大小問わず一人で悩んでも簡単には答えは出ない。答えというか折り合いがつくまでに何年もかかることもある。無理して抱えるんじゃなく、逃げてもいいということ。ほかの依存先に逃げてもいい、そうやって折り合いをつけて道を開いていくことが大切なんだとおもった。
Posted by ブクログ
リアル本にて。
積読チャンネルで紹介されていて、自分は買うまでには至らなかったのだが、妻には紹介が刺さったようで、珍しく欲しがったのでバリューブックスで購入した。
その経緯から妻が先に読んだのだが、最初にビックリしたのは妻が一息(二時間ぐらい?)で読んでしまったこと。普段読書しないのに、この本はすらすら読めたとのこと。
それならということで私も続いて読んでみた。確かに読みやすい。特に杉森くんの現状について明かされるまでの前半は、読みやすさと先が気になることとで、どんどん読み進めてしまう。一方で、後半にはヒロの感情の不安定さを理解できるようになり、前半部含めて改めて咀嚼したくなる。
相談するにせよ、依存するにせよ、相手を絶対的な存在としてしまうことは、自分の普段の行動を鑑みてもよくある。しかし、相手もただの人間。この小説では依存される存在、そして限界を迎える存在が高校生だが、大人であっても何歳であっても、ただの人間であることに変わりはない。プライベートでトラブルを抱えていれば、平常時と同じように相談に乗れないだろうし、例えほかのことが順風満帆だったとしても、強い依存に耐えられないことはあるだろう。少数に強く依存するのではなく、多数に少しずつ依存することで相談先に対して配慮しなければならない。そのためには、弱く依存できる人間関係を広くもつ必要がある。そんな打算的に人間関係を構築できるものではないだろうが、少なくとも家族だけに強く依存することしかできない、という状況は避けなければならない。また、歳をとって自分が相談先になることも徐々に増えてきたが、裏返しで、自分一人で受け止めることに固執せず、適度に受け流す、あるいは、ミトさんのような外部に頼らなければならない。もっとも避けるべきは共倒れ。
そう考えると、女性のおしゃべり文化は複雑な人間関係を形成する社会での生存戦略として、非常に合理的に見えてくる。男性はそのような行動が苦手な人が多い気がする。少なくとも自分は苦手だ。
Posted by ブクログ
涙腺が弱いので泣きました。
インパクトのあるタイトルからは考えもしなかった繊細な物語でした。この本が必要な人がいると思うので、そういう人に本当に届いて欲しい。
ひとつの所に頼るのは依存、たくさん頼る所があるのは自立。なるほど。仲良しだった子とたくさんの楽しかった思い出があるのに、歳が大きくなって関係が変わってしまうのって辛い。年齢は全然違うのに、色々と考えることがありました。子供だけじゃなくて、周りの大人も考えなきゃいけないなと思わせてくれた最後の兄の言葉も響きました。
Posted by ブクログ
こども新聞におすすめで載っていたので読んでみました。40代の主婦ですが子供もいるのでためになりました。
リストカットに気付いたときは、冷静にケガの処置をしてどうしてこんなことしたの?と聞くこと。
依存先は複数持って相談すること(自立)が大事だということ。
大好きな杉森君が杉森君を殺したのが受け止められなくて自分が殺したことにしたこと、なんとなく分かるような気がします。
Posted by ブクログ
児童書としてはぎょっとするタイトルですが、ホントに「杉森くんを殺すには」という内容でした!
中盤に主人公が爆発した後、新しくできた友達が離れていったら辛かった……でも、そこは救いあげてくれてよかった…。ちゃんと児童文学や地方演劇系にみられる類型だった……。
周囲の人が、いい人ばっかり!
一緒に墓参りまで行ってくれて!
杉森くんが既に死んでいることは予想できましたが、実は女の子で、ただ、中身男の子とかじゃなくて『性別が決めつけられることに違和感を感じる』というのは、そこまで掬いあげてくるようになったんですね~と膝を打つ感じです。令和!
心が落ち切っている最初の方から、だんだん回復してくるにつれて、杉森くんの良かった面、大切な思い出、親友だった気持ちを思い出していくのが良かったです。
解説のカウンセラーさんの『ヒロは、誕生日のろうそくを一本ずつ吹き消していくかのように、「殺す理由」をまとめていきます。』という表現が素敵。ちょうど15歳のヒロの年齢と同じ数というのも、気付かなかった着眼点。
自分の中の『他者』を殺さず、生きていくという結末はとてもよかったです。
殺さないと、罪の意識で潰れちゃいそうになったところから、悲しみと経験を自分の一部として受け止められるようになったということだと解釈しました。