あらすじ
作家自身が「秘密」を語る。待望の新訳刊行。
「われわれ三文文士の多くもまた、及ばずながら言葉に意を注ぎ、物語を紙の上に紡ぎだす技と術に心を砕いている。本書のなかで、私はいかにして『書くことについて』の技と術に通じるようになったか、いま何を知っているのか、どうやって知ったのかを、できるだけ簡潔に語ろうと思っている。テーマは私の本業であり、言葉である」(本文より)
ベストセラーを次から次へと生み出す、アメリカを代表する作家が、自らの「書くことについて」を解き明かしした自伝的文章読本。作家になるまでの苦闘物語から始まり、ドラッグとアルコール漬けの作家生活を語る半自叙伝の回想。書くために必要となる基本的なスキルの開陳。いいものを書くための著者独自の魔法の技。そして「書くことと」と「生きること」を重ね合わせる作者自身の人生観まで。ひとりの作家の「秘密」がそこかしこに語られるドキュメンタリー。
2001年に「小説作法」として翻訳されたスティーヴン・キングの名著を、新たに平明で簡潔な文章で訳した新訳版。新たに巻末には著者が2001年から2009年にかけて読んだ本の中からベスト80冊を選んだリストを掲載。
(底本 2013年7月発行作品)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
・履歴書
・書くこととは
・生きることについて
の3本立てでキングが自分の人生と創作について語って聞かせてくれる素晴らしい本。
書くことについて、16章にも分けて丁寧に語られたメソッドはシンプルで実践的であるとともに全く手軽ではない。自分が産み出した登場人物たちが自然に織りなすストーリーを見守り、自分が本当に感じたままの言葉で真摯に語るのは決して簡単なことではないけれど、それこそが文章を書く楽しみであり、その積み重ねが物語の価値を生み出す。
楽しんで、真摯に書くこと。
"私が書くのは悦びのためだ。純粋に楽しいからだ。楽しみですることは、永遠に続けることができる"
"ときどき書くのが辛いと思うことはあるが、脚の具合がよくなっていき、気持ちが日々のルーティンに馴染んでくるにつれて、適切な言葉を見つけて文章にする楽しみはどんどん膨らんでいく。それは飛行機が離陸するときの感覚に似ている。滑走、滑走、滑走……そして離陸。それで、魔法の空気のクッションに乗り、世界を眼下に一望できる。この時ほど幸せを感じる事は無い。私は書くために生まれてきたのだ"
後書きにあたる「生きることについて」の中でキングは(この本を書いている)近年に遭遇した大事故のことを語り、そこから自分を立ち直らせたのは奥様の献身と本書を書き上げることだったと言っている。
売れる本を書きたくて手法を探している人ももちろん得ることがあるし、頭の中にある物語を書いてみたい、自分にも小説が書けるのでは?とウズウズしているような人にはとてもお勧め。
大御所スティーブン・キングがあなたの肩を叩いて、やってみなさい、きっといいものが書けるよ、と応援してくれているような本です。
Posted by ブクログ
自分も書いてみたい、そう思わせてくれる1冊でした。私は小説どころか、何か物を書くということを仕事にしているわけではありません。仕事どころか趣味としても書くことにはなじみがありません。
それでも心のどこかに、何かを書いてみたいという欲求はあって、それがどうしてなのかわからずにいました。でもこの本を読んで、少しだけその理由がわかった気がします。
もちろん著者にとっての書くことと、私にとっての書くことの意味は違うと思います。でも誰かに読んでもらうことを意図して書いている場合、そこには読者のために何かを為したいという意図は働いているはずです。たぶんそれが子を持つ親になった今、実感として理解できるようになったからだと思います。そんな時、何に注意する必要があるのか、そんなふうに自分に置き換えて読んむのも楽しく感じました。
スティーブンキングという著者自身がどんな考えを持ってこれまでの作品を書いてきたのか、その物語を知ることができたのも、この本の醍醐味の一つだと思います。この本を通じて著者の人となりを感じることができ、すっかり好きになってしまいました。
きっとこれからスティーブンキング作品は、これまでとは比較にならないほど、私にとって味わい深いものになるのだと思います。
Posted by ブクログ
物書きでなくとも、クリエイティブな仕事をしてる人も参考になる作品だと思います。
〈作家として腹をくくり、自分を偽ることなく、楽しんで執筆する。〉
クリエイティブも生きるため、稼ぐためと続けていると、「売れないと」を言い訳に、流行りになびき、自分がなぜ制作しているのかわからなくなるような事もありますが、誠実に、人から批判される事も恐れず真摯に向き合うことの重要性を学べました。
Posted by ブクログ
物書きを目指す人には是非読んで欲しい一冊。キングの生い立ちから、文法や会話文やテンポ、推敲の仕方などの小説作法が丁寧に書かれている。小説の書き方がメインだが、エッセイとかノンフィクションなど書くこと全般に生かせるアドバイスも沢山ある。自分も物書きを目指しているから、これから何度も見返そうと思う。文章自体も堅苦しくなくユーモアがあって読みやすかった。
キングの幼少期から作家として売れるまでの半生は凄く苦労が伝わってきた。トレーラーハウスの洗濯室の机で執筆していたことや教師をしながら小説を書いていたこと。才能に加えてこのストイックさがアーティストには必須なんだなと思った。ここでの沢山の体験や出会いが小説の設定や人物造形(キャリーとか)に生かされていて、苦労も含め、若いうちに色々な世界を見なければな、と感じた。ものを書くためには、沢山読み、沢山書くこと。文法などの勉強や読書などのインプットと荒削りでもいいから実際に書いてみるアウトプットの両方が大事。早速実践したい。
Posted by ブクログ
スティーヴン・キング自身の凄まじい人生を面白おかしく書きながら(面白おかしく書けるのは貴方が困難を乗り越えた証拠だからだ)、私は小説をこんな風に書くよ〜という作法まで全部ぎっっっつちり詰め込まれてて笑った。
副詞への恨みが凄い。
エッセイであり小説の書き方を記した本なのにあまりにも面白くて、読み終わるのが勿体なくて、結局2ヶ月かけてしまった。
スティーヴン・キングの文章が好き過ぎる。
小説を書くことの情熱を、そして配偶者やへの愛をどうしてここまでに書けるのか。
天才。
マーカーを引きまくったページを読み返すとまた心がほかほかしてくる。
私はこの本を死ぬまで手放せそうにない。
Posted by ブクログ
人生は芸術の支援組織ではない。その逆である。
という言葉が印象に残った。
作者は幼いころからめちゃくちゃ書き続けて出版社に送り続けてきたことが分かり、尊敬した。創作のモチベを上げるにはいい本だと思う。
反面、創作のために人生を犠牲にしてはいけないと、あのキングが言ったことにまたグッときた。
あと個人的に印象深かったのは、副詞を削るというところ。文章がゴチャゴチャしてしまいがちなので、たまにこの言葉を思い出している。
Posted by ブクログ
最初の章はスティーブンの生い立ちから。ここで語られる作者の生い立ちで、スティーブンキングという名高い作家への親近感を感じることができた。少年の頃の悪戯や、最初の頃は人の真似をして書いた小説、出版社からの不採用通知、妻との出会い。書き続けているということ以外では、多分アメリカの片田舎にいる人として一般的な人物像がそこから浮かび上がってくる。
そうして、その親近感を持たせたまま、小説を書くということについて、一体何が必要なのか、訳者後書きにもあったように、まるで知人が隣で親しみを込めて語るように、ひとつひとつ教えてくれる。
小説を書くということについて、なんらハードルがあるわけではなく、書きたいという気持ちと、ある程度の文章力、そして書くものへの真摯な気持ちがあれば誰でも書き始められるということがわかる。
ただ、一流になることが容易であるとは一切書いておらず、自分と向き合って、読むことと書くこと、そして自分自身でそれを世に出すところまできちんと向き合うべし。そういうことが至極丁寧に書かれてた。
Posted by ブクログ
スティーブン・キングがこんな本を書いてるなんて知らなかった。
自分の生い立ちと、書くことに必要な道具箱(スキルやティップス的なこと)、そして書き方、書くことと生きること。
なんか書いてみたくなってしまう。
書けるような気になってしまう。
そんな一冊です。
本が好きな方にはオススメ。
Posted by ブクログ
自ら生い立ち、また書くことについてユーモラスな表現で語っている。
プロットを重視しないのは意外だった。小説を書く人は必ず作っていると思ってた。
Posted by ブクログ
作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことがふたつある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない。
私は本を読むのがそんなに速い方ではない。それでも、一年に七十冊から八十冊は読む。そのほとんどは小説だ。読みたいから読むのであって、何かを学ぶためではない。たいていは夜、書斎の椅子にゆったり腰かけて読む。繰り返しになるが、読みたから読んでいるのであって、小説の技法やアイデアを学ぶためではない。それでも、読めば何かしら得られるものはある。手に取った本にはかならず何かを教えられる。概して優れた作品より、出来の悪い作品からのほうが教わるものは多い。
出来の悪い小説は、してはいけないことを教えてくれる。
本を読み、凡庸さやくだらなさを経験すれば、そういったものが自分の作品に忍び込もうとしたとき、すぐにそのことに気づき、それを排除することができるようになる。また、読んだ本が秀作や傑作の類であれば、自分の書いたものがどのレベルにあるかを知り、これから何ができるかを推し量ることができるようになる。もちろん、本を読めば、さまざまな文体に遭遇することもできる。
気に入った文体が見つかればそれを真似すればいい。何も悪いことではない。子供のころの私もそうで、レイ・ブラッドベリを読めば、レイ・ブラッドベリのように書いていた。〈中略〉そういった他人の文体のブレンドは、自分の文体をつくり上げるためには欠かせないものである。真空状態からは何も生まれない。作家は多くの本を読み、それと並行して、たえず自分の作品に手を加え、純度を上げていかなければならない。信じられない話だが、本をほとんど、場合によってはまったく読まずに小説を書き、それを好きになってもらえると思っている者が、この世の中には少なからずいる。作家になりたかったが本を読む時間がなかったという言い訳をする者に出くわすたびに五セントずつ貯めていくとしたら、豪華なステーキのディナー代くらいはすぐにできるだろう。ここではっきり言っておこう。読む時間がないのに、どうして書く時間があるのか。単純明快である。
これで準備は整った。書斎のドアは閉まっている。カーテンも閉まっている。電話のコードは壁から引き抜いたし、テレビは叩き壊した。火が降っても槍が降っても、一日千語の目標は変わらない。と、ここで大きな問題が持ち上がる--何を書けばいいのか。それに対しては、ごく大づかみに答えるしかない−−書きたいことを書け。なんでもいい。それが真実であるかぎり。
創作科の金科玉条は〝知っていることを書け〟だ。お説ごもっとも。だが、惑星探検の宇宙船や、妻を殺して死体を木材粉砕機で細切れにする男を書きたいときには、どうすればいいのか。それ以外にも、現実離れした、だが卓抜なアイデアは無数にある。そういったものに対して、〝知っていることを書け〟の原則をどのように当てはめればいいのか。
まずは原則を可能なかぎり拡大解釈することから始める。配管工は配管のことを知っている。だが、知っているということの意味はそれよりずっと広い。心も何かを知っているし、想像力も何かを知っている。ありがたいことではないか。心と想像力がなかったら、フィクションの世界はさぞかし殺風景なものになっていただろう。それどころか、そもそも存在しなかったかもしれない。
どちらかというと、私は直観に頼るほうだ。私の作品は筋立てより状況設定に依存するものが多い。それでこれまでなんの支障もきたさなかった。なかにはいくぶん凝ったつくりの作品もないわけではないが、出だしはたいていデパートのショーウインドーや蝋人形の飾り物のような単純なものが圧倒的に多い。私は複数の人物(ときにはふたり、場合によってはひとりのときもある)を窮地に立たせ、彼らがどうやってそこから脱出するかを見守っているだけだ。私の仕事は脱出に手を貸すことでもなければ、彼らを安全な場所へ導くことでもない。それはプロットという削岩機を必要とする作業である。私はただ単になりゆきを見守り、それを書きとどめるだけだ。
最初に状況設定がある。そのあとにまだなんの個性も陰影もない人物が登場する。心の中でこういった設定がすむと、叙述にとりかかる。結末を想定している場合もあるが、作中人物を思いどおりに操ったことは一度もない。逆に、すべてを彼らにまかせている。予想どおりの結果になることもあるが、そうでない場合も少なくない。
もうひとつ忘れてならないのは、現実の世界に〝極悪人〟や〝無二の親友〟や〝美しい心を持つ娼婦〟などはいないということである。現実の世界では、ひとはみな自分こそが主人公であり、キーパーソンであり、いっぱしの人物であると思っている。カメラはいつも自分に向けられていると信じている。その種のリアリティを作品に持ちこむと、突出したキャラクターだけでなく、通俗小説ではお馴染みの平面的なステレオタイプをつくりあげることすら容易ではなくなる。
『ミザリー』でポール・シェルダンを監禁するアニー・ウィルクスは、傍目には精神を病んでいるように見える。が、ここはひじょうに大事なところなのだが、自分ではまったく正常であり、しっかり道理をわきまえていると信じている。それどころか、自分のことを、下種な有象無象が支配する敵対的な世界に孤立無援の闘いを挑む英雄と見なしている。
『ミザリー』の読者がいだく当然の疑問のひとつに、ポール・シェルダンは私なのかというものがある。たしかに、そういう側面は否定できない。だが、実際に小説を書いてみればわかることだが、どんな場合にでも作中人物にはかならず作者の一部が投影されているものだ。ある人物が与えられた状況下でどんな行動をとるかを決めるとき、作者は自分ならどうするかということを基準にする(悪党の場合には、自分ならそうしないというのが基準になる)。あとは、他人を観察することだ。観察の対象はかならずしも好ましいものばかりとはかぎらない(たとえば、誰も見ていないところで鼻クソをほじる癖とか)。さらには、第三の素晴らしい方法もある。純然たるイマジネーションによるものだ。
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村上春樹の「職業としての小説家」も読んだけれど、両者に通ずるところもあったのが興奮した。文章のリズムとか、シンプルな言葉の組み合わせでいかに表現するかとか、パートナーに読んでもらうとか。
例として出てくる作品や文法についてなどピンとこないことが多く、名作と言われている海外の小説を読んで英語を勉強して生きてきたらもっと理解できるところが多かったのだろうな。
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一流の娯楽作家が創作の真髄を余すことなく、自由に綴っており、作家を目指す人にとっての心構えも丁寧に述べている良書だと感じた。
将来、私も創作しようと考えているので、この本は当分の間は大切に保管することにする。
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小説家を目指す人に宛てたメッセージが詰まっている。もっと一般的な「書くこと」についての本だと思い手に取ったが(つまり私は小説家を目指していないが)、読み物として面白かった。特に前半の著者自身のことについて書かれた「履歴書」は連載の小説を読んでいるようだった。
Posted by ブクログ
シャイニング、ミザリー、it、スタンドバイミーなど、多くの作品を手掛けてきた作家、スティーブンキングの文章読本。
軽妙洒脱なユーモアを交えて紹介される、執筆スタイルや作文のノウハウは、読んでいて飽きがこなかった。
作家志望以外の人にもお勧めできる内容。
Posted by ブクログ
翻訳書だから…と思ったけど、思いのほか内容が頭に入ってきた。
本筋は著者による小説の書き方だったが、"書く"という行為についての心構えを説く部分は参考になった。
「受動態は極力避けろ」、「副詞を多用するな」など端的に伝わりやすい文章を書くことが重要である。
Posted by ブクログ
小説執筆の技術書として読み始めたので最初の「履歴書」(自身の人生の振り返り)になかなか入り込めなかったのだが、「小説を書くための道具箱」(作法や技術、心構え)を説明する章での他作家への言及に笑い、だんだん読むペースが上がっていった。
その後自身の直感的な部分の言語化に苦労し執筆を止めた章「書くことについて」と、止めている間に命を落としそうになった事故についての章「生きることについて」を読み
「履歴書」から読んできた著者のモノを書くことへの姿勢に繋がり、心が震えた。
キングが生きててよかった。
Posted by ブクログ
「小説を書くためのハウツー本ではない
よく読んでよく書いて、極力無駄を省いて装飾を取り払った言葉を連ねて文章を紡ぐだけ」
そう嘯くスティーヴン・キングの、創作に対する取り組みを読めるだけでも価値がある本と言える。
本人は「自叙伝の類ではない」とことわっているが、前段は幼少期から青春時代と小説を生業にするようになった頃、次から次へと創作を続けながらアルコールとドラッグに浸るようになった壮年期まで、キングらしいシニカルでユーモアのある筆致で描かれていて興味深い。
小説を書く上での各論というか具体的な作法についての解説の後、不慮の事故で大怪我をして復活するまでのは生々しい顛末も記されており、前段の履歴書的な記述と最後の怪我の顛末に小説作法が挟まれたスティーヴン・キングの半生バーガーといった趣きの、味のある本になっている。
しかし、何か大きなことをしでかす人には見えない力が働くのだなぁと思わざるを得ない。そんな感想を持った。
Posted by ブクログ
読む人の人生を豊かにする
と同時に
書く人の人生を豊かにする
「書く理由」をたずねられてスティーブンキングはこう言った。
積み上げられた努力は魔法のようにみえることがあるという。
「あなたは書いていい」という許可証をいただけたのでこれから書いてみることにする。
Posted by ブクログ
作家になるためには一度読んでおくべきものだと聞いたので読んでみた。
副詞を多用するな、受動態を避けるなどの注意事項が多くて、書き始めようという気持ちが無くなっていた。しかし、最後の「あなたは書けるし、書くべきである。最初の一歩を踏み出す勇気があれば、書いていける。」の部分によってヤル気が出てきた。
まずは書いてみる。たくさん書くことによってしか才能がないのかどうかの判断もできない。
勝手に諦める前に必死になってみようと思えた本だった。
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作家のスティーヴン・キングが自身の半生と、作家になりたい人へ向けてアドバイスをしたもの。
勉強になることばかりで、もっとはやくに読んでおけばよかったと後悔しました
Posted by ブクログ
幼い頃から書いて読むことに親しんできた己の人生を振り返りつつ、その波瀾万丈で手にした〈小説づくりの極意〉を教えてくれるエッセイ。
面白かった。キングの小説は『スタンド・バイ・ミー』しか読んだことがなく、シングル・マザーの家庭で育ち、IQの高い兄を持ち、若いうちに結婚してアルバイトや教師をしていたことはもちろん知らなかった。略歴を語った「履歴書」のパートでは、自分の輪転機で刷った同人誌や新聞を学校で配る幼いキングのバイタリティや、懸賞スタンプを貯める母のひと言から小説のアイデアを思いついたり、学生時代の苦い記憶を掘り起こしてキャリーのキャラ造形をしたことなど、印象深いエピソードがユーモア混じりに語られる。作家になってからはアルコールとドラッグに溺れたこともある。その日々を振り返り、「人生は芸術の支援組織ではない。その逆である」と締め括る言葉には、月並みだが胸が熱くなった。
キングの執筆活動に妻の存在は欠かせないようで、生活を支えるのみならず、作品を批評してクオリティチェックの役目も果たしているという。「生きることについて」のパートでは、キングが1999年に交通事故に遭い、生死をさまよった末にもう一度書き始めるまでを綴っていて、こんなふうに信頼できる人と一緒に暮らせるなら結婚も悪くないのかも、と思った。
小説家を目指す人のための本としては結構めちゃくちゃで自分の好みはどうかっていう話しかしてない気もする(笑)。ただ教師をやってた人なので、自分が推奨する書き方の効果的な面を説明するのはとても上手いし説得力がある。テーマを掲げてストーリーを組むのではなく、第一稿を書きあげてからそこにあるテーマを抽出し、強化していくという書き方は参考になった。プロットは作らないと言っているけど、キングにとって第一稿がプロットなんだろう。
最後には雑誌投稿をしている作家のタマゴたちに向け、エージェントにアピールする手紙の作法まで教えてくれる。その出し惜しみのなさには感動するし、巻末のブックリストまで見るとキングのことを大好きになってしまう。ちゃんと小説読んでみたいな。
Posted by ブクログ
分かりやすかった。
小説と人生といった感じで、経験そのものが小説に投影されるんだなと感じた。
細かいけどペプシが出てきたのには笑った。そういやアニーがペプシを警察官に渡しとったなと。
とても丁寧でオススメの作家が載っているので、次に読みたい本リストにした。
Posted by ブクログ
小説を書く上で参考になることがたくさん。ストーリー重視の作家なんだなぁと思った。テーマが先でストーリーが生まれるのではなくて、ストーリーを考えるなかでテーマが浮かび上がってくる、という話が印象的。また、台詞によってその登場人物のキャラクターを表現できるという話になるほどなぁと思った。最後の生きることについて書かれた部分は作者の死にかけた体験がリアルに描かれていて、読んでいて感動した。この人の文章はユーモアがあっていいなぁ。
Posted by ブクログ
本を書くというよりかは、文章を書く時にあったら良い考えが記された本。
スティーヴンのくどい表現やいらない副詞を削除し、あとは読者の想像に委ねるという意見が、かなり私も納得した。
本一冊作るのにも、作者の並大抵ではない努力の賜物なのだと感じる。
だからこそ、読者はその恩恵をありがたく享受して、読まないとなと思う。
書くこととは、つまり読むことであり、互いに影響し合ってできていくことだと感じる。
Posted by ブクログ
230122007
スティーブンキングの生い立ち、文章に対する考え方と、そして今。読まなければならない、書かなければならない、そして何より思い込まなければならない。
Posted by ブクログ
4/9/2022
「書くことについて」の章は面白い。が、キング氏の文体あまり合わないかもしれない。
たくさん読み、たくさん書くこと。副詞の濫用は×.
概して優れた作品より、出来の悪い作品からのほうが教わるものは多い。
「大事なのは、本は一気読みだけでなく、ちびちび読むのも悪くないということを学ぶことだ」
Posted by ブクログ
スタンド・バイ・ミーの作者の作品。
元が英語なので翻訳された時点で
日本語的な表現に合わない部分もあるんだろうと思う。
「書くこと」については難しいと感じる部分と
よく分からないと思う部分が多かった。
それが英語表現と日本語表現の差によって生じたものか
自分自身の現在の器による部分かは今のところ分からない。
ただ、エッセイ的な部分はとてもおもしろい。
とにかく文章で生活をするなら
毎日何がなんでも書くという心構えと
実際行動することが必要なんだと
改めて気付かされた。
Posted by ブクログ
私は書くために生まれてきたのだ。
(中略)
ものを書くのは(略)読む者の人生を豊かにし、同時に書く者の人生も豊かにするためだ。立ち上がり、力をつけ、乗り越えるためだ。幸せになるためだ。おわかりいただけるだろうか。幸せになるためなのだ。本書のかなりの部分は私がどうやってそれを学んだかということに費やされている。そして、その多くはどうすればもっと巧く書けるかということについての記述である。残りは(ここがいちばん大事なところだが)許可証だ。あなたは書けるし、書くべきである。最初の一歩を踏み出す勇気があれば、書いていける。書くということは魔法であり、すべての創造的な芸術と同様、命の水である。その水に値札はついていない。飲み放題だ。
腹いっぱい飲めばいい。(本文抜粋)
とても熱いエールです。キングさん。