【感想・ネタバレ】言語化するための小説思考のレビュー

あらすじ

その文章、「自分のため」に書いていませんか?

「伝える」ではない、「伝わる」言葉を、文章を生み出すために、小説家はいつも何を考えているのかーー?

『ゲームの王国』『地図と拳』『君のクイズ』『火星の女王』
祝デビュー10周年! 時代を席巻する直木賞作家・小川哲が、「執筆時の思考の過程(=企業秘密)」をおしみなく開陳!
どうやって自分の脳内にあるものを言語化するかを言語化した、目からウロコの思考術!
☆☆☆小説の改稿をめぐる短編「エデンの東」も収録☆☆☆


小説ーーそれは、作者と読者のコミュニケーション。
誰が読むのかを理解すること。相手があなたのことを知らないという前提に立つこと。
抽象化と個別化、情報の順番、「どこに連れていくか」を明らかにする……etc.
小説家が実践する、「技術」ではない、「考え方」の解体新書。


この本を読んだからといって、「小説の書き方」がわかるわけではない。小説家が小説について考えてきたことを人生にどう活かすか、あなた自身で見つけてくれれば言うことはない。ーー小川 哲

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Posted by ブクログ

人文系の博士課程中退者がが小説を書くというのはどういうことかを言語化するとこうなるという一例。抽象具合がとても良い。プロット作らないんですね。小説は全ての文章が伏線である。視点人物と読者との情報量の差という視点。小説ゾンビ。
帯は正直大げさすぎるとは思うが,これに需要があるのだとすれば,それは自分にとって希望である。

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2025年12月21日

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誠実でとても素敵と思いました。最近の氏の活動に若干の違和感がありましたが理由の一端が分かったというか。

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

読んだ小説をどうやって自分の中で消化していくか、作者の視点を通して自分なりに考えた。筆者の言葉を借りれば、小説の一部を抽象化し、個別化するための「視力」を身につけられれば、新しい、より深い?小説の楽しみが見つかるのではないかなと。

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2025年12月19日

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小説書きたくなってくる(書いたことない)
書いてしまったことを伏線にするというのが最大の発見
小説書きたい

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2025年12月15日

Posted by ブクログ

自分と合わない小説は、小説法の違いと割り切って必要以上に深く考えない!
小説の文章は全て書かれている意味があるもの。伏線などない。全て伏線である。
書かれている内容とその順番。今後小説を読むのがもっと楽しくなりそうな視点がたくさん得られた。

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2025年12月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 小説法(自分の書き方・読み方・理解のされ方などで構成されたもの)のお話がまず面白かったです。所々マッチングアプリのミッチーの例や内輪ノリの説明の部活、大学のサンダルの話など、笑い話とするには性格が悪いなと、にやっとしてしまう部分と、理路整然と分かりやすく論理的に噛み砕いて語られる小説思考のこと、言語にしないと他の人にわかってもらえないし、小説法に触れることすらできない点が面白かったです。

 異世界転生の分析する人確かに多いけど、二流広告マンのマーケティングに咽てしまいました。ここもにやけた。文章の語順や提示順読みやすさ出し方は普通に頷いた。ラストに【エデンの東】という小説があるのですが、これは作中の編集さんももっと何かしてあげたら案件に思えました。

 私はこの本とても好きです。面白かったです!!

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2025年12月14日

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小川哲先生なのに、珍しく薄い本がある!!と驚き、手に取りました。僅かな自分時間の中でも読みきれそう、と思い。
伏線の話、好きです。
あと、小川先生は知識豊富で理性的で高学歴なのに、文中では低めな自己評価を恥ずかしげなく曝け出してる点が素敵だなと思います。もしかして、読者はこういう書きっぷりが好きそうだ、というとこまで想定して書かれたのかな。恐ろしい

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ひまわりめろんさんのお勧め本です。


小説を書きたいと思ったことは一度もありませんが、こういうタイトルの本にはなぜか魅かれます。
私は日本一豪華な講師陣の小説の講座に十年以上通っていたので、どこかで聞いたことのあるような話もありましたが、さすが、変化していく小説の書き方。
私の通っていたころからもう何年もたっているので新しい話ももちろんありました。

目新しく思ったところを抜粋します。
9のアイデアの見つけ方は小説は書かないけれど、私は最近短歌を詠んでいるので参考になったと思います。




まえがき
〇「小説とはやり直しのできる飲み会である」

〇文章は「自己表現」であると同時に「その自己表現に他者がどれだけ感心したか」という側面をもつ。

1小説国の法律について
〇エンタメと純文学には小説法上の違いがある。
「起承転結逃亡罪」エンタメ重罪。
 純文はそうでもない。

3知らない世界の話について堂々と語る方法
〇ベンチャー企業=小説家と似ている。
 知らない世界に住んでいる、知らない人の話を小説家 
 は書かなければならない。人間は知らないことについ
 て書くことはできない。

6小説はコミュニケーションである
〇小説とは内輪であれば内輪であるほど面白いといえる
 かもしれない。どれだけ読者に「私に向けられた話だ
 」と思ってもらえるかという点に文章技術の秘密が宿っ   
 ているとも言えるだろう。
 「どれだけ内輪な表現で、どれだけ多くの人に楽しんで
 もらうか」

7「伏線」は存在しない
〇「今のところ何の暗示にもなっていない文章」に注
 目。
 その文章が配置された理由は心当たりがなければ真相
 解明の「伏線」になければ真相解明の「伏線」になっ 
 ている可能性が高い。

8なぜ僕の友人は小説が書けないのか
〇 一つ目、専門性が高すぎるから。
 もう一つ、陳腐すぎるから。

 小説のアイデアに必要なのは、偶然目の前に転がってき
 たアイデアをしっかりと摘みあげる能力ではないか。

9アイデアの見つけ方
 〇商業的に成功する人はたぶん二つのパターンしかな
 くて、「もともと読者(他者)の物差しを内面化してい
 る人」か、「なるべく読者(他者)の物差しに合うよう
 に、自分の物差しを調整した人」のどちらかだ。
 面白い小説に必要なのは、「新しい情報」。「新しい視
 点」。

12本気で小説を探しているか?
 〇小説は「作者が何を表現したか」ではなく「読者が
 何を受けとったか」によって価値が決まる。

あとがき
〇小説はコミュニュケーション
 →この話はどれだけの人に伝わるのか
 自分にとってどれだけ価値のある話であったとしても、  
 小説を商品として見た場合に、一定の需要がなければ
 出版することができない。
〇小説というジャンルにおいて「AI」が人間に(現段階
 で)勝っていないのは、将棋やポーカーと違って、小説
 の「勝利条件」がまだわかっていないからだと思う。

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2025年12月09日

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最高に面白かった。手元に残しておきたい本だ。

私はど素人小説を書くのだが、その時の悩みや疑問に思っていたことのアンサーが安直に得られなかった、けどむしろそれがよかった。ヒントは沢山いただいたのだが、結局は自分がどう表現していきたいか、突き詰めて自分と向き合っていくべきなんだろうな。

筆者は飢えた人に魚を与えるタイプではないと思う。釣り方も教えないというか教える立場にないと思っていそう。他者の魚の釣り方を見て「へー君はこうするんだねふーん」って言って立ち去るタイプなんじゃないかな。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 「へぇー、小川哲の新書かぁ」って思って帰って改めて見てみたら、「現代新書」ではなかった。
 しかし、内容は、『……の哲学』と後に付けたくなるような1冊だった。自明のこととして済まさず、「作家」が関わる様々な者・物・モノとあらためて考えてみる。
 価値を決めのは他者――当たり前のことではあるが、それを突き詰めることは実は少なかったと気付かされる。 

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2025年12月06日

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小説は読者と作者のコミニュケーションだと小川哲だという。どんな相手にどんな風に受け取られるか考えねばならないという。伏線などというものは存在しないらしいし、なんというか何を言っているかちっともわからない。実に小川哲らしい言い回しである。
小川哲はマジシャンのような人で、懐に飛び込んできたと思ったらいなくなっている感じがある。ケムに巻かれるというか。まあ、好きだってことだ。
小川哲がわからないものが、我々にわかるわけないだろうが。

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2025年12月03日

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小説思考の本なのに小説が出てくる。内容に納得できるかどうかよりも、実はハウツー本と見せかけて小説だったのだ、ということをやりたかったのかもしれない。

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2025年12月03日

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「読みやすさ」とは、情報を全部説明することではない。

『言語化するための小説思考』を読んで、そう感じた。視点人物と読者の情報量の差をどう設計するかは、小説だけでなく仕事の説明や会話にも直結する。

自分はこれまで、結論と理由を最初からすべて埋める話し方をしてきた。それは親切だが、相手の想像力や参加の余地を奪っていたのかもしれない。

曖昧さを残すことは不安だが、それは相手を信用することでもある。本書は、言語化を「うまく話す技術」ではなく、「他者と一緒に考えるための態度」として捉え直させてくれた。

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2025年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ


小説を読む人にはぜひ読んでほしい一冊。
正確には、作者がどんな思いで書いたのか、どうやってこの内容を考え、構成を組み立てて、言葉を選んだのかを考えたことのある人は読んでみたらおもしろいと思う。

これまで言語化していなかったけど、なんとなく考えていたコミュニケーションにおける注意点みたいなものがうまく言葉になっていた。
作家がどんなことに気づき、それを言葉にしていくのかが解説されている。

小説法という概念は大きな気づきだった。確かに、人によって小説はこうあるべきだという価値観が異なるし、もちろん作家によっても違う。
自分の小説法が作者のそれと近い方がおもしろく感じる、というのは納得だった。
作家による作風の違いや方向性があるから、読者はそれを期待している、というのはとても腑に落ちた。同じ作家の本ばかり読んでるし、違う作家だとおもしろいと感じないのは、小説法や、期待する方向性が違うからなんだと思う。

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2025年12月15日

Posted by ブクログ

小説というものが言葉を使ったものであり、その上でルールに乗っ取ったものであることがわかった。たくさんの人に読んでもらうことが全てではないが、伝わらなければいけないものを数ある言葉の中から選んで表現する、ということの難しさについて理解できた。

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2025年12月15日

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小川先生が小説を書くときの思考を一緒に追っていくような感覚で読んだ。小説って読者と筆者のコミュニケーションが生んだ"奇跡”なんだな。小説を書かない人にも「伝わる」言葉、文章を生み出すために何を考えれば良いのか?というヒントがもらえる。最後の小説がユーモラスで好き。

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2025年12月15日

Posted by ブクログ

小説を書くということを小川哲なりにロジカルに分析していて、面白い。特に「文体」とはなにかということを「情報を伝える順番である」と捉えることは新鮮だが納得感もあった。
自分の主張を書くのではなく、問いから書き始めるというのも興味深い。読み手としては完成した作品を通読するわけで、それゆえ「作者が言いたかったことはこれだろう」と考えがちだけれども、書き進める作者側からすれば、それは結果であり、過程がどうだったかはなかなかそのまま受け取られない。小川洋子が物語のシーンを思いついて言葉にしていく、と言っていたのと少し近いように感じた。
なんだかんだ、小川哲の小説・文学への愛と、隠すことのできないプライドの高さ(それが持ち味でもあると思う)を感じられておもしろかった。

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2025年12月15日

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小説を書くための12章であるが、読む側としても読書から離れて考え方や他者との関わり方の示唆に富んだ指南書のようでもある。所々に挿入されている例文がまた面白くて続きが読みたくなった。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

小説家の小川哲さんがどんな風に思考して小説を考えているのか惜しみもなく開示していて、改めて小説家の方の「小説」のテーマや構想設定喉緻密さに驚きました。

また小説というのは作者と読者のコミュニケーションであり、作者は誰か知らない読者どういう風に物語を受け止めるかを色んな視点で思考しながら書いているというのを見て、小川さんのおっしゃっているように小説は会話と似ているなと思いました。

個人的に小説法の話が面白くて、読書をする人に限らず、それぞれが独自の法律を持っていて、個人的にはありきたりな予定調和みたいなものはあまり好きじゃなくて割とリアリティを重視するほうだなとか色々考えることがありました。

これから小説を読む時に、どういう風な狙いでこういう構成にしてるんだろうとか、どんな読者を思い描いて書いた作品なんだろう?と違った視点から考えるのも面白そうだなと思いました。

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2025年12月13日

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「目から鱗が落ちまくって視力が6.0になり、眼鏡を捨てた」と、帯で町田康さんが書かれているのだけれど、マジ目から鱗。小説について、こんなふうに解体されているの、見たことない。ためになる。が、これを読んだ人が面白い小説が書けるかというのは、またべつ。「人間が芸術に感動するのは、圧縮された作品を解凍して、根本に存在したはずの「ある人の認知」を受容するからだ」と、書かれているとおり、小説に限らず、あらゆる表現活動は「ある人間の認知」を、受け取ることができるものであり、その「認知」が目新しくなかったり、面白くなかったら、多くの読者を獲得し得ない、独りよがりのものになってしまう。webで読む小説で、ものすごく丁寧に書かれていて、文章もうまいのだけど、読むのが辛いな……と思うのはたぶんそこが平凡なのだと思う。知ってるよ、というか、どうでもいいよ、というか。その人にとっては、とても大事なものかもしれないけれど……。そう、小説は、書き手と読み手とが、違う。読み手に向かって、書かれていなければならない。本編を前に進めないものを、長々と、描写してはいけない。自戒を込めて。

「僕が生まれて初めて小説を書き上げたあと、最初にやった推敲は「自分のために存在している文章」をすべて削除することだった」

このことは、「伏線」について書かれているところでも、説明されている。小説というのは、「出来事」の連鎖であり、すべての出来事には、伏線がある。だから、ただの「情景描写」は小説ではない。なんらかの暗示になっていたり、なんらかの副次的な役割がなければならない。

他、面白かったところをいくつか。

・小説に必要な「新しい視点」は、発想力やオリジナリティによるものではなく、「書いてしまったこと」から見つけるもの――「視力」である。

・「ヤバい」ときほどアイデアが誕生するチャンス。(話を成立させるために、突飛のない方向へ話が転がることがある)

・「情報の順番」は小説という空間の立ち上げ方を規定する。書き手が生み出した小説空間に、読み手をどのように招き入れるかを決める非常に重要な要素。

・小説とは、内輪であれば内輪であるほど面白い。→小説家は、読者と「内輪」を形成することができる。登場人物たちのエピソードや会話、作品舞台の描写などを通じて、青春時代を何年も一緒に過ごした友人のように情報を共有していく。作品の世界に読者を招き、伝達したい情報をより簡潔に、より深く知ってもらうために言葉を費やしている。

・「アイデア」は通常の思考の枠組みからは決して出てこない。個人のアイデアより業界の常識のほうが面白かったりするのは、その常識が長い歴史の中で多数の人間によって作りだされたものだからだろう。

各例文も、美容院での出来事から、小説を立ち上げていく過程も、本当に面白かった(東大で一時期流行った便所スリッパに対する偏見も)。本当は難しいことを、誰にでもわかるように書いてある。めちゃくちゃ頭のいい人なんだろうなと改めて。

小川さんは前々から短篇などを読んで面白いと思っていたが、『ゲームの王国』『地図と拳』という上下巻の長大なものは、SFっぽい、歴史ものっぽいこともあって、自分に理解できるか不安で、読むのを躊躇っていたのだけど、読んでも大丈夫、きっと面白い! という信頼を覚えたのだった。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

みんなに人気のあの人、でも私とは合わないな、と感じたことがある。
一方で、すごく売れてる小説が、私には合わないな、と感じたこともある。
前者には割と早く諦めがつくのに、後者はなぜか、自分になんらかの、みんなが持ってる感性が足りないのだろうか…と、少しさみしくなったりしていた。
でも、本書のいうとおり、小説が、著者と読者のコミュニケーションであり、小説は著者の認知を圧縮したものであるならば、人気の小説の基である著者の認知が、私の認知と合ってないだけで、それは人対人のコミュニケーションで合わないと感じることとさほど差異はないのかもしれない。

本屋に並ぶ小説を手に取るときの気持ちは、初めまして、と知らない人に声をかけたり、はたまた、知ってはいるけどそれほど親しくない人と会話をする前の緊張感に近いのかもしれない。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

おもしろかった。
密度の濃い1冊だった。
小説についてさまざまな切り口で考察されていて、筆者は研究者みたいだなと思った。

個人的に恋愛リアリティーショーの話は刺さって、自分の価値観を外して考えると発見があるものだなと思った。

小説がテーマだがあらゆることに通づる考察で、気づきがあり楽しかった。
ただ噛み砕いて自分のものにするには、実際やってみて再読しての繰り返しになるだろうと思う。
☆3.8

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

三宅香帆「考察する若者たち」で"考察"ではなく"批評"と定義されていた行為を小川は"誤読"と言っていて面白い

この本のように思考すると上手く世界を"誤読"できる気がするし、美容室のエピソードみたいなことはしょっちゅうあるのよ笑

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2025年12月12日

Posted by ブクログ

小説とはコミュニケーションであるという一説。芸術全般がインプットののち、自分の中で解凍され、別の問題を思考することに繋がるという点に納得。解凍の能力は鍛えることが必要で、一見無意味な芸術に触れ、ビジネス書ではなく小説を読むことによってこそ繋げる力であったり、思考の深さが得られる。ふんわりイメージを持っていたが、それが言語化出来た。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

小川哲のファンとして、小川さんの脳内が覗けて終始ニマニマでした。難しいことを述べた後には必ず例を出してくれて(しかも小説の形で)読者を置いてけぼりにしないのが、小川さん本当に親切であります。
8 なぜ僕の友人は小説が書けないのか
が刺さります。大事なのは「答え」ではなく「問い」
心に沁みます。
小川さんへの好き心で前のめりにぐいぐい読んでしまったので、またじっくり読み直そうと思います。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

タイトルは哲学的だが、どう小説のアイデア、文章を考えているか、組んでいるかを書いているものである。これが面白い。

やや中心的なテーマとは逸れるが、絵や彫刻などはその芸術的な価値で値段がつき、素材の値段などは考えられていない一方で本は紙の質、枚数などで値段が決まり、芸術作品的な部分もあるが商業的な側面もあるというのは確かにと思った。これは、映画や、ゲームなどにも言える事だろうと思う。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

「群像」での連載原稿を中心に、小説家が文章を生み出すこと、ストーリーを紡いでいくことをどのように考えているのかを伝えてくれる本。自分の仕事でないことには、勝手な批評になることが世の常であると思うが、こうして作品を楽しませていただいている作家の言葉を感じられると、読書に深みが増してくる。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

「なんだこれ?」と「なんだこれ!」の間で反復横跳びさせられた作品。
小説も商業の場合は、読者のことを考えて書く必要があるとは思っていたが、ここまで色々なことを考えているとは思わなかった。著者の賢さは存分に伝わってきたが、その思考に私がついていけず、ところどころ何を読んでいるか分からなくなった。
とりあえず、小説国の法律のくだりと、アイデアは発想力でなく面白い瞬間を見逃さない視力によって生み出されるという意見を読めただけで収穫である。
身勝手なことだが、全作家がここまで思慮深くないことを願いたい。そうでなければ、私は筆を折ってしまうだろう。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

★何を書くか+どう書くか
著者は小説はコミュニケーションだというが、書くことはすべてコミュニケーションといってもいいかもしれないと思った。小説は当然ながら読者という名の伝えるべき相手がいる。一方、日記なんかは自分だけのために書くものだから見えない相手のペルソナを想定する必要はない。でもテーマ検討「何を書くか」とそれを言語化する思考過程「どう書くか」は自分との対話に他ならない。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

小説を書く上で大事なのは「答え」ではなく「問い」だ、という主張が印象的だった。

自分が書いてみたいこと、考えてみたいことは何だろう? 自分の目でしっかり見た世界を抽象化して、別の世界に置き換えて個別化する。

それが成功していれば「これは自分のために書かれた物語だ」と、時代を超えて読者の共感を呼ぶ傑作が生まれるかもしれない。

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2025年12月06日

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