あらすじ
埼玉で二歳の子を含む一家三人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚が脱獄した! 東京オリンピック施設の工事現場、スキー場の旅館の住み込みバイト、新興宗教の説教会、人手不足に喘ぐグループホーム……。様々な場所で潜伏生活を送りながら捜査の手を逃れ、必死に逃亡を続ける彼の目的は? その逃避行の日々とは? 映像化で話題沸騰の注目作!
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Posted by ブクログ
冤罪や死刑がテーマの作品。この手の作品は過去に読んだことがあるが、読後感が全く違う。ここまで救いがない結末は、初めてかもしれない。非常に悲しいが、より現実味がると思った。
冤罪と死刑は非常に重いテーマであり、立場や状況によって正義が変わるので難しいとされていると思う。
今作は冤罪者の目線で描かれているので、冤罪者に肩入れをして読んだが、自分と近い存在が殺された場合、遠い存在が殺された場合、警察組織の人間だった場合になって考えると180度感想が変わると思う。
Posted by ブクログ
とにかく切なく、やるせなさを感じる読後感の作品でした。各章を通して分かる鏑木慶一の人間性の素晴らしさからの最後の2章は本当に素晴らしかったです。鏑木慶一目線でなく、関係を持った人物からの目線で描かれる物語だったのも良かったです。600ページ越えのボリュームも気にならないくらいの素晴らしい作品でした。
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染井為人さんの『正体』は、ページをめくる手が止まらない極上のサスペンスでした。
逃亡犯を追う物語でありながら、本当に描かれているのは「人は肩書きや過去だけで判断できるのか」という問いです。主人公が出会う人々との交流を通して、ニュースや世間のイメージだけでは見えない人間の姿が少しずつ浮かび上がり、善悪の境界について何度も考えさせられました。
章ごとに異なる視点で物語が進む構成も秀逸で、真実が少しずつ明らかになるたびに緊張感が高まります。ただの逃亡劇では終わらず、社会の偏見や司法のあり方、人を信じることの難しさまで描き切った読み応えのある一冊でした。
ラストは切なさと希望が入り混じり、読後もしばらく余韻が残ります。エンターテインメントとして面白いだけでなく、「正義とは何か」「正体とは何か」を静かに問いかけてくる、心に深く残る作品でした。
Posted by ブクログ
最初は彼が、本当に人殺しなのかと思っていた。
でも工事現場にいた時から人の良さや正義感を感じ、きっと何かどうしようもない事情があって罪を犯したのだろうと思っていた。
その後読み続けて、彼は姿や名前は変えるけども、根本の性格は一切変えていないことに気づく。正義感は発揮するし、なんなら「スノーボードを1度だけやった」「好きな人と一緒に住んでた」なんて自分の特定につながるようなことを言ってしまう。
もしかして、彼は殺してないんじゃないか?凶悪犯ならば性格ごと変えるんじゃないか?そんな気持ちがだんだんと大きくなってきた。
そして、ラスト。彼の目的は逃げることではなく、立ち向かうことだったのだ。立ち向かうためには、なんとかして井尾由子のもとへ辿り着かなくてはならなかった。
彼が亡くならなければ、自分の潔白を証明したあとに、これまで一緒に働いた和也や淳二、節枝に必ず会いに行っていた。そして今度はカップルとして沙耶香と一緒に暮らしていたはずだ。
本当に胸が張り裂ける思いだけど、彼の死とこの本の存在をもって、冤罪がこの世からなくなることを願います。
※追伸: 調べたら映画版では鏑木は死なずに、生きて無罪判決を聞けるというハッピーエンドらしい。
Posted by ブクログ
星5
大好きな作品です。
殺人で捕まった主人公が脱獄して、色々な場所で色々な人に出会います。
物語は、その出会った人々の視点で進んで行きます。
果たして主人公は殺人犯なのか?
最後は、主人公が出会った人達が終結して、ある行動を起こします。
そこはセリフがないんですが、反って印象的で、目がウルウルしちゃいますよ。
Posted by ブクログ
まず、読みながら一番に思ったのが、この物語の構成だった。
とても上手く組み立てられているなぁ、と。
鏑木慶一の脱獄からの逃亡生活の物語である。
たくさんの人と関わり、その中で絆が生まれていく。私も引き込まれてしまった。
どんどん読み進めることができるぐらい、描写に臨場感がある。
読んでいる私まで、鏑木慶一に感情が入ってしまって、心が辛くなる気持ちさえ持った。
雪山で死のうとした渡辺淳二とのシーンでは、本当に切ない気持ちになった。鏑木慶一はどんな気持ちで生きてきたのかが窺える場面、そして彼の優しさと強さ、温かさを一番感じられた。
警察に追われ、切迫した場面は私までドキドキした。
登場人物たちの葛藤も上手く描かれていた。
最後はなんか納得出来ない部分もあるが、著者の「あとがき」を読んで、流石!と思った。結末があれでなければならなかったのか、と。
人の人生、社会の問題、信じる強さ、温かさや優しさ、時には腹立たしさ…色んな気持ちにさせてもらえた一冊だった。
そして、現実問題として「冤罪」こそが罪であり、悪だと感じた。
人の人生まで理不尽に取り上げられる、恐ろしくて憎むべきもの。
つくづくそう感じた。
Posted by ブクログ
初めての600ページ越えの作品。読んで良かった。
鏑木慶一、死んでほしくなかった。
そう思ったけど、そうするしかなかった、冤罪の理不尽さを鏑木慶一という人物を通して伝えたかったという作者の意図を知って、納得した。
理不尽を前にして何ができるかなって考える。
Posted by ブクログ
誰がどうすれば良かったのかわからない、正解のない問題のような物語でした。
他人のことを信じることが難しいのはもちろんのこと、時として自分すら信じられないこともあると。
とはいえ人は、知らないこと、わからないことを恐れて排除しようとし、分かりやすく納得しやすい手頃な理由があればそれを真実のように思ってしまうことも存分にあります。
気を付けて避けられるものでもないですが、加害者にも被害者にもなりたくないものです。
理不尽や不条理は当たり前のように転がっていて、それに見舞われたとき、自分ならどうするか。
どんな結末になろうとも自分だけは己のことを誇らしく思えるように生きたいです。
Posted by ブクログ
かなりの分厚さだったけど、中弛みすることもなくあっという間に読んでしまった。
これは面白い。
死刑囚が脱獄し、あちこちで身を隠して警察から逃げ続ける。ただ逃げているのではなく、何やら目的がある様子。
この脱獄犯が、少し風変わりで頭が良く、真面目で不器用な好青年。潜伏先であの人この人のハートを掴んでゆく。本当にこの人は極悪犯なのか?
そして警察が追い詰めてもギリギリで逃げていく。
まさかの全くの冤罪であり、目的果たさず亡くなってしまうという結末は納得できず、ただただ鏑木が哀れだった。本当に何一つ悪くないのに。最後の最後で冤罪が立証できたのがせめてもの救いだけど、生きて勝利を勝ち取って欲しかった。
Posted by ブクログ
染井さんの文章はいつもとても読みやすく、こちらの本の内容は少し重めですが、どうなるの?どうなるの?と不謹慎ながらもドキドキしながら読み進みました。
詳しい感想を書いてしまうとネタバレになってしまうので書きませんが、とてもお勧めできる1冊です。
(^^)
Posted by ブクログ
本を読む気になるのに時間がかかる人間ですが、この本は仕事の休憩時間や睡眠を削ってまで読んでしまったくらいおもしろかったです。その分期待してみた実写映画は、だいぶ端折られていて残念でした。
Posted by ブクログ
短編小説のようにそれぞれの章が完成されており、章を重ねるごとに鏑木の性格や関わる人達からの信頼が伝わってくる。
そして、物語が終わったと思ったところから、あえてその言葉を使わずに情景だけで全てを表現する感動のラストまで一気に加速する最終章
鏑木だけが主人公の単純な物語じゃなかった
自分が周囲の人に対してどうあるべきか。
周りの人達は、自分がどんな人間なのかを映す鏡なんだと考えさせてくれた1冊。
おすすめしたい物語
Posted by ブクログ
どの章も読みやすく、続きが気になる展開で一気読みした。
各章は主人公と関わる第三者の視点で描かれていて、
それぞれのエピソードがどれも面白い。
結末が悲しい。
鏑木には報われて欲しかった。
匿名
脱獄し、別人になりきって暮らしてゆく鏑木、幾度も周りに正体を知られ、さらに何度も逃走してまた別人になりきるを繰り返す。ほんとに凶悪犯人?と、何度も思いました。純情で優しさ溢れる人だから、途中から犯人であってほしくないと何度も思いました。
Posted by ブクログ
最後は、とても切なくて悲しかった…。
スキーのバイトの時に冤罪について「分かる」と言っていた時に、この人は誰も殺していないのかもと思うようになった。
ただ優しい人だったのに…ただ助けようとしただけだったのに…。
Posted by ブクログ
殺人の描写がグロテスクだったら嫌だな、と思っていたけどそこはほとんど語られなかったのでホッとした。
構成がお見事で不自然な箇所がなく、上手な作家さんだなぁと思いました。
あとがきにもあったけれど、多くの読者と同じように、鏑木を死なせないで欲しかったと思った。
物語の流れとしてそうするのが1番自然だったと思うから、結末が残念と言うのとは違う。
舞と似た気持ちで、いなくなってさみしい、悲しいと言うような感情で、死なないでほしかったな…と。。そこまで引き込んでいく力のある作品でした。
Posted by ブクログ
物語の構成がよかった。
各章の視点(語り手)が脱獄犯の鏑木慶一ではなく、第三者であることによって鏑木慶一という人物を客観的に見れて、より人物像がわかりやすくなってると思った。
鏑木と関わった人の大多数が“親切でいい人“という印象を受けていて、“あんなにいい人が殺人をするはずがない“と感じている所が、鏑木の最期をより無惨に、やるせなさを引き立たせていると思った。
ラストは思ったよりあっさりと終わった印象。
ただ、心に残るものは大きくて、色々な感情を含んだモヤモヤが未だに抜けない…。
Posted by ブクログ
鏑木慶一が「鏑木慶一」として物語に出てくることは少なかったが、
様々な場所での潜伏生活と彼を取り巻く人々との関わりを通して、彼の性格や人物像を理解することができた。
彼の生い立ちと性格だからこそ、冤罪を生んでしまったのかなと思う。
最後の章では、それまで動きを見せていなかった物語と点在していた情報が一気につながり、まるでパズルのピースが最後に埋まっていくように、それまで曖昧だったことが次々と明確になっていく展開が印象的だった。
あとがきがものすごく良かった
Posted by ブクログ
今までで1番分厚い本に挑戦しました!
最後まで読めるか不安でしたが、場所場所で出会った人々に助けられながら過ごしていた死刑囚の姿に引き込まれました。冤罪だと信じて、周りの人たちの力を借りながら真実に近づいていく展開はとても良かったです。冤罪が明らかになった時には、もう彼がいないという結末が悲しくて、なんとも言えない気持ちになりました。
Posted by ブクログ
最後のたった数ページを読むだけで、背中から両腕にかけてさざめき立つ感覚を味わえた。600ページかけて培ってきた人との関わりがやはり必要だったと感じられるいい作品だった。
Posted by ブクログ
埼玉で二歳の子を含む一家三人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚が脱獄した! 東京オリンピック施設の工事現場、スキー場の旅館の住み込みバイト、新興宗教の説教会、人手不足に喘ぐグループホーム……。様々な場所で潜伏生活を送りながら捜査の手を逃れ、必死に逃亡を続ける彼の目的は? その逃避行の日々とは?
友人からのオススメ本。
少し読んだだけで犯人が分かり600ページもあるのにどう繋げるのか気になって読み進めていました。結末は予想の範囲内だったので驚きはなかったけど、どうか助かって欲しいと感情移入してました。それだけ作者の筆力と臨場感があったと言うことなのでしょう。粗悪な職場環境、宗教問題、介護、冤罪など一冊の中に沢山の社会的なこと触れられているのが特徴的でした。
日本の警察、検察のメンツ、仕組みなんでしょうけど分かっていても軌道修正しないしねじ曲げるし謝らないよね…
Posted by ブクログ
親子を殺害し、死刑判決を受けた青年が脱走、その少年が介護施設で働くところから話は始まり、時系列を行き来しながら話は進む。
凶悪な犯罪者かと思うが、主人公の青年が場所を変え、生活している、働いている姿を読むと違和感が募り(こんな良さそうな子がどうして殺人を?)何か事情があるのではと興味が膨らみ、物語はその青年の「正体」迫って行く。
小説として、謎、正しい心、転換、日本のシステムへの疑問と学びもあり楽しく読めた。幅広い人が楽しめると思う、お勧めしたい一冊。
Posted by ブクログ
社会派ミステリー。
殺人の罪で死刑判決となった少年が脱獄した。工事作業者、フリーライター、旅館住み込み、パン工場作業員、グループホーム職員、仕事を転々とする逃避行の先にあるものとは・・・
作者自身がエンタメ小説であると述べていますが、確かに良くも悪くもエンタメでした。
本作のテーマである〇〇罪という大きな社会問題を意識しつつ、脱獄犯の逃亡生活の緊張感とそこでの束の間の人間ドラマが上手く描かれています。染井さんの心情描写は秀逸で、人物の想いが何の引っ掛かりもなく胸に染み入ります。
一方で、次々と展開する怒涛のイベントは如何にもエンタメ的で、個人的にはちょっとわざとらしく感じました。これくらいが好きという読者も多いでしょうが。
終盤のドン底に落としてからちょっと上げるという締め方には色々な意見があるようですが、私は嫌いではないです。〇〇罪に対する作者の思いが反映されていると感じました。
Posted by ブクログ
面白かった。鏑木慶一が、いく先正体を隠しながら冤罪を晴らそうと奔走する話。
彼の冤罪が、彼が生きてる状態で晴らされるのが、1番のハッピーエンドだか、そうならないところがリアルさを残していい。
鏑木慶一が、正体の隠し方が徐々にうまくなっていくところ、ただ逃げている状態から実は冤罪をはらそうと奔走していると徐々にわかってくる点が面白い。彼が孤児で、彼の無罪を信じる親族がいないという設定が、彼の人生をハードにしていて、上手く描かれてるなと思った。
Posted by ブクログ
久しぶりに普通の読書が出来た嬉しさ。
1ヶ月に1冊ペースはまだまだ程遠い…もっと読みたい気持ちはある。
本題ですが、めちゃくちゃ没入して読んでしまった!
久々に読書の楽しさを味わったな〜
ここまでの厚さの本を読むことはなかなかないけど、本当にすらすら読めた。本当に面白い本ってむりやり時間を捻出してまで読もうとするんだなと実感。果たして私はそんな風に本を読んでいるのだろうか笑
ページをめくることが止まらないのはただただ続きが気になるから!なんでなんで?と最後までその一心で読み続けた!こんな本初めてかもしれない…
つい最近、袴田さんの無罪が確定したこともあるし
タイムリーに今の世の中を描いていると思うと同時に、本当にこんなことがあるのかと思うとそれこそ神様なんで?と思う。そんなことすらもどこかに意味があって欲しいと願ってしまう。
だけど私はこの本を読んで、日本の法制度について考えるきっかけになった!だから、悲しいニュースも、胸が苦しくなる事件も、周りの人や残された人たちがこれから生きていく上で必要な出来事だったんだと思いたい。
本当に色々なことがある世の中だけど、だからこそ、美しいもの、感動すること、楽しいことに心を躍らせていたい。
Posted by ブクログ
先にドラマで観てしまったので、亀梨くんの顔を思い浮かべながら読みました。ドラマでも本でも、やはりのめり込める作品です。冤罪の辛さも伝わりますが、その他にも、建設現場、ライター、介護施設などの臨場感あふれる様子が描かれていて、場面はころころ切り替わるのに、常に引き込まれている気分でした。
Posted by ブクログ
どんな小さいことでも疑われるとすごく嫌だ。
ましてたくさんの人に疑われるのはもっと嫌だろう。それが小さな罪でも。誰も信じてくれない怖さ。
孤独にそれでも最後まで負けずに大きな力と戦った彼はすごい。日本で冤罪事件があるのは悲しいが
まず疑わしきは罰せず。
裁判でも間違いがあるとしてもそれを認め訂正することができる潔さがないと冤罪を0にできない。
間違いを認めたり謝る事ができる素直な人になりたい。
Posted by ブクログ
少年死刑囚が脱獄。その逃亡劇の中で様々な人達と出会っては別れ、その結末までを描くストーリー。
読めば読むほど鏑木君の人柄、抱える苦悩や寂しさが分かっていき、その最期にとてつもない理不尽さを感じた。
自分の考えの軸を持とう、とここ最近読んでいた読書術の本に幾度となく書かれていたが、この小説でもそれを痛感。
また、過ちを素直に認める人間性を備えていたいと思う。立場が上になり組織が大きくなれば過ちを中々認められないけれど、それは他の誰かにとって大きな歪みになってしまう。
色んな内省が得られた一冊でした。