あらすじ
元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始める。そこでは調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。人並み外れた嗅覚を持ち、鼻で、相手の行動パターンや健康状態を一瞬にして嗅ぎ分ける朔は、どんな香りでも作り出すことができ、それゆえ風変わりな依頼が次々と届けられる。だが、一香は朔の近くにいるうちに、彼が天才的嗅覚を持つがゆえに深い孤独を抱えていることに気づきはじめる……。直木賞作家が紡ぎだす「香り」にまつわるドラマティックな長編小説。第6回渡辺淳一文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
なんて美しい文章を書く人なんだろうと思った。
千早茜の言葉はただ情景を説明するだけではなく、文字の奥から風景や空気、そして香りまで立ち上ってくるようで、読者の五感に直接触れてくる感覚がある。ここまで「香り」を感じながら読んだ小説は初めてだった。
夜の空気のように澄んでいて、どこか孤独で、それでいて優しい時間がゆっくりと流れていく。読み進めるほどに、その世界に静かに浸っていくような感覚になった。
ページを閉じたあとも、物語の余韻とともに、あの静かな夜の空気や香りが残っている気がする。文章の美しさと感覚の豊かさに強く印象を残された一冊だった。
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紺色の声って言葉、頭の中で浮かぶこの"小川朔"という人物像にいちばん調和する表現だなと思った。
それと登場人物がみんな魅力的だった。
働き者で京番茶が好きな源さん、粗野だけど朔のために自分がやれることは何か常に考え行動してる新城、うわべだけの共感はせず自分の中で物事を受け止める一香、鋭すぎる嗅覚に反しぼんやりとして灰色がかった目と紺色の声を持つ小川朔。
朔と一香の、耽美でしたたか、どこかスパイスのような危うさを帯びた関係性が、友情とも恋愛とも言い切れないからこそこの作品の世界観にとてもよく馴染んでいて好き。
永遠はとても甘美な響きだけど、人は忘れるから生きていけるみたいな言葉を思い出した。
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実際に小川さんみたいな人と出会ったら異常者としか思えないし異質な目で見てしまうんだろうけど、、。読み終わったあと、こんなにも異質な人を素敵と思ってしまった自分がいて驚きました。
あと、色んな植物を使ったお料理食べてみたいなぁ。。
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千早茜さんの『しろがねの葉』があとを引く面白い世界観に惹かれてましたが、こちらの作品は、現実にあり得るかあり得ない間を行く世界観です。
調香師でここまでビジネスとして成り立つのか、はたまた、香りに対して『小川朔』のような才能を持つ人間が居るのか…謎めいた世界観にまた入りたい。
私は、『小川朔』に恋してしまいました。
お気に入りて、香りシリーズの2作目も本棚登録します。
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どんな香りも再現できる調香師のもとで、働き始めた女性の物語。
心地よい香りだけでなく、嫌な香りも細やかに描かれているのが印象的。特に料理の描写が香り高く、同じ作者の食事に関するエッセイも読みたくなった。
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物語全体の雰囲気が好きでした。登場人物の誰もが完璧ではないと感じました。掴みどころがないところはあるけど、それでもいい意味で全員が人間臭いかな、と。
作品設定は独特で、現実離れした人物は出てきても、その設定がリアルな感情の動きと離れすぎていないので、人間味があって生々しい感じでした。
誰が好き、ということではなくて、唯一無二の雰囲気の小説なんじゃないかなと思います。また読み返したいです。
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千早茜さんの本を久しぶりに手にしました
言葉の使い方が豊かで、その状況をすごくイメージして読み進めました
不思議な力があるお話でした
香水好きな私としては興味深い内容でした
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“香りがもたらす記憶は、その人が生きた軌跡そのもの“
読み始めから読み終わりまで
その場にいるような不思議な感覚で読み進めていた
あの匂いはあの人がつけていた香水と一緒だなとか
あの家はわたしの家とは違う他人の香りだなとか
ふと思い出す香りと、思い出したくない香り
色がない透明な香りは日常にあって
温かくなったり、切なくなる
調香師という新たなジャンル
この本でしか得られないどっぷり浸かれる作品
千早茜さんの作品は言葉選びがとてもすきで想像がとてもしやすい、赤い月の香りも読むのが楽しみ
穏やかな気持ち
世界線が不思議で逃避行した気持ちになりました。ストレスが溜まった人にとてもオススメです。ジブリみたいな世界観で本当に好きな物語でした。
Posted by ブクログ
儚くて、危うい美しさをはらんだピュアなラブストーリー。
不思議な引力に吸い込まれたように、物語に惹き込まれて目が離せなかった。春に差す優しい光のように、儚くて美しい。
心が浄われるような読書体験。できるならもっとずっと、この物語の世界に浸っていたい。
出会えて良かったと心から思える一冊。
「永遠」という言葉の美しさと残酷さに思いを馳せてみるけれど、永遠を体験したことのない私は変わらない幸せを求めてしまう。
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洋館の人物それぞれが魅力的だった。久しぶりに恋愛要素のある作品に触れて懐かしくて甘酸っぱい気持ちになった。これを読めば読者は朔を好きになるだろうけど、実際にこんな人物に会うと絶対関わり続けられないだろうなと現実的なことを考えてしまった。
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綺麗な文章でサクサクと読める。
植物や情景が丁寧に描かれているので、オーダーメイドの香水やハーブやスパイスの効いた食事の香りを感じられるようだった。
香りは記憶に直結する⋯忘れていても香ると記憶が蘇る経験は私にもある。記憶のトリガーになったりと登場人物のこころの動きが見られて面白かった。
Posted by ブクログ
本から香りが漂ってきそうな文章ばかりで自分が知らない香りについても細かく書かれており、香りを想像しながら読み進めていた。登場人物たちの繊細な心情や風景の書き方が細かくて素敵な文章だった。
主人公の一香と調香師である小川朔との関係が少しずつ言い表せないものとなっていくのをドキドキしながら読み進めた。今まで人に対して特別な感情を抱いたことがないであろう朔が一香に対して持っている感情が、愛情なのか執着なのかわからず悩んでいた。結果的に一香を自分から遠ざけてしまったが、一香自身も過去に決別をして新たに生きていくことを決めた。しかし、互いに未練があり、一香はまた館にいくことを決めた。今度は友達として。
一香が源さんや新城たちと馴染んでいく様子も読み進める事に和やかな気持ちになった。様々な種類のハーブがふんだんに使われた食事を作る場面や食べる描写が食べたくなってくるほど魅力的で好きだった。ずっと朔の元に来る香りの依頼と一香たちの館の生活を覗いていたかった。
続編もあるようなので、また朔や一香たちの物語が読みたいなと思う。
Posted by ブクログ
色、香り、味を感じられる一冊だった。
鮮やかで独特な読後感、表現がとても巧み。
本という媒体と最も距離があると思われる香りをテーマに据えていることが、とてもチャレンジングでお洒落だと思った。
嗅覚と記憶が深く結びつくことで、匂いは感情とも距離が近くなる。
とある人の印象を形作るのは、その人の纏う香り。
自分の纏う香りを客観的に知りたくなった。
香りは脳の海馬に届いて、永遠に記憶される
香りは再起動のスイッチ
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サクサク読めた。洋館での菜園やハーブ、手の込んだ料理が素敵。一香と朔さんの距離も良かった。香りは再起動のスイッチだと、鼻先で広げる手のひらが何とも愛おしかった。香りの記憶を思い出すのは、その香りに出会った時って、本当そう!確かになぁ、と、自分の甘酸っぱい記憶までもが、ザワザワするような本でした。
Posted by ブクログ
ディティールの繊細な表現が秀逸で、いつも感情の奥深いところを揺さぶられる。香りと記憶がモチーフ。
お茶や食事のシーンも多くて、とっておきのカモミールティーを飲みながら読む。
読書とお茶って、素敵な組み合わせよね。
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たしかに「匂い」は記憶に残る。
同じく「音」も記憶に残る。
記憶の中に永遠に残る、みんな忘れていくけど必ず思い出す瞬間はある。
時には残酷に思い出す。
執着せず愛着を持って、いつかの夜の香りを思い出せればいいな。
Posted by ブクログ
どこからか匂いが漂ってくるような文章。香水について無知だったが、きっとこんな匂いなんだろうなと想像を膨らませて読むのが新鮮で楽しかった。
香水に詳しい人はもっと楽しめるのかも?
ひとつ不満をあげるとするなら、登場人物の過去や心情の深掘りがもう少し欲しかった。同じ登場人物で上下巻あればなぁと思ってしまうのは私だけだろうか。
Posted by ブクログ
雰囲気がいいね。時間がゆっくり流れている感じがする。
香りと記憶が結びつくみたいな話は心理学でもよく聞く話ではあるけど、「香り」がとりまく「日常」が美しい。
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この話の趣旨は愛ではなく、救いでもない。時の流れというと短絡的だし、贖罪というには一方的すぎる。
そういった、何とも言えない感覚を味わうことのできるストーリーだった。
人間離れした嗅覚を持つ調香師、小川朔に雇われる元書店員、一香。
一香の過去と朔の作り出す香りはどのように交差するのだろうか。2人の関係は変化していくけれど、それを2人はどのような形で受け入れていくのだろうか。
友愛、家族愛、慈愛、そして執着。
すべて愛情という言葉で括ることが出来るけれど、それぞれがいかに人間と深く結びついているのか、また、その愛情ひとつ取ったとしても、どれほど形が違っているのか、と深く考えさせられる話だった。
「香り」について、繊細に表現されているからだろうか、目の前に香水瓶があるわけでもないのにその「香り」を無意識に嗅ごうとしていた自分に驚いた。
記憶は匂いと一緒に一生蓄積され、匂いとともに記憶も蘇る、というのはあながち人間として正しい在り方なのかもしれない。
私も、しまい込んで忘れてしまった大事な記憶を呼び起こせるような「香り」と出会いたいと思う。
Posted by ブクログ
嗅覚を刺激される文章。美しい世界に入ることができる小説。
恋愛でも友情でもない2人の関係も美しい。
香りほど儚いものはないと思ってたけど永遠なんだね
Posted by ブクログ
天才的な嗅覚の持ち主を、人に言えない過去を持つ雇われ人の立場から見た物語。
臭いの依頼主毎の短編小説のように話しが進んで行きます。それぞれの出来事がヒューマンドラマや推理小説の様な感覚で読み進められ、読んでいるうちに、嗅覚の天才の苦悩に徐々に寄り添えるような錯覚に陥ってしまいました。
凄く楽しく読み進められて、最後を期待していましたが、期待値を超えなかったので⭐︎4にしました。
一日で一気に読んでしまいました。
Posted by ブクログ
本から香りを意識するようになるのは初めてでとても楽しかった。
人よりも優れた嗅覚を持つゆえの苦悩があるのだと感じた。
愛着と執着の違いは何かを考えさせられた⋆˙⟡
Posted by ブクログ
昔付き合っていた人の香水の香りを嗅ぐと
その頃の思い出が蘇るな、
なんて思いながら読書。
いつも飲むカモミールの香りを
より意識してみたり。
千早さんの描く男性は強く大らかな
タイプも良いけど、繊細で柔らかい
朔さんも魅力的。
朔さんの幼少期の話は心がえぐられたが、
一香と互いに良い理解者となることで
締めくくられていて良かった。
Posted by ブクログ
漂う雰囲気や文章がおしゃれで繊細で、けど人間の醜さみたいなものもあって。。ゆったりした気持ちで読み進められた。特に料理に関する描写が豊富で、こんなふうに植物やハーブに囲まれながら丁寧な暮らしをしたいなぁと思った。
ストーリー重視というより雰囲気重視の本という印象で、面白かった!!ってよりはいい読書時間を過ごせたなっていう感想。
Posted by ブクログ
読んでいて、香りが漂ってくるお話でした。
それぞれの章が香水のように分類されていて、(トップノート、ラストノートのような)オサレだな〜と思いながら構成を掴んだ。
登場人物たちが闇を抱えつつ、そのトリガーが匂いとなっている。私も大切な人に香りで覚えて忘れられないようになりたいと思った。香りを嗅いで、振り返って貰えるような大人な女性になりたいと切に思った。
Posted by ブクログ
風景や料理の描写が綺麗だった。
香りにまつわる人間関係の話がメインだったので、香料についての描写がもっと欲しかった。
新城が良いキャラだったので幸せになってほしい。