【感想・ネタバレ】1(ONE)のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月30日

駒子シリーズ4作目。
長い時間が過ぎているが、人物像のブレがなく、とても面白かった。イラストも素晴らしく、可愛い。
こういう犬が飼いたい、という理想像が描かれていると思う。
まずはワンの独白から始まる。
そして玲奈とゼロの語り、ゼロの先輩として登場するワン。
玲奈の辛い過去の話、母は美術部だった、と...続きを読むいうくだりから母が誰であるか、を読者は推察することが出来る。
ワンはゼロを自分の後継者として育てる。

そしてお兄さんのはやての独白の章。これも辛い描写から始まる。犬が飼いたいはやてだが、家庭の事情で飼えず(父の仕事の都合で引っ越しが多い)。隣家の犬が良い飼われ方をしていないことに気づく。その隣家の犬の飼い主であるケンちゃんと共に飼い犬のシロの世話をする。ケンちゃんとも打ち解けてくるのだが、シロはなかなかケンちゃんを飼い主である、と認めていないようである。ケンちゃんとはやてとシロは真っ黒な犬に山の中で逢う。
章の最後にはやてはシロの子ども、ワンを飼うことになる。

ワンの中編、後編は駒子の章である。
今までは子ども視点であったが、大人視点での考察になる。そうは言っても、駒子だから、ちょっと唐変木な方向もある。犬の話だからか「スイカジュースの涙」の愛ちゃんの飼い犬を思い出すシーンも出てくる。そして瀬尾さんの職業が明らかに。建築士と言っても、ただの建築士ではなく「天文台」を建てる建築士であった。
「そうして我が家では、末っ子の妹を大切に見守るお兄ちゃん二人(一人と一匹)、というこの上なくキュートで温かい関係が築かれていくのだった」もう、理想の家族だ。
ハイドロプレーニング、フェード現象への言及も健在である。
近くの別荘の住人が犬を山に捨てている、町の有力者のため、分かっていながら、誰もその行為を止められない、と駒子が知ったときに、いろいろな報復方法を考える。「ドクガ爆弾」を考案した駒子に「君が自爆する未来しか見えないからやめときな」は笑ってしまった。
「自爆はせずに、法に触れない範囲で何か…」「不穏なセリフが聞こえたよ?」
駒子と瀬尾の関係、変わらない。
そして犬捨て犯の芸術家(別荘の人)へ犬捨て行為をやめさせる方法として駒子が取った行動が笑える。スズメバチを呼び込むためにスズメバチのドリンクバーを作ることにしたのだ。未必の故意、蓋然性の問題である。
「君の特製ドリンクが入ってた弁当箱は回収してきたけど、あれはもう捨てていいんだよね?」「もちろん。曲げわっぱのお弁当箱だから、燃えるゴミよ。いずれ土に還る素材だからあれを選んだの」「あ、そこは証拠隠滅じゃなくて地球環境に配慮したんだね」このやりとりも好きだ。
「実はわたし、人の心が読めるんだ」と小学校低学年とおぼしき女の子が友人に話した言葉を当の話し相手の女の子が「へえ」の一言で済ましているのに、たまたまそれを聞いた大人の駒子が驚愕し、「ぜひとも後を追いかけて詳しく話を聞きたいと思ったけれど、泣く泣く自重した。下校中の女児に怪しい女が付きまとっていた、などと不審者情報が出かねないから。」のくだりは大笑いした。
瀬尾さんのプロポーズの言葉が素敵だ。「僕を君の一番にしてください。君はとっくに僕の唯一無二だから」
その続く文脈から「はやて」はいるのにどうして「玲奈」なのか、なぜ「あやめ」さんではないのか、が分かる。

エピローグは玲奈の視点。ワンの最期が語られる。
ワン、一番、という重要な数字、そしてゼロが1と並び立つ重要な数字、この言葉に回帰していく。

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Posted by ブクログ 2024年01月31日

ななつのこシリーズが大好きだったので、またあの2人に出会えたのは嬉しかった。
犬と子供と家族のお話。全体的にほのぼのしていた。

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Posted by ブクログ 2024年01月21日

大好きなシリーズの続編ということもあり、読めて良かった。あの優しくて、優しいだけじゃない世界の未来が確かにあった。

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Posted by ブクログ 2024年01月20日

めちゃくちゃ良かったです。愛と優しさにあふれていました。泣きました。
時代や立場で変わるものもあれば変わらないものもあるわけで、大人や親になっても不安は尽きないけれど、それでも大丈夫だと思えるような、そっと包み込む優しさと勇気をもらえる作品でした。

読みながら、もしや…?と思っていたところが判明し...続きを読むた瞬間の嬉しさと興奮たるや! 『ななつのこ』から読み進めていた人なら誰でも叫びたくなるんじゃなかろうか。読んでください。

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Posted by ブクログ 2024年04月07日

当たり前の日常は時として儚くもろい。他に選択肢などないように押しつけがましくやってくる常識も、実はすぐに揺らぐ。
そんな寄る辺ない暮らしの中、何かを大切に思う気持ち、また大切に思われることが救いになったりする。それが哀しみの種になる事さえあるが、思い自体は大事にできる。
時を経ても変わらないものがあ...続きを読むれば変化する物事とも折り合いをつけて何とかやっていけるかも、と思わせてくれた作品だった。

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Posted by ブクログ 2024年03月09日

昔なら普通と許されたことが、今なら非常識とされる例はたくさんある。
「正解」は結構曖昧で、常に揺れ動く。そしてしばしば、時代とともに移り変わっていく。昔の常識は今の非常識。昔の普通は、今なら虐待。

書物とは、人類が延々と積み上げてきた叡智の結晶だ。それを読むことで、知識を深めたものが、さらに研鑽を...続きを読む重ねることで、その輝きは増していく。


ななつのこから再読したいなと思いました。

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Posted by ブクログ 2024年03月08日

自分の犬が欲しいとねだる、大学生の玲奈。ゼロと名付けた芝犬の仔犬を飼い始め、ゼロを主人公にした小説をネットにアップした所、読者から感想が届く。同じ頃、玲奈の周りで不審人物が現れて…

ゼロが時々視える先輩の黒い犬。ワンの物語もちょっと切なかったけれど、とても大事に育てられたのが伝わってきてじんわりし...続きを読むました。

優しい、ななつのこシリーズ。本当に大好きです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月29日

今度は犬が主役?駒子のその後、ワンとゼロとの新しい出会いとその物語が小さな謎も含めて愛おしい。瀬尾さんとの幸せな未来がここに現れて読めたのは本当に良かった。

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Posted by ブクログ 2024年02月25日

『ななつのこ』から始まる駒子シリーズ、20年ぶりの最新作ということで、少し前にシリーズ3作を読んでいたのだが、今作は続きというよりも新たな目線で楽しめる物語だった。

ななつのこでは、駒子が作家との手紙のやりとりで始まっていたが、今回は時代の変化もありネットの小説サイトから話は始まり、大学生の玲奈が...続きを読む可愛がるゼロという愛犬も登場する。

ゼロの編では、ひたすら玲奈を守ろうとするゼロや家族の愛情を感じたが、ゼロの目線はそれだけではなく兄貴分である先輩(ワン)をしっかりと見て、彼と会話しているところに尊敬と信頼を感じた。
このワンは、ただものではないのだなと思わせた。

1(ONE)前編では、玲奈の兄を中心に引越し先の隣りで飼っていたシロとの繋がりから黒い犬を知り、やがてワンといっしょに生活することになるまで。
ほんとうに犬が欲しかったという気持ちが、とても伝わってきた。

1(ONE)中編は、ワンが正式に家族に加わる少し前にはやての妹である玲奈が生まれたことで、母親目線で玲奈とワンとの生活を描いているのだが、この母親がけっこう凄くて、ワンの両親である黒い犬とシロを捨てた別荘の持ち主を追い払うべく、よからぬことを画策するという…。
すべてはこれ以上に不幸な犬を増やさないためだろうけど突拍子もないことを思いついたものだと、驚いてしまった。

1(ONE)後編は、隣りの桜の木の下事件や玲奈が危機一髪でワンのおかげで助かった網戸事件など。
うちの犬は世界一って言うのもわかる。
そっか「一」とは、無限大の可能性を秘めた数字なのね。

エピローグで、ワンがまたしても弱くて小さな玲奈を守るために命を張って泥棒を撃退したことに涙してしまう。


ワンが一番!ワンはずっと一緒!が伝わってくる優しい物語だった。



加納朋子さんの作品は、何作か読んではいるけれどかなり以前だったりとかで、忘れているのもあるのでまた改めて再読し登録していこうと思う。

何にしろ、シリーズ化しているのはついつい忘れがちになったり、飛ばしてしまいがちなので要注意なのである。




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Posted by ブクログ 2024年02月20日

人と犬とのほのぼのとした優しいお話でした。
忙しい毎日に、ホッとさせてくれるのがとても良かったです。
私自身、小さい子を2人子育て中なので、後編は相槌を打つような感じでした。

『ななつのこ』を読まずに、本作を読みましたが問題なく読め『ななつのこ』が読みたくなりました。

普段目にしない四字熟語、『...続きを読む風光明媚』が私にとって知識になりました。
四字熟語って難しいてすよね。



✎メモ:山や川など、自然の景色が清らかで美しく、すばらしく眺めのよいこと。

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Posted by ブクログ 2024年02月18日

とある家に飼われた1〔ONE〕と、この家の兄妹との話。
ONEの現在の状況から始まり、その後はONEがこの家にやって来るまでの様々な事情が描かれ、読者は次第にONEと兄妹と共に感情移入してゆく。
上手い描き方だ。
善意の塊のような両親と兄妹を護るONEの活躍は、切ないほどに純粋な犬の献身を
感じさせ...続きを読む大変良い読み心地になった。
犬好きにはグッとくる小説でした。

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Posted by ブクログ 2024年01月30日

数行読んだだけで加納さんの紡ぐ優しい物語世界に包みこまれる。
そして私は加納作品が本当に大好きな事を再確認した。

本作は『ななつのこ』『魔法飛行』『スペース』に続くシリーズ第4弾で20年ぶりの最新作。

たのもしい先輩犬・ワンと、ゼロと名付けられた仔犬、思い遣りに溢れた家族。
お隣の白い大型犬、網...続きを読む戸にめりこむ幼き日の玲奈。

言葉と同時に彼らの映像が脳内に流れ込み、とても幸せな気持ちになった。

『いつかの岸辺に跳ねていく』の徹子を思い起こさせる描写もあって心弾む。

特別大きな事は起きないけれど、穏やかな日常が愛おしくなる。

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Posted by ブクログ 2024年01月29日

久しぶりにこの空気感を味わえた。『ななつのこ』からのシリーズ最新作。著者の加納さんの前書きにもあるけれど直接的な続編ではない。ある家族が犬を飼い始めてからの出来事がいくつか語られていくけれど、その中で子供たちが学んでいく姿とそれを見つめる大人たちの眼差しがとても良くてそこにシリーズの空気感をたくさん...続きを読む感じることができた。何よりワンとゼロという飼い犬のかわいくて勇敢な描写がいい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月25日

後書きにある2023年4月に開催された東京創元社主催の新刊ラインナップ説明会に参加しました(その際『ななつのこ』のサイン本もゲット)ので、9か月待ちましたが、その甲斐のある一冊でした。

司会の池澤春菜さんの「犬は大丈夫ですか?」の質問にう〜んという感じだったので心配しましたが、大これなら大丈夫です...続きを読む

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月21日

『駒子シリーズのストレートな続きではありません。』
と「前書き」で加納さん本人が述べられていましたが、私にはストレートな続きとして十分に楽しめました。(何より、前作ラストでの駒子の想いが実った姿を見る事が出来たことだし)
一方、『ミステリ色はあんまり強くありません。』には、確かに!という感想を持ちま...続きを読むしたが、「ななつのこ」⇒「魔法飛行」⇒「スペース」とシリーズを重ねるにつれ、ミステリ色は薄れてきた(但し、それと作品の優劣は別です)ように感じていましたので、それほど気になる点ではありませんでした。
さて、駒子シリーズの1(いち)ファンとして気になるのは、本作品が駒子シリーズの最終作となるのかどうかということです。
こればかりは加納さんにしか分からないのですが、是非とも続けてもらいたいですね!
もしくは、本作品が玲奈シリーズの序章(ONEが亡くなり、ゼロが引き継ぐことは暗示⁉️)であることに期待しています。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月27日

単作品として読んだ。家族思いのワンコだな。家族の話も良いけど、自分のワンコのおかげで人を素直に褒めれるようになったとこが好き。

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Posted by ブクログ 2024年03月30日

犬の特徴やしぐさを細かに捉え、人との触れ合いを豊かに活写。玲奈の家族もワンとゼロも家族想い。命を懸けて家族を守るワンとゼロに胸が熱くなった。挿絵も愛らしく胸キュンだ。

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Posted by ブクログ 2024年03月17日

ななつの子の続編ぽい作品。ゼロと名付けられた子犬と飼い主の玲奈との物語。そこに先輩犬のワンと、事件や家族の歳月が柔らかで温かい描き方で綴られている。猫派だが犬も可愛いと思えた。

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Posted by ブクログ 2024年03月03日

加納朋子さんの話全部読んでるつもりでいたけどなんとびっくり、ななつのこ私未読でした…ちゃんと読まなくては!

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Posted by ブクログ 2024年02月18日

待ちに待った加納さんの新作は、なんとなんと
20年ぶりの駒子さんシリーズでした。
この20年で、世の中の暮らしも常識も大きく変わってしまって
当たり前だけれど私も20年分歳をとったのだけれど
物語の中の駒子さんも、しっかり年齢を重ねていて
嬉しいやら驚くやら・・・
そうなの、そんな風に今まで暮らして...続きを読む来たんだね
なんて同窓会で再会した友達の話を聞いているような幸福な読者体験でした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月09日

【収録作品】初めに読んでいただきたい前書き/プロローグ/ゼロ/1(ONE)前編/1(ONE)中編/1(ONE)後編/エピローグ/読み終えてから読んでいただきたい後書き(もしくは蛇足)

久々の駒子シリーズ最新作。
瀬尾と駒子のその後。

子どもたちが出てきて、なんだかうれしいのは、ちゃんと育っている...続きを読むからなんだけどね。

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Posted by ブクログ 2024年02月04日

子供の頃、犬と遊んだ思い出がよみがえってくる… 人間と犬の間に生まれるものは #ONE #加納朋子

■きっと読みたくなるレビュー
素敵な本でした。装画のとおり犬をテーマにしており、家族との関わり合いの中で、関わる人々が成長していく物語です。

加納先生がこよなく動物を愛してらしゃるのが分かる作品で...続きを読むすね。チャーミングな物語でありながら、先生の想いがしっかりと伝わってきます。

ワンちゃん、猫ちゃんは愛玩動物と言われますが、実際飼って一緒に暮らしてみるともはや我が子。私も猫二匹を飼ってますが、我が儘いっぱいで超キュートなんです。もちろん人間とは別種類の動物なんですが、ちゃんとお互いの心が通い合う家族なんですよね。

本作ではそんな彼らと一緒に暮らすことで、我々人間が学び、成長していく。特に前編のエピソードは少年の勇気と決意は、彼にとって一生のこる思い出になるでしょうね。

ただ成長させてくれるのは子どもたちだけでなく、大人であっても同じ。関わり合いの中、当たり前と思っていたことに疑問をもって、自分の責任で考えてみる。年齢を重ねても、胸を張って意見が言えるような人間になりたいですね。

特に終盤は加納先生の伝えたいことが溢れ出ていて、心が洗われた気がしました。いい作品ですね、ありがとうございました。

■ぜっさん推しポイント
本作で一番伝わってくる言葉は「勇気」。

人間、長い間を暮らしていると、つい手軽で楽な方法を選んでしまう。過去の失敗、同調圧力、損をしない選択など、自分もいくつも思い当たります。ただ人間はひとりで生きているのではない。家族や友人たちとならきっと乗り越えていける。大切なことを教えてもらえた作品でした。

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Posted by ブクログ 2024年01月30日

駒子シリーズ待望の新刊。
2匹の犬、ゼロとワンの物語。作者が前書きで言及してるようにミステリ要素は弱め、作者のわんこ愛増し増しのもふもふした、犬と家族の物語を楽しく読みました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月13日

『ななつのこ』『魔法飛行』『スペース』の駒子シリーズを思わせる台詞が散りばめられ、駒子シリーズファンがニヤリとする部分も多いほか、個人的には『ささらさや』『いつかの岸辺に跳ねていく』、さらにはなぜか宮部みゆきの『パーフェクトブルー』などのマサシリーズを思い出すような雰囲気もあるように思いました。この...続きを読む作品は加納さん版の『君たちはどう生きるか』かもしれないですね。やさしく温かい雰囲気の作風も懐かしい。次の世代にバトンが受け継がれていくような伏線もあり、これが終わりのような始まりなのかもしれないと感じる作品でした。ただ、登場人物の年代的な変化に感じる一抹の寂しさと、叙述の中に「謎」が溶け込みすぎてわかりにくくなっている点、前作までよりも正当性のない毒や、苦味がある部分が含まれていた点などで、星は少し減りました。しかし、見ることはできないかと思っていた4作目が生み出され、ひょっとしたら今後も、と思わせる作品を出していただいたことに感謝しています。

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