あらすじ
36歳のOL・茅ヶ崎リナは、オフィスで降りかかってくる無理難題も、何のその。魔法のコンパクトで「魔法少女ミラクリーナ」に“変身”し、日々を乗り切っている。だがひょんなことから、親友の恋人であるモラハラ男と魔法少女ごっこをするはめになり…ポップな出だしが一転、強烈な皮肉とパンチの効いた結末を迎える表題作ほか、初恋を忘れられない大学生が、初恋の相手を期間限定で監禁する「秘密の花園」など、さまざまな“世界”との向き合い方を描く、衝撃の4篇。
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Posted by ブクログ
すきー!特に
ミラクリーナはかなり笑えるし、元気が出る。小学生の時のごっこ遊びを心の中でずっと続けているっていう設定、ちょっと気持ちわかるし、キュート。魔法少女(30代)はいくつになってもみんな可愛い!スカッとした。
無性教室は、すごい話。村田沙耶香の「性」をテーマにしたお話はエグくてあんまり好みじゃないけど、この話はすごく良かったなあ。ユキ、かっこいい!自身の性と性的指向、主張に悩みながら正解を求めて葛藤していく「僕」たちがとても魅力的で、みんな愛しい。最後、耽美でドキドキした…。
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どうしてこうも魅力的な世界を創り出してくれるのだろう。
「コンパクトで変身する魔法少女(36)」
「”性的行為に対する生理的嫌悪”の排除のため初恋の相手を監禁する」
「”性別”が禁止されている教室」
「若者を中心に”怒り“が無くなった世界」
村田沙耶香さんは、いつも自分が見えていない世界の謎を、見えるようにしてくれる。
そんな感覚がとても好き。
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当たり前のこと過ぎて、誰もが見逃してしまう事柄を掘り起こしてきて、光を当て、常識とされるものをひとつずつ裏返していく。人が持つ感情ですら、その対象となっていく。突拍子もない話に見えて、妙に納得してしまう。
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ああだこうだ、気に入らない、もう読まないとグジグジ言い続けながら、新刊書が出る度に村田作品を購入していることに気が付いた。つい先日も、本屋で「世界99」を発見した時も、知らないうちに上下巻を持ってレジに並んでいた。半年前にダ・ヴィンチ4月号で村田特集記事が組まれ、全著作が紹介されていた。おやおや、2015年以降に出た本は殆ど読んでいる。本書ミラクリーナは題名が村田作品と思えないくらいライトだったので一寸見逃していたが、ダ・ヴィンチの特集で気が付いて読む気が徐々に上がっていった。なんだ、結局なんやかんや言って読むんか~いと指摘されそうだ。
村田作品は、いずれの作品でも村田流の独特な言葉の選択、読み手の感情を揺さぶる表現、唐突なエンディング等が出現する。絶対に他の作家では得られないような体験をする。この独特な人と人とのコミュニケーションが自分ではありえないのが魅力、いや憧れなのかもしれない。この種の人間関係が実在するのかは不明だが、もし現実に自分の身に降りかかってきたら完全に拒否できる自信が無い。なぜなら憧れだから、でも皆さんは憧れることを止めましょう(by Shohei Ohtani)。
〇 丸の内魔法少女ミラクリーナ
この作品は本当に村田作品なのかと思う題名(最初、「魔法の天使 クリーミーマミ」へのオマージュかと思った)なのでじっくり読ませて戴いた。すると、やはり村田作品だった。長きに亘る心理的固執、洗脳に近い人への追い込み方、人の予想外の心理的変化により自分がそれ以上に変質してしまう、この様なあり得ない実例はよく考えると意外と身近にあったりする、ここまで酷くは無いが。そして、人間性をどんどん引き剥がしていくと、2人の深層には小学校3年生時代が密やかに息づいているのが垣間見える。
〇 秘密の花園
早川君って、こんな奴は本当に実在するのか?一方、主人公の内山さんって歪んだストーカー、間接的なストーカー、一部許容されるストーカー等、一言で表すのは非常に難しいストーカーなのだろう。この内山さんも実在するのだろうか?まあ、小説だから架空のストーカーなのだろうが、本当にフィクションなのかは否定できない面もある。
〇 無性教室
内容も文体も極めて典型的な村田作品。いや、王道を貫く村田作品と言った方が良いのかもしれない。初めてこの作品を読む人はとても驚くかもしれないが、村田作品に耐性のある、村田ワクチンを打った人はサラリと読める。
〇 変容
これは単なる世代間の違いではないようだ。喜怒哀楽の「怒」がいつのまにか消え去るのだが、そのきっかけは今一つ説明されていない(説明されていたらすいません)。カスハラだけではなく、様々なハラスメントの法規制が極限まで強化されたら、だいぶ「怒」は弱くなると思うが、全くなくなってしまうにはどんなプロセスが絡んでいたのかとても興味がある。言葉の世代間格差なんてカワイイもので、言葉の用法さえ覚えればどの様な世代でも簡単に使えてしまう。ただ今のところは、歳相応の言葉を使うべきだろう。変に若者言葉を中年が使ったら、若者はあまり良い気分はしないだろう。行き過ぎれば、バカにしていると思われ、「怒」Maxで殴られるかもしれない。
引き続き「世界99」を読むことには少々躊躇している。頁数が膨大で、作者曰く継ぎ足し継ぎ足しして書いたといっている。一方、最近の作品ではSF的要素を初めから設定しているものが多いらしいが、それでもまだ迷っている。
Posted by ブクログ
知らず知らずのうちに自分の中で凝り固まっている「普通」「常識」がひっくり返され破壊されるのが村田沙耶香を読む醍醐味であり、小説を読む醍醐味だと思う。表題作と「変容」が良かった。
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本って心の処方箋。ここんところ世の中のなんともいえない『変容』に「なもんで」(そういう使い方じゃない!)いたのでまさにドンピシャでした。意外にもエロ多め。
表題作の『丸の内魔法少女ミラクリーナ』は『コンビニ人間』の流れを思わせつつ始まるも「そこいくかぁ」という今を描いててニンマリ。『秘密の花園』はタイトルからは想像できない世界でまさかのチ◯コ舐めという……。
『無性教室』はなかなかに衝撃的。近未来のエリート学校(?)が舞台なんだけれど性別が消されている。やがて社会は性別を停止して性行為をのみ楽しむという? 子供は科学的に作られる。そこに私はリアルワールドのこの少子化問題に世界がのほほんとしている理由を見たわ。こないだある人が「世界は何十年か前に少子化を目指して今はそれが成功したところです」って言ってたのに驚かされたけど、まぁそうなんでしょう。いったん人を少なくして住みやすい地球にしてからデザイナーベイビーの時代がくるのね。
圧巻は最後の『変容』でした。大好きな『アサッテの人』に負けないおバカさのあるお話。でも完璧なまでの風刺物。この世界から「怒り」が無くなっているんですね。特に若い人。私もここ数年1億人近い日本人が怒らないことが不思議でならなかったのですが、まぁこの本を読んでその理由がわかったということはないんですが、少なくとも村田さんも同じように感じているのかなと。笑えるのは70代の怒れる五十川さんを見て若い人が「すごくなもむ」って言うんです。
「わかる。なもむよね、彼女を見てると」
「あんなに『怒る』人、久しぶりにみたもんなあ」
「すごくなもんできたよ」
「私も、すごいなもむ」
五十川さんが皆の中央で足を踏み鳴らして怒鳴った。
「なもむな!!」
なんだかわからんけれど、わかるわ。世界はぜんぶつながっている。
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後半2篇に圧倒されて、前半2篇が穏やかな物語に思えてきた。
『生命式』を読んだときも思ったが、この人の描く世界観は普通にクレイジーだけど、いま社会に蔓延してる違和感を50000倍くらいに濃縮したらこんなふうな気もするので、現実と別のレイヤーの話ではないんじゃなかろうか......最後の最後で、もしかしたら著者は五十川さんなのかなと思った。
Posted by ブクログ
かつて女の子だった女性のための短編集。
いや男の人でも読めるかもしれないけど、わかる、と頷くのは女性じゃないかな。
「丸の内魔法少女ミラクリーナ」
小さい頃のごっこ遊びをずっと続けて、トイレで魔法のコンパクトで変身すればクソみたいな仕事でも機嫌良くいられる。このマインド、本当に宝なので貴重すぎる。
友人のレイコのDV最低彼氏がマジカルレイミーとして駅を徘徊するが、ただの正義厨になってしまい最後は二人で退治する。よく分かんないけど爽快感がある。最後に死んでいたポムポムがフルラのポーチの中から起き上がるところ好き。
「秘密の花園」
小学生から心の中で育ちまくった初恋を終わらせるために初恋の男の子を監禁する話。オチがどうなるか全く分からなかった。現実の醜い男との決別で新しい恋をする。大丈夫?仕返しされない?
蛙化現象、というのが女性の方に多く聞く言葉なので分かる話だなと思った。
「無性教室」
性別を分からなくさせる校則の学校で恋をするユートという女の子の話。性別があるから好きなの?というテーマなんだと思うし、あえて生々しい性器や生理の描写を入れたんだと思うけど、それでもあまりにもギムナジウムでBLGLの波動が強すぎて消し炭になりそうだった。設定面白い。
「変容」
世にも奇妙な物語だー!謎の疾走感とシュールな笑いで一番好きかも。最近の若者、に怒りという感情がなくなっている。怒りって必要なことじゃないの!?なんか気持ち悪いよ、ってなる主人公が、変容していく話。
なもむなーーー!!に笑ってしまった。
まみまぬんでら、すなーー!!
ワンピースの上に腹巻きを巻くな!
でも萌えもエモもメロも、その数年前にはなかった言葉だけどいま定着してるのを見ると、全く「無い」話では無いのかもしれない。
Posted by ブクログ
凄く面白かった。
ずっと気になってたけど読んで本当に良かった。
村田さんはコンビニ人間しか読んだこと無かったけど、やっぱり世界を捉える感覚とかがぶっ飛んでるなぁと感じる。
色んな価値観についての短編集と言う感じだけど、どれも爆笑しそうになるところもありつつ凄く考えさせられる。
個人的には学生の頃は性別を無くして過ごす話と、喜怒哀楽の怒ると言う感情は古いと言う短編が心に刺さった。
いつかは性別なんてものは完全に無くなる世界が来ると言うのもありそうだし、喜怒哀楽はファッションと同じでトレンドを誰かが作っていくと言うのも興味深かった。
これを機に他の作品も是非読んでみたい。
Posted by ブクログ
コンビニ人間に続けて2作目の村田沙耶香さん作品。
この作家さんの作品の傾向が掴めてきた。
丸の内魔法少女ミラクリーナ ★★★★⭐︎
ただ主人公に共感。頭の中で〇〇劇場みたいなのを繰り広げるのって、自分のテンションを上げるために必要なことだと思う。逃げ恥でみくりちゃんもやってたし、自分もたまにやる笑
秘密の花園 ★★★⭐︎⭐︎
なるほど、そういう初恋の終わらせ方もあるのかーと。主人公がこれでようやく新しい一歩が踏み出せるのならハッピーエンドかな。
無性教室 ★★★★⭐︎
すごく透明感があってガラス細工みたいに繊細で好きな世界観だった。中性的な人が癖に刺さるので、セナは文章だけでも魅力的に感じられた。一人称を無性にすると「僕」になるんだな。
これが刺さった人は、ちょっと条件が違うけど「性別『モナリザ』の君へ。」という漫画も読んでみてほしい。
変容 ★★★★★
その発想はなかった!!という衝撃で一番面白かった。世にも奇妙な物語に出てきそう。世界との繋がりの考え方がコンビニ人間にちょっと通じてたから、これは作家さんのベースにある考え方なのかもしれない。
Posted by ブクログ
表紙とタイトルに惹かれて購入。
キラキラファンタジーかと思うと、この考え方って今を生き抜くには大事だよなって思わされる部分と、考えを間違えると悪にもなり得るということですし。
4作品の短編が入っていたのですが、どれも世界観がしっかりしてて読み進みが早かったです。
初恋って綺麗な思い出のままで綺麗な偶像でありたいですよね。
性別のない学校、性別とは関係なくその人の魅力に惹かれてしまうその気持ちも分かります。
変容は軽く私からしたらホラーでした笑
もし今の自分が誰かによって形成された流行りの性格なのだったのなら…とか、その時代時代に乗って行かなければ…とはならない性格なので、置いてきぼりですね笑
この方の世界観とても面白かったです!
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これはちょっとたいへんなものみたな 村田さんの作品は気になって手に取るけど読んでなかった なんかこれはスッと買っちゃったんだよね 物語が四つ 表題作、「秘密の花園」「無性教室」「変容」とありまして…
「変容」
ここ数年ずっと感じているのが、気を使い過ぎて疲れる 疲れる疲れる疲れる疲れる疲れる疲れる!!!なにかと、あーその言い方に傷ついたーだの、それ、〇ハラですよーだの新しいハラも生まれすぎ もう、なんなんだ!言ったもん勝ちか? って心の中では思いつつ 「あなたのその行動をみて、私は悲しいです」とか、「残念に思います」だの言ってるんだよねー。メール送るのに、言葉を選び過ぎてどれだけ時間使ってんだ!という毎日。五十川さん頑張れーと、わたしの気持ちもヒートアーップ 読み終わって、怒りの気持ちを抑え過ぎて生きるのっていいことなのか?もうわからんという感情でぐったり。
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3作目の村田 沙耶香作品。先日読んだ『信仰』よりも個人的には好きな作品でした❗️
4編からなる短編集で、コメディタッチの物やホラーチックな物、SFっぽい物とバラエティに富んだ構成で電車で読んでいて、途中乗り過ごしてしまうくらい惹き込まれました❗️
『コンビニ人間』を読んだ時は、それ程村田作品の良さが分かりませんでしたが、『信仰』や本書を読んで、ありそうには思えない世界観だけれども、もしかしたら近い未来そんな世界になるかも知れないと思ってしまう内容が魅力の一つなのかなぁと思っています。
好きな話しは、表題作の『丸の内魔法少女ミラクリーナ』と『無性教室』の2編です❗️
Posted by ブクログ
村田沙耶香さんのこの独特な世界観が好き過ぎて定期的に読みたくなる。毎回強烈な作品だけど今回は他のに比べて控えめに感じました。
この有り得ない世界、存在しない人々が今後実際に有り得る世界になりそうで違う意味での恐怖を感じる。
着眼点が毎回凄い。よくそんな事思いつくなと感心する。似たようなテーマの作品が多いのに全然違うし読んでて飽きがこないのが村田沙耶香さんの魅力だと思う。
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面白かったーー!!!
村田ワールド最高でした!
全部面白かったけど、ミラクリーナと変容が好き
自分も世間の流行に合わせるし、周りの目は気になるし、意味も曖昧な若者言葉を使うしで、村田さんにそんなに流されやすくて大丈夫ですか???って批判されている気分でした
男と女、普通とは何か、流されやすい人間、、、
村田さんの小説を読むと色々なことを考えさせられる
村田さんの小説で、あたりまえのことがあたりまえじゃないと思い知らされる、人間っておかしい!色んな人がいる!それをこんな面白く小説に落とし込むのがすごいな〜
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短編集で文章も固くないので、どんどん読み切れた。一人一人を客観的に見ると最高に狂っているのに、心情を知るとなんだか納得できてしまう不思議さ。それが、気持ち悪くもあり、心地よくもあり。やっぱりそれぞれに自分なりの正義があって、その人からしたらそれが正しい、でも他の人から見るとそれはおかしい、というのは当たり前なのかもしれない。どんなに世間に紛れていても、心の中はミラクリーナのままかもしれないし、好きな人を監禁したいと思っているかもしれないし、性について悩んでいるかもしれないし、感情を爆発させているかもしれない。
特に、「無性教室」を読んで、「性」というものについて、じっくり考えた。私は、人が人を好きになるというだけだから、その対象は異性でも同性でも良いと思っている。周りに同性愛者もいるし(友人にも、家族にも)、何も偏見は無いと思っている。校内では性別が分からないという狭い世界での話だが、その中でも当たり前に恋愛は存在する。その人たちにとって、人を好きになるのに、性別は関係ないのだ。男女関係なく、ただ、純粋にその人「個人」の事が恋愛対象になる。つまり、フィルターが何もかかっていない。それって凄く清くて美しい恋なのではないか……?と思うのと同時に、じゃあ恋愛ってなんだ……?性別って……?とはてながいっぱいになった。私は身体は女性、性自認も女性。だから違和感なく生きていけているが、無意識のうちに恋愛対象は男性に限っていることに気付いた。そして、男性であるかどうかというフィルターを通して人口の半分を振るいにかけてから恋をする。それは、個人を恋愛対象にする人たちと比べてどうなのか。もしも、今の恋人が同性だったとしたら……?それでも、恋愛関係になっているだろうか。私は、たぶんだけど、Noだ。もちろん彼の事は大好きだ。だけど、「例えどんな姿に生まれ変わっても、また恋人になりましょう……(涙を流す)」とは、ならない。それってほんの少しだけ不誠実なのか……?とも思ったけれど、人間の本能的なことを考えれば、むしろそのフィルターは誠実なのかもしれない。もちろん結婚願望は人並みにあるし、子どもも欲しい。だから私の望む幸せのためには、潜在的に男性を求めるのは正しいともいえる。だけど、それはあくまでそのステレオタイプの恋愛、からの温かい家庭、これを幸せと定義づけている場合に限って有効だ。世間一般的な幸せは、果たして自分にとっての幸せなのか?そして、彼にとっても幸せなのか??むむむ。難しい。
そんな事を彼が仕事中で居ない部屋で考え、その日の夜彼とも話をした。こういう話がちゃんとできる人と一緒に居られるのが嬉しい。いろいろタラレバも考えたけど、私は今、貴方と居るのが幸せだし、貴方の事が好きなので、それでいいと思う。
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久しぶりの村田沙耶香ワールド。
強烈さがやや控えめで読みやすかった。
『無性教室』が一番好き。
性別を禁止された高校生の話。
いつかはこんな時代が来るかもしれないなと思いながら。
Posted by ブクログ
村田沙耶香の作品は突飛な設定があることも少なくない。その「まさか」の部分が結構好みで楽しみに読んでいるけど、好みが分かれる部分だと思う。
4編どれもが村田沙耶香色が効いていて良かったが、特に「無性教室」には私の中の「当たり前」をひっくり返してハンマーで粉々にされたくらい衝撃を打たれた。性別の在り方、誰を好きになるのか、もそうだし性別を知らなくても相手を愛することができる、ということをなんか忘れていた。よく考えたらそうなのに。本当にすごい、としか言えなかった。自分がこうすべきと思っている「当たり前」ってどこから生まれたんだろう?と考えた。いい物語でした。
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著者の世界観が色濃く出ている短編集
魔法少女ごっこのやめ時を失った30代、初恋と向き合う、性別のない教室への反抗とジェンダーレスへの抗議、怒りのない感情のトレンド
設定があり得なくもないがあってほしくない塩梅の効いてる、嫌な心地よさがある
Posted by ブクログ
短編集。表題作は、生き方のひとつの提案にも感じられて、最後ちょっと涙が出てしまった。
というのも、主人公は36歳。ちょうど自分と同じ年齢ということもあって、主人公が過去に執着しながらも、その不気味ささえも内に取り込んで、いびつながらも社会的には至極まっとうに生きている姿に、少し自分を重ねてしまうような思いがしたからなのかもしれない。
自分自身を規定するものって人それぞれだと思うんだけど、それが原体験にかかわっていることであるということは、よくあることなのかなと感じる。
それが、この物語の主人公にとっては魔法少女だったのだと思うし、だからこそ、いろいろな人と魔法少女をキーワードにしてつながることもできる訳で。
もちろん、大人なのに子どもじみたことをすること自体を嘲笑う人がいたとしても、まったくピンとこない人はむしろ少ないのではないかなという感じがする。
だって、誰しもに子ども時代はあって、みんなアニメとかみる訳だし、ヒーローごっこなんかをやる訳なので。
だから、それって内面から湧き出してきたものというよりは、もともとは外から取り込んだものであるはずなんだけど。
でも、同じものを同じように心の支えにしているようでも、どこか肝心の部分がずれているような違和感がするときも実はあって、この物語ではそこを打ち出しているような感じがした。
たぶん、同じ魔法少女でも、風景としての見え方や感じ方、経験の仕方は人それぞれ異なっていて、同一であることよりむしろ差異の方が、自分自身の本質を言い表すのにはしっくりくるものなのかもしれない。
そう考えたとき、魔法少女とは自分にとって唯一のものである、という気づきが、内面からの発露というよりも、旧友の何気ない行動によって示されたということに、自分は思わず涙してしまったのだなと考えさせられる。
だって、それって、人間ってどこまで遡っても関係性の中に生きていて、ある種のつながりの動物みたいなものなのかもしれなくて、自分で自分の本質だと思っているものなんて、あるようで無いようなものなのかもしれないなとふと思えたから。
変わっていくことも、変わらないでいることも、どちらも許されていると思えて、なんだか清々しい気持ちがしてしまった。
そういう意味ではラストの変容という作品もすごくいいなと思って、こちらは叙述トリックみたいな感じというか、小説ならではの感じが散りばめられていて、けっこう笑える感じもあったんだけど。
なんていうか、たぶん時が経ってから、ふとこれらの作品群で感じた思いが蘇ってきて、それが自分の人生を助けそうでもあるし、毒しそうでもあるという感じで。
あくまで読書なんだけど、もはや体験といった方がいいような感じのする一冊だった。
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村田沙耶香さんのクレイジーな世界観が満載の短編集。
36歳になっても魔法使いをやめられなかったり、小学生の時の初恋相手を監禁したり、性別のない世界で恋をしたり、怒りのない世界で怒りのある自分が取り残されたり、今の現実とはかけ離れているけれども何故か心情が理解できるものばかり。
もしかしたら、この現実も側から見ればなかなかにクレイジーなのかもと思わせてくれる。
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すぐに読み終えた。
個人的に表現がウッとなってしまうところがあるのですが、本当にこんな世界があるのかもしれない、これからなるのかもしれないと感じるようなリアルさに驚かされます。
1作目のミラクリーナは3人全員が魔法少女に熱中してしまうの面白かった。
最後のは、怒りが無くなって悲しみになる、クレーマーに文句言われても何も感じない世界線、怖いよ。自分は怒りの感情あまりないタイプだけど大事にしようと思った。
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地球星人ほど激しいパンチはなかったものの、
読んでいてやっぱり、「?!」となりました。
4つお話が入っているけど、ヒミツの花園がダントツで苦手だった…。
Posted by ブクログ
綺麗さも汚さも、人間の臭さ(匂いではなく心)が露わになってる本だなと思った。読もうとするとき不快感になったり、妙に惹きつけられたり、自分の状態によっても印象が変わる本だ。村田沙耶香ワールド。
Posted by ブクログ
芥川賞受賞作家の方の作品には昔から苦手意識があり、『あー合わなかった…』となることが多いのですが、今回も懲りずにチャレンジ。
短編集ということもあってか、比較的読みやすく、また他の作品も読んでみたいなと思いました!
四作品の中でも、性別禁止の高校の話しである『無性教室』と世の中から怒りという感情がなくなってきている世界について書かれた『変容』は特に面白かったです。
Posted by ブクログ
「変容」のような話に安心感がある
何篇でも似た話を読みたい
名前を新たに生成する作業の逆も、それが導く結果は、やはり、存在と名付けの強固な関係性を下地にしている。言葉を消滅させられるというのは、何らかの存在に向いていた「言葉」という明るいライトのスイッチを切られるということなので、もともと当たり前のように見えていたものがどんどん暗がりに溶け込んで、存在しないも同然になってしまう(意識に上らなくなる)。サピアウォーフ仮説のような。
言葉ををあてがう作業は、もともと存在していたものをライトで照らして浮かび上がらせているのか。それともそれは単にライト自体からプロジェクションされていて、元から存在していたように感じさせられているだけなのか。両者の見た目はまったく一緒だから区別する必要も能力もない。
「無性教室」のセックスの仕方は、概念の消費から離れた、純真な気持ちの表出に感じられて、こんなふうに愛しい誰かに触れたいと思った
Posted by ブクログ
不思議な世界線の物語たち。
ふわふわとした、「こ、これでいいのかな?」みたいな気持ちで読み進め、最後の【変容】を読み終わる頃には世界観にも慣れ、なかなか良い読後感だった。
特に【丸の内魔法少女ミラクリーナ】【変容】が面白かった。
【変容】について
私たちのスタンダードは、作られている…
よく、アンガーマネジメントをして、足るを知り執着を捨て、あるがまま自分らしく、なんていうのを大切にしなきゃなと思ったりするが、それももしかしたらこの時代の誰かが作っている流行りの人格なのかもな、ふふっ、じゃあ無理してやんなくてもいいな、となんだか妙に納得した。
Posted by ブクログ
丸の内魔法少女ミラクリーナ
茅ヶ崎リナ
魔法の国から不思議な動物ポムポムがやってきて、魔法のコンパクトをくれた。ジュエル・スターが埋め込まれたコンパクトに向かって呪文を唱えると、魔法少女ミラクリーナに大変身する。という「設定」を小学3年生の春に始めた。三十六歳。魔法少女を始めて27年目に突入。
レイコ
リナの小学校からの友達。マジカルレイミー。
正志
レイコの彼氏。レイコと仲直りするために、二代目マジカルレイミーとなってパトロールをする。
秘密の花園
内山千佳
早川を監禁している。
早川
千佳と同じゼミ。
亜里沙
早川の彼女。
ナツキ
木村
コンビニの店員。
無性教室
ユート
優子。
ユキ
コウ
ミズキ
セナ
変容
川中真琴
40歳になって再びファミリーレストランで働く。
高岡
ファミリーレストランの大学生アルバイト。
雪崎
ファミリーレストランの大学生アルバイト。
裕二
真琴の夫。
純子
真琴の大学時代からの親友。
エクスタシー五十川