あらすじ
埼玉で二歳の子を含む一家三人を惨殺し、死刑判決を受けている少年死刑囚が脱獄した! 東京オリンピック施設の工事現場、スキー場の旅館の住み込みバイト、新興宗教の説教会、人手不足に喘ぐグループホーム……。様々な場所で潜伏生活を送りながら捜査の手を逃れ、必死に逃亡を続ける彼の目的は? その逃避行の日々とは? 映像化で話題沸騰の注目作!
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Posted by ブクログ
これほど続きが気になった作品は久しぶり。
逃避行の日々の中で彼が趣味や恋愛、友達、仕事、人生を積み重ね、その先にあるものはー。
最初からとても読みやすく、難しくなく、こんな引き込まれる作品は久しぶり。
彼が謀らずとも、彼の人となりが少しずつ見えてくるのが楽しかった。
後から「友達」や「彼女」と話すのがよかったなー。
本人たちに聞かせてあげたかった。
スノーボード何回させてあげたかった。
人生を謳歌して欲しかった。
Posted by ブクログ
泣きそうだった。あんた犯人じゃないんかい!
死刑囚が脱獄して逃亡する。戸籍も身分証もない。身寄りもない。そんな社会でお金を稼ぎながら、道ゆく人に、警察に、バレないよう暮らさなきゃいけない。そんな辛いことある?私だったら、労働する必要もない、ただ刑期を待つだけの暮らしの方が楽だしそうする。
でもやってなかったら。そして生きていきたかったら。
逃亡中にいろいろな出会いがあったね。恋もしたんだね。縋るような思いで、井尾に接近して。
『自分を褒めてやりたい』が、本当に切ない。よくやった!!!と私もあなたを褒めてあげます。
一気読みでした。
Posted by ブクログ
とても面白かったです。
ラストは明確にされていなかったですが、鏑木が報われた結果となっていたらと思います。
厳しい取り調べもそれはそれで良い結果もあるのかもしれませが、それでも免罪とならないように正しい捜査をしてほしいです。
Posted by ブクログ
映画を観た後に小説を読んだ珍しいパターン。読んでよかった。だいぶ原作に忠実に作られた映画だったんだなぁ、ラスト以外は。
映画では山田孝之の演技が素晴らしかったけど、小説ではそれほど焦点は当たってなかった、映画ではあんなふうに膨らませたんだなぁと感心。
監督と原作者と主役の3人が「僕らの時代」にでてたよな、あれをもう一回見たくなった。
Posted by ブクログ
一家3人を惨殺した容疑で死刑囚となった少年の脱走劇。
本当に彼が犯人なのか。
もう一気読み!
これから読まれる方はぜひ作者のあとがきまで読んでほしい。
冤罪で死刑宣告を受けた人も現実にいることを知ってほしくて、あのようなラストにしたと。
現代ではDNA検査など科学的捜査も進み、昔と違って自白が必ずしも有罪の決め手にはならないとはいうが・・(憲法38条で強制や拷問による自白は証拠とすることができないと定められているのですね)。
少年が逃亡先で出会う人たちとのオムニバス形式の物語一つ一つがとてもよかった。
中でも怪しい新興宗教に誘われてしまう田舎のパート主婦の話が好きだった。パート主婦のその後も良かった。
日々の生活に疲れ、理不尽な思いをし、なんとなく生きる力を失っていた人たちが、彼に出会って力強く生きていこうとしている姿に救われた。
Posted by ブクログ
最初、英国女性を殺して逃亡生活を送った市橋容疑者をモデルにした物語かなぁと思って読んでいたけど、脱獄からxxx日という章を読んでいくとすごく濃密な人間模様が描かれており、じっくり登場人物の設定をされたなぁと最初は簡単な変装から次第に変貌していく脱獄犯。家族惨殺の凶悪犯で憎むべき犯人のはずなのにその実は誠実そのもので、しかし警察の包囲が迫ってくると逃亡への気迫迫る凄みがその容貌を醜く歪ませる。死刑から逃れたいだけの逃亡かと思いきや話に機転が訪れる。物語の章が第一章は”脱獄から1日”、第二章が”脱獄から455日”、そして三章からは33,117、283日と順を追っていく。なぜ二章が455日といきなり飛んで、三章になると33日から順を追っていくのか、この構成が物語への感情移入をぐっと強調させてくれる。どんどん警察の包囲網は狭まってくる。そして犯人はとある目的をもって移動している。少し前に読んだ『逃亡者は北に逃げる』とは一線を画す。終盤に入るともう犯人(?)を応援したくなってくるのにあろうことか....
エピローグで各章に出てきた犯人と関わった面々が一斉に出てくて涙腺が崩壊しそうになる。すごいな。完璧だよ。正体ってタイトルもシンプル過ぎて他なかったのかよって思ったけどこれ以上のタイトルはないわw
息子警察官だけど警察嫌いになるわwそれと冤罪なぁ、死刑制度は賛成だけどこういう物語読むと揺らいでしまうよな。
あとから知ったけどこれ映画化してるんだね。これ小説だからこそ楽しめると思うんだけどどうだったんだろ?
Posted by ブクログ
主人公の周囲の人々の目線から語られ、人となりが伝わってくる構成。一つ一つの章にメッセージ性があり、考えられる作品。結末は重く辛いものであったが、ぜひあとがきまで読んでいただきたい作品です。
Posted by ブクログ
切なくて辛い結末だった。
やっぱり人の内面って、自分が思ってるより全部周りに伝わるもんなんだなって思った。
容疑者に折檻まがいな取り調べを行って虚偽の自白をさせるのは、冤罪を主題にした物語によく出てくるけど、実際はどうなんだろう。
Posted by ブクログ
ハッピーエンドは望まないこと
世の中がいかに理不尽で不条理であるかを思い知らさせた。一方で、矛盾を孕むが、人こそが、人を助くということが感じられる、もしかすると、心温まる物語なのかと、不思議な気持ちになる。いかにせよ、素敵な作品。
Posted by ブクログ
自分の声が誰にも届かない、誰にも信じてもらえない時に人はどう生きていけばいいのか。正体を偽りながらも、どこに行っても周りに好意をもたれる主人公。あの時あの場所にいなければ明るい未来があったのに…
冤罪という悲しい事件が起きない世の中になってほしい。
Posted by ブクログ
死刑は法律の名の下に行われる野蛮行為であるっていう話。
鏑木慶一に関わった人たちの細かい日々を語ることで、鏑木慶一に愛着も湧き、間接的に指名手配犯として隠れて生きる日々を知るのに必要な長さだろうと思うけど、それでも長く感じてしまう部分もあった。
とはいえ、読み切ってしまえる文体の軽快さと、改めて死刑制度の野蛮さを感じれる読んで良かったと思える作品。
Posted by ブクログ
映画化されたこともあり、前から気になっていた本。
一言で言うと、長編ながら飽きずに最後まで読みたいと感じた本でした。最後の最後で主人公がこの世にいなくとも、努力が報われたシーンであった。映画も見てみたい。横浜流星さん、すごく適役だと思う。
Posted by ブクログ
本読んで久しぶりに泣いたよー。
それぞれの逃亡時期に、前の居候先の人たちの面影が出て来る度に鏑木への愛おしさが爆発してった。
最後の真実が明かされる所では全然予想はついてたのに警察にものすごい嫌悪感あったし、報われなさすぎて大号泣した。
絶対に映画見る