【感想・ネタバレ】1(ONE)のレビュー

あらすじ

大学生の玲奈は、全てを忘れて打ち込めるようなことも、抜きんでて得意なことも、友達さえも持っていないことを寂しく思っていた。そんな折、仔犬を飼い始めたことで憂鬱な日常が一変する。ゼロと名付けた仔犬を溺愛するあまり、ゼロを主人公にした短編を小説投稿サイトにアップしたところ、読者から感想コメントが届く。玲奈はその読者とDMでやり取りするようになるが、同じ頃、玲奈の周りに不審人物が現れるようになり……。短大生の駒子が童話集『ななつのこ』と出会い、その作家との手紙のやり取りから始まった、謎に彩られた日々。作家と読者の繋がりから生まれた物語は、愛らしくも頼もしい犬が加わることで新たなステージを迎える。

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Posted by ブクログ

駒子シリーズ最新作!やっと読めて嬉しい。
やはり加納朋子さんの作品は読みやすくて好きだなぁ。
駒子シリーズを読んでなくても楽しめると思う。最後の着地点の仕方がやはり加納朋子さんだなぁと思う、ほんわかした感じ。面白かったのであっという間に読めてしまった。犬好きな人は、きっと好きなんじゃないかな。こんな風に大事に思ってくれてる存在がいることが羨ましい。

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2025年03月07日

Posted by ブクログ

成り行きで世話をすることになった犬、そしてその子犬。犬を通じて家族の「ONE」を描く、駒子シリーズ30年ぶりの新作。
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駒子シリーズを読み始めたのは、この犬小説である「ONE」を読みたかったからなんですが、「ななつのこ」から始まって実に楽しい読書体験ができました。
最初は駒子シリーズがどうつながるのかわからず、うっかり気づいたのはけっこう後半になってからで、あの二人がこうなったのか。そうかそうかと感慨深いことになっていてとても良かったです。
それにしても、まあ犬小説なので、加納さんのちょっとコミカルな筆致が犬と家族が紡ぎ出す絆を優しく描いているのが本当に素敵でした。シリーズを通して、ちょっとコミカルでちょっと切なかったり楽しかったり、ちょっとミステリだったりする中で、人の優しさを感じられるほっこりした話運びにすごく癒されました。疲れた時は加納さんの本を読もうそうしよう

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2025年03月01日

Posted by ブクログ

あなたは、『犬』が好きでしょうか?

ペットフード協会による令和5年の全国犬猫飼育実態調査によると、この国では『猫』が906万9千匹、『犬』が684万4千匹飼育されているそうです。近年、『猫』が増える一方で、『犬』は調査開始以来初めて700万匹を割ったというように、その飼育頭数は減少傾向にあるようです。『犬』と『猫』は何かと対比される存在ですが、その両者にこんな傾向が見られることは驚きです。

ところで、このレビューを読んでくださっている方には『猫派と犬派』、それぞれの方がいらっしゃると思います。『どちらがより愛らしい生き物であるかで、激しい意見』の対立もあるかもしれません。一方で、私が今まで読んできた小説では、『猫』が登場する作品が圧倒的に多い印象を受けます。小説家さんには『猫派』な方が多いのかもしれませんね。

さてここに、小説に取り上げられる回数では不遇な思い?をされてきた『犬派』な貴方に向けた作品があります。あの加納朋子さんが全編に渡って『犬』愛に満ち溢れた作品を描かれたこの作品。「1(ONE)」という書名が、そもそも『ワン』だという、もうそれだけでワクワクしてしまうこの作品。そしてそれは、読後、もっともっと『犬』が好きになる『犬』好きな方必読な物語です!

『夜の闇は心地よい。家の者は皆、健やかな寝息を立てている』、『だが油断は禁物だ。危機はいつ何時訪れるやもしれない。敵はある日突然一家の誰かを脅かす』、『一番危なっかしいのはレイちゃんだ。俺より後に生まれた、小さくて細っこくて頼りない、最弱にして一番下。とても脆くて傷つきやすい。だからとりわけ、注意して守らなければならない。この役割は誰にも譲らない。これが俺の矜持だ』。『俺は一匹の誇り高い黒犬だ。一家にとっての最初にして一番の、唯一の犬…だった』。一方で『最近、新たな犬が家族に加わったのだ。なんだかレイちゃんよりも弱そうで頼りないやつだとは思った』、しかし、『俺にはさほど、時間は残されていない』、『この甘ったれたチビ犬を、何とかして一家を、とりわけレイちゃんを守る強い騎士に育て上げるのだ』。そんな風に思うのは『唯一にして一番。この俺の名は、〈ワン〉』。
視点が変わり、『おはよー、お散歩に行こう!』と、『光り輝くような笑顔で言う』レイに『はやる気持ち』を抑えられないのはゼロ。『大学生になった春』に『「私だけのわんこ」を欲しがっていた』レイによって『一家に迎え入れられた』ゼロは、『家族全員を守るんだ。とりわけレイちゃんを守るんだ』と『くどいほどに』『先輩犬に』『言い聞かせ』られてきました。『脚はすらりと長く、引き締まった体を覆う毛並みはつややかな黒』で『額にすうっと細くひと筋の白』という『先輩犬に』『初めて会った』ゼロは、『威圧感がありすぎて怖いと思』いました。『今でも少し怖い』と思うものの『それ以上に、カッコいいと思』います。『お手本であり、憧れの先輩だ』と思うゼロ。『群れの中で序列を作る生き物』である犬。『先輩の位置づけは『お父さん、お母さん、お兄ちゃんに次いで四番手』、『先輩が最初に家族に迎え入れられたとき、レイちゃんはまだ生まれていなかったから』というその理由。そして、『後から赤ん坊がやってきて、群れで一番小さいレイちゃんを守ろうと、ずっと頑張ってきた』という『先輩犬』。『ちなみにゼロの序列は最下位』と言われ『「新参者とはそういうものだ」と鼻で笑』う『先輩犬』。そうやって、始まった新しい生活の中で、『ゼロが先輩と二匹きりになったとき、それはそれは厳しい指導を受けていたこと』をレイは知りません。『これくらい、一度で覚えろ。レイちゃんから失望されたいのか?』、『覚えが悪いなら努力しろ』と、『きつい言葉を投げかけられ』、それでも『一生懸命頑張』ったゼロ。『先輩の言葉はいつだって正しい。突如敵が出現したのは、それから間もなくのこと』でした。
再度視点が変わり、『私だけのわんこが欲しかった。世界でただ一匹の、私のことが一番好きなわんこと出会いたかった』というのは玲奈。そんな玲奈は『高校二年のとき、仲良しグループのリーダー格の子から一方的に嫌われてしま』い、玲奈を『外した新しいライングループが作られ』ていきます。そして、大学生となった玲奈ですが『人とのコミュニケーション能力が皆無なのだろう』と自らを思う玲奈は『一人でいた方がまし…』と思う中に他人と距離を取ります。そんな中、『犬を飼いたい。私だけの、わんこが欲しい』と思う玲奈。そんなある日、『カフェオレ色の雑種の仔犬』が『家にやってき』ました。『もともと我が家は犬好きな一家』という中に、『頭のてっぺんに、シュガードーナツみたいな白い毛が混じっている』ことから、『頭のリングを数字のゼロに見立て、なおかつ私の名前、玲奈のレイとも関連付け』て『ゼロと名付け』た玲奈。『それまでなんとなく憂鬱で曇りがちだった私の世界は、あっという間に優しくて甘い、ミルク多めのカフェオレ色で満たされてしまった』という玲奈。そんな玲奈の一家と共に暮らす『犬』のゼロ、そしてワンの物語が描かれていきます。

“大学生の玲奈は、全てを忘れて打ち込めるようなことも、抜きんでて得意なことも、友達さえも持っていないことを寂しく思っていた。そんな折、仔犬を飼い始めたことで憂鬱な日常が一変する”と内容紹介にうたわれるこの作品。そこには、こんな宣伝文句が記されてもいます。

 “「ななつのこ」から始まる〈駒子〉シリーズ、20年ぶりの最新作!”

作者の加納朋子さんというと私には「いつかの岸辺に跳ねていく」の素晴らしい物語世界が今もって強く印象に残っています。また、他にもど真ん中のファンタジー世界が展開する〈ささら〉シリーズや身近な謎に立ち向かう〈陶子〉シリーズ、そして今回取り上げる〈駒子〉シリーズというように、同じ女性主人公が登場するシリーズ化された作品を多々執筆されていらっしゃる方でもあります。中でもこの作品で4作目となる〈駒子〉シリーズは、加納さんの代表作と説明して異論を唱える方はいらっしゃらないと思います。そんなシリーズの第一作が刊行されたのは1992年のこと。なんと今から30年以上も前のことになります。シリーズ作と言っても30年以上もの開きがあるといくらなんでも間延びし過ぎですし、ファンの方でもその内容をどこまで覚えているかと言えば怪しいと思います。その刊行のされ方は極端とも言えます。ということで、復習を兼ねて〈駒子〉シリーズ4作品を簡単にまとめておきたいと思います。

 ● 加納朋子さん ”〈駒子〉シリーズ”
  (1) 「ななつのこ」(1992年9月1日刊): 主人公の入江駒子が『書店の新刊本コーナーで』偶然に見つけた「ななつのこ」という短編集の内容が入れ子になる形で構成された、身近な”なぜ?”に向き合っていく物語

  (2) 「魔法飛行」(1993年7月1日刊): 主人公の入江駒子が書いたとされる四つの小説を、小説を書くよう駒子にアドバイスをしてくれる瀬尾への手紙と小説を読んだ瀬尾の感想がサンドイッチのような構成で描かれるミステリな物語

  (3) 「スペース」(2004年5月31日刊): 〈スペース〉と〈バックスペース〉の二編から構成され、〈スペース〉で”前略はるか様”と記された14通の手紙の内容が〈バックスペース〉で別の角度から触れられていくという加納さんらしい物語

  (4) 「1(ONE)」(2024年1月11日刊): 玲奈一家に飼われているゼロとワンという二匹の犬にまつわる物語

4つの作品は、それぞれ10ヶ月、10年11ヶ月、そして19年8ヶ月という間隔を開け、結果として①から④までの間には31年4ヶ月という途方もない年数が経過してしまっていることがわかります。調べたわけではないですが、このようなとんでもない時間を空けて、シリーズ続編です!と新作を刊行される作家さんは他にいらっしゃるものでしょうか?ある意味すごいことだと思いました。

そんなこの作品の最大の特徴は間違いなく『犬』です。そもそも表と裏の表紙それぞれに『犬』のイラストが大きく描かれていて、しかも書名が『ワン』です。もうこれはどう考えても『犬』が大々的に登場する作品であることは間違いありません。そう、この作品は加納朋子さんのファンという以前に『犬』が好きな方は読むしかない!『犬』好きで本好きな方がこの作品を読まないのは意味不明と言って良いくらいに全編に渡って、『犬』、『犬』、『犬』に満たされた作品なのです。

一方でこの作品の構成は少し、というか今までに読んだことのない変則仕様で構成されています。目次をご紹介します。

 ①〈初めに読んでいただきたい前書き〉
 ②〈プロローグ〉
 ③〈ゼロ〉
 ④〈1(ONE) 前編〉
 ⑤〈1(ONE) 中編〉
 ⑥〈1(ONE) 後編〉
 ⑦〈エピローグ〉
 ⑧〈読み終えてから読んでいただきたい後書き(もしくは蛇足)〉

なんでしょう、これは。特に①と⑧が意味不明に感じますが、これは文字どおり作者の加納さんによる〈前書き〉と〈後書き〉なのです。小説に〈後書き〉が記されている作品は他の作家さんにも多く見られます。その小説の中で言いたかったことを熱く補足される作家さんもいらっしゃいますし、私も〈後書き〉のある作品はとても好きです。この作品でも、なるほどねと読み終わってからじっくり読みたい加納さんの思いがそこに記されています。ただ、”読み終えてから読んでいただきたい”ということですので、ここではこれ以上触れないでおきたいと思います。一方で〈前書き〉のある小説となるとすぐには思い浮かびません。〈前書き〉って何?という気さえします。そこには、上記したとおり31年4ヶ月という期間を経て登場したシリーズ最新作だからこその思いが記されています。こちらは”初めに読んでいただきたい”ということですのでここでも触れたいと思います。そこには”あらかじめお伝えしたいこと”として次のような記述がなされています。

 “本書『1(ONE)』は、『ななつのこ』から始まるシリーズの、ストレートな続きではありません”

 “独立して、今は遠くで元気に生活している子供たち…くらいの距離感でお読みいただければ幸いです”

 “ミステリ色はあんまり強くありません”

この三点が大きく強調されています。そもそも今までの〈駒子〉シリーズも〈駒子〉という女性が登場こそしますが、世の中で広く認識されるシリーズもの、続編ものからはかなり遠い位置づけの作品ではありました。その意味から考えてもこの作品が特に異端と感じるほどでもありません。私的には久しぶりに”苦読”を味わった前作「スペース」の方がよっぽど違和感ありありでした。いずれにしてもこの作品は上記したとおり、一にも二にも『犬』なのです。『犬』が登場する感動的な物語、〈駒子〉シリーズを知らなくても全くもって大丈夫!極論するとこう言って良いと思います。

そんな『犬』ですが、作品には主に三匹の『犬』が登場します。

 ・ワン: 『脚はすらりと長く、引き締まった体を覆う毛並みはつややかな黒』で『額にすうっと細くひと筋の白』。表紙のイラスト
   → ②で視点の主。『この甘ったれたチビ犬を、何とかして一家を、とりわけレイちゃんを守る強い騎士に育て上げるのだ』と誓う
   → ④から⑦に玲奈一家の物語の中に描かれていく

 ・ゼロ: 『カフェオレ色の雑種の仔犬。頭のてっぺんに、シュガードーナツみたいな白い毛が混じっている』。裏表紙のイラスト
   → ③で視点の主。ワンのことを『お手本であり、憧れの先輩だ』と慕う

 ・シロ: 『白い大型犬』。『吠えないように手術されてる』
   → ④で隣家に飼われる犬として描かれていく

ポイントは、物語冒頭での『ゼロ』の物語が一定量あるため、これは『ゼロ』の物語?と認識しそうになりますが、あくまでこの作品は書名どおり、『ワン』に光が当たっていく物語だということです。④から⑦にわたって繰り広げられていく物語では、ある一家(苗字を書くこと自体ネタバレなのでこう記します)が夫の仕事の関係で『山の多い町』に移り住むところから物語はスタートします。視点の主は はやてという小学生。彼は隣家に飼われている『白い大型犬』のシロが気になり出します。上記で、この作品には” ミステリ色はあんまり強くありません”と”あまり”という言葉を加納さんは使われていますが、この作品中唯一この隣家に関する部分に加納さんらしい身近なミステリが少しだけ顔を出します。しかし、それ以上にシロと はやての関わりが前面に描かれていきます。その後、満を持してワンが登場し物語は大きく動き出します。そう、玲奈の誕生です。物語は、終始『犬』と共にある玲奈一家を描いていきます。それは、『犬』が当たり前に家族と暮らす一家の日常です。『犬』好きな方にはあまりに自然に描かれていく日常の物語にこの本を選んで良かったと感じられるであろう物語が穏やかに展開していきます。そして、そんな物語の結末を飾るのが〈エピローグ〉。そこに描かれるまさかの衝撃。全く予想していなかった私を襲うのはとめどもなく流れる涙。そう、そこには『犬』が登場する物語の王道と言っても良い極めて感動的な結末が用意されていました。

 『どうぞよろしく、と付け加えたら、仔犬はぼくに向かってひと声、「ワン」と吠えた』。

表紙、書名、そして差し込まれるイラストの数々が『犬』が好きな方にはたまらないこの作品。そこには、『犬』を登場される作品としてはまさしく王道とも呼べる感動的な物語が描かれていました。30年以上の月日に渡って描かれてきた〈駒子〉シリーズの作品であることを作品中のある記述によって知ることになるこの作品。それ以上に『犬』が全編に渡って登場する、『犬』好きな方必読なこの作品。

『犬』という存在が、人にとってどれだけかけがえのないものであるか、その存在の大きさを改めて考えさせてもくれた素晴らしい作品でした。

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2024年10月30日

Posted by ブクログ

駒子シリーズ4作目。うちには(白い)犬がいるのでエピローグとプロローグ含めゼロ、1(前編・中編・後編)と最初から最後までずっと犬の話で嬉しい。ただ、犬の命についてや人への接し方についてかなり憤り感じる人間も出てくるので悲しさもあった。駒子には最初の方でピンときた!相変わらずで楽しい。あったかさに癒され、大事なことに目を向けさせてくれることもたくさんあった。ゼロとワンの大切な存在を守ろうとする勇気と愛情がとても優しい。犬がたまらなく愛しくなる物語、読めてよかった。膝の上でぐっすり寝ている犬を愛でながら。

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2024年10月29日

Posted by ブクログ

「ななつのこ」を最初に読んだのはいつだっただろう?!
「駒子シリーズ」だとは思わずに手に取ったが、正直、記憶は曖昧だし、特にシリーズを読んでいてもいなくても十分理解できる作りになっている。

ペットを飼ったことがない私でも、出てくるわんこたちと飼い主の絆にうるうるしてしまう。
それぞれのキャラも良くて、さすが加納朋子さんだなぁという、読後感の良い一冊。

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2024年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

駒子シリーズ4作目。
長い時間が過ぎているが、人物像のブレがなく、とても面白かった。イラストも素晴らしく、可愛い。
こういう犬が飼いたい、という理想像が描かれていると思う。
まずはワンの独白から始まる。
そして玲奈とゼロの語り、ゼロの先輩として登場するワン。
玲奈の辛い過去の話、母は美術部だった、というくだりから母が誰であるか、を読者は推察することが出来る。
ワンはゼロを自分の後継者として育てる。

そしてお兄さんのはやての独白の章。これも辛い描写から始まる。犬が飼いたいはやてだが、家庭の事情で飼えず(父の仕事の都合で引っ越しが多い)。隣家の犬が良い飼われ方をしていないことに気づく。その隣家の犬の飼い主であるケンちゃんと共に飼い犬のシロの世話をする。ケンちゃんとも打ち解けてくるのだが、シロはなかなかケンちゃんを飼い主である、と認めていないようである。ケンちゃんとはやてとシロは真っ黒な犬に山の中で逢う。
章の最後にはやてはシロの子ども、ワンを飼うことになる。

ワンの中編、後編は駒子の章である。
今までは子ども視点であったが、大人視点での考察になる。そうは言っても、駒子だから、ちょっと唐変木な方向もある。犬の話だからか「スイカジュースの涙」の愛ちゃんの飼い犬を思い出すシーンも出てくる。そして瀬尾さんの職業が明らかに。建築士と言っても、ただの建築士ではなく「天文台」を建てる建築士であった。
「そうして我が家では、末っ子の妹を大切に見守るお兄ちゃん二人(一人と一匹)、というこの上なくキュートで温かい関係が築かれていくのだった」もう、理想の家族だ。
ハイドロプレーニング、フェード現象への言及も健在である。
近くの別荘の住人が犬を山に捨てている、町の有力者のため、分かっていながら、誰もその行為を止められない、と駒子が知ったときに、いろいろな報復方法を考える。「ドクガ爆弾」を考案した駒子に「君が自爆する未来しか見えないからやめときな」は笑ってしまった。
「自爆はせずに、法に触れない範囲で何か…」「不穏なセリフが聞こえたよ?」
駒子と瀬尾の関係、変わらない。
そして犬捨て犯の芸術家(別荘の人)へ犬捨て行為をやめさせる方法として駒子が取った行動が笑える。スズメバチを呼び込むためにスズメバチのドリンクバーを作ることにしたのだ。未必の故意、蓋然性の問題である。
「君の特製ドリンクが入ってた弁当箱は回収してきたけど、あれはもう捨てていいんだよね?」「もちろん。曲げわっぱのお弁当箱だから、燃えるゴミよ。いずれ土に還る素材だからあれを選んだの」「あ、そこは証拠隠滅じゃなくて地球環境に配慮したんだね」このやりとりも好きだ。
「実はわたし、人の心が読めるんだ」と小学校低学年とおぼしき女の子が友人に話した言葉を当の話し相手の女の子が「へえ」の一言で済ましているのに、たまたまそれを聞いた大人の駒子が驚愕し、「ぜひとも後を追いかけて詳しく話を聞きたいと思ったけれど、泣く泣く自重した。下校中の女児に怪しい女が付きまとっていた、などと不審者情報が出かねないから。」のくだりは大笑いした。
瀬尾さんのプロポーズの言葉が素敵だ。「僕を君の一番にしてください。君はとっくに僕の唯一無二だから」
その続く文脈から「はやて」はいるのにどうして「玲奈」なのか、なぜ「あやめ」さんではないのか、が分かる。

エピローグは玲奈の視点。ワンの最期が語られる。
ワン、一番、という重要な数字、そしてゼロが1と並び立つ重要な数字、この言葉に回帰していく。

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2024年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ここにきてまさかの駒子シリーズ続編。
何年ぶり??
「ななつのこ」から全部追ってたはずなのにほぼ記憶になく。
駒子のキャラがおぼろげに浮かぶくらい。
おかしいな、ささらさやシリーズは割と覚えてるんだけど。

シリーズもの続編とはいえ、単体で十分楽しめるお話。
駒子シリーズを知っていればより楽しめそう
加納さんは日常に潜む謎をミステリとして落とし込んでいくのが上手なんだけど。
今作はミステリ要素は薄めかな。
初っ端の先輩犬のネタばらしで思いっきりやられたけど。笑

駒子シリーズを復習して、もう一度読もうかな。

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2024年08月18日

Posted by ブクログ

これ単品でも十分面白いんだけど、過去シリーズの登場人物の名前とかエピソードが随所に散りばめられているので、過去作の復習をしておけばもっと楽しめたかも。過去作を読んだのは15年ほど前だったので、全然思い出せなくて残念。

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2024年07月15日

Posted by ブクログ

前書きと後書きがよかった。
これは手紙だ、と思った。
そもそも、ななつのこが往復書簡の形式だったと思うし、その後も駒子は大学の授業中に延々手紙を書いていたし、加納さん、手紙好きと見た。
同類でしょう。
ファンレター、書きたくなってしまった。
書いたことないし、勇気もひねり出せそうにないけど。

片っ端から本を読んで、好きな作者の言葉を丸ごと鵜呑みにする傾向は私にもある。良く言えば素直、悪く言えば単純で浅はか。加納朋子さん、親近感しか感じないよ。早速、鵜呑みにしちゃってるけど。

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2024年07月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

駒子シリーズの第四弾。玲奈という女の子とゼロと言う名の犬の話、それも少しオカルトじみた感じと思いながら読んでいくと、ワンと男の子の物語に推移。男の子の名前がハヤテとわかった時点で駒子シリーズの関連性が少し出てきた。冒頭の最初に読んでいただきたい前書きに、ストレートな続きではありませんとあったので「あ~こういうこと」と勝手に思い込み読み進めると、まんま駒子シリーズだった。ほんとうにちょっとしたミステリ、ストレートすぎるほどこれ以上ないというほど駒子シリーズだった。シリーズを続けて読むとよく解る。

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2024年06月06日

Posted by ブクログ

既に読んだつもりでいたけど、表紙と帯に怯んで(動物が辛い目に遭うのや別れは❌)読まずにいたらしい。
悲しい場面はあったけど、でも読んで良かった。
ななつのこシリーズのようだけれど、すっかりうろ覚えなのでそちらも読み返したい。

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2024年05月23日

Posted by ブクログ

当たり前の日常は時として儚くもろい。他に選択肢などないように押しつけがましくやってくる常識も、実はすぐに揺らぐ。
そんな寄る辺ない暮らしの中、何かを大切に思う気持ち、また大切に思われることが救いになったりする。それが哀しみの種になる事さえあるが、思い自体は大事にできる。
時を経ても変わらないものがあれば変化する物事とも折り合いをつけて何とかやっていけるかも、と思わせてくれた作品だった。

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2024年04月07日

Posted by ブクログ

昔なら普通と許されたことが、今なら非常識とされる例はたくさんある。
「正解」は結構曖昧で、常に揺れ動く。そしてしばしば、時代とともに移り変わっていく。昔の常識は今の非常識。昔の普通は、今なら虐待。

書物とは、人類が延々と積み上げてきた叡智の結晶だ。それを読むことで、知識を深めたものが、さらに研鑽を重ねることで、その輝きは増していく。


ななつのこから再読したいなと思いました。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

自分の犬が欲しいとねだる、大学生の玲奈。ゼロと名付けた芝犬の仔犬を飼い始め、ゼロを主人公にした小説をネットにアップした所、読者から感想が届く。同じ頃、玲奈の周りで不審人物が現れて…

ゼロが時々視える先輩の黒い犬。ワンの物語もちょっと切なかったけれど、とても大事に育てられたのが伝わってきてじんわりしました。

優しい、ななつのこシリーズ。本当に大好きです。

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今度は犬が主役?駒子のその後、ワンとゼロとの新しい出会いとその物語が小さな謎も含めて愛おしい。瀬尾さんとの幸せな未来がここに現れて読めたのは本当に良かった。

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2024年02月29日

Posted by ブクログ

『ななつのこ』から始まる駒子シリーズ、20年ぶりの最新作ということで、少し前にシリーズ3作を読んでいたのだが、今作は続きというよりも新たな目線で楽しめる物語だった。

ななつのこでは、駒子が作家との手紙のやりとりで始まっていたが、今回は時代の変化もありネットの小説サイトから話は始まり、大学生の玲奈が可愛がるゼロという愛犬も登場する。

ゼロの編では、ひたすら玲奈を守ろうとするゼロや家族の愛情を感じたが、ゼロの目線はそれだけではなく兄貴分である先輩(ワン)をしっかりと見て、彼と会話しているところに尊敬と信頼を感じた。
このワンは、ただものではないのだなと思わせた。

1(ONE)前編では、玲奈の兄を中心に引越し先の隣りで飼っていたシロとの繋がりから黒い犬を知り、やがてワンといっしょに生活することになるまで。
ほんとうに犬が欲しかったという気持ちが、とても伝わってきた。

1(ONE)中編は、ワンが正式に家族に加わる少し前にはやての妹である玲奈が生まれたことで、母親目線で玲奈とワンとの生活を描いているのだが、この母親がけっこう凄くて、ワンの両親である黒い犬とシロを捨てた別荘の持ち主を追い払うべく、よからぬことを画策するという…。
すべてはこれ以上に不幸な犬を増やさないためだろうけど突拍子もないことを思いついたものだと、驚いてしまった。

1(ONE)後編は、隣りの桜の木の下事件や玲奈が危機一髪でワンのおかげで助かった網戸事件など。
うちの犬は世界一って言うのもわかる。
そっか「一」とは、無限大の可能性を秘めた数字なのね。

エピローグで、ワンがまたしても弱くて小さな玲奈を守るために命を張って泥棒を撃退したことに涙してしまう。


ワンが一番!ワンはずっと一緒!が伝わってくる優しい物語だった。



加納朋子さんの作品は、何作か読んではいるけれどかなり以前だったりとかで、忘れているのもあるのでまた改めて再読し登録していこうと思う。

何にしろ、シリーズ化しているのはついつい忘れがちになったり、飛ばしてしまいがちなので要注意なのである。




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2024年02月25日

Posted by ブクログ

人と犬とのほのぼのとした優しいお話でした。
忙しい毎日に、ホッとさせてくれるのがとても良かったです。
私自身、小さい子を2人子育て中なので、後編は相槌を打つような感じでした。

『ななつのこ』を読まずに、本作を読みましたが問題なく読め『ななつのこ』が読みたくなりました。

普段目にしない四字熟語、『風光明媚』が私にとって知識になりました。
四字熟語って難しいてすよね。



✎メモ:山や川など、自然の景色が清らかで美しく、すばらしく眺めのよいこと。

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2024年02月20日

Posted by ブクログ

とある家に飼われた1〔ONE〕と、この家の兄妹との話。
ONEの現在の状況から始まり、その後はONEがこの家にやって来るまでの様々な事情が描かれ、読者は次第にONEと兄妹と共に感情移入してゆく。
上手い描き方だ。
善意の塊のような両親と兄妹を護るONEの活躍は、切ないほどに純粋な犬の献身を
感じさせ大変良い読み心地になった。
犬好きにはグッとくる小説でした。

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2024年02月18日

Posted by ブクログ

好きな作家さんの本、表紙の大型犬も好き。

アットホームなふんわり優しい世界。
ワン、が好きでした。良いなあ。こんな世界感。

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2025年08月07日

Posted by ブクログ

駒子シリーズの続きが読めると喜んでいたのに、こんなに悲しい気持ちになるなんて。
会わないうちに、駒子たちにもいろいろあったんだな。

後書きの最後の数行に書かれていたことが、ほんとうにそうだなと思った。

――
犬はほんとうに献身的な生き物だと思ってるのに、犬目線のお話を読むと、犬が言ってるのではなく人が言わせているように感じてしまって、いつも少しひっかかる。
素直に読みたいのだけれど。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

駒子シリーズ第4弾

表紙や挿絵が可愛らしくて好き

駒子じゃない一人称から始まりますが駒子もきちんと出てきます、あ、この人が駒子かなと思った人でたぶん大体合ってます。そういう、期待にきっちり応えてくれる話で良かった。ハッピーエンドのその先やアナザーストーリーでわざわざ読者の希望を裏切ってくる話はしんどいので。作中の櫻さんのエピソードで続編についての読者の反応を先回りするような描写には萎えた。思ってもいいけど作者にわざわざ伝えてくるなよってことなんだろうけど、玲奈の感想が良しとされる世界なのでネガ感想はやめてねと念押しされたようでさすがに押し付けがましいかなと。心配なさらずとも大変楽しく読みました。

「ななつのこ」で気になった件を令和にアンサーされているようで面白かった。ミステリのネタ扱いで生ゴミとして捨てられた犬。他人の敷地で工作をする祖母と孫。


大筋は楽しく読めたのだが、ドラマを作ろうとして盛り過ぎではないかと思う箇所がいくつかあった。シロとその子犬や、あやめさんに該当する人物や、ワンの最期。作劇上の都合であんなに何匹もの犬を殺したり、駒子に流産させたり、ワンに壮絶な最期を迎えさせなくても良かったのでは。

罠によってシロを殺し子犬も4匹殺し一匹だけ残った犬がワンであるのだが、なにもそこまで血なまぐさい話にせずとも共に罠にかかったシロを看取った黒犬を連れ帰りそれがワンになった、ではだめだったのか。成犬より子犬と子どもと赤ん坊の方がビジュアル的に良いのかもしれないが設定的に黒犬もせいぜい2-3歳もしかしたら1歳そこそこだろうし。

既刊読者が気になるであろう、はやてがいてその妹がいるのにあやめがいないのはなぜ? の引きもなあ…。具合が悪かった、が玲奈の出産でない辺りでなんとなく予想がついたが。一時期だけ飼ってた(現在進行系でももちろんいい)ハムスターとかザリガニとか金魚とかそういう平和的肩透かしを求めたかった。あやめさん≒綾乃さんがどうあっても早世すぎて悲しい。

そして、特にワンの最期があのようなものだったのに玲奈がそれまでの話でほぼ思い返さないというのは、ラストで明かして物語を盛り上げたいという作劇意図を感じてしまった。遡って、自宅で知らないおっさんに殺されかけたのにストーカーに対してあそこまで無頓着なのもちょっとな…。回避思考なのかもしれないけど。そして、大学生になった玲奈が、自分をかばったことが直接の死因として犬と別れているのにそのことには全く触れずに、「私だけをひたむきに慕い、望んでくれる存在」「臆病で自己中な私のことを責めず、許してくれて。決して裏切らない。」存在として犬を求めるというのは…その当時はそれだけ思い詰めて軽く病んでいたのかもしれないが…。そうは描かれてはいないが薄暗いものを感じてしまう。おそらくは同じ年頃の駒子もそういう思考をしていた(そして多かれ少なかれ誰かの一番になりたいという欲求は誰にでもある)、やはり親子だね、くらいの温度の話なのだろうが、仕掛けのためにワンの最期が伏せられているので読み返して、あの経験があってなお犬に対してその思考にたどり着くのか…と慄いた。

ミステリー要素はまえがきの通り薄いが、そうでない部分では前述の通り結構な数が死んでいくので、むしろ死亡数は多め。ワンの最期は衝撃とか悲しいとかいうよりもう普通に老衰で死なせてやれ…と。そこまで盛ったらはやても玲奈も可哀想だろ。可愛い犬とか子犬とか待望の子供や忠実な飼い犬が死んだらそれは衝撃的だけども、登場人物を死なせる以外で印象的なエピソードを描ける作家のはずなのに後半にやたらと死亡数が増えるのは辟易した。

駒子が愛ちゃんの犬の件を反省する描写や作者自身がかつての飼い方を虐待と言っていたりもするが、創作のための犬の扱い方の意識は作者の中ではそんなに変わってないのではと思った。まあ大筋は面白かったからいいけど(よくない)。


玲奈の中高時代から犬を飼い始めて現在に至るまでで、人づきあいの仕方が変わっていく描写は良かった。中高生くらいまでの人間関係はその場を支配している人物の気分次第というのが大きいので、実際自分の預かり知らぬところでボスJKの機嫌を損ねたのが原因とは玲奈もいいとばっちりではある。しかし、褒められるのが苦手なので無理矢理に人を褒めてまで人間関係を維持し続けたくない、まではともかく、本当に相手の褒めどころが一つも見つからないというのは葉月の言う通り他人に興味がなかったのだろうしそこで玲奈にも、アドバイスが自分本位ではなかったかと自省する葉月にも批判的な視点が平等にあるのも良かった。

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2025年02月05日

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最後のほうは涙目になって読みました。
犬ってすごいんだなあ。昔、犬を飼っていた事があったけれどあの時の飼い犬はどんな気持ちだっだろうか。
私もまたいつか犬と暮らしたい。
そんな気持ちになるような物語でした。

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2024年09月14日

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大学生の玲奈は自分だけの仔犬•ゼロを飼い始める。ゼロのお目付役は先輩犬の「ONE」。可愛くて仕方ないゼロが登場する小説をネットに投稿しながらパン屋でアルバイトをする日々をおくる玲奈だったが、やがてストーカーの疑いのある不審人物が現れ…

前作「スペース」から20年、第一作「ななつのこ」から実に30年ぶりの《駒子シリーズ》完結編⁉︎いやあ。感慨深い。
「ななつのこ」では、英文タイプ部に所属していた短大生の駒子は、自ら体験した“日常の謎”を童話作家へ手紙で書き綴る。本書「1(ONE)」では、大学生の玲奈は愛犬ゼロを題材とした小説をネットに投稿し、コメントをくれた読者とやりとりするようになる。時代が変わって、手紙からネットへとコミュニケーション手法も進化。隔世の感がある。
駒子ももちろん、キーパーソンとしてどこかに登場。いやあ。そかそか。結局あの人とそうなったのか。うんうん、よかったよかった。
作者が前書きで語っているように、本書のミステリ色(謎解き要素)は濃くない。多様な視点から物語は進行し、犬視点に切り替わることもあり、その点ではファンタジーとも言える。(ペットも含んだ)“家族愛”が愛おしく感じられる優しい物語。私も子供の頃に飼っていた犬を思い出した。本書にあるように当事は残飯をあげてたなー、ごめんよ。
読後にほっこりできる安定の加納作品。「ななつのこ」も久しぶりに再読しようかなあ。

《駒子シリーズ》
1.ななつのこ
2.魔法飛行
3.スペース
4.1(ONE)

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2024年08月24日

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ネタバレ

単作品として読んだ。家族思いのワンコだな。家族の話も良いけど、自分のワンコのおかげで人を素直に褒めれるようになったとこが好き。

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2024年04月27日

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犬の特徴やしぐさを細かに捉え、人との触れ合いを豊かに活写。玲奈の家族もワンとゼロも家族想い。命を懸けて家族を守るワンとゼロに胸が熱くなった。挿絵も愛らしく胸キュンだ。

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2024年03月30日

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ななつの子の続編ぽい作品。ゼロと名付けられた子犬と飼い主の玲奈との物語。そこに先輩犬のワンと、事件や家族の歳月が柔らかで温かい描き方で綴られている。猫派だが犬も可愛いと思えた。

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2024年03月17日

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加納朋子さんの話全部読んでるつもりでいたけどなんとびっくり、ななつのこ私未読でした…ちゃんと読まなくては!

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2024年03月03日

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待ちに待った加納さんの新作は、なんとなんと
20年ぶりの駒子さんシリーズでした。
この20年で、世の中の暮らしも常識も大きく変わってしまって
当たり前だけれど私も20年分歳をとったのだけれど
物語の中の駒子さんも、しっかり年齢を重ねていて
嬉しいやら驚くやら・・・
そうなの、そんな風に今まで暮らして来たんだね
なんて同窓会で再会した友達の話を聞いているような幸福な読者体験でした。

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2024年02月18日

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ネタバレ

【収録作品】初めに読んでいただきたい前書き/プロローグ/ゼロ/1(ONE)前編/1(ONE)中編/1(ONE)後編/エピローグ/読み終えてから読んでいただきたい後書き(もしくは蛇足)

久々の駒子シリーズ最新作。
瀬尾と駒子のその後。

子どもたちが出てきて、なんだかうれしいのは、ちゃんと育っているからなんだけどね。

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2024年02月09日

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子供の頃、犬と遊んだ思い出がよみがえってくる… 人間と犬の間に生まれるものは #ONE #加納朋子

■きっと読みたくなるレビュー
素敵な本でした。装画のとおり犬をテーマにしており、家族との関わり合いの中で、関わる人々が成長していく物語です。

加納先生がこよなく動物を愛してらしゃるのが分かる作品ですね。チャーミングな物語でありながら、先生の想いがしっかりと伝わってきます。

ワンちゃん、猫ちゃんは愛玩動物と言われますが、実際飼って一緒に暮らしてみるともはや我が子。私も猫二匹を飼ってますが、我が儘いっぱいで超キュートなんです。もちろん人間とは別種類の動物なんですが、ちゃんとお互いの心が通い合う家族なんですよね。

本作ではそんな彼らと一緒に暮らすことで、我々人間が学び、成長していく。特に前編のエピソードは少年の勇気と決意は、彼にとって一生のこる思い出になるでしょうね。

ただ成長させてくれるのは子どもたちだけでなく、大人であっても同じ。関わり合いの中、当たり前と思っていたことに疑問をもって、自分の責任で考えてみる。年齢を重ねても、胸を張って意見が言えるような人間になりたいですね。

特に終盤は加納先生の伝えたいことが溢れ出ていて、心が洗われた気がしました。いい作品ですね、ありがとうございました。

■ぜっさん推しポイント
本作で一番伝わってくる言葉は「勇気」。

人間、長い間を暮らしていると、つい手軽で楽な方法を選んでしまう。過去の失敗、同調圧力、損をしない選択など、自分もいくつも思い当たります。ただ人間はひとりで生きているのではない。家族や友人たちとならきっと乗り越えていける。大切なことを教えてもらえた作品でした。

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2024年02月04日

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