あらすじ
「猿がいる」と言い出した同居人。
かすかに感じる、妙な気配。
曾祖母の遺産相続。
胸に湧き上がる不安。
岡山県山中の限界集落。
よく判らない違和感――。
ただの錯覚だ。そんなことは起こるはずがない。だが――。
怖さ、恐ろしさの本質を抉りだす、瞠目の長編小説。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
終始一貫して、『なんだかわからないものが一番怖い』ということを伝えようとしているんだろう。
絶対2度目、3度目読むたびに怖くなっていく作品だと思う。
怖さは何か、体験させてくれる作品。
Posted by ブクログ
最近出会った小説の中でいちばん余韻すごいかも。
周りの人に薦めて、感想を聞きたくなる本
個人的に、恐怖の本質は頭で理解できないわからなさ、不確定性にあると思った
Posted by ブクログ
ホラーではない。これは「恐怖」「怖い」についての物語。ストーリーは単純。視点人物である女性が、同棲しているパートナーを置いて、最近亡くなった(会ったこともない)曾祖母の住んでいた限界集落(と思しき)岡山の山村へ、相続関係の手続きの一環として赴くというだけ。章立てもなく(時間が飛ぶところはあるが)、視点人物の見聞きした物事、思考、他の登場人物との会話が延々と続き、特別事件や怪異は起こらないまま300頁以上進む。件の集落、別段因習もオカルトめいた秘密といった横溝正史的要素は何もなく、集落へ至る途中の心霊スポットとされる隧道も怪異とは全く関係ない。かといって退屈かというとそういうわけではなく、会話や思考を通して、ホラー小説にありがちは舞台立てについてのメタな思考が展開され、なぜか夢中で読んでしまう。いろんなホラー的装飾が剥ぎ取られ終盤、純粋な恐怖が剥きだしになり、そしてラスト! いかようにも解釈のできる物語として閉じる。さすが京極。面白かった。
Posted by ブクログ
続きが気になりすぎて気になりすぎて、読み終わってほっとした。
たかあきは、実は最初から猿だったのか、なんだったのか。
ありきたりな恐いに行きつかないところが、京極っぽくて良い。
Posted by ブクログ
「恐怖」とは何か?
あらためて問われると何とも答えにくいが、この作品を読んでいくと「なるほど」とすとんと胃の腑に落ちる。相変わらずの憑物落とし的な語りにものすごい言葉の力を感じる。
恐怖を分解していけば確かにわからないや、気配は大きな恐怖の構成要素だと気づかされるが一人でそこに辿り着くのは難しい。
そして「恐怖」は人によって異なるからこそのラスト。もうちょっとだけ先が知りたい。
Posted by ブクログ
“恐怖”を突き詰め、様々な恐怖の表現に臨んできた京極夏彦氏だからこそ書ける表現。
件の集落というか曰くの場所までの長ーーい道のりと、何も見えるものの無い、恐怖を“感じる”ラスト。
貞子的な女性とか、呪いとか、田舎の集落の因習では無い、独自の目新しいホラーだった。
他にない逸品だからこそ読む価値も面白さもある。
これだから京極作品からは目が離せないのです!
Posted by ブクログ
京極御大のホラー本。
妖怪も事件性もない御大の作品を読んだのは意外と初かも。それなのに漂う不安と恐怖感。じんわりと気味が悪い雰囲気がいい味出してるね。
恐怖を感じるのに理由はいらない。というより、語られる理由はすべて後付けになってしまう……。この意見は正しく慧眼だなぁ。
主人公が感じる違和感も、村民が感じる恐怖感も、すべて理由がない。理由がないからこそ解決できずに恐ろしい(余談だけど、だからこそ人々はそれに名前を付けて妖怪のような形を持たせることで解決していたのだな。憑き物落としの構造だ)。
”猿”という、人に近いのに人の心を持っていない異物。言語化できない気味の悪さが、恐怖心につながり解体できない謎として残る。
この構造が明らかになってなお、最後の3ページの裕美に起きたことを説明しきれない。ああ、本当に気味が悪い……。(ほめてます)
Posted by ブクログ
めっちゃホラーなんですけど‼︎ 分かりやすいオチがない方が怖い。2軸の謎があるのだけれど、全然交わらないまま最後急に同じところに行き着くのも怖い。
Posted by ブクログ
「怖さ」とは何か、理屈理屈理屈でいろんな角度から紐解いていった先があの結末なの、ほんと厭だ…。テクニックの話を聞いていたのに、普通に素手でぶん殴られた気分。
章立て無くシームレスに物語が進んでいくので読み止めるタイミングが難しかった。途中の村の変遷とか法的根拠などのくだり、説得力持たせるためのパートなんでしょうが難しいし本筋とは関係ないのでそこは読み飛ばしても大丈夫!あとホテルの女子会のシーンは全員オカルトに前のめりすぎてなんか笑ってしまった。
Posted by ブクログ
恐怖とはなんだろう?生存本能からくるものなのか?ありえないと思い込んでいる現象、物、自分の常識が通じないことすら恐怖の対象にはなるのかもしれない。現実が恐怖が逃げ出したい感情が猿なのかもしれない。京極ワールド現代バージョン、面白かった!
Posted by ブクログ
こんなにすっっっと読み終える京極作品は初めてかも。大体いつも文字数そのものが多いし、書かれていることを考え考え読まされるし。
何もない、何もないと説明され続けることで怖い。
読み終わった後で、結局何!?ってなるのも怖い。
Posted by ブクログ
京極先生を初読。
すごい作品を読んでしまった。
何も起きていない。事件も怪異も明確な「何か」もない。なのに、怖い。
「怖いということが怖い」という感覚が繰り返され、何が怖いのかわからないのに怖い、という状態そのものが恐怖の本質を突いてくる。
文体だけでこれほどの怖さを生み出す才能に感服。
タイトル通りの「猿」も、主人公やパートナーには見えている猿が怖いと感じるも、他人にはただの動物、というズレがまた怖い。
怖いものはなく、「怖いと思っていること」が怖い。当然の理屈を大作規模で徹底的に描き切る技量に脱帽しました。
ジャンルって、「何も起きないメタホラー」か「恐怖の本質を問う小説」みたいな感じになるのかな?
あと、装丁の角度によって猿が浮かび上がる仕掛けも魅力的。
初読で衝撃的だった一冊でした。
Posted by ブクログ
猿?ホントに?猿?
初めと終わりの場面は同じ
だけど………
読み終わると
中の部分が夢のよう
全体に不穏な感じが付いて回る
安心できるのはいつになるのだろう
Posted by ブクログ
「分からない」状態は不安で怖いので、人は分かろうとする。考えても分からない、確証が持てないときは、補填してくれるものを探す。それは単純な因果関係であったり、ラベリングだったりする。自分の気持ちに沿ったものを受け入れやすく、客観的事実などは必要ない。それを信じ込む方がもう「分からなくならない」ので安定する。
などなど、「分からない」ことに対する人間の心理を連綿と説いていく。本当に途切れず延々とだ。ところが一気に場面転換して隙間に落とされる。「分からなくなる」のである。
本書における「猿」は思考停止した人間の象徴だ。しばしば現れる黒いものは、理解できない事柄を視覚化したものだろう。世の中で起きる事象には必ず説明できる原因があると思い込み、しかも自分に都合の良い答えに飛びつくことの危うさを感じた。それでいて、解らないことをそっくりそのまま吞み込むこともまた難しく危ないということなのかもしれない。
なぁーんて、訳知り顔で言いたくなるのである。一生懸命考えちゃうのである。なぜなら解んないからだ。ひー、怖いよ。
Posted by ブクログ
最後の50ページくらいは一気に読まされた。
恐怖とは何か、恐怖はなぜ感じるのかというのを書いてある物語であった。
どうゆうことなんだろう?と思わされることが散りばめられているのだが、それを回収することなく物語が終わる。
読後感は「???」となったのだが、面白かった。
Posted by ブクログ
うーん訳が分からなかった。
ただなんとなく怖かった。
話の展開が遅かったなあ。
京極さんたまにわけが分からない話書くからなあ。
賞がなかったので読みにくかった。
Posted by ブクログ
わからないものは恐い。人はよくわからない現象に恐怖をいだく。それは、人の防衛本能である。人は理性を働かせて、因果関係の物語をつくることで、わからないことをわかったようにして恐怖をなくそうとする。科学的に理解できる事象とか論理として理解できる事象については恐怖をいだかないように克服できるが、理解できない事象にはいくら理性で克服しようとしても恐怖を抱いてしまう。
幽霊を見るのが怖いのではなく、怖いから幽霊を見るのである。因果の転倒。
Posted by ブクログ
【祐美】外田のうの曾孫。【隆顕】祐美の夫。引きこもっている。「猿がいる」と言った。【芽衣】のうのもう1人の曾孫。喫煙者。【外田のう:ほかだのう】袮山村で亡くなった。相続人は祐美と芽衣しかいない。【袮山村:ねやまむら】のうが死ぬまで暮らしていた村。岡山県の山奥にある。明治以前からいわゆる限界集落を維持し続けていた不自然さ。姥捨山? どうやら村というより袮山家の敷地内という感じらしい。【山川】袮山家を管理している弁護士。【尾崎真智】山川法律事務所のパラリーガル。【感想】例によって会話ぐだぐだ小説。そこがおもろい。怖さとは、信じるとは、袮山村の奇妙さとは、猿とは…。怖い方に向かいつつ周辺を回り続ける。
ただ逆張りするってのは、これも思考停止のうちですよね(p.225)
理由というのは果が先にあってこそ生み出された、後づけの因なのである。(p.246)
Posted by ブクログ
存在をうっすら知っている程度の曾祖母が亡くなったと聞き、弁護士たちと彼女が暮らしていた岡山県の山中に。そこは老いた人たちがやってきては去っていく奇妙な限界集落で・・・
と、このあらすじで書いた部分はなんだかとても魅力的で。そんなところで100歳まで一人暮らしをしていたという非常に気になるお話。一体なにが!?とわくわくせざるを得ないわけなんですが、作中でもさんざん「因習めいたものはない」「なにも不思議なものもない」と書かれている通りそういう民俗ミステリな小説ではない模様。ほんのりとしたホラー?
で・・・なんだか狐につままれたように終わってしまった。なんかこう消化不良というかさっぱりしないというか。登場人物が「怖い」としきりに言ったところで読んでる側としてはどうもピンとこない。登場人物が「よくわからない怖さ」を感じていても、実際に体験してる登場人物をしてよくわからないものは読者からするともっとよくわからない。
魅力的な設定を加点しての星3。
Posted by ブクログ
初めての京極夏彦さんの本。初めの方を読んで、こういう彼氏いたなぁと思い出す。恐怖を猿に例えているのかなというのは何となく分かった。何か理由があるから怖いのではなくて怖いと思うから何か感じたり見えた気になる。確かにそうかも。
最後まで読んでいくと、あれ?終わり??結局どういう事?たかあきは?とハテナがいっぱいになったが自分なりに解釈してみる。
ゆみは本当はたかあきと生きていくことが嫌になっていて、自分が置いていった結果、たかあきが熱中症なり自殺なりで亡くなることを心の中では望んでいた。でも帰ると自分を見て笑うたかあきがいて、これから先も一緒にいなければならないことに恐怖を感じてたかあきが猿に見えた…のか?
相続の件、いきなり場所が変わったこと、めいや山川達は?と思いつつ最後だけはそういうことに自分の中でおさめてみた。
Posted by ブクログ
え?おサルって、怖いっちゃ怖いけど。最後に机上で笑う猿は隆顕なの?理屈に縛られ、他者を忌避するばかりとなった彼の成れの果て?もはや人間であることを放棄したんだろうか。そもそも祐美が帰宅したあの部屋は果たして此岸なのか。もしかして祢山の屋敷に入ったその時から彼岸に行っちゃったのか。だってあの屋敷、いやあの村そのものが怖くないだなんて。過去の業から逃れようと移り住んだ村で、その村を治めるでもなく象徴として存在していた外田のうはボス猿?イメージ違うな。彼女を失った村人たちを襲う底知れぬ恐怖とは?頭が追いつかん。
Posted by ブクログ
京極さんのシリーズ物じゃないお話。
小説って、ストーリー自体を楽しむのか、ストーリーじゃない方を楽しむのか、どっちかだと思うんだけど、ワタシはストーリーを追って読んでしまって。
曾祖母の遺産相続がどうなるのか?!どんなものすごい財宝があるのか?!って最後まで読んでなんだか急に飛ばされちゃって相続どうなった!!で、終わってしまいました。
ストーリーはどうでもいいので、「怖い」についての会話やなんだか不穏な雰囲気を楽しむ本として読むべき。
Posted by ブクログ
怖いものや実像のない恐怖を猿に見立て、呪いや幽霊でもない独特の世界観が繰り広げられたお話。読んで何か良かったかと問われるとそうではない作品。読む前と読んだ後で自分は1㎜も動いていないな・・と思った。でも自分の思考の片隅に何か黒いものが置かれた感じで、時々こんな本読んだなと思いだすかもしれない。
Posted by ブクログ
目的地に着いただけで終わったけど続きあるよね?
いきなり自宅に戻っていたのもわけがわからない。祐美は本当はまだ祢山の家にいて幻覚でも見ているとか?
Posted by ブクログ
これは怖いのか怖くないのか、そもそも何が怖いのか。
主人公と同じく私もよく分からない、ただ不気味ではあったかな。
曾祖母が住んでいた山奥の家にたどり着くまでの話がほとんどで、たどり着いてからはどう終わるのかと思ったけど、すっと音が途切れたみたいに終わったな。
恐怖って何だろなっておもいました。
Posted by ブクログ
象でもなく虎でもなく猿。
そんな「猿」から始まるこの物語。
内容としてはまあまあ。
あまり読書初心者にはオススメしない。
途中の説明が長い。読む気が失せる。
でも「恐怖」という感情をうまく著しているように感じたのでこの評価