あらすじ
最後の日に。最愛の人と。
致命的な心の傷を、人はいかにのりこえうるか?
ささやくような美しい声で、答えてくれる物語。
(川上弘美 / 作家)
旅をするとき、人は同時に、命を見つめているのではないか。
(西加奈子 / 作家)
この“旅”の体験と記憶は、いつまでも失われない。
自分もいつかは“最高の旅”を誰かとしてみたい。
人生に終わりはないのだ。
(小島秀夫 / ゲームクリエイター)
どこまでも続く青い空と海。エミルとジョアンヌは、南フランスの陽光きらめく中を旅していた。猫のポックとの出会い、海辺での穏やかな日々、ジョアンヌのマインドフルネスの教え。時にぎこちなく、時に深く心を通わせながら、2人と1匹は静かに時を紡ぐ。しかし、旅は穏やかなだけではない。進行する病と薄れゆく記憶はエミルをゆっくりと蝕んでゆく。残されたわずかな時間の中、互いの存在を支えに進むキャンピングカーは最期の目的地へ。失うことの痛みと、それでも生きることの輝きを描く、愛と再生の旅路。
爽やかな筆致で描く、命と愛、生きる喜びについての感動大長編後編。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
若年性アルツハイマーで余命2年を宣告された26才の青年エミルと人生最後の旅をすることにした29才の女性ジョアンヌの物語。
美しいピレネー山脈を背景にキャンピングカーで旅を始めた2人。
ネットで募集した「最後の旅」に応募したジョアンヌには彼女なりの苦しい過去があった。
過去を捨て去りたいジョアンヌと未来の無いエミルが「今」を楽しむ最後の日々を過ごす。
最後の最後をどう2人が過ごすのか、ハラハラドキドキのラストで涙が止まりませんでした。
Posted by ブクログ
翻訳小説にありがちな読みにくさが無く、リーダビリティの高い小説。
2人の魅力的な主人公、エミルとジョアンヌが、それぞれの問題を2人で乗り越えながら旅をする。
若年性アルツハイマーのエミルが、ジョアンヌにとってどういう存在だったのかが判明する後半からは、また物語が違う方向へ動いていく。
最後は悲劇的な終わり方になる違いない運命なのに、ずっと希望がある。その希望に向かって読者も伴走していく。
そしてその期待に背かない、そういう物語だった。
魅力的な言葉をジョアンヌがエミルに教えていくのだが、読者である私にも刺さるものがあった。
「最も深くて悲劇的な旅立ちは、結局はなされなかった旅立ちである。」ジャン・エテシエ・ブレ
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幸せってなんだろう。別れは避けられないものだけど、でもそれに向き合うことができるというのは、残される者にとっても、旅立つ者にとっても、恵まれた事なのかなと思った。上巻では全てを成り行き任せにしていたジョアンヌが、自分で考えて決断を下したのが良かった。
悲しいけど、希望のあるラスト。ジョアンヌのこれからの人生が、力強く美しくあってほしい。
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若年性アルツハイマーで余命2年と診断された男性が、最後の旅に出る話
素敵だと思ったこと
ジョアンヌが、ブルートムや退行したエミルと接する時。「話を合わせる」のではなく、「彼らの世界に入る」という表現だったり
エミルがジョアンヌを忘れて過去の自分に戻っていることを「別の世界に行ってしまっている」と捉えていたこと
自分の世界(の常識やルール)以外にも、世界があることと認識して、尊重すること
言葉で言うのは簡単だけど、実際にはすごく難しいことだよね
エミルがどんどん退行して、最後には子どものエミルが残った。1番根っこにあるのはお母さんだったんだ。ジョアンヌも自分の息子を亡くしたときに、息子ときちんとお別れができなかったことをエミルの母に重ねて、
エミルと家族で最後の時間を過ごせるようにした。それはエミルの両親にとってどれだけ救いになっただろうか
エミルはエミルで、自分の記憶がどんどんなくなっていくことを自覚して、今の自我が残っているうちに、ジョアンヌに言葉や環境、家族への伝言を残していた
見えないところでそれぞれがそれぞれを大切に思い合って、大事な人が悔いなく幸せに過ごせるように、という心からの行動
あとは、トムの面倒は僕が見るから、っていうエミルの言葉がとてもよかった
最愛の息子に先立たれて、パートナーももうすぐ死んでしまう。
こんな悲劇的な状況も、息子が天国で1人で寂しい思いをしないよう、先に行ってトムを見守ってくれる、大好きな2人が先に待っててくれると思ったら。ジョアンヌにとっては救いになっただろう。
ジョアンヌにとって死は2人との再会になるから。
大切な人の別れや自分の死は、いつか必ず来る
それはいつか分からないし、思ったより早いのかもしれない。必ずしもエミルのように覚悟した上で迎えるものばかりじゃない(ジョアンヌととトムはそうだった)
この本を通じて勝手に読み取ったのは、
joy of givingが人間の根源的な幸せなんだってこと
人に与えることで、自分が幸せを受け取ることができる
善意を受け取ることは、相手を幸せにすることになる
自分の願いを叶えてくれたジョアンヌが自分の死後1人にならないように、力を尽くすってことが、
死を目前にしたエミルの救いになったんじゃないかな
わかんなくなる時もありそうだけど(今もそう)
自分の中で大切な価値観な気がする
忘れないようにしたい
Posted by ブクログ
エミルとジョアンヌが旅をしながら絆を深め、自分たちが真に生きていると感じられる日々を送っている姿が、楽しくもあり、感動的であった。
下巻では辛い出来事も多く訪れたが、最後までエミルに寄り添うジョアンヌの姿に胸を打たれた。
また二人の出会いから、様々な人との出会いが描かれ、人と人とのかかわり合いの美しさ、尊さをすごく感じた。
読むのに時間がかかったけど、だからこそこころに残る作品になったと思う。
Posted by ブクログ
素晴らしい物語でした
生と死に向き合い、時に絶望し、暗闇に飲み込まれながらも
今、この時を大切にする
そんなマインドフルネスの精神と共に描かれていくこの物語は、私の心に深く、優しく染み入ってくるものでした
生きていることの素晴らしさを壮大なピレネー山脈の景色や自然とともに語りかけてくるこの作品を、今読むことができて幸せさえ感じます
生きていれば辛いことは必ずある
でもそれは、生きているからこそであり、生きる意味でもあるかもしれない
人は一人では生きていけない
改めて感じることの出来る物語です
Posted by ブクログ
上巻はエミルの変化がメインだったが、後半はジョアンヌの変化がメインだった。
ジョアンヌはなぜ、エミルの投稿に反応したのか。その答えが分かった。あの結末はやや驚いたが、彼女にとっての再生はこれから始まるのかもしれない。そういう希望も感じさせる終わりでもあり、とても良かった。
Posted by ブクログ
上下巻の長編ですが下巻は涙なしでは読めませんでした。哀しみの涙ではなく優しくて温かい涙。
外で読むのはオススメしませんw
自宅でゆっくりとほしいです。
若年性アルツハイマーの主人公とともに旅をする話です。自然の景観の描写もさることながら人の弱さや強さの描写もわかりやすく感情移入しやすい本でした。
優しく強くありたいと思わせてくれる1冊です
Posted by ブクログ
上巻がエミル過去編だったとしたなら、下巻はジョアンナ過去編。しかしジョアンナの過去が本当につらい。
エミルは元カノへの執着と理想の僕への固執、ジョアンナは自己および家族の尊厳と、も〜きみたちなんでくっついたの!!!と言いたくなるようなリアリティ。だって現実ってそんな感じだもんね。いやそれにしてもアンドレ家はマジ出禁。こっちが寛大にしてやればつけやがりやがって(真に怒りで震えながら読んだのだ)
父ジョゼフを軽率に扱い、ジョアンナは愚弄され、なによりも大切だったブルートム。そのままで生きていることに何故誇りを持てない?何故愚かな親より自分の家族を守れない?髪の毛!!!もしやリアルで遭遇した青臭男たちの煮え切らなさにキレて、作者はこの作品を書いたのでは?と思ったほど。
ピレネー山脈の描写の美しさとか、エミルの最期の登山とか、ジョアンナの屹立とした人間性の美しさとか、出会った人たちのあたたかさとか、生と死の意味だとか、死は単なる死でなく自分の中で生き延びるのだとか、瞑想を通しての今ここに立ち返ることだとか、そういうことが全部極悪アンドレ家のせいで記憶が飛びそう。ある意味で強烈な読書体験だったともいえる。
Posted by ブクログ
26歳若年性アルツハイマーとなったエミルが、最期の過ごし方を自分で決めていく物語。上巻は、エミルとジョアンヌの旅をテレビ画面を見るように、読み進めた私でした。
けれども下巻は、彼らと一緒にキャンピングカーに乗り、一緒に旅をした感じがしました。美しい自然と、時に過酷な天候さえも、人々との関わりの中で、人生を彩ってくれます。
お互いの過去を知らない2人が、次第に自分から過去を話し、理解を深めていく・・・
人は辛い過去を思い出したくない、忘れたいと思うこともあることでしょう。でも、人に話す(吐露することは、文字に書くことでもいいと思います。)ことによって、自分のそれを、俯瞰して見ることができるのですね。まっさらにしたいと思う過去であっても、『今』の自分はその過去があってこその『今』なのだと、気づくことができるのです。経験に無駄はないと、気づけることは幸せなことだと思います。
まさしく、自分探しの旅を2人は続けます。最後に自分の心の傷を癒してくれたのは、自分を理解し受け入れてくれる人の存在が大きいのは、否めません。
人の思いの絡まりは、単純に解けるものではありません。もつれながら、ほどきながら、その塊を慈しみながら、生きていきたいと思います。
死に向き合う物語であると同時に、残された人がその死と一緒に、生き続けるという物語でもあると思います。
Posted by ブクログ
エミルの病状が悪化する毎日。
ジョアンヌの過去とエミルの思い出が
交互に描かれ、2人の想いに共感しながら
物語を読み進めることができた。
『普通』の関係とはいえない2人の周りには、
何故かいつも支えてくれる仲間たちがいるのも、
心穏やかに、癒されるところだった。
見ず知らずの旅人の2人に
なんでこうも優しく接することができるのだろう。
ジョアンヌの息子、ブルートムの話は苦しかった。
彼を思い続けるジョアンヌの母としての想い。
母としての強さ、優しさが最後の最後まで
表現されていたところが、
とてもカッコよく、世界中の理想の母親象だったのではないかと思う。
終盤、エピローグまで全部良かった。
最後はそうなんだろうなと思っていたが、
やっぱりこの結末になったことが、
同じ女性として相当に嬉しい。
子を持つ幸せ、子を持たない幸せ、
どちらも正解はなく、否定もできないのである。
登場人物全員の心のモヤモヤが、
最後は全てとっぱらえて、
気持ちの良い小説だった。
素敵です。
Posted by ブクログ
エミルとジョアンヌ。それぞれの過去に負った傷や抱えている問題をお互いの存在によって軽くできた旅だった。
フランスの地方の街や自然がその色彩と共に鮮明に2人の旅を彩っており、想像を掻き立てられる物語だった。
エミルは願った通りの最期を迎えられたし、ジョアンヌはエミルからの贈り物を受け取り、幸せな結末を迎えられて、とても後味のよいエンディングだった。
アルツハイマーの終末は酷いから、この物語ではどうなるのかと思っていたけれど、2人の周りには支えてくれる素敵な人達がいて、この結末で良かったと思えた。
2人がしていた、明言を壁に書いていくのも楽しそうだったな…
Posted by ブクログ
旅を始めた時は「期待するものは何もない」と明るく快活だったエミルが、世界の美しさやジョアンヌとのつながりを知り、次第に自分の行く末を怖れふさぎ込むくだりは、胸が締め付けられるようだった。またジョアンヌが、トムを失った自分とエミルを失う母を重ね合わせて、「自分がしていることはまちがっている」と思う場面にもはっとさせられた。
自閉症のトムの母であり彼を失ったジョアンヌが、記憶を無くしていくエミルと出会い、互いに理解を深め合っていく様子や、子供に戻っていくエミルの描く絵が、ジョアンヌではなくて姉のマジョルリーであることなど、一つ一つのことがつながりをもって物語に深みを出しているように感じた。
姉のマジョルリーや両親が、エミルとジョアンヌの旅を理解してくれて本当によかった。エミルが亡くなるのは残念だが、未来に向けた明るい希望が見える、これからのジョアンヌやエミルの姉、両親の人生が楽しみになる結末だった。
心が満たされる読後感。間違いなくこれまで読んできた中で10本の指に入る、「この本に出会えてよかった」と感じるすばらしい作品だった。
Posted by ブクログ
まるで1本の映画を観たような感覚になった。フランスの大自然の情景が美しい文章で描かれ、まるでその場で一緒に旅をしているかのようだった。エミルはジョアンヌに出会ったことで、希望していた最期を迎えられ、ジョアンヌはエミルに出会ったことで、人生を取り戻した。上下巻あり、分厚い本だったが、体感としてはあっという間に終わってしまった感じがする。読み終わって胸がいっぱいで、涙が堪えられなかった。装丁も美しく、ずっと本棚に飾っておきたい作品に出会った。
Posted by ブクログ
エミルとジョアンヌの旅は続く。エミルの病状は着実に進行し、記憶の混同が起こるように。ジョアンヌは自身の悲しい記憶と少しずつ向き合い、心に変化が生まれていく。
そしてエミルは、ついにジョアンヌのこともわからなくなっていく…
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エミルはどんどん本来の自分を保てなくなっていく。すぐそばで支えるジョアンヌは、どれだけ辛いだろう。上巻でエミルとジョアンヌの信頼の深まりを感じていただけに辛い…。
それでも、エミルの望みを叶えようと最期まで向き合うジョアンヌは、本当の意味で強く、美しい。
命を全うする尊さと、愛の深さを感じる物語。
Posted by ブクログ
迫り来る「死」に向き合う人、「死」を見送る人、死が描かれるほどに、それに反して「生きること」がより濃く感じる。エミルとジョアンヌが出会った人、町、村、エウスのミルティユ、漁村のセバスチャン、パーマカルチャーの村のマルコ…どれもが必然で、2人を導いているようだった。
ジョアンヌが抱える過去は癒しようの無いほど深い傷で、それでもエミルとの旅、出会いを通して、ゆっくりと再生していく。一方、エミルの症状は悪化していくが、彼の望む形で過ごさせてあげようとするジョアンヌの献身に彼女の静かな慈愛を感じた。
最後の数章はぜひゆっくり味わってほしい。
ジョアンヌ!そんな状況でエミルの最後を見届けたのねとか、エミルの残したジョアンヌへの贈り物とか。
読み終わった後、世界中を何周も旅して人生を何度も繰り返して…それくらい心がいっぱいになる(語彙力のなさが悔やまれる)とんでもない本でした。
それから、ジョアンヌと父ジョゼフが時々語る名言が素敵で、どれも書き留めておきたい言葉。
『真の発見の旅は新しい景色を求めることではなく、新しい目を持つことだ』プルーストの一節
『もっとも偉大な旅人とは、自分自身を見つめ直すことができた旅人だ』孔子
『美しさとは見たもののなかにあるのではなく、それをみる目の中にある』フランスの作家ジャン=ルネ・ユグナン
『毎日毎日がそのなかに永遠を宿している』
『世界ではいつだって、誰かが誰かを待っている』パウロ・コエーリョ【アルケミスト】
【アルケミスト】からの言葉は最多。以前読んだ時より、この本を読んだ後の今読み返したら、味わい方が変わりそう。
Posted by ブクログ
長い長いロードノベルの下巻。読み始めた時にはその分厚さに圧倒されていたのに、読み終わる頃にはまだ終わらないでほしい、と思わされました。作者が最初につけたタイトルはそのまま使わなくて個人的にはよかったと思う。とても良いお話でした。これだから読者はやめられない。
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旅と共にお互いの事を知り、大切に時間を経たせていく。ジョアンヌの過去が少しずつ明らかになってその痛みに心がしめつけられ、記憶を無くしていくエミルの恐れと見守るジョアンヌの哀しみ、この2人の出会いと旅が奇跡だと思う。
美しい風景と美しい人間の心情、素敵な物語です。
Posted by ブクログ
ネットの掲示板で知り合った二人。男は過酷な運命から逃れる旅に出るために、女は新たな運命の導きに従って、選択した結果だった。
主人公の若年性アルツハイマー発病という男側の背景が明かされ、物語が動き出す。旅はキャンピングカーでピレネー山脈を巡る、うらやましくもあるものだった。美しい景色、素晴らしい出会いと同時に若年性アルツハイマー病がこの旅の本質をつき付けてくる。旅の合間、病の合間に女性側の事情が自分語りで明かされ、男と読者は共にその人生を知ることになっていく。
男、エミルの症状が深刻になるに伴い、旅は移動から移住に近いものになる。女、ジョアンヌはエミルの希望する最期をかなえるため環境を整えるが、それは自らの魂を蘇らせるものでもあった。
本人の希望とはいえ、死に関わることで縁者に連絡をしないなんて、とか、アルツハイマー型の認知症で便や尿の匂わない介護なんて、とか諸々が心の片隅に引っかかっていたが、エピローグを迎える頃にはボロボロ涙を流していた。
西行法師の辞世 『願はくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ』 を思い出し、人生は愛すべきものだと知る一冊だった。
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下巻は謎が解けると共に、2人の関係が急速に近くなっていく。雄大な自然の中、様々な人と出会いながらも、病魔は確実に進行し、そして最後を迎えることになる。
ロードノベル、恋愛小説であるけれど、家族とりわけ母という存在が大きい。
ハッピーエンドで終わったこと、なんだか本当に嬉しい。
Posted by ブクログ
涙腺崩壊。ラスト2時間くらい泣きながら読んだ。
この本が映画化したら、絶対見たいと思った。
旅先の風景や登場人物達が、頭の中で鮮やかに浮かび上がるような、美しい小説だった。
下巻はジョアンヌの視点で、過去の回想が入りながら、エミルとジョアンヌの旅を描く。
エミルがブラックアウトする度に、ジョアンヌと一緒におろおろして、涙を流してしまった。
ジョアンヌにとってエミルは、天国のお父さんからジョアンヌへの贈り物だった。
最後の旅の中で、ジョアンヌが気付いた自らの過ちと、その後にとった行動が圧巻。涙腺崩壊。
Posted by ブクログ
どうしたって余命が宣告されている病気はツライ。そんな中でもピレネー山脈の大自然が二人を優しくつつみ込んでいく。
ジョアンヌがエミルと共に最後の覚悟の旅に出てエミルがいよいよというときに両親に連絡をしてお看取りができたのがよかった。最後にエミルが母親を求めていたことに心がぎゅーっとなった。エミルが最後に見た空は、ほんとにはてしなく青だったんだろうな。
Posted by ブクログ
初めて読んだフランス人作家による小説。上下合わせて800ページを超える長編の感想をまとめて。
若年生アルツハイマーによって、記憶と生命が徐々に蝕まれていく青年エミル。
エミルが投稿サイトで募集した最後の旅のお供に唯一返信をした女ジョアンヌ。
それまで無関係だった2人がキャンピングカーでピレネー山脈への旅路を始める。
自分の死期がわかるのって、今までは絶望でやるせないことだと思っていたけど、それはひょっとするとこの上なく幸せなことなのかもしれないと初めて思った。自分の生き方(死に方)を決められるからだ。エミルは旅に出た。自分ならどうするだろうか。まだわからないし、想像もできない。後半に進むにつれて病魔がエミルを襲う。感動ドラマに期待するような劇的で奇跡的な回復など起きない。死は誰にでも平等であり、同時に不公平であると思い知る。
エミルだけでなく、ジョアンヌもこの物語の主人公である。物語が進むにつれて、一番変わったのがジョアンヌだ。エミルをはじめとする人々との出会いや対話、そして大自然の中でのトレッキングや瞑想など、時間をかけて苦しい過去と向き合い、それを最後は決断する強さに変えた。今回の読書の中で、第三十一章の彼女の行動に最も心が動かされた。不思議な関係だった2人が旅を通じてお互いに関わり合うことで、心が混ざり合い信頼関係が生まれる。
これは恋愛物語ではなく、もっと果てしなく巨大で、宇宙を感じるような、美しい愛の物語である。
読んでいて気になった。エウスとはどんな場所なんだろう。いつか行ってみたい。
○お気に入りの言葉
「太陽がもう出ていないと言って泣いたら、その涙で星が見えなくなるだろう。」
「命を生み出す前に、命を愛し、命を愛させなければならない。」
「受け取ることは寛大な行為だ。受け取ることを受け入れるのは、相手が自分を幸せにするのを許していることだ。そして、あなたも相手を幸せにしていることになる。」
「もっとも深くて悲劇的な旅立ちは、結局はなされなかった旅立ちである。
「世界ではいつだって、誰かが誰かを待っている。」
「毎日毎日がそのなかに永遠を宿している。」
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娯楽の為の本では無く、読んだ者の血となり肉となってくれるような本でした
これがデビュー作ならば、長生きせねば
これだから、読書はやめられない
⚠︎娯楽の為の本が悪いと言っている訳ではないのであしからず
Posted by ブクログ
若年性アルツハイマーで余命2年と宣告された青年エミルが、臨床試験を受けさせて病院にしばりつけようとする家族や、腫れ物に触るような接し方をする友人から逃れるために、人生最後の旅を共にしてくれる人を募る。応じたのは、ちょっぴり風変わりな若い女性で…
長篇だけど、一気に読めるおもしろさ。素直に感動しちゃって、最終章は涙。雄大な自然の描写も美しいし、訳者さんもあとがきに書いていたけど、映像化にぴったりだと思う。
Posted by ブクログ
生きる意味を考えさせられた。
今、私は会社員として毎日変わらない生活を送っている。平日は、仕事と家の往復でこんな生活が続くとゾッとすることもある。
この本を読んで、私なりの生きる意味とは思い出作りなのかなとも思った。いろんな経験して、たくさん辛い思いして、でもそれを乗り越えて、いろんな感情を知っていく。そんな人生にしたい
Posted by ブクログ
お見事!!
上下巻800頁以上の大作。上巻は、現在と過去を行き来しつつの序盤の展開に、どうにも乗り切れないもどかしさがあったが、下巻に入ってからの加速度は他に類を見ないほどだったかも。
若年性アルツハイマー型認知症を患う主人公エミルが、人生最後の旅にでる。 旅のパートナーをネットで募り、一風変わった女性ジョアンヌが名乗りをあげる。
いわゆるロードノヴェルのスタイルで物語は展開し、ピレネー山脈沿いを北へ南へ、風光明媚だったり、歴史ある集落、海辺で暮らす、どことなく優雅で気ままな旅だが、エミルの病状の進行に伴い失われていく記憶と、寡黙で謎めいた女性ジョアンヌの過去が明らかになる様子が、丁寧に描かれている。
若年性認知症というものを、具体的に意識したことはなかったが、記憶が一瞬途切れるとか、昏倒するほか、過去が混在し、今の自分が失われていくことの恐怖が、実に巧く描かれていて感心する。
確かに、そんな患者に日常生活を送らせては危険が伴う。ましてや旅するなんて、と思ってしまうが、エミルを支えるジョアンヌが、実に逞しい。
上巻のころによく発せられた「大丈夫」や、「覚悟はできている」という彼女の気丈な言葉は、実は表面的なものではなく、彼女のこれまで過ごしてきた時間から産み出されてきているということが、物語が進むごとに明らかにされていく。
青、ブルートム、レオン、過去と未来、ジョゼフ、そして旅先で出会った人々、ポック、母と子の関係、そして命とは? 様々な伏線が、ことごとく意味を成す。
ややスピリチュアルな世界観に偏りがちではあるが、終盤は、そう来たか!? の連続で、久しぶりに滂沱、だった。
要所で引用される名言(ジョアンナが父の教えとしてエミルに語ることが多い)の数々も、最初はちょっと、とって付けな感じもしていたのだが、だんだんハマってくるようで、良かったかも、
『アルケミスト』は、読まないとな!!
Posted by ブクログ
上下通して大自然を最後の旅、とするのは良いなあ、という描写が続く。自然の描写はとにかく引き込まれる。
ただ主人公ならず一緒に旅する女性もまあ身勝手。心配する人はどこ吹く風で旅に逃げる。最後感動はしたものの終始その点が気になった。
Posted by ブクログ
上巻に比べたら
さくさく読めた
世界の人々は
あらゆる場面で、ぴったんこな名言を
ポッケから出すみたいに簡単に口にできるのか
名言なんて1つも捻り出せんのだが
ダメ人間なんだろうかと己を顧みる
アルケミスト、読んだことあるけど
フーン…としか思わなかったな…
感受性、だいぶ足りてないのかな…
それはともかく
上巻では男主役の元カノがヤな奴で
下巻は女主役の元旦那がヤな奴だった
どっちの主役にも
はよ目を覚ませや!って言いたい
それもともかく
男主役目線だけで進んでた上巻から
女主役目線が突然割り込んできて
また男主役目線に戻ったり
最初から両方あれば気にならないけど
…
…
いや今気づいたけど
なるほど、女主役目線の増え方は
男主役の記憶がなくなるのに
反比例してんのか
な?
全然違うかも
特別な感想を抱かなかったけど
とても読みやすい邦訳だったし
時間はかかったけど飽きなかった
星はフツーの3つ