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名探偵エラリイが導き出した、十二年前の毒殺事件の真相とはいったい? 巨匠クイーンの〈ライツヴィル〉ものの秀作、新訳版刊行
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Posted by ブクログ
一九四五年発表の作品。デイヴィー・フォックス大尉ーー何人もの日本兵を叩きつぶした「英雄」ーーの凱旋を、ライツヴィルの人々が華々しく歓迎する場面から物語は始まる。しかし実際のところ、彼は戦場で心を壊してしまい帰還したのだった。ミステリー作家として、殺人事件が核となる娯楽小説をずっと書いてきたクイーン...続きを読むだが、戦局が激しくなってきて、改めて「人が人を殺すとはどういうことか」をきちんと示したかったのかな…と思わせる冒頭。 後半でも、ナチスの強制収容所の話が出てくるが、それ以外はいつもの謎解きエンタメ性バッチリ。ドラマツルギー的にだいたいこういう筋書きだろうなあとは予想ができるものの、どうやってその結論にたどりつけるのかはさっぱりわからなかった。そこへ、エラリーの推理でピシッパシっとパズルのピースが埋まっていく快感はやっぱりたまりません。 私は今『ダブル・ダブル』の新訳発売に向けて、先延ばしにしていた未読のライツヴィルシリーズを今こそ読まなきゃ〜と焦っているところ。それでも、唯一読んでいたが忘れかかっていた『災厄の家』を読み直してから臨んで良かった。懐かしい面々がたくさん登場するので、エラリーと一緒にライツヴィルに戻ってきたかのような気持ちになれます。デイキン署長、マーティン判事はもちろん、エミリーン・デュプレさえ愛おしくなる不思議。 ニューヨーク組のパパ・リチャードとヴェリー部長刑事も、出番はほんのちょっとながらいい感じで出演してくれるのも嬉しい。巻末解説に「裏ベスト」なんて言葉もあったけれど、確かに確かに、エラリー初心者には響かずとも、エラリー作品に愛着のある読者にとってはかなり満足度の高い一作なのでは。好き。
12年前の事件を再捜査するクイーン。 論理パズルと回想・記憶って噛み合うのだろうかと思っていたけど、さすがに上手いねぇ。ライツヴィルシリーズの中では好みの作品だ。
エラリー・クイーンの作品は結構読んてきたが中でも読みやすい一冊てした。 割と最後まで、犯人が絞り込めず先が見えなかったがちょっと推理できる展開ではなかったかも。手がかりがすくないし、トラップが多い。人の親としては結構考えさせられる最後。親の愛は偉大。
戦争で心を病んだフォックス大尉。父が母を毒殺したという過去が彼の心理に関わっていると思われ、父の無実を証明することが彼を救う手段になるのではないか、ということで相談されたエラリイ。十二年前の事件の細部を繙き、真実を明らかにしようとするミステリ。 描かれる事件は十二年前に起こった、一見単純に見える毒殺...続きを読む事件のみ。ということでミステリとしては地味なんじゃないか、読み進むための求心力があるのだろうか、などと思ってしまいましたが。それは杞憂でした。フォックス大尉とその妻の苦しみ、事件が町に落とした波紋、ライツヴィルという町の雰囲気、といった物語性が魅力的。そして丁寧に過去の細部を検証していく中で起こった変事とそこから導かれる事件解決への光明、と惹きつけられる要素は充分でした。 ベイヤードが犯人ではない、ってのはもう確実なんだろうなーと思いながら読んでいましたが(笑)。しかし真相が何だったのか。ほんっと最後の最後まで読めなかった。そしてこれが最適の解決だったのですね。
ベイヤード・フォックスの息子デイヴィーと、 タルボット・フォックスの養女リンダ 夫婦の心配事をエラリイは解決できるか? 情報を集めて集めて……集まってきた情報も加えて解きほぐす。 フォックス家はどうなるのか??
十二年前の殺人事件に挑むエラリーのお話。どうあがいても不利になっていく状況を、冷静な視点と判断力で有利に変えていくエラリーが凄すぎた。ページ数の多さの割にサクサク読めるし、そこまで不快な妨害行為も無かったので面白かった。まあ遺書を盗んでエラリーに怪我させたヤツもいたんだけども。まあそれくらいはミステ...続きを読むリのお約束ということで。無実だけを求めるだけなら良かったものの、真実を追求してしまったために悲しい結末を迎えてしまうのにびっくりしたけど、親の愛は偉大だなあと思わせるエンドだった。
『災厄の町』のライツヴィルという町に、 大戦の英雄が帰ってくる!というところからストーリーは始まる。彼、ディヴィーも、迎える家族同様に過去に受けた心の傷のため、今も心を病んでいる。 そのためにほじくり返そうという過去の殺人事件が今回の大きな軸。 ほじくり返されたら、出てくるのは悲しい真実の他にも沢山...続きを読むあった… 登場人物に向けられるエラリー・クイーンの一種、冷ややかな視線など結構楽しみながら読むことができ、最後の最後まで真犯人はわからない…ということなど充分に満足出来る一冊だった。
ライツヴィルシリーズのエラリーは、感情豊かで心優しい青年。エラリーの心の動きも言葉ではっきりと書かれているので、それがしっかりと読者にも伝わってくる。そのため、前作に引き続きこの作品もどこか憂いや悲しみが漂っている。 ほんの些細な好奇心が、大切な人の命を奪い、大切な人の人生を奪ってしまった。それを何...続きを読むとか隠し通そうとするエラリー。残酷な事実を覆い隠すために吐く優しい嘘。それでも、真実を希求するものにはきちんと伝える信念を持っている。 推理小説としての要素の部分で言えば、「毒は誰が、どこに仕込んだのか」という点が最後まで残る謎となっている。エラリーは事件現場を舞台に、当時の状況を詳細に再現していく。水差しに残されたぶどうジュースのすじをめぐる実験などが特に興味深かった。 この作品の中で一番胸にきたのは、戦争を終え心に傷を負って帰還したデイヴィーの苦しみだった。PTSDやサバイバーズ・ギルトなどの概念がまだ確立されておらず、他人にはなかなか理解してもらえないのがもどかしくて苦しい。妻のリンダやその家族は理解しようと力を尽くすが、どうしてあげたらいいのかわからないというまた別の葛藤を抱くことになる。そういった中での一縷の望みがデイヴィーの父の無実を証明することだったので、エラリーは真実を捻じ曲げたのだろう。デイヴィーが抱えたこの苦しみは、フィクションと言えど間違いなく実在した誰かのもの。ベトナム戦争から帰還した兵士もそうだったはず。デイヴィーがリンダを手に掛けようとしてしまったのは父のことがあったからではなく、実は潜在的な部分で自分が母を死なせてしまったことを自覚しているのでは、と空寒くなった。 若い夫婦を含むフォックス家の今後が、町のお節介連中にかき乱されることなく穏やかなものであってほしい。 国名シリーズファンとしては、父親を便利使いするエラリーが見られて安心。
トリックそのものは小ぶりだが、薬屋の台帳や水差しに残った跡から見せる推理は鮮やかで、らしい。そして、「ヨードチンキ」ならぬ、アスピリンの謎が、最後に悲劇的な真相を導くのにはニヤリ。
一時、離れていました。 久しぶりのクイーンです。 新訳という事で思った以上に読みやすかったです。 肝心の本編も面白かった! 12年前の殺人の再調査。聞いただけでもワクワクするじゃありませんか? 過去を振り返りながら調査を進めるエラリィ。 楽しませて頂きました。 面白かった‼️
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フォックス家の殺人〔新訳版〕
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エラリイ・クイーン
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