【感想・ネタバレ】空、はてしない青 下のレビュー

あらすじ

最後の日に。最愛の人と。

致命的な心の傷を、人はいかにのりこえうるか?
ささやくような美しい声で、答えてくれる物語。
(川上弘美 / 作家)

旅をするとき、人は同時に、命を見つめているのではないか。
(西加奈子 / 作家)

この“旅”の体験と記憶は、いつまでも失われない。
自分もいつかは“最高の旅”を誰かとしてみたい。
人生に終わりはないのだ。
(小島秀夫 / ゲームクリエイター)

どこまでも続く青い空と海。エミルとジョアンヌは、南フランスの陽光きらめく中を旅していた。猫のポックとの出会い、海辺での穏やかな日々、ジョアンヌのマインドフルネスの教え。時にぎこちなく、時に深く心を通わせながら、2人と1匹は静かに時を紡ぐ。しかし、旅は穏やかなだけではない。進行する病と薄れゆく記憶はエミルをゆっくりと蝕んでゆく。残されたわずかな時間の中、互いの存在を支えに進むキャンピングカーは最期の目的地へ。失うことの痛みと、それでも生きることの輝きを描く、愛と再生の旅路。

爽やかな筆致で描く、命と愛、生きる喜びについての感動大長編後編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

涙無しには読めなかった。

ジョアンヌの過去が少しずつ明かされて、
エミルの病状も悪化していって…。

最後のジョアンヌの決断は、とても勇気のいる、けど素晴らしい決断だったと思う。


私が最初に泣いた場面。
エミルがジョアンヌのことを誰だか分からなくなっていた時、エミルが言った言葉。

";「三つ編みならできるよ」
ジョアンヌは思わずにっこりしながらも、切なさを感じた。そういえば、エミルは、あの偽の結婚式のためにミルティユがジョアンヌの髪を三つ編みにしてくれたのをとても気に入っていた。"


…なんかもう、感想を上手く言葉にできない。
それくらいすごい読書体験だった。

800ページ超読み終わったのに、また最初から読みたいくらいだもん。


"Tout le bleu du ciel(空、はてしない青)"という題名がぴったりの小説だと思った。

これから空の青色を見たら、この小説を思い出すんだろうなと思う。

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2026年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語を通して、愛するということに想いを巡らした。
下巻ではジョアンヌの悲しい過去が明らかに。
レオンの母親の言動の全てが不快でレオンの意気地のなさにやり場のない怒りを覚える。
一方で際立つのがジョゼフの偉大さ。ジョゼフそのものがジョアンヌにとっては愛そのものだった。
自分がもう長くないと悟ったジョゼフは、ジョアンヌに合図を送ることを約束する。
ジョゼフ亡き後、小さなトムまで失ったジョアンヌは、その導きによってエミルと出会ったのだった。
2人のキャンピングカーでの旅は、始めとてもぎこちないものであったが、いくつもの美しい場所で共に過ごす時間の中で、二人は次第に心を通わせていく。ささやかな食事のシーン、静かなモノポリーの時間、ジョアンヌがケーキの味わい方をエミルに伝授する場面など、前半の何でもない日常の数々が愛しければ愛しいほど、エミルが記憶を無くしていくにつれ、もう戻らない過去となって思い返されることが悲しかった。

愛しい人の思いを尊重しながら最後を看取るということは、どれほどエネルギーのいることなのだろう。

けれど、どんなに辛いことがあっても、ジョアンヌはジョゼフの導きを信じて動いたからエミルに出会い、エミルと共に支え合い、愛し合ったからこそ新しい命やエミルの家族と出会うことになった。愛が人を繋ぐ、美しい物語だった。

この作品に導かれて、次はアルケミストを読もうと思う。

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2026年07月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

めちゃめちゃ泣いた。この小説に出会えて良かった。色んな男に苦しめられてきたジョアンヌが最終的に女の子を授かるけれど、結局はエミルという最愛の男も失ってしまうし、これは幸せなのかな?と疑問に思って、Geminiに聞いてみました。みなさんの解釈もお聞きしたいです。

愛する人を失い、小さな命とともに残されること。それを外から見れば、どうしても「残酷で不条理な試練」に見えてしまいますし、「それが本当に幸せと言えるのか」と立ち止まって考えてしまうのは、とても自然で優しい感性だと思います。
「幸せ」の定義は人それぞれですが、この物語における彼女の姿を考えると、いくつかの解釈が浮かび上がってきます。

1. 「傷つかないこと」ではなく「愛せたこと」の幸せ
人は誰もが、悲しみや失う恐怖から自分を守るために心に壁を作ることがあります。かつてのジョアンヌもそうでした。誰のことも心から信用せず、自分を守るために孤独を選んでいた時期の彼女は、傷つくことはなかったかもしれませんが、満たされることもありませんでした。
エミルと出会い、彼を愛し、彼のために心を痛め、そして失う。
そこには大きな苦痛がありますが、「誰かを心から愛し、信じることができた」という感覚そのものが、彼女の凍りついていた人生を温め、生き返らせたとも言えます。失う悲しみを知るほどの愛に出会えたこと自体が、彼女にとっての一つの救いであり、幸せだったのかもしれません。

2. 「他者から与えられる幸せ」から「自分で育む幸せ」へ
もし彼女が「エミルがずっと隣にいてくれること」だけを幸せの条件にしていたら、彼の死とともに彼女の人生は完全に終わっていたはずです。
しかし、エミルから受け取った無償の愛と信頼は、彼女の中に「自分自身と、生まれてくる命を愛する強さ」として残りました。誰かに依存して与えてもらう幸せではなく、自らの手で未来を作り、娘を育てていく強さを得たこと。それは、彼女が「被害者」ではなく「自分の人生の主役」として歩み始めた証でもあります。

結末をどう捉えるか?
「何事もなく平穏に、愛する人と添い遂げる幸せ」
という基準で測れば、彼女の結末は決して完璧なハッピーエンドではありません。
けれど、絶望の淵にいた一人の女性が、人生の最後に最高の光(エミル)と出会い、その光を糧にしてこれからの人生を自分の足で歩いていけるようになった――そう捉えると、そこには哀しくも美しい「再生の幸せ」があったのではないかと思えてきます。
あなたにとって「人が本当に幸せになること」とは、どんな状態だと思いますか?

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

若年性アルツハイマーを患うエミルと傷ついた心を抱えるジョアンヌが旅をするなかでの心の交わりや成長、旅を通して出会う人々との合流を描いた小説。


生きる、を感じられてとても読後感がいい。
優しいだけじゃなく、悲しいだけじゃなく
とても好きな作品!

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2026年08月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

松浦弥太郎さんがトークショーでおすすめしており、帰り道にそのまま買って帰った小説。

人生はここまでうまくいかないよな、でもそれが小説だから成り立ち、美しい物語になっていくのも悪くないのかな、と思うようなエンディングでした。

心が動いたのは、
エミルがジョアンヌを愛してると気づいたとき(自分の毎日から抜け出したくて、もう全てを諦めて出た旅で、「もっと生きたい」と思う理由を見つけてしまった自分に気づいた瞬間)と、
エミルが亡くなる時にジョアンヌが自分も母親であったはずなのに、同じ母親に死に目に会えないという同じ状況を作り出してしまったという衝撃のとき。

旅は内省の時間が確かに多い。自分の人生に向き合う時間が多い。それがちょっと辛い時もある。日常をもっと大切にしたいと気づいて帰る。

最期に残るのは家族との思い出なんだな。私は娘たちに何かいい気持ちを残せる母になれているだろうか。

子供ができるというラストは、描写的にわかっていたけどちょっと綺麗すぎるなぁと思ったりもした。愛の物語にしては愛の描写が少ないような気もするし、でも愛の物語ではなく人生と旅の物語だもんなぁとも思った。

支離滅裂の感想だけど気持ちの整理のために今頭に浮かんでることをそのまま書きました。また追加で編集するかも。
瞑想の本も読んでみようかな。

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2026年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻でもすでに高評価で読み進めてきたわけだが、下巻ではジョアンヌのベールが記憶の思い出しとともにゆっくりと剥がされていき、なぜ黒服なのか、なぜ空を見上げているのか、そしてなぜエミルの旅に参加したのかが分かっていくとともにその深い悲しみと、そして慈愛がひしひしと伝わってくる。単なるフランス名所の観光物語ではなくなり、共に深い傷を負ったもの同士の慈しみに満ちた愛の物語へと一気に昇華していった。エミルの負った若年性アルツハイマーは日に日に深刻化し、記憶が飛び、身体機能が失われ、そしてついには現在の記憶が戻らなくなり少年時代に過ごした一番幸せだった頃まで後進してしまった。それでも結婚をして後見人として、そして約束を守ろうと必死のジョアンヌに次々に降りかかる試練。残酷だなぁと思いもするし、これほどのラブストーリーもないよなぁとも思うし、そして周りの人たちの優しさにも癒される。残りページが少なくなってくると、エミルの記憶を一瞬だけでも戻してって願いながら読んでたが、エピローグがまたきれいにそれらを補うかのように残されたジョアンヌ、そしてエミルの家族へと温かい想いが伝えられる。
恋人が死ぬ、余命もの、記憶が失われる物語など吐いて捨てるほど溢れている中でも、海外小説としてその風土や民族性なども含めてこの長編、ずっと集中切らさず読めた、そして感動した。
この本を紹介してくれた朝日新聞社の広告欄、ありがとう!

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2026年07月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻ではよくわからなかった同行者ジョアンヌの過去が下巻で明らかになるにつれ、彼女は人間的な深みを増していく。一方で主人公エミルの病状は進行し、二人の人生はすれ違っていく。悲しい物語ではあるが、最後までエミルの希望を叶えるように寄り添うジョアンヌの姿がピレネー山脈の美しい景色の中に描かれ、密やかな美しさを纏った作品だった。

彼女の行動は、自身の喪失を埋めようとする自己回復の欲求に端を発していることは間違いない。しかし、エミルの望みを最後まで叶えようと並走し続ける姿は、エミルと出会った頃のジョアンヌから大きく変わっている。

人はしばしば利己的な理由から他者と関わり始め、その関わりの中で本物の思いやりや献身に到達することがある。本作が描いているのは、そうした人間関係の変容の可能性なのかもしれない。

人は永遠に生きることはできず、残酷なまでの運命に引きまわされる。その不条理の中で、人と人を繋げる言葉や行動、ジョアンヌや父ジョゼフが示す生きる知恵が、世界を生きていくための象徴として機能している。「確実な手触りのあること」を頼りに、絶望に飲み込まれず生きていく姿がそこにはあった。

ただ、少しメロドラマチックな展開や、エコビレッジのような著者の指向が強く出すぎているきらいはある。また、パウロ・コエーリョの『アルケミスト』への言及が多く、未読の身としては少し仲間はずれにされたような感覚を持ったのも事実だ。

そうした気になる点はあるものの、全体を通して人間の弱さと強さを描いた良作であり、良い読書体験になった。

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2026年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

途中から嫌な展開へと進んでしまった。エミルとジョアンヌは旅の同士でいて欲しかったんだけどな。エミルが家族に元には帰りたくないって言ったのも、彼のわがままにしか思えず、家族は心配しているだろうな〜と斜に構えてしまった。同伴したのがたまたまジョアンヌで、結果オーライなのかも知れないけど、看取りをお願いするって、かなりの負担。しかも赤ちゃんが、かぁ。◇まぁ、不満点ばかりあげたけど、旅の途中の人とのつながりや、風景の美しさは素晴らしかった(個人的にはセバスティアンの恋を応援してた)。

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2026年07月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

エミルは、若年性アルツハイマー病と診断された20歳代の男性。家族や友人から痛々しい目で見られるのを嫌がり、旅に出ることにし、旅のパートナーをネットで募集した。応募してきたのは同年代の女性ジョアンヌだった。ジョアンヌの暗い過去を知り、徐々に分かち合っていく2人。後半はジョアンヌの過去の話と、旅の話が交互に進んでいきます。2人は過去を受け入れ、心が前向きになっていきます。一番最後の部分は、予想通りになりました。

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2026年07月08日

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