【感想・ネタバレ】言語化するための小説思考のレビュー

あらすじ

その文章、「自分のため」に書いていませんか?

「伝える」ではない、「伝わる」言葉を、文章を生み出すために、小説家はいつも何を考えているのかーー?

『ゲームの王国』『地図と拳』『君のクイズ』『火星の女王』
祝デビュー10周年! 時代を席巻する直木賞作家・小川哲が、「執筆時の思考の過程(=企業秘密)」をおしみなく開陳!
どうやって自分の脳内にあるものを言語化するかを言語化した、目からウロコの思考術!
☆☆☆小説の改稿をめぐる短編「エデンの東」も収録☆☆☆


小説ーーそれは、作者と読者のコミュニケーション。
誰が読むのかを理解すること。相手があなたのことを知らないという前提に立つこと。
抽象化と個別化、情報の順番、「どこに連れていくか」を明らかにする……etc.
小説家が実践する、「技術」ではない、「考え方」の解体新書。


この本を読んだからといって、「小説の書き方」がわかるわけではない。小説家が小説について考えてきたことを人生にどう活かすか、あなた自身で見つけてくれれば言うことはない。ーー小川 哲

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

感情タグはまだありません

Posted by ブクログ

孤高の視座から謙虚に、卑下しつつも尊大に。微笑を誘う言い回しと、余韻も確保する密度。かっこいいです。
媚びないが配慮はする距離感や、好き嫌いを率直に表現しつつも自身も含め客体化する達観的なポジショントーク。キレッキレに熟しつつある大人、って感じ。ヤンチャな若さは隠然としてあり、他者の物差しには服従しない芯の強さが溢れ出る。好きになりました。

0
2026年01月30日

Posted by ブクログ

直木賞作家・小川哲さんが、どのような考え方のもとで小説を書いてきたのか、言葉にした本。言葉を生み出す過程で働いている思考の動き。めちゃくちゃ為になったし、ここまでこだわり切れるからこその結果だと思う。すごいわ。

技術論ではなく、なんなら『本当の奇跡は作者が作者だけのやり方で、再現性のある形で、奇跡に見える何かを連続して引き起こすこと』と言い切る。

他者と関わり合いたくないから小説家になったという小川さん。しかし文章を書いていく中で『他者がその文章にお金や時間を捧げるだけの価値があると判断しなければ』ということに気がつき、これが非常に大きな壁だったという。

その作品をより面白いと感じてもらうための試行錯誤。最適な文章を選び続けること。作品を読む人たちによって、何が面白いかが大きく変わるので、文芸誌なのか、小学校のテキストか、誰が読むのか理解しないと作品の面白さに基準を作ることができないと言い切っているのが素敵だった。漠然と面白いもの作ろうとしすぎていた自分にも言い聞かせないと。

『抽象化と個別化』『読者との間にどんな契約を結んでいるか』『小説はコミュニケーションである』『伏線なんてない』など、無意識にどこかで意識していたことを言語化してくれていたのも、自分の中での答えが明確になった。

特に『なぜ僕の友人は小説がかけないのか』の章で書かれていた、面白さは執筆の過程で生まれてくるというのが心に残っている。自分も同じような経験がある。書いている途中でぼんやりと自分が何を書いているのか、その解像度が上がってくることがある。

何度か読み返したい。

0
2026年01月26日

Posted by ブクログ

・作曲をずっと続けてきた自分にとって、どの業界にも抽象化すると共通した概念に突き当たるというのはとても納得感があった。そして語られてる内容に、「作曲でも同じこと考えるなあ」という部分と、「小説特有の考え方だなあ」が交互にやってくる体験が楽しかった。

・情報を伝える順番を考慮すること=語り手と読者の情報量の差を考慮することであるという指摘にグラッときた。情報量の差があればストレスがかかるし、それを埋めたほうが読みやすい。だが、そこに差があるからこそ、「先が気になる」という状態が生まれて、ページをめくる引力が発生するという体験にも覚えがある。その押し引きをどう操るかには正解がない。だからこそ、おもしろい。

・日常に小説を見つけるという態度にとても共感した。同時に、それを脳内で瞬時に、整理して考察し、実際に血肉として創作に転用することが出来る作者に脱帽した。自分は日常で小説を見つけることがあっても、それを創作に転用することは出来ずにいた。その要因は、自分は問1の段階で止まっていたからなんだと、本書を読んで思い知らされた。派生させて、問3、問4と深めていく行為をすることによって、それは小説になっていくのかなと思った。こういう視点を持つと、退屈な日常にもおもしろさが宿るような気がして、少し前向きな気持ちになれる。だから創作っておもしろいんだよなあ。

・アイデアそのものに価値はない。この感覚にとても共感した。自分には、行動をしていないやつほどアイデアを盲信してそれが素晴らしいものであることを説いてくるという偏見がある。職場の同僚が会社の不満を愚痴り、画期的なアイデアと言わんばかりにこうすればいいのにとボヤいていたり、「音楽やってみたいんすよ」という素人が、歌詞でもなんでもないポエムを押し付けてきて「これでメロディつけてみてくださいよ」とか言ってくる。「この歌詞にはこういう意味があってーー」などと当人にとっての革新的なアイデアを力説してくる。違うんだよなあ、とウンザリしていたが、何が違うのかしっかりと言語化は出来ていなかった。違うのは、そこに試行錯誤の跡があるかどうかの差だと思う。実際にそれを試して紆余曲折していないアイデアは机上の空論にすぎない。だが、机上の空論をアレやコレやと動かしていくうちに、そこには実体が宿っていくんだと思う。分からないんだけど、とにかく動かして、悩みながら右往左往していく。その作業の苦しみから逃げているくせに、頭のなかにしかないものを革新的だと主張してくる態度に、ウンザリしていたのかな、と思った。

・小説はコミュニケーションである。だからこそ、私は絶望した。そう書いた作者にとても共感した。書きたいことや伝えたいことがあるのではなく、職場で人と関わることや、そういう生活が嫌で、小説家になったのだという赤裸々な告白に対して、自分もぶっちゃけそうだなあと思ったのだ。でも結局は、作品にはそれを届ける対象がいる。そのコミュニケーションは避けては通れない。嫌だなあ、とは思うが、そのおかげで創作者も社会から断絶されず、誰かとコミュニケーションを図ることが出来るという点で救いでもあるよなあ、と読みながらぼんやりと考えた。

・文章のユーモアがすごい。文章で笑えるという体験はあまり出来ないが、笑わせようとしてるな、というところであっさり笑わせられる。

0
2026年01月24日

Posted by ブクログ

面白い話ばかりでした!
小川さんはひねくれた天才って感じの印象!
ここまで自分の頭の中を言語化できることに脱帽。

頭の中で作者と読者の間にある認識のズレが埋まっていくのが想像できた。
この本を読むことで小説1冊読んだ時の視点や思考の働き方がめちゃくちゃ変わると思うし、少なくとも自分は変わった。
線の話も面白かったな〜
とりあえず君のクイズ読みます。

0
2026年01月22日

Posted by ブクログ

プロ中のプロの小説家の思考は娯楽としてのいち消費者が読んでも大変に面白かった し、より書いてみたい気持ちが強くなった
読書術(というワードを使われるの嫌そうだが)としても驚かされる部分が多々あり、折に触れて何度も読み返す本になると思います!というか読み終わったしりから読み返してた

0
2026年01月21日

Posted by ブクログ

 人はそれぞれ異なる小説法を持っていること、小説=作者対読者のコミュニケーションであること、小説そのものが伏線の塊であり、回収されない伏線などないこと等々、今後の読書観を間違いなく変えてくれるであろう珠玉の小説論が綴られていた。また、いつか小説を創作してみたいと思っていたこともあり、読み手だけでなく書き手の視点でも多くの発見があった点で、本書は非常に有意義だった。

0
2026年01月21日

Posted by ブクログ

頭の中がこんなに整理されているのが羨ましい。私の頭の中はいつも混沌としている。
小説って、もっと感覚や感性や生まれ持った文才?やらで書かれているのかと思っていたけど、想像以上に緻密。なんとなくざっくり読んでいる文章も、いざ同じ物を自分が書こうとするととてもじゃないけど無理。
冒頭に「文章は自分を大きく見せる為に書かれるべきではない」とあるけど、逆に、書く事で自身のコンプレックスや逆境体験への癒しにしているみたいな作家はいると思う。
そういえばこの著者の小説、まだ読んだ事がなかった。最初に読むなら何が良いかな…

0
2026年01月22日

Posted by ブクログ

いわゆるビジネス本とは一線を画している。
まえがきにある通り、最初から最後まで「小説」について書かれていて、何か仕事に役立つノウハウとかではなく、純粋に小説を読む際にこんなこと意識してみようという発見がたくさんある。

いまいちハマらない本があった時、なぜハマらないのか?
読みやすいと感じた小説は、なぜ読みやすいのか?

今後、小説を読むのがますます楽しみになった。

0
2026年01月20日

Posted by ブクログ

ただただスゴいと感嘆しまくりでした。頭の中をこれだけ言語化出来るのはさすが。小説を読む時、ひとつひとつの文章にもっと意識をしたいな

0
2026年01月19日

Posted by ブクログ

以前から読んでみたいとは思っていたが、別のジャンルに興味があったので読むのが少し遅くなってしまった。
この本に興味を持ったのは小説を書かれている作者がどのような考えや意図を持って執筆されているかを知りたいという思いがあったからだ。読み進めてみると、自分の中で日常に生かしていきたい言葉があった。それは机の上で一生懸命考えても答えは出てこない、答えではなくて、問いを見つけ、問いをすることで広げていくといったことといった言葉だ。
小説を書かれる才能のある方であっても机の上で一生懸命考えようとしても、考えがなかなか思いつかないのかと私は驚いた。また、そうであれば才能のない自分は問いを常に作り出し、アイデアを積み重ねて知識を増やすしかないと感じた。
また、この本を読んで筆者だけではなく、様々な小説を書かれる方の思考を学び、どのような思考から小説が生まれているのかを知っていきたい。

0
2026年01月18日

Posted by ブクログ

自分にも本が書けるんじゃないかと思えた。小説を書く時だけでなく、文章を書く上で推敲するための考え方に通ずるものがある。

0
2026年02月01日

Posted by ブクログ

去年から、私の中で小川哲氏がとにかく熱い。

小説作品も完読を目指して読み進めているところだけれど、こちらは小川哲氏による“小説論”的な一冊。
新書の形をしているものの、書店では文芸コーナーに置かれていることが多い(ご本人も動画で「脱法新書」と言っていた)。

小川作品を読んでいると、物語の随所に哲学的な思考が顔を出し、著者の論理的な頭の動きが垣間見える。
この本では、その思考の過程そのものをじっくり見ることができた。

とくに伏線に関する話には、なるほどと何度も頷かされた。
だからこそ、一文一章すべてに読み応えがあるのか、と腑に落ちる。

『地図と拳』も、また読み返したくなった。

0
2026年01月31日

Posted by ブクログ

小川哲さんの思考の一部を垣間見せてもらえた。こんなこと考えたことないということがほとんど。でもその思考に触れて、小説のみならず自分に起こる出来事などに対する見方や捉え方に少し広がりを得た気がする。

0
2026年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

遅ればせながら、2026年初読破。題名に惹かれて購入。作者も知らない、完全ど素人だが、小説なんとなく好きだな〜と公言しているので、できればいろんな知識を得ておきたいと思い読んでみた。

前半は、「あ、私この作者の書き方、読みづらいかも」と思ったが、終盤から案外すらすら読めた。知識がとんでもなく少ない私は、小説を読むのに前提説明が本当に必要としている人物なのだ。だから、読者が事前知識ある前提で書かれているものじゃないとほんとに読めない。丁寧に書いてくれる作家さんって、私との相性だと思ってた。けど、これある意味あってるかも。読み手を考えてくれる作者って、きっと読者に対して優しい気持ちがあるんだよね。これからも好きになった作家さんの作品は相性がいいってことで読んでいこうと思った。
ということで、改めてこの作家さんのこと調べてびつくり。直木賞作家だったのか!
これからいろんな作品読ませてもらおうと思いました。

0
2026年01月30日

Posted by ブクログ

時折挟まれる小川先生のお手本が、私の理解を助けてくれてとても読みやすかったです。

本を読むということが人それぞれ違いがあり、言語化するとなるとさらに様々な要素が含まれるようになる。

感想を書くにも入力しては消しを繰り返す私にはとても勉強になりました。適宜読み返したい内容でした。

0
2026年01月30日

Posted by ブクログ

小川哲さんの作る作品、キャラクターが好きで幾つか拝読させてもらいましたが、
今回は小川哲さん自身の思考を文章に。

作品を作る時にこんな事を考えているんだと知れた喜びと、語り口調で書かれた文体に引き込まれ、エッセイを読んでいるような爽快感

本作品の感想とは離れますが、メディア出演も多くなり、彼の思考を覗き見できる機会が増えて嬉しい限りです。賢さの溢れる彼の思考を今後も追い続けようと思います

0
2026年01月29日

Posted by ブクログ

面白い。

小説を解体するような本。

小説はコミュニケーションである。

確かに。

文章を書くときも、人に何かを話すときも、共通するのは、読む(聞く)人を想定することが肝要であるということ。

おっしゃるとおり。

再読したい作品。

0
2026年01月28日

Posted by ブクログ

正解のある問いはつまらないから、小説のテーマとならないっていう感覚よくわかる。

小説を探すためにまず捨てないといけないのは、自分の価値観!

視点人物と読者の距離感を縮めると読みやすい。

文章を正しく理解させるための読点

読んでいて、著者の人となりに好感を覚えた。ロジカルに話を進めていく感じと、取りこぼしや例外になるところを括弧内で何度も示すところなど、たぶん誠実な人なんだろう。

美容院でのエピソード、無口な職人気質な美容師が他の客とは軽口をたたいているのはよくありそうな話だけれど、最後のLINE登録も聞かれないところで本当に笑った。手元でLINEを開く用意をしてあるのもわかる。こういう時本当に謎に否定された感がでますよね。

最後の実作例が私にとっては少し読みにくかった。

0
2026年01月26日

Posted by ブクログ

何を考えていたとしても、伝え方が大事。
面白いと思ってもらうため、謙虚に考え続ける姿勢に感銘を受けた。

0
2026年01月25日

Posted by ブクログ

小説はあくまで表現技法の一つ。
読者のためではない文章は存在してはいけない。意味のない描写はあってはならず、つまり伏線として機能していない文はない。
本書は全体的な調子こそ軽妙ですが、非常にストイックな職人の考え方がその裏に見えて面白かったです。

0
2026年01月23日

Posted by ブクログ

読者との知識と自分が描きたいものの溝を少なくすることの難しさ、大事さを知れた。
あたりまえすぎるが、小川さんの言語化が圧巻。普通は、理論はわかってても小川さんのように出来ない…。

0
2026年01月23日

Posted by ブクログ

小説を書く技術というわけではなく、小川さんが小説についてどのように考え、どのように向き合っているか書かれていました。
どのような小説が読者に好かれるのか、小説の役割とは、作者と読者の関係など色んな角度から考察して、小説を読む際にその作者についても考えられそうな一冊でした。
小説を書く楽しさもそうだが、読む楽しみ方も発見できて色んな作者の小説を読みたくなりました。

0
2026年01月22日

Posted by ブクログ

好きな作家さんの1人、小川哲さんが言語化についての本を書いたということで、はい読みます。

まえがきに“本書には、僕が小説を書くときに考えていることを可能な限り言葉にしてみよう、という試みの軌跡が記されている”とあるように、小川哲さんが小説を書くときの脳内が、これでもかと言語化されている。流石です。

印象に残ったフレーズ。
“まず、自分の目でしっかりと世界を見る。見えた世界を抽象化し、別の世界に置き換えて個別化する”

なるほど〜と思ったけど、そんな簡単にできないよ…泣

あと、伏線大好きマンとしては、7章『「伏線」は存在しない』が興味深かった。
“小説とは伏線そのものであり、むしろ回収されない伏線があってはいけない”

「面白い小説とは何か」を考え続けている小川さん、カッコ良すぎる。

巻末の『エデンの東』は『あえのがたり』に収録されたものと同じですね。

0
2026年01月21日

Posted by ブクログ

勉強になったり、とても真似できないなと思ったり、余すところなく充実した一冊でした。

……『ブルーロック』って、そういった内容なのですか……?

0
2026年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

▼抽象化と個別化
どれも人間がやっていることなので、かならず重なるところがある。それと同時に、どれも個別の人間がやっていることなので、絶対に重ならないところもある。何が同じで、何が同じではないか。何が普遍的で、何を普遍化してはいけないか。その点に注意しながら、僕たちは知らない世界について書く。

文体とはなにか
文体を考えるうえで重要な要素のひとつとして「情報の順番」がある。「情報の順番」により作中の視点人物と読者の間に「情報の差」が生まれるが、その情報量の差が小さいほど「読みやすさ」につながる。とはいえ、「読みやすい」ことと「価値がある」ことは必ずしも同義ではなく、前述の前提を承知の上で視点人物の主観を優先する場合もある。「情報の順番」はかならず恣意性を伴うものだが、その恣意性をどう扱うかという点に「文体」の根底が生まれるのではないか。
情報量の差が大きい=ミステリ的構造
情報量の差が小さい=サスペンス的構造(エンタメ(と称される)ジャンルではこっちが人気)

▼文脈
・全く同じ文脈でも、誰が、何処で、どのように語っているかで、受け取ることのできる情報の質が変わってくる。
・小説の文脈は書かれたテクストにのみ内在するわけではなく、作者と読者の関係性が、望むと望まざるとにかかわらず、作品の方向性を決めてしまう。

▼想像力
・小説家に必要とされる想像力とは「物語を創作するためのもの」と理解されがちだが、「顔の見えない読者を想像するためのもの」という側面も大きいのではないか。もしかしたら、後者の想像力のほうが小説家にとって必要不可欠な能力な能力かもしれない。
・「どれだけ内輪な表現で、どれだけ多くの人に楽しんでもらうか」という定規の精度を上げるためにも、「自分の作品の感想」ではなく「読者がどういった経緯で作品を手に取ったのか」を気にしている。
・数時間、数万文字を費やして、小説家は読者と「内輪」を形成することができる。

▼伏線
・小説の骨格は「展開を暗示すること」と「暗示されていない意外な展開に対する違和感を減らすこと」の二つによって成立している。これは伏線の定義とほぼ同義である。ゆえに伏線そのものを論ずることはくだらない。小説とは伏線そのものであり、回収されない伏線があってはいけない。
・小説は「象徴的で影響力の大きな出来事」と「象徴的で影響力の大きな出来事の伏線」で成立している(場合が多い)

▼アイデアが専門化せずかつ陳腐化しないためには
「ではどうすればいいのか」というと、そもそも順番が違うのではないか、と僕は考えている。「主張」や「設定」から発想しようとすると行き詰まる。なぜなら、一人の人間が発想できるアイデアなど、どこかの誰かにも思いつくことができるし、逆に「自分にしか思いつけないアイデア」を追求しすぎると、どんどん専門性が高くなってしまう。
「主張」や「設定」は後から考えるべきで、最初に考えるべきなのは「書いてみたいこと」や「考えてみたいこと」だと思う。自分が小説という手段を通じて「書いてみたいこと」や「考えてみたいこと」は何なのかを考える。言い換えれば、大事なのは「答え」ではなく「問い」だ。それ自体は陳腐で構わない。その時点で自信がなくてもいいと思う。
小説の面白さは、執筆の過程でかならず生まれてくる。創作をする上で気をつけなければならないのは、過程で生まれてきたディテールに宿る「面白さ」の種を逃さないことだ。
という話をしたところで、あまりにも抽象的なので、僕自身の経験を具体的に話してみたい。 「七十人の翻訳者たち」という短編が書かれた詳細な経緯だ。
~主張があって小説を書くよりも、とにかく書いてみたい人物やトリックや語り口や舞台設定の中から小説を探していったり、答えのわからない問いについて作品を辻て考えてみたりする方がずっと易しいと思う。
~「プロットを作ること」とも共存できると思う。プロットの段階で面白い小説は、それほど存在しないと思うからだ。プロットを実際に作品にしていく中で、どれだけ偶然を回収し、元のアイデアを洗練させていくか、ディティールを膨らませ、本筋と繋げるか、という点にも、小説の秘密が隠されているのではないかと思っている。

▼アイデアの見つけ方
アイデアとは発想力やオリジナリティなど生みだすものではなく、見つけるもの、すなわち「視力」である。「書いてしまったこと」が重要で「書いてしまったこと」から「新しい視点」を見つけていく。視野狭窄はもっとも小説をつまらなく、凡庸にする要因になる。

▼小説の見つけ方
「美容室へ行く」という日常的な行為が、「偏見」や「コミュニケーション」などといった普遍的な問いに結びついていく。このダイナミクスこそが、小説の魅力の一つでもある。

▼AI表現の脅威性
小説の面白さは、もともと表現しようと思っていた「ある人間の認知」の質と、それを圧縮する技術の掛け算によって決まる。
人間が芸術に感動するのは、圧縮された作品を解凍して、根本に存在したはずの「ある人の認知」を受容するからだと思っている(もちろん例外もあるだろう)。僕がAIによる表現活動に対してそこまで悲観していないのは、AIには解凍した先の「ある人の認知」、加えてさらにその先に広がっている「世界」が存在していないからだ。出力された作品の質でAIが人間と肩を並べ、あるいは先行していく未来は遠くない将来に生じると感じているが、作品から世界に接続していく過程には、現実世界を生きてきた人間の持つ強さが残っている。ゴッホの絵を飾りたい人はいても、AIが書いたゴッホ風の絵を飾りたい人はあまりいないだろう。

▼小説をさがしているか?
この問いは、問うだけの価値があるか
この表現はこれがベストか?もっと端的な言い回しはないか?
読者より自分を大事にしていないか?
利用していない「伏線」はないか?
どうして「小説」という形式を選んだのか?
小説でなければならなかったのか?
本気で小説を探そうとしているか?

0
2026年01月19日

Posted by ブクログ

小説家の脳内思考がどうなっているのかを解説した本だったが、難解で理解しきれなかった。

最後の「エデンの東」で、小説が改稿を重ねるにつれて徐々に分かりやすくなっていく様子は参考になった。

0
2026年01月30日

Posted by ブクログ

たぶん、この本は面白い本のはず。
でも、僕はあまり楽しめなかった、腑にも落ちなかったし、膝も叩かなかった。
見落としてたり、理解不足なままに読んでる気がするので、時間をおいて再読しようかと。
もしくは作者の小説を読んでから読むか

0
2026年01月30日

Posted by ブクログ

書いてあることは全て理解できるのだが、高度すぎて逆に参考にならなかった。
非小説家にとって使えそうなのは、①伝える順番、②受け手の前提に合わせて不必要な情報は削るといったとこだろうか。

0
2026年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文章を書きたい、けどどのようにしてまとめればよいかわからない
同人誌制作をしていて文章を書くうえで参考にあるかもと思い手に取り拝読した
各章読みやすい分量と、わかりやすい例示をしめしていて理解がしやすく助かる
これを読んだうえで参考となったのは、読む相手と書き手には契約が生じるという部分と、とりあえず書いてみなされ、さすれば道は開けていく、の二点であった
自分のために書かれた部分を排して、読む人のことを考える、基本中の基本だろうけどこれを守って制作にあたろうと指針ができた

0
2026年01月27日

Posted by ブクログ

抽象化をして個別化する

適切な情報量

どれだけ読者に「私に向けられた話だ」と思ってもらえるか

伏線
小説は「象徴的で影響力のある大きな出来事」「象徴的で影響力のある大きな出来事の伏線」でできている

情景描写もすべて伏線になっていなくてはいけない

小説は出来事の連鎖によって構成されている

主張や設定は後から考えるべきで、最初に考えるべきなのは「買いてみたいこと」や「考えてみたいこと」。大事なのは「答え」ではなく「問い」

創作をする上で気をつけなければならないのは、過程で生まれてきたディティールに宿る「面白さ」の種を見逃さないこと

主張があって小説を書くよりも、とにかく買いてみたい人物やトリックや語り口や舞台設定の中から小説を探していったり、答えの分からない問いについて作品を通じて考えてみたりする方がずっと易しい

プロットを実際に作品にしていく中で、どれだけ偶然を回収し、元のアイデアよりも洗練させていくか、ディティールを膨らませ、本筋と繋げるか

0
2026年01月19日

「エッセイ・紀行」ランキング