あらすじ
「痛くて切なくて、めちゃくちゃ笑える。
出し抜いたりうまく騙したりできなくても、人生はめちゃくちゃ面白くなる。
このクソみたいな世界に、上坂あゆ美は笑いと怒りと言葉で立ち向かう。
爆弾みたいな本だった。」――佐久間宣行(TVプロデューサー)
第一歌集『老人ホームで死ぬほどモテたい』が異例のヒット!
唯一無二の短歌を紡ぐ新世代歌人のパンチライン炸裂エッセイ集。
不倫にギャンブルにやりたい放題の末、家族を捨ててフィリピンに飛んだ“クズ”の父、女海賊のように豪快で腕っぷしの強い母、ギャルでヤンキーでトラブルメーカーな姉、そして真実を執拗に追求するあまり人間関係において大事故を起こしてきた私……
数々の失敗を繰り返しながらようやく最近“人間”になってきた著者のこれまでを赤裸々かつユーモラスに物語る。
■目次
ほんとうのことがこの世にあるとしてそれは蟻の巣的なかたちだ
人生でまだ主人公だと思う?って声がイートインコーナーからする
父がくれるお菓子はいつも騒音と玉の重みで少し凹んでた
栗南瓜の煮付けのような夕暮れに甘くしょっぱく照らされる家
めくるめく生クリームに母の声 いつかのメリー・クリスマスイヴ
人生はこんなもんだよ 眉毛すら自由に剃れない星でぼくらは
ヒョウ柄とゼブラで車を埋め尽くす姉は何かを信仰している
それっぽい土手とかないしサンクスの駐車場にていろいろを誓う
今日なにがあっても伸びる豆苗と必死で生きる僕たちのこと
ロシア産鮭とアメリカ産イクラでも丼さえあれば親子になれる
ルフィより強くてジャイアンよりでかい母は今年で六十になる
ほか
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
彼女の繊細さと暴力性の共存の仕方が自分や家族と近くて共感しながら読みました。
自分の人生に向き合うようになってどうすれば長く楽しく生きられるのだろうと前向きな悩みを持つようになったときにこの本と出会って良かったと思います。
面白いエピソードもたくさんあって、また読み返したいです。
Posted by ブクログ
変わった家族でしかもその中で本人は浮いているわ、社会に馴染めないわで辛い内容であるのに、子供の頃から客観性がしっかりあって読んでいて笑ってしまう面白さがある。
そして、単に面白いだけで無く、端々に共感できるところがあって、ほっと安心させてくれる。
穂村弘さんとつながっているようで、似たものを感じる。
Posted by ブクログ
30歳前後の若い歌人のエッセイと歌、だったのだ、この本。
少女時代の、家族や友達を呪うような文章がのっけから出てきて、
そしてそれが妙に面白かった。
途中目次のようにみそひともじが一ページの真ん中にどーんとでてきて、、
エッセイひと塊を総括する歌と、途中で気づく。
やんちゃな両親と姉に囲まれ育った彼女は、
そのエネルギーを歌に向けた、ってことなのかな。
なんだかよくわからないけど、おそらく自分の娘と同世代の女性のエッセイ、
何だかエネルギッシュだった。闘ってた。
以下目次、っていうか、これが各エッセイの総括なのね。
ほんとうのことがこの世にあるとしてそれは蟻の巣的なかたちだ
人生でまだ主人公だと思う?って声がイートインコーナーからする
父がくれるお菓子はいつも騒音と玉の重みで少し凹んでた
栗南瓜の煮付けのような夕暮れに甘くしょっぱく照らされる家
めくるめく生クリームに母の声 いつかのメリー・クリスマスイヴ
人生はこんなもんだよ 眉毛すら自由に剃れない星でぼくらは
ヒョウ柄とゼブラで車を埋め尽くす姉は何かを信仰している
それっぽい土手とかないしサンクスの駐車場にていろいろを誓う
今日なにがあっても伸びる豆苗と必死で生きる僕たちのこと
ロシア産鮭とアメリカ産イクラでも丼さえあれば親子になれる
ルフィより強くてジャイアンよりでかい母は今年で六十になる
メイド喫茶のピンクはヤニでくすんでて夢なんて見ない自由があった
水商売なんてしやがってと金持ちのあの子に言われてからの人生
愛はある/ないの二つに分けられず地球と書いて〈ほし〉って読むな
有休で泥だんごつくるぼくたちは世界でいちばんいちばんぴかぴか
強さとはやさしさなのかもしれなくて無害老人計画はじまる
吐瀉物にまみれた道を歩いてく おおきなおおきな犬の心で
わたしにはわたしの呪いがある日々の遠くでひかる裸の言葉
煙草持つ手つきでくわえる葬式のあとのアメリカンドッグはうまい
クズも死後神になれると知ってから餃子のタレが輝いている
人間は何度目ですか むっくりと起き上がる蕨に尋ねられ、風
わたしたちみんなひとりを生きてゆく 横一列で焼き鳥食めば
あとがき
Posted by ブクログ
地獄を描いた希望の書
はじめて読む上坂さん
どんな人に影響を受けてどうやって生きてきたか、それが全てわかるエッセイ 周りに登場する人物たちが与えたものや言葉がいかにして上坂さんという人間を作っているか、ということを思い知った 他者は自分の媒介者と言うけれど、それが体現されている気がする
あともくじのデザインが良い タイトルも短歌になってるのかな?
「大体の人間は、25歳でようやく人間に成るのではないか」にすごく共感した
わたしもずっと自分のこと人間になりかけだと思っているし、なにができてなにができないのか、わたしはどう考えてどう行動するのか自分のこと全然わかっていない 今まで限界だと思っていたところからステップアップできたり、反対に「わたしはこういう人間なんだった」と落ち込んだりするばかりだから、まだもう少し猶予あるよって教えてくれた気がする
Posted by ブクログ
大好きだ。
って思ったけど、大好きだって表現は
なんかちょっと違うなっても思った。
でもいいや、この本が私は大好きだ。
ポッドキャストも聴いてみようと思う。
Posted by ブクログ
装丁が美しく手に取った本で、初めて知った作家さんだったが、もう心底好きだ。
とても風変わりで芯があって優しい素敵な人。
もう夢中です。夢中で読みました。
次作も夢中で待ってます。
Posted by ブクログ
こじんまりした雰囲気の良い町の本屋さんでタイトルに惹かれて購入。 はちゃめちゃ家族(あっけらかんと書かれているので、笑って読めちゃうんだけど、結構なクズ度合いw)や、周囲の人々について書かれたパワフルエッセイ。
期せずして泣いてしまった文を添えます。
『彼女が私の母ではなくて、その辺の飲み屋で会った人だったとしても、私は彼女のことがきっと好きだ。』
Posted by ブクログ
歌集が凄く好みだったのでエッセイも読んでみた。やはり上坂さんの言葉選びや物事の捉え方が凄くしっくりくる。これを書いた人と話がしてみたいと思うくらいに。
Posted by ブクログ
読むと元気や力が湧いてきてまだ世界は捨てたもんじゃねえなと思える本。どのエピソードも良い、美容に凝るみおちゃんの綺麗な眉毛は教師に怒られても「校則と信念は別だから」は震える。そんな中坊いるんかいな!約束しなくてもいつでも遊べて新しい発見のあるニンテンドー64時代。野球でスピードガンがないのにストップウォッチと速さ距離時間の算数の公式で投げる球の速度を測ろうとしていた時代が俺にもあった。
ロシア産鮭とアメリカ産イクラでも丼さえあれば親子になれる、とか短歌も素晴らしい。短歌も前後のエピソード両方にかかっていたり。
Posted by ブクログ
こんなにも、
まっすぐな文章で綴られた
エッセイはなかなかないのでは…!
読みながら、
ハラハラしたり
軽〜く引いたり笑
でも妙に共感したり
納得できちゃうところもあって
読みだしたら止まらない。
最後のほうにある
『フルーツに生まれ変わるなら
何になりたいか』というお話で
何の話題なの…
と思いきや、
ここに人間の本性が現れるのか〜!
不思議な説得感のある一冊でした。
Posted by ブクログ
初めて自分の真ん中にある燻った感情を他人と共有できた気がした。
自分の中にいた子供の自分がちゃんと成仏した気分というか(笑)
最初の一文からずっと共感で胸が苦しかったから、ティマ君の章は少し泣いてしまった。
一度読んだ本は手元に置いておかないタイプの人間ですが、これは大事に取っておこうと思う。
Posted by ブクログ
歌人上坂あゆ美さんのエッセイ。とても面白かった。正直、歌集はそこまでピンとこなかったが、エッセイはかなり好みだ。女好きでギャン中のどうしようもない父、メンタルも身体もはちゃめちゃに強い母、陽キャでマイルドヤンキーの姉。癖が非常に強くコミュニケーション強者の家族に囲まれて、内気かつ攻撃的な上坂さんの人生はかなりごたごたしながら進行する。
親の離婚前に母と家を出て、移り住んだ先が元デリヘル事務所の部屋…などエッセイのエピソードはどれもかなりインパクトがあるが、悲壮感や鬱屈感などはなくあっさりと語られるので笑えてしまうのだ。短歌を読んだ時は父親は性格もなにもかもクズなのだろうという印象だったが、性格は愛嬌があってみんなに好かれるタイプ、というのが意外だった。そのせいでよけい面白いが。
我が家は普通じゃないと劣等感を抱いて生きてきたのに、久々に再会した友達に「本当に羨ましかった」と告白される話、元デリヘル事務所のアパートでの暮らしの話、母親の彼氏ティマ君の話が特に好き。形はいびつながら、愛の話なのだ。
Posted by ブクログ
『友達じゃないかもしれない』を読んだ衝撃から思わず手にした上坂さんのエッセイ。
家族の中で、自分だけちがう。いや、家族みんな世間とちがう。この最悪な世界に自分を馴らすものか、自分にも言葉にも正直に生き抜く。彼女の信念に圧倒される。
Posted by ブクログ
タイトルからして面白そうな雰囲気しかしない。
同僚が短歌好きで、短歌に少し興味を持っていたときに、なにかの拍子にこの著者のことを知り読んでみた。
対談イベントで見た時のしっかりした女性という印象とは裏腹に、この本では自我が強かった学生時代ややさぐれた家族環境だったりが赤裸々に書かれてあり、こういう文章を読むたびここまで自分のことを書けるのってすごいなと思ってしまう。
それでも家庭環境は変われど母に対する想いやつい言いすぎてしまったあとの後悔のようなものは分かるなと共感できることもあり、そうした言語化したくてもできないような心の機微を短い文章の中で研ぎ澄まして表現できる能力や努力に羨ましさも感じる。
同じ30代前半くらいに読んだら、もっとびしびしに共感できたような気はする。
すごく現実的で大人びた方だとはおもうが、
やはりここからどうとでもなれる若さを
所々に感じてまた羨ましくなりました。
Posted by ブクログ
ほんと人間は失敗して成長していく生き物。
その失敗を糧にするか、ずるずる引き摺って生きていくかで道は別れていくのかな〜
深く何も考えないで流れに任せて生きてきた私。
普通に家族がずっと続くのは普通であるようで、そうでない家族も沢山ある。私もそう。
それもそれで今が幸せなら良し。
上坂さんも今が楽しいなら良しでしょう
Posted by ブクログ
自分の短所をはっきりと明確にあげていて
綺麗事もなく書かれていて好感が持てた。
とにかくお父さんがギャンブル好きの、女たらしで子どもたちのお年玉貯金もってフィリピンに女ととんずらしたっていうのが頭に残っている。笑
Posted by ブクログ
繊細なようで大胆、読めば読むほど上坂あゆ美という人がどんな人間なのか分からなくなるミステリアスな人。
超絶美形でコミュ力高いご両親とぶっ飛んだお姉様を見てみたくなりました。
Posted by ブクログ
僕が思っても言わないことを、この人は言ってるしやってる
本当は思ってもみないことの方が多いんだけど、そう思わせるパワーがある
もう一回歌集読みたくなった
Posted by ブクログ
装丁がとても凝っていて手元に置きたくなる。人生まるごとぶつけられている重みがあって、装丁のチャーミングさからは想像できないほどの読み応え。またエッセイ→短歌という流れは新鮮で楽しい。値段は1980円と高かったけどしっかりお値段以上の読後感。
・人生はこんなもんだよ 眉毛すら自由に剃れない星でぼくらは
・約束しなくても毎日会えて、くだらないことで盛り上がって、美味しいものを一緒に食べて、二人で世界の新発見をし続ける。これが私の思う、二者間の最高で理想の関係である。三十を超えた今でも、本当はああいうことをしていたい。もしかしてこういう日々を永遠にするのが結婚という制度なのかもしれないし(だったら同性婚もできて然るべきだ)、意外とこういうことが、恋から性欲を抜いたときに残るものなのかもしれない。
・剥き出しの言葉を人に投げつけることが、いかなるときも正しいわけではな全くない。本意ではない形で傷つけることの方が多いのだろう。だけど心から大切な人が私の剥き出しの言葉を受け止めてくれ、理解してくれたとき、地球には言葉があって本当に良かったと思った。彼女が私の母ではなくて、その辺の飲み屋で会った人だとしても、私は彼女のことがきっと好きだ。
Posted by ブクログ
リアルなエッセイ
生々しくて、しっかり人の内側やストーリーが出ていて、
本当に楽しくヒリヒリしながら読めた。
上坂あゆ美さんの本はこれからも読んでいきたい。
Posted by ブクログ
4.5
ここまでサクサク読めるエッセイは初めてだった
独特のテンポと語り口調が上坂さんと会話しているみたいで楽しかった
過去のことや家族のことそのほか様々なことについて確かにと思ったり、そうなのかとか思ったりした
1つ1つの章の構成が好きで、最後にきちんとオチがあってすごいと思った
Posted by ブクログ
「私は自分にかかった呪いと向き合おうとした。自分が自分らしくいれる状態を目指さそうと決めた。」
「約束しなくても毎日会えて、くだらないことで盛り上がって、美味しいものを一緒に食べて、二人で世界の新発見をし続ける。」
言葉のエネルギーを凄く感じた!クスッと笑えるところも多くて楽しく読めるエッセイでした。好きなフルーツからその人の人間性を考える章が面白かったです。世界をドライに捉えてそうで情熱のある感じも素敵!
Posted by ブクログ
たまたま自分も思っていたことがタイトルになっていたので、初めての作家さんだけど読んでみた。
小説かと思ったけれど滅多に読まないエッセイで、しかも著者さんは小説家ではなく、歌人だった。
ご自身の結構ハードな生い立ちを面白おかしく書いていてあっという間に読んだ。
1つ印象に残ったこと。
誰と話してもかなり盛り上がる上に、不快にさせない範囲で相手の価値観や真実が分かる(らしい)質問。
どうやら初対面の人との会話でも使えるっぽく、著者は転職の面接でも使ったらしい。
それは
「生まれ変わってフルーツになるとしたら何になりたいですか?」
著者は歌人の岡本真帆さんに教えてもらった質問だそうで
ある人は
「いちご。温かい室内で過ごせるし友人(他のいちご)からも程よい距離感。ぶどうはくっつき過ぎ。」
てことで、この人は自分の住環境と人との距離感が大事な人だということがわかる。とのこと。
いろいろ尖っていた時期もあったみたいだが、本質的には真面目で優しくて可愛らしくて不器用な著者さんだった。