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<モービィ・ディック>との遭遇をまえにして、さまざまな国籍の多岐にわたる人種をのせた、アメリカを象徴するような捕鯨船<ピークオッド号>の航海はつづく。ほかの船との<出あい>を織りまぜながら、鯨と捕鯨に関する<百科全書的>な博識が、倦むことなく、衒学的なまでに次から次へと開陳されていく。新訳。(全3冊)
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Posted by ブクログ
話が面白いのは勿論のこと、だんだんイシュメールが好きになってきた。 初めは、ストーリーの合間に入るイシュメールの鯨に関する解説を面倒くさく感じていた。 だけど「これ鯨オタクの早口だな」と思ったらめちゃくちゃ面白くなった。超強火レヴィヤタンオタク。 82章「捕鯨の名誉と栄光」は最早笑った!汝は捕鯨者!...続きを読む!
中巻では、鯨の蘊蓄がたくさんと、 捕鯨の冒険譚が語られる。 鯨漁は、脳内で、映像が流れてきます。勢いがすごい。楽しい。 下巻も楽しみだ!
『白鯨』新訳版、その中巻です。 上巻はイシュメールが船出するまでを描いて「物語」然としたところがありましたが、中巻はだいぶ趣が異なります。捕鯨船での日々、マッコウクジラとの死闘、そして鯨にまつわる衒学的・百科全書的な語りと、まさに鯨尽くし。特に第八十七章「無敵艦隊」は、鯨のユートピアとでも言うべき...続きを読む光景を描いていっそ幻想的ですらあります。 イシュメールの語りが「イシュメール自身」から「全知全能の第三者」まで自在に行き来するのも面白いところ。一人称から三人称への振り幅が大きく視点がころころ変わります。最初は読み辛いと感じるかもしれませんが、慣れてくるとこれがまた楽しい。イシュメールの視点と神の視点へ、また神の視点からイシュメールの視点へと行ったり来たりを繰り返すことで、捕鯨船ピークオッドの様相が立体的に浮かび上がってきます。 狂える船長エイハブ、高貴なる野蛮人クィークエグら、登場人物の魅力も相変わらず。特に、楽天家の航海士スタッブは諧謔においても捕鯨においても中巻の主役ともいえる活躍を見せてくれます。軽口を叩きながら離れ業をやってのけるスタッブの姿は必読かと。 上巻に引き続き、お勧めします。
これはやはり現代人が思い浮かべる「小説」ではないな。 小説でもあり、詩でもあり、ルポタージュでもあり、哲学書でもあり、、、 様々な知識・教養を背景に圧倒してくる、こちらのあまりの教養の無さに怯えてる始末というのが本当のところ。 なお上巻でもそうだったが、挿絵もなかなかgood。
鯨を仕留め、解体しながら鯨の体の解剖学的知識や鯨の生態まで鯨学が述べられる。 鯨には顔がないためまるで無貌の神のようだ。西洋人は鯨油と鯨骨だけ取り肉は鮫にくれてやっていたらしい。もったいない話だ。
この本は鯨と捕鯨に関するデータベースでもあるのだが、独白シーンなどは現代でいうオタクの単独講演会を聞かされているように思える。 ストーリーも少しずつ進み、鯨のパワーや捕鯨に携わる人間の力強さを感じる。
この巻は物語に直接関わらぬ学術的記述が大半を占める。こうした百科事典の様な構成こそが特色とは理解しつつも鯨に対し著者ほど思い入れ無き小生は余り興が乗らず淡々と頁を繰る。本作を最後まで読み通すうえではここで匙を投げずに進めるか否かが鍵となろう
読んでいる時の面白さは勿論として、読むことで知ったこと(知識)や感じたこと(感情)を記録し、纏めて整理するために考える(思考)、その過程や結果の記録として、記憶に残すためにこの文章(書評)を書いている。そしてこれを書くことの意味を強く感じる。 この小説は鯨や鯨漁ついてあらゆる角度から分析されていてそ...続きを読むの知識量たるや膨大である。特にマッコウ鯨のことについて、餌としてのオキアミやダイオウイカのこと、頭から噴き出す噴水のこと、セミ鯨との比較、そして世界の海でどのように生息しているかなど、とにかく詳しく描写されている。鯨の生態学の本のようだ。あとはキリがないので省くことにする。 モビー・デックの独特の白さに迫るために、「白」に関する事をいろいろな観点から延々と描写することから、この中巻は始まる。とにかく説明が長い。 これ程丁寧に詳しく登場人物や対象、それらに関する事を描写する小説も珍しいが読んでいて余計なことを描いているとは感じない。片脚のエイハブ船長がピークオッド号で世界を航海しながら白鯨モビー・デックへの復讐戦を仕掛けるための舞台造りが着々と進行する、その期待感が増すばかりである。
捕鯨にさほど興味がない人には結構しんどい中巻。腹一杯のところに容赦なく詰め込まれる鯨知識の数々。読み進めるコツは多少わからなくても我慢して進めること、巻頭の船の解説図をよく見返すこと、そして何より蘊蓄の内容よりもメルヴィルの語り口に着目すること。そうすれば知らぬ間に沼(舞台は海だけど)にはまり込んで...続きを読むいる。
メルヴィル氏は、まことに博覧強記にして饒舌であります。鯨と捕鯨に関する多くの知識を読者に伝えてくれます。ですから、モービィ・ディックの姿はまだ見えないのであります。
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