【感想・ネタバレ】あしたの肖像のレビュー

あらすじ

自画像をライフワークとする美大三年生の小滝英哉は、教授からアルバイトを頼まれる。それは学内の事故で亡くなった彫刻家四年生・樺沢穂香の両親からの依頼で、肖像画を描くというものだった。故人を描くという難題を前に、穂香を知るため不可解な事故の原因を探ろうと小滝は関係者に話を聞く。その頃、周囲から天才と呼ばれていた同級生で、小滝の恋人でもある宇野ひなたが行方不明になっていた……。

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Posted by ブクログ

最近読んだ「真珠配列」と打って変わって、清々しい青春小説で夢に向かって悩む主人公を応援せざるを得ない、素敵な作品でした。

本作の主人公は自身の肖像画を描くアートスタイルの美大生。肖像画制作を通し自身の内面を見つめていた主人公は、ある日教授の推薦で、事故で亡くなった先輩の肖像画を描くことになる。その先輩は、どうして亡くなったのかを探る中で、美大生としてのあり方を見つめ直すというお話。

本作は、①肖像画の完成、②音信不通の恋人との和解という2軸で進むのですが、その2つの主軸どちらにおいてもクリエイターゆえの葛藤が描写されます。この葛藤を経ることによって、恋人への理解と亡くなった方への理解が深まっていき、そして主人公の決意へとオーバーラップしていく感覚がとても素晴らしかったと思いました。

表現力も素晴らしいなという印象なのですが、構成も面白くて、少しミステリー要素が含まれるような描写もあって意外性があるのも本作の良かった点かなと思います。

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2026年02月11日

Posted by ブクログ

自分を知るために自画像にこだわり続ける美大三年の小滝英哉は、学内の事故で亡くなった彫刻科の樺沢の肖像画を描くというアルバイトを教授から頼まれる。
故人を描くという難題に先ずは、彼女について知ろうと動くのだが…
小滝には天才と呼ばれていた同級生であり、恋人の宇野ひなたの行方不明も気になっていた。
突然、現れたリュウとは…


芸術というものを知れば知るほど才能の有無に悩まされ、自分の存在も見失なうということを若いうちから経験する…苦しくも自分でどうにかするしかないというのはとてもしんどいことだと感じた。

決断することの辛さや苦しさもありながら成長していく姿を見ることができたのはよかったと思う。



小滝やひなたの未来はどうなっているんだろうと想像が膨らむ。

そして、リュウは…












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2026年02月05日

Posted by ブクログ

恋人の行方、肖像画のモデルの死の真相…
真実を知ろうとすることが、自分と対話し、
本当の自分を探すことにも重なっていく。

その過程は作品を生み出すことと同じで、
辛く苦しく、しかしとても崇高で、美しかった。

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2026年01月21日

Posted by ブクログ

あなたは本当にやりたいことを忘れていませんか? 「青春」を真正面から描き切った力作 #あしたの肖像

■あらすじ
美大生の小滝は、いつも自画像を描いていた。彼のもとに教授からある人物の似顔絵を描いてほしいと相談される。その人物は同大学の学生樺沢穂香、彼女は既に事故で亡くなっており、両親から依頼を受けたものだった。

小滝は人物像を描くために穂香の関係者に聞き込みをするも判然としない、また穂香の死因にも疑問が残る。さらに小滝には同級生の恋人がいたが、音信不通になっており…

■きっと読みたくなるレビュー
「青春」を真正面から書き切った力作ですね。

岩井圭也先生の作品は何冊は拝読してますが、パワー溢れる演劇&青春小説『舞台には誰もいない』に近いものを感じました。若いっていいなーと思う反面、私の20代の頃を思い出すと胸が締め付けられる…

本作は自画像に執心する美大学生が、故人穂香の似顔絵描くために関係者に聞き込みをしていく。並行して、彼の恋人が行方不明になってしまうが、理由も居場所も分からずに苦悶。やがて故人や恋人の情報に触れあうことにより、自身の芸術性や生きる価値観と重ね合わせ成長していく。

この手の作品って、ひたすら主人公の心の内を描く、内省がメインになるから説教臭くなりがち。しかし本作は恋人、友人、教授など、良い壁打ちキャラを配して、エンタメに仕上げているのがお上手。

さらには故人の人柄調査と行方不明になった恋人探しという、私立探偵小説の形式で進行するところも引きこんでくれるポイントですよね。もちろんミステリーらしい展開もあり、楽しませていただきました。

全般的に青春小説であり、悩みを抱えた若者たちを描いています。背負いきれない難題、本当にやりたいことへのチャレンジなど、彼らの熱い熱い想いが伝わってきます。こういう作品を読むと、もう若くない私も挑戦してみたくなるんですよね。元気をくれる作品でした。

■ぜっさん推しポイント
本作の主人公は自画像をライフワークとする絵描き作家。読み始めてすぐに思ったこと、この作品は岩井圭也先生自身の叫び声なんじゃないかと。

絵、小説、アート、音楽…、何もないゼロから何かを生み出す作業ってのは、他人に評価される・されないの区別はあっても、自分自身で納得する・しないの区別はないと思うんだよね。だからこそ芸術家って内省力が必須なんだけど、さらに耐え抜く根性があるかってのもキモ。

本書最後のページ「絵を描くということは… 」以下最後までの文章。岩井圭也先生が作家として生きていくこと、表現することへの覚悟のメッセージに読めるんですが、いかがでしょう。

きっとこれまでたくさん苦しみ悩んだんだと思う。だからこそ未だ芽吹いていない若い人たちに、精一杯のエールを送っているようにも見えるのです。

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2026年02月10日

Posted by ブクログ

岩井ファンの1Qさんはすぐに気づいちゃいました!

本作『あしたの肖像』の主人公・美大生の小滝英哉は彼にそっくりだと


彼って誰って…?


それは、「彼に鑑定できない証拠物なら、他の誰にも鑑定できない」と言わしめた男・土門誠だ

なぜなら土門さんのトレードマークといえば、ベージュのジャケットとパンツですよね
これはもう周知の事実です


で、小滝英哉も土門さんに負けじと紺色のセットアップを愛用している
夏場は毎日これを着て、洋服には興味がない、着るものに頭を悩ませる時間がもったいないという考え方も土門さんにそっくり


しかーし、小滝くん、君はまだまだ土門さんには及ばないよ!
だって君は紺色のセットアップを何着持っているんだい?

四着でしょ!
まだ四着!

土門さんなんて七着よ!

今すぐ買ってきなさい
あと三着買って土門さんに並びなさい!


そしたら評価も★5にしてあげる

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2026年02月10日

Posted by ブクログ

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ぼくを救うのは肖像画だけ。
君の姿を描かせてほしい。

『永遠についての証明』の著者があらたに描く、
いとおしくて魂が震える、青春小説のニュー・ヴィンテージ。』
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自画像にこだわり続ける美大三年の小滝。
ある日学内の事故で亡くなった樺沢穂花の肖像画の制作依頼を受ける。
彼女を知るために周囲の人間から話を聞き、事故について調べて始める…。
そんな小滝は、恋人の宇野ひなたが行方不明になっており…。

美術に対する拘り、プライド、祈り、嫉妬。
そして複数の謎。

ひなたは見つかるのか。
穂花はなぜ命を落としたのか。
小滝がたどり着く未来とは。

穂花の話は少し泣きそうになりました。

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2026年02月08日

Posted by ブクログ

著者の作品はこれまでにも何作か読んできたけど、本作もまたこれまでとは異なる雰囲気で、その引き出しの多さに改めて驚かされた。芸術を生み出すことの難しさや、才能への憧れと嫉妬といった感情が生々しく伝わってくる。青春小説にミステリーの緊張感、さらに終盤にはSFの味わいも加わり、最後まで一気に読み切ってしまった。結末には好き嫌いが分かれるかもしれないが、私はこの終わり方でよかったと思う。

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2026年02月08日

Posted by ブクログ

美大の三年生小滝英哉。自画像にこだわり続ける彼が教授に頼まれたアルバイトは、学内の事故で亡くなった彫刻科四年生・樺沢穂香の肖像画を描くことだった。彼女の死の真相を探る過程で否応なく直面する自らの才能と生きる意味。天才と呼ばれる恋人・ひなたの突然の失踪。天才の苦悩と、傍で才能に焦がれる者が抱く焦燥と敗北感。小滝が行きついたその先の生き方とは。


読んでいてずっと「永遠についての証明」の世界を思い出していた。
数学と芸術という違うフィールドではあるけれど、天才とそうでないものの間にある圧倒的な差と、持つ者の苦悩と、持たざる者の焦燥。
「永遠に〜」は天才の精神的な脆弱性とその側で天才への昏い嫉妬を描く者の姿を描いて救いがなかったが、こちらは最終的に救いがあって読後感はいい。

小滝の自己肯定感の低さが気になったけど、周りに圧倒的な才能を持つ者がいたらそうなってしまうんだろうか。絵が描けなくなったら生きている意味がないとまで追い込まれながらしか、芸術って続けられないものなのか素人にはよくわからないけど。
ツブキリュウジという謎の青年の正体。ここでSF?と思ったけれど、上野動物園との秘密の抜け穴のくだりでひなたが言った「絶対のあり得ないと言い切れる根拠がないなら、どんな可能性も捨てないほうがいい」という言葉を伏線として妙に納得した。

クライマックスは穂香の元恋人・新倉が出来上がった肖像画を見るシーン。泣けました。

青くて、痛くて、ひたむきで、もがき続ける青春の輝きを描かせたら右に出るものはいないんじゃないかと思う岩井さん。次はどんな若者の姿を見せてくれるのかと期待しかありません。




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2026年02月05日

Posted by ブクログ

肖像画を描き続けている美大生が、もがきながらも必死に自分と向き合っていくお話。
サスペンス、青春、SFいろんな要素が一冊に入ってて読み応えがあった。
芸術を生業とするすべての人たちにおすすめしたい。

妄想実写化キャスト
小滝英哉→高橋文哉
宇野ひなた→山田杏奈
樺沢穂香→吉川愛
ツブキリュウ→齋藤

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2026年02月03日

Posted by ブクログ

絶好調岩井さんの新刊。またもやクリーンヒットかな。美大を舞台にしたラブストーリー、青春物語みもありつつ、才能、男子学生の青さ、性急さ、鈍感さや情けなさなども真正面から描かれていました。後半からの展開には驚き、最後にとどめの謎も出てきて「えっ?!」となったり…。読んだ皆さんの感想が知りたい…

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2026年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

絵を描くということも含め、芸術作品を生み出すことはとても難しいことだと思う。正解があるわけではない。自分が好きなように、納得するものをつくりたい。だが、それを仕事にするには、人に評価されるものをつくらなければならない。知識や技術を学び努力した分、必ず評価されるというわけでもない。
この作品には美術に関わる多くの人がいる。それぞれが、それぞれの感情を持って、向き合っている。終わりがみえない苦しさを感じたり、時には諦めを決心したりする。認めたくない才能という壁や、自分の中で生まれる嫉妬などの感情。何かを努力した人間は、一度は感じたことがあるのではないか。
自分には絵を描くことしかない、だからこそ、それを失えば生きていく意味はない、という主人公の気持ち。それに対する、今までの思い出や大切な人たちの存在がありながら、自分は孤独だと思い込むことは身勝手で傲慢だ、というリュウの言葉。その言葉に、はっとさせられた。自分は孤独で苦しいのだと決めつけてきたことは、自分の人生にもあったから。
主人公は、本当なら今はもうこの世にいなかった。だが、生きている。一度失ったはずの人生だからこそ、ここからまた生きていくことができるのかもしれない。絶望の中から、希望の光へ。

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2026年01月28日

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