あらすじ
選考委員瞠目! 第19回小説現代長編新人賞受賞作
今村翔吾さん「執念の如き力を感じた」
塩田武士さん「朝宮さんの『業』に、私は期待している」
中島京子さん「チャレンジングな作品」
凪良ゆうさん「著者にしか書けない光と闇」
宮内悠介さん「シンプルに心を動かされた」
薬丸岳さん「一番に推した」
5人の納棺師たちは全力を尽くす。遺された人々が、最後に顔を見てお別れを言えるように。
「どんなに考えても、探しても、人が死んだ理由なんて絶対に見つからないんだよ」
納棺師、遺品整理士、生花装飾技能士……葬儀関係のプロ集団「株式会社C・F・C」。
とりわけ損傷の激しい遺体を専門に扱う「二課」は、無残な状態から生前の面影を復元するのがミッション。
事故、事件、自殺ーー二課には毎日のように遺体が運ばれてくる。入学式を明日に控え線路に正座していた少年、ゴミ屋敷で餓死した男性、幼い我が子を残して事故に遭った母親、飛び降りる瞬間を動画配信していた少女ーー
二課の納棺師たちはその手で、失われた生前のおもかげを復元していく。
愛する人が突然この世を去った時、どうすれば立ち上がれるのか。あの人はなぜ命を絶ったのか。遺された者はどう生きればいいのか。
それぞれに「喪失」を抱えた納棺師たちもまた、明日を生きる微かな光を見出していく。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
納棺師たちのお話。ドラマ『アンナチュラル』を想起させるような作品で、アンナチュラルが大好きだった自分にはとても好みな作品だった。文体もとても読みやすく、読む手が止まらなかった。
どの章も印象的で、それぞれの登場人物の個性や関係性が愛おしくなってくる。
人の最期と向き合うことは、自分の人生とも向き合うということ。
ブルーアワー。薄明。自分の好きな空の景色が出てきてとても嬉しかった。
章を進めるごとに登場人物たちが愛おしくなり、もっと彼らの日常を見ていたい。読み終わることが寂しくなるような作品。そんなお話に出会えるのは久しぶりだった。
"死"は生きている人間は誰も経験したことがない。だから怖い。しかし生も死も地続きで、そこに特別な意味はないんだと思った。
最期の瞬間は自分では選べない。だからせめて1日1日を大切に、自分のやりたいことをやろうと思った。
大切な言葉やシーンがたくさん詰められた作品でした。素敵な読書経験をさせてもらった。
Posted by ブクログ
納棺師5人のお話
それぞれどうして納棺師として働いているのか
理由があって
人の死とか遺族の気持ちを考えさせられる話
ドラマにありそうな展開で、
1日で読み切ってしまった
続編出してくれないかな〜
Posted by ブクログ
私は以前おじいちゃんの死で初めて納棺師という職業を知り、施行を初めて間近で拝見しました。初めての感覚でした。こんな職があるんだという驚き、綺麗になっているおじいちゃんを見ての感動、納棺師に対しての憧れ、この三つの気持ちが私の頭の中にぐるぐると浮かんでいました。葬儀の後「納棺師」について調べてみると小説「アフターブルー」が出てきました。私は早速購入して読みました。感激しました。こんなに心を揺さぶられる小説に出会ったのは初めてでした。納棺師の方々の素晴らしさや、命が一瞬で消えていく恐ろしさ、が痛いほど伝わってきました。私がこの職に出会え、この小説を読めたことは奇跡です。この奇跡の出会いに感謝し、これからも読み続け、「納棺師」を語り継いでいきたいです。
Posted by ブクログ
心が浄化される感覚を覚えるそんな美しい話。
納棺師という名前を聞いたことしかないような職種を取り上げて、最初は仕事の内容に関心しつつ、グロテスクな描写もあり、絵はなくとも情景を浮かべて「うぅ、、」となるそんな話だった。
中盤に差し掛かってくると登場人物の過去経緯や、日本語の美しさが伝わる綺麗な表現、風景描写に心が染み染みとなった。
また登場人物名も少なく、覚えやすいのも助かった。
こんな素敵な本に出会えたことに感謝。
私とはベストマッチな本でした。
Posted by ブクログ
葬儀関係のプロ集団の中で、事件や事故によって損傷の激しい遺体を専門に扱う「二課」。
納棺師たちは亡くなった人々の生前の面影を復元するために全力を尽くす…。
これまで読んだ小説の中で、一番死を身近に感じました。
事故、自殺、無理心中…想像を絶する死因の数々は自分や大切な人も無関係ではない、確かな現実として心に突き刺さります。
本作は納棺師たち5人の、それぞれの働く理由や故人の思いを受け取る姿勢にスポットが当てられ、心の機微が繊細に描かれています。
日々答えのない施行と向き合い、遺族が最後に目にする姿を少しでも生前に近づけようとするプロ意識に、ただただ頭が下がりました。
主要人物はみんな空にまつわる名前、作中も空や自然の描写が多くこだわりを感じます。(作者も時間の用語が入った名前ですね…!)
一瞬で移り変わる空のように、人生もあっという間に過ぎ去ってしまう。
突然訪れる不幸も突然奪われる幸福も、いつ起きるか分からないからこそ、故人の人生と残された遺族の心を掬う納棺師という仕事がとても尊く感じました。
薄明の空がこの先を生きていく人達の光になりますように…。
続編、遺品整理士たちのお話も心して読みたいと思います。
Posted by ブクログ
人はどんな最後を迎えるかはその人次第だし、突然奪われてしまうこともある
一瞬暗い内容に思えるけど、それぞれの人が物語に小さな灯りを照らしていた
Posted by ブクログ
人はなぜ死ぬのか。どんなに探しても、結局は死んだ人間にしか分からない。
納棺師と死体のあまりにもリアルな描写、そして人の感情が揺れ動く描写が非常に心にくる一冊。
とめどなく運ばれてくるご遺体は心臓は止まり声を聞くこともないが、死因やご遺体の状態、ご家族の嘆きのみ説明される。
この本の面白いところは、死体の過去の話について一切書かれていないことだ。
なぜ死を選んだのか、どんな環境だったのか、ご家族との関係。全て書かれていない。
ただただ、腐敗した身体と、嗚咽、涙。
これがリアルだ。
過去の話についての描写がないお陰で、納棺師の仕事視点で没頭して読み進めることができた。
Posted by ブクログ
読書備忘録996号。
★★★★★。
めちゃくちゃ面白かった!
納棺師というお仕事小説としてはめちゃくちゃ興味深かった。
そして主人公5人が抱え続けるそれぞれの喪失感を乗り越えて行く物語が心を打った。
続編も出るや出ないやという感じなので、忘れないように物語の舞台を整理。
関東圏の片田舎。田園風景が広がるところに株式会社C・F・Cはある。
いわゆる納棺企業。
主人公たちは二課に所属。正式名称、特殊復元処置衛生課。
簡単に言えば遺体を納棺できるように生前の姿に施す役割。
事故、事件など死に方は様々。施工の困難さをA~Eで格付け!想像を絶する!
二課の他に一課(一般処置衛生課)、生課、特課がある。
特課?特車二課と間違えたわ。のあが乗ったパトレイバーが出てくるかと思ったわ。
主人公の皆様。
課長の有明。
古株の入相。
同期の八宵と朝未。
そして新人の東雲。
ん?皆様のお名前?どれもこれも昼と夜の境界、所謂薄明を表す表現でしょう!
ただね、それぞれが抱えている喪失感からなんとか這い上がろうとしている物語なので、夜明け前、黎明という印象を得た。
そして、二課のメンバーが夜側に落ち込まないようにお互いさり気なく支え合う。
特に八宵。
特殊復元処置という仕事に就くことになった経緯がキツ過ぎて。
彼女を夜から救ったのは入相さんの名刺だったんだよね。
壮絶な過去と謂れなき誹謗中傷から人と関わることが無理になっていた八宵が新人東雲の研修担当となる。
その東雲の生い立ちも辛すぎる・・・。
朝未も心に秘めた苦しみを抱え、入相も終わりのないことを求め続ける・・・。
そしてクライマックス。
一家心中4人の施工。
研修中の東雲は、幼い姉妹の施工を単独で任される。
制限時間は2時間!
遺族の祖父母から東雲への伝言には涙が出た。
そしてそして!果たして八宵と東雲の関係はどうなるのか!笑
続編なのか、別物語なのか知らんが、この夏に納棺師シリーズ第2作が出ると!
楽しみでしゃあない!
Posted by ブクログ
読めて良かった!!
読みながらどんどん引き込まれました
佐々涼子さん「エンジェル・フライト」では海外で亡くなられたご遺体について描かれていましたが、こちらは国内でのこと。映画「おくりびと」ともまた少し違う。
遺体を復元する「納棺師」の仕事を描きつつ、喪失を抱えながら働く納棺師たちの内面も丁寧に綴られていました。
遺された人が、故人の顔を見てお別れを言えるように復元する。大切な人との最期の瞬間をどんな風に迎えるかは、その腕にかかっている。
限られた時間のなかで、損傷の激しい遺体を生前の元気だった頃の面影を感じられるよう復元していく──。
いろいろな意味でかなり大変な仕事だけど、故人の尊厳を守り、遺された人の心を救う。
本当にすごい……!
誰にでも出来る仕事じゃない。たとえ周りに手放しで喜んでもらえなくても、彼らの仕事で救われる人はいっぱいいる。
納棺師たちもそれぞれに心の中に消化出来ない思いを抱えていて、それでも人生は続いていく。
答えがすぐに出なくても、みんな懸命に一歩一歩自分の道を踏みしめていってるんだと感じました。
どれも良かったけど、最終話はとくに染みた。
こちら著者のデビュー作品だそう。
今後が楽しみな作家さんに出会えて嬉しい。
Posted by ブクログ
納棺師のお仕事を初めてちゃんと知った。しかもいろんな事情のある方の納棺。みんないろんな背景があってそれでもその仕事を選んでるってすごくよかったです。しかもデビュー作って!次の作品も楽しみ。
納棺師達を主人公とした小説です。
小説だけでなく、テレビドラマや映画等で、葬祭に関わる人達を主人公とした作品が多く出ていますので、どうしてもその中の一つで時代の流れに乗った作品の様に思えますが、主人公の納棺師達自身が色々と抱えている人達で、その心の襞が現れた作品です。
Posted by ブクログ
納棺師のお話。それも特殊な処理を必要とする納棺師。皆それぞれの想いを抱えながら、この特殊なお仕事をしている。
誌面で読むから状況を理解できるけれど、実際に直面したら耐えられないと感じる。
でも、納棺の処置をテキパキとする八宵さんと同期の朝未さん。なぜこの仕事をしているのか。2人の背景や同僚たちの抱えている背景が次々に語られていく。そして新人の東雲さんの背景は最後に語られる。彼は納棺師として、会社に残るのか?2ヶ月の研修で彼が自分で掴んだものは何か。
Posted by ブクログ
全く知らなかった仕事
納棺師のやわらかな心になんだか心がぐっときた
自死を選んだ人の話が多く出てきて
やよいさんの「結局、自死の理由は分からない。
他人がわかるものではない。」
っていう結論が私の中でかなり響いたかな。
他人の心は勝手に決めつけるものでもないし
これからもそういうスタンスでいたいと思った.
Posted by ブクログ
タイトルと表紙からは全然想像できない、死者と生者を取り持つ葬儀社の人たちの話。新聞記事などでよく見かける事故死や事件死、病死や自殺、そんな簡単な単語一言ではまったく片付けられない様々な状態の死体を修復して遺族のもとに引き渡す納棺師の仕事。職業として日々、死に向き合い仕事をこなしてくれる人がいるからこそ遺族はきちんとお別れができるし前に進むこともできる。頭が下がる。グロい描写も結構あるがそれが人間の肉体に起きる事実だからしっかり読ませてもらった。空や陽光などの自然が色彩豊かな語彙によって美しく描かれて、人間界の苦しさや哀しみや緊張を和らげる。葬儀社に勤めるそれぞれが近親者を突然失った哀しみに苦しんでいたり、心の悩みを抱えていたり、社員同士の距離感が近すぎたりとあざとい感じの設定や会話もあるけど、人生や人間は儚いからこそ瞬間瞬間を大切に紡ぎながら生きていくんだという物語のテーマが心に沁み込んだ。
Posted by ブクログ
納棺師という仕事をリアルに描いた作品。
私たちが普段何気なくニュースで聞いている溺死、交通事故死、殺人、自殺など予想もつかない死に対して正面から向き合い、最期の家族との時間を少しでも意味のあるものに変えてあげるのが納棺師の仕事なんだと改めてわかった。
町田その子さんの「夜明けのはざま」でも葬儀屋さんの差別はあったけど、納棺師も同じように職業差別を受けているのが現実なんだなぁ。
物語後半でやよいとあさみの同期が特課に居ると触れていたので何やら続編も期待できそうな。
ところどころ、かなりグロテスクな表現がありますが現実はもっとなんだろうなと思います。
この作家さん、これがデビュー作とは驚きです。
中高生にも納棺師という仕事を知るいい機会を与える本だと思いました。
Posted by ブクログ
『だから、ちゃんと顔を見てお別れできるようにしたい』
『(死んだ)理由なんて、生きている人間が決めるんだよ』
葬儀関係の作者が書いたとしか思えない、生々しい死体処置の描写と、納棺師たちが抱えるどこが現実味を帯びた辛い過去。
ラストに希望は感じられるけど、子どもを突然亡くしても、旦那が急に自殺しても、妻が理由を告げず失踪しても、のこされた者たちはその事実を心の中で整理して踏ん切りをつけるしかないということ。
物語としてはもやもやしますが、そうやって心を整理して生きていくしかない人の方が現実には多いんですよね。
鉛を抱えたような気持ちで読み終えました。
5章構成で、葬儀場の二課で働く納棺師たちが1章ずつ語り手となります。
ご遺体やご遺族の背景にはあまり焦点当てないのが新鮮でしたが、あくまで主体は働いてる納棺師たち。だからこそ彼らが抱える、大切な人との別れや生きづらさに、より感情移入しながら読めたような気がします。
なにか大きなきっかけがあった訳じゃないけど、二課での仕事と人間関係によって少しずつ影響し合い変化していく様子に、「あぁ人生だなぁ」と思いました。
私は「生と死の分かれ目」にずっと興味があります。
直前まであったはずの人権やプライバシーが、亡くなった瞬間に喪失すること(遺体の扱いや遺品整理に見られるように)、それを遺された者たちも受け入れること(感情として受け入れられるかは別として)がすごく不思議だなと思っています。
ご遺体を綺麗に、という納棺師の仕事自体にも、「それは誰のためのものなのか」というジレンマが付き纏うんじゃないでしょうか。
亡くなる前から死化粧のことを考えている人は少ないでしょうし、大抵は遺族が主体で依頼されるので、その意味では遺族のためのものになるとは思います。
ですが本書に出てきた、「身体的女性だけど男性として生きたかった(男性として死にたい)ご遺体」と、「それを認めず女性として死化粧させようとするご遺族」のように、必ずしも死者と遺族の希望が重なるとは限りません。
この場合だと個人的には、亡くなった方の気持ちを優先したいと思っちゃいますが…
一方で、遺族のいないご遺体(いわゆる独居老人とか)を綺麗にする作業となると、これは誰のための作業なんだ?という疑問が湧いてきてしまうところもあります。
つまり先のケースにおいても、遺体自体に尊重したい権利があるのではなく、あくまで生きていたその人に対しての配慮に過ぎないわけです。
我ながら都合のいいケースバイケース解釈すぎるか。
『自分の知らない世界が目の前にあって、でもそれは決して他人事ではない。当たり前に存在してるのに、今まで気にもとどめなかったことにはっとしました/東雲』
人の死を受け入れるための儀式として、「顔を見てお別れすること」は私たちが思っている以上に重要なことなんだと思いました。
大切な人の死を受け入れて別れを告げる行為は、目の前に相手の存在(肉体)が感じられてこそようやく実現するから。
あらゆる亡くなり方でも、それをできる限り可能にする納棺師という仕事は、東雲くんの感じた通り、人間の営みにおいて欠かせない仕事。
そこにやりがいを見い出した東雲くんかっこいいし、本書を読んで知らなかった仕事の存在感に気づけてよかったなあと感じました。
●身内が急にいなくなるということ ──────
登場人物全員に辛い背景がありますが、やっぱり八宵の人生を思うと悲惨すぎて。
入相さんもだけど、配偶者という一番近い存在が急にいなくなってしまうと、相手を失った悲しみや喪失感と合わせて、その要因を自分に求めざるを得ない。自責の念から逃れられないという、、、
『時間というのは残酷で、良くも悪くも変化しながら進んでいく。心にあった熱も次第にすっと逃げてしまい、本来の目的さえも忘れそうになる。一生変わらないと思っていた愛情が、ただの情になっているのかもしれない。/ 入相』
『時間と共に薄れてゆく夫の存在を、色濃くわたしの中に残し続けたかった / 八宵』
大切な人のことを忘れてしまいそうな自分のことを、ひどく冷たい人間なんじゃないかと思ってしまう感覚は、すごく想像がつくというか。辛い感情や経験を禊のように自分に課すことは、なにもできなかった自分を赦すための行為でもありますし、、、
ただ入相さんの「妻の失踪のことを、他人に悲しいことだと決め付けられたくない」「普通に家族の話をするように、妻の話を聞いて欲しい」という感情には、いや難しいだろ…と思いつつ。
でもそっか、どんな相談内容もまずは事実として受け止めて、それを相手がどんな解釈でどんな温度感で話してるかで、こちらの受け止め方を変えるってだけのことなのかもな、とも思いました。
それなら私も日常的にやってることではあるなぁと。
●登場人物のキャラクター性について ─────
キャラクターはドラマ化できそうなぐらい立っていますが、死体処置のシーンがあまりにグロくて難しそう…
八宵と朝未は独身同士っぽい口調だったから、八宵が未亡人なのは意外な設定!
葬儀屋はだいたいミステリアスなクールメガネインテリなのなんでだろ、「アンナチュラル」の葬儀屋思い出しました笑
『誰がやっても綺麗に開けられるよう企業努力が注ぎ込まれているはずなのに、それを裏切ってしまった気分になる』
入相さんの性格がここに詰まっている…!いつも自分に責任があるって思っちゃう人だ…!となるぐらい、文章の細部で登場人物の性格をわかりやすく書かれてます○
東雲くんはサイコパスキャラぐらい闇深系かと思ってましたが、思った以上に素直でええやつ笑
ただ「いいこ」症候群な性質が自分を苦しめていて。「いいこ」と褒められることに喜びとプレッシャーを感じてきた子で、その矛盾にめちゃくちゃ共感しました。
両親の躾によって、好きな物や夢を持つきっかけを十分に貰えなかったのに、それでも両親に正解を求めてしまう「自分」が不完全なんだと追い込んでしまう。
だけどその重荷を下ろすきっかけは、いつだって熱中できる譲れない何か(東雲くんの場合は納棺師の仕事)なんですよね。
そこそこの企業なら後輩指導なんて有無を言わさずさせられるもんですが、八宵と朝未含めそれなりに事情抱えた、ちょっと危うい登場人物たちが、東雲の指導を通して自身のしがらみと向き合うというストーリー性は面白かったし、キャラとしてより魅力的に感じられました!
●タイトル・続編について ─────────
新人賞受賞時のタイトルは「薄明のさきに」で、発行時に「アフターブルー」に改題されているようです。
後者の方がキャッチーで手に取りやすい!改題の重要さがわかる!
ラストは明らかに含み持たせてるなあってSNS徘徊してたら、続編決定の投稿!!
次の主人公は「遺品整理士」。ちらっと出ていた八宵、朝未の同期かな。
本作の納棺師たちのその後も少し見られるなら読んでみようかな、東雲くんが立派な納棺師になってたら感動しちゃうかも。
●その他 ─────────────────
『たとえここに来るご遺体が感染症を持っていたとしても、それが俺たちに告知されることはほとんどない』
医療介護分野の人が、なくてはならない存在なのに、ないがしろにされていると感じる瞬間としてありそう。
東雲父が、八宵(若い女性)の前では強気な態度だったのに、有明さん(中年男性)が来ると外用の顔に切り替えたってとこ。世間体の現れすぎて印象的でした。
冬が葬儀業界の繁忙期(=人が多く亡くなる)なのは、やっぱり寒くて自宅内で亡くなる方が多いからなんでしょうか?それと孤独を感じやすくなって、自殺する方も増えそう。
『まさに生きることから外れた瞬間だった』
『恋人、と言われればそう見えるかもしれないですけど…。そうじゃないと言われた方がしっくりきます』
Posted by ブクログ
うまく言えないけど、文章だけじゃなくて出てくる言葉や文字が綺麗だな、とゆうのが最初の印象でした。
本当に存在するのか分かりませんが、納棺師の中でも特殊なご遺体を扱う部署で、損壊の激しい方の修復をして、出来るだけ元の姿に戻す、もしくは残された方の望む姿にすることを仕事にしている人達のお話しでした。
上記の通り、惨い、酷い、悲惨な見た目の方が出てくるので、その描写が苦手な方もいるとは思いますが、私の印象としてはそこまで事細かく書いているわけではないと思いました。あとは想像力の問題かと。そういった表現よりも私は働いているメンバーの気持ちに寄っていったので、あまり気にならなかったのかもしれません。
印象に残っているのが「どんなに考えても探しても、死んだ理由なんて分かんないんだよ」とゆう、残された側の言った言葉でした。何の前触れもなく、や、本当はあったのかもしれないけど、気づかなかっただけかもしれない、突然自殺した大切な人の死を受け入れる為に、残された人は理由が欲しいんですよね。生きていくために、でも、だからこそのこの言葉が凄いな、と。本来なら綺麗事でも何かしら理由を考えて前を向いて生きていこう!みたいに持っていくかもしれないのに、あえてそう書いてる所がリアルな気がして、良かったです。
あとは棺桶に入っている旦那さんの髪型に納得いかなくて何度も納棺師の方に注文する奥さんの場面も泣きたくなりました。そうだよね、そうゆうことじゃないんだよね、となりましたね。
優しさしかない職場の人間関係に、仕事とのギャップがあって、余計にグッとくるものがありました。私ならこんな優しさ溢れる職場なら就職したい。特に朝未さんの優しさに何度も救われた。いい男過ぎないか!?
Posted by ブクログ
事故や事件、自殺などによって損傷の激しい遺体を、生前の姿へと少しでも近づけるために尽力する納棺師たち。彼らが遺体の状態と真摯に向き合い、遺族が故人との最後の対面を穏やかに迎えられるよう細心の注意を払う姿は、本作において非常に印象深く描かれている。その仕事は高度な技術だけでなく、故人への敬意と遺族への深い思いやりを必要とするものであり、決して容易なものではない。
損傷の大きな遺体を前にした納棺師が、動揺や無力感を抱えながらも自らの感情を整理し、黙々と作業を続ける場面に胸を打たれた。一人の人間としての尊厳を取り戻そうとする彼らの所作には、深い敬意と覚悟が込められており、死を単に恐れるべきものではなく、人生の一部として受け止める姿勢が感じられる。遺族の悲しみに寄り添いながらも、静かな強さで故人を送り出す彼らは、本作のテーマを象徴する存在として強く心に残った。
日々死と向き合うことで心に蓄積される疲労や葛藤、仕事の重さに押しつぶされそうになる苦しみなど、彼らの内面が率直に描写されている点も本作の大きな魅力である。それでもなお、故人と遺族のために最善を尽くそうとする姿からは、悲しみを受け止めながらも前へ進もうとする人間の強さが伝わってくる。
本作は、派手な展開に頼るのではなく、人と人とのつながりや感情の機微を繊細な筆致で表現している点にあると思う。納棺師という職業を通して、生きることと死ぬことの意味を真摯に問いかける文章に、読み進めるうちに登場人物たちの痛みや希望が我がことのように感じられ、物語の世界へ引き込まれていった。
タイトルである「青」に込められた意味も味わい深い。それは悲しみや寂しさを象徴するだけでなく、新しい一歩を踏み出すための希望の色としても描かれており、読後には静かで温かな余韻が胸を打った。
Posted by ブクログ
どうしてもグロい描写が苦手なので、読むのがキツかった部分もありました。しかし、裏を返せばそれだけリアルに納棺師の仕事が描かれていました。「死」とどう向き合うか、残された遺族はどのようにして大切な人の「死」を受け入れるのか。少なくとも、自分は残された人たちの迷惑にならないような死に方をしたいと思いました。
Posted by ブクログ
損傷の激しいご遺体を整え、遺族がきちんとお別れできるようにする仕事の描写が印象的。
普段知ることのない世界に圧倒されると同時に、故人を送り出すことの意味を改めて考えた。
物語全体を通して、人生の儚さと、人それぞれが抱えている見えない傷の重さを感じる。
誰にでも簡単には手放せない感情や過去があり、それを抱えながら生きているのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
納棺師という仕事を舞台にした小説。でも普通に亡くなった方の納棺ではなく、さまざまな理由で遺体の修復が必要な方々の話。なので、遺体の状態の説明にはビックリすることばかりだが、たしかに轢死、飛び降りなどの自殺や激しい交通事故など、生前の姿からはほど遠い方もいるという現実もあるわけで…。
小説初執筆でこの内容。新人賞も受賞し、次はどんな小説を書くんだろう。
章ごとに二課のさまざまな喪失を抱えた方々を中心とした短編小説的なつくりになっているので、しぼったほうがよかった、との感想もあったが、私的にはそれぞれ抱えたものがありながらも希望がある終わり方だったので、よかったと思う。
Posted by ブクログ
産婦人科のように、生を扱う仕事があるならば、この本のように、死を扱う仕事もある。
表の反対は裏、光の反対は影。
そんな当たり前に気づき、世界が2倍に広がって感じられた本。
人は必ず誰かとつながりをもっているので、誰かの死を扱うことは誰かの生を扱うということでもある。
全ては生きている人のための物語
Posted by ブクログ
納棺師は納棺師でも二課という損傷が特に激しい遺体の処置を施すお話。表現がかなり鮮明で、読んでいて遺体の背景や納棺師たちの心情がダイレクトに伝わってきた。
かなり生々しい状況ではあるけど、どこか儚く繊細な感じも伝わってきて不思議な気持ちだった。
ただ、5人の納棺師を中心に章が変わっていて、オムニバス?調の展開もあってか、ストーリーの本筋や終着点がよくわからなかったのが正直なところでした
Posted by ブクログ
展開がドラマみたいだった。
仕事内容も、それぞれの登場人物が抱えているものも、ずっしりと重たい。しんどい。描写も生々しくあまり想像したくない。でもどこか希望を探して、掴もうともがく姿に心打たれる。これは必然的に。
朝宮さんの選ぶ言葉には、透明感がある。文章が素敵だったので、ぜひこれからの作品も手に取ってみたい。
Posted by ブクログ
人生に躓いてる人の応援譚を、無理矢理に納棺師に絡めただけの物語のように思ってしまった。人の生き死にに絡めた物語にすれば感動物語っぽくなるよね、という安易さを感じる。多分、損傷の激しい遺体を施工する納棺師の話にしてなくても、なんなら他の職業にしても、割と物語成り立っちゃいませんか。性的マイノリティーの話も盛り込まれてて、個性てんこ盛りすぎます。何回も「右耳でフープピアスが輝いた」って表現出てきて、もはや鼻に付きます。
Posted by ブクログ
損傷の激しいご遺体の復元処置を行う納棺部二課。
その二課メンバーそれぞれが抱える過去や苦悩が章ごとに徐々に明らかになり、納棺師の仕事を通し、自身が抱える問題とどう向き合っていくかが描かれる。
少し前後の繋がりが分かりづらく感じる部分があり、自分の集中力不足のせいか話に入り込みきれなかった。
飛び降り自殺中の動画を、施行した八宵や他の二課メンバーが、検索して見ている場面に驚いてしまった。単なる興味ではなく、八宵が抱える問題と向き合うためというのは分かるが、それぞれが大切な人を突然失ったことで、その理由を探したり後悔したりしているのに、その行動はありなのか?と疑問に思ってしまった。
Posted by ブクログ
納棺師にスポットを当てた話。
様々な遺体がやってくる納棺師の現場について書かれているだけでなく、そこで働く人たちの心情についても書かれていた。それぞれがどういう気持ちでこの仕事をしているのかみたいなのが分かって、好きという気持ちだけでは出来ない仕事だなと深く感じることができた。
実際に想像を絶するほどハードな仕事だとは思うが、家族が顔を見てご遺体との最期のお別れや覚悟ができるようにしていく大切な仕事だなと感じた。
本作品が初執筆らしくこのテーマで!?と驚いた。
Posted by ブクログ
納棺師の物語。
母が亡くなった時に、メイクしてくれた納棺師さんのこと思い出した。
メイク終わった時、思わず泣いたんだよな〜
メイクしただけなのに、いつもの元気な頃の母を思い出し、ただ眠っているだけかのように綺麗にしてくれて。。。
すごく誇れる職業だと思う。
故人にも家族にも満足させて、素晴らしい職業だと思う!
と、改めて読んで思えた。
Posted by ブクログ
葬儀関係の職場で働く5人の納棺師たち。彼らは無残な死者の姿を生前の面影へと戻していきます。
高校の入学式を数日後に控え線路に正座して自ら命を絶った少年。幼い娘を二人残し、事故で亡くなった母親。飛び降りる瞬間をSNSで配信していた少女――。
この作品に描かれる死は、想像以上に悲惨で私の想像を遙かにこえるものでした。こんなに無残になるのかと。
けれど、この物語が見つめているのは死そのものではない。死者を生前の面影に残るように復元していくなかで、納棺師たちが自分自身が抱える傷とも向き合っていく姿。
女の子が好みそうなものを愛してきた男性。突然、妻に去られた男性。夫を自死で亡くした女性。親の期待を優先し、自分の感情を後回しにして生きてきた青年。そして、22年前に幼い息子を事故で失った上司。
彼らは死者を復元しながら、同時に、自分の中の何かを何とかしようとしているようにも見えました。
心に留まった言葉の一つが以下です。
「人生なんて長く感じるけれど、ほんの僅かな時間なんだよ。でも人は、当たり前に広がる景色を見ようとしない。目の前はこんなにも開けているのに、映したいものしか映さない。」
この言葉のように、人は自分の理解できる形に物事を収めたがると思います。
理解できない痛みや死に理由を与え、「そういうものだった」と名づけることで安心しようとする。けれど本当は、他人の苦しみなど、簡単に測れるものではありません。
だからなのか、登場人物たちの「わかろうとする姿勢」が胸に残りました。
完全に理解することはできなくても、理解しようとすることをやめない。不器用なんだけど、もどかしさを時に感じるのだけど、でも、そういうものなんだよね、って思える。
誰かを完全に理解することはできなくても、理解しようとすること自体が、人を支えているのかもしれないなぁって。
死を扱った物語ですが、「生きること」が浮かび上がってきたように思います。