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Posted by ブクログ
これは面白かった。バートルビーのおよそ理解できない行為。バートルビーを許すどころか助けようとする雇用主。同僚たちの奇行。謎解きのように語られる過去。それでも理解は進まない。こんな不可解な話なのに先を読まずにいられない。
漂流船は実話にもとずく作品だが、巧妙に仕掛けられた作者の罠によって、疑心暗鬼を深める。そして最後のどんでん返し。やられました。
原題:BARTLEBY,THE SCRIVENER/BENITO CERENO
書記バートルビーーウオール街の物語
漂流船ーべニート・セラーノ
著者:ハーマン・メルヴィル(Melville, Herman, 1819-1891、アメリカ・ニューヨーク、小説家)
訳者:牧野有通(1943-、アメリカ文学)
Posted by ブクログ
『書記バートルビー』 「しない方がいいと思います」と言う部下をいったいどうしたらいいのだ。この振り払えないしつこさが気になって読みかえし、四回目で自分なりの答えをみつけた(どこかで見たことがあったかも)。今回は五回目。二人の同僚もおかしくなっていることに気がついた。
キリスト教の人たちの話だ、ウォール街の話だ、とひとごとだと思っていたのだが、私のそばにもバートルビーがいるかも、とふっと思った。それで生き方を変えられたらいいのだけれど。せっかくのgood tidings(吉報p.101)を配達不能にしているのは自分なのだ。
『漂流船 ー ベニート・セレーノ』 ぞわぞわしながら読む、おもしろい話(四回目)。デラーノ船長、鈍感でほんとによかったな。偏見ゆえに助かったのだが。バボウの眼が、こちらにまっすぐに向けられている。この眼差しはズキンとするくらいで、忘れられない。こういう体験をさせるのが作家のすぐれたところだと思う。私の偏見や思い込みも変えることは難しい。ただ、礼儀正しくすることは心がけよう。
Posted by ブクログ
語り手はウォール街の一角で法律事務所を営む年配の男。彼はターキーとニッパーズというあだ名の二人の筆耕と、ジンジャーナットというあだ名の雑用係の少年を雇っていたが、仕事が増えてきたために新たに代書人を雇い入れることにした。募集広告に応じてやってきたのは、バートルビーという名の、品はいいがどこか生気に欠けた青年。彼は、当初は非凡な量の筆耕をこなしていたが、しかしあるとき所長に呼びかけられて、書き写したものの点検のための口述を頼まれると、「せずにすめばありがたいのですが」とだけ言って再三の頼みを拒否する。ウォール街の法律事務所で雇った寡黙な男バートルビーは、決まった仕事以外の用を言いつけると「そうしない方がいいと思います(I would prefer not to)」と言い、一切を拒絶する。彼の拒絶はさらに酷くなっていき。
大した仕事ではないのだから、やってあげればいいじゃない。読んだ当初は思っていたが、実はバートルビーの対応も、そんなに変ではないのでは?と思えてくるから不思議である。なぜなら、できる事ならあれもこれも、と言い出して、サービス残業はできたのかもしれない。但し、拒否することにに命まで賭ける意味があるかどうかはわからない。バートルビーの拒否が不条理なのか。何でもはいはい受け入れるのが道理と考える社会が不条理なのか。
「漂流船」
港に停泊している船が漂流船を見つけ、船長が乗り込んで水や食料の援助を申し出る。漂流船の船長は申し出を受け入れるが、事情を聴いてもはっきりしない。黒人の従僕がか弱そうな船長の面倒を見て、二人で時々ひそひそ話をしている。船には黒人や白人の乗組員、子供をあやす黒人の女も乗っている。船長の話では、スペイン人と黒人が乗っていたが暴風や疫病で相当な人員を失ったということである。だがそれは本当か?というミステリ&ホラー。
Posted by ブクログ
ブンガク
かかった時間 たぶん180分かそれ以上
さいきん、『文学こそ最高の教養である』という新書を読んでいる。光文社古典新訳文庫の編集者が、各作品の翻訳者と行った対談を書籍化したものだ。
せっかくなので、その中からいくつか気になるものを買って読んでみることにした。そのひとつが本作品。
メルヴィル、知らなかったけど、ものすごく謎が多くて、ホラー?サスペンス?だ。あ、ミステリーか?(違いがわからん)
書記バートルビーは、表面的には今でいうコミュ障の話として読むこともできるが、翻訳者の力で「それだけではない」感が残る。語り手の弁護士自体もそうだが、全体的に奇妙。そして、「お分かりにならないのですか」のくだりはやっぱりゾッとした。
不思議なチカラは覗くことで効力を失う、というモチーフも印象的だ。あと壁ってなに?先のない資本主義?(適当) …みたいに、再読すると解釈がまだできそう。
漂流船は、まじでミステリー。キングオブ「信頼できない語り手」が語り手となって話が進むが、それが功を奏しているとか、それでも「奇妙さ」を全部キャッチしてるのはすごくないか、とか、あとがきに書いていたけどベニートはほんとうに「被害者」なのか、とか、これもいろいろ考えられそう。
ちょっとこれ、次は「白鯨」ですかね…
(※追記 「白鯨」は長かったので購入を延期…笑)
Posted by ブクログ
午後になると攻撃的で雑になるターキー。
午前中は消化不良を起こすニッパーズ。
そして、お菓子を調達するのが大好きジンジャーナット。
その時点で、なかなかハードな職場だなーと思うのだけど、新たに雇ったバートルビーがヤバい。
最初は、誰よりも静かに黙々と仕事をこなす、優等生のように思えたのだけど。
雇用主の「この仕事をしてくれ」という申し出に、「いえ、私はそれをしない方がいいと思います」と断り続ける辺りから、世界は不協和音を奏ではじめる。
後の「漂流船」でも、奴隷というテーマを扱っているのだが、確かに雇う側と雇われる側というのは、不公平な関係性ではある。
「バートルビー」の雇用主は、なるべく力を行使して従わせようとはしないし、バートルビー自身も、「私は◯◯しない方が良いと思います」とか「あななたには本当にその理由が分からないのですか?」といった言い方で相手を伺う。
けれど、結局、雇用主は職場を引っ越してしまい、バートルビーは不審者として捕まってしまう。
お金を貰っている以上、「どこまでが」仕事なのだろう?という疑問が残る。
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