小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
六条河原に晒されていた浅井、朝倉の首が何者かによって盗まれてしまった。明智光秀はその報告に衝撃を受ける。もしも主君の信長がその事実を知れば、光秀自身は殺されはしないだろうが、競争相手として脅威になっている秀吉に遅れを取ってしまうことになる。それだけは耐えられない。そんな嫉妬心も相まって、信長にバレないように、光秀は首を別人のものとすり替えようと決める。
ということで本書は去年の私のベスト1小説だった『白鷺立つ』を書かれた住田さんの第二作目となります。江戸時代を舞台にしていた前作から大きく時代はさかのぼり、舞台は戦国。信長、秀吉、光秀と歴史に詳しくないひとでも知っているスーパースターが中心の物語になっています。なので普段、歴史ものは苦手で読まない、というひとにも馴染みやすい物語になっているのではないかと思います。首をすり替えた一件は光秀にとって暗い影のように付きまとい、やがて意外な形で信長と光秀の関係を大きく変えることになります。最後に報いた一矢には、忘れがたい余韻が残ります。 -
Posted by ブクログ
コロナ禍の2人の小学生心晴ちゃんと冴ちゃん。学校も育った環境も違って接点のない2人だけど、コロナが流行り出してそれぞれが窮屈な毎日を送ることに。
学校行事とか友達と過ごす時間とか失った物も多かったけど、コロナで気付けたこともあったんじゃない?コロナ禍を耐えたからこそ得られた物もあったんじゃない?と思わせてくれるお話しでした。
当時、我が家にも中学生、小学生、幼稚園児がいて色々と工夫してたなと思い出しました。家の中で出来る遊びを探して粘土代わりにニョッキを作ったり。せめて美味しいものをって張り切り過ぎて家族でちょっと太った気もします。
冴ちゃんのママが大好き。
冴ちゃんの幼馴染・蒼葉くんと、心晴ちゃんの家庭教師・樋口先生も素敵な方でした。
瀬尾さんやっぱり大好き。
『あと少し、もう少し』『おしまいのデート』とエッセイの『ありがとう、さようなら』が大好きで私の中のベスト3だったんですが、この『私たちの世代は』と新巻『はじまりのスープ、夏ゼリー』も大好きなのでこれからはベスト5で。瀬尾さんの本全部好きだから、絞らなくても良いんだけどね。 -
Posted by ブクログ
読みながら、また読み返したいと思った
何度も再読する1冊になりそう!
一編目を読み終えるのが寂しかったけど、
その後の話にも時々登場人物が出てきて、
そこからまた想像を膨らませられたのが楽しかったな!
一編ずつちゃんと満足感があるのに、
さらに別の話でまた登場人物に出会えることで、
満足感が積み重なっていく感じもした!
短編だけど、
お話が短かったなっていう気持ちが残らなくて、
初めて短編も好きかも、って思った
誰かの強さや人間力に救われて、
前を向いていく人たち。
その人たちの考え方の変化に、
ぽっと明るくなるような気持ちをもらった
最後の解説にあった町田その子さんについてのお話を読んで、納得。
本当に1行目から惹きつけられる。 -
Posted by ブクログ
これはミステリー小説ではなく事実であるということに衝撃を受けます。このノンフィクションは、2019年2月、JA対馬の職員、西山義治が車ごと海にダイブするところから始まります。
JA共済の中で日本一の営業成績を誇る西山。
JAの表彰式では、CMに起用されている仲間由紀恵さんからも声を掛けられる程の優秀な営業マン西山の、巨額過ぎる億単位の横領。
彼は長い間の不正により、JA共済に22億円もの損害を出し対馬の海に身を沈めました。事故死なのか?自死なのか?なぜ離島の小さなJA支店で22億もの横領を行えたのか?彼が1人で行えた犯行なのか?組織ぐるみなのか?
著者のノンフィクション ライター窪田新之助氏は想像を超えた綿密な取材を行い、深層を究明していきます。
著者の心血を注いだ取材で次々に明らかになるJA対馬及びJA共済の、あまりのずさんさと村社会的構造。その背景にある罪の意識の無い共犯者たちの存在。
ただただ唖然とするばかりで混乱してしまいます。
著者自身、あまりの事実に嘔吐、頭痛、胃痛に襲われる程です。それでも取材を続けた姿勢に頭が下がります。
読み終えてを思うのはこんなことがあったからと言って組織の体質は大きくは変わらないということです。共済職員へのノルマが見直された程度で。
なぜなら、親組織は22億くらい立ちどころに補填できるし、今回の事件で損をした顧客はひとりもいないから。
暗澹たる気持ちですが、窪田さんのこの著者が、『ペンは剣よりも強し』となるよう心から願っています。告発してくれた方の勇気にも感謝です。JA共済の上層部の方々に一人でも多く読んでいただけますように‥。
※オーディブルで。
・2024年 開高健ノンフィクション賞 -
Posted by ブクログ
おもしろかった…!!最初の方は、なんだかんだ最後は2人とも自分の運命に逆らえず、折り合いをつけながら元の場所に戻るのかな…とぼんやり予想していたのですが、クライマックスの癒知とクミが2人でいる時のパワーはそんなもんじゃなかった!とことん抗いまくって、読んでるこちらも手に汗握りながら、がんばれ!がんばれ!と心の中で叫び続けていました。
クミもかわいそうだが、癒知の境遇がひどすぎる。教団の中のシーンは胸くそ悪いことばかりです。大人が自分たちの幸せのために子どもが子どもらしくいることを禁じるなんてあってはならないことです。信仰と言えば何でも許されるのは間違ってる。
2人の母は本当に情けない。癒知の母の娘への態度は事情を知れば気持ちもわからなくもないし、これが彼女が信じる最大限の愛情なのだろう。でも癒知が今明らかに幸せでないのは直視すべきで、自分の考えは正しいのだろうかと悩むことを放棄して信仰を理由に思考停止しているし、なにより娘の友達への気持ちを大事にせず、クミの家庭にしたことは絶対に許されない。クミの母も最後最悪だった。娘に言う事がそれかよ、娘を何だと思ってるんだ!と殴りたい気分でした。
ラスト、ここで終わっちゃうの?!と思ったが、確かにここが2人のピークで、このあとは辛い現実なのだろうと思うと、ここで終わるのが一番いいのかなとも思う。でも2人には幸せになってほしくて、それを読みたいと心から思いました。
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。