あらすじ
批評理論についての書物は数多くあるが、読み方の実例をとおして、小説とは何かという問題に迫ったものは少ない。本書ではまず、「小説技法篇」で、小説はいかなるテクニックを使って書かれるのかを明示する。続いて「批評理論篇」では、有力な作品分析の方法論を平易に解説した。技法と理論の双方に通じることによって、作品理解はさらに深まるだろう。多様な問題を含んだ小説『フランケンシュタイン』に議論を絞った。
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「小説とは、人物を造形するものである」
イギリス文学の研究家で、京都大学名誉教授の廣野由美子さんによる『批評理論入門』です
廣野由美子さん…なんとなくどっかで見たな〜と思ったら、光文社古典新訳文庫のオースティン『説得』の翻訳をされてた方やないですか、あの翻訳も素晴らしかった
さて、本書ですが、まさに『批評理論入門』です
「小説技法篇」と「批評理論篇」の二部構成となっていて、爆烈面白い
特に「小説技法篇」は小説を読む時に新たな視点や深みを与えてくれる
こんな面白い講義が聞けるなら、わいも京大行っときゃよかったな〜(行こうと思えば行けたみたいな言い方!)
まぁ、だいたいはなんとなく感じてたことでもあるんだけど、なんかふんわりしてたもののちゃんとした名前を知ったことは大きいと感じました
まぁ、明々後日には忘れるけどw
Posted by ブクログ
『批評理論入門』はフランケンシュタインを題材に、文学をどんな視点から読めるかを体感させてくれる一冊。
形式主義で技法を、マルクス主義で社会背景を、精神分析で無意識を…。
批評は作品を縛るものではなく、むしろ「作品を開く」楽しみだとわかる入門書。
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一部の小説技法はとても勉強になったし、二部の批評理論も、一つの小説からこんなに沢山の解釈が生まれるんだと驚きました!
今後小説を読むのがますます楽しくなりそうです。
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フランケンシュタイン読んだすぐ後に。
合わせて読んでよかった。
そういうふうに読み取るのかーとか
読者的に読み飛ばしそうなところも
作者としては、いろんな思いで書いてるんだなと
これから、もうすこしじっくり読もうと思った
もう一度読み直して、次から読む時は
心の片隅に意識したい
入門とあるので、この次の段階のものも読みたいなー
あまり専門すぎると難しそうなので。
ただ、
本との相性は絶対あると思う
自分にとって読みにくい本
とっつきづらい本
難解な本
それは、これからも
じっくり読む前に閉じてしまうだろう
それでも読書がただ好きなだけだし
まーいっか。
これ好き!って本に出会うたびに
その本を深掘りしたくなるツールを
少しだけ学べた気がします。
Posted by ブクログ
この本で紹介している知識(小説技法、批評理論)を持って、今まで小説を読んだことがなかったので、遅ればせながら、それらの視点を自分が得ることができ非常に有益であった。
題材としてフランケンシュタインの小説を上げているが、恥ずかしながらこの小説を読んだことがなく、本書で初めて、そのあらすじを知った。しかし、小説ってこうやって読む遠くが深く楽しめるのだなということを初めて知った。
フランケンシュタインの小説は奥深く楽しめるものなんだな。
Posted by ブクログ
科学としての文学。こういう技法こそ高校の現代文で教えてほしかったよ!
小説も漫然と読んでるだけでは作者の意図の1/10も汲み取れないのね。もう少し若い時に知っていたらと思うと悔やまれる。
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『小説をより深く理解し、より楽しむための視点』
小説のしくみを示した【小説技法篇】、読み方を説いた【批評理論篇】に分けて、『フランケンシュタイン』を様々な視点から徹底的に解剖。うん、『フランケンシュタイン』をじっくりと読み返してみよう…
Posted by ブクログ
『小説読解入門』の姉妹本。主に『フランケンシュタイン』を題材にしている。
前半は小説技法について触れられていて、書き手のテクニックを学ぶことができた。
後半は批評がテーマになっているが、少し読みとくのが難しかった。ここはもう一度再読。
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文芸理論の初心者にもわかりやすい解説だった。批評理論には大別して、小説内で考察を深めるものと、小説の外から持ち込んだ物差しを利用するものの二種類がある。著者はその両方の有用性を認めた上でそれぞれの理論を解説し、実際に『フランケンシュタイン』を分析するプロセスを示してくれる。
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小説は、さまざまな技法を駆使して書かれている。そしてそれは、あらゆる角度からのアプローチが可能な、人類だけの、玉虫色に輝く宝だ。どの観点から見るかで、その小説は違った色合いを帯びる。
著者はまえがきで、〈ひたすら作品の内側だけを眺めているのは、狭い読み方だ。ましてや、たんに印象や直観のみに頼って作品を解釈するのは、貧しい読み方〉であると喝破する。これはまさしく自分の読み方ではないかと愕然とし、ではどうしたらいいのかと思うと、直後に〈批評理論という方法論を持つことによって、自分の狭い先入観を突破し、作品の解釈の可能性を拡大することができる〉とある。さらに、〈小説を読む力を研ぎすませてゆくことによって、私たちの印象はさらに鮮やかなものへ、直観はさらに鋭いものへと磨かれてゆくだろう〉とあり、なんて素晴らしい、私も読む力を磨きたいと思い、嬉々として読み始めた。
本書は、前半は「小説技法篇」、後半は「批評理論篇」の二部構成。小説技法は15項目、批評理論は13項目を挙げ、それぞれについて解説されている。その解説において、具体例に用いられているのが、『フランケンシュタイン』という作品だ。したがって、本書を読むと結果的に小説『フランケンシュタイン』をあらゆる角度から味わうことになる。
これがまぁ、楽しかった。興味深くて、理論書なのに純粋におもしろかった。あとでちゃんと『フランケンシュタイン』を読んでみようと思った。小説をどう読もうと、どう味わおうと、個人の自由であることは言うまでもないが、多彩な読み方ができればなお楽しい読書体験になるのではないかと思うのだ。
本書の内容は、小説にとどまらず、漫画や映画、はたまた絵画などの芸術作品にも応用できそう。広く豊かな読み方ができれば、きっとそれだけの批評文(書評)も書けよう。本の「読み方」こそ、書評の土台となるのだから。
さぁ、小説を読むのが楽しみになってきた。
著者の廣野由美子さんは、京都大学大学院教授で、イギリス小説専攻の英文学者。文部科学省科学官も務め、2015年2月にはNHKの番組「100分de名著 フランケンシュタイン」にゲスト講師として出演、テキストも執筆されている。
初心者にも読みやすい
『フランケンシュタイン』の物語を知らなくても本書は読むことができる。批評理論を学びたくて本書を手に取ったが難解な解説もなく入門書として大変分かりやすかった。
Posted by ブクログ
フランケンシュタインを題材に、様々な批評理論を紹介する本。
2部構成になっていて、1部はフランケンシュタインの解説。2部は様々な批評論文の紹介になっており、原作版フランケンシュタイン未読でも安心です。
私もフランケンシュタインについては人造人間のイメージしかない状態で読み始めたので、主人公の名前がフランケンシュタイン氏で、人造人間は名無しの「怪物」だったとは驚きでした…
2部は少し難しく感じましたが、「批評理論とは〇〇という観点から物語を読み解こうとする試み」ということが分かると、少し理解が進みました。
個人的に面白かったのは「文化批評」の項。フランケンシュタインが様々な舞台や映画のモチーフになるにあたり、時代に合わせて原作ブレイクとも言えるほどの改変がなされて行きます。実際、私も全然違うイメージを持ってました…。作者のメアリが知ったらなんて言うんでしょうね?
わたしはガッツリ理系ですが、「大人のための国語の授業」って感じで楽しく読めました!
Posted by ブクログ
小説技法に注目した内在的アプローチと、批評理論に基づく外在的アプローチの2つを駆使して、小説「フランケンシュタイン」を題材に、小説の読み方を解説した1冊。
小説は娯楽であり、個人の好きなままに読めば良い代物ではある。しかし、個人の貧弱な感性のみでは「面白かった」「感動した」等の陳腐な感想しか出てこない。本書を読めば、より深層に迫る読み方が出来るようになるだろう。
Posted by ブクログ
文学理論について分かりやすく書かれた新書。
小説のフランケンシュタインを題材にさまざまな理論、方向性から分析している。
難しい理論も、フランケンシュタインを通して解説されるのでわかりやすかった。
さまざまな批評の中で、フェミニズム批評やジェンダー批評など、フランケンシュタインとはおおよそ結びつかないと思ってたものも取上げられて面白かった。
Posted by ブクログ
自分がいかに小説の上部だけしか読めてなかったか…
「こういう読み方は無粋かな」という気持ちになるような事でも
むしろ、そんな読み方こそしていいんだという気にしてくれた
特に
・怪物とドラ・セーのとやりとり
・エリザベスからの手紙から読み解く彼女の本心
・フランケンシュタインとクラヴァルに見る友情以上の関係性
・フランケンシュタインの弟アーネストはその後どこへ行ったのか
など興味深く原作小説をもう一度読み直してしまった
Posted by ブクログ
特に、後半の「批評理論篇」は、さまざまな批評理論を取り上げて、それぞれにわかりやすい解説が施されている。1篇の小説についても、いろいろな「読み」が可能であると知った。
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モノローグ ポリフォニー イメジャリー メタフィクション 形式主義 脱構築 決定不可能姓 コロニアル
「小説の技巧」と似通う部分が多いという話を聞いた。目を通すべきだろう。
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前半が小説の書き方、後半が文学作品の批評理論について書かれた本。
批評や書評にはしっかり書き方があると知って、「批評の教室」北村紗衣(ちくま新書)を以前読んで大いに勉強し、そしてその本に批評理論について書かれていると紹介されていたのが本書。本書は小説「フランケンシュタイン」を題材に、小説の書き方と批評理論を説明して行くというコンセプトの本。「フランケンシュタイン」はこういうことに耐えうる様々な読み方ができる奥の深い怪物みたいな物語で、まさに怪物も出てくるし、ただよく言われるのは、怪物とフランケンシュタインを混同してしまいがちで、実際間違える。
批評理論というのは、いくつか切り口があるとしても、批評をするときには使う理論を一つに決めて批評していくのが普通で、あまり色々盛り込まない方がよいらしい(「批評の教室」より)。批評理論は様々だから批評するときは自分で使う理論を決める。理論に慣れる必要もあるし、様々使っていくうちに批評らしくなっていくだろう。
Posted by ブクログ
文学理論について学びたいと思っていくつか手を出してみた入門書のうち一冊。具体的な一作品を使って解説を行う方法は理解しやすく、同種の本の中で初めて最後まで読むことができた。これを足がかりにイーグルトンなどにも手を出してみたい。ただ、まだ自分の理解が「おもしろい」にとどまっているので、文学について語る意味についてあらためて考えたい。ちなみにこの本が想定している根本的問題は小説とはなにからしい。
Posted by ブクログ
大学での講義ノートをもとに書き下ろされたもの。挙げられている事例が全て『フランケンシュタイン』から取られているので、『フランケンシュタイン』を読んでから本書に進む方が、自分の読後感と重ね合わせつつ講義を受けている感じがして、理解が深まるだろう。もっとも、『フランケンシュタイン』を読まずとも理解できるような工夫は、十分になされている。
内容は2部構成で、前半は小説を内在的に理解するための「技法」。冒頭、反復、性格描写、結末など要点が網羅されていて、作品鑑賞にも活かせそうな内容。
後半は批評理論で、脱構築、精神分析、ジェンダー、ポストコロニアルなど最近の議論が紹介されていて、勉強になる。こちらは、いわば文学研究のプロがどのように作品を批評しているのかを理解するという意味合いが強い。
ただ、例外は、最後に出てくる「透明な批評」。これは、「エンディングのその後」をテクストに入り込みながら推測するといった行為で、かなり日常的な読み方に入るだろう(いわゆる深読み)。筆者は、透明な批評の批評手法としての妥当性への判断を留保しつつも、「文学作品を読む純粋な楽しみのひとつ」と擁護し、ときには透明な批評が作品の中心部に迫ってゆくことも可能と指摘する。批評や創作がアマチュアにも開かれたものである根拠の一端が、ここに示されていると感じた。
Posted by ブクログ
文学理論と批評理論の双方を学べる書籍。
基本的なことが分かりやすく書かれていて、とても良い復讐になったと感じている。またこれまで外国文学は翻訳に対しての苦手意識からそれほど読むことはなかったが、『フランケンシュタイン』の解説を読むことで読んでみたいと感じた。特定の作品を対象に批評理論の学びを進めることで、学んだことが実践できることは素晴らしいと感じた。
Posted by ブクログ
フランケンシュタインを題材に小説の技法と批評理論を実践を交えて紹介するカタログ本です。これ一冊でぱっと批評理論が概観できました。
前半の小説技法編はためになり面白く読めました。ただキャラクターの項目はイギリス小説の「ストーリーよりもキャラクターが優先する」を紹介するだけで、それの反対理論が全くありません。少し納得しかねる主張ですけどここでいうキャラクーは人物の枠を超えて性格や感情・主張・動作まで含めたかなり細かいところなので、そのとおりなのかもしれません。
後半の批判理論は批判のために小説をネタにしている理論が多かった。とくにジェンダー批評・フェミニズム批評・精神分析批評・マルクス批評は主張のために小説を利用している印象がかなり強い。主は批評理論の方にあり、小説は主張を補強するために使われているようなものでした。
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三宅香帆さんが自分が批評の面白さを知った一冊と紹介しており、興味を持って読み始めた。
『フランケンシュタイン』を題材にして、批評の手法について具体例を用いて説明してくれる。驚いたのは、フランケンシュタインだけでこれだけ書くことがあり、読み解く事ができるということ。これから読む際、より面白く読むための技法も知ることができたし、小説とはなにかという大きな問題の一端を知ることができた気がする。
フランケンシュタインは読んだことがなかったが、面白く読めた。ちゃんと読んでからもう1回帰ってこようかな。
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スケザネ読書本から。ひとつの物語を、これだけ多種多様な視点から眺められる事実にビックリ。つまり、読んだ気になるってことは、ここに書かれた一通りを経た上でにしないとってことだな。ハードル高っ。
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「シラバス読んだらめちゃくちゃ面白そうだったのにいざ取ってみるとそうでもない授業」みたいな感じだった。例えになってないけど。
メアリ・シェリーの『フランケンシュタイン』を題材にして、合計21もの批評理論の立場とその実践例を紹介する本。批評理論を抽象的に羅列されたところで何が何だか分からなかっただろうから、その点では理解の助けになった。
ただほとんどの批評理論が、小説をより深く理解するためのツールではないように思えた。むしろ自分のイデオロギーの正しさを証明するために小説をダシに使っているようで、率直に言えばこんなことをして何になるのか分からない。
今までに提示されていない読み方を提示することそれ自体に価値があるんだ、と言われたらそうなんだろうが、先にゴールありきで「この小説は実は◯◯主義的である」とか主張されてもふーんそうなんだ、としか思えない。手段と目的が逆なんじゃないの、と言いたくなる。
もっと実用的で日々の作品鑑賞が楽しくなるような批評理論を期待していたので少々ガッカリ。次に読むとしたら物語論あたりかな。
Posted by ブクログ
小説「フランケンシュタイン」を題材に小説の読み方について体系的に学ぶことができます。小説のみならず、様々な作品、コンテンツを批評したり分析するのに本書の知識は役に立つと思いますよ。映画とか小説とか読んで考察するの好きな人は読むことをおすすめします!また創作する側の人にとっても学ぶものは大いにあると思います!鑑賞に耐えうる作品を作るには最低限本書に書かれていることくらいは知っておく必要があると思いますね。
Posted by ブクログ
本書がどういう本なのかということについては、筆者が書いた紹介があるので、それを引用しておきたい。
【引用】
批評理論についての書物は数多くあるが、読み方の実例をとおして、小説とは何かという問題に迫ったものは少ない。本書ではまず、「小説技法篇」で、小説はいかなるテクニックを使って書かれるのかを明示する。続いて「批評理論篇」では、有力な作品分析の方法論を平易に解説した。技法と理論の双方に通じることによって、作品理解はさらに深まるだろう。多様な問題を含んだ小説「フランケンシュタイン」に議論を絞った。
【引用終わり】
私は小説をよく読む。本書は、その小説をよりよく、より深く味わうために有用ではないかと思い手にした。
「小説技法篇」では、「冒頭」「ストーリーとプロット」「語り手」等、15の技法が紹介されている。「批評理論篇」では、「伝統的批評」「ジャンル批評」「読者反応批評」など、13の批評の方法論が紹介されている。
小説はよく読むが、このような小説を読むための「理論」に触れるのは初めてのことなので、いずれの技法・方法も、初めて目にするものばかりであるし、その前にそもそも、このような技法や方法論が存在すること自体を初めて知った。多くの技法や手法を230-240ページ程度の新書でコンパクトに説明しているので、1つ1つの技法・方法論の説明に割かれている紙数は少ない。そのため、技法・方法論について理解が出来たとは言い難いが、小説を読むための助けになるであろう、このような方法論があることを知ることが出来たことが、本書からの収穫になるだろうか。
それにしても、このような技法・方法論を使った批評や論文をこれまでに目にしたことはない。それはアカデミアの世界に存在するのだろうか。週末の朝刊各紙には、「書評欄」がある。私は自宅では日本経済新聞を購読しているので、目にするのは日経の書評だ。最近では、書店に「書評コーナー」があり、ここ数週間の各紙書評で取り上げられた書籍を置いてあったりする。「書評」の中で、この本で紹介されている技法や方法論を使って小説が紹介されているのを目にしたことはない。繰り返しになるが、本書で紹介されている批評はどこで読むことが出来るのだろうか、ということに関して、少しモヤモヤが残った。
Posted by ブクログ
「批評の教室」で紹介されていた本。「批評の教室」よりも本格的で、教科書的。よりステップアップする人は必読だ。
小説技巧篇と批評理論篇の二つで構成されている。どちらも、19世紀の英国の小説「フランケンシュタイン」を読解することを通して紹介していく。
前半では、ストーリーとプロット、語り手、結末など、作り手が仕掛ける技巧がクリアに分かる。後半は、脱構築、精神分析、フェミニズムなど、あらゆる「読み」の可能性が実感できる。
非常に巧みな、そして親切な入門書だ。もっと早く出合いたかった。