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「猿がいる」と言い出した同居人。 かすかに感じる、妙な気配。 曾祖母の遺産相続。 胸に湧き上がる不安。 岡山県山中の限界集落。 よく判らない違和感――。 ただの錯覚だ。そんなことは起こるはずがない。だが――。 怖さ、恐ろしさの本質を抉りだす、瞠目の長編小説。
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Posted by ブクログ
京極夏彦氏らしいホラー小説。ホラーなんだろうけど、怖さはそこじゃない気がした。 私は御大がキャラを通じて語りかけてくる人間の在り方が怖い。子が罪を犯せば祖父母が戻る場所がなくなるとか、冒頭の主人公が冷凍食品を詰め込むシーンとか。社会生活の闇にゾッとした 普段ホラー小説は買わないんだけど(文章で怖さ...続きを読むを感じられない&どうせ読むなら楽しいお話がいい)今回はたまたまサイン本を店頭で見つけたので購入。 京極夏彦氏だから読めたけど、やっぱり読後はメンタルが落ちるので、以後あまり厭な気持ちになりそうな小説は読まないようにしようと思った。
岡山で暮らしていた曾祖母が亡くなったと報せてくれたのは祐美の再従姉にあたる芽衣だった。 祐美の両親も亡くなり、祖母が亡くなってから疎遠になっていた唯一の親類だ。 曾祖母については何も知らず、会ったこともなく、疎遠になった理由もわからないまま、弁護士と芽衣と一緒に岡山の袮山村へ行くことになる。 そ...続きを読むの前からひきこもりのパートナーの「猿」がいるという迷妄に取り憑かれたことも気にはせずにいたのだが、ひとりマンションに残して行くのも…と気になりながらの岡山行きだった。 道中でも芽衣に会ってからも不穏な黒い影が気になりながら弁護士の山川とパラリーガルの尾崎と袮山村に…。 雨の中、最初に辿り着いた家で…。 それまでとは変わって芽衣が何かに怯えて怖いと言い… 幽霊でもなく、何か、恐怖の声なのか、悲鳴、嗚咽、慟哭なのか、怖いとただ怖いと。 耐えられないほど怖い。 気が狂う。 何故なのか… だが、祐美は怖くなかった。 そこではないところで怖いと感じた。 どうなるんだろうという怖さがあるのだが、パートナーとの会話からも微妙な怖さを感じた。 何処かにいるのであろう猿の存在もまた不穏な雰囲気をずっと感じて怖い。 最後に怖い…という言葉も怖くなってくる。
このホラーブームに恐怖とは何かを問い直すような1冊。 例に漏れずブームに合わせてホラーを読み、段々ホラーって何?となってきて辞書を引いたりもしていた身なのでとても面白く読んだ。 1番身近にある、誰もが直面するのに全く言語化出来ない種類の恐怖を文章にしたかのよう。
怖いもの。というものはなんなのか? と読み終わったあと考えてしまった。 話としては最後なぜそうなったのかわからなかったが、最後に至るまでの話は興味深く京極夏彦さんの話の面白さというか、不気味さというか、全体を通してずっとある不快な様子が心地よくすら感じる内容だった。
あらすじを読んだ時は初期の頃のような因習系のホラーを想像していたのですが、全然違いました。 何かが起こるわけではなく、ひたすら何かが起こりそうな気配だけが漂う。ずーっと続く不穏な空気の中で、「怖いとは何か」を考えさせられる…という感じ。 小説の中に「何も起こらないから怖いんです」というセリフが出て...続きを読むきますが、この小説がまさにそんな感じです。 実際、じわじわとメンタル削られるより、ドーンとかまされた方が楽だと思うし。 「恐怖」は人間の想像力が作り上げたものと作中にあるのですが、確かに何もない暗闇を、何となく怖がるのは、頭の中であれこれ想像してしまうからで、余計なことを考えなければ怖がる理由はないんですよね。 主人公の女性は日常に疲弊しているせいか、物事に対してことごとく反応が鈍い。余計な想像をすることが無い、というか余裕がない。だから「何も怖くない」のではないか。 または彼女が何も怖くなかったのは、一連の出来事がすべて幻だからではないか。 これは読み終わってから感じたことだけれども、そもそもこの小説の中で起きたことすべて幻というか妄想で、主人公の頭の中を綴っただけなのではないか。 最後に彼女が猿を見て初めて怖くなったのは、そこに猿の姿を借りた見たくない現実があったからではないか。 実際、何も起きていなくても、何かが起きたのかもしれない、という疑問が湧いた時点で、もう何も考えていなかった時点には戻れないわけで、この小説を読む前と読んだ後では確かに自分の気持ちの中に「何か不安に似た妙な感情」が芽生えているわけです。 それこそ京極先生の狙いだったのかなぁ…などなど、色々考えてしまいました。 確かに何も起きないんだけれど、先が気になって気になって、あっという間に読み終えてしまった。 なんかすごいもん読んだなーという気分です。 ただ純粋にホラー小説が読みたかったなぁ、というちょっとしたがっかり感は否めないので星4つ。
曾祖母の遺産相続のため限界集落に向かうが… 超現実的で幻想世界に包まれるホラー #猿 #京極夏彦 ■あらすじ 岡山の山奥に住んでいた曾祖母が亡くなり、遺産相続について弁護士から連絡があった松永祐美。パートナーの隆顕から反対されるが、彼女は逃げるように自宅を出発した。駅で待ち合わせていた親族、弁護士...続きを読むらと一緒に、山奥の限界集落に向かうが… ■きっと読みたくなるレビュー ずーーっと会話してる小説。 その会話自体にはリアリティがあるんですが、話してる中身がよく分からない。さらに読んでると、なんか背中がそわそわするんすよね。落ち着かないというか、誰かにみられているような感覚というか。 都度都度あることについて様々な議論がなされ、情報が整理されていくんだけど、結局何を読まされているか良く分からないの。でも会話の不思議さに惹かれて、気づいたら読み終わっているという… そんな小説です。 はぁ? って感じですよね、でもホントこんな感じなのです。話の筋としては遺産相続のために岡山の限界集落に向かうというだけで、その道中でなされる会話がメイン。それでも読み応えがあるのは、さすが京極先生ですよね。 まず推したいのは物語の冒頭。祐美と隆顕の会話がめっちゃおもろくて引き込まれるんすよ。冷凍庫に食材が入らない、四苦八苦してるとブザーが鳴ってイライラする。そんな状況なのにパートナーがごちゃごちゃ言ってくる。日常生活の「負」を切り取った絶妙な一幕だと思いました。 超ネガティブな隆顕とのやり取りが粘っこくて好きなのよ。じわじわっと嫌悪感が広がってくところがいいすよね。負の感情って、ホント人の精神を支配しちゃいます。ポジティブな感情よりも圧倒的にパワーが強い。 さらにお話が進むと、周辺の村の事情や、集落の歴史などが語られていく。幽霊だの心霊スポットなど様々なオカルトめいたことへの言及もあるけど、それは誰のための何のための情報なんでしょうね。 何の根拠もないのにネガティブな情報を流布することの罪深さがしみじみと伝わってきます。どれだけ関係者をイヤな気分にしてるのか気づいてるんでしょうか、人の足をひっぱることのカッコ悪さを知って欲しい。 本作の謎解きも奇妙奇天烈でした。この集落は特異性とは? なぜ祐美は呼ばれたのか? この終盤の不気味さ、不可解さは唯一無二ですね。ラストまでまったく目が離せませんでした。 ■私とこの物語の対話 恥ずかしながら私、高所恐怖症なんです。高層ビルってだけで落ち着かない。またエレベーターや飛行機など密閉された空間も苦手、精神的に弱いんですよね。 本作の装画を遠巻きでじっーーーと見ていると、猿の顔が浮かんできます。面白い仕掛けですよね。確かにそこに「猿の顔」は存在するのですが、パッと見るだけではわからない。 私も高所や閉所という事実を認識してしまうことが、恐怖心に繋がっているんだと思う。受け入れてしまうことが解決策だとわかっていても… やっぱ怖いんすよね。
【一言感想】 後ろめたいことがあり、精神的支柱がない場合は"恐怖心"が生まれやすくなる 【感想】 曽祖母が亡くなり、明治時代以前から限界集落の状態が持続しているという土地の相続する話が上がることから始まる"恐怖"を題材にした物語 誰も悪くないのに後ろめたい...続きを読むことや、償いたいけれど償えない罪悪感を感じる場面があり、普段は気にならないかもしれないけれども、日常のふとした瞬間に悪い想像が膨らみ漠然とした不安感が強くなることから、"恐怖心"が生まれることがあります。 心の支えとなる人物がいる間は恐怖心が紛れるけれども、現在の人と人との関係が希薄になっているような状態では、世の中に漠然とした"恐怖"が蔓延しやすいのかなと、本作を読んで思いました。 【その他】 相変わらずボンヤリと知っていたり感じたりはする言語化しにくい言葉や出来事を、物語の中で落とし込むのが本当に上手な作家さんだと思う 最近では"恐怖"もエンタメ化されていて、"何もない"けれど人の痕跡があり少し不気味さがある物に対して、"呪い"と一括りにしているけれども、汚れや使用感が不気味さの正体(p323)であり、人の痕跡は、その人と物との想い出になるので、それ以外の他人とは関わりは解らない(p321)や、 自分ではよく解らない出来事に対して"怖さ"を感じることがあり、自分が納得出来るなら、本当の理由でなくても、信用出来なくても、ムチャクチャな理論でも信じて(p228)、自分自身を安心させて"恐怖"を遠ざけるので、それを否定されると元のよく解らない状態に戻ってしまう"怖さ"から聞く耳を持たないので、頑固な人や謝ったら死ぬ系の人は"恐怖心"が実は強い人なのではと思ったりしました
今年読み納めは大好きな京極夏彦先生で。 今年最後なのに、 良くわからんが怖い、というのが後を引きます… というか、私が普段から感じてる『怖い』を文章化して頂いた感じ。 何かある方がまだ良いよね… 原因わからない方が不気味。
いけませんよ。外に出ては――怖いですから 「猿がいる」と言い出した同居人。 かすかに感じる、妙な気配。 曾祖母の遺産相続。 胸に湧き上がる不安。 岡山県山中の限界集落。 よく判らない違和感――。 ただの錯覚だ。そんなことは起こるはずがない。だが−−。
え、ここで終わるのとびっくりしつつも、なんともいえない嫌な雰囲気がずーっと続く感じがクセにはなる。嫌な小説の怖い版みたいな。 何かわからないけどただただ怖いという感情、なにか思い出せそうだったけど消失してしまった。思い出したら恐怖しそう。
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