あらすじ
「猿がいる」と言い出した同居人。
かすかに感じる、妙な気配。
曾祖母の遺産相続。
胸に湧き上がる不安。
岡山県山中の限界集落。
よく判らない違和感――。
ただの錯覚だ。そんなことは起こるはずがない。だが――。
怖さ、恐ろしさの本質を抉りだす、瞠目の長編小説。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
“恐怖”を突き詰め、様々な恐怖の表現に臨んできた京極夏彦氏だからこそ書ける表現。
件の集落というか曰くの場所までの長ーーい道のりと、何も見えるものの無い、恐怖を“感じる”ラスト。
貞子的な女性とか、呪いとか、田舎の集落の因習では無い、独自の目新しいホラーだった。
他にない逸品だからこそ読む価値も面白さもある。
これだから京極作品からは目が離せないのです!
Posted by ブクログ
京極御大のホラー本。
妖怪も事件性もない御大の作品を読んだのは意外と初かも。それなのに漂う不安と恐怖感。じんわりと気味が悪い雰囲気がいい味出してるね。
恐怖を感じるのに理由はいらない。というより、語られる理由はすべて後付けになってしまう……。この意見は正しく慧眼だなぁ。
主人公が感じる違和感も、村民が感じる恐怖感も、すべて理由がない。理由がないからこそ解決できずに恐ろしい(余談だけど、だからこそ人々はそれに名前を付けて妖怪のような形を持たせることで解決していたのだな。憑き物落としの構造だ)。
”猿”という、人に近いのに人の心を持っていない異物。言語化できない気味の悪さが、恐怖心につながり解体できない謎として残る。
この構造が明らかになってなお、最後の3ページの裕美に起きたことを説明しきれない。ああ、本当に気味が悪い……。(ほめてます)
Posted by ブクログ
すごい小説を読んでしまった。これはホラーなのか何なのか。ジャンル分け不能。「京極夏彦」というジャンルとしか言えない。恐怖について、何が怖いのか、なぜ怖いのか、京極堂のように奥の奥まで腑分けしていく、その展開にグイグイ引き込まれる。本書を読んでしまうと、ホラー小説が怖くなくなってしまうのではないか、ある種の営業妨害になってしまってないか心配になるw。急展開のラストは怖い。のか、怖くないのか、もうなんだか分からない。それにしても各ページの上部はなんで空いているんだろう? 深読みするとちょっと怖いかも。
Posted by ブクログ
久しぶりに現代が舞台になってる。相変わらずうつ病ぽいパートナーと、随所で主人公が猿を想像しては怯えてる。怖いけど、急に社会の変容と所得税の歴史学べるし。いつもの通り、本読んで物語楽しんで知識も身につくお役立ち本過ぎる!
だがしかし、一気に時間ぶっ飛んで最後家で待ってたの猿ってどうゆう事。
全部本人の妄想で終わったってこと?
Posted by ブクログ
こんなにすっっっと読み終える京極作品は初めてかも。大体いつも文字数そのものが多いし、書かれていることを考え考え読まされるし。
何もない、何もないと説明され続けることで怖い。
読み終わった後で、結局何!?ってなるのも怖い。
Posted by ブクログ
京極先生を初読。
すごい作品を読んでしまった。
何も起きていない。事件も怪異も明確な「何か」もない。なのに、怖い。
「怖いということが怖い」という感覚が繰り返され、何が怖いのかわからないのに怖い、という状態そのものが恐怖の本質を突いてくる。
文体だけでこれほどの怖さを生み出す才能に感服。
タイトル通りの「猿」も、主人公やパートナーには見えている猿が怖いと感じるも、他人にはただの動物、というズレがまた怖い。
怖いものはなく、「怖いと思っていること」が怖い。当然の理屈を大作規模で徹底的に描き切る技量に脱帽しました。
ジャンルって、「何も起きないメタホラー」か「恐怖の本質を問う小説」みたいな感じになるのかな?
あと、装丁の角度によって猿が浮かび上がる仕掛けも魅力的。
初読で衝撃的だった一冊でした。
Posted by ブクログ
京極さんのお話は怖い、
ちゃんと怖い。
なんと言うか”怖い空気”がちゃんとある。
頭を洗っている時に背後に何かがいる気がして怖くなる様な日常の中に潜んでいる普段は感じない、いや気付かないふりをしている怖いのカケラ。そのカケラ達が醸し出す空気感。
物語序盤から漂う”怖い空気”なんだろうこの気持ち悪さ、と思いながら読み進めるに連れ濃くなる”怖い空気”オバケだ幽霊だの居る訳が無い、理屈でしっかりと教えてくれるし実際にそんなものは出てこないのだが、
最後ちゃんと怖い。
「いるの?いないの?」の大人版「厭な小説」の怖い版。
最近、活字から少し距離を置いて居たのですが、又色々読みたくなる一冊でした。
Posted by ブクログ
え!?そこで終わるの!?って感じ。
村に着くまでが長い。でも京極夏彦さんらしい話がつらつらと書かれて進んでいったので、それほど苦にならなかった。現代の話だからそれなりに話も入ってきやすかったし。
なぜ村の老人らや芽郁がのうさんがいなくなったあの村を怖がっていたかについて個人的な見解をするとするならば、怖いと思うものは人それぞれで、たまたま村に集まった老人たちと芽郁がのうさんがいない村を怖いと思ってしまった。大多数の人間が怖いと思うことで恐怖心を掻き立てられ、読者はその村に呪い的なもの(怖くなる理由)の存在を求めてしまう。佑美は村は全く怖くないけど、猿はやけに怖いってことだよね?「姑獲鳥の夏」でも牧野の死体が見えない人間が二人いたから分かりづらくなってた訳で…←こんな話だったような?分からないすいません
隆顕がいなくなって、猿がいたとかはどんだけ考えても分からなかった。最後隆顕を探す際、「隆顕さん」とさん付けで呼びかけていたのはちょっと気になったけど。それ以上でもそれ以下でもない。
でも京極夏彦さんの作品だからめちゃくちゃ好きです!
Posted by ブクログ
覚えのある京極節で、ヤアヤア先生お元気そうで何より。実家みたいな味がする。
書くの飽きちゃいました…?みたいな終わり方。
彼氏は実在してるんですかね?
この人の妄想なんじゃないかと感じた。
自分の後ろ暗いところに目を向けてしまって、あるいは失う怖さを覚えて、初めて怖くなるんじゃなかろうか。
Posted by ブクログ
久しぶりに京極夏彦さんの著書を読んだ。
今回のテーマは「恐怖」なのだろうか。
物語は「猿がいる」という一言から始まる。主人公・祐美の同居人のその一言から、早くも不穏な雰囲気が漂い出す。
そこから祐美は、会ったこともない曽祖母の遺産相続のために、同じく相続人である芽衣、弁護士、パラリーガルとともに、岡山県の山奥・袮山村へ向かうことになる。
道中には、一見して不気味なホテルやトンネルなどがあるが、何も不思議なことは起きない。行き先の村にも噂はあるものの、実際には怪談じみた話は一切ない。幽霊や呪いの類もまったくない。
なのに、怖い。
本書には「幽霊であれ何であれ、そうした怖いものは、怖くなったことの理由とするために生み出されたものではなかろうか。怖さを和らげるために。怖くなったことを正当化するために。怖さを押しつけるために。」とある。確かに、人は理由を求めているのかもしれないと納得できる。
怖いものがあるから怖いのではなく、怖いから理由を求める。恐怖以外にも、この解釈は当てはまると思う。体調不良も、原因がわかれば治っていなくても気持ちの面では安心できる。しかし最も怖いのは、複数の病院で診察を受けても原因が特定できない場合である。
本書では、原因がわからないがゆえに、耐えがたいほどの恐怖が襲ってくる。ただ、怖い。
テーマは面白かったが、物語としては意図的なのか、未回収の要素が多い。村はどうなったのか。弁護士たちはどうなったのか。同居人は猿なのか。不可解な状況が残ったままである。
しかし、深読みかもしれないが、その不可解さが残ること自体もまた、本書の恐怖なのだろうかと考えてしまう。あえて読者をそこに置かせている、そう思わせる一冊だった。
Posted by ブクログ
祐美。隆顕。引きこもり。コロナの副作用。パートナー。曾祖母。外田のう。相続。岡山。ネヤマ家。芽衣。山川。弁護士。口下手。尾崎。怖い。
ひたすら会話。会話はいつも通り。政治、SNS、流行、陰謀論、もの、呪い、多岐に渡ったテーマで会話は面白い。けど、結局怖さ、猿って?屋敷は?
Posted by ブクログ
不穏でぬるっとした漠然とした「怖い」が続くのに会話のテンポがよく、「怖い」ってなんだろうの展開が続きます。理解できない文化、幽霊が居そうな雰囲気、人の死や人の念などなど…。最終的に村の老人達が怯える「怖さ」を主人公は感じませんが、夢か現かわからぬ中、恋人がいるはずの空間に笑う猿がいる「怖さ」と邂逅する。彼女の知らぬ本当の恐怖はなんやかんや愛していて、自分なら対応できると信じている恋人が意思疎通の取れないケダモノになってしまうことだったのか?これは予想外の怖さ。俯瞰してたはずなのに包み込まれた気分です。
Posted by ブクログ
ずーーーっと不穏で、結局オチはどっちでまとめるんだ…!?と最後までわからなかった。結局最後はどう解釈したら良いのだろう。そのままで良いのか。
私は京極作品のストーリーももちろん大好きなのだけれど京極先生の考え方が特に大好きなので、今回も京極先生の自論と思われる肝に銘じたい台詞や文章がもちろんもちろんたくさんあり、やはり、一生着いていく(再認識)
ガチガチのホラーが苦手な人でも全然読める!恐怖って結局なんなのか、因習村という言葉の危うさについて特に考えさせられる小説でした。
Posted by ブクログ
冒頭は主人公の祐美とパートナーの隆顕との生活の厭な部分が多く描かれていて、本作を読んでいてそのあたりが一番リアルに辛かった。
よくあるホラー的な描写もこの部分に多い。
中盤はひたすら『恐怖とは』といったような会話が続く。
京極夏彦作品や作者の考えをよく知っている人であれば、あぁお馴染みの考え方だなぁと思うんじゃないかな。
終盤はそれまでの会話を一気に覆すようなモヤモヤとした不安と恐怖がくる。
ラストは、え??これで終わり?結局あれはなんだったの?と思うような部分もあるけど、こういう話では全てがハッキリしないことのほうが多いと思うのでこういう終わり方もありだと思う。
猿については、作者が意図したことと合っているのかはわからないけど、私なりにスッと考えがまとまったのでよかった。