あらすじ
芥川賞受賞作&30万部のベストセラー
世界各地で翻訳続々!
最高に不穏な仕事×食べもの×恋愛小説!
解説:一穂ミチ
「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
真面目で損する押尾は、か弱くて守られる存在の同僚・芦川が苦手。食に全く興味を持てない二谷は、芦川が職場で振る舞う手作りお菓子を無理やり頬張る。押尾は二谷に、芦川へ「いじわる」しようと持ちかけるが……。どこにでもある職場の微妙な人間関係を、「食べること」を通してえぐり出す芥川賞受賞作!
共感が止まらない!
「わかりすぎてえぐい」職場ホラーNo. 1
サイコホラー小説? ミステリー小説? それとも恋愛小説? 不思議な感覚で読めた小説です。(文教堂横須賀MORE’S店/矢部直利)
喉の奥に詰め込んだ言葉や感情を吐き出したくなるような気持になった。(くまざわ書店サンシャインシティアルパ店/河口茜)
表紙・タイトルのほっこり感と内容とのギャップを、ぜひもっともっと多くの方に感じてもらいたいです。(明屋書店喜田村店/高橋杏奈)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
高瀬隼子さん、ほんとに良い作品ばかり書いてらっしゃる…
私が高瀬さんの名前を記憶したのが今作の受賞のときなのだが、こんなにいい意味でおいしくない作品だとは。芦川さんみたいな人に出会いたくない。自分が汚いものに思えてしまう。一穂ミチさんのあとがきまで面白かった。
私の感覚に1番近いのは押尾さんだ。だからずっとモヤモヤしながら読んだのだけど、読み終わってもなお心が晴れず、それでいて5分と置かず一から読み始めてしまったほどの魅力がある。二谷が食事を疎みながらも食べずに生きられないのと似ている。
高瀬さんにハズレなし、これからもよろしくお願いします。
Posted by ブクログ
ごまめって自分のことかもしれない
芦川さんも自分だし、押尾さんも自分だし、芦川さんも自分
ご飯も食べるのも嫌い、体調が悪ければ仕事は休む、多少無理が必要な時は自分も押し殺してみんなのカバーをする
3人それぞれの属性を持ち合わせているからこそ面白い読むのに2時間もかからなかった、面白い、非常に面白い
Posted by ブクログ
表現が繊細で読み込むのが楽しかった。
読者が望むようなハッピーエンドにするのではなく、「結局そうなっちゃうのか」っ言うような現実味のあるエンディングが悔しかったけど、最後の解説で「やっぱりこれは私だけが思ってるわけじゃないんだな」って、自分のもやもやの存在も肯定して貰えた気がして後味が良くなった。薄くて短い小説だけど、十分に読み応えがあり、私はまだ1度しか読んでいないけれど、読む度に違う印象を受けそうだと思った。
Posted by ブクログ
読後に思ったのは、【この話好きだなぁ】だった。タイトルからは、ほっこり系を思わせられたが、全然違うし、「現実ってこうだよね!」「こういう人いるよね!」と思いつつ、「あれ?自分はこの中だったらどの人物に当たるんだ?」なんて考えたりもして面白かった。
一穂さんの解説を読むと、さらに頷けた。
しかし、二谷の【食】に対しての考えは、【食】に恨みがあるのか?と思わせるものがある。【食】の在り方は個人でバラバラでいいのに、強制されるのが嫌なのだろうか?【食】ぐらい弱い立場でいさせて欲しいという心の現れか?
芦川さんをよりモンスターに仕立てたのは藤さんと原田さんだと思う。ああいった人たちが1番やっかい。持ちつ持たれつというのなら、君たちが仕事を肩代わりすればいいんじゃないかな?と思う。芦川さんは箱入り娘で厳しい環境を体験していない。家族に馬鹿にされても、【馬鹿にされる代償として護られること】を選んでいる。顔がある程度可愛くなかったら無理だろうなぁ、と冷めた感想も浮かぶ。二谷は芦川さんがある程度可愛いからと、【結婚しなきゃいけない】から芦川さんといるんだろうし。
無理に結婚しないで好きに遊べばいいのに、とこれまた冷めた感想が浮かんだ。
押尾さんは、まともに芦川さんを喰らいやすいから余計に巻き込まれて【意地悪する】行為に至ってしまった。芦川さんに巻き込まれないようにするにはどうしたらいいのか…おそらく、1番上の人が自分の感情ではなくみんなの気持ちを代弁してくれる人だったら少し回避しやすいかもしれない。ましてや「材料費をカンパしよう」なんていうアホ上司じゃなければ救われていた。「休んだのに手作りのお菓子をもってくる、ということがどれだけ反感を買うか」を芦川さんに教えてあげれる職場だったら良かったのに。せめて週明けにお菓子作って配るならわかるけど。そもそも、【手作り】が苦手な人もいるという前提を理解せず押し付けるのが意味がわからなかった。
こんな風に自分の黒い部分を刺激される、面白い話だった!
Posted by ブクログ
人間社会の嫌なあるあるの中でも、誰が悪いとも言えないような部分を集中して書いた作品
誰でも主観があって各々他人の為に生きているようで自分勝手な気がした
優しい人がバカを見ているんじゃ無いかと感じた
Posted by ブクログ
ごはんほっこりストーリーでないことを知った上で読むことができた。そうであると知らなかったら、読むことはなかったかもしれない為、知れて良かったと思う。
芦川さんのことがすごく苦手。自分が弱い存在であることを自覚しながら、その権利を堂々と振りかざす姿。更には、罪滅ぼしのようにお菓子を皆に振る舞う。仕事を早めに切り上げた時間を使って作ったものを。同様に、彼女に対してそうするのが正しいと言わんばかりに作られる会社の雰囲気も苦手。ただ、自分も同じ場に居合わせると雰囲気に合わせ、適当な行動をとってしまいそうで嫌になる。社会に適応するというのはこういった行動に違和感を持たないようにすることなのかと少し嫌な気持ちになった。
うわあこんな職場やりづらいな。
誰が悪いとかって言うよりはそれぞれの価値観って言うか、ちょっと立場弱かったり能力低い人を前にしたときどんな風な扱いをするのか、たしかに「嫌い」というのはなんか違う、でも苦手。できれば関わりたくない。
芦川さんはまさしくそんな感じの人。
私がもし同じ職場にいたらサッとお菓子を受け取ってそれ以上も以下もないような関係性を維持できるように努めちゃうかもしれない。
平均より少しデキが悪い人、それを理解して先回りして守ろうとする周りの空気、そのしわ寄せが他の人にいくところとか、なんて描写がリアルなんだろう。読んでてもどかしい、こんなにむず痒くなるような書き方、すごい。
あと二谷が、「生きていくための食事」にやたらと意味づけしようとしたりする世の風習に抗おうとするところも少々胸が痛かった。
可愛い表紙なのに、こんなギッスギスした内容と思わなかった。
最高に面白かったです。
Posted by ブクログ
ずっと気になっていた作品。
リアルな会社のお話。
出てくる人物が本当にいるよねぇーって人達。
そして、こういうタイプの人が苦手だし、でも理解しなきゃっていう、この矛盾もわかる。
食べ物に関しても、理解できる部分がある。
食に関して好き嫌いをざっくり分類してもあるけど、その他大勢で食べたくないとか、強要されるのが苦手とかもっと分類したら沢山あると思う。
複雑な食への思考を持っている彼が真逆の人とこれから食をどう共有していくのかが気になった。
Posted by ブクログ
芦川さん嫌い。イライラした。
そういう私は押尾さん側の人間だからだ。
繊細ヤクザ的な、弱い人間が周り人に気をつかうのを強要してくるのが辛い。
Posted by ブクログ
もやもやする、みんなのもやもやの気持ちもわかるけど、この捻くれてる主人公たちと同じ思想を持っていないと、世間から軽蔑するような目で見られるのではないだろうか、ということにもやもやする。物語は主観で書かれているから、やっぱり本当に世間から外れているのは二谷と押尾だろうに、、と思いたい。
芦川さんのような人は私に心当たりがある。1番高校の時に仲良かった子。大学になってからは1回しか会ってない。みんなの保護の対象のようになっていて、カワイイ〜と言われ、無理はしない女の子。私もみんなのようにカワイイ〜、といいつつ、本心は社会人になったらどうやって生きていくんだろう、どうやったらこのポジションを手に入れられるんだろう?と思っている節もあった。だからなんとなく、卒業して5年たって疎遠になっているのだと思う。でも、結局社会人になっても芦川さんのようなポジジョンを手に入れるんだろうなー、だって本人は何も悪くないんだもん。でも私は、美味しいものは美味しいと、人と共有しながら食べたいし、食べるためにいきたい。
それだ、たべることを大切にする本が好きで、そうかと思って読んだら、全然違って、なんなら蔑ろにしたい人たちの本でどう処理していいか分かんないんだ。衝撃的な本だった。
Posted by ブクログ
高瀬隼子の本はわたし至上、最もなめらかに読むことができる。それはなぜなのかを考えてみた。
高瀬隼子の世界には、たくさんのリアルな“人間の嫌なところ”が存在する。
それは、丸かったり、角ばっていたり、トゲだらけだったり、棒状だったり、霞のようだったりと、かたちはさまざまだ。
言葉にするならば、したたかさ、意地の悪さ、依存心、偽善、利己心と言ったところだろうか。
人間が集団で存在するような場所では、それは人間の数だけ存在し、ひしめき合い、その場をどんよりと埋め尽くしているだろう。
ふと、我に返ってみる。
当然、私の心のなかにもさまざまな“嫌なところ”がある。
もしくは、これまでの集団生活の中で“経験してきて”もいる。
「あー、気持ちわかるわー」
「いたわ、昔の職場にこういう人」
「オタサーの姫じゃん」
作中にある“人間の嫌なところ”の解像度が高すぎるゆえに、つい、脳内でひとりごとを呟いてしまうほど、共感性が高いのだ。
──お前にも内なる闇があるだろう?
そのように問われている気がしてしかたがない。
しかし、さまざまなかたちをした“人間の嫌なところ”の性質は、ひしめき合ったり、重なり合ったりしながらバランスをとって、共存するのだろうと私は思う。
誰かが得をしたり、損をしたり、または甘い蜜を吸ったりしながら巡り巡っていく関係性なのだ。
ところで、私は本作において、共感はできるが、味方ができる人物はひとりもいなかった。そして、共感できない点もあった。
それは唯一、”食べ物に対する価値観”だ。
“おいしいごはんを求める必要がないこと”も理解しがたいし、“食べ物を粗末にする”ことも理解しがたいかった。
“食べ物を粗末にしないこと”など、幼少期に学ぶ道徳的常識ではないかと憤りさえ滲む。
しかし、この人道的マナーすら覆してしまうほど、澱み尽くした“人間の嫌なところ”が膨張した結末がまっている。もはや事件と言っても過言ではないはずだ。
本作は、ある意味、サイコホラー。
あるいは人が死なないミステリー。
もしくはサスペンス。
表紙のシンプルでかわいらしいデザインに騙されることなかれである。
Posted by ブクログ
ごはん系ほのぼの小説かと思って読み進めたら、不穏。人のお茶勝手に飲むとか何これと思って、裏表紙のあらすじ見たら芥川賞だった…そうだった…。
文学部に行きたかったのに経済学部に行ったように、二谷は自分の主張を受け入れてもらえた経験が乏しく、親の価値観に沿って生きてきたのではなかろうか。妹が芦川さんを義姉にちょうど良さそうと言ったように古い価値観の親に育てられている。
我慢我慢の人生で、特に嫌なことを主張するのは苦手でありそう。
ところが、押尾さんに芦川さんは苦手だとこっそり言われる。さらにいじわるをしようと言われる。芦川さんはみんなに好かれているのに、だからこそ彼女にしたのに。
押尾さんのように、こそこそ主張して、こそこそいじわるするようになる二谷。ごはんを作ってもらったあとにラーメンを食べる。押し付けられたスイーツをこっそり捨てる。
いやーー…それなのに付き合い続けて結婚まで匂わせるなんて嫌すぎるな〜…。
早退しといてスイーツ作ってる芦川さんも、それを良しとする周りも嫌すぎるなあと思ったけれど、配慮を当たり前としていたり、それを実はむかついていたりするのはあるあるなのかもしれないな。
Posted by ブクログ
職場のあの何とも言えない人間関係や会社という社会の縮図をえげつない解像度で書いている、知らず知らずのうちにに飲み込んでいた違和感やあの時押し殺した感情がどっと込み上げてくるような、苦虫を噛み潰すような感覚。
この中の誰にもなりたくないし、誰にも感情移入はできない。正義が勝つのではなく、弱い人が守られることで勝つ社会、130ページそこそこの本でぎゅっっっと凝縮された濃すぎる内容に胃もたれしてしまう。
この可愛い表紙と優しいタイトルがどれだけの皮肉を孕んでいるのか、これを買った時は想像もつかなかった、かなり好きな作品
Posted by ブクログ
まずこの本はめちゃめちゃ薄いんですよ。すぐ読めるかなって思って買ってみた。この薄さにこれだけ濃い内容詰めれるのすごい。舞台も本当に狭いで身近すぎる。自分の席の隣で起こっててもいいくらいな。二谷には感情移入できないし、芦川さんまじで身近にいてほしくない。押尾さんの最後にメンバーに放った言葉にはガッツポーズ。書評の通り、このタイトルが良い意味じゃないことってあるんだ。
Posted by ブクログ
72点:「まあ、でも、そういう時代でしょう、今」
「わかってます。でもむかつくんです」
よくあるようなことを意地悪い目線で描写しながらブンガクっぽい文章を連ねていく純文学、という感じで読み進めていて、こういうのってエッセイコミックとかのほうが解像度高いような気がするし、単純なおもしろさもそっちの方が上なんじゃないかと思いながら前半は読み進めました。
ただ後半にいくにつれ、こういうのは劇的にせず淡々と書くからじわじわきてそこがいいのだ、という結論になり点数上げました。
Posted by ブクログ
私は「食べること」は人生を豊かにするものだと信じてやまない側なので、二谷には共感できなかった。
でも、善意でお菓子を持ってくる芦川さんにも、嫌悪感を抱いた。
それってなんか、旅行に行ったらお菓子を買ってこなきゃいけないみたいな、半ば強制的な、そういう感覚ともちょっと似ているんじゃないか。
一人暮らしだと、同じものや大したものではないものを「摂取する」という行為だけど、誰かと一緒の時は「おいしい」を共有できる「食べる」という味わう意味合いになると思う。
「食べること」を共に楽しめる人との関わりを大切にしていきたいと思った。
Posted by ブクログ
第167回芥川賞受賞作
ということで。
ポップなカバーとタイトルとは裏腹に。
今のご時世、いや典型的とも言える、
偽物?の弱者の完全な勝利を、ラストの笑顔に見る。
お腹は空かない……。
構成もかっちりしていて、読みやすかった。
Posted by ブクログ
二谷のように他人が自分のために用意した食事にすらしんどさを感じる部分は理解できなかった。準備と片付けまでのセットで面倒さが勝るときは確かにあるが、そうでなければおいしいごはんは日常で幸福を感じる機会だと思う。
Posted by ブクログ
スッキリしない終わりだけど、なんだか満足するお話し。
私は芦川さんのように、度々体調を崩して早退したり休んだりするが、周りにこのように思っている人がいるのだと思うと、申し訳ない気持ちが今までよりもグッと大きくなった。でも、体調が悪いから早退しているのに、お菓子を作る余裕がある芦川さんは理解ができない。
だから、私は同僚の押川さんの意地悪したくなる気持ちも理解できた。
二谷さんは芦川さんと結婚したら、どんな食生活を送っていくのだろう。きっと変わらずカップラーメンを深夜に食べているんだろうなぁと思った。
Posted by ブクログ
いやぁ、全然共感はできなかった。食べ物雑に扱うところとか、好きではない。なのにあまり不快感なくするする読めてしまった。二谷の食に対するアレルギーに近い心情が、なぜか説得力があったせいかもしれない。
Posted by ブクログ
気持ちはわかるんだけど行動が理解できなかった。
でもこういう理解できない人たち現実にいる。
結局、弱い人というか、我慢せずに物事を言うことができる(そういう環境にいた。そう育てられた)人が強いんだと思う。
Posted by ブクログ
タイトルだけで手に取るとギャップでやられてしまうかもしれない。
個人的にはスカッとしない終わり方でもやもやしたし、自分が今後生きる中で芦川さんみたいな人とは出会いたくない。
Posted by ブクログ
タイトルとは違って内容はなかなかダークな感じの内容。
芦川さんは弱くて、みんなが守ってあげないといけない、配慮しないといけない存在で、でもそれには納得いかない気持ちの人も沢山いて……
どちらかと言うと自分は押尾さんの気持ちの方に共感できるな、と思いました。
でも強いものが勝つんじゃなくて、弱いものが最終的に勝ったことは少し複雑な気持ちになりました。
芦川さんは弱いように見せて、本当は神経が図太かったり、嫌なことには鈍感で居られる強さがあるんじゃないのかなと思いました。
Posted by ブクログ
世の中って割とこういう関係で溢れているんだろうなと感じた。
人は思っていること全てを言葉にはしないし、なかには表情にも出さず、平気で少しも思っていないことを言葉にできる人もいる、ということを学んだ。自分に正直に生きたい、生きた方がいいというのは私のエゴで、本当は正直になることなんて求められていないし、それなりにその場の雰囲気にあったことを言って過ごす方が楽に生きられるのかもしれない、そう感じてもやっぱり正直にいたい、という自分の気持ちを初めて知った。
Posted by ブクログ
どの職場でもありそうな、微妙に不快な人間模様が描かれている。
まずメインとなる登場人物が二谷、芦川、押尾。
二谷という男は食に対しての興味が一切なく、むしろ美味しく健康的な食事を摂ることに対して、嫌悪感すら抱いている。
成り行きで付き合うことになった芦川は実家住みのテンプレートのような男が守りたくなる女。
料理も得意で、毎日カップ麺をすする二谷に家庭的な料理を作ってあげている。
また、それだけでなく職場にも手作りお菓子を毎日持ってくるようになっていった。
二谷はその場で食べなくてよいお菓子は夜誰もいなくなってから足で踏みつけたり手でぐちゃぐちゃに潰してからゴミ箱に投げ込み、それを押尾が嫌がらせのため芦川のデスクに毎回置く、という行為を続けていた。
物語としては大きな抑揚のない話であるが、なんとも不快な気持ちにさせられた。
不快な気持ちになったのは上記の行為やそれを行った二人ではなく、むしろ純粋な被害者であるような芦川に対しての思いが大きい。
彼女の狡さはきっと同年代の同性であれば強く感じとれるものであるが、小説に出てくる藤というおじさん世代や、彼女と歳がかけ離れた原田のようなおばさん達には、彼女は優しく守るべきか弱い女の子になる。
おそらく芦川が勤める職場の人間構成が変われば、話は全く変わっていただろうが、残念ながら芦川の嫌らしさを押尾と共有できる存在が彼女の付き合っている男しかいなかったため、結果押尾が加害者というレッテルを貼られ爪弾きにされた。
押尾が彼女に対して感じていた不満は、声に出して糾弾するほどではないが、なんとなく喉に何かつっかえたもやもやが溜まっていくのが分かる
体調不良を周りにアピールすること
それで繁忙期に当たり前に早退すること
にも関わらず帰ってからお菓子は毎日作れる元気はあること
手作りお菓子を当たり前のように皆が喜ぶと思っている傲慢さ
お菓子の件一つとっても挙げればきりがないが…。
とりあえず押尾は会社を退職するはめになったが、結果辞めたことがハッピーエンドのように思える。
次の会社には第2の芦川がいないことを願うばかり。
Posted by ブクログ
面白かった、と思う。
「嫌なものを見たな」という不快感と同時に野次馬心みたいな高揚感のまま読み進めて、気がつけば完読していた。うーん、語るには難しい本だ
Posted by ブクログ
芦川さん、いろいろお前のせいやぞ!と言ってやりたい。。でもそうさせてるあの環境がな〜。。。
ずっとむしゃくしゃする話やった。
二谷みたいなやつはモテるよね。
あと芥川賞ってどういう選定なんやろ、他のやつも読んでみたい。
Posted by ブクログ
世界観はすごく好きだけど後味がすっきりしないので、読んだ後にモヤモヤを残したくない人にはおすすめしない。
私はこの本の登場人物誰にもなりたくないけど、自分との共通点を感じてしまうのがすごく嫌だ
Posted by ブクログ
タイトル、表紙のイラスト、ストーリーがマッチしていない。そこがストーリーの深さを表現しているようで良い。
各々が少しずつお互いに違和感を感じている。感じではいるけど、明確にしない。違和感を無視するわけではなく、いろんな表現方法で主張はしていく。
どんな人も弱いようで強い。強くないと社会では生きていけない。
Posted by ブクログ
芦川さんがすごく嫌い。
弱いこと、できないことをしないことが正しいと思ってて、守られて生きてきて、純粋だから嫌いと思うことさえ悪になる感じ。
でも、どこにいってもそういう人はいるよね
押尾さんにすごく共感できた。
芦川さんみたいな人がこの本読んだらどう思うんだろう。自分ごととしては考えないのかな。うざいな。
わたしは美味しいものを食べることは好きだから二谷さんにはあまり共感できなかった。けど、美味しいものを食べるのはみんな好きだよねって世間一般的な感性を押し付けられるのはしんどいな〜とも。