あらすじ
芥川賞受賞作&30万部のベストセラー
世界各地で翻訳続々!
最高に不穏な仕事×食べもの×恋愛小説!
解説:一穂ミチ
「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
真面目で損する押尾は、か弱くて守られる存在の同僚・芦川が苦手。食に全く興味を持てない二谷は、芦川が職場で振る舞う手作りお菓子を無理やり頬張る。押尾は二谷に、芦川へ「いじわる」しようと持ちかけるが……。どこにでもある職場の微妙な人間関係を、「食べること」を通してえぐり出す芥川賞受賞作!
共感が止まらない!
「わかりすぎてえぐい」職場ホラーNo. 1
サイコホラー小説? ミステリー小説? それとも恋愛小説? 不思議な感覚で読めた小説です。(文教堂横須賀MORE’S店/矢部直利)
喉の奥に詰め込んだ言葉や感情を吐き出したくなるような気持になった。(くまざわ書店サンシャインシティアルパ店/河口茜)
表紙・タイトルのほっこり感と内容とのギャップを、ぜひもっともっと多くの方に感じてもらいたいです。(明屋書店喜田村店/高橋杏奈)
感情タグBEST3
要領良いヤツってどうよ。
凄く読みたかった芥川賞小説だ。文庫化したので、喜んで手に取った。🥘要旨は、職場で要領良く煩瑣事から逃れるどうにもイケ好かない奴とのつきあい方を考えるものだ。🥘そんなヤな奴はイジメて大人しくさせるのか。それは得策でない。要領の良い相手だから当方が悪者になる。🥘実際のところ、上司に可愛がられることも、同僚達に上手く厄介事を振ることも、なかなか難しい。要領良く立ち回るには、才能も努力も必要なのだ。職場では「誰でもみんな自分の働き方が正しいと思ってる」ことを念頭に置きつつ、世渡り上手には、その才能と努力を認めて、つきあうことが正解なのだろう。🥘
Posted by ブクログ
DARMA GRAND PRIXみたいに
世間を思いっきり皮肉っている小説。
相手の女性は責任や重圧に弱く、すぐに体調を崩す。なんらかの理由をつけて会社を休み、1人だけ残業もしない。さらに申し訳なさそうに手作りお菓子を持ってきて周りに理解されようと努めている。
この無性にイライラする女には既視感がある人も多いのではないだろうか。いじめてしまいたくなるような人に。主人公の男は彼女の作ったケーキをぐちゃぐちゃにして彼女のテーブルに置く。それほど彼女を理解できていない。
にもかかわらずこの2人は付き合う。その矛盾を完全に否定できないことがもどかしくてしょうがない。
Posted by ブクログ
表紙のかわいさに惹かれて読んだら、全く癒やされない職場のドロドロ劇で驚きました。
周りを味方につける芦川さんは、一緒に働いたら正直しんどいけれど、おじさん達と同じように密かに癒やしとして割り切るかも。
「こんな人いそう」と思わせるリアルな嫌さと人間模様が詰まっていて、後味は微妙だけどクセになる作品でした。人間関係の生々しさや、一筋縄ではいかない人間のズルさにゾクゾクしたい人におすすめ!
Posted by ブクログ
読み終わったあと、すごく苦味がした。
最後の解説まで面白くて、こんなにもご飯が美味しく想像できない表現が本当にすごい。
普段甘いものは、好きなのに、気持ち悪い感覚で、甘いものが苦手な人たちはこのように感じているのかなと読みながら思った。
うわあこんな職場やりづらいな。
誰が悪いとかって言うよりはそれぞれの価値観って言うか、ちょっと立場弱かったり能力低い人を前にしたときどんな風な扱いをするのか、たしかに「嫌い」というのはなんか違う、でも苦手。できれば関わりたくない。
芦川さんはまさしくそんな感じの人。
私がもし同じ職場にいたらサッとお菓子を受け取ってそれ以上も以下もないような関係性を維持できるように努めちゃうかもしれない。
平均より少しデキが悪い人、それを理解して先回りして守ろうとする周りの空気、そのしわ寄せが他の人にいくところとか、なんて描写がリアルなんだろう。読んでてもどかしい、こんなにむず痒くなるような書き方、すごい。
あと二谷が、「生きていくための食事」にやたらと意味づけしようとしたりする世の風習に抗おうとするところも少々胸が痛かった。
可愛い表紙なのに、こんなギッスギスした内容と思わなかった。
最高に面白かったです。
Posted by ブクログ
表題、表紙からは想像していなかった内容であり、少ないページ数にも関わらず満足できる作品だった
三人称多視点?の書き出しに戸惑いつつも、各登場人物を対比する描写が分かりやすく構造を分析するのが面白かった
Posted by ブクログ
美味しいご飯は食べたい。食べるのも好き。
ただ私も結構二谷と似たような食への考え方がある気がする。
そういう意味で私にとってこの本は自分の価値観を再考するきっかけとなり面白かった。
どちらかといえば「ごはんがおいしく食べられますように」というような考え方だが、そもそもおいしいとはなんだろうとか考え直すのが楽しかった
自分の趣味嗜好や思考に改めて触れられるような一冊として良かった。
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社会人3年目にして大した理由はなけれど悶々とした不満を抱えてはじめての会社を退職した。
本は久しぶりに読んだが、私にとってすごく共感もできる本だったと思った。
この日本のどこかの世界線にきっとこんな会社がリアルにあると私は思うほどに身近に感じるものだった。
真面目でそこそこ器用で頑張る押尾と、そつなくこなせて表面上はなんでも上手く取り繕っている二谷、z世代と呼ばれるような権利主張をしできないと早々に決めてしまえば他人にお願いをする芦川。
私は押尾に最も共感を覚えつつも芦川の立場もよくわかる気がした。
私的にはこの物語の中で1番タチが悪いのは二谷だった。
業務の中で、できないことをできないと早めに判断することもときに大事だと私は考える。だからといえ他人に皺寄せがいくのはおかしいと思うし、その償いを業務ではないところで善意という方法で補完しようとしていることに対していけ好かない気持ちを覚えた。
押尾に対しても、おかしい不平等だという声が届かなくて腹立たしい気持ちは共感できるがそれで意地悪をしてしまうというのはいかがなものだろうか?でもただひたすらに耐えていくといのも中々に厳しいのはとても分かる。
そこが上面なコミニケーションで上手く綱渡りをしないというか押尾らしいところでもあるのかもしれない。
二谷に関しては、人が作ったものに対して上面を繕い顔を作りありがとう!すごい!と言いながらもよく思わず裏で捨てたりする癖に芦川を可愛いと感じ付き合っていくというのは甚だ気持ち悪いと感じた。
人から善意を受け取ることに段々鬱々とする気持ちは分かるが、人の気持ちに対して向き合っていないところが私には癪にさわるなと思いながら読んだ。
おいしいと思う人は、おいしいと思えばいい。
私はおいしいだけでは無く、可愛いとかかっこいいとかそう言うものにも当てはまるなぁと思いながら読んだ。
現代はSNSの発展からか、世の中で評価されているものを、自分がどう感じるか確かめる前に、自分の感性として錯覚してしまっている人が多いのではないかと感じる。
そこに自分の感性からの感動は本当にあったのだろうかと疑問に思う。
そんなふうにこの作品を読みながら考えていた。
Posted by ブクログ
どこにでもある会社の、どこにでもある人間関係。
最初は押尾さんが悪いのだと思っていたけど、読み進めていくうちに、芦川さんのような女性を思わずにはいられなかった。
どんなコミュニティにも、周囲から守られ、甘やかされる人がいる。そして、その人のために、周りの人が仕事や負担を引き受け、後始末をすることになる。
誰か一人が明確に悪いというわけではない。それでも、そこには確かに不公平さや、言葉にしにくい不満が存在している。
読後感は最悪。決してハッピーエンドではないし、すっきりする結末でもない。
モヤモヤした感情を抱えたまま、いがみ合い、何も解決しないまま終わる。それがこの物語にとって1番いい終わりだと思いました。
Posted by ブクログ
どこにでもあるような会社の一部署の人間関係を食を介して描いていて、面白く読んだのだが、気になったのは「わたし」という人称である。
押尾さん、芦川さん、二谷さんが主な語り手として出てきて、押尾さんだけが地の文で「わたし」になる箇所がある。
あまりにも気になるのでkindoleで検索すると地の文に118箇所「わたし」が出てくる。他の人も当然会話の中で「わたし」を用いるが、地の文に出てくるのはすべてが押尾さんなのだ。
もちろん作者は自覚的にそうしているはずだが、なぜか読み手である「私」は、いつ三人称になった押尾さんが「わたし」に戻るのか、最後まで気になってしかたがなかった。
Posted by ブクログ
芥川賞受賞作だけど、文章が読みやすく、短いのですぐに読めた。他の本では味わえない、不思議な読書体験だった。
食べることが好きな私にとって、主人公の食に対する考え方には共感できなかった。ただ、その考え方が丁寧に描かれていたので、理解することはできた。
一方で、主人公が彼女と付き合っている理由は最後まで分からなかった。しかも、いずれは結婚しようと考えているのも謎だった。でも、こうした理解しきれない部分が残るのも、芥川賞作品らしい気がする。
Posted by ブクログ
帯に「忙しすぎるあなたに読んでほしい」と書いてあって、タイトルが「おいしいごはんが食べられますように」。
そこから得られる読後感を勝手に想像していた。
実際には、真逆の読後感だった。
かなりくらった。
1人では抱えられなかった。
誰かに話して安心したくなる。
解説の一穂ミチさん、ありがとうございました。
タイトルからは想像できない物語だったけど、言われてみれば納得もする。
雨の日の読書にちょうどいい気がする。
ただ気分が落ちてる時にはおすすめしないかも。
人間は話しながらいろんなことを考えているものだと思うけど、押尾さんや二谷さんのように、相手の思考の裏や気持ちをこんなに疑ったり、嘘を伝えたりするものなんだろうか。
仕事以外では、できるだけ会いたい人としか会わない環境を作るようにしているから、ご飯を食べながらこんな会話をしてたら、とてもしんどいと思った。
こんなふうに会話する相手とご飯を食べないでいられる自分は幸せなんだなぁ。
押尾さんとも二谷さんとも芦川さんともご飯を食べたくないもの。
そういえば、マッチングアプリで出会った口下手な彼はとてもいい人だったんだと気づいた。会話に嘘も疑念も見られなかった。
2度と会わないけど、どこかで幸せになっているといい。
この本には世にいう「良い人」って出てこない。
「良い人」であろうとすること、よく生きようとすることはやめたくないと思った。
Posted by ブクログ
なんだか、モヤモヤしたまま読み終えた。
でも、実際芦川さんみたいな人が職場にいたら、納得いかないけど嫌な人にはなりたくないからみんなと同じようにするだろう。あの職場の人たちは同調圧力のせいで迷惑と言えないのか本気でそう思って彼女を助けているのか気になる。似たような事は弱者に合わせる風潮がある限りどこでも起こりうる。
二谷は、一生美味しいって言い続けるんだろう。
Posted by ブクログ
なかなか面白かった。まさかタイトルとは真反対の内容とは。子供の頃食べるのが苦手だったのでなんとなくお腹がすかなきゃなんでもいいやと思っていましたが、そんな考え方が物語になるとは!しかも、どこにでもあるような人間模様になぞらえて面白い。モヤモヤするけどさらりと読めて良かった。
Posted by ブクログ
なんかわかるなあって思った瞬間、私は一生芦川さんになれないんだと悟った。
弱くて可愛い女性って最強よね。
泣いたり、弱者ムーブすればおじさんが味方になってくれるから。
芦川さん側の視点はないからホントのことは分からないけど、上手に生きてるなあと思う。
頭痛で早退したのに翌日立派なケーキを作って登場することが本気でみんなへの償いと思っているところとか、ケーキが捨てられたときに、自分が辛いっていうんじゃなくて世界には食べたくても食べられない人がいるんですよって言うところとか、
間違ってないんだけど人間味がないというか、モヤモヤするなっておもう。
もし芦川さんが、本当に心からそう思う人なら、すごく大事にされてきたんだなって思うよ。
そもそも料理ってすごく儚いもので、それに時間をかけるってすごく贅沢な行為だと思うんだよね。
それが当たり前と思ってるところとかもそう思う要因かな。
飲み会でのご飯がまずいのも分かる。というかそもそも味がしない。色んな人に気を使って話周りだし注文したり、そういうことした後って無性にジャンクなものが食べたくなるんだよねー、
それがいちばん美味しい。
Posted by ブクログ
ほんわか系を予想してたら人間のホラーだった。
通勤電車の数分で読んでいたのにあっという間に読めてしまった。
表紙とタイトルに対して内容が違いすぎて人に勧めたい本、読む前からの裏切り度⭐️5
Posted by ブクログ
弱い人、それも社会をうまく回すために頑張っている、正しくて強い人を排他する空気感が本当にリアルだった。
弱い強いの基準に共感した私は、押尾さん寄りの人間なのだが、
私も働いている上で、頑張ってる人が報われない瞬間とかに対して若干イライラするときがある。
私できないこととか権力・権威がないことを上の人やできる人に押し付けて甘えている中で、なんとか強い自分であろうとする。ありつこうとする。
その苦しさがあるから、強くない人に対しての差別意識みたいなのが自分の中でも芽生えてきてしまう。
このやりづらさだったり、自分で感じている同調圧力への違和感が、この本を読んでようやく腑に落ちた気がする
Posted by ブクログ
人間はみなブラックな部分があって当然だ。これが明るみに出たら社会的に死ぬ、そんな思いを持っている方が人間として自然であるように思う。そんな純度100%の"人間"を描いた作品。二谷の、食べるという行為への嫌悪は、少し触れられていた母への抵抗が主であるだろうが、そこに加えて芦川さんへの、自分とは違う世界にいる人と一緒になってたまるか、という足掻きにも似た感情を感じた。ろくでもない自分で良い、ろくでもない自分だから愛せる。積極的に、昨今の健康の流れから敢えて遠ざかる道を二谷が選んでいるのは、ある意味自分に正直であり続ける選択の結果だろう。
Posted by ブクログ
「食事の際に『美味しい』と評さなければならない圧迫感」という非一般的な主題のもとで、職場の男女関係の生々しさについて皮肉的に表現している作品。
個人的には作者の食事観が特に印象的だ。食事というのはそもそもが生きるのにかなり前向きな営みであるのに、そこに「美味しい」だの「形が綺麗」だの、余計な価値観まで付与し始めてしまったら、確かにお腹いっぱいになってしまう気がする。
Posted by ブクログ
高瀬隼子さん初読み。
一見するとホワイトな職場で繰り広げられる、ドロっとした人間模様。芦川さん、二谷さん、押尾さん…。色んな人物に物言いたくなるけど、パートの原田さん。あなたが一番敵に回してはいけない怖い人だと思います。
タイトルとブックデザインに騙された。スイーツはしばらく食べたくないと思わせる言葉の表現力、良い意味で素晴らしい。
Posted by ブクログ
キッショい職場!!登場人物全員にイラつけてすごい!藤と芦川キッショ… 日本人の8割が押尾のように色々こらえて働いて割を食ってるのでは?家でスイーツ(笑)作ってる暇あったら繁忙期はその時間働けよ?!メンタルやられてるわけでもなく、妊娠してるわけでもないんだろ?!人数分足りない且つ皿を洗う必要のあるホールケーキ持ってくるの脳が縮んでないか?スイーツ代を社員から徴収するのもグロすぎゆ。。いくら可愛くても仕事できない人はこんなに守られない、30歳ならなおさら!社会はこんなに甘くない。てかドラマとか小説で目にしたごはんって食べたくなりますよね?なんとこの小説はそんなこと1ミリも思う隙を与えてくれません!笑 出てくる料理全っ部不味そうで読後嘔嘔嘔吐不可避だが、面白くて一気読みでした♪
Posted by ブクログ
芦川さんに配慮されない職場ならどうなるんだろう、辞めちゃうのかな
どちらかというと自分は芦川さん側の人間だけど芦川川さんのような無意識な狡猾さはないし共感できない部分もあって、頑張ってたとしても陰湿で意地悪な押尾さんも論外で二谷さんも全く共感できず、、
弱いくせに狡猾さも気遣ってオーラも出せないから自分は会社の中でしんどいのか
Posted by ブクログ
タイトルからしてもっとほっこり優しいお話なのかなと思っていたらどぎつかった(笑)
でも共感できるところはある。
人間は無駄な行動し過ぎてると思う。
身体を濡らして乾かして又次の日濡らして乾かして
食べて出して食べて出して
現代人は食べすぎらしいし、、、
本来はもっと少なくていいらしい。
私も基本食への興味があまりない。
わざわざ食べたいもののために行動するのはだるい
でも身体のために野菜とかタンパク質とか摂っとくか~って感じ。見栄えが良く盛付れた料理だけSNSに載せる。友達としゃれたランチだけ載せる。普段なんてお腹に溜まれば何でもいいし「野菜と肉」みたいな本当に餌。
でも世の中には一人で電車に乗ってあるものを食べに行く事に幸せを感じる人ももちろんいるわけだからいろんな人がいてておもろい(笑)
正しいか正しくないかより、弱いか強いか。
これも深かった。
せめて弱者の仮面をかぶった強者と
仮面なしの弱者。この違いは見破れるようになりたいと思う。正直、弱者の仮面かぶるのは得意。
だからこそ見破れたりもする。
色々考えさせられた。というより現実の解像度が濃くなった。リアルで面白かったです。
Posted by ブクログ
はじめに表紙とタイトルから、
ご飯もののエッセイかな〜と思って裏を読むと
なんだか嫌な気持ちになりそうな予感、
買うのをやめた。
少し経ってまた、あれっこれどんなお話だっけ?
とあらすじを読んで、あぁ〜そうだった、、
と平積みに戻す。
という流れを何度か繰り返し、
もう読んでしまえ、と諦めて?手に取った。
表紙が無害そうなのが良くない。笑
———
二谷は食べる行為をとても嫌っている。
だから自炊なんて、食事に時間をかけるような行為も
当然理解できない。
芦川さんは弱い存在で、周りに可愛がられ
守られている。芦川さんの仕事のしわ寄せは、
近いポジションの押尾さんへ向かう。
二谷は芦川さんと流れで付き合い始める。
芦川さんは自炊だけでなく、手作りのお菓子を
職場に持ってくるほど料理が好きで得意だ。
一見、相性が悪そうな二人、
二谷は「ちゃんとした飯を食え、
自分の体を大切にしろって言う、
それがおれにとっては攻撃だって、
どうしたら伝わるんだろう。」と、
芦川さんにいらいらしながらも関係は続く。
押尾さんも二谷さんも、
芦川さんの存在によって追い詰められていく。
でも本人は嫌がらせされても、愚痴も言わないし、
いつもニコニコして、側から見たらとても良い子だ。
みんな芦川さんの味方だ、芦川さんを攻撃すればそれは
「弱い者イジメ」になってしまう。
ずっと不穏な気配があった。
———
押尾さんの言葉が印象に残った。
「二谷さんは
目の前にある食べ物の話をほとんどしないから、
わたしもいちいち言わないで済む。
おいしくても、
自分がおいしいって思うだけでいいっていうのが、
すごく良かった」
↑ 宇多田ヒカルさんのpink blood の歌詞を思い出す。
『誰にも見せなくても キレイなものはキレイ
もう知ってるから
誰にも聞かなくても キレイなものはキレイ
もう言ってるから』
———
二谷は市販のクッキーに対して思う。
「パティシエが帽子とマスクとエプロンを着けて、
調理室で焼いたのだろう。
そういうのを想像するとほっとする。
食べる者の顔など分からない人が作った、正確な食べ物」
↑
自分のために作ってくれた、という状況は
嬉しいと思う人が多いだろう。
だけど、絶対に喜ばなければいけない、
美味しいと言わなければいけないプレッシャーがあり、
まして目の前に作った人がいる場合、
煩わしいと思う気持ちは分かる。
———
送別会で出されたケーキに乗った
〈二谷さん、押尾さんありがとう〉のプレートが出たとき
なぜか涙が出た。
妬み嫉みという感情が世界に存在しなければ、
もしくは押尾さんがもっと弱ければ(強ければ?)、
芦川さんと仲良くなれたのかな。なんでこんなに切ない。
やっぱり、気持ちが沈むお話だった。
でも読んで良かった。
Posted by ブクログ
3.2/5.0
なんかたま〜に遭遇するタイプの本。どんな本かっていうと、上手く言えない。嫌いなわけでも苦手なわけでもない。むしろ文章はめちゃくちゃ面白くて読みやすかったし、なにしろ寝ようかなと思ってから読み始めて一気読みしちゃったくらい自分に合ってたと思う。感想が湧かないっていうのはむしろ自分にとってとても平凡というか日常的な本だったのかもしれない。
Posted by ブクログ
数年前に某Podcastで話題になったのを聞いて以来、気にはなっていたけど今まで手に取ることはなかったこちらの本。
高瀬隼子さん著「おいしいごはんが食べられますように」。
装丁とタイトルの雰囲気からは裏切られる読後感ですよ、という感想と、おおまかなあらすじは知っていた。
芥川賞受賞作なんだね。自分の中の偏見だけど、めっちゃ芥川賞っぽいと思った。
とりあえず、実際に自分が読んで感じたことなどを中心に内容には詳しく触れずに残しておこう。
終始「身も蓋もないなぁ…」と、思いながら読んでいた。
人間関係の面倒くさいところを、ひとつひとつ挙げていく。
しかも、モヤモヤっとした感覚まで、クリアに研ぎ澄ました言語化能力で。
それなのに、薄く削ぐ感じではなく粗々しく叩き切る感じであらわにしていく。
そのいちいちに対して私なりに0、100で考えてみたり、この場合はそうかもしれんけど、タイミングや状況でグラデーションがあるわいな、と、思ったりもする。
たとえば冒頭の、支店長補佐の藤さんが、デスクに不在の女性社員のペットボトルお茶を勝手に飲むところ。
それを知ったうえで、その女性社員、芦川さんは明るく許すどころか、自らそのお茶に口をつけて、「気にしてませんよ」をアピールするところ。
こういうの、私はグラデーションなく完全に無理だ。
…え、こういうコミュニケーションが成り立つ職場って本当にあるの?
できれば小説の世界だけのことであってほしい。
主な登場人物は、誰もが自分以外の人のリアクションをめちゃくちゃ気にして生きていて、確かに社会性ってそういうことだし、その言動に至る思考ひとつひとつが面倒だったりもする。受け応え、自分のリアクションがどう映っているのか、まあ、気になるし、それを見越して自分に嘘をつくこともあるってのは、身に覚えがありすぎるし、登場人物に大いに共感するところもある。
先日読んだ能町みね子さんの「結婚の奴」でも考えたんだが、「結婚」とか「食」とか、わりと皆んなが同じような感覚…良いものだ、とか、めでたいとか、好きだとか…そういう、人類に均されたスタンスを、もう一度軽くでも疑ってみるという良い機会になった。
みんなで美味しいごはん食べるのって、最高じゃない?
その感覚を0、100にせず、バランス良く疑うって健全な気がする。
他者とのコミュニケーションの中で、どこからが本心でどこからが自己欺瞞なのか。
普段からそんなことを考えて生活していては負荷が高すぎて外に出たくなくなりそうだが、ノリと勢いで突っ走るでも、まわりも自分も俯瞰しすぎてシニカルな思考に落ち込むでもなく、中道を行くためには、こういうザラっとする読書って大事だな、と思った。
Posted by ブクログ
いやーー読むのキツかったから珍しく飛ばし読みしてしまった。。。
ここまでタイトルと真逆で、ご飯やケーキといった手作りなものを不味そうに、カップ麺やコンビニ飯、外食を美味しそうに描けるなぁと感心はしたけど登場人物全員が無理すぎて実質リタイア……泣
この会社の人間が全体的に頭おかしいなって感じてしまった笑笑
サブキャラ含めてみんな何を持ってして生きているのかが全然分からんかった!
Posted by ブクログ
すっきりしない、、、けど、分かると共感できることもあった。
芦川さんのように弱いふりして守られる強い女嫌いだけどよくいるよね。善人のフリしてるから守られる。結局そういう人が勝つのか。
見下されてる男と見下されながら一緒にいることが勝ってるのかも分からないけど。
Posted by ブクログ
タイトルに惹かれて手に取ったけど
想像してたものとは全然違った。
普通にありふれた日常の話だと思うひと、
ただの本の中の話だと思うひと、
読んだひとそれぞれだと思う。
だれがいいとか悪いとかそういう話でもなくて。
そこがまた現実的だった。
こうやって社会は日々まわってる。
わかる人にはわかる話。
読み終えて少し経ってから思ったことは
本に出てくるひとたちも
この本を読んだひとたちもみんな
「おいしいごはんが食べられますように」
Posted by ブクログ
自分自身どちらかというと押尾側の人間だけど、心のどこかで社会で生きていくには芦川のように振る舞う方が生きやすいってのも分かる、そう行動するかは別として。
ただ、芦川のような人間にいちいち反応していくと押尾のようなまっすぐな人は疲弊し自滅していく。
「私たちは助け合う能力をなくしていってると思うんですよね。昔、多分持っていたものを、手放していってる。その方が生きやすいから。成長として。誰かと食べるごはんより、一人で食べるごはんがおいしいのも、そのひとつで。力強く生きていくために、みんなで食べるごはんがおいしいって感じる能力は、必要じゃない気がして」
芦川には出会ったことがある気もするし、今後出会いたくない。
Posted by ブクログ
人間って別に綺麗な存在じゃないよねって再確認できる本だったなという感想。
人に吐き出せないような感情ってたくさんあるけど、そういう感情との向き合い方とか発散の仕方は考えなきゃいけないと思う。ただどうしようもない感情をどうしようもない方法で発散させてしまう気持ちはものすごくわかる。
Posted by ブクログ
タイトルからの想像とは違うお話でした。
主人公の感情の揺らぎ、職場の人間関係と不穏な展開、手作りの食べ物への嫌悪感、本音と裏腹に口から出る言葉……。
人間の黒い本音やざわざわする感情の描写に、どこか太宰治を思わせる仄暗さ(太宰み)を感じました。(褒めています)
オーディオブックで一気に聴き終えた直後の一言、「やっぱりこのタイトルは違う……少なくとも表紙は絶対に違う!」でした(笑)。