あらすじ
元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始める。そこでは調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。人並み外れた嗅覚を持ち、鼻で、相手の行動パターンや健康状態を一瞬にして嗅ぎ分ける朔は、どんな香りでも作り出すことができ、それゆえ風変わりな依頼が次々と届けられる。だが、一香は朔の近くにいるうちに、彼が天才的嗅覚を持つがゆえに深い孤独を抱えていることに気づきはじめる……。直木賞作家が紡ぎだす「香り」にまつわるドラマティックな長編小説。第6回渡辺淳一文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
紹介文で懸案ストーリー?的な物語をイメージしていましたが⋯いい感じのヒューマンドラマでした、シリーズ化してほしいと思う位おもしろかったです
⋯⋯一香さんと朔さんのその後が気になる
Posted by ブクログ
とても好みに合いました!
最後の終わり方で朔さんが子供らしいところを見せるのが少し可愛いなと思いました。料理や、香りなどの例え方がとても美しく感じて、嗅いでみたいな〜や、食べてみたいというものがありました。全体的に読みやすく、透明感のある物語でした
Posted by ブクログ
【過去を清算して前を向ける透き通った本】
ーあらすじー
仕事をなくし、半ば引きこもりの生活をしていた若宮一香。スーパーに貼ってあった従業員募集の紙になんとなく惹かれ、調香師である小川朔と出会う。
自称未亡人の藤崎という女性が、亡くなった夫の香りを作成してほしいと朔のもとを訪れる。しかし、朔は藤崎の嘘の匂いを嗅ぎとった。興信所で働いている朔の相方である新城とともに、藤崎の不倫相手である男を、その匂いを根拠に探し当てる。嘘の申告があったため不倫相手の香水を渡すことを躊躇う朔であったが、何としてでも手に入れたいという藤崎の懇願に応じる。その後、藤崎は元不倫相手の男性に殺害未遂の事件を起こした。香りによって突き動かされる衝動を、一香は目の当たりにするのであった。
ミツコと呼ばれる老年の女性が香水を受け取りに来た。洞察に優れ、何でも見通すその雰囲気に、朔に似ている不思議な女性だと一香は思った。最高級アイリスの香水を作り、ミツコに渡す。彼女が去ったあと、もう自分を訪ねることはないだろうと、朔は一香に話す。ミツコも自分の寿命をきっとわかっていると感じたのだ。同じ感覚を持っているであろうミツコの死に、居た堪れなくなった一香は朔に慰めの言葉を掛けるが、どうやら朔には響かなかったようである。
有名女優オリザの依頼を受けていた朔。調香師とのやりとりを秘密にする契約だったにもかかわらず、周囲に広めたことで若い女性の依頼者が続出し、ひっきりなしに朔の洋館を訪問する状況となり、オリザの依頼を受けない決断をする。その原因がマネージャーにあると確信した朔は彼を呼び出した。オリザの彼氏であること、朔の作った香水で成功を収め、手の届かない存在になることを恐れたこと。朔はマネージャーに女性の美を破壊する香水を提案したが、彼はそれを選ばず、オリザと真摯に向き合うことを決断する。
一香は時折、亡くなった兄のことを思い出す。引きこもりで部屋から出てこなかった兄。朔の洋館で働くようになって、香りや感覚が幼少の頃の思い出を引き寄せるようだった。洋館に誰もいない気配を感じた一香は、新城から朔が警察に捕まったと聞く。不倫調査時にホームレスの盗難事件に運悪く巻き込まれたようだった。新城から朔の昔話を聞く。事情聴取から解放された朔を、一香と新城は迎えに行った。興信所で追っていた女性の不倫相手は美容師、自分が切っていた女性の髪を他の男に取られたくなかったのだ。
新城と腐れ縁である警察官の木場とその息子である翔の話へと展開する。翔は先天性の病で下半身が動かない身体になってしまい、入院生活が続いている。息子を元気づけるため、木場は朔に香水を依頼する。作成したのは蝶の香水、助けて欲しいとSOSを出す香り。大病を患った息子に向き合うことができない木場の心境を読んだようだった。木場はその意図を知ると香水を朔に返し、自力で息子と向き合う決意をする。
一香は自分の過去を朔に打ち明ける。亡くなった兄を二度も裏切ってしまったことを。中学生になっていじめられていたとき、自室で自殺する前に掛けてきた電話を無視したとき。朔は黙って一香の話を聞いていた。新城に自宅まで送ってもらう車内で、執着と愛着の違いについて朔が悩んでいることを聞いた。
その告白後のある日。一香は朔の部屋に入った瞬間に、兄の自殺した光景がフラッシュバックした。朔の作った香水がその記憶を呼びさましたのだ。今までずっとできていなかった兄へ、一香はようやく懺悔することができた。朔は一香が前に進むことができて、もう大丈夫だと洋館から去る選択肢を与える。
洋館を去る一香。洋館での生活のおかげで、日常の中でも今までの引きこもりとは違い、社会復帰をして自然な自分でいることができた。
ある日、新城が一香のアパートに訪れる。少し遅れて朔が新城を追ってきた。久し振りに再開した二人。香りは一緒なのに紅茶の味が違う。朔の抱いた初めての感情を受けて、一香はもう一度、あの洋館へ戻ると約束をした。
ー感想ー
朔と一香の描く、非常に美しい物語であった。
さまざまなチャプターで、さまざまな事情のある依頼主と交流していく中で、朔の持つ調香師としての真意に触れていく。完璧な人間かと思えば、実はその裏で悩んでいて、人間らしい部分も含めて、朔の仕事への真摯な向き合い方には非常に共感をする。
香水によって思い出が蘇る。嗅覚は最も記憶の残る五感である。自分はどの匂いからどんな過去を思い返すのだろう。思い出したい記憶と、思い出したくない記憶がないまぜになって、感情の琴線に訴えかけられるようであった。
そして、香りの表現、食卓の表現が素晴らしい。
登場人物は皆、拗らせているのだけれども、拗らせていない。その素直さ、真っ直ぐさに心を打たれる。変な憶測を一切必要としない、小細工なしの一本筋が通ったストーリーは好きだな、と改めて思わせてくれた。
透明感のある素敵な一冊だった。
Posted by ブクログ
著者の作品は2作目。『しろがねの葉』から数年ぶりに。
ほんとうに筆力のある人だから…あらゆる箇所で本から顔を上げてふぅ…とひと息つかせる、そういう描写にあふれている。
美しさに、人の残酷さに、想像せざるを得ない香りに。
Posted by ブクログ
久しぶりに再読。
本から香り立つような、深い森の中にいるような、静謐で濃厚で新芽を触った時のようなしっとりした世界観が好き。
私自身、香りに弱いので香水が強い人と一緒にいると酔って気持ち悪くなってしまうけれど、朔さんの調香してくれた色んな香りを嗅いでみたいなぁと読む度思います。
Posted by ブクログ
いつか、今自分が大切にしている時間を忘れてしまったとしても奥深くにきちんとしまわれているらしいので߹-߹
美味しそうなご飯が沢山出てきてお腹空いた〜〜
Posted by ブクログ
秋に読書を初めて最初に手に取った作品です。
香りのないはずの「透明」や「夜」をも朔は深く深く手に取るように感じ取るんでしょうね。
朔を現したような題名で素直に綺麗な言葉。。
千と千尋の神隠しの銭婆のセリフ
「一度あったことは忘れないものさ
思い出せないだけで」
終始このセリフが頭にあったなあ。
朔の今まで閉じ込められた瓶の蓋が微かに緩められた、そんなラストに感じました。どんな隙間にも入る、一香は煙のような存在なのかなとも。
透明の香りのする素敵な本でした。
Posted by ブクログ
全体を通して落ち着いた雰囲気があって、尚且つただ淡々としているだけではなくて暖かさを感じる描写が多くて何だか心休まる本だった。
そんな中で、少しがさつに感じる新城も良いアクセントになっていた。
どこか掴みどころがなく、底も見えない朔が、最後少し素直になっていたのは「変化」が感じられて良かった。
タイトルの「夜」が前面に出た話ではなかったと思うけど、確かに透明な夜の雰囲気を纏った本だった気がする。
Posted by ブクログ
庭園や料理、匂いなど、私の好きな要素が詰まった作品でした。文章からは大きな洋館や薔薇の花など、風景や香りが鮮やかに浮かび上がります。穏やかで和む場面もあれば、ワクワクするような場面、そして目を背けたくなるような場面もあり、最後まで引き込まれました。とても面白かったです。
あまり関係ありませんが、朔さんのセリフがエヴァのカヲルくんの声で脳内再生されました。
Posted by ブクログ
読んでて文字から香りがする、風景の色が見える、美味しい料理の味がする素敵な作品
一文の情報量が濃くTopNoteからLastNoteへ移り変わる章とともに、漂う雰囲気や主人公の内面の変化が感じられるのもいいし、登場人物の距離感が心地いい
1pと260pでは同じ鮮やかな赤の蔓薔薇を見た時の反応が違う主人公の心情の変化に胸を打たれた
嗅覚に秀でた天才が味覚で寂しさを感じたラスト、お洒落すぎ
好きなフレーズ↓
ー逃げてはいけない、なんて道理を聞かなくてもいいよ。そんなのは人を殺す正義だ。
Posted by ブクログ
ああ、深くて脳の奥の方を刺激された感じのする物語だった。それはきっと嗅覚のお話だったからだな。読んでいる間はどこからか香りがするような気がして、お布団の柔軟剤の香りがいつもより強くするような気がした。あっという間に読んでしまった。
香りは人を壊し、人を再生させる。味覚はショッキングなことがあるとしなくなる。五感が鋭くなるように、小説の中の音も大きく聞こえるような気がした。こんなものを作り出せるのは、ほんとうにプロの技だ。
p.104
「当題なことはね、みんなそうだろう。でも、嘘をつくというのは気力のいることだか
ら」
「気力、ですか」
「自分を騙すにしろ、相手を騙すにしろ、それなりに身体にストレスがかかるからね。
ある意味、たくましいってことだよ。もちろん息を吐くように嘘をつく、病的な嘘つきもいる。そういう人間の嘘はわからないこともあるけど」
優しくしてくれるさつきちゃんを思いだす。彼女にも話していないことが、私にはある。
「私、友人にも本当のことを話さず、欺いています」言ってから、これではまるで懺悔だと思う。目をそらす。湖さんが身じろぎした気をがソファの軋みで伝わってきた。ソファのスプリングはどうやって手入れをすればいいのだろう、と見当違いなことを考えてしまう。
「一香さんは」
深い紺色の声で名を呼ばれた。
「取り繕っているだけ。もしくは流している。おそらく、あなたの中にはいま気力がない。人の言葉や出来事を受け止めて、呑み込んだり弾き返したりするのが難しい状態にある。だから、感情を抑制してやり過ごす。それは嘘とは違うよ。欺いてもいない」
自分の手を見つめた。いつの間にか、膝の上で握っていた。
p.202 木場は口を結んだ。ややあって「そうだ」と低い声で言う。「運動会だってまともに見にいってやれなかった」
なにかを言いかけてやめる。走る姿を見ておけば良かったと目が語っていた。
「翔くんは不安でいっぱいですよ」
「当たり前だろうが!あんな病気なんだぞ」
声を荒らげる。「そんなことお前に言われなくてもわかってる!」と怒鳴る木場をさんはまっすぐに見つめる。
「違う。彼はあなたに見捨てられないか不安なんです」木場が呆然と口をひらく。
「俺が?翔を見捨てる?そんなことあるわけがない」「そう思っているのはあなただけです。子供はいつだって親に嫌われないか心配なんです。大人になってそのことを忘れてしまうのは、一人で生きていけるようになるからですよ。あの子はまだ違う。あなたはあの子のことをまるでわかっていない」「お前、お前に…••・・」と木場の顔が真っ赤になった。朔さんに掴みかかる。私が止めようとする前に運転席から新城が飛びだしてきた。
「だぁー!もう、あんま挑発するなって。はいはいはい、木場さんも落ち着いてくださいねー。こいつ、こういう無神経な奴だってよく知っていますよね」
ぐいぐいと木場と湖さんを引き離す。朔さんはそれでも喋り続ける。
「木場さん、どうして翔くんに触れないんですか。触れてませんよね、彼にあなたの匂いがまったく付着していなかった。抱き締めなくても、頭を撫でるとか、背中を叩いてやるとか、できるでしょう。他の人間には平気でばしばし触るのに、息子さんには近づけないのはなぜなんです。どんな事件にだって食らいついていくのに、人の内面や過去にずかずか踏み込もうとするのに、どうして彼には向き合えないんですか。罪悪感ですか?それとも・・・・・・」
新城を押しのけて木場の腕を掴む。ずんぐりした笑に香水瓶を握らせる。
「これを嗅がせれば翔くんは喜ぶでしょう。あなたからのプレゼントだと言えば、元気にもなるかもしれない。けれど、こんなもの一時しのきですよ。シトラス系の香料は軽やかで好まれやすいけれど、すぐに増えてしまう性質があるんです。それと一緒です。あ
なたにはもっとやらなくてはいけないことがあります」
「朔!」
聞いたことのない声で新城が叫んだ。「もうそれくらいにしとけ」たしなめているのに、自分が傷を負ったような悲痛な顔をしていた。朔さんは新城を横目で見て、口をつぐんだ。風の音だけが抜けていく。
やがて、木場が「そうだな」と地面を見つめながら言った。香水瓶を握り締めている。
Posted by ブクログ
タイトルが、うまい。まるで、匂い立つような。
人並外れた嗅覚で、人の隠された真実を嗅ぎ当てる、小川朔。
ただ、暴かれた真実よりも、フラットな性格の朔をめぐる人間模様や、洋館での生活が、骨太なバックボーンとして存在するから、面白い。
穏やかな気持ち
世界線が不思議で逃避行した気持ちになりました。ストレスが溜まった人にとてもオススメです。ジブリみたいな世界観で本当に好きな物語でした。
Posted by ブクログ
日常感のある小説は好き。主人公は目に見えない声などを色として表現する部分が多かったが、朔さんとが関わっていく中で匂いの描写がだんだんと増えていくのがよかった。本の表紙が深い紺色にガラス瓶、ラベンダーなどがあるのもエモくて好き。最後主人公が館を出て朔さんと会わなくなってから少し寂しさを感じたが、そのままもう会わないようなストーリーを期待していたので、途中で朔さんと会えてしまったのが嬉しかった反面、残念に感じた。主人公はそのまま館での経験を忘れていくが、匂いは永遠に覚えているのでまたどこかで思い出すかもね、という方が良かったです。朔さんは沼男ですね。ミステリアスな人に惹かれてしまう主人公の気持ちがよく分かります。
Posted by ブクログ
読み進めていると文字から匂いが感じれる気がしてくる。嗅覚が良い犬はこんなにも情報量が多い世界を生きてるのかと思った。
重い香りも出てくるけど爽やかな洋館や一香の作る料理の描写が中和してくれていた
Posted by ブクログ
香りと色を感じる本。
千早茜せんせいの本にしては、料理の描写気持ち少なめ(それでもハープティーやら朔さんの指示するメニューは美味しそう)。
どこか人間離れしている登場人物ばかりなのに、誰も彼も親しみがあったり、共感できる痛みを持っているんだよな〜。読み終わった後も、彼らが健康に生活していることを願うばかり。
Posted by ブクログ
ゆっくりと時間が流れる1冊
とにかく「香り」に惹かれる作品だった
なにかと、色や香りで感情や物事を表現するところが好みだった
美味しそうなご飯や飲み物、嗅いでみたいなぁと思う香りも出てきた
孤独、執着、愛情、記憶、色々な方面から考えさせられる作品です
Posted by ブクログ
小説なんて中学から読んでなかったけど、毎日デスクワークで、仕事の事で頭いっぱいいっぱいで急に小説を読みたくなって手に取った本がこれ。
物語の展開がコロコロ変わることもなく一定の空気感で、静かな夜に1人で読むのに最適な本。心動かされたとか、気付かされたとか、そーゆーのは特に感じなかったけど、読み始めるとすぐに物語に吸い込まれる感が好きだった。日常で人の香りが前よりも気になるようになった。香りって一生記憶に残る。今思い出せなくても香った瞬間にフラッシュバックする。いい意味でも、悪い意味でも。そー感じること前からあったから、共感できる事が多かった。
Posted by ブクログ
読んでいて香りが想像できるような素敵な文章で読みやすかった。
一香が館に入るのと同じように、この本を開くとスッと香りの世界に引き込まれていく。
「執着と愛着の違いはなんですか?」
執着は変化を嫌う。一方、愛着は変化を含めて愛する。変化を認めて受け入れることはとても難しいことだと思う。そして大抵の人は変化を嫌う。朔さんも変化を嫌う人。でも、一香と関わり、会話をしていくことで、変化を受け入れられるようになる。
「香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶されるから」
「君の命が終わるまで。」
確かに、不意に嗅いだ香りから昔の記憶を思い出すことがある。良くも悪くも。私たちは不意に思い出すだけだから、そんなこともあったなと流せるけど、常にそれを感じられてしまう朔さんでは情報処理ができなくなっても当然だと思った。
朔さんと一香の距離感が絶妙でとてもよかった。
Posted by ブクログ
久々に、続きが気になって追うように読んだ。
読むのが得意ではないジャンルの本は挙げられるけど、
それ以外は基本的に何でも読むので、
どんなジャンルが好きかと言われるといつも分からずにいたけど
多分こういうのが自分は好き。
こういうの、とは
「あまり現実味のない設定を抱えながらも
現実社会から乖離し過ぎない世界観のフィクション」
これ続編あったら読むわ〜と思って読み終えて、
帯の後ろに続編情報あって喜んだ。
どうか変な注目のされ方をして
変な実写化されないことを望む。
Posted by ブクログ
香りを軸にもっと激しい展開にもできるであろうが終始穏やかな進行で物語としての雰囲気が好きだった。とんでも能力ではあるが、現実感は常に残りつつ、日常の延長線上の物語であった。想像以上に一香が思ったことを口にしていた。内気な印象があったが、社交性はしっかりとあると感じた。作者が女性だからこその繊細な小説であったと思う。アスパラガスを食べたいと思った。
Posted by ブクログ
期待に胸を膨らませるというわけではなく、何気なく買った一冊だったが、思いもよらぬ収穫だった。
みんな何かしらキズがあってちょっと歪んでる
だからか、新城が登場すると空気が変わる
日常が戻る感じ
ミステリアスな朔の魅力は元より、周りを取り巻く人たちがみんな個性がバラバラで、それがかえって調和がとれていて心地よい雰囲気になっている
シリーズ化してほしいし、登場人物が魅力的なので、ドラマ化とかしそう…して欲しい
Posted by ブクログ
元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始める。そこでは調香師の小川湖が、幼馴染の探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。どんな香りでも作り出せる朔のもとには、風変わりな依頼が次々と届けられる。一香は、人並み外れた嗅覚を持つが、それゆえに深い孤独を抱えていることに気が付き。香りにまつわる新たな知覚の扉が開く、ドラマティックな長編小説。
紺色の声の朔…どんないい声のイケメンなんだろうと妄想しながら…金木犀の香りのいい時期に読みました…
Posted by ブクログ
独特な雰囲気を持つ心理描写だった。主人公の気持ちがとても近くにあるようで、さも我が身に起こったことであるかのように、朔さんの一挙一動に心を動かしていた。
想った人に想われる、しかも常識的ではないかもしれない形で…という物語の締め括り方が「神様の暇つぶし」と似ている、と思った。
「神様の暇つぶし」を読んだ時にも思ったが、主人公は構築した自分の世界に深く沈み込んでいて、簡単に言えば乙女チックな部分がある気がした。その点において、彼女に心底から共感することは難しかった。
Posted by ブクログ
調香師が主人公の香りをテーマにした物語。
とっても暖かみの感じる本でした。登場人物全員がいい人。文章で読んでるだけなのに、あの館はきっといい香りがするんだろうなって感じられる。ゆったりと時間が流れる優しい本を読みたい方におすすめ。
Posted by ブクログ
目に見えない香りは記憶から消えやすいと確かに感じる場面は多いですね。
大切な人の香りがいつかは周りから消え、記憶からも消えてしまうことは形が消えるよりもっと存在が消えてしまうような気がします。
Posted by ブクログ
★3の中かな~。
初読み作家さん。
読んでも読んでも減らない初読みさん。
次々新しい人が出てくるなー。
前から気になっていた作品ですが、なんでこの表紙?
瓶の中に手首が入っていて怖いんですけど。
作中にはそんな描写なかったし、ホラーでもグロでもなかったんだが?
これは……、少女マンガだね。
馬鹿にするつもりでなく、少女マンガの論法をうまく文章化してると思う。
良くも悪くも。
おまえがどんだけ少女マンガを知ってんねん、というツッコミはさておき。
もう出だしから少女マンガっぽい。
過去に訳ありの二十代女性が主人公。
務めていた書店を辞め、近所のスーパーで見た募集の貼り紙に応募し、森の中の洋館で家政婦兼事務員として働くことに。
そこにいたのは線の細そうな調香師の男と、粗野っぽい探偵。
いい感じのバディの間に主人公は収まります。
この3人で香りにまつわる事件?に関わったり解決したり。
長編ではあるけど、全8章に章立てされていて、それぞれに事件が起きて読みやすい。
連作短編の方がイメージ近いかな。
もっと話の数を増やして連続のテレビドラマにでもすれば受けそう。
甘過ぎず苦過ぎず、ちょうど良い味加減の話だった。
好みを言えばもっと切なかったり、陰惨だったり、黒かったりしてる方が好きだな。
はい、お幸せにー。
Posted by ブクログ
読んでいていい香りがしてきそうな本だった꒰⑅ᵕ༚ᵕ꒱˖♡(笑)
自分も日常のふとした匂いで過去の記憶が蘇るときがあるので、香りの記憶は永遠なんだと思う。
一香の兄のところはこちらも辛くなるところだが、ハッピーエンドでよかったなと思う!
Posted by ブクログ
香りは記憶を呼び覚ますものだと思う。
けれど物語は静かで日常の描写が多く、半分ほどで離脱。
雰囲気は好きだが、テンポよく読み進めることはできなかった。