小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本当に賢い奴が考えたトリックって感じ。
最近流行りのどんでん返しとは異なり、最後のピースがハマることで抱いていた違和感が消え、物語の全体像がはっきりするという、ミステリのあるべき姿のように思う。
SFとしてこの作品を認識している方も見受けられたが、その規模感から鑑みれば「特殊設定ミステリ」
と見るのが正しいだろう。ジェリーフィッシュの設定や一部の状況説明には化学・物理的におかしな部分が存在するが、「そういう設定」の小道具の説明としては必要十分である。
キャラクターについてはかなり気に入ったところがある。バディ物としては互いになんだコイツと思いつつも認めているところもある、というのは様式美として外せないだろう。リンダについては賛否あると思うが、これもまた「そして誰もいなくなった」「十角館の殺人」と続く様式美である。
オチも良かった。これだけ賢い犯人なのだから、感情に浸りに墓参りに来るにしても保険の一つくらいは用意していて当然だろう。その方が自然であるとも言える。
現時点でシリーズとして5作品あるようだから、後の4つも機会があれば読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
「十二国記」はめちゃくちゃ面白いと以前、bmakiさんに教えてもらったし、私でもその存在は知っている有名なシリーズなのだけれど…どうも私…ファンタジーの似合わない女でね^ ^というわけで、遠い存在だったのだが、この度、10年ぶりに新作が刊行されるということで(確か昨日だったそうです)、私がよく視聴しているブックチュバーの方たちの間で湧いていて、この波に乗るなら今だ!と慌てて一番面白いと言われる「エピソード1」の「月の影 影の海」上を読みました!
感想は…ごめんなさい!ファンタジー舐めてました。普通の女子高に通う優等生がある日突然異世界の人間?に連れ去られ、辿りついたところが中国のような国だけれど、海を渡ってきた「海客」として捕らえられる。逃げても逃げても周りは敵ばかりで夜は次々襲ってくる獰猛な妖魔と闘い続けなければならない。普通に小綺麗な女子高生だったのに何日間も一人で飢えをしのぎ、お風呂にも入れず、血と汗と泥でグッタグッタになって未知の地で生死の境目を生きていく。
初版は1992だったそうで、その頃といえば、主人公陽子のお父さんのように「女の子はおしとやかなのが一番」という価値観を持った大人が多かった中で、そんな概念踏み倒すくらい必死な冒険させているのがかっこいい。
時代を先取っていたと思う。最初のほうで「紅蓮」という「鬼滅の刃」で有名な言葉が使われているのを見ておおーっと思った。
未知の戦場でたった一人「家に帰るために」闘う女子高生の孤独さは計り知れないけど、読者である私だけは陽子を見てるし、陽子の味方なんだなあ。陽子は知らないけれど。ふと私たちの日々の孤独な闘いも実は私たちのことを「本」で読んでる読者が見ていて、私は「本」の中の登場人物かもという不思議な感覚に襲われた。
このシリーズ全部読むかどうかは分からないけれど「月の影 影の海」の下巻は読みます^ ^ -
Posted by ブクログ
ネタバレ心身ともに削って取り組んだ人たちには申し訳ないが、いわゆる就活って身近なファンタジーって感じ。就活モノの小説読むと、令和にまだこんなことやってるのか、、、?そんなわけ。と思うが、真っ黒キッチリになって、どこかのリーダーやったとか言って、みんな同じようなことツラツラ述べてるのかなぁ。
この小説続きが気になりすぎて読む手が止まらなかった。綺麗だなーと思った。小出しに伏線出して、少しずつ回収して、大きくひっくり返るってほどでもないドンデン返しが何回かあってって感じでどこにも飽きがなく楽しんで読めた。解説読んで、しっかり計算されて作られてるんだなって知ってなんだか嬉しい。もっとこんな綺麗で面白くて、計算されて楽しませてくれるような本読みたいって心から思った。
森久保いいやつだったんだな。最後にちょっと全員のことが好きになった。
-
Posted by ブクログ
筆者は民間の山岳遭難捜索チームを立ち上げた。
ちょっとした山歩きのはずだったのに、大切な人が帰ってこない。
地元の警察が捜査を打ち切る難しい事案も、家族の方の思いに答えて引き受ける。
家族からの聞き取り、SNSでの目撃者探しなど、手を尽くして遭難者のことを知り、捜索すべき場所を絞り込んでいく。
家族は憔悴し、ときに厳しい言葉を投げつけられても、家族に寄り添いながら。
筆者は看護師でもあり、患者のプロファイリングと同様に、丁寧に話を聞いていく。その中で、「この人ならこう判断したかも…」と、登山家の目線ではわからないことに気づき、発見につながることもある。
山はいのちの保障などどこにもない場所だった。
いつも登っている山でも、「まだほんの序盤」というような場所でも、一つ間違えば滑落したり、道に迷ったりする。
大声を出せば登山道に届くような、それくらいの距離しか離れていない場所でなくなる方もあるようだ。
ヘリで捜索してもらえるように、ヘリコプター救助契約(発信機の電源が入っておらず、救助されなかった方もいた…)。残された家族のために山岳保険、など、聞いたことない手立てもあった。
誰もが安全に下山できたらいいのに…。 -
Posted by ブクログ
ミステリー色の強いエンタメ歴史小説。
この小説は大きく二つの側面を持っており、前半から中盤までは「翼の成長物語」、終盤は「国づくりに奮闘する楊広の物語」としての色が強いと感じた。
さらに物語全体を貫く軸としてミステリー要素があり、「黒幕は誰なのか」が終盤付近まで断定されず推理小説のような考える楽しさがある。
そのうえ家族愛や仲間との絆といった胸アツ間違いなしの展開が各章に散りばめられており、内容てんこもりで満足度の高い小説だった。
・物語全体を通して
主人公の翼を取り巻く人々との関係性がドラマチックで面白い!
物語の中心人物である楊広はもちろんのこと、主に宮中で出会う様々な人との関係性が「何をきっかけに変わっていくのか」に着目して読むと面白い。
・序盤
主人公の翼がまだ子供の頃から話が始まり、都へ出てきたことによる環境の変化に戸惑う様子が描かれている。
翼の幼さがよく出ており、「同臭相救う」の言い間違いが面白い。この言葉を覚えておくと読み進めたときにいいことがあるかも。
・中盤以降
史実をなぞりつつ、民衆から「暴君」と評された楊広の真意が少しずつ見えてくる物語の作り込みが見事。
特に運河の章で見る「とある光景」は胸アツ。翼と一緒に泣こう。
不吉な出来事が続くものの、楊広の度胸試し(※ネタバレ回避のためかなりの婉曲表現)にハラハラさせられたり、翼にも恋の予感が訪れたりと、暗い話題ばかりではないため読み進める楽しさがある。
個人的には舞台のシーンが好き。楊広の想い、翼の行動、そして不穏な動き……と怒濤の展開になっている。
・終盤
暴君のイメージがある「煬帝」を描いた物語の結末は? 黒幕は?
といった情報は読んでのお楽しみなので詳細は伏せるが、終章の終わり方が綺麗でガチ泣き不可避。
小説としての完成度が高いと言わざるを得ないラストであることは間違いない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初は彼が、本当に人殺しなのかと思っていた。
でも工事現場にいた時から人の良さや正義感を感じ、きっと何かどうしようもない事情があって罪を犯したのだろうと思っていた。
その後読み続けて、彼は姿や名前は変えるけども、根本の性格は一切変えていないことに気づく。正義感は発揮するし、なんなら「スノーボードを1度だけやった」「好きな人と一緒に住んでた」なんて自分の特定につながるようなことを言ってしまう。
もしかして、彼は殺してないんじゃないか?凶悪犯ならば性格ごと変えるんじゃないか?そんな気持ちがだんだんと大きくなってきた。
そして、ラスト。彼の目的は逃げることではなく、立ち向かうことだったのだ。立ち向かうためには、なんとかして井尾由子のもとへ辿り着かなくてはならなかった。
彼が亡くならなければ、自分の潔白を証明したあとに、これまで一緒に働いた和也や淳二、節枝に必ず会いに行っていた。そして今度はカップルとして沙耶香と一緒に暮らしていたはずだ。
本当に胸が張り裂ける思いだけど、彼の死とこの本の存在をもって、冤罪がこの世からなくなることを願います。
※追伸: 調べたら映画版では鏑木は死なずに、生きて無罪判決を聞けるというハッピーエンドらしい。 -
Posted by ブクログ
「何ヶ月も何ヶ月も雨が降り続き、もしかしたらこのまま雨の中に閉じ込められるかもしれない。」
冒頭が最近の天気とリンクしており、物語により深く入り込むことができました。
島本先生の初期の作品とのことですが、みずみずしさに溢れていると共に、島本先生らしい闇の抱え方はすでに表現してされていると感じました。
自分は「星のように離れて雨のように散った」を先に読みましたが、登場人物などはリンクしていませんが、シルエットのアンサー的な作品になっているように思いました。
未読の方は、シルエット→星のように〜の順に読んでみてください。
とてもおもしろかったです!
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。