【感想・ネタバレ】おいしいごはんが食べられますようにのレビュー

あらすじ

芥川賞受賞作&30万部のベストセラー
世界各地で翻訳続々!
最高に不穏な仕事×食べもの×恋愛小説!

解説:一穂ミチ

「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」

真面目で損する押尾は、か弱くて守られる存在の同僚・芦川が苦手。食に全く興味を持てない二谷は、芦川が職場で振る舞う手作りお菓子を無理やり頬張る。押尾は二谷に、芦川へ「いじわる」しようと持ちかけるが……。どこにでもある職場の微妙な人間関係を、「食べること」を通してえぐり出す芥川賞受賞作!

共感が止まらない!
「わかりすぎてえぐい」職場ホラーNo. 1

サイコホラー小説? ミステリー小説? それとも恋愛小説? 不思議な感覚で読めた小説です。(文教堂横須賀MORE’S店/矢部直利)
喉の奥に詰め込んだ言葉や感情を吐き出したくなるような気持になった。(くまざわ書店サンシャインシティアルパ店/河口茜)
表紙・タイトルのほっこり感と内容とのギャップを、ぜひもっともっと多くの方に感じてもらいたいです。(明屋書店喜田村店/高橋杏奈)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

購入済み

要領良いヤツってどうよ。

凄く読みたかった芥川賞小説だ。文庫化したので、喜んで手に取った。🥘要旨は、職場で要領良く煩瑣事から逃れるどうにもイケ好かない奴とのつきあい方を考えるものだ。🥘そんなヤな奴はイジメて大人しくさせるのか。それは得策でない。要領の良い相手だから当方が悪者になる。🥘実際のところ、上司に可愛がられることも、同僚達に上手く厄介事を振ることも、なかなか難しい。要領良く立ち回るには、才能も努力も必要なのだ。職場では「誰でもみんな自分の働き方が正しいと思ってる」ことを念頭に置きつつ、世渡り上手には、その才能と努力を認めて、つきあうことが正解なのだろう。🥘

#タメになる

0
2025年12月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

毒の痺れ感がたまらなく良かった。人の意地の悪いところを見るのが好きなので、この小説はぴったりだった。やってることは終わってるが押尾さんと考え方が近く、弱いものが肯定されてその場をおさめれるのが嫌いなのでめちゃくちゃ共感した。

二谷さんは押尾さんも芦川さんもその他の女性も多分あんまり人間として見てなさそう。自分より弱そうな、主張がなさそうな、時間がないから孫を見せるために子供を産めそうな顔がかわいい芦川さんが選ばれただけなのかと感じた。他にも色々ありそうだけど。
中途半端に弱い人より突き抜けた方が生きやすいし、本能か意識的かは最後までわからないが芦川さんは役を理解してて賢いと思う。近くにはいてほしくないが、1人勝ちで普通に好き。

0
2025年12月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ


おいしいごはんを食べたいのが普通だと思って生きてきました。
食べれればなんでもいいという人とは仲良くなれないとも。
でも精神的に不安定だとなんでも食べれればいいと思う。
だから美味しいご飯が食べたい気持ちは健康や心の安定につながるバロメーターだとも思っていた。

価値観の違いって怖い。
それをいつのまにか他人に押し付けて
そのストレスでおかしくなってしまうほどの
ストレスを誰かに与えているかもしれない。
いろんなハラスメントが叫ばれる世界で
自分もずっと誰かに無意識に
美味しいご飯ハラスメントをしていたのかもしれない。

なんでこの人のお話を読まずにきたんだろう。

0
2025年12月10日

Posted by ブクログ

高瀬隼子さん、ほんとに良い作品ばかり書いてらっしゃる…
私が高瀬さんの名前を記憶したのが今作の受賞のときなのだが、こんなにいい意味でおいしくない作品だとは。芦川さんみたいな人に出会いたくない。自分が汚いものに思えてしまう。一穂ミチさんのあとがきまで面白かった。
私の感覚に1番近いのは押尾さんだ。だからずっとモヤモヤしながら読んだのだけど、読み終わってもなお心が晴れず、それでいて5分と置かず一から読み始めてしまったほどの魅力がある。二谷が食事を疎みながらも食べずに生きられないのと似ている。

高瀬さんにハズレなし、これからもよろしくお願いします。

0
2025年12月05日

Posted by ブクログ

ごまめって自分のことかもしれない

芦川さんも自分だし、押尾さんも自分だし、芦川さんも自分

ご飯も食べるのも嫌い、体調が悪ければ仕事は休む、多少無理が必要な時は自分も押し殺してみんなのカバーをする

3人それぞれの属性を持ち合わせているからこそ面白い読むのに2時間もかからなかった、面白い、非常に面白い

0
2025年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

友達から借りた本。
読後に思ったのは、【この話好きだなぁ】だった。タイトルからは、ほっこり系を思わせられたが、全然違うし、「現実ってこうだよね!」「こういう人いるよね!」と思いつつ、「あれ?自分はこの中だったらどの人物に当たるんだ?」なんて考えたりもして面白かった。
一穂さんの解説を読むと、さらに頷けた。
しかし、二谷の【食】に対しての考えは、【食】に恨みがあるのか?と思わせるものがある。【食】の在り方は個人でバラバラでいいのに、強制されるのが嫌なのだろうか?【食】ぐらい弱い立場でいさせて欲しいという心の現れか?
芦川さんをよりモンスターに仕立てたのは藤さんと原田さんだと思う。ああいった人たちが1番やっかい。持ちつ持たれつというのなら、君たちが仕事を肩代わりすればいいんじゃないかな?と思う。芦川さんは箱入り娘で厳しい環境を体験していない。家族に馬鹿にされても、【馬鹿にされる代償として護られること】を選んでいる。顔がある程度可愛くなかったら無理だろうなぁ、と冷めた感想も浮かぶ。二谷は芦川さんがある程度可愛いからと、【結婚しなきゃいけない】から芦川さんといるんだろうし。
無理に結婚しないで好きに遊べばいいのに、とこれまた冷めた感想が浮かんだ。
押尾さんは、まともに芦川さんを喰らいやすいから余計に巻き込まれて【意地悪する】行為に至ってしまった。芦川さんに巻き込まれないようにするにはどうしたらいいのか…おそらく、1番上の人が自分の感情ではなくみんなの気持ちを代弁してくれる人だったら少し回避しやすいかもしれない。ましてや「材料費をカンパしよう」なんていうアホ上司じゃなければ救われていた。「休んだのに手作りのお菓子をもってくる、ということがどれだけ反感を買うか」を芦川さんに教えてあげれる職場だったら良かったのに。せめて週明けにお菓子作って配るならわかるけど。そもそも、【手作り】が苦手な人もいるという前提を理解せず押し付けるのが意味がわからなかった。
こんな風に自分の黒い部分を刺激される、面白い話だった!

0
2025年12月23日

QM

購入済み

うわあこんな職場やりづらいな。
誰が悪いとかって言うよりはそれぞれの価値観って言うか、ちょっと立場弱かったり能力低い人を前にしたときどんな風な扱いをするのか、たしかに「嫌い」というのはなんか違う、でも苦手。できれば関わりたくない。
芦川さんはまさしくそんな感じの人。
私がもし同じ職場にいたらサッとお菓子を受け取ってそれ以上も以下もないような関係性を維持できるように努めちゃうかもしれない。
平均より少しデキが悪い人、それを理解して先回りして守ろうとする周りの空気、そのしわ寄せが他の人にいくところとか、なんて描写がリアルなんだろう。読んでてもどかしい、こんなにむず痒くなるような書き方、すごい。
あと二谷が、「生きていくための食事」にやたらと意味づけしようとしたりする世の風習に抗おうとするところも少々胸が痛かった。
可愛い表紙なのに、こんなギッスギスした内容と思わなかった。
最高に面白かったです。

0
2025年11月10日

Posted by ブクログ

会社という狭いコミュニティで、二人の主人公二谷と押尾さんが、一人の女性芦川さんに翻弄される話。

タイトルの印象と読後感が全く違います。
そして、おそらく勤め人はみんな共感する作品かと思います。
僕はこの作品ものすごく好きでした。
そして、芦川さんにものすごく嫌悪感を持ちました笑
こうゆう弱さを盾にする図々しい人っているんだよな。。
だけどやっぱり一番良くないのは取り巻きの、藤さんと原田さんだよね。藤さんはわかりやすくアウトな人だけど、原田さんのような自分の善意を押し付けてくる人は怖い。自分が正しいと疑わない感じで。

ストーリー通して面白くて、没入する感覚がありましたが、最後の二谷の気持ちがよくわからないなぁと思いました。なぜ芦川さんを可愛いと思えるのだろう。
こんな感覚の合わない人と結婚したらストレスで禿げる気がするのだけど。。。笑

以下、好きな文。

p14苦手ってどういうところが
どうして、じゃなくて、どういうところが、と聞かれたので少し安心する
→芦川さんのことを苦手と話す押尾さんに対して、二谷の返しと押尾さんの心情の文章。こういう微妙な応対力にその人の性格や繊細さって出るなぁって思います。こういう返しができる人でありたい。本筋の内容ではまったくありませんが笑

p42みんな自分の仕事のあり方が正しいと思っているというのは腑に落ちた。芦川さんは無理をしない。できないことはやらないのが正しいと思っている。わたしとは正しさが違う。違うルールで生きている。
→押尾さんの心情の文章。本当に会社の中で生きてると毎日これを痛感する。なんでそれでも社会や会社が回っていくかというとやっぱり誰かが割を食ってるんだと思う。

0
2025年12月21日

Posted by ブクログ

押尾と芦川、どちらにもやもやするかで意見が分かれそうだ。
私は芦川にもやもやした。
非の打ち所がない善意で、文句を言えばこちらが悪者になってしまうが、押し付けられるのが辛い善意というものがある。
女らしさを嫌な形で具現化したともいえる。
そのモヤモヤする感じが上手く描かれていると思った。

0
2025年12月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ




『おいしいごはんが食べられますように』


第一六七回 芥川賞




はじめまして 高瀬隼子さん♪



こちらの作品は、タイトルの "ほっこり"感?
とは全然違うというのは知っていたんです


読みはじめ…から
読んでる途中…
そして読み終わったあと……という具合に
ひとの嫌な部分が ちょっとずつ見えたり
「あ〜 あるかもね…」なぁーんて感じたり
ちょっと考えさせられる作品でした。



「ちょっと性格悪くね?」と 思ってしまったり
「そこまで する?」って思ったり…
「えっ?またぁ?」の連発だったりと



高瀬隼子さん の想像と創造がえぐくて…
だって…最悪までもいかないんですもん
うわぁ〜って感じ?
ギリギリのLINEを攻めてくるのぉ



自分が良かれと思ってしたこと言ったことが
誰かを"イラッ"とさせてしまったり…
"イラッ"とした人は今度は…
ちょっとの意地悪をお見舞いしたりと…



でもね…あぁ、あるかもね。
で、落ち着くから怖いと思う。


職場だったり 学校だったり
ママ友なんかの人間関係でもね 絶対あると思う。
「うわぁ〜最高!!」なんて言っておいて
心では逆のこと思っていたり……
えぐってくる感じ?

って、
こんな事ばかり考えてたら怖いでしょ( ຶ⍢ ຶ)



このお話は…
同じ職場の…
押尾さん、芦川さん、二谷くん
こちらの3人がメインです



二谷くんの妹が、

「兄ちゃんの付き合ってる人ってどんな人?
兄ちゃんのことだから、どうせまた、自己主張少なめでにこにこしてて優しい感じの人なんでしょ?」

まあそうだね、と頷くと、
妹は安心した様子で

「よかった。義理の家族になるにはぴったりのタイプだね」



わたしは地味に
妹のこの言葉が怖いなぁ…って
思ってしまうんです( ๐_๐)
この小説は ジワジワ…ジワジワ…って
くるでしょ(;゚Д゚)!



高瀬隼子さん…
想像以上に
美味しくいただきました(b´∀`)ネッ!

0
2025年12月23日

Posted by ブクログ

自分はごはんが楽しみ、おいしいごはんが大好き、だけどそうじゃない人もいておかしくないんだな…と思った
幼稚な感想だけど
芦川さんはちょっとうらやましい、、イラっとするとこもしないとこもわかる
押尾さんは嫌だと思ったけど気持ちは分かるし最後の方はすっきりしてた
二谷さんはめんどくさい…本当に結婚したらどうなるんだろう…?

0
2025年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

無邪気な善意で周りが一部疲弊しつつも職場の大半の人は「好意を無碍にはできない」と倫理観を守っていて、正しいけどなんか疲れるな…と思った。

0
2025年12月21日

Posted by ブクログ

私の職場に芦川さんいるんですよね。
だからより共感できて面白く読めました。

そして二谷の食への考え方もわかるところがある。
食に翻弄されている人への嫌悪感が特にわかる。

食事を丁寧に大切にすることはどう考えても大切。
素敵なことで、こだわれることは正しい。
ただ、それを強要することは違う。
けど現実社会避けて生きることはできない~

0
2025年12月14日

Posted by ブクログ

あいは、美味しいもん目がけて出掛けるし、偏頭痛で仕事休むやつうざいし、仕事できないやつが可愛からって許される世界なんて滅びしまえ!と思う。でも、辞めるからってあんな堂々と本音は言えません。

0
2025年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。ずっとモヤモヤを抱えつつ、それでも面白くてグイグイ読めました。
「わかるけど分かりたくない」な登場人物たち全員のどこか一部分に、自分にもこういうとこあるわ…って思ってしまうのが嫌なんだろうと思う。
それをまざまざと見せ付けられるのが…

(体調悪くて定時で帰るのに、お菓子作る時間はあるのかよ…)
お菓子作りで職場に貢献してるつもりなのかもしれない、そういうところを見て見ぬふりされてるのにも気付いた上でやってそうなところが……!!という訳で、わたしも芦川さん嫌いです。
でも、芦川さんが「一番出来ない人」ポジションでいてくれることで救われる気持ちもある。「この人よりマシ」というのは甘美な毒です。冷静な時は、出来ないやつと比べてどうするよ!ってなるけど…解説の一穂ミチさんの、「ごまめでない側が歯ぎしりさせられることのほうが多いような…」に深く共感しました。

おいしいごはんを人と食べるのは好きだけど、「おいし〜!」を大げさに求められるのが嫌。
「美味しいねぇこれ」、と時々ハッと気付くくらいで、後は関係ないことくっちゃべっていたい。
食を楽しむも楽しまないも、みんなで一緒に同じように〜でなくて良いのでは。。。

卵や牛乳、小麦のアレルギーの人とか、グルテンフリーしたい人とか、持病で糖質やカロリー制限してる人がいるかも?というのは考えないんだろうから、芦川さんはなかなか図太いと思いました。
でも頭痛いときは帰りたい!自分の身体を労れるのは自分自身しかいないので…潰れたら元も子もないので「無理しない」ラインを自覚して、何があろうとサッサと帰れるところは芦川さんのえらいところです。

0
2025年12月09日

Posted by ブクログ

ずっと気になっていた作品。
リアルな会社のお話。

出てくる人物が本当にいるよねぇーって人達。
そして、こういうタイプの人が苦手だし、でも理解しなきゃっていう、この矛盾もわかる。

食べ物に関しても、理解できる部分がある。
食に関して好き嫌いをざっくり分類してもあるけど、その他大勢で食べたくないとか、強要されるのが苦手とかもっと分類したら沢山あると思う。

複雑な食への思考を持っている彼が真逆の人とこれから食をどう共有していくのかが気になった。

0
2025年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芦川さん嫌い。イライラした。
そういう私は押尾さん側の人間だからだ。
繊細ヤクザ的な、弱い人間が周り人に気をつかうのを強要してくるのが辛い。

0
2025年12月06日

Posted by ブクログ

もやもやする、みんなのもやもやの気持ちもわかるけど、この捻くれてる主人公たちと同じ思想を持っていないと、世間から軽蔑するような目で見られるのではないだろうか、ということにもやもやする。物語は主観で書かれているから、やっぱり本当に世間から外れているのは二谷と押尾だろうに、、と思いたい。
芦川さんのような人は私に心当たりがある。1番高校の時に仲良かった子。大学になってからは1回しか会ってない。みんなの保護の対象のようになっていて、カワイイ〜と言われ、無理はしない女の子。私もみんなのようにカワイイ〜、といいつつ、本心は社会人になったらどうやって生きていくんだろう、どうやったらこのポジションを手に入れられるんだろう?と思っている節もあった。だからなんとなく、卒業して5年たって疎遠になっているのだと思う。でも、結局社会人になっても芦川さんのようなポジジョンを手に入れるんだろうなー、だって本人は何も悪くないんだもん。でも私は、美味しいものは美味しいと、人と共有しながら食べたいし、食べるためにいきたい。
それだ、たべることを大切にする本が好きで、そうかと思って読んだら、全然違って、なんなら蔑ろにしたい人たちの本でどう処理していいか分かんないんだ。衝撃的な本だった。

0
2025年12月02日

Posted by ブクログ

高瀬隼子の本はわたし至上、最もなめらかに読むことができる。それはなぜなのかを考えてみた。

高瀬隼子の世界には、たくさんのリアルな“人間の嫌なところ”が存在する。
それは、丸かったり、角ばっていたり、トゲだらけだったり、棒状だったり、霞のようだったりと、かたちはさまざまだ。

言葉にするならば、したたかさ、意地の悪さ、依存心、偽善、利己心と言ったところだろうか。

人間が集団で存在するような場所では、それは人間の数だけ存在し、ひしめき合い、その場をどんよりと埋め尽くしているだろう。

ふと、我に返ってみる。
当然、私の心のなかにもさまざまな“嫌なところ”がある。
もしくは、これまでの集団生活の中で“経験してきて”もいる。

「あー、気持ちわかるわー」
「いたわ、昔の職場にこういう人」
「オタサーの姫じゃん」

作中にある“人間の嫌なところ”の解像度が高すぎるゆえに、つい、脳内でひとりごとを呟いてしまうほど、共感性が高いのだ。

──お前にも内なる闇があるだろう?

そのように問われている気がしてしかたがない。

しかし、さまざまなかたちをした“人間の嫌なところ”の性質は、ひしめき合ったり、重なり合ったりしながらバランスをとって、共存するのだろうと私は思う。

誰かが得をしたり、損をしたり、または甘い蜜を吸ったりしながら巡り巡っていく関係性なのだ。

ところで、私は本作において、共感はできるが、味方ができる人物はひとりもいなかった。そして、共感できない点もあった。

それは唯一、”食べ物に対する価値観”だ。

“おいしいごはんを求める必要がないこと”も理解しがたいし、“食べ物を粗末にする”ことも理解しがたいかった。

“食べ物を粗末にしないこと”など、幼少期に学ぶ道徳的常識ではないかと憤りさえ滲む。

しかし、この人道的マナーすら覆してしまうほど、澱み尽くした“人間の嫌なところ”が膨張した結末がまっている。もはや事件と言っても過言ではないはずだ。

本作は、ある意味、サイコホラー。
あるいは人が死なないミステリー。
もしくはサスペンス。

表紙のシンプルでかわいらしいデザインに騙されることなかれである。

0
2025年12月02日

Posted by ブクログ

ごはん系ほのぼの小説かと思って読み進めたら、不穏。人のお茶勝手に飲むとか何これと思って、裏表紙のあらすじ見たら芥川賞だった…そうだった…。

文学部に行きたかったのに経済学部に行ったように、二谷は自分の主張を受け入れてもらえた経験が乏しく、親の価値観に沿って生きてきたのではなかろうか。妹が芦川さんを義姉にちょうど良さそうと言ったように古い価値観の親に育てられている。
我慢我慢の人生で、特に嫌なことを主張するのは苦手でありそう。
ところが、押尾さんに芦川さんは苦手だとこっそり言われる。さらにいじわるをしようと言われる。芦川さんはみんなに好かれているのに、だからこそ彼女にしたのに。
押尾さんのように、こそこそ主張して、こそこそいじわるするようになる二谷。ごはんを作ってもらったあとにラーメンを食べる。押し付けられたスイーツをこっそり捨てる。
いやーー…それなのに付き合い続けて結婚まで匂わせるなんて嫌すぎるな〜…。

早退しといてスイーツ作ってる芦川さんも、それを良しとする周りも嫌すぎるなあと思ったけれど、配慮を当たり前としていたり、それを実はむかついていたりするのはあるあるなのかもしれないな。

0
2025年11月29日

Posted by ブクログ

なんというか、ここまでほんの世界でまで現実を突きつけられるとは思わなかった
こういう人いるよね、しかも、イラッとするよね?って感じだし、スカッとする終わり方もしない(私は芦川にずっとイライラしてた派です)
その感じがすごくリアルだなって思った
このイラッとする人と似てる人にこの本を読ませたらどんな感想が出てくるのかなって気になった

本として、面白いなとは思ったけど、ほんの世界ではあまり現実を感じたくない自分には手放しで面白い!と言える種類の本ではなかったけど嫌いじゃない

0
2025年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芥川賞受賞

職場での人間関係が細かく描かれていて、読みやすかった。

でも個人的にちょっとすっきりしないから3

ちなみにたぶん私も芦川さんタイプ苦手だなと思いながら読んでた。

お菓子作ってる余裕があるなら、仕事できるやん!ってなりそう。


「みんなで同じものを食べても自分の舌で感じている味わいの受け取り方は絶対それぞれ違っているのに、口を揃えておいしいおいしいと言い合う、あれがすごく、しんどかったんだなって分かって」

押尾さんのこのセリフ。なんか分かる。

おいしいものは美味しいし、好きだけど、
あの同調みたいな雰囲気は苦手。

0
2025年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物の誰にも共感できなかった…。共感できなくてよかった。
すぐ体調悪くて仕事休むのに手作りお菓子配って弱い顔してる芦川さんも、芦川さんいじめを発想をする押尾さんも、芦川さんのこと見下しながら付き合うことが心底気持ちいい二谷も、全員私の同僚じゃなくてよかった。
でもきっと世の中には普通にありうるんだろうなと思ってしまうのが怖かった。いやだ怖すぎる。にこにこ大袈裟なくらいいい顔して、裏では同僚をいじめようと画策するような。もらった手作りケーキを潰して捨てるような。

おいしいごはんにまつわる温かい話を期待して表紙だけ見て買ったらずっとモヤモヤする話だった。
登場人物が最悪だけど、話の展開とか描写は面白かった。こんなに美味しくなさそうにケーキ食べる描写があるのかとびっくりした。
多分ストーリーを知ってたら買わなかったから、偶然いつも読まないタイプの本に出会えたのはよかった、ことにする。

0
2025年12月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

皆さんは、芦川さん派ですか、それとも押尾さん派ですか…?
わたしは、押尾さん派です…。
家で会社に配る菓子作ってる暇あんなら仕事してくれよ。給料もらってんだろ?上司のお気に入りだからってすぐ体調悪いとか言って帰る人はわたしも嫌です。
ただ、お菓子に罪はないのでお菓子をぐちゃぐちゃにし潰して捨てる二谷が1番嫌い。あんた芦川さんと付き合ってるくせに影で隠れてそういうことするんや?って心底人格疑いました…。しかもそれで早くはなくても結婚考えてんの?怖すぎやろ。
そして押尾さん、捨てられてたお菓子机に置いただけやん。
でも日頃の行いのせいかな…あんな集中攻撃されて仕方ないところもあるのだろうか…。

わたしは押尾さん派なので、押尾さんが彼女の手作りお菓子を実はこっそりぐちゃぐちゃにしてゴミ箱に捨てるような男と付き合わなくて良かったと思ってます…。
てか絶対に他に捨ててる人間居るやろ!とも思うし、仕事残ってんのに毎日早く帰って菓子作ってるからって材料費……正社員1000円、パート300円払わせて芦川さんに渡すとか考える藤もキモすぎる…。

タイトルからして、美味しいご飯とかが出てくるのかな〜、と、とても楽しみにしていたのに実際の内容は人格を疑う男と自分大好き過ぎるアタオカ女の恋愛話……。
でもこの話はこれはこれで結構好きなんです。面白かった!けど、二谷も芦川も藤も原田も大嫌い…笑
登場人物嫌いな人間ばかりでした…。

辛口感想でごめんなさい。
ただ、この本が嫌、とかじゃなくて、登場人物が嫌いな人間が多かった、というだけです。ストーリーはハラハラしたし面白かったです。

0
2025年12月22日

Posted by ブクログ

Twitterで話題になってて読んでみた
すっきりはしないけど納得はする

例え勝てるとしても弱い側にはなりたくないなあ

0
2025年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルに裏切られた〜〜
思っていたホッコリではなくて今まで読んだ中でもトップレベルで後味の悪いお話でした
美味しいご飯を食べたいなと思って食前に読んだけど間違ったみたい笑

0
2025年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルからは美味しいご飯を食べながら人間関係に頑張るような話をイメージしたが、裏切られた。食を通して人間関係を描くのに食をこんなに悪く書けるかと驚いた。みんな邪悪。芦川さんに苛つく気持ちは分かるけど、その反応がそうなるか?あるあると見せかけてそんなんある?いや、世間的にはあるんかな。どこにでもある人間関係の歪さを強調した話っぽいけど、どこにでもあるか?自分が割と楽天的に生きているだけなのか。なんか気になって先を読んじゃうけど、違和感を残す変な読後感だった。

0
2025年12月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

解説にもあったようにきっと美味しいのだろうが、またはまずくないのだろうが、二谷の身体感覚に表される嫌さの表現がよかった。味に関係なく、豊かなものとして自分に提供されたもの。というのが嫌なのだろう。腹が減るから食べているだけだが、そこに豊かさや栄養、趣味趣向、気分、そんな前向きな感情ばかりが乗っかったまま、生きることに同意させられる感覚はわかるものがあった。押尾は芦川が羨ましい、鼻につく、のだろうが、二谷は芦川を見下している。押尾は変に真面目で会社員として芦川を認めているからこそ苛立つのだろう。自分にもこういう意気地の悪さがある。猫を助ける時に、傘を持って立っているだけ、男を呼ぼうとする芦川にはドン引きした。自分は女だから男に頼る。ということになんら抵抗がなくて気持ちが悪い。多様性と言われる今でも、女として扱われたいんだから余計なことをするなという人間も一定数いる。自分たちが舐められている。同等に見られないことが悔しくはないのだろうか。わからない。

0
2025年12月13日

Posted by ブクログ

タイトルと表紙からエッセイだと思ったが、結構キレキレの小説だった。
私は美味しいものが好きだしいっぱい食べたいが、時間と手間をかけて料理しようとはあまり思わないので二谷の言いたいことはわかる。
職場で弱い立場の人が守られて、他が割を食う不公平もわかる。
一方で押尾さんみたいに正直になるのは悪いことじゃないと思いつつ、職場にそういう人がいたら面倒。
いじめの犯人探しみたいなことが起こったら心の底からうんざりだ。
私は職場ではドライでいたい派なのだろうと思った。
みんなの職場観が試される小説かも。

0
2025年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやぁ、全然共感はできなかった。食べ物雑に扱うところとか、好きではない。なのにあまり不快感なくするする読めてしまった。二谷の食に対するアレルギーに近い心情が、なぜか説得力があったせいかもしれない。

0
2025年12月06日

Posted by ブクログ

気持ちはわかるんだけど行動が理解できなかった。
でもこういう理解できない人たち現実にいる。
結局、弱い人というか、我慢せずに物事を言うことができる(そういう環境にいた。そう育てられた)人が強いんだと思う。

0
2025年12月06日

Posted by ブクログ

タイトルだけで手に取るとギャップでやられてしまうかもしれない。
個人的にはスカッとしない終わり方でもやもやしたし、自分が今後生きる中で芦川さんみたいな人とは出会いたくない。

0
2025年12月03日

「小説」ランキング