あらすじ
三人は同じ日に出会い、恋に落ちた。俺は彼女に。彼女はあの男に。そして、あの男が恋をした相手は俺だった。なぜ俺なのか、とあの男に訊いてみた。健やかな馬鹿がタイプなのだという。それって悪口じゃないのか? それはともかく俺たちの一方通行の三角関係は、しかしそれほど時間を置くこともなく、べつのものへと姿を変えていった(「明日世界は終わらない」)。せつなかったり、さびしかったり、困ったりしている愛すべき人たちが、右往左往しながら新しい関係を築いてゆく珠玉の六編を収録する。新作を発表するごとに注目度が高まる俊英による、軽やかでメランコリックな作品集。/【目次】なにも傷つけないように、おやすみ/明日世界は終わらない/不自由な大人たち/家族の事情/砂が落ちきる/単行本版あとがき/【文庫版ボーナス・トラック】そしてゆっくりと眠る
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Posted by ブクログ
ミステリーでもないのにこんなに続きが気になってしまったのは初めてかもしれない。本当にどのストーリーも面白かった。
「何も傷つけないように、おやすみ」
同じ施設で育った暴力癖のある鉱一と智己。ずっと同じ道を辿ってきた2人が、これから歩む別々の道。家族が出来た智己と、1人になってしまった紘一。2人とも家族というものを知らないで育ってしまったけど、きっと誰かの温もりを感じることで人間としての大切な感情や、大切にしたいと思う感情を培っていくのだと思う。2人ならきっと大丈夫。
「明日世界は終わらない」
このお話はすごい深くて、ずっと頭から離れない。
綺子のことが好きな竜朗、周のことが好きな綺子、竜朗のことが好きな周。なんだこの三角関係は。この誰も幸せになれない関係はいつか終わるだろう。でも今この瞬間がずっと続けばいいのにと思うくらい幸せそうで、楽しそうで読みながら本当に眩しかった。それは夜の明かりでもあるし、3人の関係性でもある気がする。
「不自由な大人たち」
中学の頃からの親友の志津と櫻子。結婚して子供もいる櫻子と、何故か既婚者ばかりに好かれてしまい、最終的に後腐れのない不倫に落ち着いてしまっている志津。志津や、相手のダニエル、是枝さん、桂木さんのような生き方をしてる人が本当にいるのだろうかと不思議で全く知らない世界だった。でもただの友達のために自分の生き方を簡単に辞めてしまう志津にはもっとびっくりした。正直何が正解か分からないし、志津のような生き方は自分には想像もできないけど、このよく分からないという感情を知れて良かった。
「家族の事情」
これがまた面白かった。二卵性双子の亜門と杏子。全く正反対の2人が寄り添いながら生きる姿。そして何も考えてないようで、いつも迷惑ばかりかけている杏子が、亜門よりも亜門のことを分かっているところが感動的だった。そして上司の藤本さんが私にもキラキラ輝いて見えたし、2人の家族になってくれたらどんなに幸せかと思った。
「砂が落ちきる」
後輩に彼氏と別れるのを手伝わされた真野。そこで出会った相手の男成田光洪。その男に半年後いきなり処女を捨てるという自分のバケットリストを叶えるために依頼する。読んでいても成田光洪はかなり女慣れしているし、優しいけど自分の話はしない所、生活感が感じられない所、真顔から笑顔になる瞬間、きっと大半の女性が好きになる相手だなと思った。真野とは住む世界が違うような存在だけども、2人に共通するのは人に執着していない事。きっと45歳になった時、2人は食事になんて行かないきがする。でも今だけはこの約束とも言えない約束がお互いの人間らしさを保つお守りになるような気がする。
Posted by ブクログ
どのお話も面白かったです。
どれもお話の先が気になるものばかりでした。
特に、「砂が落ちきる」「家族の事情」が好きでした。
どのお話の主人公も、幸せになって欲しいと願ってしまうような魅力的な人ばかりでした。
他の作品も読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
本編5話に文庫版ボーナストラック1話を加えた、6編からなる作品集です。
友情や恋愛といった既存の言葉だけではいい表せないような、脆くも尊い関係性が描かれており、読み終えた後はなんとも形容しがたい不思議な感情に包まれました。
非常に読みやすく、一気に物語の世界へ惹き込まれてしまいます。
タイトルにある通り、全編を通して「夜」が舞台となっています。友人や恋人と楽しく騒ぎながら過ごす夜もあれば、たったひとりで寂しさに震えながら更けるのを待つ夜もある。作品を通じて、人それぞれの多様な「夜の過ごし方」をそっと垣間見ているような感覚になりました。
決してすべてが分かりやすいハッピーエンドではありません。しかし、不器用ながらも必死に自分の答えを見つけようともがいている登場人物たちの姿を、静かに応援してくれるような優しさに満ちています。
まさに眠れない夜に読みたくなる一冊でした。
Posted by ブクログ
「名前のつかない関係」に惹かれる方に全力でおすすめしたい短編集。
どの作品にも根底に「完全に重なり合えない寂しさ」のようなものがあり、でもそれを抱えたまま生きていくことへの肯定も感じられたのが良かった。
どの話もとても良かったけど、「明日世界は終わらない」「家族の事情」が特に好き。
Posted by ブクログ
とても面白かったです。
どの登場人物もカッコよくてかなりタイプな男の子でした。すべての登場人物を好きになった小説は初めてです。
こんな素敵な人に出逢いたいと思える作品でした。
Posted by ブクログ
めっちゃ好き。誰にも言えない寂しさを抱えてる人に読んでほしい。
ダメ男好きの双子の姉が弟に、貴方の義兄にしていい人を探してきてと言われた話が1番好き。
寝れない夜に読みたい静かな雰囲気を宿ってる短編小説。登場人物がみんな淋しさを抱えていた。
Posted by ブクログ
単行本も持ってるけどもちろん文庫も購入しました。やはり持ちやすいサイズが好き。
何度読んでも心地よい余韻が感じられる。
書きおろしの話も好きだった~。深沢仁は夜と終わりが似合う作家だ。
あとがきがあったのもうれしい。夜行性なんだ、どうりで。
特に好きなのは「明日世界は終わらない」「家族の事情」「砂が落ちきる」
何度も言うけど、わたしは成田光洪に滅ぼされたいの。
Posted by ブクログ
書店でおすすめされていたので手に取った一冊。
すごく好きな作品集だった。
「明日世界は終わらない」が一番好みではあるけれど、全部良かった!
こういう切ない余韻を味わえる作品、久しぶりでドキドキする…。
友情や恋愛とかいうわかりやすい何かに分類されない、なんともいえない関係のなんともいえない感情が詰まっていて、日常では味わえない複雑な気持ちになりました。(いい意味で)
いやー、本当にキャラが魅力的!好きだな、と思うキャラがたくさんいて、たまらなかった。
Posted by ブクログ
なんだろー。
ちょっと描かれてる女性が島本理生さんの描く女性と似てる気がしてなんか既視感がある気がしたけど、全体的にこの世界観が好き。
不思議な感覚。
なんか切ないというかいつまでも読んでいたいと思う心に残る感じ。
どの作品も好きだけど、「家庭の事情」の杏子はちょっと怖い笑
何気に番外編の「そしてゆっくりと眠る」が1番好き。
Posted by ブクログ
短編で、ここまで余韻が残る作品は初めてだと思う。
すっごく良かった。すきだーーー。
もっとこの世界に浸っていたい。この人たちのその先を見てみたい。
Posted by ブクログ
夜を過ごす人々の切なさと寂しさがそれぞれにポツンと存在していて名前のつけられない関係性は永遠ではなく刹那的で儚く感じる
どの物語も凄く良かったけれど「砂が落ちきる」の余韻がえぐい…なんか夢みたいでふわふわしていてまた夢を見たくなる
Posted by ブクログ
「この夏のこともどうせ忘れる」の作者の短編集。
「明日世界は終わらない」と「家族の事情」と「砂が落ちきる」が好みだった。前作もそうだったけど、全て続きが読みたくなる。
「来世あたりではきっと雌雄同体の魚になって、この群れで暮らせますように」とか「どちらかが幸せなら、どちらも幸せってことなんだろう、きっと」とか「ここで寝て、起きて、そこにいるあなたを見つけたときに自分が抱く感情に名前のないことが怖い」とかそれぞれ名前の付けにくい関係性を表してる文章が印象的だった。