あらすじ
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。
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キレイな感じ
展開が遅く感じたけど終わりに近づくにつれてすごくハマった。こういうテーマのものって終わりが気持ち悪いけど、スゴくきれいに終わってスッキリした。
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春が二階から落ちてきた。冒頭でこの作品は面白いと思った。読書を趣味としてまだ1ヶ月程度の私にはこんなに斬新で読者の心を揺るがす1文を人間がかけるのかとひどく関心した。内容は遺伝子・放火・重力をキーワードとした小説。放火現場の予想を登場人物の「私」と読者である「私」二人で推理しているような錯覚を起こし大変楽しく読むことが出来た。また放火犯の全貌が露になるのと同時に読者である「私」もひどく絶望し、ページをめくるのが億劫になった。最後はほんのり涙しそうになる内容。読書初心者の私でも十分に楽しめた内容でした。
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何回目かの再読。最近いろいろな作家さんの本を読むようにしているけど、やっぱり自分は伊坂作品の世界観が好きだし、この本が好きだなとしみじみ感じた。
ジャンルとしてはいろんな犯罪が出てくるし、ミステリーに分類されるのかもしれない。けれど、この本は家族の話であり兄弟の話というほうがしっくりとくる。
初めて読んだのは大学生のころだったが、それから何年も経って改めて読むとお父さんの優しさと強さが胸にグッとくる。
「俺たちは最強の家族だ」
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
深刻な状況でこんなことをさらっといえる大人っていいなと思った。
個人的にはお母さんの「気休め」と競馬場のエピソードも好きだ。
まだ伊坂作品を読んだことのない人に、最初の一冊として何を贈るかは伊坂ファンの悩みの種だと思う。久々に再読して思ったが、やっぱりこの本だと思った。
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春の悲しい生い立ちと人格形成に思いを馳せると胸が痛くなるが、兄や両親との絆に救われる。家族っていいな、と気付かされた。
ガンジーや文豪の含蓄のある言葉が登場するたび考えさせられ、深い教養を得られる良書だと思った。ミステリー要素もあり、知的好奇心も刺激され、引き込まれた。
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読み終わって、不思議な感覚になった。
正解ってこの世にはないと感じた。
強姦されて、産まれてきたことが幸せなのか不幸なのか、それも分からないが、春の苦しみはとても奥が深いものだと感じた。
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真面目な兄と女嫌いの美形の弟の話。
弟の出自が悲惨だが、それを乗り越える家族愛が良かった。
母親が強い女性だと思った。
映画化もされているが面白かった。
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「春がニ階から落ちてきた」
この冒頭の一文を未読者は一体どのような場面を想像するだろうか。
兄弟の絆、家族の想いや葛藤、真相で明かされる驚きと感動の結末。
ジャンル区分できない奇跡の小説に、私は出会ってしまった。
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重力ピエロ、その意味がわかった時思わず感嘆‼️
はじまり方とおわり方の綺麗さ。
登場人物の人格の作り込みが素晴らしい。
理性的ではあるものの
反論の余地がある自論を展開してくれると
よりその人の人柄がわかるような気分になる。
それにしても作者が博識すぎて驚く。
多くの偉人の言葉が引用されていて
知識を獲得しながら読み進めていく感覚も
楽しかった。
春が完全に間違ってるとは言えないけど
正しい訳ではない。
でも春は読者に許されたい訳ではないだろうから
別に良いのだと思う。
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この本は、まことと、傍らに珈琲を。がおすすめしてくれて読んだ。まこと、傍らに珈琲を。、ありがとう!
「春が二階から落ちてきた」という物語の始まりにいきなり驚かされる。
主人公は、泉水(いずみ)という男性。かれには、春という弟がいる。父、母との4人の家族には暗い過去があった。
ある日、泉水の住む街で連続放火事件がおこり、現場のすぐ近くには英語で書かれたグラフィティアートが、必ず見つかる。放火とグラフィティアートに関連性はあるのか。泉水が謎解きに挑みはじめるが・・・。
とても面白かった!小説のテーマは重いテーマだと思うのだが、登場人物の会話にはユーモアがあって面白く読みすすめられた。
一人一人のキャラクターが立っていて、描写も目に浮かぶような細かな描写でその場にいるような気持ちでハラハラドキドキできる。
それと、ミステリー小説なんだけど人間ドラマのようなものも描かれていて、気持ちが温かくなるシーンもたくさんあった。登場人物が自分の信念のようなものをガンジーとか、偉人の言葉を通して話すシーンも好きだ。
読後感も良かったので、ミステリーをあまり読んだことがない人にもぜひおすすめしたい。
スタイリッシュ
伊坂作品は当たりハズレが激しいので、読むのにすごく迷いましたが、面白かったので読んで損はなしです。
作者特有の言葉遊びというかセリフのひとつひとつがスタイリッシュな感じ。
結末は賛否両論あると思う。許されないことなんだけど、この兄弟ならアリなのかなと。違う終わりかただとあまりに普通すぎてつまらないかも。
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書き出しと最後がリンクしているのがとても綺麗。春に対して「お前は俺に似て嘘が下手だ」と言う父の優しさ良かった。ミステリーではないかな、犯人は春だろうと最初から予想できてしまった。挿話が面白い。特に母と競馬で万馬券を当てる話が好きだ。最後まで春がレイプされそうになっている同級生を助けた時に被害者もバットで殴った理由は分からずじまい、、自分と重ねて戒めとか????
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家族、兄弟の揺るぎない関係を描いた作品。
当たり前のように存在することであっても、それをものともしない絆に感動しました。
(あまり書くとネタバレになるので…。)
DNA(遺伝子)の話が出てきて、化学が好きな私にはとても面白く読めました。
TTAGGG!
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“春が二階から落ちてきた”
一度読むと忘れられない、とても印象的な書き出し。
読み進めると重いテーマのお話ですが、回想に出てくる家族とのエピソードや、お父さんの言葉は良かったです。
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
この言葉には胸が詰まって泣きそうになりました。
うーん⋯賛否あると思うのですが、レイプ犯は春に殺され、兄の泉水が警察に出頭する必要はない、何も悪いことはしていないのだから、といったようなことを言う場面は少しモヤッとしました。
罪は罪だと言う春の言葉が正しいと私は思います。
ラッシュライフの黒澤さんが好きなキャラだったので、わりとたくさん登場シーンがあり嬉しくなりました。
Posted by ブクログ
2人の先輩から薦めていただいたにも関わらず、2年も積読してしまった本をようやく読み終えた。
購入したままこれまで読んでいなかった自分を、なんで読まないんだと問いただしたいくらいにおもしろかった。
小説に限らず様々な作品に触れていると、なんとなく展開を予想してしまう。
本書についても例外ではなかったが、うっすら予想しているものとそれほど外れてはいないのに、真実が明らかになるのと同時に少しの衝撃が心を揺さぶる。
この感覚は、放火犯を追い続ける中で弟と向き合うことになる「私」の心情を追体験していた証拠だと思う。それくらい、見事な描写だった。
だからこそ、
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
終盤でのこの一言で、言葉には到底できない感情が一気に心の中を駆け巡り、胸が締め付けられて涙が止まらなくなる。
ここに来るために、456ページを歩んできたようにすら感じた。
遠くに暮らす兄に会いに行きたくなった。
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これまで読んだ小説の中で一番感動したかもしれない。
遺伝子という実存して消えない重力のようなものを消した家族の話。
春は間違いなく気休めが好きな母親と嘘をつくのが下手な父親の子供だった。
Posted by ブクログ
他の伊坂幸太郎作品より間接的で哲学的な話が多く、終盤以外は正直ページが進みにくかったが、終盤は安定の伏線回収と重いテーマなのに爽やかな読後感にしてくれる。
とは言え、伊坂幸太郎といえば!と期待していた分、うーん…と思ってしまった。
個人的に、殺人の話はフィクションとしてフラットに見れるが、女性だからかレイプなどを含む話は胸糞感マシマシになるからかも?
お父さんの性格というか存在自体が素敵だった!
ーーーピエロは重力を忘れさせるために、メイクをし、玉に乗り、空中ブランコで優雅に空を飛び、ときには不格好に転ぶ。何かを忘れさせるためにだ。
Posted by ブクログ
映画に自分の家が映っているというだけで読み始めたが、儚くて強く、一周回って綺麗だと言える本だった。文章に伝える力があった。タイトルの付け方も素晴らしい。
Posted by ブクログ
・ミステリー仕立ての復讐小説/家族(兄弟)小説
・半分しか血の繋がらない「私」と「春」
・遺伝子の強さか、家族の強さか
・善か悪か
・犯人は弟の「春」。実の父を殺す話。
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目次から魅力的な興味を惹く言葉が羅列されていて「オングストローム」「ヘップバーニング」「エンジン、円陣、猿人」など、その期待値に読む前からそれら語感だけでご飯一杯は食べられる仕様になっている。タイトル自体も初見はどういう意味?と訝りながら読み進めるけどその造語の意味する巧みさにうーむと唸る。春のした事、泉水の下した判断を論じるよりも春が毎日毎日考え続けたというその苦悩の深さに着目したい。さもすると崩れそうなアイデンティティが家族の愛でセメントのようにガッチリ固められた春は最強に美しく強かった。
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黒澤さん目当てで読みました。
今回は探偵としてのお仕事、しっかりやってます。
もちろん本業も。
泉と春の兄弟、放火、過去のレイプ事件、父親の病気、遺伝子などたくさんの要素があるのにきちんと全部まとまります。
素晴らしい作品でした。
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物語の内容としては、非常に理解しやすかった。
登場人物もそれ程、多くなくて初心者向け?
何より章題が多い。ページを開いてビックリ。
自分はワクワクしながら読み進めることができた。
内容や展開にいいね!というわけではなく、登場人物たちの、特に、家族愛、兄弟間での信頼、絆などに感動した。
「俺たち兄弟は最強じゃないか、兄貴」
春が兄へ向かって言ったセリフ
「お前は俺に似て、嘘が下手だ」
父が春に向けて言ったセリフ
血が繋がっていなくとも、遺伝子が同じじゃなくとも、きっとこの3人は、いや、母も含めて4人は、本当の家族なんだろうなぁ、と最強の家族だなぁと感じた。
面白くないわけじゃない
けれど、面白かったか⁇というとどうなんでしょう⁇
飽きずに最後まで読めましたけど、池井戸さんみたいな感じじゃ無いですね( ̄▽ ̄)
関係の無い描写がクドクド有るのは駄作‼︎と常々思って居るのですが伊坂さんにかんしてはそのような事はありませんので星4つです
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』
「春が二階から落ちてきた−」
そんな文章から始まるこの小説。春は主人公泉水の弟。性的な暴力に対する嫌悪感が強く、校内で起きようとしていた自分には無関係なレイプ事件も殴り込んで止めたくらい。
仙台に住む泉水と春の一家は、母が過去に未成年から暴行被害を受け、その結果として弟の春が生まれていた。家族は春を深く愛し、父を中心に一家は壊れずに暮らしてきた。兄の泉水はその過去を知りつつ、大人になり、遺伝子を扱う研究職に就く。春は高い身体能力を持ち、類稀な美術の才能を持つなど、どこか常人とは違う感性を持ち、大人になる。
時が流れ、仙台の町で奇妙な落書き(グラフィティ)が連続して出現し始める。さらに同じ時期に、町では連続的に小規模な放火事件が発生する。泉水は落書きに一定の規則があることに気づき、春と共にその意味を追い始める…
この作品もまた伊坂幸太郎さんの傑作だと思います。書く作品書く作品、どれもみんな傑作になるのはすごいですよね。
過酷な過去と向き合う春。
その過去を理解し、ともに生きていこうとする泉水。
「それでも人は生きていける」
「悲しみの中にも、軽やかさはある」
そんな伊坂幸太郎らしい、優しくて強いメッセージが作品全体に流れています。
「見ろよ、仁リッチ。ここの中で叫んでいた。
染色体であるとか、遺伝子であるとか、血の繋がりであるとか、そういったものを父は軽々と飛び越えてしまった。」
Posted by ブクログ
大量の伏線と思える箇所に出会っては、自分なりに考えながら読むのがとても面白かった。ただ、春の「どんな事柄にも意味があると思うのは、人間の悪い癖だよ」という文を読んだときには、まるで自分のことを言われたようでドキッとした笑。
印象に残ったフレーズは、夏子さんの「自身に根拠があるのって卑怯な気がしませんか?」というセリフだった。根拠がないけど願掛けを大切にする春、そして兄がいればなんでもできると信じる彼にぴったりだと思った。
Posted by ブクログ
ちょっと苦手意識のあった伊坂幸太郎。でもこれはよかった。
何が違うかというと、もうちょっと優しさがあり、つっけんどんの暴力さはないからかも
全文はブログで
www.akapannotes.com
Posted by ブクログ
面白いけど知識を要するミステリーは好みでないかも!?
テーマも展開もハートフルでそこは良かったです。
登場人物の感情表現がかなり少ないと感じた。
だからこそ会話シーンも淡々と進み読みやすいのだが、そこも好みではないかも。。。
Posted by ブクログ
冒頭からいきなり引き込まれる文章表現、他作品、偉人の言葉からの引用、テンポよく展開していくストーリーがこの作品の魅力だと感じた。
ただ、登場人物達のどこかスカした雰囲気のあるユーモアのセンスは自分の性には合わなかった。
また後半からはほぼ展開が分かってしまう点もマイナス。