【感想・ネタバレ】言語化するための小説思考のレビュー

あらすじ

その文章、「自分のため」に書いていませんか?

「伝える」ではない、「伝わる」言葉を、文章を生み出すために、小説家はいつも何を考えているのかーー?

『ゲームの王国』『地図と拳』『君のクイズ』『火星の女王』
祝デビュー10周年! 時代を席巻する直木賞作家・小川哲が、「執筆時の思考の過程(=企業秘密)」をおしみなく開陳!
どうやって自分の脳内にあるものを言語化するかを言語化した、目からウロコの思考術!
☆☆☆小説の改稿をめぐる短編「エデンの東」も収録☆☆☆


小説ーーそれは、作者と読者のコミュニケーション。
誰が読むのかを理解すること。相手があなたのことを知らないという前提に立つこと。
抽象化と個別化、情報の順番、「どこに連れていくか」を明らかにする……etc.
小説家が実践する、「技術」ではない、「考え方」の解体新書。


この本を読んだからといって、「小説の書き方」がわかるわけではない。小説家が小説について考えてきたことを人生にどう活かすか、あなた自身で見つけてくれれば言うことはない。ーー小川 哲

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

小説を書くときに、自分の中にある思いを表出して形づくり、至高の芸術作品として多くの読者に理解してもらうこと、という考えではうまくいかない。

思いをどうやって言語化するのか、著者の小説の書き方を読んでいくと、その答えが少し見えてきた。読み手である他者を理解しようとし、自分のための文を削り、出来事を書く順番を意識して読み手と視点人物の情報に差があまり出ないようにすること。設定や主張から文章を作るのではなく、書きたいことや考えたいことをまず書いてみること。書いてしまったことから展開を考えてみること。そしてそもそものアイデアを日常の中から見つける視点を養うこと。これらのことを意識して、自分の中の言語化する能力を向上させたい。

とても読みやすいながらも多くの新視点をもたらしてくれた本だった。


0
2026年01月10日

Posted by ブクログ

例文を用いながら、作者の小説の書き方や書く上での向き合い方を示した本。
創作をする人はどんな視点を持っているのか、企業への就職をしていない作者ならではの視点もあり、それがわかっていても作者の力量が理解できて、ただただ天晴れ。
そして、読みやすい、読まれやすいを感覚ではなく、分析しながら考察するところも面白い。
後半にかけて、より書くことがメイン、かつ例文が多くなり、読みにくい人もいるかもしれないが、全体に渡り読みやすい。

0
2026年01月08日

Posted by ブクログ

 『言語化するための小説思考』は、「小説とは何か」「面白さとはどこで規定されるのか」という、誰もが漠然と抱きながらも明確な答えを見出せずにきた問いに、真正面から向き合った一冊である。小説は天才的なひらめきによって書かれるもの——そうした先入観を覆し、小説とは思考と試行錯誤の累積によって成立し、読者と作者のあいだに構築されるコミュニケーションであると、著者は提示している。
 本書が一般的な「小説の書き方」指南書と異なるのは、文章技術や形式的作法ではなく、作家が創作過程においていかなる思考を巡らせ、どのような判断を積み重ねているのかという、その核心を言語化している点にある。読みやすさや説明の在り方、読者に委ねる姿勢をめぐる議論は、明晰でありながらも決して教条的ではない。
 さらに本書は、読者自身が「どのような小説を面白いと感じるのか」という自らの小説観を自覚するための契機を与える。評価の高い作品がなぜ響かなかったのか、その理由が言語化されることによって、読書体験はより主体的かつ能動的なものへと変容していく。
 巻末に収録された短編「エデンの東」は、理論を感覚的に理解させるための装置として機能しており、本書を単なる評論にとどまらない、強度の高い読書体験として完成させている。

0
2026年01月07日

Posted by ブクログ

直木賞作家・小川哲さんが
小説を書いていくにあたって辿る思考を
改めて辿ってみる追体験エッセイ。

小川さんの深い思考と
すっとぼけたユーモア(誉め言葉)が
じっくり味わえる。

とにかく積み重ねが苦手で、
人類が積み上げてきた叡智の上に成り立つ
この「都市」だの「社会」だのも大の苦手としている自分としては、
感心はしても模倣するのは無理なんだろうな、とは思う。

0
2026年01月07日

Posted by ブクログ


小説法
ご都合主義の許されるエンタメ小説
許されない純文学

ラウリクースクを探して
宮内悠介

定石を打つか、定石外を打つか

文体
小説は文字という記号を並べて多次元の情報を一次元に配列し直す→"順番"が問われる

読者に"登場人物との"情報量の差を与えるかどうか。
→差があればそれはミステリーを産む。海亀のスープ。読者は謎解きの過程、その結果としてのオチ、カタルシス(浄化)を味わう。

※物語自体のオチは当然伏せるが。

"発想力"は小説のアイデアのもとにならない。
専門性が高すぎるか陳腐すぎるか。
一人の人間という限界。
オチに飛び付かず、仮定からアイデアを練る
"目の前に転がってきたアイデア"を"摘み上げる"能力の結果がアイデア

アイデア=発想力やオリジナリティという考え方がそもそも間違い。


「自分の価値観」→これ自身が創作(小説)の弊害となる。捨てなければならない。バイアスをフラットに。ファクトをその通りに受け取る。
小説が難しい理由
→読者(他者)に評価されるもの。正答がない。
→答えのないゲーム
→他者の評価軸を取り込まないといけない
 ・他者の評価軸を内面化できる
 ・自分の物差しを他者に合うように調整した人

論文→評価の要諦は新しい情報か新しい切り口があること。

"僕の考えでは、答えのある問いは「小説」ではない。"

わかりやすいと蛇足であることは紙一重

0
2026年01月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作家がどんなことを考えて小説を書いているのか気になっていたのと、自分自身も仕事で文章を書くことが多いので、何かヒントになることがあればと思い、手に取った。

他人が面白いと思う小説を自分が面白いと思わないことについて、小説法が違っているのではないか、そこに新しい小説を探すヒントがあるのではないかと考える視点が興味深かった。

また、小説はしばしば誤読を生み出すという話が面白かった。
“しばしば、読者は作者が想定していなかった要素と自分の人生を結びつけ、文章の意味を過剰に読みとってしまう。作者の脳内から誕生した物語が、「誤読」によって読者の経験に接続し、「情報を伝達する」というコミュニケーション本来の役割を逸脱し、そこに存在しないはずの意味が呼び起こされることがあるのだ。” (6 小説はコミュニケーションである)

正しい解釈があると考えて読むよりも、その小説と自分自身の化学反応を楽しむ気持ちで、もっと楽しく本を読めそうだなと思った。

立ち止まってなぜ?と考えること、意味を後付けしていくこと、最後に無駄を削ぎ落としていくことは、著者も述べていた通り、私も大学院で論文を書いていた時にやっていたことで、論文を書くことと小説を書くことの近さを感じられたのも面白かった。

ところどころに小話が入ったり、最後に本書で書かれていたことが凝縮された短編があるのも、構成として面白く、全体的に楽しく読むことができた。

0
2026年01月04日

Posted by ブクログ

そんな理屈なんだ、読む上でも
めちゃくちゃ読む進むやすいヒント満載
作者側目線の苦難最寄り分かる
最高の参考書!
2026一番のオススメ新書

0
2026年01月04日

Posted by ブクログ

なんかスッキリしました。
そうだったんですね!って感じ
これから本を読んでいく上で面白い視点を一つ二つ手に入れた気がします

0
2026年01月03日

Posted by ブクログ

エデンの東で全てを包括する一貫性。
普遍化、情報の順番、作者も読者の関係性、私のための物語、問い、書いてしまったこと、偏見からの解放、人間の認知の圧縮。
とってもおもしろかったです!

0
2026年01月03日

Posted by ブクログ

小説家の思考過程を惜しみなく紹介!

抽象化と個別化やアイデアの見つけ方など、どのような考え方で題材やモチーフを選んだり、展開を拡げていったりしているかの一端が見れた。

特に、情報の順番や伏線の考え方、読者の負荷と想像に委ねる部分とのバランスなどが勉強になった!

0
2026年01月02日

Posted by ブクログ

直木賞作家 小川哲が、小説を書く時の思考のプロセスをまとめた一冊。徹底して理屈っぽい分析が最高で、読み物としてめちゃくちゃ面白い。

本書はいわゆる「小説の技術」を指南する本ではない。全編を通して小説の話をしているのだが、実は小説の話をしているわけではない。そこがたまらなく面白い。

​本書が説く「読者が本に何を期待しているか」という構造は、そのまま「他者が自分(あるいは自分が発する情報)に何を求めているか」に置き換えることができる。この置き換えで本書の内容は小説という枠を超え、コミュニケーション一般の本質へとそのまま敷衍される。

これまで書き手の思想や存在を感じさせない没入できる小説こそ善だと思っていたが、この本を読んでしまった以上、もう書き手の計算や意図を感じずに読むことはできない。メタ的な視点が好きな人には、間違いなく刺さる一冊。

0
2026年01月02日

Posted by ブクログ

面白かった!小説の書き方の話ではあるが、自分の人生を面白くしたりコミュニケーションを上手く取ったりするための気付きを与えてくれており、また小川さんという人がそもそもめっちゃ面白いらしいこともよくわかった。小川さんの作品は、「何が面白いかわからなかったから読んでみて」、と妹に渡された「君のクイズ」を読んだだけだったが、まさにキャラクターへの共感を求めて読書している妹にとって君のクイズはまさにキャラクターが掴みきれず困惑したのだろう。この本は皮肉にも、そういう作者の意図というまさに「解釈の方向性」を示したものともなっていた。分厚さに慄いていたが、他の書籍も読んでみます!

0
2026年01月01日

Posted by ブクログ

作家によって異なるのかもしれないが、小説家がどう考えて小説を書いているのか、興味深い内容だった。書きたいものを書いているのかと思ったら、思った以上に読書のことを考えて書いているとのこと。伏線についての考え方も面白かった。

書きながら考えて行くというのが驚きだった。
自分も「問い」が浮かんだら、書き終わらなくても良いので小説を書いてみても良いかもしれないと思った。
日常の何気ない会話の中にも小説のネタは眠っているのかもしれない。そのネタから問いをたて、掘り下げて行く行為が小説なのかな?
小説とは論理的な行為なのだということもわかった。
自分も小説を書いてみると、より本書の内容を実感するののでしょう。
以上、まとまらない感想でした。

0
2026年01月02日

Posted by ブクログ

面白かった。書くことについて、こんなに分かりやすく鮮やかに言語化できるものなのか。『エデンの東』も良かった。

0
2025年12月27日

Posted by ブクログ

私の購入した本は帯がショッキングピンクで、表紙の3/4を占めていた。『僕のクイズ』がこれまでにない文章で、作家さんに興味もあったけど、何より帯文を飾る面々があまりに魅力的だったので即購入。今まで読んだ本の中で「絶対おもしろかった」と言える本になった

「本になる小説はどう作られているか」を、それはそれは丁寧に考察した本。本=商品だから、売れないと意味がないのは分かる。でも「売れるための本」は総じて読者=消費者には「売りたいんだな」と分かり、購入意欲が下がる

「小説は読者とのコミュニケーション」伏線ですよと言わんばかりの説明描写過多や、感動するでしょ怖いでしょという押し付けがましい心情表現は「無意味」と作家は切り捨てる。正直、自分もその手の小説はとても苦手なので、どんなに人気があっても、読むことはあっても次に手は伸びない。たぶんこういうことかと思う

結局、小説もモノづくりで、作家さんたちは「エンドユーザー、その先の先にいる使い手=読み手の気持ちを大切に」考えて書いているのだと、初めて気がついたかもしれない

とても軽く、難解な語彙は一つもないのでとてもさらっと読めるけど、読み応えは十二分にあった

この本、大好き

0
2025年12月25日

Posted by ブクログ

小説はコミュニケーション。
小説の「勝利条件」=「面白い小説とは何か」はまだわかっていない。

・作者、読者が持つそれぞれの小説法

・抽象化と個別化:どれも人間がやっていることなので、かならず重なるところがある。それと同時に、どれも個別の人間がやっていることなので、絶対に重ならないところもある
 カミュは、戦争を抽象化し、『ペスト』という形で個別化した

・「文体」においてもっとも重要な要素、「情報の順番」。リニアな一次元の文章に圧縮するため
 視点人物と読者の情報量の差
 最大化:謎解き
 最小化:読みやすさ、サスペンス

・作者と読者の関係性、契約、冒頭での行く先の明言(あるいはしないこと)

・答えではなく問い。情報と視点

・アイデアは生みだすものではなく、見つけるものーすなわち「視力」である

・自分の価値観を捨てると見えてくる世界

・「何を書くべきか」という「認定」と、「どう書くべきか」という「技術」の掛け算

0
2026年01月11日

Posted by ブクログ

小説の書き方の体だが、作家志望者向けということはなく小説作家がどんなことをを考えて書いているのかを教えてくれる。物語の書き方 (テクニカルにどう書くか) なる本はちょいちょい見るが、もう少し広い思想/考え方的な感じ。何を書くか、どう書くかの両面で。著者固有なのか作家全般なのかは分からないけど、読者とのコミュニケーションをいかに大切に考えているのかは分かる。前提知識、流れでの認識gap、時系列・・・。

章が進むにつれて具体から抽象に段々難しくなる感じだが、人気作家が実演を交えながら説明するので説得力が半端ない。一文一文に込める想いや思索が深いのと、自分の読みがいかに浅いかを自覚する。ただでさえ読むの遅いのに...。「伏線」は存在しない。ミステリ小説の犯人が結構分かる。プロは凄い。

0
2026年01月11日

Posted by ブクログ

思ってたのとちょっと違うかったけど面白かった。自分しか物差しがないのに、読者側の物差しで判断されたり、芸術作品と違って、経費で値段が決まってる不思議さに納得。でもなんだかんだ小説書く方みんな高学歴なので、頭良くないパンピーでは書けんよね。

0
2026年01月09日

Posted by ブクログ

4.5
「シナリオセンター式物語の書き方」と同様に、面白い小説を書くための探索を試みた本。
しかし目的は同じながらアプローチは真逆で面白かった。「物語の書き方」が物語は一定程度技術であり、後天的に獲得可能な定石がありそれを学ぶことが大事と言う一方、この本は技術論を切り捨て、クリエイティブなものを作る中での小説家の葛藤や内面を掘り下げている。
一方で、要所で表現は違えど同じようなメッセージを伝えようとしている側面もあり、その類似性と相違性が対比してて興味深かった。
個人的にはこちらの方が小説家のリアルが見えて面白かったので4.5

0
2026年01月09日

Posted by ブクログ

趣味で書いてる小説が行き詰まったから、ランキングの上から見て関連ありそうなものを探して、一番最初に見つけたのがこの本だったので読んでみた。
「小説は作者と読者間でのコミュニケーション」という定義に基づいて、著者の小説を書くに至るまでの思考過程や文章構築をわかりやすく解説していて、何度もなるほどな〜と思った。全部納得出来たけど、特に6章と8章は目から鱗だったなあ。
「自分が何を伝えたいか」と「他者に理解してもらうにはどう伝えるか」を考えて言葉を組み立てるっていうのは小説だけでなく、日常のあらゆる場面で重要だなと改めて思う。読みながら私は前者だけしっかりあるのに後者がおざなりだったなーとか考えてた。反省。
めっちゃおもろかったしタメになった。小説を書くときだけじゃなく、他者とのコミュニケーションでも意識したいと感じる所が多くあった。てか当たり前だけど小説家の書く文章ってオモロって思った。
「なんか上手く言語化出来ないな〜」って人の中でも具体的な語彙、表現とかフレーズとかではなく、言語に至るまでの思考方法とか意識するべき要点を得たい人にオススメな本だと個人的に思いました。

0
2026年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小川哲さんのエッセイ(?)

もはや思考回路が全然違うということが証明されました。

そうなんだーということが多かったです。

引き続き小説家さんを応援したいと思いました。

0
2026年01月06日

Posted by ブクログ

小説を書く人が何を考え、どんな方法で書いているのか。書かない(書こうと思ったこともない)人間にとっては、ほぼ考える機会もないことだと思う。少なくとも私はそうだ。
初めに著者が語るように、本著は小説を書くための技術を伝えようとしているわけではない。著者自身がどのように小説を書いているのかを言語化したものだ。著者の小説法(方法ではなく法律)は思う以上に厳格。
情報は脳に一度にやってくるのに書くのはリニアに順番、小説の文章は全て伏線なので伏線は存在しない、アイデアは思いつきではなく考えている中で出てくるもの‥等々、小説を書かずとも思わず納得してしまう文章もあちこちに。ただ、書かない私が言えることではないかもしれないが、全ての小説家が小川哲さんと同じように考えて創作しているわけではないと思う。
書かないにしても内容としてはとても興味深く楽しめた。面白かった。

‥こんなことを言っているが、実は私は小川氏の小説を読んだことがない。と思っていたら、最後におまけのようについているエデンの東、あえのがたりを読んだ時に読んでいた。唯一読んでいたのがここ‥

0
2026年01月04日

Posted by ブクログ

小説を書きたい、というわけではない。
趣味で動画を作っているので、その手助けになればと思い手に取った一冊だった。
だが、まず何より読み物として面白い。小説家の頭の中を少し覗かせてもらっているような感覚があり、自然と引き込まれた。

動画制作にも転用できそうな考え方もいくつかあり、結果的にとても有意義な読書だったと思う。
巻末に収録されているショート小説も、本著の内容をうまく振り返るような構成でスっと頭に入ってくる感覚が心地よかった。

0
2026年01月02日

Posted by ブクログ

「君が手にするはずだった黄金について」が自分のために書かれた小説と感じるくらい好みだったため、小川哲氏の脳を覗きたくて読んでみた。やはり彼の書く文章は面白い。別に小説家になりたいなんて思っていないが、スルスルと読めてしまう彼の文章は魅力的であり、誤魔化しがなく作家として信頼できる。作家の方々が何をどう考えて自分の中の思考を読者に向けて発信するのかをここまで言語化した人は今までいたのだろうか。

同じ場面の言葉や情報の出す順番を変えるだけでガラッと印象が変わるということを例とともに示してくれるところが非常にわかりやすい。他にも視点の話、伏線の話、面白いとされる仕組みなど。小説好きにはたまらないし、これを読んだ後、読書がまた一段階楽しみになるトピックがたくさん書かれている。特に、わかりやすさと面白さは違うこと。売れる本がいい本というわけではないこと。まさに私が最近の読書中に感じていたことだ。
この情報過多の現代で、なぜ情報のスピードが速い映像や音ではなく、何もかも遅い小説を読むのか。なぜ小説じゃないとダメなのか。その全てが腑に落ちる。あぁ小説って面白いなぁ。

0
2026年01月01日

Posted by ブクログ

恥ずかしながら小川哲さんの小説作品はまだ未読なのですが、小説家(小川さん)がどのような解像度や思考回路で世界を捉えているのか、その一端を覗き見できたような、好奇心を掻き立てられる楽しい読書体験でした。

特に印象的だったのは、小説における伏線についての記述です。単一の意味で終わる文章はなく、すべてが多層的な伏線として機能している。執筆の際に、無駄な文章(単一の意味で終わってしまっている箇所)がないかを探しながら書いていく(単一の意味で終わらないように要素を付け足していく)と言うものですから、その緻密な構成力と、それを支える論理の深さに圧倒されました。

アイデアについて言及されている箇所は、小説に限らず、あらゆる場面において言えることだと思うので、これからは、日常の何気ない光景に対しても「なぜそうなのか」と問いを立てる習慣を大切にし、アイデアを見つける視力を鍛えていきたいと思いました。

本書を通じて小川哲さんという作家の思考のファンになり、今すぐに小川さんの作品を読み漁りたい衝動に駆られています。小川さんのおすすめの小説をコメントで教えて頂けると大変嬉しいです!!

インプットの質が変わり、小説をより楽しめるようになった予感がするだけでなく、自分でもアウトプットを始めてみたくなる、静かな熱量を持った一冊です。

ありがとうございました。

0
2025年12月28日

Posted by ブクログ

「直木賞」作家の小川哲氏の思考を、少しでも垣間見てみたい。
そして私の好きな日本のフットボール界でも、ここ数年くり返し簡単に口にされる、プレーの「言語化」について。
と繋がったので、手に取ってみる。
既に5万部も達成したらしく、書店の棚には同業者からラッパーまでが諸手を上げて絶賛する、大きなピンク色の帯を纏った、この本が平積みにされていた。

思考の「言語化」が、氏の語る諧謔やニヒリスティックな言葉や「問い」に合わせて、シンプルに語られている。
各章は短く、予想外に将棋やAI、そしてフットボールまで絡んで来る。
巻末の「エデンの東」はこの本の総集編で、通じて面白おかしく読んだ。

こう書くと、その「面白い」とは何だと氏に叱られそうだが。
「面白い」を追求するストイックさが、端的な言葉の中にあふれている。

さて、こういった本が売れるということは、氏の人気が高いのは言うに及ばずとも、抱えている問題について、何かのキッカケや答えを早急に探している人が多いのではなかろうか?と、ふと感じた。

確かに一般の創作書とは一味違う、しかし、小説を書こうとしている人や氏の読者だけでなく、さらにより多くの人が氏の指南本を求めている。
何故だろう?

それは小説、文学への「不安」、この本の感想を、ここで書くときの不安のようなもののために、ひとつ有名作家の思考を覗いてやろうという下心がなかっただろうか?
という、個人的な疑問や矛盾にたどり着く。

その不安に対する安心、早急な答えは、ここにはない。

氏の思考を参考には出来ても、自分がどうにか変わる訳ではない。
そしてこの思考回路を持つ人間は既に存在するのだから、参考にしつつも独自の「視力」を持たねばなるまい。
小説の「面白さ」を追求することに終わりはなさそうだと痛感し、また新たに小説を探し、読み始めてみたいと思った。

0
2025年12月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本屋さんのレジ前にあり興味があり購入した

宮内悠介さんの ラウリ・クースクを探して
 エンターテイメントとしての予定調和の展開を巧妙に避けつつ、それでいてエンターテイメントとして完結させる(一級の脱法小説)


抽象化をして、個別化する

読みやすさとは、視点人物と読者の情報量の差を最小化することによって感じられる

作者と読者の関係性
 関係性があるからこそ、読者はどこへ向かっているのかをおおよそ理解した状態で進む 作品の方向性を決める

小説が 象徴的で影響力の大きな出来事 と象徴的で影響力の大きな出来事の伏線 で成立していることを逆手にとって 出来事 そのものを作品ないで構築していくことで小説を書くこともできる

主張や 設定は後から考えるべきで、最初に考えるべきなのは、書いてみたいことや 考えてみたいことが何なのか。


自分の書いてしまったことから、小説のアイデアが生まれる
面白くなる瞬間を見逃さない視力だけが必要

小説は 読者が何を受け取ったかによって価値が決まる

一つ一つの文章と表現が、何のために存在しているか、誰のために存在しているかを自問自答する



0
2026年01月07日

Posted by ブクログ

自分の中の思想なり考えを言語化したい人向けの本ではなく、何が書きたいというわけではないけれどとにかく小説というものを書いてみたい、という人に向けての方法論である。
作品に対する“好き”や“嫌い”をさらに深めて自分というものを知るための視点が多く書かれており、自分の個性を客観的に知ることが出来るため、すでに創作活動をしている方にとっても、次の作品に活かせる良いアドバイスがたくさんある本だと思う。
ただ個人的には、例文としてもっともらしい文章を読ませた最後、“以上、全て嘘である”というような作りが何度かあったため、非常に大きなストレスを感じる部分もある本であった。

0
2026年01月06日

Posted by ブクログ

想像より読みやすくてびっくりした
小説変態の書く文章はただ面白いだけでなく、こんなにも論理的な面白さの上に成り立っているのか
最後の短編エデンの東に全てが詰まっていて脱帽

0
2026年01月05日

Posted by ブクログ

前半は、具体例が多く読者の体験に寄り添う書き方で、小説の読み方・考え方がスッと入ってくる。
ただし、後半になると抽象度が一気に上がり、哲学寄りの議論が増える。
ここは、小川哲自身の“思考の癖”が強く出ていると感じた。
文学理論の背景知識が暗黙に前提になっているような。そういう、文学理論とはまったく縁のない自分は置いてかれてしまい、途方に暮れてしまった。
後半は、著者の思考が急に専門領域へジャンプしているような気がする。
この辺りが、私が「ついていけない」と感じてしまったところだ。
もちろん、絶賛する評価がこれだけ多いのだから、私がちゃんと読み込むことができなかったということだろうとは思うが。

0
2026年01月01日

「エッセイ・紀行」ランキング