ブックライブの高評価レビュー

小説・文芸の高評価レビュー

  • グレタ・ニンプ

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    ネタバレ

    いやー面白かった。笑いと共感と学びと感動と。綿矢りさ恐るべし。

    夫で語り手の俊貴は温厚で比較的鷹揚な性格。そんな彼でも由依の変貌ぶりに混乱や不満が芽生えるのは当然のことではある。男性である私は基本的に彼に共感しながら読み続けた。
    しかしふと気づく。女性作家が夫の一人称で男性が共感できるように書いたものに、私はまんまと共感していたのだ。どうして男性の気持ちを完全に把握した上で書けるのか。しかもこんなぶっ飛んだ話で。もうこの時点で私は綿矢りささんの手のひらで転がされていたのだ。

    読んでいる側ですら困惑するしかない由依の変貌ぶり。しかしその理由を知ると途端に応援したくなってしまった。
    「強い自分になりたい」
    これ以上ないくらい端的な理由だけれど、由依は新しい命を体内で育みながら自分自身も生まれ変わろうとした。言動のインパクトが強すぎるので目立たないが、子を宿しながら母もまた生まれ変わる。何かとても崇高な光景だと思った。

    妊娠した人が妊娠出産に関する諸問題について語ることにより、妊娠を望みながら叶わずにいる人たちの反感を買ってしまうという現象。私は世の中にこんな事があるなど考えたことすらなかった。作者は由依をその現象に巻き込ませ、反感を持った人の為に由依に反省の涙を流させた。これは「どちらも間違ってないよ」という双方に対するメッセージであると捉えた。
    対立するのではなくてお互いの手を取り合うことができないか。私は素直にそう思うのだが、男性として安易に語って良いことなのかという躊躇もある。これに関しての私の答えはまだ出ない。

    この手の作品はきっとハッピーエンドで終わるだろうと思いながら読んでいた。そして実際ハッピーエンドだった。しかし、思っていたものとは違った。
    私はなんだかんだで最後は由依は妊娠前のような姿に戻るのだろうと思っていた。ところが由依、変わらないでやんの。おまけに俊貴がそのまんまの由依を丸ごと愛している。
    これについて私は心の底から猛省した。最近女性作家の作品ばかり読んでいる自分に酔っているだけで全く何にも分かってなかった。結局私は男性目線でのハッピーエンドしか想像できていなかった。由依は自分がなりたい自分になって、しっかり自分の足で立っているではないか。これ以上のハッピーエンドがどこにあるのか。思いもよらず良い学びの機会となった。今作に出会えて良かった。

    『深夜のスパチュラ』は難しいことを考えずにただただ楽しく読みました。スパチュラをGoogle検索しなくてよかった。
    次に読むときはPerfume『チョコレイト・ディスコ』でも流しながらかな。

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    2026年10月01日
  • 夏休みの空欄探し

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    まさに青春。
    思春期特有のかったるさみたいな感覚、甘酸っぱい恋心、そこに加わるミステリー。
    夏にぴったりの作品。
    博識な主人公に何度もかっけぇ…って感動してた。

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    2026年10月01日
  • お探し物は図書室まで

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    読み終わった後に心がじんわり温かくなる感じ。
    自分の可能性を狭めているのは自分自身なんだと考えさせられた。
    読まず嫌いになってしまっている本をはじめ、もっと視野を広げて生きていきたいと思わせてくれる作品だった。
    本との出会い、人との出会い、そして自分自身を大切にしたいと思った。

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    2026年10月01日
  • 手のひらの音符

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    ネタバレ

    改めて時間が経ってからもう一度読むと尚、この作品の良さに気づけそうな一冊。

    というのも今の私には懐かしいあの人、が今も一緒に駆け抜けている友達ばかりのため、
    水樹と同じ45歳になったとき振り返って読むと、そうそうあの時ね…と過去を回想しながら未来を歩けるような気がしている。

    水樹の周りの人達がとても優しくてそれぞれの境遇を持ちながらも力強く生き抜いている人らしさに感銘を受けながら、こんな働き方もあるよな、こんな生き方も、修羅場となるような思い出もあるな、とまだ他人事のように読み進めてしまった気もしている。

    というのがおそらくまだ20数年しか生きていないから、逆にこの一冊から教えてくれたような気もする。
    相手を思いやった行動はその人にしかできなくて、水樹だけではなく周囲の登場人物の行動一つ一つのエピソードが誰かを想った行動指針であることに、人の優しさや柔らかさを感じられた。

    印象的なのは水樹の父親のお葬式に参加した際の行動と、水樹の母親が水樹の進路について関わる場面。特に自分も家族のために稼がないと、と義務を感じていた水樹に対しての母親の喜んで送り出せる行動は、涙腺にきた、こんな自分の子供のために心配を見せない、いとわない様な母親?女性像になりたいと思った。

    信也の不器用なだけど相手のために言動を行う真っ直ぐな姿勢もカッコよかった。こんな人が周りに一人でもいたら私も自分についてクヨクヨせずに堂々といれるだろうなとも思うし、今からでも私なりの闘い方で自分の人生を歩めるだろ!と思う。

    現在と過去の時間軸を行き来しながら物語が進むため、その都度のエピソードが印象的で、きっと読み返す事に好きなエピソードが変わるような人生の一冊となると断言できる。

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    2026年10月01日
  • 緑の我が家 Home,Green Home

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    薄々分かってはいたけど、
    ホラー小説で泣いたのは初めてでした(´;ω;`)
    切ない、でも温かい部分もあって色々考えるものがあった
    私は大好きです

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    2026年10月01日
  • 夜明けのすべて

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    普段はおとなしいのに山添くんにはぐいぐい行っちゃう藤沢さん
    お互い体の不調と付き合いながらの生活でいつの間にかお互いを支え合う関係に
    これがまたドキドキしない!笑えるくらいに!
    おぉこれが男女の友情ってやつ?いやそれとも違う
    同士?戦友?なんだろうね
    いつの間にか2人とも仕事にもやりがいを感じ始めちゃったりしてまだ20代の2人の苦しみを抱えながらもキラキラした未来が素敵だなぁとホンワカした
    それにしても世の中心療内科の予約の取れなさ!!
    軽く行ってみようなんて思えなくなるよね
    かといってパニック障害は鬱とも違うし
    前兆がなさすぎじゃない?
    自分でブレーキをかけて休むことや体に気づいてあげること出来ないのかなあ

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    2026年10月01日
  • アルジャーノンに花束を〔新装版〕

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    中居くんがドラマで主演してた予告だけ見たことがあったので、タイトルはすごく馴染みがあったのに、20年以上読まずに生きてきました。
    ちなみに今中居くんのドラマ何年だっけ?って調べたら、主演はユースケ・サンタマリアでした。
    完全にATARUとすり替わってました。

    最初はこんなもんね〜って思って読んでたけど、中盤に差し掛かって展開が気になって読む手が止まらない!
    名作って退屈な偏見を持っていてホントすみませんでした。
    (モモも素晴らしい名作ですね。子供の時読んで、いまだにわたしの価値観を形作ってると思う)

    チャーリィを演じるのってすごく難しそうなので、映像化された作品も見てみたい!


    「こんなん誰が引っ掛かんねん」っていう詐欺って、IQが低い人がカモになってるのかな…って思うところがありました。苦しい…
    IQが低いのも高いのもそれなりの悩みがあるということをこんなに解像度高く描けるのが匠の技!

    読む時によって考えさせられるポイントが変わると思うので、いつか再読したい。

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    2026年10月01日
  • だれか、わたしを助けて

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    筆者の誠実な人柄や観察眼が伝わってくる前書きから始まる短編集。

    「極寒の町」が素晴らしかった…厳しくも美しい自然と主人公の葛藤に胸が痛くなる。

    この本だけでなく個人的に最近思うのが、「自分を救えるのは自分しかいない」ということ。
    でもタイトルのように「だれか」に救いを求めてしまうし、場合によってはだれかを救いたいとも思ってしまう。
    何度もこの堂々巡りをしてしまう。だからこそ私には読書が必要なんだろう。

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    2026年10月01日
  • ハヤブサ消防団 森へつづく道

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    経済・企業小説が本筋の池井戸作品では異色のシリーズ。経済色はなくても、精巧なプロット、魅力あふれる人物、飽きさせない展開。ジャンルは違えど、池井戸文学の面白さがしっかり詰まっている。

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    2026年10月01日
  • さよならに取られた傷だらけ 不純文学

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    たった一ページ。だけれど繊細で濃密な、先輩と後輩の物語が250編。奇想天外でシュールでポップで、甘かったり苦かったり少し恐ろしかったりも。少しずつ、ゆっくりじっくりと読みたい一冊です。
    どの物語にも登場する「私」と「先輩」ですが、二人の関係は相思相愛だったり片思いだったりそもそもたいした関係もないふたりだったり、とさまざまです。それらがすべて同じ人物なのかどうかもわかりません。だけれど読むうちに、彼らの関係は切っても切れないものなのだと実感できてきます。名前も何もない彼らの姿が具体的に思い浮かんでくるような気も。そして無性に「先輩」が魅力的な人のように思えてくるのが不思議です。いろいろとけっこうダメな人のような気もするのにね(笑)。
    お気に入りは「自縛家のマリッジ」「夢想家のマリッジ」。少し間をあけてさりげなく出てくるこの二編、タイトルからわかるように繋がっているのですが。これぞ究極の愛、のように思えてしまうのは錯覚なのでしょうか。ちなみに憧れは、しません。

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    2026年10月01日
  • 犯罪者 下

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    とにかく「面白かった」の一言。
    本作品が太田愛さんのデビュー作だと知って驚愕。
    下巻は、暗殺者と暗殺者に狙われる3人の攻防が息を飲むほどハラハラドキドキする。
    相馬、遣水、修司の3人が仕掛ける暴露の方法に対して、服部と暗殺者滝川は、裏をかきことごとく邪魔をしてくる。知恵と知恵のぶつかり合いだった。本作品の落としどころは圧巻であり納得。全てがハッピーエンドじゃないところがリアリティがある。

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    2026年10月01日
  • シュレディンガーの密室

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    ネタバレ

    いや、すごいものを読んだな。いろいろ予想したけど全然外れた笑。ドナーが逆だとは全然思わなかった。最初の数ページでもう展開に引き込まれてしまった。突入するか、様子見か、私も様子見ちゃうなぁ、、、ていうかガスマスクがメインの研究室に一つしかないってことがあるのかなぁ、そこは少し疑問。けど、本当に展開が面白かったし円香ちゃんがクローン?おいおいまじかよ、イカれた研究者だな。え?成功してるの?やばっ。倫理的にまずいから養子の娘と円香はこれを機に隠蔽のためにいなくなるようにしてるの怖いし、円香が腎不全でシャントを造設してるとかクローンとしての欠陥なのかと勘繰ってしまう(健康な夫婦でも障害を持って生まれる子供もいるのでそこを一緒にしないほうがいいのかなとは思うけどいわゆる近親相姦でできた子供とおんなじ感じなのかなと思った、理解力が乏しくて、、、)。
    愛するもののために死ぬことを選択できた者とできなかった主人公、やっぱりその人と過ごした時間って大事だよね、死ぬのは怖いし主人公の選択は間違ってはいないけど後悔の念は残るよね。命握ってると思うと決断できなくなるよね。
    その主人公が書いたって設定のストーリーであったのがすごい!!あとがきも、ifストーリーでしたみたいなラストも完全に騙されたやん、すごすぎ。これぞミステリですね、感服です。

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    2026年10月01日
  • 対岸の彼女

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    主婦と女社長がひょんなことから出会い、働きはじめる。まじわることのない凸凹コンビと言ってしまえば簡単だが、この作品が面白いのは、並行して進む主婦の現在と女社長の青春時代に漂うリアルな疎外感が、むしろ似た者同士と感じさせるところ。

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    2026年10月01日
  • おいしいごはんが食べられますように

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    蛇がとぐろをまくように、とか状況や感情の表現がとにかく凄い。読む価値のある文章。今まで読んだ芥川賞受賞作の中でも一番芥川賞っぽいと思った。

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    2026年10月01日
  • 私たちの世代は

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    あの数年間にしか無いものがある

    コロナ禍という時代に小学生だった二人の少女の物語
    母親が水商売と言われ、姑息ないじめを受けていた冴
    大好きな学校へ行けず、手紙のやり取りだけの友だちと会えるチャンスを心配性の母親に止められて不登校になった心晴

    あの頃はそれまでの青春とは違っていたけれど、それまでと同じ日常なんて、大人たちの過去にしかないだけだ

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    2026年10月01日
  • キッチン常夜灯 真夜中のクロックムッシュ

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    キッチン常夜灯に向かう主人公の胸の内を思う。食事は勿論だが、それ以上に癒しというか、あの空間に包まれたいという思いが足を向かわせるんだと思う。そういうお店に出合えることは、幸せなことだなあと思った。

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    2026年10月01日
  • 成瀬は都を駆け抜ける

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     やっぱり成瀬は魅力的だなと思う、周囲の人がネガティブから少しづつ変化してポジティブになっていく要素は読んでいて元気を与えられた。
     他の作家のオマージュもストーリーと上手く交わっていて面白かった
     終わりにつれてあーこのまま完結なのかなぁって思うとさみしくなりました。

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    2026年09月30日
  • 終末のフール

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    終末が決まった世界で、それでも人は何を大切にして生きるのかを描く群像劇で、かなり好みでした。

    隕石そのものより、社会的な建前が剥がれた後に残る人間の選択や日常が特に印象的だった。

    どの短編も甲乙つけ難く、街全体の空気感と人々の交錯も良かった。
    『正常な世界は異物を静かに削除する』という感覚にも強く共鳴した。

    もし世界が終わるとしても、最後まで自分なりの生き方を選ぶ人たちが、とても良かった。

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    2026年09月30日
  • 金の角持つ子どもたち

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    久しぶりに本を読んで泣きました…。中学受験とは無縁と言えるような、地方都市に住んでいますが、中受イメージが変わりました。純粋な子供の情熱の描写が丁寧です。またタイトルも愛があって好きです。

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    2026年09月30日
  • 月野郵便、今宵も配達中 ~あなたの大切なものお届けします~

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    想いは伝えたいと思った時に伝える……伝えることが出来なくなる前に。

    どんな相手にでも届けることが出来る「月野郵便局」。
    ほんのり切なく、暖かい作品でした。

    続編希望。

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    2026年09月30日