小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレけっこう、後半はウルウルと目に涙をためながら読みました…。題名の通り、20代の一人娘の結婚が決まってから、両親のもとを去るまでの日々を描いた物語です。
父親(夫)の健一、母親(妻)の智子、その娘でもうすぐ結婚する真奈の目線で時系列で話が進んでいく。真奈の婚約者の優吾の両親は、いわゆるインフルエンサーで、祖父母も資産家で実家が「太い」。真奈の家はごく普通のサラリーマンで、娘が肩身の狭い想いをしないように、立派に挙式ができるようにしよう、と思うと、かなり頑張らないといけない。
夫の健一はそろそろ役職定年で、今後の身の振り方を考えなければならず、家ではため息ばかりついている。妻の智子は着物の着付けの仕事をしていて、専業主婦のようにほぼ家事を一人で担って、夫を支えてきた。
2人とも娘を心から愛しているが、娘の結婚準備をきっかけに、金銭感覚や、お互いへの態度に不満が募り始める。
智子は一生懸命に歩み寄り、「明るい家庭」を維持しようとするが、健一はそんな妻がうっとおしく感じてしまう。
私は最近、女はもっと自由でいいんだ!というメッセージが隠されているような物語や、女がいかに虐げられてきたかを描くことで女側に共感してしまう物語ばかり読んできたが、本書は趣向が違った。
女(主婦・妻・母)である智子をかわいそうに思い、共感すると同時に、家では不機嫌になってしまう夫の健一の気持ちもなぜかよく分かる。両親の仲を取り持とうとする真奈は心優しい素敵な女性で、読者としては「幸せになってほしいな」と心から思う。実家の金銭感覚の違いから、恋人の優吾とうまくいかなくなってしまうのだが、優吾の気持ちもよくわかってしまう上手い描き方だ。
4人全員にとっても共感してしまい、どの立場にも寄り添いたくなる。
結婚生活が長い女性も、男性も、これから結婚しようとする男性も女性も、子どもがいる人もいない人も、読んで心が動かされると思います。
ちなみに
健一は妻をちゃんと愛してきて、大切にしているとは思う。決して悪い人ではないし、よき父親だ。老年になって、家庭のこととは別に趣味を見つけ、そこで異性の友達ができて、ちょっと胸がときめいたりしても別に悪くはないと思う。それにヤキモチを焼く智子は、夫を愛しているんだな、と思う。
私だったら…夫婦といえども、子育てが終わったくらいの年齢になれば、それぞれ別の独立した人格だし、一緒に生計を立て、協力して生活しながら、それを壊さない程度に外で楽しみを見つけるのは全く問題ないと思う。50、60になって肉体関係は気持ち悪いし、人に見られて変な噂をたてられるのも嫌だけど、趣味の活動で異性と仲良くしたり、飲み友達ができたりするのはいいことなんじゃない?と思うな。
もう、お互いに干渉せずに、別々に楽しくやればいい。
卒婚ってやつだな。家庭内別居?
いつまでもラブラブで、二人で共通の趣味を楽しみ、朝昼晩いつも一緒に食事をするような夫婦になれれば、もちろんそれがいいのかもしれないけど、私はたぶん無理だな。
(だってご飯をつくるのがいつも私だから笑)。
切ない結末と、ハッピーな結末が同時にくるので、読後感も複雑。心に残りました。 -
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成瀬シリーズ第3弾。京都大学に進学した成瀬あかりの入学式の場面から成瀬あかりらしさが全開で「いいぞ、いいぞ成瀬!」とワクワクしてしまいました。
最初は変わった人て思われても結局みんな成瀬あかりに魅了されてしまうんですよね。
大学で最初に友達になった坪井さんをはじめ、達磨研究会のメンバー、簿記系ユーチューバーぼきののかという新メンバーの登場だけでなく、懐かしいメンバーが登場したのが嬉しい。特に西浦君の切ない想い…少しは伝わったかな?
ラストに島崎が登場したのは胸が熱くなりました。やっぱり成瀬シリーズはゼゼカラの2人が揃わないと終われませんね。これで本当にシリーズ完結してしまうのかな…?番外編とかでも良いからまた成瀬あかりに会えると良いな。 -
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主に著者の有名西洋絵画の考察で、約20作品が載っている本。
怖い絵シリーズは、数年ほど前に上野の美術館で期間限定で展示されていたけど、とんでもなく人気で混んでいた為、諦めてこの本を購入した。
簡単に言うと、とても買って良かった!
世界史のテスト40点以上取ったことない私でも、とてもわかりやすい文章でした。
華やかな雰囲気の絵画が描かれた背景にはこんなにも残酷なことがあるとは...と言うギャップを感じたり、怖いもの見たさを満たして(?)くれる作品でした。
他にも、怖いだけではなくエロティックな表現も多く、それが現代ではしょうもない下ネタとして捉えられる事もこの時代ではとても偉大であるようなもの(?)みたいになってるのがウケました。語彙力が欠如し過ぎですが、中世の人々の価値観や思想から学べることがありました。 -
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藤原定家撰の小倉百人一首をボロカスに貶し、あえて同じ百人の人選で俺が一首ずつ選び直してやらあ!という、気骨ある本。
高校時代ちょっと古文が得意だったレベルのド素人状態で気軽に本書を読み始めたら、とんでもない目に合った。前提知識が無さすぎて文字を追うだけではなーんにも分からず、でも少人数の読書会への参加を前提に読み始めてしまったので読むしかなく、5ヶ月かけてこの度なんとか読み終わった次第。
約300ページの文庫本なのに、一人で読む時間だけでも20時間以上かかった。そして結果的にだが読書会がまさかの全20回になって、その時間を加えると1回の通読に費やした時間が計60時間以上。一読の消費時間ダントツNo.1の本になった。
「読書会」とは名ばかりで、和歌を専門とするガチの歌人を先生とし、毎回色々と解説してもらったり素人の質問に丁寧に答えてもらったりで(しかも後半はなぜか先生と私のマンツーマンレッスンになってた)、そのおかげでずっと楽しく読めて非常に多くを学んだ。
が、ぜっっっっっっったいに私のような素人が最初に読む本ではなかった!!和歌ガチ勢以外にはまっっっっっっっっったくお勧めしない!!!!
和歌関連の諸々の基礎知識を前提とした書き方だし、和歌の現代語訳なんて当然ないし、紹介される歌の大半は「秀歌」とかの一言で済ませられる。
とにかく先生に恵まれた。本書で挙げられる素晴らしい和歌の数々を段々と味わえるようになってきたし、本書で明示されない背景知識やおもしろ余談も沢山学べた。
最後に、本書中で私が一番好きな一首を。
雨はるる軒の雫に影見えて菖蒲(あやめ)にすがる夏の夜の月 藤原良経 -
Posted by ブクログ
ネタバレ信じられないくらい面白かった!!人生で10本の指に入るくらい
主人公のキャット警視正があまりにも好きだった。自分でもよくわからないくらい随所で泣いた。
キャット警視正とロックがそれぞれ強さを証明する話なのが好きだったのかも。
キャットは、決して強い人じゃない。夫の死を克服しきれていない。息子のことが心配でもある。良き母親でありたい。二十五年のキャリアを持つベテランなのに、現場の人間も信頼する上司もキャットの精神状態を心配して信じない。憎むべきAIのパイロットプロジェクトを任されて、開発者の教授も癪に障るのに、キャットはずっと振る舞いは理性的で正しい。ずっと自分を律してる。
没入しすぎて、マクリーシュがキャットを外そうとしたときは苦しくて涙が出たし、ロックだけがキャットを信じたときも、涙が出た。
ロックがキャットから学んだことを一生懸命吸収しているのも良かった。
あまりにも良い作品。 -
Posted by ブクログ
とても感慨深い本でした。
「半席」の続きです。徒目付の、片岡直人が主人公の江戸時代を舞台にした話です。
今回は上司の内藤はあまり出ませんが、海防の話が下地にあり、そのために長崎に行って来た話をし、直人に意見を求めます。
それとは別に、夫殺しの「なぜ」を調べ見抜こうとします。しかし、考えに考え、調べたり話を聞いても、完全には納得いかず、犯人の妻には死なれてしまいます。
その後、訳あって、川を泳いでいる男と知り合い、その男に何かを感じたのですが、結局は切り殺されます。死ぬ間際の「笑み」に何故を感じ、殺された男の過去を深くさかのぼり、その笑みの理由に行き着きます。暗闇を理解して、「見抜く」ことができた。
このことによって、ようやく夫殺しの妻の「なぜ」も理解できたが、ずっと心に留めなくてはならなくなったのです。
作者は、とてもきめ細やかに、丁寧に、事実や直人の心情を描いています。前作は爽やかな終わりでしたが、本作はとても深い、考えさせられる終わり方でした。
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